説明

用紙後処理装置、画像形成装置及び画像形成システム

【課題】用紙後処理装置において画像読取を行い、画像読取により生成した画像データを画像形成装置に送信する場合、画像データのデータ量が多いために、用紙後処理装置の制御用の制御データの通信と画像データの通信との間で競合が生じ、制御システムが正常に作動しない場合という不具合を回避する。
【解決手段】画像読取によって制せIS他画像データを用紙後処理装置から画像形成装置に送信する際に、画像形成装置から用紙後処理装置への用紙搬送を停止する。画像データの送信完了後に、用紙搬送を再開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に連結される用紙後処理装置、用紙後処理装置が連結される画像形成装置及び画像形成装置と用紙後処理装置とが連結された画像形成システムに関する。本発明は、特に、用紙後処理装置に画像読取部が設けられたこれらのものに関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取部を有する用紙後処理装置は特許文献1、2で提案されている。
【0003】
特許文献1に記載の画像形成システムでは、用紙後処理装置に設けられた画像読取部が読み取った画像データを画像形成装置が実行する画像形成における作像条件の補正に用いること及び前記画像読取部が読み取った画像データに基づいて、前記画像形成装置が画像を形成することが行われる。
【0004】
特許文献2では、用紙後処理装置において、画像読取を効率的に行うために、画像読取制御であるスキャン制御と後処理制御とのタイミングを制御するタイミング制御が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−110806号公報
【特許文献2】特開2007−97083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2に記載されているように、用紙後処理装置内の画像読取部が画像読取により生成した画像データは、画像形成装置に送信され、画像形成装置において用いられる。
【0007】
画像形成装置と用紙後処理装置とは、通常通信手段により連結されており、該通信手段を介して、制御データの送受信が行われるが、前記通信手段により画像データを送受信する場合、次の問題がある。
【0008】
画像データのデータ量は、後処理のための制御データのデータ量に比較して格段に多い。このために、画像データの通信には長時間を要し、ジョブの中で画像データの通信を行うと、制御データの通信と画像データの通信とが競合して、システムが作動不能となり、停止してしまう場合がある。
【0009】
特許文献2では、用紙後処理装置内での画像読取の制御(スキャン制御)と後処理制御とをタイミング制御することにより、画像読取の効率化を図っている。しかしながら、特許文献2では、画像データの送信時間については、全く考慮されていない。このために、特許文献2で言うタイミング制御を実施するときに、前記に説明したことが原因でシステムが正常に作動しない場合が発生する。
【0010】
後処理の制御データの通信には従来、通信ケーブルを用いた有線通信が用いられているが、このような制御用に設計された通信システムでは、前記の障害が避けられない。画像データの処理を可能とする高速通信手段を用いることが考えられるが、コストが高くなるという問題がある。また、既存の画像形成システムを利用し、該画像システムに画像読取機能を付加する場合には、画像読取部の付加に加えて高速通信手段を設けることが必要になり、コストが大幅に増加する。
【0011】
本発明は、このような問題を解決した用紙後処理装置、かかる用紙後処理装置に用いられる画像形成装置及びかかる用紙後処理装置を有する画像形成システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的は、下記の発明により達成される。
【0013】
1.用紙を搬送する搬送部
用紙の画像を読み取る画像読取部及び、
後処理装置制御部を有する用紙後処理装置において、
前記後処理装置制御部は、用紙搬送の停止を要求するウェイト情報を外部に送信し、
該ウェイト情報の送信後に、前記画像読取部の読取により得られた画像データを前記外部に送信することを特徴とする用紙後処理装置。
