説明

用紙封入装置

【課題】複雑高価な手段や煩雑な工数を必要とせず、用紙を封入する封筒の表裏・前後方向が封入に適しているか否かを検知できる用紙封入装置を提供する。
【解決手段】この用紙封入装置1は、封筒Eを所定の姿勢で所定の位置に供給する封筒供給手段16と、所定位置にある封筒の封入口18から空気を吹き込んで開口させるエアーノズル20と、封筒の封入口が開口されたことを検知する検知手段21とを有している。封筒の前後が逆である等、封筒が正規の配置でない場合には、エアによって封入口が開かないので、封筒の不正規配置は検知手段の出力で検知可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば画像形成装置等に隣接して設けられ、画像形成装置等から排出された印刷済みの用紙を所定位置に供給した封筒に封入する用紙封入装置に係り、特に複雑高価な設備を導入することなく、当該封筒の供給位置における表裏・前後方向の配置が用紙の封入に適した状態にあるか否かを適切に判断することができる用紙封入装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば企業その他の団体では、ユーザーや団体構成員等に対する通知・連絡文書、宣伝文書、請求書その他種々の目的に応じて必要な情報を記載した印刷物等を封書にして郵便等でユーザー等に配達する場合がある。そのためには当該印刷物等を封筒に封入する作業を行なう必要があるが、対象となるユーザーの員数や発送すべき文書の種類数によっては作業量が膨大となるため、文書を折り畳んで封筒に挿入する用紙封入作業は自動機械を用いて効率的に行なうのが好ましい。
【0003】
下記特許文献1には、封筒の表裏・前後方向の誤セットを検知しミスプリントを防止する封筒類給紙制御装置が開示されている。表裏・前後方向を検知する手段としては、封筒のフラップのある側とない側との重量差を利用した機械的な検知手段や、封筒の各部の厚さを透過センサーやレーザ方式の距離検知センサ等を利用した検知装置を使用する手段などが開示されている。
【0004】
下記特許文献2には、搬送路障害の低減及び利用者の操作性の向上と誤操作の防止を目的として、シャッタに続いてイメージセンサを設置し封筒の文字および図形を読み取り、標準の封筒データと対比選別し、また、封筒の表裏、前後方向を識別し、位置移動機構により印字ヘッドの位置修正を行ない、封筒の正常位置に印字する制御を行なう現金自動取引装置の封筒預入機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−92841号公報
【特許文献2】特開平6−60244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に記載の発明によれば、封筒のフラップのある側とない側との重量差を利用して封筒の表裏を検出する機械的な検知手段では、封筒の個体差があり精度良く検知することができない。また、このような機械的な検知手段を含めた特許文献1に記載の発明における検知手段は、いずれも複雑・高価であり、装置全体の価格がかなり高くなってしまう。また、特許文献1に記載の発明における検知手段のように、フラップの存在を直接検知する検知手法では、封筒の表裏を把握することはできるが、封筒の前後方向について正確に判断することができない。
【0007】
また、上述した特許文献2に記載の発明によれば、封筒の表面に印刷または記載された文字・図形が必要となるため、封筒への印刷印字が必要となり、工数がかかる。更に印刷時に印刷面を間違ってしまう恐れもある。
【0008】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、複雑高価な手段や煩雑な工数を必要とすることなく、用紙を封入する封筒の表裏・前後方向が封入に適しているか否かを正しく検知・判断することができる用紙封入装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載された用紙封入装置は、
本体の封入口にフラップが設けられている封筒の内部に用紙を封入する用紙封入装置において、
封筒を所定の姿勢で所定の位置に供給する封筒供給手段と、
前記封筒供給手段によって供給された封筒の封入口から空気を吹き込んで封入口を開口させるエアーノズルと、
前記封筒供給手段によって供給された封筒の上方に配置されて封筒の封入口が開口されたことを検知する検知手段と、
を有することを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載された用紙封入装置は、請求項1記載の用紙封入装置において、
