説明

用紙情報判別装置、画像形成装置、画像処理装置、用紙情報判別プログラム

【課題】設定されている用紙に関する情報を、サイズ検知動作終了を待たずに、先行報知する。
【解決手段】センサ74によってロール紙56のサイズが判別されたときに表示される報知(通常報知)では、7セグメント表示部86では、現在の操作ダイヤル78で指標されたサイズ系列を常時点灯で表示する。一方、用紙装填部56の閉止直後からサイズ判別終了までの間は、7セグメント表示部86では、現在の操作ダイヤル78で指標されたサイズ系列を点滅で表示する(先行報知)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙情報判別装置、画像形成装置、画像処理装置、用紙情報判別プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、用紙を装填部に装填すると初期動作が実行されサイズを判別する。このとき、予め設定してあるサイズ系列を表示して、その確認をユーザーに促すことが記載されている。サイズ系列とは、JIS規格のA版、B版、一般にレターサイズ等と称される8.5インチ版や9インチ版、装填された用紙の寸法(例えば、ロール紙であれば幅寸法)を検出することで判明する縦横比の種類する識別するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−184760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、設定されている用紙に関する情報を、サイズ検知動作終了を待たずに、先行報知することができる用紙情報判別装置、画像形成装置、画像処理装置、用紙情報判別プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、用紙装填部に設けられ、この用紙装填部に装填された用紙の少なくもと縦横何れか一方の寸法を検出する検出手段と、前記用紙のサイズ情報を得るための用紙の系列又は用紙の紙質の少なくとも1つを含む用紙情報を手動で設定するために設けられた操作部と、前記用紙装填部が閉止されたときに、前記検出手段による前記用紙の寸法の検出動作の実行を指示し、当該検出結果である用紙の寸法と、前記操作部によって手動設定された前記用紙情報とに基づいて、前記用紙のサイズ情報を演算する演算手段と、前記演算手段で用紙のサイズ情報を演算した後、当該用紙のサイズ情報と、前記操作部の操作で手動設定した前記用紙情報とを報知するサイズ情報報知手段と、前記幅方向寸法検出手段動作が開始された時点で、前記用紙情報を、前記サイズ情報報知手段によるサイズ情報の報知に先立って先行報知する用紙情報先行報知手段と、を有している。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記先行報知手段が、前記用紙装填部が開放され、かつ前記操作部が操作されず、前記用紙装填部が閉止されたとき実行される。
【0007】
請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記用紙装填部が複数設けられ、前記操作部が複数の用紙装填部毎に設けられ、装填される用紙を目視しながら操作可能な位置に設けられている。
【0008】
請求項4に記載の発明は、前記請求項1〜請求項3の何れか1項記載の発明において、前記用紙の系列が、予め定められた縦横比、並びに縦横寸法値で分類される情報である。
【0009】
請求項5に記載の発明は、前記請求項1〜請求項4の何れか1項記載の発明において、前記用紙が、筒状の芯材に層状に巻き取られた巻取型用紙であり、前記検出手段が、前記芯材の軸線に沿った巻取型用紙の幅寸法を検出する。
【0010】
請求項6に記載の発明は、前記請求項1〜請求項5の何れか1項記載の発明において、前記サイズ情報報知手段で前記用紙情報を報知する媒体と、前記用紙情報先行報知手段で前記用紙情報を先行報知する媒体が同一媒体であり、双方の報知形態を異ならせている。
【0011】
請求項7に記載の発明は、用紙装填部に設けられ、この用紙装填部に装填された用紙の有無を検出する用紙有無検出手段と、前記用紙装填部が閉止されたときに、前記用紙の有無検出動作の実行する実行手段と、事前に手動で設定された前記用紙のサイズ情報に基づいて、前記用紙のサイズ情報を演算する演算手段と、前記演算手段での演算で用紙のサイズ情報を決定した後、前記用紙の検出動作が開始された時点で、前記サイズ情報を、前記用紙の有無検出動作による用紙の有無の決定に先立って先行報知するサイズ情報先行報知手段と、を有している。