【0014】
2.前記後処理装置制御部は、前記搬送部内に用紙が存在しないことを確認した後に、前記画像データの送信を行うことを特徴とする前記1に記載の用紙後処理装置。
【0015】
3.前記ウェイト情報は、ウェイト時間を含むことを特徴とする前記1又は前記2に記載の用紙後処理装置。
【0016】
4.前記後処理装置制御部は、画像データの送信終了後に、用紙搬送の停止を解除する前記ウェイト情報を送信することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の用紙後処理装置。
【0017】
5.用紙に画像を形成する画像形成部、
該画像形成部に用紙を供給する給紙部及び、
画像形成装置制御部
を有する画像形成装置において、
前記画像形成装置制御部は、用紙後処理装置からの画像データを受信する際に、前記給紙部を停止させた後に、前記画像データを受信し、前記画像データの受信が完了した後に、前記給紙部を作動させて給紙を再開することを特徴とする画像形成装置。
【0018】
6.用紙に画像を形成する画像形成部及び該画像形成部に用紙を供給する給紙部を有する画像形成装置、
用紙を搬送する搬送部及び用紙の画像を読み取る画像読取部を有する用紙後処理装置並びに、
制御手段
を備えた画像形成システムにおいて、
前記制御手段は、前記画像読取部が画像を読み取って生成した画像データを前記用紙後処理装置から前記画像形成装置に送信するに際して、前記画像形成装置から前記用紙後処理装置への用紙搬送を停止し、停止後に前記画像データの送信を行い、前記画像データの送信完了後に、前記画像形成装置から前記用紙後処理装置への用紙の搬送を開始することを特徴とする画像形成システム。
【0019】
7.前記制御手段は、前記画像形成装置に設けられた画像形成装置制御部及び前記用紙後処理装置に設けられた後処理装置制御部を有することを特徴とする前記6に記載の画像形成システム。
【0020】
8.前記画像形成装置から前記用紙後処理装置への用紙搬送停止の判断及び前記画像形成装置から前記用紙後処理装置への用紙搬送開始の判断は、前記画像形成装置制御部により行われることを特徴とする前記7に記載の画像形成システム。
【0021】
9.前記画像形成装置から前記用紙後処理装置への用紙搬送停止の判断及び前記画像形成装置から前記用紙後処理装置への用紙搬送開始の判断は、前後処理装置制御部により行われることを特徴とする前記6に記載の画像形成システム。
【0022】
10.前記用紙後処理装置の後段に連結された1以上の他の用紙後処理装置を有し、
前記画像データの送信中に、前記他の用紙後処理装置から通信の要求があった場合に、前記制御手段は、前記画像データの送信を中断し、前記他の用紙後処理装置からの通信を実行し、通信完了後に前記画像データの送信を再開することを特徴とする前記6〜9のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【発明の効果】
【0023】
本発明においては、読取により画像データができた段階で、画像形成装置から用紙後処理装置への用紙搬送を停止し、画像データの送信が完了した段階で、前記用紙搬送を開始している。これにより、後処理制御のための通信と画像データの送信との競合が回避され、制御システムの停止が回避される。これにより、従来の通信手段を用いて、ジョブ実行中に画像データを送信することが可能となり、画像読取機能つきの用紙後処理装置が低コストで実現される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に実施の形態に係る用紙後処理装置及び画像形成装置を備えた画像形成システムの全体を示す図である。
【図2】図1に示される画像形成システムの制御系のブロック図である。
【図3】通常の画像形成工程における通信を示すはしご図である。
【図4】画像読取により生成した画像デ−タを画像形成装置100に送信する場合のはしご図である。
【図5】本発明の実施の形態における通信のはしご図である。
【図6】後処理装置制御部201が、ウェイト情報を作成する処理を示すフローチャートである。
【図7】排紙完了通知に関連して後処理装置制御部201が行う処理のフローチャートである。
