説明

用紙搬送装置および画像形成装置

【課題】本発明は、搬送経路よりも長い長尺の連続用紙をこの連続用紙の長手方向に搬送する用紙搬送装置、およびこのような用紙搬送装置が備えられた画像形成装置に関し、スカッフローラによる連続用紙に対する安定した張力の付与および安定した用紙搬送が確保された用紙搬送装置、およびこのような用紙搬送装置が備えられた画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】張力検出センサ33によって検出された張力に応じて、スカッフローラ32を構成する一対のローラのうちの従動ローラ322にばね34によって付与される調整自在な付勢力を付勢力調整部35が調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送経路よりも長い長尺の連続用紙をこの連続用紙の長手方向に搬送する用紙搬送装置、およびこのような用紙搬送装置が備えられた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、記録媒体である用紙を搬送しながらその用紙に電子写真方式を用いて画像を形成する画像形成装置が知られている。この画像形成装置では、感光体ドラム等に代表される潜像担持体を一様に帯電させ、その潜像担持体の表面に静電潜像を形成し、その静電潜像を現像することにより潜像担持体の表面にトナー像を形成し、その形成されたトナー像を、用紙搬送装置によって搬送されてきた用紙上に、最終的に転写して定着することによりその用紙上に定着トナー像からなる画像が形成される。このような画像形成装置に配備される用紙搬送装置として、用紙を挟み込ん回転することで用紙を搬送するローラ対を備えたものが知られており、用紙搬送速度に変動のない安定した用紙搬送を図るために、用紙に生じた弛みを弛み検知手段によって検知し、弛みを検知した場合には、そのローラ対の回転数を制御することによって用紙搬送速度を制御するものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところで、記録媒体である用紙として、ロール状に巻き取られて形成されたり、所定間隔で折り畳まれ集積されて形成された、搬送経路よりも長い長尺の連続用紙が用いられることがある。このような連続用紙を搬送する用紙搬送装置には、一般に、潜像担持体よりも搬送経路の上流側に配備された、連続用紙を潜像担持体の周速と同期した給紙速度で転写領域へ給紙するトラクタと、潜像担持体よりも搬送経路の下流側に配備された、連続用紙を挟み込んでトラクタによる給紙速度よりも速い速度で連続用紙を搬送経路の下流側へ搬送する一対のローラからなるスカッフローラが備えられている。このようなトラクタとスカッフローラが配備された用紙搬送装置が画像形成装置に備えられることによって、トラクタによる給紙速度が潜像担持体の周速に一致するように規制された連続用紙が、スカッフローラによって連続用紙の長手方向に所定の大きさの張力を加えられながら連続的に搬送され、連続用紙へのトナー像の転写が適正に行われる。
【0004】
ここで、用紙の中には、例えば再生紙やサトウキビから作った用紙のように、温湿差による伸縮が大きく紙粉が大量に発生するような用紙があり、このような用紙からなる連続用紙が画像形成装置における記録媒体として用いられて搬送されると、発生した紙粉がスカッフローラの表面に付着して、連続用紙とスカッフローラの表面との摩擦係数が経時的に大きく変動するおそれがある。また、用紙の中には、用紙表面を白色化させるための添加剤が添加された用紙もあり、このような用紙からなる連続用紙が画像形成装置における記録媒体として用いられて搬送されると、連続用紙に添加された添加剤の種類によってはその添加剤がスカッフローラの表面に付着して、連続用紙とスカッフローラの表面との間の摩擦抵抗が急激に低下することがある。また、連続用紙に対する画像形成に用いられるトナーの種類によっては、連続用紙上に転写して定着されたトナー像のトナーがスカッフローラの表面に付着して、連続用紙とスカッフローラの表面との間の摩擦抵抗が急激に低下することもある。
【0005】
連続用紙とスカッフローラの表面との摩擦係数が経時的に大きく変動したり、連続用紙とスカッフローラの表面との間の摩擦抵抗が急激に低下すると、スカッフローラによって連続用紙に所定の大きさの張力を加えることが困難となり、連続用紙の搬送力の低下や連続用紙に形成されるの画像品質の低下を引き起こすおそれがある。