【0012】
請求項8に記載の発明は、前記請求項1〜請求項7の何れか1項記載の用紙情報判別装置と、前記用紙装填部から引き出された用紙に対して、画像情報に基づいて画像を形成する画像形成手段と、を有する画像形成装置である。
【0013】
請求項9に記載の発明は、前記請求項1〜請求項7の何れか1項記載の用紙情報判別装置と、原稿画像から画像情報を取得するために前記原稿画像を読み取る画像読取手段と、前記用紙装填部から引き出された用紙に対して、前記画像読取手段で読み取った画像情報、或いは外部から受け付けた画像情報に基づいて画像を形成する画像形成手段と、を有する画像処理装置である。
【0014】
請求項10に記載の発明は、用紙装填部に設けられ、この用紙装填部に装填された用紙の少なくもと縦横何れか一方の寸法を検出し、前記用紙装填部が閉止されたときに、前記用紙の寸法の検出動作の実行を指示し、当該検出結果である用紙の寸法と、事前に手動で設定された前記用紙のサイズ情報を得るための用紙の系列又は用紙の紙質の少なくとも1つを含む用紙情報と、に基づいて、前記用紙のサイズ情報を演算し、前記用紙のサイズ情報を演算した後、当該用紙のサイズ情報と、前記手動設定した前記用紙情報とを報知すると共に、前記報知前であり、かつ、前記幅方向寸法検出手段動作が開始された時点で、前記用紙情報を、前記サイズ情報報知手段によるサイズ情報の報知に先立って先行報知する、ことをコンピュータに実行させる用紙情報判別プログラムである。
【0015】
請求項11に記載の発明は、用紙装填部に設けられ、この用紙装填部に装填された用紙の有無を検出し、前記用紙装填部が閉止されたときに、前記用紙の有無検出動作の実行を指示し、事前に手動で設定された前記用紙のサイズ情報に基づいて、前記用紙のサイズ情報を決定し、前記用紙のサイズ情報を決定した後、前記用紙の検出動作が開始された時点で、前記サイズ情報を、前記用紙の有無検出動作による用紙の有無の決定に先立って先行報知する、ことをコンピュータに実行させる用紙情報判別プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1、請求項7,請求項8,請求項9、請求項10、請求項11記載の発明によれば、設定されている用紙に関する情報を、サイズ検知動作終了を待たずに、先行報知することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、先行報知を必要最小限にすることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、操作性を重視することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、用紙サイズを演算するための情報を手動設定することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、切断するまで用紙サイズを判別できない巻取型用紙から、用紙サイズ判別のための最低限の情報を得ることができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、通常報知なのか先行報知なのかを見分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施の形態に係る画像処理装置の全体構成図である。
【図2】本実施の形態に係る画像形成装置の全体構成図である。
【図3】本実施の形態に係るメインコントロール部を中心とする制御ブロック図である。
【図4】本実施の形態に係る用紙装填部が開放された状態を示す斜視図である。
【図5】用紙装填部に設けられた操作部の正面図である。
【図6】画像形成装置の用紙装填部に対応して設けられたトレイ操作パネルの正面図である。
【図7】用紙装填部の開閉状態に基づく、トレイ操作パネル上での表示制御ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1には、本実施の形態に係る画像処理装置10が示されている。
【0024】
画像処理装置10は、原稿準備装置12と、画像形成装置14と、フォルダー部16とを備えている。
【0025】
