用紙反転搬送機構及び用紙反転搬送装置
【課題】特に、用紙を反転させながら送る送出方向に対して用紙を斜行させることなく送り出すことができる、用紙反転搬送機構を、提供すること。
【解決手段】用紙反転搬送機構において、用紙の一面を搬送面に吸着して、用紙を第1方向へ搬送する、第1搬送部1と、第1搬送部1により搬送されてきた用紙の上記一面を、湾曲内周面21で受けて、用紙を、湾曲内周面21に沿わせて湾曲させながら反転させる、反転部2と、反転された用紙の上記一面を搬送面に吸着して、用紙を第2方向へ搬送する、第2搬送部と、を備えており、反転部2が、断面略半割形状の長尺体であり、その長手方向において上記第1方向に対して平面視で傾斜して配置されており、反転部2が、湾曲内周面21に形成したエアー吸引口(開口71)を介して用紙を湾曲内周面21に引き付ける、吸引機構を、備えていることを特徴としている。
【解決手段】用紙反転搬送機構において、用紙の一面を搬送面に吸着して、用紙を第1方向へ搬送する、第1搬送部1と、第1搬送部1により搬送されてきた用紙の上記一面を、湾曲内周面21で受けて、用紙を、湾曲内周面21に沿わせて湾曲させながら反転させる、反転部2と、反転された用紙の上記一面を搬送面に吸着して、用紙を第2方向へ搬送する、第2搬送部と、を備えており、反転部2が、断面略半割形状の長尺体であり、その長手方向において上記第1方向に対して平面視で傾斜して配置されており、反転部2が、湾曲内周面21に形成したエアー吸引口(開口71)を介して用紙を湾曲内周面21に引き付ける、吸引機構を、備えていることを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機や複写機などの画像形成機において用紙を反転させて搬送する用紙反転搬送機構、及びそのような用紙反転搬送機構を備えた用紙反転搬送装置、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
用紙を搬送しながら用紙の表裏を反転させる技術は、例えば、特許文献1〜3に開示されている。これらの技術は、いずれも、搬送中の用紙の表面に接触する部材及び裏面に接触する部材の両方を備えた機構を有している。そのような接触部材は、例えば、搬送方向への案内部材、搬送ローラ、搬送ベルトなどである。
【特許文献1】特公昭60−45097号公報
【特許文献2】特開2004−43111号公報
【特許文献3】特開2005−29375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、両面印刷機においては、一般に、まず、用紙の一面に印刷を行い、次いで、用紙を反転し、そして、用紙の他面に印刷を行っている。このような両面印刷作業を、特許文献1〜3の機構で行うと、用紙の印刷された一面が搬送ローラなどの接触部材に接触し、未だ十分に乾燥されていないインクが接触部材と擦れ、その結果、用紙の一面の印刷に汚れが生じるという不具合があった。なお、接触部材に撥インク性の処理を施すなどの対策が講じられる場合があるが、用紙の印刷の汚れを皆無にするには至っていないのが現状である。
【0004】
また、特許文献1〜3の機構では、用紙の反転を行う部分が少なくとも用紙の長さ寸法以上の大きさを必要としている。したがって、その機構を備えた装置は、大型化していた。
【0005】
本発明は、接触部材による印刷の汚れが発生するのを防止でき、しかも、小型化を図ることができ、更には、用紙を反転させながら送る送出方向に対して用紙を斜行させることなく送り出すことができる、用紙反転搬送機構、及び、該機構を備えた用紙反転搬送装置、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、用紙を第1方向へ搬送し、用紙の表裏を反転させ、反転した用紙を第2方向へ搬送する、用紙反転搬送機構において、用紙の一面を搬送面に吸着して、用紙を第1方向へ搬送する、第1搬送部と、第1搬送部により搬送されてきた用紙の上記一面を、湾曲内周面で受けて、用紙を、湾曲内周面に沿わせて湾曲させながら反転させる、反転部と、反転された用紙の上記一面を搬送面に吸着して、用紙を第2方向へ搬送する、第2搬送部と、を備えており、反転部が、断面略半割形状の長尺体であり、その長手方向において上記第1方向に対して平面視で傾斜して配置されており、反転部が、湾曲内周面に形成したエアー吸引口を介して用紙を湾曲内周面に引き付ける、吸引機構を、備えていることを特徴としている。
【0007】
本発明は、更に、下記の構成(A)〜(F)を採用するのが好ましい。
【0008】
(A)湾曲内周面が、用紙を反転させながら送る送出方向に沿って延び且つ湾曲内周面側に突出した、リブを、複数個有している。
【0009】
(B)湾曲内周面に、用紙の上記一面に接して回転するよう、複数個のころが設けられている。
【0010】
(C)エアー吸引口が、湾曲内周面の断面方向における第1搬送部側に形成されている。
【0011】
(D)エアー吸引口が、湾曲内周面の、断面方向における第1搬送部側に且つ長手方向において第1搬送部に近い側に、形成されている。
【0012】
(E)吸引機構が、エアー吸引口と、エアーを吸引する吸引手段と、エアー吸引口と吸引手段とを連通させる吸引空間と、で構成されている。
【0013】
(F)エアー吸引口が、湾曲内周面の長手方向に適当間隔置きに複数個形成されており、任意のエアー吸引口が、閉塞可能となっている。
【0014】
上記構成(A)は、更に、次の構成(A-1)を採用するのが好ましい。
(A-1)リブの表面が、湾曲内周面の他の部分よりも低い摩擦係数を有する材料で、構成されている。
【0015】
上記構成(E)は、更に、次の構成(E-1)、(E-2)を採用するのが好ましい。
(E-1)吸引空間が、湾曲内周面の長手方向において第1搬送部に近い側に形成されたエアー吸引口のみに至る、端部用吸引空間を、有している。
(E-2)吸引機構の吸引手段が、第1搬送部において用紙を搬送面に吸着するためにエアーを吸引する吸引手段と、兼用されている。
【0016】
上記構成(E-1)は、更に、次の構成(E-1-1)を採用するのが好ましい。
(E-1-1)端部用吸引空間が、反転部の長手方向に沿って位置調節可能に設けられている。
【0017】
別の本発明は、上述したいずれか1つの用紙反転搬送機構と、該用紙反転搬送機構の第1搬送部に用紙を送り込む前段搬送手段と、を備えており、前段搬送手段が、用紙斜行補正手段を有していることを特徴とする用紙反転搬送装置である。
【0018】
更に別の本発明は、上述したいずれか1つの用紙反転搬送機構を複数備えており、それらの用紙反転搬送機構を、用紙を繰り返し反転させながら搬送するよう組み合わせて備えていることを特徴とする用紙反転搬送装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、反転部において、エアー吸引口から吸引されるエアーによって、用紙を、湾曲内周面に引き付けた状態で、湾曲内周面に沿わせて反転させることができる。したがって、反転部において、用紙が予定されている送出方向からずれるのを防止できる。それ故、反転した用紙を、第2方向に正確に沿った状態で、第2搬送部3送り出すことができる。
【0020】
上記構成(A)によれば、湾曲内周面において、用紙を、リブの表面に接した状態で送ることができる。したがって、湾曲内周面において、用紙を円滑に送ることができる。
【0021】
上記構成(B)によれば、湾曲内周面において、用紙を、ころに接した状態で送ることができる。したがって、湾曲内周面において、用紙をより円滑に送ることができる。
【0022】
上記構成(C)によれば、湾曲内周面に漸次到達した用紙の先端縁部を、エアー吸引口から吸引されるエアーによって、湾曲内周面に引き付けることができる。したがって、反転部において、先端縁部を湾曲内周面にしっかりと引き付けた状態で、用紙を湾曲内周面に沿って送ることができる。この点からも、反転部において、用紙が予定されている送出方向からずれるのを防止できる。
【0023】
上記構成(D)によれば、用紙の先端縁部であって、反転部の湾曲内周面の長手方向において第1搬送部に近い側の、角部を、エアー吸引口からのエアーの吸引によって、湾曲内周面に向けて確実に引き付けることができる。したがって、反転部において、まず上記角部を湾曲内周面にしっかりと引き付けた状態で、用紙を湾曲内周面に沿って送ることができる。この点からも、反転部において、用紙が予定されている送出方向からずれるのを防止できる。
【0024】
上記構成(E)によれば、吸引機構を簡素に構成できる。
【0025】
上記構成(F)によれば、用紙を湾曲内周面に引き付けるのに不要な、エアー吸引口からのエアーの吸引を、無くすことができるので、吸引手段の消費電力を低減できる。
【0026】