【図8】画像形成装置制御部101が後処理装置制御部201からウェイト情報を受信した場合における処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明を本発明の実施の形態実施に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。
【0026】
図1は本発明の実施の形態に係る用紙後処理装置及び画像形成装置を備えた画像形成システムの全体を示す図である。
【0027】
図において、100は画像データに基づいて用紙上に画像を形成する画像形成装置、200は画像形成装置100から排紙された用紙に対して、パンチ処理又は折り処理を施す用紙後処理装置である。
【0028】
なお、用紙後処理装置としては、パンチ処理、折り処理以外の後処理、例えば、ステープル処理、シフト処理、裁断処理などの任意の後処理の1以上を施すものを画像形成装置100に連結することができる。
【0029】
また、1個ではなく、複数の用紙後処理装置を画像形成装置100に連結することも可能である。このような複数の用紙後処理装置としては、例えば、画像形成装置100から排紙された用紙を後段の用紙後処理装置に受け渡す中継搬送ユニットからなる用紙後処理装置と、前記に挙げた各種後処理の少なくとも一つを施す後処理装置からなるものがある。
【0030】
画像形成装置100は、原稿搬送装置110、原稿読取部120、給紙部130、画像形成部140、用紙が画像形成部140を通過する搬送路を形成する第1搬送部150、両面画像形成において、片面に画像が形成された用紙を表裏反転した後に画像形成部140に再給紙する第2搬送部160を有する。画像形成部140は、電子写真プロセスにより画像を形成するものであり、イエロー、マゼンタ、シアン及び黒の画像を形成する4個の画像形成ユニット140a、140b、140c、140d及び定着装置140eを有し、カラー画像を形成することができる。給紙部130は3個の給紙トレイ130a、130b、130cを有する。
【0031】
用紙後処理装置200は画像読取部210、パンチ部281、第1排紙部290a及び第2排紙部290bを有する。
【0032】
用紙後処理装置200内の前記各部に用紙を送り、通過させる搬送部として、第1搬送部250、第2搬送部260及び第3搬送部270が設けられる。
【0033】
第1搬送部250は、画像形成装置100から排紙された用紙を搬送して第1排紙部290a又は第2排紙部290bに排紙する。第2搬送部260は画像形成装置100から排紙された用紙を、パンチ部281及び折り部250を通過させた後に、第1搬送部250に送る。第3搬送部270は、第1搬送部250から第1排紙部290aへと用紙を搬送する。
【0034】
画像読取部210は用紙後処理装置200の用紙搬入部に設けられ、画像形成装置100から用紙後処理装置200に送り込まれた用紙の画像を走査して読み取り、画像データを生成する。
【0035】
第1排紙部290aは、少数枚の用紙を後処理無しで排紙する場合に使用され、多数枚の用紙や後処理された用紙は第2排紙部290bに排紙される。第2排紙部290bは昇降する排紙トレイで構成され、積載用紙の量が増すにしたがい下降して、積載用紙の上面は常時一定高さに維持される。
【0036】
図2は図1に示される画像形成システムの制御系のブロック図である。
【0037】
画像形成装置100は、画像形成装置100及び画像形成システム全体を制御する主制御手段としての画像形成装置制御部101、後述する用紙後処理装置200と通信ケーブル等を介してシリアル通信を行う画像形成装置通信部としてのシリアル通信部102、用紙後処理装置における各種処理などジョブにおける各種条件の設定を行う設定部103、画像形成システムの状態表示、警告、メッセージ表示等の各種表示を行う表示部104、画像データを記憶する画像記憶部105、画像データに各種画像処理を施す画像処理部106、画像形成部140に用紙を供給する給紙部130、画像形成部140、搬送部156、及び外部のコンピュータなどから画像データを受信するなど外部と通信を行う外部IF170を有する。搬送部156は、図1における第1搬送部150及び第2搬送部160を含む。
【0038】