なお、本実施の形態の画像処理装置10では、比較的大型サイズの記録用紙を取り扱うものである。ここで、大型サイズとは、一般オフィスに設置されている画像形成装置(プリンタ)が、通常はJIS規格でA3サイズが最大処理可能サイズであるのに対して、本実施の形態の画像処理装置10は、A3サイズより大きいサイズ、すなわちA2、B3サイズ以上の用紙(例えば、A0、A1サイズ等)を処理可能となっている。しかしながら、サイズは限定されるものではない。
【0026】
(原稿準備装置12)
原稿準備装置12は、画像読取装置18へ送り込む原稿をセットする原稿テーブル20、原稿の位置合わせのための原稿ガイド22、画像読取装置18から送り出された原稿を受け取る原稿排出口24、原稿を装置前面へ案内するUターン排出ガイド26、原稿の読み取りの開始、終了を指示する操作部を備えた原稿操作パネル28、画像処理に関する詳細情報を入力及び報知するタッチパネル型の操作パネル32、電源を投入又は遮断するための電源スイッチ34、メインコントロール部200(図3参照)を収容するキャビネット36、メインコントロール部200に接続されユーザーが操作するデバイス(CD、DVDドライブ等)が集約された操作制御部38を備えている。メインコントロール部200では、画像処理装置10全体を一括制御する。
【0027】
この原稿準備装置12において、原稿を装填すると、画像読取装置18へ例えば定速度で搬送され、この搬送(副走査)とラインセンサ(図示省略)による主走査とにより、当該原稿に記憶された画像が読み取られ、読み取られた画像データに基づいて、画像形成装置14が作動して、後述する用紙装填部50、52、54に装填される用紙へ画像を形成する。なお、原稿準備装置12と画像形成装置14との間には、画像形成された用紙を収容するフォルダー16が取り付けられている。
【0028】
(画像形成装置14)
図2に示される如く、画像形成装置14は、その最上面に画像形成後の用紙を排出する排出口40が設けられ、排出口40に連続して画像形成後の用紙を受け取るトレイ42が形成されている。
【0029】
画像形成装置14の図2の正面(図1では右側面)には、前扉44が設けられ、内部の紙詰まりや現像剤(トナー等)を交換するときに開閉されるようになっている。
【0030】
また、前扉44の下部には、操作パネル46が設けられている。操作パネル46は、エラー発生時のメッセージ表示、オフライン/オンラインの切り替え操作等を行うようになっている。
【0031】
画像形成装置14の図2の右側面(図1では背面)は、最上段に手差しトレイ48が設けられ、その下に複数の用紙装填部50、52、54が段状に設けられている。上段の用紙装填部50、中段の用紙装填部52は、ロール紙56(筒状の芯材58に層状に巻き取られた巻取型用紙、図4参照)を装填し、下段の用紙装填部54はカット紙(予め指定された縦横サイズに切断された断片紙)を装填する役目を有する。
【0032】
上段の用紙装填部50、中段の用紙装填部52のそれぞれの図2の右側には、それぞれトレイ操作パネル60、62が設けられてる。
【0033】
トレイ操作パネル60、62は、ロール紙56に装填されている用紙の種類や残量を表示する。用紙の種類とは、サイズ系列と紙質を含む。サイズ系列とは、用紙の規格の種類であり、例えば、JIS規格の「A版」、「B版」や、通常はレターサイズ等と称される「8.5インチ版」、「9インチ版」を区別するものである。紙質は、「トレーシングペーパ(トレペ)」、「普通紙」、「フィルム」に分類される。
【0034】
トレイ操作パネル60、62の下方には、下部扉64が設けられ、本装置の主電源スイッチ66が設けられている。なお、用紙の残量は4段階のバーの数で表現されるようになっている。
【0035】
(メインコントロール部200)
図3は、メインコントロール部200のハード構成を示すブロック図である。
【0036】
図3に示される如く、メインコントロール部200は、CPU204、RAM206、ROM208、I/O(入出力部)210、及びこれらを接続するデータバスやコントロールバス等のバス212を有している。I/O210には、UI制御回路214を介して原稿操作パネル28、操作パネル32が接続されている。また、I/O210には、操作制御部38、ハードディスク(HDD)218が接続されている。CPU204は、ROM208やハードディスク218等に記録されているプログラムに基づいて動作し、メインコントローラ200の機能を実現する。なお、該プログラムを格納した記録媒体(CD−ROM、DVD−ROM等)を操作制御部38から該プログラムをインストールし、これに基づいてCPU204が動作することにより画像処理機能を実現してもよい。