上記構成(A-1)によれば、湾曲内周面において、用紙が、リブの表面を円滑に滑るので、用紙をより円滑に送ることができる。
【0027】
上記構成(E-1)によれば、端部用吸引空間を介して、用紙の上記角部を湾曲内周面に向けて確実に引き付けることができる。したがって、反転部において、まず上記角部を湾曲内周面にしっかりと引き付けた状態で、用紙を湾曲内周面に沿って送ることができる。この点からも、反転部において、用紙が予定されている送出方向からずれるのを防止できる。
【0028】
上記構成(E-2)によれば、構成を簡素化でき、また、消費電力を抑制できる。
【0029】
上記構成(E-1-1)によれば、用紙のサイズに応じて、端部用吸引空間を、搬送されて来る用紙の、反転部の湾曲内周面の長手方向において第1搬送部に近い側の、縁部の下方に、位置するように、配置できる。したがって、用紙のサイズが変更されても、上記角部を、端部用吸引空間を介したエアー吸引口からのエアーの吸引によって、湾曲内周面に向けて引き付けることができる。
【0030】
別の本発明の用紙反転搬送装置によれば、斜行していない用紙を用紙反転搬送機構に送ることができるので、用紙反転搬送機構を正常に作動させることができる。
【0031】
更に別の本発明の用紙反転搬送装置によれば、用紙の反転を何度繰り返しても、用紙が予定されている送出方向からずれるのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
[用紙反転搬送機構]
図1は、本発明の用紙反転搬送機構の斜視全体図である。この用紙反転搬送機構100は、第1搬送部1と、反転部2と、第2搬送部3と、からなっている。図2は、第2搬送部3を省略して示した用紙反転搬送機構100の斜視全体図であり、図3は、図2のIII矢視図である。図4は、図3の略図であり、用紙反転搬送機構100の作動を簡略的に示している。すなわち、用紙反転搬送機構100は、第1搬送部1によって第1方向(矢印X方向)に搬送されてきた用紙200を、反転部2において表裏反転させて、第2搬送部3によって第2方向(矢印Y方向)へ搬送するようになっている。ここでは、上記第1方向と上記第2方向とは、直交している。
【0033】
第1搬送部1は、第1ローラ11と第2ローラ12との間に張り渡された多数本の搬送ベルト13を有している。なお、第1ローラ11は、上下に平行に2本設けられている。多数本の搬送ベルト13は、平行に且つ等間隔置きに、設けられている。各搬送ベルト13は、基板14及び基板14の下方に設けられた吸引空間(図示せず)を上下から囲むように設けられている。上方の第1ローラ11と第2ローラ12とは、平行に且つ対向して配置されている。搬送ベルト13は、第1ローラ11が回転駆動されることにより、基板14上において上記第1方向に移動するようになっている。基板14の下方の吸引空間は、2個の吸引ファン41、42に通じている。基板14には、多数の貫通孔141が形成されている。したがって、第1搬送部1においては、吸引ファン41、42が作動すると、吸引空間を介して、貫通孔141からエアーが下方に吸い込まれる。これにより、基板14上の搬送ベルト13上に載せられた用紙は、多数本の搬送ベルト13の上面131で構成された搬送面に吸着された状態となる。したがって、第1搬送部1は、用紙の一面を上記搬送面に吸着して、用紙を上記第1方向へ搬送することができる。
【0034】
反転部2については、後述する。
【0035】
第2搬送部3は、第1ローラ31と第2ローラ32との間に張り渡された多数本の搬送ベルト33を有している。多数本の搬送ベルト33は、平行に且つ等間隔置きに、設けられている。搬送ベルト33の上方には、3個の吸引ファン34、35、36を備えた吸引機構が設けられており、該吸引機構は、搬送ベルト33の下面で構成された搬送面に用紙を吸着するようになっている。これにより、第2搬送部3は、用紙を、搬送ベルト33の下面で構成された搬送面に吸着して、上記第2方向へ搬送するようになっている。
【0036】
図5は、図3のV矢視拡大部分図であり、反転部2を前方から見た図である。反転部2は、断面略半割形状の長尺体であり、湾曲内周面21を有している。反転部2は、図4に示されるように、その長手方向において上記第1方向に対して平面視で45度(角度α)傾斜して配置されており、すなわち、矢印Z方向に延びている。なお、ここでは、説明の都合上、反転部2の、平面視で第1搬送部1に近い側を「矢印W1方向側」と称し、同じく遠い側を「矢印W2方向側」と称することとする。
【0037】
図5に示されるように、湾曲内周面21には、用紙200を反転させながら送る送出方向に沿って延びたリブ22が、等間隔置きに複数個形成されている。リブ22は、湾曲内周面21側に突出している。リブ22の基端部221は、隣接する搬送ベルト13の間に、位置している。基端部221の最先端の上面222は、搬送ベルト13の上面131より少し低い。
【0038】
反転部2においては、湾曲内周面21の断面方向における第1搬送部1側の縁に沿って、開口(エアー吸引口)71が形成されている。開口71は、具体的には、隣接するリブ22の間の湾曲内周面21に形成されている。開口71の上縁711は、搬送ベルト13の上面131の少し上方に位置している。すなわち、開口71は、搬送ベルト13の上面131の上にて、湾曲内周面21側に開いている。そして、図3のVI矢視拡大部分図であり且つ反転部2を後方から見た図である図6に示されるように、開口71は、後方において透明テープ72によって塞がれている。一方、基板14には、基板14の下方の吸引空間と開口71とを通じさせるための貫通孔142が形成されている。したがって、湾曲内周面21側に開いている開口71は、貫通孔142を介して、基板14の下方の吸引空間ひいては吸引ファン41、42に通じている。これにより、本発明の吸引機構が構成されている。
【0039】
図7は、基板14の下方の吸引空間の内部を示す平面図である。この吸引空間9は、基板14の下面に、図7に示された凹部体5が下方から接合されて構成されている。凹部体5は、底面51と、底面51の5辺に立設された側壁521、522、523、524、525と、で構成されている。底面51には、2個の吸引ファン41、42の吸引口411、421が開口している。また、底面51上には、第1平板部材53と、第2平板部材54と、第3平板部材55と、が設けられている。
【0040】
第1平板部材53は、第1低部531と、第1高部532と、第2高部533と、第3高部534と、第2低部535と、からなっている。第1高部532及び第3高部534は、リブ状に形成されている。吸引空間9は、第1高部532と、第2高部533と、第3高部534と、第3平板部材55と、によって、上記第1方向の上流側の空間部91と、空間部91とは反対側の空間部92と、に仕切られている。空間部91は、吸引ファン41に通じており、空間部92は、吸引ファン42に通じている。第2低部535は、第2高部533によって3方が囲まれることによって、通路状の空間部(端部用吸引空間)97を構成している。空間部97は、矢印W1方向側に位置しており、上記第1方向に真っ直ぐ延びており、上記第1方向の上流側にて空間部91に通じている。なお、第2高部533には、反転部2が上方から嵌合する低部5331が形成されている。低部5331は、第2低部535より少し高い。
【0041】
第2平板部材54は、矢印W1方向側に、配置されている。第2平板部材54は、リブ状の高部541を等間隔で複数有しており、これにより、通路状の空間部98を複数有している。空間部98は、上記第1方向に真っ直ぐ延びており、上記第1方向の下流側にて空間部91に通じている。
【0042】
第3平板部材55は、矢印W2方向側に、配置されている。第3平板部材55は、リブ状の高部551を等間隔で複数有しており、これにより、通路状の空間部99を複数有している。空間部99は、上記第1方向に対して直交する方向に真っ直ぐ延びており、矢印W1方向側にて空間部91、92に通じている。
【0043】
第1平板部材53は、上記第1方向に対して平面視で45度傾斜した状態で、第2平板部材54及び第3平板部材55に対して、接している。そして、第1平板部材53は、底面51に形成されている2つの平行な長孔511、512内にて、第1平板部材53に固定されているピン513、514をスライドさせることによって、矢印Z方向へ移動可能となっている。第1平板部材53の、矢印Z方向と平行な辺537には、多数の歯5371が形成されており、一方、底面51の孔515には、モータ(図示せず)で駆動される歯車(図示せず)が取り付けられており、その歯車は、歯5371と噛み合っている。これにより、第1平板部材53は、上記歯車を所定量だけ回転させることにより、矢印Z方向へ所定量だけ移動するようになっている。
【0044】