用紙後処理装置200は、用紙後処理装置200を制御する後処理装置制御部201、画像形成装置100と通信ケーブル等を介してシリアル通信を行う後処理装置通信部としての対前段シリアル通信部202、用紙後処理装置200内を搬送される用紙の画像を読み取り画像データを生成する画像読取部210、搬送部246、パンチ部281及び折り部282を有する。
【0039】
画像形成システム内の通信は、隣り合う装置の間で行われる。したがって、画像形成装置100に複数の用紙後処理装置が連結された画像形成システムにおいては、画像形成装置100と末端の用紙後処理装置間の通信は、中間の用紙後処理装置を介して行われる。対前段シリアル通信部202は、前段として連結された画像形成装置100のシリアル通信部102と通信を行う。
【0040】
搬送部246は、図1における第1搬送部250、第2搬送部260及び第3搬送部270を含む。
【0041】
給紙部130から送り出された用紙に画像形成部140において画像が形成され、画像が形成された用紙が用紙後処理装置200に排紙される。
【0042】
用紙後処理装置200において、パンチ処理又は折り処理が施された用紙は第2排紙部290Bに排紙される。
【0043】
後処理無しの画像形成においても大量の画像形成の場合は、用紙又は用紙は第2排紙部290bに排紙される。第2排紙部290bは昇降する機能を有し、第2排紙部上の用紙が増加すると自動的に降下し、積載用紙の紙面が一定の高さに維持される。
【0044】
後処理無しで少量の画像形成の場合は、用紙は第1排紙部290aに排紙される。
【0045】
画像読取部210による画像読取は、例えば、画像形成装置100において形成される画像の画質調整のために行われる。
【0046】
連続画像形成における所定の枚数毎に、一定期間経過毎に、温度や湿度が変化した場合、メンテナンス時等においては、画質の変動を補正する画質調整が行われる。画質調整は、周知の方法、例えば、次の方法で行われる。
【0047】
画像記憶部105に記憶されているテストパターンの画像データを用いて画像を形成した用紙を用紙後処理装置200に送る。用紙後処理装置200内では、画像読取部210が形成されたテストパターンを読み取り、画像データを生成する。テストパターンの画像データはシリアル通信部102、対前段シリアル通信部202により画像形成装置100に伝送され、画像形成装置100の画像処理部106が画像解析して、階調性、色調等の画質評価の情報を作成する。
【0048】
該画像評価の情報に基づいて、作像条件を補正する画質調整が行われる。
【0049】
この画質調整には、用紙後処理装置200に設けられた画像読取部210が、画像形成装置100において形成された画像を読み取り、読取により得られた画像データが用いられる。
【0050】
この画質調整を行うには、用紙後処理装置200から画像形成装置100に画像データを伝送する必要があるが、画像形成工程の実行中に画像データを伝送する場合に、データ量が制御データのデータ量に比較して格段に多いために、システム制御上問題となる。
【0051】
次に、この問題を説明する。最初に、画像形成工程における画像形成装置制御部101と後処理装置制御部201との間の通信を、図3、4を参照して説明する。図3、4は画像形成装置制御部101と後処理装置制御部201との間の通信を示すはしご図である。なお、図3、4は1枚の用紙を画像形成装置100から用紙後処理装置200に送り終了するジョブの例を示す。
【0052】
図3は通常の画像形成工程、即ち、用紙後処理装置200の画像読取部210において画像読取を行わない画像形成工程における通信を示す。
【0053】
ステップST1において、画像形成装置制御部101から後処理装置制御部201に画像形成動作の開始指示が送られる。用紙後処理装置200では、この指示に対応して、搬送部246の起動制御などが行われる。
【0054】
ステップST2において、画像形成装置制御部101から後処理装置制御部201に給紙を開始する旨の給紙開始が通知される。この給紙開始通知には、用紙後処理装置200内での処理モード、例えば、パンチ、折り等の処理内容、用紙サイズ等の情報が含まれる。[]内の数値は何枚目の用紙かを示す。図では、1枚目の用紙であるので、[1]である。
【0055】
ステップST3において、後処理装置制御部201から画像形成装置制御部101にウェイト情報が通知される。用紙後処理装置200においては、初期状態の設定に時間を要する場合がある。例えば、パンチ位置、ステープル位置等の設定や、搬送路の切替に時間を要する。このような状態設定のための時間を後処理装置制御部201が計算し、ウェイト時間を通知する。