【特許文献1】特開平5−319615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に提案された用紙搬送装置によれば、用紙搬送速度に変動のない安定した用紙搬送が可能であるものの、上述した各種要因によって連続用紙とスカッフローラの表面との摩擦係数が経時的に大きく変動したり、連続用紙とスカッフローラの表面との間の摩擦抵抗が急激に低下するような場合には、この特許文献1に提案された用紙搬送装置のようにローラ対の回転数を制御したとしても、連続用紙に所定の大きさの張力を加えることが困難であり、その結果、連続用紙の搬送力の低下や連続用紙に形成されるの画像品質の低下を引き起こすおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、スカッフローラによる連続用紙に対する安定した張力の付与および安定した用紙搬送が確保された用紙搬送装置、およびこのような用紙搬送装置が備えられた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明の用紙搬送装置は、
搬送経路よりも長い長尺の連続用紙をこの連続用紙の長手方向に搬送する用紙搬送装置において、
上記搬送経路の途中に配備された、周面が互いに対向する一対のローラからなるものであって、この一対のローラの間に形成されたニップ領域に上記連続用紙を挟み込んで、この連続用紙に上記長手方向の張力を加えながらこの連続用紙を搬送するスカッフローラと、
上記スカッフローラよりも上記搬送経路の上流側に配備され、上記ニップ領域に挟み込まれた連続用紙に加えられている張力を検出する張力検出部と、
上記一対のローラのうちの一方のローラを他方のローラに向けて付勢する調整自在な付勢力をその一方のローラに付与する付勢力付与部材と、
上記張力検出部により検出された張力に応じて、上記付勢力付与部材が上記一方のローラに付与する付勢力を調整する付勢力調整部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の用紙搬送装置は、張力検出部によって検出された張力に応じて、スカッフローラを構成する一対のローラのうちの一方のローラに付勢力付与部材によって付与される調整自在な付勢力を付勢力調整部が調整するものである。従って、本発明の用紙搬送装置によれば、「背景技術」の欄で説明した各種要因によって、連続用紙とスカッフローラの表面との摩擦係数が経時的に大きく変動したり、連続用紙とスカッフローラの表面との間の摩擦抵抗が急激に低下するような場合であっても、一方のローラに付与される付勢力が調整されることによって、連続用紙に長手方向の所定の大きさの張力を加えることができるため、スカッフローラによる連続用紙に対する安定した張力の付与および安定した用紙搬送が確保される。
【0010】
ここで、上記本発明の用紙搬送装置は、
「上記他方のローラが、駆動力を受けて回転する駆動ローラであり、
上記一方のローラが、上記駆動ローラが回転することで回転する従動ローラであり、
さらにこの用紙搬送装置が、上記他方のローラの周面に当接しこの周面を清掃する清掃部材を備えた」
ことが好ましい。
【0011】
このような清掃部材を備えた用紙搬送装置によれば、連続用紙が搬送されている間であっても他方のローラの周面を清掃することができるため、スカッフローラによる連続用紙に対する安定した張力の付与および安定した用紙搬送が長期にわたって確保される。また、スカッフローラのメンテナンス周期の大幅な向上が図られる。尚、本発明にいう清掃部材は、上記他方のローラの周面に常時当接して清掃するものであってもよく、あるいはその周面に必要に応じて当接して清掃するものであってもよい。
【0012】
また、上記本発明の用紙搬送装置のうちの清掃部材を備えた用紙搬送装置は、上記清掃部材よりも上記他方のローラの回転方向下流側でこの他方のローラの周面に接しその清掃部材による清掃で残った異物を回収する異物回収部材を備えたことがさらに好ましい。
【0013】