前記エアーノズルは、封筒供給手段によって所定の位置に配置された封筒のフラップに相当する位置にエアを吹き付けるように構成されたことを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載された用紙封入装置は、請求項1記載の用紙封入装置において、
封筒供給手段によって所定の位置に配置された封筒のフラップを保持する保持手段を 有することを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載された用紙封入装置は、請求項2又は3に記載の用紙封入装置において、
前記エアーノズルが作動した後に封筒の封入口が開口されたことを前記検知手段が検知した場合に、封入口から封筒の内部に用紙を挿入する封入手段と、
前記エアーノズルが作動した後に封筒の封入口が開口されたことを前記検知手段が検知せず、前記封入手段が作動しなかった場合に、封筒を搬送ルートから排除する排除手段と、
を有することを特徴としている。
【0013】
請求項5に記載された用紙封入装置は、請求項4記載の用紙封入装置において、
前記封筒供給手段によって供給された封筒の次段で封筒の長さよりも短い間隔を置いて前段と後段の2位置に配置され、用紙が封入された封筒を所定の排出位置に搬送するとともに、用紙が封入されていない封筒を所定の排出位置に導く2対の封筒圧延ローラを有し、
前記排除手段は、前記2対の封筒圧延ローラの間において封筒搬送経路の中央部に支点を有する振り分け部と、用紙が封入されなかった封筒を前記封筒圧延ローラによって封筒の長さ方向の中央が前記振り分け部の前記支点に来るまで搬送した後、前記2対の封筒圧延ローラの各対を離間させて封筒の挟持を解除し、前記支点を中心として封筒を自重で回転させることにより下方の排除位置に落下させるようにした機構を有することを特徴としている。
【0014】
請求項6に記載された用紙封入装置は、請求項5記載の用紙封入装置において、
前記排除手段は、前記支点を中心として封筒を自重で回転させて排除位置に落下させる際に、封筒を搬送する正回転とは反対の逆回転で後段の前記封筒圧延ローラを回動することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載された用紙封入装置によれば、封筒供給手段が封筒を所定の姿勢で所定の位置に供給すると、エアーノズルが封筒の封入口から空気を吹き込んで膨らませることによって封入口を開口させる。封筒の上方に配置されている検知手段が封筒の封入口が開口されたことを検知すると、この検知結果を利用して、封筒の内部に用紙を封入する動作を行なうことができ、これによって用紙を封筒内に適切に封入することができる。また、エアーノズルが動作した後に、封筒の上方に配置されている検知手段が封筒の封入口が開口したことを検知しなかった場合は、エアーノズルによってエアを吹き込む位置に封筒の封入口がフラップを下にした状態で配置されておらず、エアーノズルからのエアが封筒内に入らなかったことを意味するので、封筒の表裏・前後方向が封入に適していない状態であることが検知・判断される。よって、係る検知手段の検知結果を利用すれば、用紙を封筒に封入する動作を行なうことなく、当該封筒を工程から排除する等の動作を行なうことができる。
【0016】
請求項2に記載された用紙封入装置によれば、請求項1記載の用紙封入装置による効果において、エアーノズルからのエアは、封筒供給手段によって所定の位置に配置された封筒のフラップに相当する位置にエアを吹き付けられるので、封筒の表裏・前後方向が封入に適切であれば、フラップの内側に当たったエアがフラップを押さえ付けて封筒の位置を固定し、フラップに当たったエアは封入口から封筒内に入って封筒を膨らませる。封筒の表裏・前後方向が封入に不適切であれば、エアーノズルからのエアは封筒内に入らない。
【0017】
請求項3に記載された用紙封入装置によれば、請求項1記載の用紙封入装置による効果において、エアーノズルがエアを噴射する前に、封筒供給手段によって所定の位置に配置された封筒のフラップを保持手段が保持するので、エアーノズルから噴射されるエアを直接フラップの内側に吹き付けなくとも、封入口に入るように噴射すれば封筒を膨らませることができ、封筒がエアの勢いで移動することは避けられる。
【0018】
請求項4に記載された用紙封入装置によれば、請求項2又は3に記載の用紙封入装置による効果において、エアーノズルが作動した後に封筒の封入口が開口されたことを検知手段が検知した場合には、封入手段が作動して封入口から封筒の内部に用紙を挿入する。また、エアーノズルが作動した後に封筒の封入口が開口されたことを検知手段が検知せず、封入手段が作動しなかった場合には、排除手段が作動して封筒を搬送ルートから排除する。