次に、上記構成の用紙反転搬送機構100の作動について、図8を参照しながら、説明する。なお、図8は、図4において吸引空間を透視して示す図である。
【0045】
用紙反転搬送機構100を作動させると、2個の吸引ファン41、42が作動するとともに、第1ローラ11が回転して、搬送ベルト13が基板14上を矢印X方向へ移動し、また、同時に、吸引ファン34、35、36が作動するとともに、第1ローラ31が回転して、下側の搬送ベルト33が矢印Y方向へ移動する。なお、作動前においては、第1平板部材53を矢印Z方向に移動調節して、空間部97を、搬送されて来る用紙200の矢印W1方向側の縁部211の下方に位置するように、配置する。
【0046】
(a)用紙反転搬送機構100の前段に配置されている搬送手段(図示せず)が作動して、用紙200が第1搬送部1へ送られて来ると、用紙200は、第1搬送部1の搬送ベルト13の上面131上に載って、上記第1方向(矢印X方向)へ搬送されて行く。
【0047】
このとき、吸引ファン41、42の作動によって、吸引空間9を介して貫通孔141からエアーが吸引されるので、第1搬送部1においては、用紙200は、搬送ベルト13の上面131で構成された搬送面に吸着された状態で、搬送されて行く。
【0048】
また、このとき、吸引空間9では、第2平板部材54の空間部98において矢印に示されるようなエアーの流れが生じ、空間部98の上方の貫通孔141からエアーが吸引されるので、用紙200の縁部211が下方に引かれる。したがって、第1搬送部1においては、用紙200は、縁部211がしっかりと吸着された状態で、搬送されて行く。
【0049】
(b)次に、第1搬送部1によって搬送されて来た用紙200は、まず、先端縁部212の縁部211側の角部213が反転部2の湾曲内周面21に到達する。
【0050】
このとき、吸引空間9では、第1平板部材53の空間部97において矢印に示されるようなエアーの流れが生じ、空間部97に通じる開口71からエアーが吸引されるので、角部213が湾曲内周面21に向けて確実に引き付けられる。したがって、反転部2においては、用紙200は、まず、角部213が湾曲内周面21にしっかりと引き付けられた状態で、湾曲内周面21に沿って送られて行く。
【0051】
また、このとき、吸引空間9では、第3平板部材55の空間部99において矢印に示されるようなエアーの流れが生じ、空間部99の上方の貫通孔141からエアーが吸引されるので、用紙200の矢印W2方向側の縁部214が下方に引かれる。したがって、第1搬送部1においては、用紙200は、縁部214がしっかりと吸着された状態で、搬送されて行く。
【0052】
(c)次に、用紙200は、角部213が湾曲内周面21に到達した後、先端縁部212が、漸次、湾曲内周面21に到達する。
【0053】
このとき、湾曲内周面21の断面方向における第1搬送部1側の開口71からは、吸引空間9を介してエアーが吸引されているので、湾曲内周面21に到達した先端縁部212は、湾曲内周面21に引き付けられる。したがって、反転部2においては、用紙200は、先端縁部212が湾曲内周面21にしっかりと引き付けられた状態で、湾曲内周面21に沿って送られて行く。
【0054】
(d)そして、用紙200は、先端部から後端部にかけて、漸次、湾曲内周面21に到達する。
【0055】
こうして、用紙200は、湾曲内周面21に沿って送られて行き、すなわち、湾曲されながら表裏反転されて、第2搬送部3へ送られる。
【0056】
このとき、湾曲内周面21に沿って送られる用紙200は、実質的には、リブ22の表面223(図5)に接した状態で送られて行く。それ故、用紙200の裏面202と湾曲内周面21との間の摩擦は、裏面202とリブ22の表面223との間に生じるだけである。したがって、用紙200は、湾曲内周面21に沿って円滑に送られる。
【0057】
(e)第2搬送部3においては、用紙200は、裏面202が搬送面に吸着された状態で、上記第2方向(矢印Y方向)へ搬送される。
【0058】
以上のように、上記構成の用紙反転搬送機構100によれば、次のような効果を発揮できる。
【0059】
(1)反転部2において、開口71から吸引されるエアーによって、用紙200を、湾曲内周面21に引き付けた状態で、湾曲内周面21に沿わせて反転させることができる。したがって、反転部2において、用紙200が予定されている送出方向からずれるのを防止できる。それ故、反転した用紙200を、上記第2方向に正確に沿った状態で、第2搬送部3へ送り出すことができる。
【0060】
(2)湾曲内周面21にリブ22を有しているので、湾曲内周面21において、用紙200を、リブ22の表面223に接した状態で送ることができる。したがって、湾曲内周面21において、用紙200を円滑に送ることができる。
【0061】
(3)開口71が湾曲内周面21の断面方向における第1搬送部1側に位置しているので、湾曲内周面21に漸次到達した用紙200の先端縁部212を、開口71から吸引されるエアーによって、湾曲内周面21に引き付けることができる。したがって、反転部2において、先端縁部212を湾曲内周面21にしっかりと引き付けた状態で、用紙200を湾曲内周面21に沿って送ることができる。この点からも、反転部2において、用紙200が予定されている送出方向からずれるのを防止できる。
【0062】
(4)湾曲内周面21に至った用紙200の角部213を、第1平板部材53の空間部97を介した開口71からのエアーの吸引によって、湾曲内周面21に向けて確実に引き付けることができる。したがって、反転部2において、まず角部213を湾曲内周面21にしっかりと引き付けた状態で、用紙200を湾曲内周面21に沿って送ることができる。この点からも、反転部2において、用紙200が予定されている送出方向からずれるのを防止できる。
【0063】
(5)第1搬送部1において、用紙200の縁部211を、第2平板部材54の空間部98を介した貫通孔141からのエアーの吸引によって、下方に引き付けることができる。したがって、第1搬送部1において、縁部211をしっかりと吸着した状態で、用紙200を搬送できる。それ故、第1搬送部1における用紙200の搬送を安定化できる。
【0064】
(6)第1搬送部1において、用紙200の縁部214を、第3平板部材55の空間部99を介した貫通孔141からのエアーの吸引によって、下方に引き付けることができる。したがって、第1搬送部1において、縁部214をしっかりと吸着した状態で、用紙200を搬送できる。それ故、第1搬送部1における用紙200の搬送を安定化できる。
【0065】
(7)第1平板部材53が矢印Z方向に位置調節可能であるので、用紙200のサイズに応じて、空間部97を、搬送されて来る用紙200の矢印W1方向側の縁部211の下方に位置するように、配置できる。したがって、用紙200のサイズが変更されても、角部213を、空間部97を介した開口71からのエアーの吸引によって、湾曲内周面21に向けて引き付けることができる。
【0066】
(8)2個の吸引ファン41、42によって、第1搬送部1における貫通孔141からのエアーの吸引、及び、反転部2における開口71からのエアーの吸引、が行われるので、構成を簡素化でき、また、消費電力を抑制できる。
【0067】
なお、本発明の用紙反転搬送機構100は、次のような変形構成を採用してもよい。
【0068】
(i)開口71を、湾曲内周面21の断面方向における第1搬送部1側であって矢印W1方向側のみに形成する。ところで、用紙200が反転部2にて反転される際に最もずれやすいのは、角部213である。したがって、この変形構成によっても、角部213を湾曲内周面21に向けて引き付けることができるので、反転部2において、用紙200が予定されている送出方向からずれるのを防止できる。
【0069】
(ii)開口71を、湾曲内周面21の任意の箇所に形成する。すなわち、開口71を、湾曲内周面21の断面方向における第1搬送部1側以外の箇所に形成してもよく、また、矢印W1方向側以外の箇所に形成してもよい。例えば、図5において一点鎖線で示すように、開口71を、湾曲内周面21の断面方向における第1搬送部1側と第2搬送部3側との中間の箇所に形成してもよく、また、矢印W2方向側に形成してもよい。この構成によっても、用紙200を、湾曲内周面21に引き付けた状態で、湾曲内周面21に沿わせて反転させることができる。
【0070】
(iii)開口71を、反転部2の長手方向に適当間隔置きに複数個形成し、任意の開口71を閉塞可能とする。閉塞手段としては、例えば、湾曲内周面21側からテープを貼り付けて塞ぐ方法を使用できる。この構成によれば、用紙200を湾曲内周面21に引き付けるのに不要な、開口71からのエアーの吸引を、無くすことができるので、吸引ファン41、42の消費電力を低減できる。
【0071】