このような異物回収部材を備えた用紙搬送装置によれば、清掃部材による清掃で残った異物が連続用紙に付着することによって連続用紙が汚損することが回避される。尚、本発明にいう異物回収部材は、上記他方のローラの周面に常時接して異物を回収するものであってもよく、あるいはその周面に必要に応じて接して異物を回収するものであってもよい。
【0014】
また、上記目的を達成する本発明の画像形成装置は、
搬送経路よりも長い長尺の連続用紙をこの連続用紙の長手方向に搬送する用紙搬送装置を備え、トナー像を形成し、その用紙搬送装置により搬送されている連続用紙にそのトナー像を転写および定着することによりその連続用紙に定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置において、
上記用紙搬送装置が、
上記搬送経路の途中に配備された、周面が互いに対向した一対のローラからなるものであって、この一対のローラの間に形成されたニップ領域に上記連続用紙を挟み込んで、この連続用紙に上記長手方向の張力を加えながらこの連続用紙を搬送するスカッフローラと、
上記スカッフローラよりも上記搬送経路の上流側に配備され、上記ニップ領域に挟み込まれた連続用紙に加えられている張力を検出する張力検出部と、
上記一対のローラのうちの一方のローラを他方のローラに向けて付勢する調整自在な付勢力をその一方のローラに付与する付勢力付与部材と、
上記張力検出部により検出された張力に応じて、上記付勢力付与部材が上記一方のローラに付与する付勢力を調整する付勢力調整部とを備えたものであることを特徴とする。
【0015】
本発明の画像形成装置は、張力検出部によって検出された張力に応じて、スカッフローラを構成する一対のローラのうちの一方のローラに付勢力付与部材によって付与される調整自在な付勢力を調整する用紙搬送装置が備えられたものである。従って、本発明の画像形成装置によれば、本発明の用紙搬送装置と同様に、「背景技術」の欄で説明した各種要因によって、連続用紙とスカッフローラの表面との摩擦係数が経時的に大きく変動したり、連続用紙とスカッフローラの表面との間の摩擦抵抗が急激に低下するような場合であっても、一方のローラに付与される付勢力が調整されることによって、連続用紙に長手方向の所定の大きさの張力を加えることができるため、スカッフローラによる連続用紙に対する安定した張力の付与および安定した用紙搬送が確保され、連続用紙へのトナー像の転写が常時適正に行われる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、スカッフローラによる連続用紙に対する安定した張力の付与および安定した用紙搬送が確保された用紙搬送装置、およびこのような用紙搬送装置が備えられた画像形成装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態が適用された画像形成装置の概略構成図である。ここでは、先ずこの図1を参照して、本発明の位置づけについて説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置1は、搬送経路よりも長い長尺の連続用紙をこの連続用紙の長手方向に搬送する用紙搬送装置を備え、画像形成部によってトナー像を形成し、その用紙搬送装置により搬送されている連続用紙に画像形成部によって形成されたトナー像を転写および定着することによりその連続用紙に定着トナー像からなる画像を形成する、電子写真方式の画像形成装置である。
【0020】
図1に示す画像形成装置1は、画像が形成される前の連続用紙Pが収容されるホッパ10と、連続用紙Pに対して画像を形成する画像形成部20と、連続用紙Pを搬送経路に沿って矢印A方向に搬送する用紙搬送装置30と、搬送されてきた用紙をスタッカ50に導くスイングガイド40と、画像形成部20によって画像が形成された後の連続用紙Pが集積されるスタッカ50とを備えている。この画像形成装置1は、本発明の画像形成装置の一実施形態であり、用紙搬送装置30は、本発明の用紙搬送装置の一実施形態である。尚、図1には示していないが、連続用紙Pの搬送経路には、連続用紙Pを案内するための搬送ガイドが設けられている。
【0021】
図1に示す連続用紙Pは、幅方向両側に多数の送り穴が等間隔に形成されているとともに、所定長さごとにミシン目が形成されていて、つづら折り状に折り畳まれた状態でホッパ10に収容されている。尚、図1に示す状態では、連続用紙Pが、この連続用紙Pに対して画像が形成可能な状態にローディングされている。