【0019】
請求項5に記載された用紙封入装置によれば、請求項4記載の用紙封入装置による効果において、封筒の表裏・前後方向が適切であり、封筒に用紙が装入された場合には、封筒圧延ローラが当該封筒を所定の排出位置に搬送する。封筒の表裏・前後方向が不適切であり、封筒に用紙が装入されなかった場合には、封筒圧延ローラは、用紙が封入されなかった封筒を封筒の長さ方向の中央が振り分け部の支点に来るまで搬送した後、2対の封筒圧延ローラの各対を離間させて封筒の挟持を解除する。封筒は、支点を中心として自重で回転し、下方の排除位置に落下する。この時、封筒は封入口及びフラップを上にし、封止された下端部を下にして落下するので、落下時にフラップが損傷する等の不都合がなく、未封入として排除された当該封筒を再度封筒供給手段に戻して用紙の封入に供することができる。
【0020】
請求項6に記載された用紙封入装置によれば、請求項5記載の用紙封入装置による効果において、封筒を搬送する正回転とは反対の逆回転で後段の封筒圧延ローラを回動させることにより、支点を中心として自重で回転する封筒の動作を助長して、より確実に重い方の下端部を下とし、軽い方の封入口及びフラップを上にして排除位置に落下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態の用紙封入装置の全体構成図である。
【図2】第1実施形態の封入装置における用紙挿入手段付近を図1において右側から見た場合の構成図である。
【図3】分図(a)は第1実施形態の封入装置において、用紙を巻き込んだ用紙挿入手段を軸線と平行な視線で見た場合の断面図、分図(b)は同用紙挿入手段を軸線と直交する視線で見た場合の透視図である。
【図4】第1実施形態の封入装置における封筒供給手段及び保持手段の拡大図である。
【図5】第1実施形態の封筒圧延ローラが封筒の排除手段として作動した場合の連続動作図である。
【図6】第1実施形態において排除される封筒の中央位置を示す図である。
【図7】第1実施形態の作用を示す各部の作動タイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施形態に係る用紙封入装置1は、画像形成装置等の排紙台等に隣接して設けられ、所定の位置に供給された封筒が用紙の封入に適した所定の姿勢(表裏・前後方向)である場合には、画像形成装置等から排出された印刷済みの用紙を封入手段で当該封筒に封入して所定の位置に搬出することができ、また封筒の姿勢が適当でない場合には、当該封筒に用紙を封入することなく、当該封筒をラインから排除することができる用紙封入装置に関するものである。
【0023】
図1に示す画像形成装置100は、所定サイズの用紙に文字・図形等の画像を形成する図示しない画像形成部と、この画像形成部から排出された画像形成済みの用紙が積載される排紙台5を備えている。図1において、画像形成済みの用紙は、図中紙面垂直方向に沿って紙面手前側にある画像形成装置100の画像形成部から、図中紙面奥側にある排紙台5に向けて排出される。
【0024】
図1に示すように、排紙方向について排紙台5の下流側、すなわち同図において排紙台5のさらに紙面の奥側には、用紙Pを紙面に平行かつ水平な軸線を中心とした筒型に丸め、さらに該用紙Pを軸線に平行に図中横方向(矢印Aで示す)に移動させて封筒Eの内部に封入する封入手段6が隣接して設けられている。
【0025】
図2及び図3に示すように、この封入手段6は、用紙Pを丸めた状態に保持するための円筒形のカバー7と、カバー7の内部にカバー7と同軸に配置されてカバー7内に用紙Pを巻き取るための巻き取りローラ8とを備えている。
【0026】
図2及び図3に示すように、封入手段6の外側のカバー7は、その周面部に、供給された用紙Pを受け入れるスリット状の開口部9が軸線に平行に形成されている。また、カバー7の両端面のうち、封筒の封入口18に対面する一端面には、丸められてカバー7内に受け入れられた用紙Pの一部が突出する排出口10が開口している。なお、このカバー7の中心軸は、用紙Pを巻き取るために回動する巻き取りローラ8の軸線と一致している。
【0027】
図2に示すように、カバー7の開口部9は、画像形成装置100の傾斜した排紙台5の先端部に相対する位置にある。また、カバー7の開口部9の上方には、用紙Pの供給方向に対して鋭角となる配置でエンドフェンス11が図示しない装置のフレームに固定して設置されており、排紙台5を経て送り込まれる用紙Pをカバー7の開口部9に導くようになっている。
【0028】
図2及び図3に示すように、封入手段6の内側の巻き取りローラ8は、その周面部に、カバー7の開口部9から送り込まれる用紙Pの先端部を保持する手段としてクランプ板12を備えている。またクランプ板12は、巻き取りローラ8に形成されたスリット状の溝13に取り付けられている。この溝13は、周面では軸線に平行であり、深さ方向には巻き取りローラ8の半径方向と交差する向きで形成されている。そして、クランプ板12は、図示しないソレノイド等の駆動手段により、このスリット状の溝13について出没自在となっており、さらに必要に応じて用紙Pの先端部を巻き取りローラ8の周面に保持し、開放することができる。
【0029】
図2に示すように、巻き取りローラ8の軸線には、回動手段としての回動モータM1が取り付けられており、カバー7及び巻き取りローラ8が用紙Pを受け入れるべき位置に設定されている時に、巻き取りローラ8を所定の巻き取り方向に回動させることができるように構成されている。従って、カバー7及び巻き取りローラ8が用紙Pを所定の用紙受け入れ位置に設定し、供給された用紙Pの先端部をクランプ板12で固定し、回動モータM1によって軸線を中心に巻き取りローラ8を回動させれば、用紙Pをカバー7内に引き込んで巻き取りローラ8の外周面に巻き付けていくことができる。
【0030】
図1に示すように、カバー7には、カバー7及び巻き取りローラ8を軸線に沿って往復移動させるための移動手段が設けられている。移動手段は、挿入モータM2と、挿入モータM2の回動軸に取り付けられて図中時計回り方向に回動するクランク板14と、クランク板14とカバー7の他端部とを連結する連動部材15とを備えている。そして、巻き取りローラ8が内挿されたカバー7は図示しない案内手段によって軸線方向に往復動作できるように案内されている。従って、挿入モータM2を駆動してクランク板14を回動させれば、クランク板14の回動が連動部材15によってカバー7に伝達され、カバー7及び巻き取りローラ8は図中左右方向に往復して直動することができる。
【0031】
また、図1に示すように、クランク板14には、挿入モータM2によって駆動されるカバー7の位置を検知する手段として、回転方向について180度異なる2位置に挿入モータH点スイッチ(図中Hで示す。)と、挿入モータS点スイッチ(図中Sで示す。)が設けられている。挿入モータH点スイッチは、ガイドカバー7が封筒Eから最も離れたホームポジションにあるときにONとなり、挿入モータS点スイッチは、ガイドカバー7が最も深く封筒に挿入されたセット位置にあるときにONとなる。
【0032】
封入手段6におけるカバー7と、巻き取りローラ8と、用紙Pの寸法の関係は、図3に示すように定められている。すなわち、用紙Pが供給される方向と直交する方向に関する用紙Pの寸法を用紙Pの幅(用紙幅)Lとすると、巻き取りローラ8の軸線方向の寸法であるローラ幅LR は、0.6L以上とされており、カバー7の軸線方向の寸法であるカバー7幅Lc は1.2LR =0.72Lとされており、各寸法の関係は、L>Lc >LR となっている。従って、図3に示すように、巻き取りローラ8はカバー7の内部に完全に収納されてカバー7の外に突出することはなく、またカバー7と巻き取りローラ8の間に用紙Pを周状に保持した場合には、カバー7の排出口10から丸まった用紙Pの一部が突出した状態となる。
【0033】
図1に示すように、搬送方向に関する封入手段6の下流には、封筒供給手段16が隣接して設けられている。封筒供給手段16は、積み重ねられた多数枚の封筒Eをエレベータのような昇降手段で順次上昇させて供給するものであり、最上位の封筒Eが使用される都度、昇降手段が封筒Eの束を必要量だけ上昇させて、最上位の封筒Eを常に封入位置に設定するものである。最上位の封筒Eが封入位置に来たことは封筒検知手段17で検出する。なお、封筒供給手段16に積み重ねられた封筒Eの向きは、その封入口18が上流側に向けられて封入手段6のカバー7の排出口10に相対しており、またフラップ19が下側となって封入口18が上方から見えるようになっている。
すなわち、封筒Eは上記のような所定の姿勢(表裏・前後方向)を正規の状態として、封筒供給手段16に積み重ねられてセットされることが前提である。
【0034】
図1に示すように、封筒供給手段16に積載された封筒Eのうち、最上位の封筒Eの上方には、封筒Eの封入口18を拡げる拡口手段としてのエアーノズル20が設けられている。エアーノズル20は、最上位の封筒Eの封入口18を広げるために封筒E内に空気を吹き込む手段である。エアーノズル20により封筒Eの封入口18を広げ、丸めた用紙Pを内部に保持した封入手段6を軸線方向(矢印Aで示す)に移動させれば、封入手段6のカバー7の排出口10から突出した用紙Pと、封入手段6のカバー7の排出口10側の一部が、封入口18から封筒Eの内部に挿入される。
【0035】