(iv)リブ22の表面223(図5)を、湾曲内周面21の他の部分よりも低い摩擦係数を有する材料で、構成する。例えば、リブ22の表面部自体を当該材料で形成してもよく、又は、リブ22の表面を当該材料でコーティングしてもよい。当該材料としては、例えば、ガラスビーズや油成分を含んだ、POM樹脂又はテフロン(登録商標)を使用できる。この構成によれば、湾曲内周面21において、用紙200が、リブ22の表面223を円滑に滑るので、用紙200をより円滑に送ることができる。
【0072】
(v)図9に示されるように、湾曲内周面21に、複数個のころ28を設ける。ころ28は、用紙200の裏面202が接触すると、回転するよう設けられている。図9では、湾曲内周面21に、ころ28及びリブ22が設けられているが、ころ28のみを設けてもよい。ころ28の回転方向Rは、用紙200を反転させながら送る送出方向に対して略平行であり、リブ22が設けられている場合にはリブ22が延びている方向に対して略平行である。また、ころ28は、湾曲内周面21から僅かに突出しており、リブ22が設けられている場合にはリブ22と略同じ高さまで突出している。この構成によれば、湾曲内周面21において、用紙200を、ころ28に接した状態で送ることができる。したがって、湾曲内周面21において、用紙200をより円滑に送ることができる。
【0073】
(vi)図1に示されている用紙反転搬送機構100を、上下逆さまの状態で使用してもよい。この状態では、用紙200は、上に位置する第1搬送部1によって第1方向に搬送され、反転部2によって表裏反転され、下に位置する第2搬送部3によって第2方向に搬送される。この構成によっても、上記実施形態と同様の効果を発揮できる。
【0074】
(vii)上記第1方向と上記第2方向とが成す角度は、0度より大きく180度より小さければ、90度以外であってもよい。
【0075】
[用紙反転搬送装置]
(第1実施形態)
図10は、別の本発明の用紙反転搬送装置の概略を示す平面図である。この用紙反転搬送装置300は、上記構成の用紙反転搬送機構100の前段に、第1搬送部1に用紙を送り込む前段搬送手段6を備えている。そして、この前段搬送手段6が、用紙斜行補正手段を有している。用紙斜行補正手段は、具体的には、搬送方向(矢印T方向)に対して一方向に傾斜して配置された複数の搬送ベルト61と、その傾斜側に且つ搬送方向と平行に設けられたガイド板62と、で構成されている。この用紙斜行補正手段によれば、搬送ベルト61上に載せられた用紙200は、その側縁216がガイド板62に押し付けられながら、搬送される。したがって、斜行状態Aの用紙200を真っ直ぐな状態Bに補正できる。
【0076】
なお、上記構成の用紙反転搬送機構100としては、上述した変形構成を採用した装置を用いてもよい。また、本発明の用紙反転搬送装置は、用紙反転搬送機構100の第2搬送部3によって搬送されて来た用紙200を更に搬送するための後段搬送手段を備えてもよく、その後段搬送手段は、用紙斜行補正手段を有してもよい。
【0077】
(第2実施形態)
図11は、更に別の本発明の用紙反転搬送装置の概略を示す斜視図である。この用紙反転搬送装置301は、上記構成の用紙反転搬送機構100を2個組み合わせて構成されており、用紙200を2回反転させながら搬送するようになっている。すなわち、用紙反転搬送装置301では、用紙200が、一方の用紙反転搬送機構100において、第1搬送部1にて矢印X1方向に搬送され、反転部2にて表裏反転され、第2搬送部3にて矢印Y1方向に搬送され、次いで、他方の用紙反転搬送機構100において、第1搬送部1にて矢印X2方向に搬送され、反転部2にて表裏反転され、第2搬送部3にて矢印Y2方向に搬送される。したがって、用紙反転搬送装置301によれば、一方向へ搬送された用紙200が反対方向へ搬送されることとなる。
【0078】
なお、上記構成の用紙反転搬送機構100としては、上述した変形構成を採用した装置を用いてもよい。例えば、図12に示されるように、図1の用紙反転搬送機構100を上下逆さまにした状態のものを、2個組み合わせて構成してもよい。この用紙反転搬送装置302では、用紙200が、一方の用紙反転搬送機構100において、第1搬送部1にて矢印X3方向に搬送され、反転部2にて表裏反転され、第2搬送部3にて矢印Y3方向に搬送され、次いで、他方の用紙反転搬送機構100において、第1搬送部1にて矢印X4方向に搬送され、反転部2にて表裏反転され、第2搬送部3にて矢印Y4方向に搬送される。また、組み合わせる用紙反転搬送機構100の数は、3個以上でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の用紙反転搬送機構100は、反転部2において、用紙200が予定されている送出方向からずれるのを防止できるので、産業上の利用価値が大である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の用紙反転搬送機構の斜視全体図である。
【図2】第2搬送部を省略して示した図1の用紙反転搬送機構の斜視全体図である。
【図3】図2のIII矢視図である。
【図4】図3の略図であり、用紙反転搬送機構の作動を簡略的に示している。
【図5】図3のV矢視拡大部分図であり、反転部を前方から見た図である。
【図6】図3のVI矢視拡大部分図であり、反転部を後方から見た図である
【図7】基板の下方の吸引空間の内部を示す平面図である。
【図8】図4において吸引空間を透視して示す図である。
【図9】湾曲内周面の変形構成を示す、図5に相当する図である。
【図10】別の本発明の用紙反転搬送装置の概略を示す平面図である。
【図11】更に別の本発明の用紙反転搬送装置の概略を示す斜視図である。
【図12】図11の用紙反転搬送装置の変形構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0081】
1 第1搬送部 2 反転部 21 湾曲内周面 22 リブ 3 第2搬送部 41、42 吸引ファン(吸引手段) 6 前段搬送手段 71 開口(エアー吸引口) 9 吸引空間 97 空間部(端部用吸引空間) 100 用紙反転搬送機構 200 用紙 300、301 用紙反転搬送装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機や複写機などの画像形成機において用紙を反転させて搬送する用紙反転搬送機構、及びそのような用紙反転搬送機構を備えた用紙反転搬送装置、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
用紙を搬送しながら用紙の表裏を反転させる技術は、例えば、特許文献1〜3に開示されている。これらの技術は、いずれも、搬送中の用紙の表面に接触する部材及び裏面に接触する部材の両方を備えた機構を有している。そのような接触部材は、例えば、搬送方向への案内部材、搬送ローラ、搬送ベルトなどである。
【特許文献1】特公昭60−45097号公報
【特許文献2】特開2004−43111号公報
【特許文献3】特開2005−29375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、両面印刷機においては、一般に、まず、用紙の一面に印刷を行い、次いで、用紙を反転し、そして、用紙の他面に印刷を行っている。このような両面印刷作業を、特許文献1〜3の機構で行うと、用紙の印刷された一面が搬送ローラなどの接触部材に接触し、未だ十分に乾燥されていないインクが接触部材と擦れ、その結果、用紙の一面の印刷に汚れが生じるという不具合があった。なお、接触部材に撥インク性の処理を施すなどの対策が講じられる場合があるが、用紙の印刷の汚れを皆無にするには至っていないのが現状である。
【0004】
また、特許文献1〜3の機構では、用紙の反転を行う部分が少なくとも用紙の長さ寸法以上の大きさを必要としている。したがって、その機構を備えた装置は、大型化していた。
【0005】
本発明は、接触部材による印刷の汚れが発生するのを防止でき、しかも、小型化を図ることができ、更には、用紙を反転させながら送る送出方向に対して用紙を斜行させることなく送り出すことができる、用紙反転搬送機構、及び、該機構を備えた用紙反転搬送装置、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、用紙を第1方向へ搬送し、用紙の表裏を反転させ、反転した用紙を第2方向へ搬送する、用紙反転搬送機構において、用紙の一面を搬送面に吸着して、用紙を第1方向へ搬送する、第1搬送部と、第1搬送部により搬送されてきた用紙の上記一面を、湾曲内周面で受けて、用紙を、湾曲内周面に沿わせて湾曲させながら反転させる、反転部と、反転された用紙の上記一面を搬送面に吸着して、用紙を第2方向へ搬送する、第2搬送部と、を備えており、反転部が、断面略半割形状の長尺体であり、その長手方向において上記第1方向に対して平面視で傾斜して配置されており、反転部が、湾曲内周面に形成したエアー吸引口を介して用紙を湾曲内周面に引き付ける、吸引機構を、備えていることを特徴としている。