【0022】
画像処理部20は、搬送経路の途中に配備された、時計回りの矢印B方向に回転する感光体ドラム21と、感光体ドラム21の周囲に配備された帯電部22、露光部23、現像器24、転写器25、およびクリーニング部26と、感光体ドラム21よりも搬送経路の下流側に配備されたフラッシュ定着部27とから構成されている。転写器25は、連続用紙Pが搬送される搬送経路を挟んで感光体ドラム21と対向する位置に配備されており、感光体ドラム21と搬送経路に沿って搬送されている連続用紙Pとが接する部分が転写領域Tである。現像器24は、感光体ドラム21の周囲の、転写領域Tの上流側に配備されている。露光部23は、現像器24よりもさらに上流側に配備されていて、帯電部22は、露光部23よりもさらに上流側に配備されている。また、クリーニング部26は、感光体ドラム21の周囲の、転写領域Tの下流側に配備されていて、転写領域Tにおいて連続用紙Pに転写されずに感光体ドラム21上に残留する残留トナーをクリーニングする。
【0023】
用紙搬送装置30は、感光体ドラム21よりも搬送経路の上流側に配備されたピントラクタ31と、フラッシュ定着部27よりも搬送経路の下流側に配備された、本発明にいうスカッフローラの一例に相当するスカッフローラ32、本発明にいう張力検出部の一例に相当する張力検出センサ33、本発明にいう付勢力付与部材の一例に相当するばね34(図2参照)、本発明にいう付勢力調整部の一例に相当する付勢力調整部35(図2参照)、本発明にいう清掃部材の一例に相当する清掃パッド36(図2参照)、および本発明にいう異物回収部材の一例に相当する異物回収パッド37(図2参照)とから構成されている。尚、張力検出センサ33、ばね34(図2参照)、付勢力調整部35(図2参照)、清掃パッド36(図2参照)、および異物回収パッド37(図2参照)それぞれに関連する詳細な説明は後述する。
【0024】
ピントラクタ31は、連続用紙Pの幅方向両側に形成されている送り穴に係合する突起状の複数のトラクタピン311aを有する、感光体ドラム21の周速と同期した速度で反時計回りの矢印C方向に循環移動するトラクタベルト311が備えられている。
【0025】
スカッフローラ32は、連続用紙Pを挟み込んで長手方向の引張力を加えながら搬送する一対のローラから構成されている。この一対のローラのうちの一方のローラ(本発明にいう他方のローラの一例に相当するもの)は、駆動力を受けて、ピントラクタ31による給紙速度よりも若干速い速度で反時計回りの矢印D方向に回転する金属製の駆動ローラ321である。また、この一対のローラのうちの他方のローラ(本発明にいう一方のローラの一例に相当するもの)は、駆動ローラ321が反時計回りの矢印D方向に回転することで時計回りの矢印E方向に回転する硬質ナイロン製の従動ローラ322である。この駆動ローラ321は、本発明にいう駆動ローラの一例に相当するものであり、この従動ローラ322は、本発明にいう従動ローラの一例に相当するものである。
【0026】
用紙ホッパ10から引き出された連続用紙Pは、この連続用紙Pの幅方向両側に形成されている送り穴に、ピントラクタ31に備えられた循環移動するトラクタベルト311のトラクタピン311aが係合されることによって、感光体ドラム21の周速と同期した給紙速度で転写領域Tへ給紙されると共に、スカッフローラ32を構成する駆動ローラ321と従動ローラ322との間に形成されたニップ領域に挟み込まれることによって、ピントラクタ31による給紙速度よりも速い速度で搬送経路の下流側へ連続的に搬送される。すなわち、このようなピントラクタ31とスカッフローラ32が配備された用紙搬送装置30が画像形成装置1に備えられることによって、ピントラクタ31による給紙速度が感光体ドラム21の周速に一致するように規制された連続用紙Pが、スカッフローラ32によって連続用紙Pの長手方向に所定の大きさの張力を加えられながら、搬送経路に沿って矢印A方向に連続的に搬送される。
【0027】