【0037】
I/O210には、タイマ回路220、通信回線I/F222が接続されている。さらに、I/O210には、デバイス選択I/F234に接続されている。
【0038】
デバイス選択I/F234は、画像読取装置18、画像形成装置12の各デバイスに接続されている。
【0039】
(原稿装填部50、52)
図4には、ロール紙を装填する上段及び中段の用紙装填部50、52の内部構成が示されている。なお、上段及び中段の用紙装填部50、52は同一構成であるため、以下では、上段の用紙装填部50の構成を説明し、中段の用紙装填部52の構成の説明は省略する。
【0040】
用紙装填部50は箱型であり、装填状態では、前壁部が、装置の右側壁と段差が無い状態となるまで収容されるようになっている。用紙装填部50の前壁部68には、一対の把持部70(図2参照)が形成されている。把持部70は、前壁部68から奥側に陥没した凹形状とされ、ユーザーはこの把持部70に指を引っ掛け、手前に引き出すことで、用紙装填部50は開放状態となる(図4の状態)。
【0041】
用紙装填部50の内部の両端部(前壁部68の横方向両端部)には、ロール紙56の芯材58を支持する支持部材(図示省略)が設けられ、この支持部材にロール紙56の芯材58が支持されることで、ロール子56の装着が認識されるようになっている。なお、装着の有無は、装着ランプ72の点灯による視覚を通じた報知、並びにアラームの発音による聴覚を通じた報知が行われるようになっている。
【0042】
装填されたロール紙56は、その最外周から引き出され、装置内部へ搬送されるようになっている。用紙装填部50には、この引き出された用紙搬送軌跡上には、用紙の搬送方向と直交する幅方向寸法を検出するセンサ74(図3参照)が設けられている。なお、センサ74は、用紙装填部50に限らず、装置側であってもよい。
【0043】
ロール紙56は切断の長さによって様々なサイズに設定可能であるため、メインコントロール部200において、前記センサ74で検出した幅寸法情報と、後述するサイズ系列(用紙情報)とに基づいて、サイズを演算するようになっている。
【0044】
ここで、ロール紙56には、複数のサイズ系列と、複数の紙質が存在するため、各用紙装填部50、52では、当該サイズ系列と紙質が予め指定されるようになっている。
【0045】
サイズ系列と紙質の指定は、手動操作によって実行されるようになっており、用紙装填部50の前記ロール紙56が装着される領域の端部(図4ではユーザーの装着側から見て右端部)にその手動操作を行う操作部76が設けられている。なお、前記ロール紙56の装着を報知する装着ランプ72は、この操作部76の下部(平面視、装着側からみた場合)に設けられている。
【0046】
図5は操作部76の正面図であり、縦長の操作領域には、上下に並んで2個の操作ダイヤル78、80が設けられている。
【0047】
2個の操作ダイヤル78、80は、それぞれ直径方向に突起部82、84が形成され、この突起部がユーザーを把持する把持部並びに指標部としての役目を有する。すなわち、突起部82、84を把持して操作ダイヤル78、80を回転することで、突起部82、84が回転し、その長手方向一端部が指標となって、複数種類の項目を選択的に指標するようになっている。
【0048】
この操作ダイヤル78、80の回転操作は、その回転位置と、突起部82、84が指標する項目とが対応付けられるように接点が設けられ、電気的信号により、当該指標した項目を指定をメインコントロール部200へ送出する。
【0049】
上側の操作ダイヤル78は、サイズ系列設定用として適用され、一方、下側の操作ダイヤル80は、紙質用として適用される。
【0050】
サイズ系列とは、用紙の規格の種類であり、例えば、JIS規格の「A版」や、通常はレターサイズ等と称される「8.5インチ版」、「9インチ版」、並びに特殊なサイズの「特殊」を区別するものである。紙質は、「トレーシングペーパ(トレペ)」、「普通紙」、「フィルム」に分類される。以下、このサイズ系列と紙質を含め、「用紙の種類」という場合がある。
【0051】
上側の操作ダイヤル78の周縁には、主題として「用紙サイズ系列」と表記されると共に、項目として、操作ダイヤル78の周縁に沿って円弧状に、「9’系列」、「A系列」、「8.5’系列」、「特殊」と表記されている。なお、この表記が限定されるものではない。
【0052】