【0007】
本発明は、更に、下記の構成(A)〜(F)を採用するのが好ましい。
【0008】
(A)湾曲内周面が、用紙を反転させながら送る送出方向に沿って延び且つ湾曲内周面側に突出した、リブを、複数個有している。
【0009】
(B)湾曲内周面に、用紙の上記一面に接して回転するよう、複数個のころが設けられている。
【0010】
(C)エアー吸引口が、湾曲内周面の断面方向における第1搬送部側に形成されている。
【0011】
(D)エアー吸引口が、湾曲内周面の、断面方向における第1搬送部側に且つ長手方向において第1搬送部に近い側に、形成されている。
【0012】
(E)吸引機構が、エアー吸引口と、エアーを吸引する吸引手段と、エアー吸引口と吸引手段とを連通させる吸引空間と、で構成されている。
【0013】
(F)エアー吸引口が、湾曲内周面の長手方向に適当間隔置きに複数個形成されており、任意のエアー吸引口が、閉塞可能となっている。
【0014】
上記構成(A)は、更に、次の構成(A-1)を採用するのが好ましい。
(A-1)リブの表面が、湾曲内周面の他の部分よりも低い摩擦係数を有する材料で、構成されている。
【0015】
上記構成(E)は、更に、次の構成(E-1)、(E-2)を採用するのが好ましい。
(E-1)吸引空間が、湾曲内周面の長手方向において第1搬送部に近い側に形成されたエアー吸引口のみに至る、端部用吸引空間を、有している。
(E-2)吸引機構の吸引手段が、第1搬送部において用紙を搬送面に吸着するためにエアーを吸引する吸引手段と、兼用されている。
【0016】
上記構成(E-1)は、更に、次の構成(E-1-1)を採用するのが好ましい。
(E-1-1)端部用吸引空間が、反転部の長手方向に沿って位置調節可能に設けられている。
【0017】
別の本発明は、上述したいずれか1つの用紙反転搬送機構と、該用紙反転搬送機構の第1搬送部に用紙を送り込む前段搬送手段と、を備えており、前段搬送手段が、用紙斜行補正手段を有していることを特徴とする用紙反転搬送装置である。
【0018】
更に別の本発明は、上述したいずれか1つの用紙反転搬送機構を複数備えており、それらの用紙反転搬送機構を、用紙を繰り返し反転させながら搬送するよう組み合わせて備えていることを特徴とする用紙反転搬送装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、反転部において、エアー吸引口から吸引されるエアーによって、用紙を、湾曲内周面に引き付けた状態で、湾曲内周面に沿わせて反転させることができる。したがって、反転部において、用紙が予定されている送出方向からずれるのを防止できる。それ故、反転した用紙を、第2方向に正確に沿った状態で、第2搬送部3送り出すことができる。
【0020】
上記構成(A)によれば、湾曲内周面において、用紙を、リブの表面に接した状態で送ることができる。したがって、湾曲内周面において、用紙を円滑に送ることができる。
【0021】
上記構成(B)によれば、湾曲内周面において、用紙を、ころに接した状態で送ることができる。したがって、湾曲内周面において、用紙をより円滑に送ることができる。
【0022】
上記構成(C)によれば、湾曲内周面に漸次到達した用紙の先端縁部を、エアー吸引口から吸引されるエアーによって、湾曲内周面に引き付けることができる。したがって、反転部において、先端縁部を湾曲内周面にしっかりと引き付けた状態で、用紙を湾曲内周面に沿って送ることができる。この点からも、反転部において、用紙が予定されている送出方向からずれるのを防止できる。
【0023】
上記構成(D)によれば、用紙の先端縁部であって、反転部の湾曲内周面の長手方向において第1搬送部に近い側の、角部を、エアー吸引口からのエアーの吸引によって、湾曲内周面に向けて確実に引き付けることができる。したがって、反転部において、まず上記角部を湾曲内周面にしっかりと引き付けた状態で、用紙を湾曲内周面に沿って送ることができる。この点からも、反転部において、用紙が予定されている送出方向からずれるのを防止できる。
【0024】
上記構成(E)によれば、吸引機構を簡素に構成できる。
【0025】
上記構成(F)によれば、用紙を湾曲内周面に引き付けるのに不要な、エアー吸引口からのエアーの吸引を、無くすことができるので、吸引手段の消費電力を低減できる。
【0026】
上記構成(A-1)によれば、湾曲内周面において、用紙が、リブの表面を円滑に滑るので、用紙をより円滑に送ることができる。
【0027】
上記構成(E-1)によれば、端部用吸引空間を介して、用紙の上記角部を湾曲内周面に向けて確実に引き付けることができる。したがって、反転部において、まず上記角部を湾曲内周面にしっかりと引き付けた状態で、用紙を湾曲内周面に沿って送ることができる。この点からも、反転部において、用紙が予定されている送出方向からずれるのを防止できる。
【0028】
上記構成(E-2)によれば、構成を簡素化でき、また、消費電力を抑制できる。
【0029】
上記構成(E-1-1)によれば、用紙のサイズに応じて、端部用吸引空間を、搬送されて来る用紙の、反転部の湾曲内周面の長手方向において第1搬送部に近い側の、縁部の下方に、位置するように、配置できる。したがって、用紙のサイズが変更されても、上記角部を、端部用吸引空間を介したエアー吸引口からのエアーの吸引によって、湾曲内周面に向けて引き付けることができる。
【0030】
別の本発明の用紙反転搬送装置によれば、斜行していない用紙を用紙反転搬送機構に送ることができるので、用紙反転搬送機構を正常に作動させることができる。
【0031】
更に別の本発明の用紙反転搬送装置によれば、用紙の反転を何度繰り返しても、用紙が予定されている送出方向からずれるのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
[用紙反転搬送機構]
図1は、本発明の用紙反転搬送機構の斜視全体図である。この用紙反転搬送機構100は、第1搬送部1と、反転部2と、第2搬送部3と、からなっている。図2は、第2搬送部3を省略して示した用紙反転搬送機構100の斜視全体図であり、図3は、図2のIII矢視図である。図4は、図3の略図であり、用紙反転搬送機構100の作動を簡略的に示している。すなわち、用紙反転搬送機構100は、第1搬送部1によって第1方向(矢印X方向)に搬送されてきた用紙200を、反転部2において表裏反転させて、第2搬送部3によって第2方向(矢印Y方向)へ搬送するようになっている。ここでは、上記第1方向と上記第2方向とは、直交している。
【0033】
第1搬送部1は、第1ローラ11と第2ローラ12との間に張り渡された多数本の搬送ベルト13を有している。なお、第1ローラ11は、上下に平行に2本設けられている。多数本の搬送ベルト13は、平行に且つ等間隔置きに、設けられている。各搬送ベルト13は、基板14及び基板14の下方に設けられた吸引空間(図示せず)を上下から囲むように設けられている。上方の第1ローラ11と第2ローラ12とは、平行に且つ対向して配置されている。搬送ベルト13は、第1ローラ11が回転駆動されることにより、基板14上において上記第1方向に移動するようになっている。基板14の下方の吸引空間は、2個の吸引ファン41、42に通じている。基板14には、多数の貫通孔141が形成されている。したがって、第1搬送部1においては、吸引ファン41、42が作動すると、吸引空間を介して、貫通孔141からエアーが下方に吸い込まれる。これにより、基板14上の搬送ベルト13上に載せられた用紙は、多数本の搬送ベルト13の上面131で構成された搬送面に吸着された状態となる。したがって、第1搬送部1は、用紙の一面を上記搬送面に吸着して、用紙を上記第1方向へ搬送することができる。
【0034】
反転部2については、後述する。
【0035】
第2搬送部3は、第1ローラ31と第2ローラ32との間に張り渡された多数本の搬送ベルト33を有している。多数本の搬送ベルト33は、平行に且つ等間隔置きに、設けられている。搬送ベルト33の上方には、3個の吸引ファン34、35、36を備えた吸引機構が設けられており、該吸引機構は、搬送ベルト33の下面で構成された搬送面に用紙を吸着するようになっている。これにより、第2搬送部3は、用紙を、搬送ベルト33の下面で構成された搬送面に吸着して、上記第2方向へ搬送するようになっている。
【0036】
図5は、図3のV矢視拡大部分図であり、反転部2を前方から見た図である。反転部2は、断面略半割形状の長尺体であり、湾曲内周面21を有している。反転部2は、図4に示されるように、その長手方向において上記第1方向に対して平面視で45度(角度α)傾斜して配置されており、すなわち、矢印Z方向に延びている。なお、ここでは、説明の都合上、反転部2の、平面視で第1搬送部1に近い側を「矢印W1方向側」と称し、同じく遠い側を「矢印W2方向側」と称することとする。