図1に示す本実施形態によれば、エアーノズル20は、所定位置に配置された封筒Eの封入口18よりも上流側にあるフラップ19の上面に向けてエアを吹き付けるように構成されている。従って、封筒供給手段16が、封筒Eを上記のよう正規の姿勢に配置し、フラップ19が下側かつ前後方向の上流側(封入手段6側)にあるような姿勢となっていれば、エアーノズル20からのエアはフラップ19の内面(配置状態で上側)に吹き付けられて封筒Eを固定し、さらに封入口18から封筒E内に入る。従って、封筒Eを特に固定していなくとも、封筒Eがエアで移動することはなく、封筒Eの内部にエアが吹き込まれて封筒Eが膨らみ、封入手段6によって用紙Pを挿入できる状態になる。
【0036】
しかしながら、変形例として図4に示すように、図示の矢印方向に沿って上下動かつ前後動可能な封筒Eの保持手段30を封筒供給手段16の上流側の近傍に設けて、エアーノズル20を作動させる際に封筒供給手段16の所定位置に封筒Eを押さえつけて位置固定してもよい。このようにすれば、エアーノズル20は、封筒Eの封入口18よりも上流側にあるフラップ19の上面に向けてエアを吹き付ける必要はなく、これよりも上流側から吹き付ける構成とすることも可能となり、装置各部の配置上の自由度が増大する。また、封筒Eが固定されていることから、エアーノズル20が相当に強くエアを噴射しても封筒Eが移動してしまう恐れが無くなるので、エアーノズル20のエア噴射力乃至噴射時間を増大させて封筒Eのエアによる膨張がより一層確実に発生するようにしてもよい。
【0037】
図1に示すように、封筒供給手段16の上方の上流側には封筒正位置検知手段21が設けられている。この封筒正位置検知手段21は、封筒供給手段16において用紙封入位置にある最上位の封筒Eの封入口18に近い部分を上方から検知するようになっている。エアーノズル20が作動して封筒Eの封入口18から封筒E内に空気を吹き込めば、図1中に示すように封筒Eが空気で膨らんで、その封入口18側が持ち上がり、封筒正位置検知手段21に接近する。封筒正位置検知手段21は、その距離の変化を検出して、封筒Eの封入口18が開いて封入手段6の挿入に適した状態になったことを検知することができる。
【0038】
図1に示すように、封筒供給手段16の上方の下流側にはピックアップローラ22が設けられている。このピックアップローラ22は、図示しない駆動手段により昇降自在であり、また図示しない駆動手段により回転可能である。このピックアップローラ22は、封筒供給手段16の最上位にある封筒Eに用紙Pが挿入された後、該封筒Eの下流側の上面に接して回転し、当該封筒Eを下流側に送り出すことができる。
【0039】
図1に示すように、封筒供給手段16の下流側には、周状に丸められた用紙Pが封入されている封筒Eを挟持して下流に搬送する封筒圧延ローラ23が設けられている。この封筒圧延ローラ23は、封筒E内にある丸められた状態にある用紙Pを封筒Eごと挟持して押し潰しながら搬送することにより、用紙Pを封筒の内側一杯の大きさに折り畳んで排出する。この封筒圧延ローラ23は、上下一対のローラの組が、搬送方向に沿って2組設けられたものであり、上流側を第1封筒圧延ローラ23a、下流側を第2封筒圧延ローラ23bと称する。各封筒圧延ローラ23の軸方向の長さは封筒Eの幅方向よりも大きい。また、第1封筒圧延ローラ23aと第2封筒圧延ローラ23bの搬送方向の間隔は、封筒Eの長さよりも短い。
【0040】
図1に示すように、封筒圧延ローラ23の下流には、用紙Pが封入されて圧延された封筒E(封入済み封筒E)が排出される封入済みトレイ24が設けられている。
【0041】
本実施形態においては、封筒供給手段16において、封筒Eがフラップ19を下にし、封入口18を封入手段6側に向けている正規の姿勢であれば、エアーノズル20が封入口18を拡大し、封入手段6が用紙の封入を行うことができ、その場合には前記封筒圧延ローラ23が当該封筒Eを搬送して封入済みトレイ24に送り出すが、エアーノズル20が作動した後に封筒Eの封入口18が開口したことを封筒正位置検知手段21が検知せず、封入手段6が作動しなかった場合には、当該封筒Eの姿勢が正規ではなかったことになるので、排除手段がこの空の封筒Eを搬送ルートから振り分けて所定の位置に排除するように構成されている。
【0042】
この排除手段は、後に説明するように通常の送り動作とは異なる態様で動作する前記2対の封筒圧延ローラ23a,23bと、前記2対の封筒圧延ローラ23a,23bの間において、封筒搬送経路の中央部に支点41を有する振り分け部40から構成される。さらに、前記2対の封筒圧延ローラ23a,23bの間には、封筒Eの送り量を検知する封筒送量検知手段31が配置され、また前記2対の封筒圧延ローラ23a,23bの下方には、排除されて封筒圧延ローラ23から落下してきた封筒Eが収納される箱型の収納部50が配置されている。この収納部50の底部の隅には、落下してきた封筒Eが受ける落下衝撃を緩和するための曲面部50aが設けられている。また、収納部50の上端開口の近傍には、第1封筒圧延ローラ23a側の封筒排出検知手段33aと、第2封筒圧延ローラ23bの排出検知手段33bが設けられている。