感光体ドラム21の表面は、帯電器22によって一様に帯電される。帯電器22により一様に帯電した感光体ドラム21の表面には、露光部23よりレーザ光が照射されて感光体ドラム21の表面に静電潜像が形成される。現像器24は、二成分現像方式を採用したものであり、現像器24には、磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤が収容されている。また、現像器24には現像ロール421が配備されている。現像ロール421の周面には、トナーが付着した磁性キャリアが層状となった現像剤層(いわゆる磁気層)が形成され、トナーは、この現像剤層から静電潜像を担持した感光体ドラム21の表面に供給される。静電潜像はトナーの供給を受けて現像されトナー像となる。
【0028】
転写器25には、トナーの極性とは逆極性の転写バイアスが印加されており、ピントラクタ31およびスカッフローラ32によって搬送経路に沿って矢印A方向に連続的に搬送されている連続用紙Pと感光体ドラム21とが接する転写領域Tにおいて、感光体ドラム21の表面に形成されたトナー像が、その転写器25によって連続用紙P上に転写される。上述したように、ピントラクタ31による給紙速度が感光体ドラム21の周速に一致するように規制された連続用紙Pが、スカッフローラ32によって連続用紙Pの長手方向に所定の大きさの張力を加えられながら連続的に搬送されているため、連続用紙Pへのトナー像の転写が適正に行われる。
【0029】
トナー像が転写された連続用紙Pが搬送経路に沿ってフラッシュ定着部27へと搬送されてくる。このフラッシュ定着部27には、連続用紙P上に転写されたトナー像を定着させるためのフラッシュ光を発するフラッシュランプが備えられていて、フラッシュ光がそのトナー像に向けて発射されることによってトナー像を構成するトナーが溶融されて連続用紙P上に定着され、連続用紙P上に定着トナー像からなる画像が形成される。
【0030】
以上説明しようにして画像が形成された後の連続用紙Pは、スカッフローラ32によって更に搬送され、スカッフローラ32よりも搬送経路の下流側に配備されたスイングガイド40によって折り畳まれるようにしてスタッカ50に導かれる。スイングガイド40によって導かれた連続用紙Pは、つづら折り状に折り畳まれた状態でスタッカ50に集積される。
【0031】
ここで、この図1に示す画像形成装置1における、本発明の一実施形態としての特徴は、この画像形成装置1に備えられた用紙搬送装置30に関連があり、以下、この用紙搬送装置30について詳しく説明する。
【0032】
図2は、図1に示す画像形成装置1に備えられた用紙搬送装置30の一部分および感光体ドラム21を示す図である。
【0033】
図2には、図1に示す画像形成装置1に備えられた感光体ドラム21、およびこの感光体ドラム21よりも搬送経路の下流側に配備された、駆動ローラ321および従動ローラ322によって構成されたスカッフローラ32、張力検出センサ33、ばね34、付勢力調整部35、清掃パッド36、および異物回収パッド37が示されている。
【0034】
張力検出センサ33は、スカッフローラ32よりも搬送経路の上流側に配備され、スカッフローラ32を構成する駆動ローラ321と従動ローラ322との間に形成されたニップ領域に挟み込まれた連続用紙Pに加えられている張力を検出するものである。本実施形態の張力検出センサ33は、連続用紙Pに加えられている張力の変化に応じてアクチュエータ331の角度が変化するように構成されたものであって、そのアクチュエータ331の角度変化から張力を検出している。尚、張力検出センサ33は、圧力センサなどであってもよい。
【0035】
ばね34は、スカッフローラ32を構成する一対のローラのうちの従動ローラ322を駆動ローラ321に向けて付勢する調整自在な付勢力を従動ローラ322に付与するものである。
【0036】
付勢力調整部35は、ばね34の一端に接するように配備されたカム351と、このカム351を回転させるモータ352とから構成されている。張力検出センサ33により検出された張力に応じてモータ352が駆動されることによってカム351が回転され、ばね34が従動ローラ322に付与する付勢力が調整される。
【0037】
清掃パッド36は、図示しない清掃パッド移動機構によって図の向かって上下方向(矢印E方向)に移動可能に配備されている。この清掃パッド36は、従動ローラ322に付与される付勢力が付勢力調整部35によって調整されても連続用紙Pに対する安定した張力の付与および安定した用紙搬送が確保されなくなった場合に、この清掃パッド36を駆動ローラ321の周面に当接させて周面を清掃し、清掃後は図の向かって下方向に退避させるものである。