【0037】
図5に示されるように、湾曲内周面21には、用紙200を反転させながら送る送出方向に沿って延びたリブ22が、等間隔置きに複数個形成されている。リブ22は、湾曲内周面21側に突出している。リブ22の基端部221は、隣接する搬送ベルト13の間に、位置している。基端部221の最先端の上面222は、搬送ベルト13の上面131より少し低い。
【0038】
反転部2においては、湾曲内周面21の断面方向における第1搬送部1側の縁に沿って、開口(エアー吸引口)71が形成されている。開口71は、具体的には、隣接するリブ22の間の湾曲内周面21に形成されている。開口71の上縁711は、搬送ベルト13の上面131の少し上方に位置している。すなわち、開口71は、搬送ベルト13の上面131の上にて、湾曲内周面21側に開いている。そして、図3のVI矢視拡大部分図であり且つ反転部2を後方から見た図である図6に示されるように、開口71は、後方において透明テープ72によって塞がれている。一方、基板14には、基板14の下方の吸引空間と開口71とを通じさせるための貫通孔142が形成されている。したがって、湾曲内周面21側に開いている開口71は、貫通孔142を介して、基板14の下方の吸引空間ひいては吸引ファン41、42に通じている。これにより、本発明の吸引機構が構成されている。
【0039】
図7は、基板14の下方の吸引空間の内部を示す平面図である。この吸引空間9は、基板14の下面に、図7に示された凹部体5が下方から接合されて構成されている。凹部体5は、底面51と、底面51の5辺に立設された側壁521、522、523、524、525と、で構成されている。底面51には、2個の吸引ファン41、42の吸引口411、421が開口している。また、底面51上には、第1平板部材53と、第2平板部材54と、第3平板部材55と、が設けられている。
【0040】
第1平板部材53は、第1低部531と、第1高部532と、第2高部533と、第3高部534と、第2低部535と、からなっている。第1高部532及び第3高部534は、リブ状に形成されている。吸引空間9は、第1高部532と、第2高部533と、第3高部534と、第3平板部材55と、によって、上記第1方向の上流側の空間部91と、空間部91とは反対側の空間部92と、に仕切られている。空間部91は、吸引ファン41に通じており、空間部92は、吸引ファン42に通じている。第2低部535は、第2高部533によって3方が囲まれることによって、通路状の空間部(端部用吸引空間)97を構成している。空間部97は、矢印W1方向側に位置しており、上記第1方向に真っ直ぐ延びており、上記第1方向の上流側にて空間部91に通じている。なお、第2高部533には、反転部2が上方から嵌合する低部5331が形成されている。低部5331は、第2低部535より少し高い。
【0041】
第2平板部材54は、矢印W1方向側に、配置されている。第2平板部材54は、リブ状の高部541を等間隔で複数有しており、これにより、通路状の空間部98を複数有している。空間部98は、上記第1方向に真っ直ぐ延びており、上記第1方向の下流側にて空間部91に通じている。
【0042】
第3平板部材55は、矢印W2方向側に、配置されている。第3平板部材55は、リブ状の高部551を等間隔で複数有しており、これにより、通路状の空間部99を複数有している。空間部99は、上記第1方向に対して直交する方向に真っ直ぐ延びており、矢印W1方向側にて空間部91、92に通じている。
【0043】
第1平板部材53は、上記第1方向に対して平面視で45度傾斜した状態で、第2平板部材54及び第3平板部材55に対して、接している。そして、第1平板部材53は、底面51に形成されている2つの平行な長孔511、512内にて、第1平板部材53に固定されているピン513、514をスライドさせることによって、矢印Z方向へ移動可能となっている。第1平板部材53の、矢印Z方向と平行な辺537には、多数の歯5371が形成されており、一方、底面51の孔515には、モータ(図示せず)で駆動される歯車(図示せず)が取り付けられており、その歯車は、歯5371と噛み合っている。これにより、第1平板部材53は、上記歯車を所定量だけ回転させることにより、矢印Z方向へ所定量だけ移動するようになっている。
【0044】
次に、上記構成の用紙反転搬送機構100の作動について、図8を参照しながら、説明する。なお、図8は、図4において吸引空間を透視して示す図である。
【0045】
用紙反転搬送機構100を作動させると、2個の吸引ファン41、42が作動するとともに、第1ローラ11が回転して、搬送ベルト13が基板14上を矢印X方向へ移動し、また、同時に、吸引ファン34、35、36が作動するとともに、第1ローラ31が回転して、下側の搬送ベルト33が矢印Y方向へ移動する。なお、作動前においては、第1平板部材53を矢印Z方向に移動調節して、空間部97を、搬送されて来る用紙200の矢印W1方向側の縁部211の下方に位置するように、配置する。
【0046】
(a)用紙反転搬送機構100の前段に配置されている搬送手段(図示せず)が作動して、用紙200が第1搬送部1へ送られて来ると、用紙200は、第1搬送部1の搬送ベルト13の上面131上に載って、上記第1方向(矢印X方向)へ搬送されて行く。
【0047】
このとき、吸引ファン41、42の作動によって、吸引空間9を介して貫通孔141からエアーが吸引されるので、第1搬送部1においては、用紙200は、搬送ベルト13の上面131で構成された搬送面に吸着された状態で、搬送されて行く。
【0048】
また、このとき、吸引空間9では、第2平板部材54の空間部98において矢印に示されるようなエアーの流れが生じ、空間部98の上方の貫通孔141からエアーが吸引されるので、用紙200の縁部211が下方に引かれる。したがって、第1搬送部1においては、用紙200は、縁部211がしっかりと吸着された状態で、搬送されて行く。
【0049】
(b)次に、第1搬送部1によって搬送されて来た用紙200は、まず、先端縁部212の縁部211側の角部213が反転部2の湾曲内周面21に到達する。
【0050】
このとき、吸引空間9では、第1平板部材53の空間部97において矢印に示されるようなエアーの流れが生じ、空間部97に通じる開口71からエアーが吸引されるので、角部213が湾曲内周面21に向けて確実に引き付けられる。したがって、反転部2においては、用紙200は、まず、角部213が湾曲内周面21にしっかりと引き付けられた状態で、湾曲内周面21に沿って送られて行く。
【0051】
また、このとき、吸引空間9では、第3平板部材55の空間部99において矢印に示されるようなエアーの流れが生じ、空間部99の上方の貫通孔141からエアーが吸引されるので、用紙200の矢印W2方向側の縁部214が下方に引かれる。したがって、第1搬送部1においては、用紙200は、縁部214がしっかりと吸着された状態で、搬送されて行く。
【0052】
(c)次に、用紙200は、角部213が湾曲内周面21に到達した後、先端縁部212が、漸次、湾曲内周面21に到達する。
【0053】
このとき、湾曲内周面21の断面方向における第1搬送部1側の開口71からは、吸引空間9を介してエアーが吸引されているので、湾曲内周面21に到達した先端縁部212は、湾曲内周面21に引き付けられる。したがって、反転部2においては、用紙200は、先端縁部212が湾曲内周面21にしっかりと引き付けられた状態で、湾曲内周面21に沿って送られて行く。
【0054】
(d)そして、用紙200は、先端部から後端部にかけて、漸次、湾曲内周面21に到達する。
【0055】
こうして、用紙200は、湾曲内周面21に沿って送られて行き、すなわち、湾曲されながら表裏反転されて、第2搬送部3へ送られる。
【0056】
このとき、湾曲内周面21に沿って送られる用紙200は、実質的には、リブ22の表面223(図5)に接した状態で送られて行く。それ故、用紙200の裏面202と湾曲内周面21との間の摩擦は、裏面202とリブ22の表面223との間に生じるだけである。したがって、用紙200は、湾曲内周面21に沿って円滑に送られる。
【0057】
(e)第2搬送部3においては、用紙200は、裏面202が搬送面に吸着された状態で、上記第2方向(矢印Y方向)へ搬送される。
【0058】
以上のように、上記構成の用紙反転搬送機構100によれば、次のような効果を発揮できる。
【0059】