一方、下側の操作ダイヤル80の周縁には、紙質用として適用され、主題として「用紙紙質」と表記されると共に、項目として、操作ダイヤル80の周縁に沿って円弧状に、「トレペ」、「普通紙」、「フィルム」と表記されている。なお、この表記が限定されるものではない。
【0053】
この操作部76の操作ダイヤル78、80の操作状態は、前記トレイ操作パネル60、62に表示されるようになっている。
【0054】
図6に示される如く、トレイ操作パネル60、62は、ロール紙56に装填されている用紙の種類や残量を表示する。用紙の種類とは、前述のサイズ系列と紙質を含む。
【0055】
図6に示される如く、サイズ系列は、3桁の7セグメント表示部86に表示されるようになっている。7セグメント表示部86の右端には、単位選択表示部88が設けられ、インチを示す項目「”」又はミリメートルを示す項目「mm」の何れかが選択されて表示されるようになっている。
【0056】
単位選択表示部88のさらに右端には、紙質表示部90が設けられ、項目「トレペ」、項目「普通紙」、項目「フィルム」の何れかが選択されて表示されるようになっている。
【0057】
トレイ操作パネル60、62の最右端は、ロール紙56の残量が表示される残量表示部92が設けられている。なお、用紙の残量は4段階のバーの数で表現されるようになっている。
【0058】
ここで、本実施の形態では、用紙装填部50(又は52)を引き出し(開放し)、ロール紙56を装填して閉止すると、自動的にセンサ74による幅寸法検出制御(初期動作)が開始されるようになっている。
【0059】
センサ74により幅寸法が検出されると、前記操作ダイヤル78、80で設定した用紙種類(特に、サイズ系列)の情報を参照して、縦横比の換算(演算)によって、ロール紙56のサイズを判別するようになっている。
【0060】
判別された用紙サイズは、前記各用紙装填部50、52に隣接して設けられたトレイ操作パネル60、62に表示される。言い換えれば、センサ74による幅寸法検出開始から用紙サイズが判別するまではトレイ操作パネル60、62には、何ら表示されず、当該サイズ判別時間(数秒から数10秒程度)経過した後に表示されることになる。
【0061】
ところで、用紙装填部50(又は52)にロール紙56を装填するとき、ユーザーは、手動で操作ダイヤル78、80を操作して、サイズ系列及び紙質を設定するが、用紙装填部50(又は52)を閉止してしまうと、この操作状態が見えなくなる。一方、センサ74による初期動作(サイズ判別)は開始されているため、操作状態を確認するためには、前記サイズ判別時間が経過した後となる。
【0062】
そこで、本実施の形態では、用紙装填部50(又は52)が開放状態から閉止されたとき、トレイ操作パネル60(又は62)の7セグメント表示部86に、現在設定されているサイズ系列を点滅表示するようにした。点滅表示は、前記センサ74によるサイズ判別後に表示されるサイズ系列の表示(通常報知)とは異なることをユーザーに認識させるためである。
【0063】
すなわち、センサ74によってロール紙56のサイズが判別されたときに表示される報知(通常報知)では、7セグメント表示部86では、現在の操作ダイヤル78で指標されたサイズ系列を常時点灯で表示する。一方、用紙装填部56の閉止直後からサイズ判別終了までの間は、7セグメント表示部86では、現在の操作ダイヤル78で指標されたサイズ系列を点滅で表示する(先行報知)。
【0064】
また、本実施の形態では、操作ダイヤル78、80の操作状態を監視する機能を持っており、用紙装填部50(又は52)が開放しているとき、操作部76の操作ダイヤル78、80の操作がない場合は、前記点滅による先行報知を行わないようにしている。今までの指標が維持されているからである。
【0065】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0066】
原稿準備装置12の原稿テーブル20に原稿を置き、画像読取装置18へ送り込む。このとき、原稿ガイド26によって原稿の位置合わせされながら、画像読取装置18へ送り込まれる。画像読取装置18では、定速度で搬送されながら(副走査)、ラインセンサで原稿に記憶された画像が読み取られる。
【0067】
読み取られた画像データは、画像形成装置14へ送出され、用紙装填部50、52、54に装填された用紙、或いは手差しトレイ48から挿入された用紙が送り出されて、当該用紙に画像を形成する。
【0068】