【0038】
異物回収パッド37は、図示しない異物回収パッド移動機構によって図の向かって上下方向(矢印E方向)に移動可能に配備されている。この異物回収パッド37は、清掃パッド36よりも駆動ローラ321の回転方向下流側で、清掃パッド36によって駆動ローラ321の周面が清掃される際に駆動ローラ321の周面に接し、清掃パッド36による清掃で残った異物を回収し、清掃パッド36が図の向かって下方向に退避されると同時にこの異物回収パッド37も図の向かって下方向に退避されるものである。
【0039】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置1に備えられた用紙搬送装置30は、張力検出センサ33によって検出された張力に応じて、スカッフローラ32を構成する一対のローラのうちの従動ローラ322にばね34によって付与される調整自在な付勢力を付勢力調整部35が調整するものである。従って、本実施形態の用紙搬送装置30によれば、「背景技術」の欄で説明した各種要因によって、連続用紙Pとスカッフローラ32の表面との摩擦係数が経時的に大きく変動したり、連続用紙Pとスカッフローラ32の表面との間の摩擦抵抗が急激に低下するような場合であっても、従動ローラ322に付与される付勢力が調整されることによって、連続用紙Pに長手方向の所定の大きさの張力を加えることができるため、スカッフローラ32による連続用紙Pに対する安定した張力の付与および安定した用紙搬送が確保される。
【0040】
また、このような用紙搬送装置30が備えられた本実施形態の画像形成装置1によれば、スカッフローラ32による連続用紙Pに対する安定した張力の付与および安定した用紙搬送が確保され、連続用紙Pへのトナー像の転写が常時適正に行われる。
【0041】
また、本実施形態の画像形成装置1に備えられた用紙搬送装置30は清掃パッド36を備えていることから、連続用紙Pが搬送されている間であっても駆動ローラ321の周面を清掃することができるため、スカッフローラ32による連続用紙Pに対する安定した張力の付与および安定した用紙搬送が長期にわたって確保される。また、スカッフローラ32のメンテナンス周期の大幅な向上が図られる。
【0042】
また、本実施形態の画像形成装置1に備えられた用紙搬送装置30は異物回収パッド37を備えていることから、清掃パッド36による清掃で残った異物が連続用紙Pに付着することによって連続用紙Pが汚損することが回避される。
【0043】
尚、上述した実施形態では、本発明にいう連続用紙が、所定間隔で折り畳まれ集積されて形成された連続用紙である例について説明したが、本発明にいう連続用紙は、これに限られるものではなく、例えばロール状に巻き取られて形成された連続用紙など、搬送経路よりも長い長尺の連続用紙であればよい。
【0044】
また、用紙の種類を示す情報を入力し、一方のローラを他方のローラに向けて付勢する付勢力をこの用紙種類に応じて変化させるようにすることにより、用紙の種類に応じて用紙を搬送する張力を変えるようにしてもよい。
【0045】
また、上述した実施形態では、本発明にいう清掃部材が、従動ローラ322に付与される付勢力が付勢力調整部35によって調整されても連続用紙Pに対する安定した張力の付与および安定した用紙搬送が確保されなくなった場合に駆動ローラ321の周面に当接させて周面を清掃し、清掃後は退避させる例について説明したが、本発明にいう清掃部材は、これに限られるものではなく、本発明にいう他方のローラの周面に常時当接して清掃するものであってもよい。また、装置の所定時間動作毎に当接させて周面を清掃するものであってもよい。
【0046】
また、上述した実施形態では、本発明にいう異物回収部材が、清掃パッド36によって駆動ローラ321の周面が清掃される際に駆動ローラ321の周面に接し、清掃パッド36による清掃で残った異物を回収し、清掃パッド36が退避されると同時にこの異物回収パッド37も退避される例について説明したが、本発明にいう異物回収部材は、これに限られるものではなく、本発明にいう他方のローラの周面に常時当接して異物を回収するものであってもよい。なお、本発明にいう清掃部材や異物回収部材としては、ワイパー部材やブレード部材、フエルト部材を適宜組み合わせて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態が適用された画像形成装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す画像形成装置1に備えられた用紙搬送装置30の一部分および感光体ドラム21を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1 画像形成装置