(1)反転部2において、開口71から吸引されるエアーによって、用紙200を、湾曲内周面21に引き付けた状態で、湾曲内周面21に沿わせて反転させることができる。したがって、反転部2において、用紙200が予定されている送出方向からずれるのを防止できる。それ故、反転した用紙200を、上記第2方向に正確に沿った状態で、第2搬送部3へ送り出すことができる。
【0060】
(2)湾曲内周面21にリブ22を有しているので、湾曲内周面21において、用紙200を、リブ22の表面223に接した状態で送ることができる。したがって、湾曲内周面21において、用紙200を円滑に送ることができる。
【0061】
(3)開口71が湾曲内周面21の断面方向における第1搬送部1側に位置しているので、湾曲内周面21に漸次到達した用紙200の先端縁部212を、開口71から吸引されるエアーによって、湾曲内周面21に引き付けることができる。したがって、反転部2において、先端縁部212を湾曲内周面21にしっかりと引き付けた状態で、用紙200を湾曲内周面21に沿って送ることができる。この点からも、反転部2において、用紙200が予定されている送出方向からずれるのを防止できる。
【0062】
(4)湾曲内周面21に至った用紙200の角部213を、第1平板部材53の空間部97を介した開口71からのエアーの吸引によって、湾曲内周面21に向けて確実に引き付けることができる。したがって、反転部2において、まず角部213を湾曲内周面21にしっかりと引き付けた状態で、用紙200を湾曲内周面21に沿って送ることができる。この点からも、反転部2において、用紙200が予定されている送出方向からずれるのを防止できる。
【0063】
(5)第1搬送部1において、用紙200の縁部211を、第2平板部材54の空間部98を介した貫通孔141からのエアーの吸引によって、下方に引き付けることができる。したがって、第1搬送部1において、縁部211をしっかりと吸着した状態で、用紙200を搬送できる。それ故、第1搬送部1における用紙200の搬送を安定化できる。
【0064】
(6)第1搬送部1において、用紙200の縁部214を、第3平板部材55の空間部99を介した貫通孔141からのエアーの吸引によって、下方に引き付けることができる。したがって、第1搬送部1において、縁部214をしっかりと吸着した状態で、用紙200を搬送できる。それ故、第1搬送部1における用紙200の搬送を安定化できる。
【0065】
(7)第1平板部材53が矢印Z方向に位置調節可能であるので、用紙200のサイズに応じて、空間部97を、搬送されて来る用紙200の矢印W1方向側の縁部211の下方に位置するように、配置できる。したがって、用紙200のサイズが変更されても、角部213を、空間部97を介した開口71からのエアーの吸引によって、湾曲内周面21に向けて引き付けることができる。
【0066】
(8)2個の吸引ファン41、42によって、第1搬送部1における貫通孔141からのエアーの吸引、及び、反転部2における開口71からのエアーの吸引、が行われるので、構成を簡素化でき、また、消費電力を抑制できる。
【0067】
なお、本発明の用紙反転搬送機構100は、次のような変形構成を採用してもよい。
【0068】
(i)開口71を、湾曲内周面21の断面方向における第1搬送部1側であって矢印W1方向側のみに形成する。ところで、用紙200が反転部2にて反転される際に最もずれやすいのは、角部213である。したがって、この変形構成によっても、角部213を湾曲内周面21に向けて引き付けることができるので、反転部2において、用紙200が予定されている送出方向からずれるのを防止できる。
【0069】
(ii)開口71を、湾曲内周面21の任意の箇所に形成する。すなわち、開口71を、湾曲内周面21の断面方向における第1搬送部1側以外の箇所に形成してもよく、また、矢印W1方向側以外の箇所に形成してもよい。例えば、図5において一点鎖線で示すように、開口71を、湾曲内周面21の断面方向における第1搬送部1側と第2搬送部3側との中間の箇所に形成してもよく、また、矢印W2方向側に形成してもよい。この構成によっても、用紙200を、湾曲内周面21に引き付けた状態で、湾曲内周面21に沿わせて反転させることができる。
【0070】
(iii)開口71を、反転部2の長手方向に適当間隔置きに複数個形成し、任意の開口71を閉塞可能とする。閉塞手段としては、例えば、湾曲内周面21側からテープを貼り付けて塞ぐ方法を使用できる。この構成によれば、用紙200を湾曲内周面21に引き付けるのに不要な、開口71からのエアーの吸引を、無くすことができるので、吸引ファン41、42の消費電力を低減できる。
【0071】
(iv)リブ22の表面223(図5)を、湾曲内周面21の他の部分よりも低い摩擦係数を有する材料で、構成する。例えば、リブ22の表面部自体を当該材料で形成してもよく、又は、リブ22の表面を当該材料でコーティングしてもよい。当該材料としては、例えば、ガラスビーズや油成分を含んだ、POM樹脂又はテフロン(登録商標)を使用できる。この構成によれば、湾曲内周面21において、用紙200が、リブ22の表面223を円滑に滑るので、用紙200をより円滑に送ることができる。
【0072】
(v)図9に示されるように、湾曲内周面21に、複数個のころ28を設ける。ころ28は、用紙200の裏面202が接触すると、回転するよう設けられている。図9では、湾曲内周面21に、ころ28及びリブ22が設けられているが、ころ28のみを設けてもよい。ころ28の回転方向Rは、用紙200を反転させながら送る送出方向に対して略平行であり、リブ22が設けられている場合にはリブ22が延びている方向に対して略平行である。また、ころ28は、湾曲内周面21から僅かに突出しており、リブ22が設けられている場合にはリブ22と略同じ高さまで突出している。この構成によれば、湾曲内周面21において、用紙200を、ころ28に接した状態で送ることができる。したがって、湾曲内周面21において、用紙200をより円滑に送ることができる。
【0073】
(vi)図1に示されている用紙反転搬送機構100を、上下逆さまの状態で使用してもよい。この状態では、用紙200は、上に位置する第1搬送部1によって第1方向に搬送され、反転部2によって表裏反転され、下に位置する第2搬送部3によって第2方向に搬送される。この構成によっても、上記実施形態と同様の効果を発揮できる。
【0074】
(vii)上記第1方向と上記第2方向とが成す角度は、0度より大きく180度より小さければ、90度以外であってもよい。
【0075】
[用紙反転搬送装置]
(第1実施形態)
図10は、別の本発明の用紙反転搬送装置の概略を示す平面図である。この用紙反転搬送装置300は、上記構成の用紙反転搬送機構100の前段に、第1搬送部1に用紙を送り込む前段搬送手段6を備えている。そして、この前段搬送手段6が、用紙斜行補正手段を有している。用紙斜行補正手段は、具体的には、搬送方向(矢印T方向)に対して一方向に傾斜して配置された複数の搬送ベルト61と、その傾斜側に且つ搬送方向と平行に設けられたガイド板62と、で構成されている。この用紙斜行補正手段によれば、搬送ベルト61上に載せられた用紙200は、その側縁216がガイド板62に押し付けられながら、搬送される。したがって、斜行状態Aの用紙200を真っ直ぐな状態Bに補正できる。
【0076】
なお、上記構成の用紙反転搬送機構100としては、上述した変形構成を採用した装置を用いてもよい。また、本発明の用紙反転搬送装置は、用紙反転搬送機構100の第2搬送部3によって搬送されて来た用紙200を更に搬送するための後段搬送手段を備えてもよく、その後段搬送手段は、用紙斜行補正手段を有してもよい。
【0077】
(第2実施形態)
図11は、更に別の本発明の用紙反転搬送装置の概略を示す斜視図である。この用紙反転搬送装置301は、上記構成の用紙反転搬送機構100を2個組み合わせて構成されており、用紙200を2回反転させながら搬送するようになっている。すなわち、用紙反転搬送装置301では、用紙200が、一方の用紙反転搬送機構100において、第1搬送部1にて矢印X1方向に搬送され、反転部2にて表裏反転され、第2搬送部3にて矢印Y1方向に搬送され、次いで、他方の用紙反転搬送機構100において、第1搬送部1にて矢印X2方向に搬送され、反転部2にて表裏反転され、第2搬送部3にて矢印Y2方向に搬送される。したがって、用紙反転搬送装置301によれば、一方向へ搬送された用紙200が反対方向へ搬送されることとなる。
【0078】