ここで、本実施の形態では、用紙装填部50(又は52)におけるロール紙56のサイズを予め認識し、トレイ操作パネル60(又は62)に表示している。サイズ系列は7セグメント表示部86に「A0」、「8.5」、「9」等と表示され、単位選択表示部88に「”」又は「mm」の何れかが選択されて表示される。
【0069】
ロール紙56のサイズの認識は、用紙装填部50(又は52)が開放状態から閉止されたとき、自動的に実行される(初期動作の実行)。この初期動作は、ロール紙56を最上層から引き出し、搬送方向の軌跡上に設けられたセンサ74によってロール紙56の幅寸法を検出する。
【0070】
この検出した幅寸法と、操作部76(操作ダイヤル78、80)の手動操作で設定されているサイズ系列とから、縦横比の換算により、サイズを演算する。
【0071】
また、紙質表示部90には、「トレペ」、「普通紙」、「フィルム」の何れかが選択されて表示される。さらに、トレイ操作パネル60、62には、ロール紙56の残量が表示される。
【0072】
ところで、トレイ操作パネル60、62に表示されるサイズ系列、紙質は、ユーザーが、用紙装填部50、52が開放しているときに、操作部76の操作ダイヤル78、80を操作して決定する。このため、用紙装填部50、52が閉止され、前記初期動作が開始されると、操作ダイヤル78、80が指標している項目、すなわち、現在設定されている用紙情報がわからない状態が生じる。
【0073】
仮に、設定が誤っている場合、初期動作で演算される用紙サイズに誤りが生じる場合がある。
【0074】
そこで、本実施の形態では、初期動作中に、操作部76の操作ダイヤル78、80で指標されているサイズ系列項目を、トレイ操作パネル60、62に表示するようにした。すなわち、「サイズ表示」という通常報知に対して、先行報知という形で「サイズ系列」を表示する。
【0075】
図7は、メインコントロール部200における、用紙装填部50(又は52)の開閉動作にも伴う、サイズ又はサイズ系列表示制御を実行するためのフローチャートである。
【0076】
ステップ300では、用紙装填部50(52)が開放中か否かが判断され、肯定判定、すなわち、用紙装填部50(52)が開放中の場合は、ステップ302へ移行する。
【0077】
ステップ302では、トレイ操作パネル60(62)を非表示状態とし、次いでステップ304へ移行して操作部76の操作ダイヤル78、80が操作されたか否かが判断される。このステップ304で否定判定された場合は、このルーチンは終了する。また、ステップ304で肯定判定されると、ステップ306へ移行して、操作ダイヤル78、80の突起部82、84が指標している項目を認識し、次いでステップ308へ移行して、指標された情報を更新登録し、このルーチンは終了する。
【0078】
前記ステップ300で否定判定、すなわち、用紙装填部50(52)が閉止されている場合は、ステップ310へ移行する。
【0079】
ステップ310では、用紙装填部50(52)が開放状態か閉止状態になったばかりか否かが判断され、否定判定された場合は、閉止状態が継続されていると判断し、このルーチンは終了する。
【0080】
また、ステップ310で肯定判定されると、用紙装填部50(52)がたった今、閉止された(1回前のルーチンが開放であった)と判断し、ステップ312へ移行する。
【0081】
ステップ312では、初期動作の開始を指示する。この初期動作の開始指示により、装填されているロール紙56の最外周が引き出され、センサ74によって幅寸法が検出される。なお、この初期動作は、数秒から数10秒かかる場合がある。
【0082】
次のステップ314では、今回の閉止前の開放中に操作部76(操作ダイヤル78、80)の操作があったか否かが判断される。このステップ314で肯定判定されると、ステップ316へ移行して、操作ダイヤル78、80の突起部82、84で指標されているサイズ系列及び紙質の項目を読み出す。
【0083】
次のステップ318では、トレイ操作パネル60(62)の7セグメント表示部86に、サイズ系列を点滅表示して(先行報知)、ステップ320へ移行する。
【0084】
また、前記ステップ314で否定判定された場合は、ステップ320へ移行する。すなわち、用紙装填部50(52)の開放中に操作部76(操作ダイヤル78、80)の操作がないということは、指標されている項目に変化がないため、あえて、点滅表示する必要ないからである。なお、操作部76の操作如何に関わらず、常に点滅表示するようにしてもよい。
【0085】