【0056】
給紙、画像形成、排紙、後処理等の作業が行われ、ジョブが終了した段階のステップST4において、画像形成装置制御部101から後処理装置制御部201に動作終了が指示される。
【0057】
ステップST5において、画像形成装置制御部101から後処理装置制御部201に最後の用紙の排紙を指示する排紙指示が行われる。ST5の排紙指示は、例えば、画像形成装置100の排紙部に設けられた排紙センサにより排紙検知信号に基づいて、画像形成装置制御部101から後処理装置制御部201に通知することにより行われる。用紙後処理装置200はこの指示にしたがって用紙を排紙し、ステップST6において、後処理装置制御部201から画像形成装置制御部101に排紙完了が通知され、ステップST7において、用紙後処理装置の動作が終了したことが画像形成装置制御部101に通知されてジョブが完了する。
【0058】
図4は用紙後処理装置200内の画像読取部210が画像読取を行い、画像読取により生成した画像デ−タを画像形成装置100に伝送する場合のはしご図である。
【0059】
ステップST1からステップST6までは、図3と同じである。
【0060】
用紙後処理装置200は、用紙の排紙終了後に、画像データを画像形成装置100に送る。画像データの量は、制御用のデータに比較して格段に多い。例えば、画像データの量は、制御データの量のバイト単位で二桁以上である。このように、データ量が多いために、1−1、1−2、・・・1−nのように、画像データが複数に分割して送信される。なお、画像読取部210による画像読取は、ステップST5排紙指示の後の時期に行われる。
【0061】
ステップSTD1におけるデータ送信が終了した段階で、用紙後処理装置200の動作終了が画像形成装置制御部101に通知されて終了する(ST7)。
【0062】
図4の例は前記のように1枚の用紙を処理するジョブである。この場合、用紙の処理に関する通信と画像データの通信との間に競合が生ずることはない。しかしながら、複数枚の用紙を処理するジョブにおいては、用紙の処理に関する通信と画像データの通信との間に競合が生じて、制御システムの作動に障害が起きる場合がある。
【0063】
例えば、1枚目の用紙の排紙後に、画像データの送信を行い、次に、2枚目の用紙を画像形成装置100から用紙後処理装置200に送る場合、画像データのデータ量が多いために、2枚目の用紙に関する給紙通知や排紙指示を送信することが不可能になり制御システムが停止してしまう。
【0064】
図5は本発明の実施の形態における通信の例であり、このような障害をなくしたものである。なお、例えば、ステップST3において「ウェイト情報[1]:0秒」のように、秒単位の時間が示されているが、この時間はウェイト時間を示す。したがって、「ウェイト情報[1]:0秒」は、「1枚目の用紙に関するウェイト情報であり、給紙を0秒待て」を内容とするウェイト情報を表す。
【0065】
ST1〜ST3は図3、4の同じである。
【0066】
ステップST3に続くステップST10において、画像形成装置制御部101から後処理装置制御部201に2枚目の用紙を給紙通知が行われる。
【0067】
ステップST11において、2枚目の用紙に関するウェイト情報が通知される。図示の例では、ウェイト時間が0なので、画像形成装置制御部101は、ウェイト情報通知を受信したとき、直ちに給紙部130を作動させて給紙を行う(ST11)。
【0068】
ステップST12において、1枚目の用紙の排紙指示が通知される。排紙指示は、画像形成装置100の排紙部に設けられた用紙センサ(図示せず)の用紙検知信号に基づいて行われる。したがって、ステップST12の排紙指示の直後に、用紙は画像形成装置100から用紙後処理装置200に送り込まれる。
【0069】
画像読取は1枚目の用紙が用紙後処理装置200に送り込まれた段階ST12の後に行われる。図示の例では、画像読取が、ST13の給紙指示の前に完了している。
【0070】
3枚目の用紙についての給紙指示がST13において行われるが、前記のように給紙指示が行われたST13の段階では、画像読取が完了し、送信すべき画像データができている。
【0071】