【0043】
次に、以上の構成における作用のうち、封入手段6による用紙Pの巻き取り動作と、巻き取った用紙Pを封筒へ挿入する挿入動作について図1乃至図3を参照して説明する。
【0044】
図2に示すように、画像形成済みの用紙Pが画像形成装置100からサイドフェンス101に案内されて排紙台5上に排出される。1枚の封筒Eに挿入すべき枚数が排出されたところで、排紙台5の用紙束搬送爪25が排紙方向の上流から下流に向けて移動し、排紙台5上の用紙Pの後端を押して封入手段6に用紙Pを送る。用紙Pは、サイドフェンス101に案内されて、用紙受け入れ位置にある封入手段6のカバー7の開口部9からカバー7内に送り込まれ、巻き取りローラ8のクランプ板12の下方に突き当てられる。用紙束搬送爪25に送られた用紙Pがクランプ板12の上方に飛び出したとしても、クランプ板12の上方にはエンドフェンス11があるので、用紙Pはここに突き当たってクランプ板12の下方に案内される。
【0045】
クランプ板12が作動して用紙Pの先端部を巻き取りローラ8の周面との間に保持し、回動モータM1が駆動して巻き取りローラ8を回動させて用紙Pをカバー7内に引き込む。図3(a)に示すように、巻き取りローラ8が1周したところでクランプ板12による用紙Pの保持を解除する。用紙Pの種類や厚さ、枚数等にもよるが、用紙Pは自らの復元力によって周状に広がり、円筒形に丸まった状態でカバー7の内側に接して保持される。図1及び図3(b)に示すように、円筒形に丸まった用紙Pの一端部は、カバー7の排出口10から外に突出した状態にある。
【0046】
図1に示すように、用紙受け入れ位置にある封入手段6において、用紙Pが上述したように円筒状に保持されて用紙Pの封入準備が完了すると、エアーノズル20が作動して封筒Eの封入口18にエアを吹き込み、封筒Eを膨らませて封入口18を拡大する。
【0047】
封入手段6の挿入モータM2が作動し、用紙Pを円筒形に保持しているカバー7と巻き取りローラ8を封筒Eに向けて移動させ、カバー7及び巻き取りローラ8ごと用紙Pを封筒Eに挿入する。封入手段6が用紙Pを封筒Eの最も奥に挿入した時点でピックアップローラ22及び封筒圧延ローラ23が作動を始めて封筒Eの搬送を開始する。
【0048】
封筒圧延ローラ23が封筒Eを挟み込んで搬送し、封入手段6の挿入モータM2がカバー7と巻き取りローラ8を封筒Eから抜き取る方向に移動させる。これによって、用紙Pは封筒E内でカバー7と巻き取りローラ8から抜き取られ、封筒Eと共に先方に送られて封筒E内で押し潰され、封筒E一杯の大きさに拡げられた状態で折り畳まれていく。
【0049】
このように、封入手段6によって用紙Pを筒状に巻き取って封筒E内に挿入し、この封筒Eを封筒圧延ローラ23で挟み込んで搬送すれば、用紙Pを封筒E内で押しつぶして折り畳む作業を、コンパクトな装置構成を用いたシンプルな工程で確実かつ効率的に実行することができる。
【0050】
次に、前述した構成における作用のうち、用紙Pが封入されなかった封筒Eを排除する排除手段の振り分け作用について図1、図5及び図6を参照して説明する。
【0051】
前述したように、封筒Eの位置が正規でない場合には用紙Pは挿入されない。そして用紙Pが封入されなかった封筒Eは、図1に示すピックアップローラ22で送り出され、図1に示す封筒送量検知手段31で搬送量を検知しながら第1封筒圧延ローラ23aで搬送される。図6に示す封筒Eの長さ方向の中央(中心線Cで示す)が、図5(a)に示すように振り分け部40の支点41に達したところで封筒圧延ローラ23の駆動が停止する。
【0052】
図5(b)に示すように、第1封筒圧延ローラ23aと第2封筒圧延ローラ23bは、それぞれ上側のローラと下側のローラが、それぞれ上下両方向に移動して離間する。これによって、封筒Eは長さ方向の中央部が振り分け部40の支点41のみに支えられた状態となる。
【0053】
図6に示すように、未使用の封筒Eは、上端部(本例では搬送方向の上流側)は封入口18が開いてフラップ19が閉じられておらず、下端部(本例では搬送方向の下流側)はボトム26が糊付けされて閉じられている。このため、長さ方向の寸法の中心線Cを境として両側の重量を比較すると、フラップ19がある上端部の側が軽く、ボトム26が閉止された下端部の側が重い。
【0054】
従って、図5(c)に示すように、第1封筒圧延ローラ23aと第2封筒圧延ローラ23bの各上下ローラが離れると、振り分け部40の支点41のみに支えられた封筒Eは、バランスを崩して相対的に重い下端部が下がり、フラップ19のある相対的に軽い上端部が上ることとなる。
【0055】
さらに、図5(c)に示すように、本実施形態では第1封筒圧延ローラ23aと第2封筒圧延ローラ23bの各上下ローラが離れると同時に第1封筒圧延ローラ23aが正回転(通常の搬送時の回転)し、第2封筒圧延ローラ23bが逆回転(正回転とは逆の回転)し始める。これによって、フラップ19の側が持ち上がるとともに下端部が下がる封筒Eの傾斜動作は、第1封筒圧延ローラ23aと第2封筒圧延ローラ23bの回転によって助長され、封筒Eは確実にフラップ19を上にした姿勢となって落下することとなる。封筒Eの収納部50への落下・収納は、封筒排出検知手段33a,33bによって検知される。
【0056】
このように、封筒圧延ローラ23から落下した封筒Eは、確実にフラップ19を上にした姿勢となって収納部50の内部に落下するので、フラップ19が収納部50の底に衝突して折れたり傷ついたりすることはなく、この封筒Eは向きを正規に揃えて封筒供給手段16に再度セットして使用することができる。
【0057】
なお、本実施形態の装置は、以上説明した各構成部分を統括的に制御・駆動するための制御手段を備えており、その機能は、本装置の各センサ等からの信号を受けて、記憶手段に予め格納されたプログラムに基づき、封入手段6及び排除手段を上述したように作動させる他、本装置の各部を以下に説明するように制御する点にある。
【0058】
次に、以上の構成における作用に関し、封筒Eに用紙Pが挿入されずに当該封筒Eが振り分けられて排除される場合の作用を中心として、主として図7のタイミング図を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照した記号t1〜t5は、図中におけるタイミングを時刻順に示しており、カッコ付き符号は各動作等に係る項目番号を示している。
【0059】
タイミングt1:封筒供給手段16のエレベータが作動して封筒Eを所定の封入位置に設定する。封筒Eが正規の封入位置にあることを封筒検知手段17が検知して検知信号を出力すると(1)、エアーノズル20が作動して封筒Eにエアを吹き込んで膨らませる(2)。
【0060】
タイミングt2:エアーノズル20が予め定められた一定時間T1だけ作動し(2)、その間に、封筒正位置検知手段21が図示の破線のような検知信号を出力しない場合(検知OFFの場合)には、ピックアップローラ22が空の封筒Eを送り出すとともに(4)、封筒圧延ローラ23も搬送動作を開始して封筒Eの搬送を始める(6)。
【0061】
なお、図7には示さないが、エアーノズル20が作動している一定時間T1の間に封筒正位置検知手段21が図中破線で仮に示したような検知信号を出力した場合(検知ONの場合)には、この状況は、封筒Eが正規の姿勢で配置されて封入口18がエアーノズル20で開放されたことを意味するので、前述したように封入手段6が作動して封筒Eの内部に内に丸めた用紙Pを挿入する。そして、ピックアップローラ22がこれを送り出し、さらに封筒圧延ローラ23が封筒Eを圧延しながら搬送することにより用紙Pを潰して封筒E内で折り畳み、封入済みトレイ24に搬出する。
【0062】
タイミングt3:封筒Eの長さLの半分であるL/2だけ封筒圧延ローラ23が封筒Eを搬送する時間に相当する時間T2が経過すると、封筒送量検知手段31が、封筒圧延ローラ23によって搬送されている封筒Eの中央部を検出する(7)。封筒送量検知手段31の当該検知信号により、ピックアップローラ22を停止させ(4)、さらにこれを上昇させる(5)(図5(b)参照)とともに、封筒圧延ローラ23による搬送動作を停止させる(6)(図5(a)参照)。これと同時に、第1封筒圧延ローラ23aと第2封筒圧延ローラ23bの各上下ローラを移動して離間させ(8)(図5(b)参照)、印刷機側である第1封筒圧延ローラ23aを正回転させるとともに送り側である第2封筒圧延ローラ23bを逆回転させる(9)(図5(c)参照)。
【0063】
タイミングt4:第1封筒圧延ローラ23aと第2封筒圧延ローラ23bの各上下ローラが離間し(8)、第1封筒圧延ローラ23aが正回転し、第2封筒圧延ローラ23bが逆回転している状態(9)が少なくとも一定時間T3だけ経過すると、振り分け部40の支点41の上に乗っていた封筒Eがバランスを崩して落下し、収納部50に入る。
【0064】
タイミングt5:収納部50の入口にある封筒排出検知手段33a又は33bが封筒Eを検知すると、その検出信号をトリガーとして、第1封筒圧延ローラ23aと第2封筒圧延ローラ23bの回転を停止し(9)、第1封筒圧延ローラ23aと第2封筒圧延ローラ23bの離れている各上下ローラを戻して接触させ(8)、ピックアップローラ22を下降させて送り出し可能位置に戻す(5)。
【0065】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、所定の姿勢で配置した封筒Eの封入口18をエアで開口させて用紙Pを封入する機能を備えた用紙封入装置1において、封筒Eの配置が適正でなかった場合に、これを正規に用紙Pが封入された封筒Eから振り分け、通常の封入・搬送のルートから排除して別の場所に運び出してまとめておくことができる。しかも、このようなNGの封筒Eの振り分けでは、衝撃で傷がつき易いフラップ19を上にした姿勢で自重により通常ルートから下方に落下させるという手法を用いているため、振り分けた封筒Eのフラップ19は損傷することがなく、封筒Eはフラップ19を上に向けた状態で収納部50内に収納される。これらの封筒は、表裏を正規に揃えて封筒供給手段16にセットすれば再度の利用に供することができる。
【符号の説明】
【0066】
1…用紙封入装置
6…封入手段
7…カバー
8…巻き取りローラ
9…カバーの封入口部
10…カバーの排出口
12…クランプ板
16…封筒供給手段
18…封筒の封入口
19…封筒のフラップ
20…拡口手段としてのエアーノズル
23…排除手段を構成する封筒圧延ローラ
23a…第1封筒圧延ローラ
23b…第2封筒圧延ローラ
30…保持手段
31…封筒送量検知手段
33a…封筒排出検知手段
33b…封筒排出検知手段
40…排除手段を構成する振り分け部
41…振り分け部の支点
50…収納部
100…画像形成装置
E…封筒
P…用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の封入口にフラップが設けられている封筒の内部に用紙を封入する用紙封入装置において、
封筒を所定の姿勢で所定の位置に供給する封筒供給手段と、
前記封筒供給手段によって供給された封筒の封入口から空気を吹き込んで封入口を開口させるエアーノズルと、
前記封筒供給手段によって供給された封筒の上方に配置されて封筒の封入口が開口されたことを検知する検知手段と、
を有することを特徴とする用紙封入装置。
【請求項2】
前記エアーノズルは、封筒供給手段によって所定の位置に配置された封筒のフラップに相当する位置にエアを吹き付けるように構成されたことを特徴とする請求項1記載の用紙封入装置。
【請求項3】
封筒供給手段によって所定の位置に配置された封筒のフラップを保持する保持手段を有することを特徴とする請求項1記載の用紙封入装置。
【請求項4】
前記エアーノズルが作動した後に封筒の封入口が開口されたことを前記検知手段が検知した場合に、封入口から封筒の内部に用紙を挿入する封入手段と、
前記エアーノズルが作動した後に封筒の封入口が開口されたことを前記検知手段が検知せず、前記封入手段が作動しなかった場合に、封筒を搬送ルートから排除する排除手段と、
を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の用紙封入装置。
【請求項5】
前記封筒供給手段によって供給された封筒の次段で封筒の長さよりも短い間隔を置いて前段と後段の2位置に配置され、用紙が封入された封筒を所定の排出位置に搬送するとともに、用紙が封入されていない封筒を所定の排出位置に導く2対の封筒圧延ローラを有し、
前記排除手段は、前記2対の封筒圧延ローラの間において封筒搬送経路の中央部に支点を有する振り分け部と、用紙が封入されなかった封筒を前記封筒圧延ローラによって封筒の長さ方向の中央が前記振り分け部の前記支点に来るまで搬送した後、前記2対の封筒圧延ローラの各対を離間させて封筒の挟持を解除し、前記支点を中心として封筒を自重で回転させることにより下方の排除位置に落下させるようにした機構を有することを特徴とする請求項4記載の用紙封入装置。
【請求項6】
前記排除手段は、前記支点を中心として封筒を自重で回転させて排除位置に落下させる際に、封筒を搬送する正回転とは反対の逆回転で後段の前記封筒圧延ローラを回動することを特徴とする請求項5記載の用紙封入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−131924(P2011−131924A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294657(P2009−294657)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】