ステップ320では、初期動作の中止指示があったか否かが判断され、肯定判定されると、ステップ322へ移行して、初期動作強制終了指示を行い、このルーチンは終了する。この強制終了時は、エラー報知等を行うことが好ましい。
【0086】
また、ステップ320で否定判定された場合は、ステップ324へ移行して、サイズ自動判別処理が終了したか否かが判断される。このステップ324で否定判定された場合は、ステップ320へ戻り、上記工程を繰り返す。
【0087】
ステップ324で肯定判定されると、ステップ326へ移行して、自動判別処理によってロール紙56が装着されていたか否かが判断され、されていないと判定(否定判定)されると、ステップ328へ移行して、該当するトレイ操作パネル60(及び/又は62)を非表示として、このルーチンは終了する。
【0088】
また、ステップ326で肯定判定されると、ステップ330へ移行して該当するトレイ操作パネル60(及び/又は62)に用紙情報を表示し(通常報知)、このルーチンは終了する。
【0089】
なお、先行報知は、点滅に限るものではなく、点灯の色を変える等、少なくとも通常報知と異なる形態であればよい。また、7セグメント表示部86を用いて、先行報知したが、別途、先行報知用の表示部を追加してもよい。
【0090】
また、本実施の形態では、図4に示される如く、操作部76が用紙装填部50(52)が閉止されると、サイズ系列等の操作ができない構成としたが、例えば、図2に示す操作パネル32から、サイズ系列等の設定を行うようにしてもよい。
【0091】
この場合、ユーザーが事前設定の操作を行い、用紙サイズ系列等の設定画面を表示させて、設定することになる。
【0092】
(変形例)
さらに、本実施の形態では、サイズ系列を手動で設定し、用紙装填部50(52)が閉止され、開始指示により、装填されているロール紙56の最外周が引き出され、センサ74によって幅寸法を検出する初期動作中に、用紙サイズを先行報知するようにしたが、初期動作を用紙を引き出す動作とし、また、事前に手動で設定する情報が用紙サイズとしてもよい。
【0093】
すなわち、用紙の幅寸法を検出するセンサ74に代えて、あるいは当該センサ74を適用して(以下、「センサ74等」という)、搬送される用紙の先端を前記センサ74等で検出する構成とする。また、操作部76或いは操作パネル32等により、ユーザーが用紙サイズを事前に手動で入力(設定)しておく。
【0094】
ここで、前記用紙装填部50(52)が閉止されたときに、前記センサ74等による用紙の有無検出動作の実行を指示し、事前に手動で設定された前記用紙のサイズ情報に基づいて、前記用紙のサイズ情報を決定する。
【0095】
前記用紙のサイズ情報を決定した後、前記用紙の検出動作(変形例における初期動作)が開始された時点で、前記サイズ情報を、前記用紙の有無検出動作による用紙の有無の決定に先立って先行報知する。
【符号の説明】
【0096】
10 画像処理装置
12 原稿準備装置
14 画像形成装置
16 フォルダー部
18 画像読取装置
20 原稿テーブル
22 原稿ガイド
24 原稿排出口
26 Uターン排出ガイド
28 原稿操作パネル
32 操作パネル
34 電源スイッチ
36 キャビネット
38 操作制御部
40 排出口
42 トレイ
44 前扉
46 操作パネル
48 手差しトレイ
50、52、54 用紙装填部
56 ロール紙
60、62 トレイ操作パネル
64 下部扉
66 主電源スイッチ
68 前壁部
70 把持部
72 装着ランプ
74 センサ
76 操作部
78、80 操作ダイヤル
82、84 突起部
86 7セグメント表示部
88 単位選択表示部
90 紙質表示部
200 メインコントロール部
204 CPU
206 RAM
208 ROM
210 I/O
212 バス
214 UI制御回路
218 ハードディスク
220 タイマ回路
222 通信回線I/F
234 デバイス選択I/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙装填部に設けられ、この用紙装填部に装填された用紙の少なくもと縦横何れか一方の寸法を検出する検出手段と、
前記用紙のサイズ情報を得るための用紙の系列又は用紙の紙質の少なくとも1つを含む用紙情報を手動で設定するために設けられた操作部と、
前記用紙装填部が閉止されたときに、前記検出手段による前記用紙の寸法の検出動作の実行を指示し、当該検出結果である用紙の寸法と、前記操作部によって手動設定された前記用紙情報とに基づいて、前記用紙のサイズ情報を演算する演算手段と、