ステップST14において、後処理装置制御部201は3枚目の用紙の給紙を停止することを内容とするウェイト情報を通知する。画像形成装置制御部101はこの要求に従い、給紙部130を停止させ給紙を保留して用紙を用紙後処理装置200に搬送するのを停止する。
【0072】
ステップST15において、後処理装置制御部201は1枚目の用紙の排紙完了を通知する。
【0073】
画像形成装置制御部101は2枚目の用紙の排紙指示を送信し(ST16)、後処理装置制御部201は2枚目の用紙を受け取り搬送・排紙し、2枚目の用紙の排紙完了を通知する(ST17)。
【0074】
後処理装置制御部201は2枚目の用紙の排紙完了通知後に、ステップSTD2において、画像読取により得られた画像データを画像形成装置制御部101に1−1、1−2、・・・1−nのように分割して送信する。
【0075】
画像データの送信が終了した段階のステップST18において、後処理装置制御部201は、ウェイト情報として給紙停止解除を送信し、停止解除を受け取った画像形成装置100は停止を解除し、給紙部130を作動させて3枚目の用紙の給紙をスタートする。
【0076】
ステップST19において、排紙指示、ステップST20において、排紙完了通知がそれぞれ行われる。
【0077】
ステップST13において、画像形成装置制御部101が給紙指示を出したときに、用紙後処理装置から送信すべき画像データが有る場合に、ステップST14において、後処理装置制御部201は給紙の停止を要求する。これにより、画像形成装置制御部101は画像データの送信が完了するまでは、3枚目の用紙の給紙を保留し、画像形成装置100から用紙後処理装置200への用紙の搬送が停止する。
【0078】
そして、画像データの送信が完了した段階で3枚目の用紙の給紙が行われる。また図5において、「給紙済み用紙の排紙を待って画像データ送信」で示すように、画像読取完了後であっても、用紙後処理装置200内に用紙が存在する間は、画像データの送信が行われず、搬送部246による用紙搬送を行い、排紙完了(ST17の2枚目用紙の排紙完了)を待って、画像データの送信が行われる。
【0079】
このような制御により、制御通信と画像データ通信との競合が回避されシステムが正常に作動する。
【0080】
なお、図5の例では、ステップST18において、後処理装置制御部201がウェイト情報として、給紙停止解除を送信し、画像形成装置制御部101がこのウェイト情報にしたがって給紙を再開している。しかしながら、画像形成装置制御部101が自己の判断で、給紙停止を解除し、給紙を再開する構成とすることも可能である。即ち、画像データの受信を終了した段階で、画像データの受信終了に基づいて、画像形成装置制御部101が、給紙停止を解除し、給紙を再開する構成も可能である。
【0081】
図6は、後処理装置制御部201が、図5におけるステップST3、ST11及びST14のウェイト情報を作成する処理を示すフローチャートである。
【0082】
画像形成装置制御部101からの給紙通知があったとき(ST30のYES)、ステップST33において、画像データ送信のために待機中であるかどうかを見る。待機中であれば(ST33のYES)ウェイト情報として給紙停止情報を送信する。即ち、図5におけるST14を実行する(ST34)。待機中でないときは(ST33のNO)、ウェイト時間を算出し、算出したウェイト時間をウェイト情報として送信する(ST35、ST36)。ST36は図5におけるST3、T11に対応する。
【0083】
給紙の通知がないとき(ST30のNO)、ステップST31において、画像データの送信の完了をチェックし、完了しないときは終了し、完了したときはウェイト情報として、給紙の停止解除を送信する(ST32)。ステップST32は、図5におけるST18に対応する。
【0084】
図7は、図5におけるST15、ST17及びST30の排紙完了通知に関連して後処理装置制御部201が行う処理のフローチャートである。
【0085】
ステップST40において、排紙完了処理を行う状態にあるか否かが判断される。ST40の判断は、画像形成装置制御部101から排紙指示(図5におけるST12、ST16、ST19)を受信し、排紙指示の対象である用紙の排紙が完了したかどうかが基準となるものであり、例えば、排紙完了は用紙後処理装置200の排紙部に設けられた排紙センサ(図示せず)の検知信号に基づいて判断される。