10 ホッパ
20 画像形成部
21 感光体ドラム
22 帯電部
23 露光部
24 現像器
25 転写器
26 クリーニング部
27 フラッシュ定着部
30 用紙搬送装置
31 ピントラクタ
311 トラクタベルト
311a トラクタピン
32 スカッフローラ
321 駆動ローラ
322 従動ローラ
33 張力検出センサ
331 アクチュエータ
34 ばね
35 付勢力調整部
351 カム
352 モータ
36 清掃パッド
37 異物回収パッド
40 スイングガイド
50 スタッカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路よりも長い長尺の連続用紙を該連続用紙の長手方向に搬送する用紙搬送装置において、
前記搬送経路の途中に配備された、周面が互いに対向する一対のローラからなるものであって、該一対のローラの間に形成されたニップ領域に前記連続用紙を挟み込んで、該連続用紙に前記長手方向の張力を加えながら該連続用紙を搬送するスカッフローラと、
前記スカッフローラよりも前記搬送経路の上流側に配備され、前記ニップ領域に挟み込まれた連続用紙に加えられている張力を検出する張力検出部と、
前記一対のローラのうちの一方のローラを他方のローラに向けて付勢する調整自在な付勢力を該一方のローラに付与する付勢力付与部材と、
前記張力検出部により検出された張力に応じて、前記付勢力付与部材が前記一方のローラに付与する付勢力を調整する付勢力調整部とを備えたことを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項2】
前記他方のローラが、駆動力を受けて回転する駆動ローラであり、
前記一方のローラが、前記駆動ローラが回転することで回転する従動ローラであり、
さらにこの用紙搬送装置が、前記他方のローラの周面に当接し該周面を清掃する清掃部材を備えたことを特徴とする請求項1記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
前記清掃部材よりも前記他方のローラの回転方向下流側で該他方のローラの周面に接し該清掃部材による清掃で残った異物を回収する異物回収部材を備えたことを特徴とする請求項2記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
搬送経路よりも長い長尺の連続用紙を該連続用紙の長手方向に搬送する用紙搬送装置を備え、トナー像を形成し、該用紙搬送装置により搬送されている連続用紙に該トナー像を転写および定着することにより該連続用紙に定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置において、
前記用紙搬送装置が、
前記搬送経路の途中に配備された、周面が互いに対向した一対のローラからなるものであって、該一対のローラの間に形成されたニップ領域に前記連続用紙を挟み込んで、該連続用紙に前記長手方向の張力を加えながら該連続用紙を搬送するスカッフローラと、
前記スカッフローラよりも前記搬送経路の上流側に配備され、前記ニップ領域に挟み込まれた連続用紙に加えられている張力を検出する張力検出部と、
前記一対のローラのうちの一方のローラを他方のローラに向けて付勢する調整自在な付勢力を該一方のローラに付与する付勢力付与部材と、
前記張力検出部により検出された張力に応じて、前記付勢力付与部材が前記一方のローラに付与する付勢力を調整する付勢力調整部とを備えたものであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−248158(P2006−248158A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−71011(P2005−71011)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】