前記演算手段で用紙のサイズ情報を演算した後、当該用紙のサイズ情報と、前記操作部の操作で手動設定した前記用紙情報とを報知するサイズ情報報知手段と、
前記幅方向寸法検出手段動作が開始された時点で、前記用紙情報を、前記サイズ情報報知手段によるサイズ情報の報知に先立って先行報知する用紙情報先行報知手段と、
を有する用紙情報判別装置。
【請求項2】
前記先行報知手段が、前記用紙装填部が開放され、かつ前記操作部が操作されず、前記用紙装填部が閉止されたとき実行される請求項1記載の用紙情報判別装置。
【請求項3】
前記用紙装填部が複数設けられ、前記操作部が複数の用紙装填部毎に設けられ、装填される用紙を目視しながら操作可能な位置に設けられている請求項1又は請求項2記載の用紙情報判別装置。
【請求項4】
前記用紙の系列が、予め定められた縦横比、並びに縦横寸法値で分類される情報である請求項1〜請求項3の何れか1項記載の用紙情報判別装置。
【請求項5】
前記用紙が、筒状の芯材に層状に巻き取られた巻取型用紙であり、前記検出手段が、前記芯材の軸線に沿った巻取型用紙の幅寸法を検出する請求項1〜請求項4の何れか1項記載の用紙情報判別装置。
【請求項6】
前記サイズ情報報知手段で前記用紙情報を報知する媒体と、前記用紙情報先行報知手段で前記用紙情報を先行報知する媒体が同一媒体であり、双方の報知形態を異ならせている請求項1〜請求項5の何れか1項記載の用紙情報判別装置。
【請求項7】
用紙装填部に設けられ、この用紙装填部に装填された用紙の有無を検出する用紙有無検出手段と、
前記用紙装填部が閉止されたときに、前記用紙の有無検出動作の実行する実行手段と、
事前に手動で設定された前記用紙のサイズ情報に基づいて、前記用紙のサイズ情報を演算する演算手段と、
前記演算手段での演算で用紙のサイズ情報を決定した後、前記用紙の検出動作が開始された時点で、前記サイズ情報を、前記用紙の有無検出動作による用紙の有無の決定に先立って先行報知するサイズ情報先行報知手段と、
を有する用紙情報判別装置。
【請求項8】
前記請求項1〜請求項7の何れか1項記載の用紙情報判別装置と、
前記用紙装填部から引き出された用紙に対して、画像情報に基づいて画像を形成する画像形成手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項9】
前記請求項1〜請求項7の何れか1項記載の用紙情報判別装置と、
原稿画像から画像情報を取得するために前記原稿画像を読み取る画像読取手段と、
前記用紙装填部から引き出された用紙に対して、前記画像読取手段で読み取った画像情報、或いは外部から受け付けた画像情報に基づいて画像を形成する画像形成手段と、
を有する画像処理装置。
【請求項10】
用紙装填部に設けられ、この用紙装填部に装填された用紙の少なくもと縦横何れか一方の寸法を検出し、
前記用紙装填部が閉止されたときに、前記用紙の寸法の検出動作の実行を指示し、
当該検出結果である用紙の寸法と、事前に手動で設定された前記用紙のサイズ情報を得るための用紙の系列又は用紙の紙質の少なくとも1つを含む用紙情報と、に基づいて、前記用紙のサイズ情報を演算し、
前記用紙のサイズ情報を演算した後、当該用紙のサイズ情報と、前記手動設定した前記用紙情報とを報知すると共に、
前記報知前であり、かつ、前記幅方向寸法検出手段動作が開始された時点で、前記用紙情報を、前記サイズ情報報知手段によるサイズ情報の報知に先立って先行報知する、ことをコンピュータに実行させる用紙情報判別プログラム。
【請求項11】
用紙装填部に設けられ、この用紙装填部に装填された用紙の有無を検出し、
前記用紙装填部が閉止されたときに、前記用紙の有無検出動作の実行を指示し、
事前に手動で設定された前記用紙のサイズ情報に基づいて、前記用紙のサイズ情報を決定し、
前記用紙のサイズ情報を決定した後、前記用紙の検出動作が開始された時点で、前記サイズ情報を、前記用紙の有無検出動作による用紙の有無の決定に先立って先行報知する、ことをコンピュータに実行させる用紙情報判別プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−25501(P2012−25501A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163744(P2010−163744)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】