【0086】
排紙が完了していないときは(ST40のNO)終了するが、排紙が完了しているときは(ST40のYES)、ステップST41において、画像形成装置制御部101に排紙完了が通知される。排紙完了通知後のステップST42において、画像データ送信のための待機中か否かチェックされる。画像データ送信のために待機中でないときは(ST42のNO)終了し、画像データ送信のために待機中のときは(ST42のYES)、ステップST43において、搬送部中に用紙が有るか否かがチェックされる。用紙有りの場合(ST43のYES)用紙の排紙が優先され、画像データの送信は行われず終了する。ステップST44における用紙有りのケースは、図5において、「給紙済み用紙の排紙を待って画像データ送信」に対応する。用紙無しの場合(ST43のNO)、画像データの送信(ST44)及び画像データの送信に続く給紙停止解除の通知が行われる(ST45)。ステップST45は図5におけるST18に対応する。
【0087】
図8は画像形成装置制御部101が後処理装置制御部201からウェイト情報を受信した場合における処理のフローチャートである。
【0088】
ウェイト情報を受信すると、ステップST50において、ウェイト情報がウェイト時間か否かが判断される。
【0089】
ウェイト時間である場合(ST50のYES)、次の給紙までのウェイト時間が設定される8ST51)。ウェイト時間でない場合(ST50のNO)、ステップST52において、ウェイト情報が給紙停止か否かが判断される。給紙停止である場合(ST52のYES)、次の用紙の給紙が停止される(ST53)。即ち、次の用紙は給紙されない。ウェイト情報が給紙停止でない場合(ST52のNO)、ステップST54において、給紙停止の解除か否かが判断される。給紙停止解除の場合(ST54のYES)、次の用紙を給紙が行われる(ST55)。ST55は図5におけるST18に対応する。
【0090】
以上説明した実施の形態では、後処理装置制御部201が画像形成装置100における給紙を停止すべきか否かを判断して、「給紙停止」「給紙停止解除」を画像形成装置制御部101に通知している。
【0091】
しかしながら、この判断を画像形成装置制御部101において行う次のような構成とすることも可能である。
【0092】
後処理装置制御部201は、画像読取部210による読取が完了した旨を画像形成装置制御部101に通知する。読取完了の通知を受け取った画像形成装置制御部101は、次の用紙の給紙を一次停止する。画像形成装置制御部101は給紙を一次停止して、画像データの送信を後処理装置制御部201に要求し、画像データを受信する。
【0093】
画像データの受信を完了した段階で、画像形成装置制御部101は保留していた給紙を開始する。
【0094】
以上説明したように本発明によれば、用紙後処理装置200において、画像読取を行い、画像読取によりできた画像データを画像形成装置に送信する際に、画像形成装置から用紙後処理装置への用紙の搬送を停止した後に、画像データの送信が行われる。そして、画像データの送信後に用紙の搬送が再開される。これにより、画像データのデータ量が多い場合でも、画像データの通信と制御データの通信とが正常に行われる。
【0095】
画像形成装置制御部101と後処理装置制御部201とは画像形成システム全体の制御手段として、前記の機能を達成しシステムを正常に作動させる。
【0096】
画像形成装置に複数の用紙後処理装置が連結された画像形成システムにおいては、標準装備として画像形成装置に連結される用紙後処理装置(以下用紙後処理装置Aと言う)に画像読取部が設けられる。このような画像形成システムにおいては、用紙後処理装置の用紙搬送方向下流である後段に他の後処理装置(以下用紙後処理装置Bと言う)が連結される構成を採る場合がある。そして、用紙後処理装置Aから画像データを送信している時間に、用紙後処理装置Bから画像形成装置に通信要求が送信されるケースがある。このようなケースでは、制御手段は、用紙後処理装置Bとの通信を優先する。即ち、制御手段は、画像データの通信を中断して、用紙後処理装置Bと通信を行い、該通信の終了を待って画像データの通信を再開する。
【0097】