なお、上記構成の用紙反転搬送機構100としては、上述した変形構成を採用した装置を用いてもよい。例えば、図12に示されるように、図1の用紙反転搬送機構100を上下逆さまにした状態のものを、2個組み合わせて構成してもよい。この用紙反転搬送装置302では、用紙200が、一方の用紙反転搬送機構100において、第1搬送部1にて矢印X3方向に搬送され、反転部2にて表裏反転され、第2搬送部3にて矢印Y3方向に搬送され、次いで、他方の用紙反転搬送機構100において、第1搬送部1にて矢印X4方向に搬送され、反転部2にて表裏反転され、第2搬送部3にて矢印Y4方向に搬送される。また、組み合わせる用紙反転搬送機構100の数は、3個以上でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の用紙反転搬送機構100は、反転部2において、用紙200が予定されている送出方向からずれるのを防止できるので、産業上の利用価値が大である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の用紙反転搬送機構の斜視全体図である。
【図2】第2搬送部を省略して示した図1の用紙反転搬送機構の斜視全体図である。
【図3】図2のIII矢視図である。
【図4】図3の略図であり、用紙反転搬送機構の作動を簡略的に示している。
【図5】図3のV矢視拡大部分図であり、反転部を前方から見た図である。
【図6】図3のVI矢視拡大部分図であり、反転部を後方から見た図である
【図7】基板の下方の吸引空間の内部を示す平面図である。
【図8】図4において吸引空間を透視して示す図である。
【図9】湾曲内周面の変形構成を示す、図5に相当する図である。
【図10】別の本発明の用紙反転搬送装置の概略を示す平面図である。
【図11】更に別の本発明の用紙反転搬送装置の概略を示す斜視図である。
【図12】図11の用紙反転搬送装置の変形構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0081】
1 第1搬送部 2 反転部 21 湾曲内周面 22 リブ 3 第2搬送部 41、42 吸引ファン(吸引手段) 6 前段搬送手段 71 開口(エアー吸引口) 9 吸引空間 97 空間部(端部用吸引空間) 100 用紙反転搬送機構 200 用紙 300、301 用紙反転搬送装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を第1方向へ搬送し、用紙の表裏を反転させ、反転した用紙を第2方向へ搬送する、用紙反転搬送機構において、
用紙の一面を搬送面に吸着して、用紙を第1方向へ搬送する、第1搬送部と、
第1搬送部により搬送されてきた用紙の上記一面を、湾曲内周面で受けて、用紙を、湾曲内周面に沿わせて湾曲させながら反転させる、反転部と、
反転された用紙の上記一面を搬送面に吸着して、用紙を第2方向へ搬送する、第2搬送部と、を備えており、
反転部が、断面略半割形状の長尺体であり、その長手方向において上記第1方向に対して平面視で傾斜して配置されており、
反転部が、湾曲内周面に形成したエアー吸引口を介して用紙を湾曲内周面に引き付ける、吸引機構を、備えていることを特徴とする用紙反転搬送機構。
【請求項2】
湾曲内周面が、用紙を反転させながら送る送出方向に沿って延び且つ湾曲内周面側に突出した、リブを、複数個有している、請求項1記載の用紙反転搬送機構。
【請求項3】
リブの表面が、湾曲内周面の他の部分よりも低い摩擦係数を有する材料で、構成されている、請求項2記載の用紙反転搬送機構。
【請求項4】
湾曲内周面に、用紙の上記一面に接して回転するよう、複数個のころが設けられている、請求項1記載の用紙反転搬送機構。
【請求項5】
エアー吸引口が、湾曲内周面の断面方向における第1搬送部側に形成されている、請求項1記載の用紙反転搬送機構。
【請求項6】
エアー吸引口が、湾曲内周面の、断面方向における第1搬送部側に且つ長手方向において第1搬送部に近い側に、形成されている、請求項1記載の用紙反転搬送機構。
【請求項7】
吸引機構が、エアー吸引口と、エアーを吸引する吸引手段と、エアー吸引口と吸引手段とを連通させる吸引空間と、で構成されている、請求項1記載の用紙反転搬送機構。
【請求項8】
吸引空間が、湾曲内周面の長手方向において第1搬送部に近い側に形成されたエアー吸引口のみに至る、端部用吸引空間を、有している、請求項7記載の用紙反転搬送機構。
【請求項9】
端部用吸引空間が、反転部の長手方向に沿って位置調節可能に設けられている、請求項8記載の用紙反転搬送機構。
【請求項10】
エアー吸引口が、湾曲内周面の長手方向に適当間隔置きに複数個形成されており、
任意のエアー吸引口が、閉塞可能となっている、請求項1記載の用紙反転搬送機構。
【請求項11】
吸引機構の吸引手段が、第1搬送部において用紙を搬送面に吸着するためにエアーを吸引する吸引手段と、兼用されている、請求項7記載の用紙反転搬送機構。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1つの用紙反転搬送機構と、
該用紙反転搬送機構の第1搬送部に用紙を送り込む前段搬送手段と、を備えており、
前段搬送手段が、用紙斜行補正手段を有していることを特徴とする用紙反転搬送装置。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1つの用紙反転搬送機構を複数備えており、
それらの用紙反転搬送機構を、用紙を繰り返し反転させながら搬送するよう組み合わせて備えていることを特徴とする用紙反転搬送装置。
【請求項1】
用紙を第1方向へ搬送し、用紙の表裏を反転させ、反転した用紙を第2方向へ搬送する、用紙反転搬送機構において、
用紙の一面を搬送面に吸着して、用紙を第1方向へ搬送する、第1搬送部と、
第1搬送部により搬送されてきた用紙の上記一面を、湾曲内周面で受けて、用紙を、湾曲内周面に沿わせて湾曲させながら反転させる、反転部と、
反転された用紙の上記一面を搬送面に吸着して、用紙を第2方向へ搬送する、第2搬送部と、を備えており、
反転部が、断面略半割形状の長尺体であり、その長手方向において上記第1方向に対して平面視で傾斜して配置されており、
反転部が、湾曲内周面に形成したエアー吸引口を介して用紙を湾曲内周面に引き付ける、吸引機構を、備えていることを特徴とする用紙反転搬送機構。
【請求項2】
湾曲内周面が、用紙を反転させながら送る送出方向に沿って延び且つ湾曲内周面側に突出した、リブを、複数個有している、請求項1記載の用紙反転搬送機構。
【請求項3】
リブの表面が、湾曲内周面の他の部分よりも低い摩擦係数を有する材料で、構成されている、請求項2記載の用紙反転搬送機構。
【請求項4】
湾曲内周面に、用紙の上記一面に接して回転するよう、複数個のころが設けられている、請求項1記載の用紙反転搬送機構。
【請求項5】
エアー吸引口が、湾曲内周面の断面方向における第1搬送部側に形成されている、請求項1記載の用紙反転搬送機構。
【請求項6】
エアー吸引口が、湾曲内周面の、断面方向における第1搬送部側に且つ長手方向において第1搬送部に近い側に、形成されている、請求項1記載の用紙反転搬送機構。
【請求項7】
吸引機構が、エアー吸引口と、エアーを吸引する吸引手段と、エアー吸引口と吸引手段とを連通させる吸引空間と、で構成されている、請求項1記載の用紙反転搬送機構。
【請求項8】
吸引空間が、湾曲内周面の長手方向において第1搬送部に近い側に形成されたエアー吸引口のみに至る、端部用吸引空間を、有している、請求項7記載の用紙反転搬送機構。
【請求項9】
端部用吸引空間が、反転部の長手方向に沿って位置調節可能に設けられている、請求項8記載の用紙反転搬送機構。
【請求項10】
エアー吸引口が、湾曲内周面の長手方向に適当間隔置きに複数個形成されており、
任意のエアー吸引口が、閉塞可能となっている、請求項1記載の用紙反転搬送機構。
【請求項11】
吸引機構の吸引手段が、第1搬送部において用紙を搬送面に吸着するためにエアーを吸引する吸引手段と、兼用されている、請求項7記載の用紙反転搬送機構。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1つの用紙反転搬送機構と、
該用紙反転搬送機構の第1搬送部に用紙を送り込む前段搬送手段と、を備えており、
前段搬送手段が、用紙斜行補正手段を有していることを特徴とする用紙反転搬送装置。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1つの用紙反転搬送機構を複数備えており、
それらの用紙反転搬送機構を、用紙を繰り返し反転させながら搬送するよう組み合わせて備えていることを特徴とする用紙反転搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−12943(P2009−12943A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−177045(P2007−177045)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】
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