この場合の中断処理及び再開処理は後処理装置制御部が行ってもよいし、画像形成装置制御部が行ってもよい。
【符号の説明】
【0098】
100 画像形成装置
101 画像形成装置制御部
102 シリアル通信部
103 設定部
104 表示部
105 画像記憶部
106 画像処理部
200 用紙後処理装置
201 後処理装置制御部
202 対前段シリアル通信部
210 画像読取部
246、256 搬送部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送する搬送部
用紙の画像を読み取る画像読取部及び、
後処理装置制御部を有する用紙後処理装置において、
前記後処理装置制御部は、用紙搬送の停止を要求するウェイト情報を外部に送信し、
該ウェイト情報の送信後に、前記画像読取部の読取により得られた画像データを前記外部に送信することを特徴とする用紙後処理装置。
【請求項2】
前記後処理装置制御部は、前記搬送部内に用紙が存在しないことを確認した後に、前記画像データの送信を行うことを特徴とする請求項1に記載の用紙後処理装置。
【請求項3】
前記ウェイト情報は、ウェイト時間を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の用紙後処理装置。
【請求項4】
前記後処理装置制御部は、画像データの送信終了後に、用紙搬送の停止を解除する前記ウェイト情報を送信することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の用紙後処理装置。
【請求項5】
用紙に画像を形成する画像形成部、
該画像形成部に用紙を供給する給紙部及び、
画像形成装置制御部
を有する画像形成装置において、
前記画像形成装置制御部は、用紙後処理装置からの画像データを受信する際に、前記給紙部を停止させた後に、前記画像データを受信し、前記画像データの受信が完了した後に、前記給紙部を作動させて給紙を再開することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
用紙に画像を形成する画像形成部及び該画像形成部に用紙を供給する給紙部を有する画像形成装置、
用紙を搬送する搬送部及び用紙の画像を読み取る画像読取部を有する用紙後処理装置並びに、
制御手段
を備えた画像形成システムにおいて、
前記制御手段は、前記画像読取部が画像を読み取って生成した画像データを前記用紙後処理装置から前記画像形成装置に送信するに際して、前記画像形成装置から前記用紙後処理装置への用紙搬送を停止し、停止後に前記画像データの送信を行い、前記画像データの送信完了後に、前記画像形成装置から前記用紙後処理装置への用紙の搬送を開始することを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記画像形成装置に設けられた画像形成装置制御部及び前記用紙後処理装置に設けられた後処理装置制御部を有することを特徴とする請求項6に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記画像形成装置から前記用紙後処理装置への用紙搬送停止の判断及び前記画像形成装置から前記用紙後処理装置への用紙搬送開始の判断は、前記画像形成装置制御部により行われることを特徴とする請求項7に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記画像形成装置から前記用紙後処理装置への用紙搬送停止の判断及び前記画像形成装置から前記用紙後処理装置への用紙搬送開始の判断は、前後処理装置制御部により行われることを特徴とする請求項6に記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記用紙後処理装置の後段に連結された1以上の他の用紙後処理装置を有し、
前記画像データの送信中に、前記他の用紙後処理装置から通信の要求があった場合に、前記制御手段は、前記画像データの送信を中断し、前記他の用紙後処理装置からの通信を実行し、通信完了後に前記画像データの送信を再開することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の画像形成システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate