説明

田植機

【課題】 単位面積の苗植付けに使用される苗量、苗植付け機構による取り出し苗に含まれる苗本数を均一にした苗植付けを行えるようにする。
【解決手段】 苗載せ台のマット状苗を苗供給口に向けて縦送りする縦送り搬送体の駆動量を変更する駆動変更機構80と、縦送り搬送体が停止された状態でのマット状苗の縦移動量を検出する苗ずれ量検出手段101と、自走車体が苗植え状態であるか非苗植え状態であるかを検出する車体状態検出手段115と、制御手段95とを備えてある。制御手段95は、縦送り量設定手段96による設定制御目標縦送り量を、苗植え状態でのずれ量検出手段101による検出ずれ量を基に補正し、かつ、非苗植え状態での苗ずれ量検出手段101による検出ずれ量の重み付けを低くして補正した補正制御目標縦送り量を設定し、マット状苗が設定補正制御目標縦送り量を縦送りされるよう、駆動変更機構80を調整操作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗植付け爪を有する苗植付け機構が、前記苗植付け爪が苗載せ台の苗供給口と田面とにわたって上下に往復移動するよう駆動され、苗載せ台に載置されたマット状苗から苗取り出しするとともに取り出し苗を田面に植え付けるよう構成した苗植付け装置と、前記苗植付け装置が連結された自走機体とを備えた田植機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の田植機において、従来、たとえば特許文献1に示されるものがあった。
特許文献1に示されるものは、苗載せ台の横移動ストロークエンドにおいて、回転支軸に一体回転自在に支持された駆動アームと、横向き回転軸に設けられた回転カムとが当接して回転支軸が駆動され、回転支軸に一体回転自在に支持された各条駆動アームの当接ピンが一方向回転クラッチの作動アームに当接して回転支軸の駆動力が無端回動ベルトの駆動輪体に伝達され、無端回動ベルトが駆動されて苗載せ台のマット状苗を苗植付け機構にむけて縦送りする。また、苗送り量調節機構を備えている。この苗送り量調節機構は、前記作動アームに連係部材と操作ワイヤとを介して連動された縦送り量調節レバーが操作されると、作動アームの基準待機位置を変化させて苗縦送り量を調節する。
【0003】
【特許文献1】特開平5−219810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の田植機では、苗載せ台のマット状苗が苗供給口に向けて縦送りされる際、苗植付け機構による取り出し苗の苗縦方向での大きさに相当した移動量を縦送りされるよう構成される。ところが、従来、田面の単位面積当たりの植付けに使用される苗の量が不均一になることがあった。また、苗植付け機構によって取り出される苗に含まれる苗本数も不均一になることがあった。
つまり、苗載せ台が左右の横移動ストロークエンドの一方から他方に横移動操作される間、苗載せ台の傾斜姿勢、マット状苗の重量、苗載せ台に伝わる振動、苗植付け機構による苗取り出しのために発生する苗の引っ張りなどに起因し、マット状苗の苗供給口に向けてのずれ動きが発生することがある。また、作業の開始当初や苗補給をした当初では、マット状苗が大きくて苗に掛かる苗重圧が大きく、苗のずれ動きが発生しやすい。また、マット状苗によっては、発育相違などに起因して根部硬さが相違することがあり、根部の軟質な苗では、ずれ動きによる圧縮が発生しやすい。このように、マット状苗の圧縮が発生したり、発生した圧縮の大きさが異なったりすると、苗植付け機構によって基準枚数のマット状苗から取り出される苗の数が変化し、かつ、苗植付け機構によって取り出される苗に含まれる苗本数が変化する。
【0005】
上記した従来の技術を採用することにより、上記した苗消費量や苗本数の不均一の解消を図るようにしても、マット状苗のずれ動きの有無および量を作業者が判断し、縦送り量を人為的に調節せねばならいことから、良好な結果が得られず、改善の余地があった。
【0006】
本発明の目的は、上記した苗消費量や苗本数の不均一を解消することができる苗植付け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本第1発明は、苗植付け爪を有する苗植付け機構が、前記苗植付け爪が苗載せ台の苗供給口と田面とにわたって上下に往復移動するよう駆動され、苗載せ台に載置されたマット状苗から苗取り出しするとともに取り出し苗を田面に植え付けるよう構成した苗植付け装置と、前記苗植付け装置が連結された自走機体とを備えた田植機において、
前記苗載せ台に載置されたマット状苗を前記苗供給口に向けて縦送りする縦送り搬送体と、前記縦送り搬送体の駆動量を変更する駆動変更機構と、マット状苗の縦送り制御のための制御目標縦送り量を設定する縦送り量設定手段と、前記縦送り搬送体が停止された状態での苗載せ台におけるマット状苗の縦移動量を検出する苗ずれ量検出手段と、前記自走車体が苗植え状態であるか非苗植え状態であるかを検出する車体状態検出手段とを備え、
前記縦送り量設定手段による設定制御目標縦送り量を、苗植え状態での前記苗ずれ量検出手段による検出ずれ量を基に補正し、かつ、非苗植え状態での前記苗ずれ量検出手段による検出ずれ量の重み付けを低くして補正した又は補正しない補正制御目標縦送り量を設定し、マット状苗が前記設定補正制御目標縦送り量を縦送りされるよう、前記駆動変更機構を調整操作する制御手段を備えてある。
【0008】
本第1発明の構成によると、マット状苗の縦方向でのずれ動きが発生するしないにかかわらず、かつ、そのずれ動きが苗植え作業時に発生したものであっても、苗植え作業時以外に発生したものであっても、苗植付け機構が基準枚数のマット状苗から取り出す苗の数も、苗植付け機構がマット状苗から取り出す苗に含まれる苗本数も変化しにくくなる。
【0009】
つまり、苗載せ台で縦方向のずれ動きが発生しないあるいは発生しにくいマット状苗の場合、苗横送り時に苗ずれ量検出手段によって苗ずれが検出されず、苗横送りがストロークエンドに至って苗縦送りが行われる際、マット状苗が設定制御目標縦送り量を縦移動するよう縦送り搬送体を駆動して苗縦送りが行われる。この場合、苗縦送り後の苗横送り時にもマット状苗のずれ動きが発生しないあるいは発生しにくいことにより、苗縦送り後の苗横送りの際に苗植付け機構が取り出していく苗の苗縦方向での大きさが縦送り量設定手段によって設定された大きさと同一あるいはほぼ同一になる。
【0010】
苗載せ台で縦方向のずれ動きが発生しやすいマット状苗の場合、苗横送り時に苗ずれ量検出手段によって苗ずれが検出され、苗横送りがストロークエンドに至って苗縦送りが行われる際、設定制御目標縦送り量を検出ずれ量を基に補正した補正制御目標縦送り量が設定され、マット状苗が設定補正制御目標縦送り量を縦移動するよう縦送り搬送体を駆動して苗縦送りが行われる。この場合、苗縦送り後の苗横送りの際にもマット状苗のずれ動きが発生しやすいことにより、苗縦送り後の苗横送りの際におけるマット状苗の実際の縦移動量は、縦送り搬送体による縦送り量にマット状苗のずれ動き量が加わった量になる。
【0011】
また、本第1発明の構成によると、非苗植え状態での検出ずれ量の重み付けを低くして補正し又は補正しない補正制御目標縦送り量を設定し、マット状苗がこの補正制御目標縦送り量を縦送りされるよう縦送り搬送体を駆動して苗縦送りをされるので、非苗植え状態における苗のずれ動きが発生しても、これに起因した苗供給不良が発生しにくい。
【0012】
つまり、非苗植え状態では、移動走行や畦超え移動による機体振動や、苗載せ台に対する苗の出し入れによる影響のために大きなずれ動きが発生しやすい。また、苗載せ台に対する苗の出し入れの影響により、苗ずれ量検出手段が逆方向の検出をしたり、過剰量の検出をしたりすることがある。すると、非苗植え状態でのずれ動きが、補正制御目標縦送り量の設定に反映されると、この設定補正制御目標縦送り量に基づいて行われた苗の縦送り量に過不足が発生しやすくなる。
【0013】
本第1発明の構成によると、非苗植え状態での苗のずれ動きを補正制御目標縦送り量の設定に反映しないで補正制御目標縦送り量を設定されるか、反映しても反映度合いがすくなくなるよう重み付けを低くして補正制御目標縦送り量を設定される。すると、検出ずれ量を基に設定した設定補正制御目標縦送り量に基づいて苗縦送りが行われても、非苗植え状態での苗のずれ動きに起因した過大量や過小量の縦送りが発生しない。
【0014】
これにより、マット状苗のずれ動きの有無にかかわらず、田面の単位面積当たりの苗植付けに使用される苗量が均一又はほぼ均一になって準備した苗に不足が発生しにくいようにして、植付け苗に含まれる苗本数の変化が少ない良好な仕上がりの苗植え作業を行ったり、非苗植え状態での苗のずれ動きの発生にかかわらず、縦送り量設定手段による設定量に極力合致した苗量での苗植え作業を行ったりできる。
【0015】
本第2発明は、本第1発明の構成において、車体状態検出手段は、苗載せ台の苗積み込み状態を非苗植え状態として検出するよう構成してある。
【0016】
本第2発明の構成によると、苗載せ台に苗積み込みを行う際、積み込み衝撃によるマット状苗のずれ動きが発生しても、この検出ずれ量の重み付けを低くして補正した又は補正しない補正制御目標縦送り量を設定され、この補正制御目標縦送り量を基に縦送り搬送体を駆動して縦送りされる。これにより、苗積み込みに起因したマット状苗のずれ動きにかかわらず、縦送り量設定手段による設定量に極力合致した苗量での苗植え作業を行うことができる。
【0017】
本第3発明は、本第1発明の構成において、車体状態検出手段は、苗植付け機構によるマット状苗縦方向での苗取り出し量を変更する苗取り量変更機構の操作状態を非苗植え状態として検出するよう構成してある。
【0018】
本第3発明の構成によると、苗取り量を変更する際、苗取り量変更機構の操作に伴う苗載せ台振動によってマット状苗のずれ動きが発生しても、この検出ずれ量の重み付けを低くして補正した又は補正しない補正制御目標縦送り量を設定され、この補正制御目標縦送り量を基に縦送り搬送体を駆動して縦送りされる。これにより、苗取り量の調節に起因したマット状苗のずれ動きにかかわらず、縦送り量設定手段による設定量に極力合致した苗量での苗植え作業を行うことができる。
【0019】
本第4発明は、本第1発明の構成において、車体状態検出手段は、自走車体の旋回走行状態を非苗植え状態として検出するよう構成してある。
【0020】
本第4発明の構成によると、旋回走行の際、走行振動によるマット状苗のずれ動きが発生しても、この検出ずれ量の重み付けを低くして補正した又は補正しない補正制御目標縦送り量を設定され、この補正制御目標縦送り量を基に縦送り搬送体を駆動して縦送りされる。これにより、旋回走行に起因したマット状苗のずれ動きにかかわらず、縦送り量設定手段による設定量に極力合致した苗量での苗植え作業を行うことができる。
【0021】
本第5発明は、本第1発明の構成において、車体状態検出手段は、自走車体の発進操作及び停止操作の状態を非苗植え状態として検出するよう構成してある。
【0022】
本第5発明の構成によると、車体の発進および停止の際、発進や停止衝撃によるマット状苗のずれ動きが発生しても、この検出ずれ量の重み付けを低くして補正した又は補正しない補正制御目標縦送り量を設定され、この補正制御目標縦送り量を基に縦送り搬送体を駆動して縦送りされる。これにより、発進や停止に起因したマット状苗のずれ動きにかかわらず、縦送り量設定手段による設定量に極力合致した苗量での苗植え作業を行うことができる。
【0023】
本第6発明は、本第1発明の構成において、複数の苗植付け機構を備え、車体状態検出手段は、前記複数の苗植付け機構の一部の苗植付け機構に対する伝動を入り切りする少数条クラッチの操作状態を非苗植え状態として検出するよう構成してある。
【0024】
本第6発明の構成によると、少数条クラッチを操作する際、操作衝撃や切り換わり衝撃によるマット状苗のずれ動きが発生しても、この検出ずれ量の重み付けを低くして補正した又は補正しない補正制御目標縦送り量を設定され、この補正制御目標縦送り量を基に縦送り搬送体を駆動して縦送りされる。これにより、少数条クラッチの操作に起因したマット状苗のずれ動きにかかわらず、縦送り量設定手段による設定量に極力合致した苗量での苗植え作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係る施肥装置付き乗用型田植機の全体を示す側面図である。図2は、本発明の実施例に係る施肥装置付き乗用型田植機の全体を示す平面図である。これらの図に示すように、本発明の実施例に係る施肥装置付き乗用型田植機は、左右一対の操向操作及び駆動自在な前車輪1,1と左右一対の駆動自在な後車輪2,2とを備えた自走車体と、この自走車体の車体フレーム3の後部に連結された苗植付け装置10と、自走車体の運転座席4の後側近くに位置する肥料タンク21を有した施肥装置20とを備えている。
【0026】
自走車体は、前記左右前輪1,1及び前記左右後輪2,2を備える他、車体前部に設けたエンジン5を有した原動部と、前記運転座席4及びステアリングホィール6を有した運転部と、前記原動部の両横側方に設けた予備苗収容装置7とを備えている。自走車体は、車体後部と苗植付け装置10とにわって設けた回転伝動軸8により、前記エンジン5からの駆動力を苗植付け装置10に伝達する。
【0027】
苗植付け装置10は、リンク機構9を介して車体フレーム3に連結されている。この苗植付け装置10は、リンク機構9が油圧式の昇降シリンダ9aによって車体フレーム3に対して上下に揺動操作されることにより、苗植付け装置10が備える接地フロート11が田面に接地した下降作業状態と、接地フロート11が田面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降操作される。
【0028】
図2は、苗植付け装置10の平面視での構造を示している。図3は、苗植付け装置10の側面図である。図4は、苗植付け装置10の平面視での構造を示している。これらの図に示すように、苗植付け装置10は、苗植付け装置横方向に沿った鋼管材製のメインフレーム12、及び、このメインフレーム12から自走車体後方向きに、自走車体横方向に並べて延出された複数の植付け駆動ケース13を備えて成る植付け装置フレームと、前記各植付け駆動ケース13の後端部の両横側に駆動自在に設けた苗植付け機構14と、前記植付け装置フレームの前端側の上方に後端側ほど低い配置高さに位置する後下がりの傾斜姿勢で設けた一つの苗載せ台15と、前記植付け装置フレームの下部に自走車体横方向に並べて設けた複数の前記接地フロート11とを備えている。
【0029】
施肥装置20は、前記肥料タンク21を備える他、この肥料タンク21の下部に自走車体横方向に並べて設けた肥料繰り出し装置22と、各肥料繰り出し装置22の肥料送出部に接続された電動ブロワ23と、各肥料繰り出し装置22の肥料送出部から自走車体後方向きに延出された施肥ホース24とを備えている。前記複数本の施肥ホース24の延出端部は、苗植付け装置10に設けた複数の施肥器25に各別に接続されている。複数の施肥器25は、前記苗植付け機構14の前側近くに一個ずつ位置するよう苗植付け装置横方向に並べて前記複数の接地フロート11に分散させて支持されている。
【0030】

この施肥装置付き乗用型田植機は、8条の田植作業と植付け苗に対する施肥作業とを行うものである。すなわち、苗植付け装置10を下降作業状態にして自走車体を走行させると、苗植付け装置10は、前記接地フロート11によって田面を整地し、自走機体横方向に並ぶ8個の前記苗植付け機構14により、苗載せ台15に載置されたマット状苗Aからブロック苗を取り出し、このブロック苗を整地後の田面に植え付けていく。これに伴い、施肥装置20は、肥料タンク21に貯留された粒状の肥料を各肥料繰り出し装置22によって肥料タンク21から繰り出し、この繰り出し肥料を電動ブロワ23からの搬送風によって施肥ホース24に送り込む。各施肥器25は、田面の苗植付け機構14による苗植付け箇所の横側近くに溝を形成し、形成した溝内に施肥ホース24からの肥料を供給していく。
【0031】
次に、苗植付け装置10についてさらに詳述する。
図3は、苗植付け機構14の側面視での構造を示し、図4は、苗植付け機構14の平面視での構造を示している。これらの図に示すように、各苗植付け機構14は、前記植付け駆動ケース13に回転支軸14aを介して駆動回動自在に支持されたロータリケース14bと、このロータリケース14bの両端部に回転支軸14cを介して駆動回動自在に支持された植付けアーム14dと、各植付けアーム14dに支持された苗植付け爪14eとを備えている。各植付けアーム14dは、ロータリケース14bが駆動回動されると、回転支軸14aの軸芯まわりで植付け駆動ケース13に対して回動しながら、ロータリケース14bの内部に位置する駆動機構(図示せず)の作用によって回転支軸14cの軸芯まわりでロータリケース14bに対して回動する。
【0032】
すなわち、各苗植付け機構14は、前記回転伝動軸8によって前記メインフレーム12の中央部に位置するフィードケース16に入力され、このフィードケース16から回転伝動軸17によって植付け駆動ケース13に伝達された駆動力によって駆動される。これにより、各苗植付け機構14は、各苗植付け爪14eが回転軌跡S(図3参照)に沿って苗載せ台15の苗供給口18と田面とにわたって上下に往復移動し、かつ、一対の苗植付け爪14e,14eが交互に苗供給口18を通過する苗植え運動を行い、各苗植付け爪14eによって苗載せ台15に載置されたマット状苗Aの下端部から一株分のブロック苗を切断するとともに取り出し、取り出したブロック苗を田面に下降搬送して植え付ける。
【0033】
図2は、苗載せ台15の平面視での構造を示し、図3は、苗載せ台15の支持構造を示している。これらの図に示すように、苗載せ台15は、各苗植付け機構14に対応する苗載置部15aを苗載せ台横方向(自走機体横方向)に並んだ状態で備えている。苗載せ台15の下端側は、植付け駆動ケース13に固定のホルダー30に連結部材31を介して支持されたガイドレール32に摺動自在に支持されている。前記連結部材31は、ガイドレール32の長手方向に並べて複数個設けられている。苗載せ台15の上端側に固定された苗載せ台フレーム15bは、メインフレーム12に立設された支柱33が有するローラ34に支持されている。
つまり、苗載せ台15は、各苗植付け機構14に供給するマット状苗Aを苗載せ台横方向に並べて載置した状態で貯留し、この状態でガイドレール32に案内されて各苗植付け機構14に対して苗植付け装置横方向に移動する。図6に示すように、前記ガイドレール32は、苗載せ台15の下端側に配置した苗受け部32aを備え、この苗受け部32aによって各苗載置部15aにおけるマット状苗Aの下端部にストップ作用し、各マット状苗Aの苗載せ台15での下降限界を設定している。また、ガイドレール32は、苗受け部32aに各苗植付け機構14に対応させて設けた切り欠き孔を備え、この切り欠き孔によって前記苗供給口18を形成している。
【0034】
図4に示すように、前記フィードケース16と苗載せ台15とにわたって苗横送り機構40を設けてある。この苗横送り機構40は、フィードケース16に駆動回転自在に支持された横送り軸41と、この横送り軸41に相対回転及び摺動自在に装着された横送り体42とを備えている。横送り軸41は、前記回転伝動軸8によってフィードケース16に伝達された駆動力によって各苗植付け機構14の駆動に連動させて回転駆動され、横送り軸41に設けた螺旋状の横送り係止溝の作用によって横送り体42を横送り軸41に沿わせて往復移動させる。横送り体42は、横送り軸41によって移動操作されると、横送り体42の連結部42aによる苗載せ台15との連結のために苗載せ台15を一体に移動させる。
【0035】
すなわち、苗横送り機構40は、横送り軸41を各苗植付け機構14の苗植え運動に連動させて回転駆動し、この横送り軸41によって横送り体42を介して苗載せ台15を左右方向に往復移動操作する。これにより、苗横送り機構40は、各苗植付け機構14がマット状苗Aの下端部の横方向での一端側から他端側に向けて順次に苗取り出しするよう各苗載置部15aのマット状苗Aを対応する苗供給口18に対して左右方向に往復移動させる。
【0036】
図2,3,4に示すように、苗載せ台15は、各苗載置部15aの下端側に苗載せ台横幅方向に並べて設けた一対の苗縦送りベルト50を備えている。各苗縦送りベルト50は、この苗縦送りベルト50の苗載せ台上下方向での下端側が巻回しているベルト駆動輪体51によって駆動され、苗載置部15aに載置されているマット状苗Aを前記苗供給口18に向けて縦送りする。
【0037】
図4に示すように、前記フィードケース16と苗載せ台15とにわたって苗縦送り機構52を設けてある。この苗縦送り機構52は、前記フィードケース16に駆動回動自在に支持された縦送り軸53と、苗載せ台15の裏面側に回転自在に支持された伝動軸54と、苗載せ台15の裏面側に苗載せ台横方向に並べて設けたベルト駆動部60とを備えている。
【0038】
図4,6に示すように、伝動軸54は、この伝動軸54の中間部に一体回動自在に設けた受動アーム55及び位置決め片56を備えている。受動アーム55は、位置決め片56がストッパアーム57のストッパ部57aに当接して支持されることによって決まる待機位置にリターンバネ58によって揺動付勢されている。伝動軸54は苗載せ台15と共にフィードケース16に対して左右方向に往復移動し、苗載せ台15が左側の横移動ストロークエンドに到達すると、前記受動アーム55が前記縦送り軸53に一体回動自在に設けてある左右一対の縦送りアーム53a,53aの一方の縦送りアーム53aの回転経路に入り込む。苗載せ台15が右側の横移動ストロークエンドに到達すると、前記受動アーム55が縦送り軸53の他方の縦送りアーム53aの回転経路に入り込む。受動アーム55がいずれの縦送りアーム53aの回転経路に入り込んだ場合も、縦送りアーム53aの伝動ローラ53bが受動アーム55に当接し、この受動アーム55が待機位置から揺動駆動されて伝動軸54が駆動される。このとき、位置決め片56が受動アーム55と一体に揺動する。受動アーム55が待機位置から所定角度を揺動すると、縦送りアーム53aの伝動ローラ53bが受動アーム55から外れ、伝動軸54の回動が停止し、かつ、受動アーム55及び位置決め片56がリターンバネ58のために復帰揺動し、位置決め片56がストッパ部57aに当接して受動アーム55が待機位置に復帰する。
【0039】
図4に示すように、八つの苗載置部15aの隣り合う二つずつの苗載置部15aが一つの苗植え単位条に属するようにして八つの苗載置部15aを四つの苗植え単位条にグループ分けし、前記複数のベルト駆動部60は、一つの苗植え単位条に一つずつ属するようにして設けてある。図7は、ベルト駆動部60の断面図である。図9は、ベルト駆動部60の分解状態での斜視図である。図13は、ベルト駆動部60の側面図である。これらの図に示すように、各ベルト駆動部60は、一つの伝動ロータ62と、この伝動ロータ62の筒軸部62bに相対回転自在に外嵌している回転角調整ロータ63と、前記伝動軸54に一体回転自在に設けた駆動連動フック64と、前記伝動ロータ62の筒軸部62bに相対回転自在に支持された位置決めアーム65と、前記回転角調整ロータ63と前記伝動ロータ62の筒軸部62bとにわたって設けた一方向回転クラッチ66とを備えている。
【0040】
伝動ロータ62は、筒軸部62bが位置する側とは反対側の端部に設けた複数の伝動爪62aを備え、ベルト駆動部60が属する一つの苗植え単位条の全ての前記ベルト駆動輪体51のうちの一つのベルト駆動輪体51の一端側に前記複数の伝動爪62aによって一体回転自在に連動している。この伝動ロータ62は、ブッシュ68を介して伝動軸54に相対回転自在に外嵌している。回転角調整ロータ63は、この回転角調整ロータ63の一端側に設けた受動部63aが位置決めアーム65の基部に当接して受け止め支持される位置にリターンバネ67によって回動付勢されている。ベルト駆動部60が属する一つの苗植え単位条における全てのベルト駆動輪体51は、1本のベルト駆動軸61によって一体回転自在に連結されている。ベルト駆動軸61は、伝動軸54に相対回転自在に外嵌している。
【0041】
図8(イ)は、伝動軸54および駆動連動フック64の停止状態を示し、図8(ロ)は、伝動軸54および駆動連動フック64の駆動状態を示す。これらの図に示すように、駆動連動フック64は、伝動軸54が停止していると、待機位置Xに位置し、伝動軸54が駆動されると、この伝動軸54によって回転駆動され、待機位置Xから伝動軸54の駆動回動角と等しい駆動角aを回転した駆動位置Yになる。駆動位置Yに駆動された駆動連動フック64は、フック部64aによって回転角調整ロータ63の受動部63aに当接し、回転角調整ロータ63を待機位置Mから回転駆動する。駆動された回転角調整ロータ63は、一方向回転クラッチ66を介して伝動ロータ62を駆動し、伝動爪62aを介して一つのベルト駆動輪体51を駆動し、このベルト駆動輪体51とベルト駆動軸61とを介して他のベルト駆動輪体51を回転駆動する。これにより、駆動された回転角調整ロータ63は、ベルト駆動部60が属している一つの苗植え単位条の二つの苗載置部15aに位置する全ての苗縦送りベルト50を苗縦送り方向に駆動する。
【0042】
前記各ベルト駆動部60は、前記位置決めアーム65を有した駆動変更機構80を備えている。図12は、駆動変更機構80の底面視での構造を示している。図13は、駆動変更機構80の側面視での構造を示している。これらの図に示すように、駆動変更機構80は、前記位置決めアーム65を備える他、前記回転角調整ロータ63と、苗載せ台15に支持された減速機構81と、この減速機構81に支持された電動モータで成る縦送り補正モータ82とを備えている。前記縦送り補正モータ82は、前記減速機構81と、この減速機構81の出力軸81aに一体回転自在に連結された揺動自在な駆動アーム86と、この駆動アーム86を前記位置決めアーム65に連動させている連動リンク87とを介して位置決めアーム65に連動されている。
【0043】
図10(イ)は、駆動変更機構80の位置決めアーム65が縦送り域Dに操作された状態での側面図である。図10(ロ)は、駆動変更機構80の位置決めアーム65が停止位置Tに操作された状態での側面図である。これらの図に示すように、位置決めアーム65は、縦送り補正モータ82が駆動操作されると、この縦送り補正モータ82の駆動力と前記リターンバネ67の操作力とによって伝動軸54の軸芯まわりで揺動操作され、縦送り域Dに操作されたり、停止位置Tに切り換え操作されたりする。縦送り域Dに操作された位置決めアーム65は、回転角調整ロータ63を待機位置Mに位置決めする。位置決めアーム65は、縦送り域Dで位置変更されると、回転角調整ロータ63の待機位置Mの変更調節をする。回転角調整ロータ63は、待機位置Mに位置決めされていると、伝動軸54が駆動されて駆動連動フック64が駆動角aを駆動された場合、駆動連動フック64のフック部64aが回転角調整ロータ63の受動部63aに当接することによって駆動される。回転角調整ロータ63の待機位置Mが変更されると、回転角調整ロータ63の受動部63aと、待機位置Xに位置する駆動連動フック64のフック部64aとの間隔が大小変化し、回転角調整ロータ63が駆動連動フック64によって回動駆動される際の回転角調整ロータ63の回動角度が大小変化する。
【0044】
一方、停止位置Tに操作された位置決めアーム65は、回転角調整ロータ63を伝動切り位置STに位置決めする。回転角調整ロータ63が伝動切り位置STに位置決めされた場合、回転角調整ロータ63の受動部63と待機位置Xに位置する駆動連動フック64のフック部64aとの間隔が駆動連動フック64の駆動角aよりも大になり、伝動軸54が駆動されて駆動連動フック64が駆動角aを回動駆動されても、回転角調整ロータ63は駆動されない。
【0045】
すなわち、縦送り補正モータ82が駆動操作されて位置決めアーム65が縦送り域Dに操作された場合、駆動変更機構80は、伝動軸54が駆動されると、伝動軸54と共に回動する駆動連動フック64の駆動力を回転角調整ロータ63によって伝動ロータ62に伝達し、苗縦送りベルト50を駆動させるように縦送りベルト駆動状態になる。縦送りベルト駆動状態になった駆動変更機構80は、位置決めアーム65の縦送り域Dでの操作位置が変更調節されることにより、回転角調整ロータ63が駆動連動フック64によって駆動される回転角を増減調整し、苗縦搬送ベルト50の駆動量を増加や減少するよう調整する。一方、縦送り補正モータ82が駆動操作されて位置決めアーム65が停止位置Sに操作された場合、駆動変更機構80は、伝動軸54が駆動されても、駆動連動フック64の駆動力を伝動ロータ63に伝達せず、苗縦送りベルト50を停止状態に維持するよう縦送りベルト停止状態になる。
【0046】
つまり、苗縦送り機構52は、苗載せ台15が左右の横移動ストロークエンドに到達する都度、縦送り軸53の駆動力を縦送りアーム53aと受動アーム55との当たりによって伝動軸54に伝達し、この伝動軸54によって各ベルト駆動部60の駆動連動フック64を駆動角aだけ駆動して各ベルト駆動部60を作動させ、各ベルト駆動部60によってこのベルト駆動部60が属する苗植え単位条の二つの苗載置部15aに位置するベルト駆動輪体51を駆動する。これにより、苗縦送り機構52は、苗載せ台15が左右の横移動ストロークエンドに到達した際、駆動変更機構80が縦送り補正モータ82によって縦送りベルト駆動状態に操作されておれば、この駆動変更機構80が属する苗植え単位条における苗載置部15aの苗縦送りベルト50を駆動し、駆動変更機構80が縦送り補正モータ82によって縦送りベルト停止状態に操作されておれば、この駆動変更機構80が属する苗植え単位条における苗載置部15aの苗縦送りベルト50を駆動しない。また、苗縦送りベルト50を駆動する場合、回転角調整ロータ63の縦送り補正モータ82によって調整された待機位置Mに対応した駆動量を駆動する。
尚、縦送りアーム53aは、苗植付け機構14が機体進行方向での一株間の苗植え運動を行う間に苗縦送りベルト50による苗縦送りを完了するようこれに対応した駆動速度で駆動されている。
【0047】
図5に示すように、苗載せ台15の裏面側に、取り量調節レバー71を備えた苗取り量変更機構70を設けてある。この苗取り量変更機構70は、前記取り量調節レバー71を備える他、前記各連結部材31の上端部31aに係止された操作アーム72を備えている。
【0048】
取り量調節レバー71及び複数の操作アーム72は、植付け駆動ケース13に固定のブラケット73に回転自在に支持された回転支軸74に一体回転自在に連結されている。取り量調節レバー71が回転支軸74の軸芯まわりでレバーガイド75(図5参照)のガイド溝に沿わせて揺動操作されると、各操作アーム72が回転支軸74の軸芯まわりで上下に揺動操作され、連結部材31をホルダー30に対して昇降操作する。すると、苗載せ台15とガイドレール32が共に苗植付け機構14の前記回転軌跡Sに対して苗載せ台上下方向に移動操作され、各苗植付け機構14がマット状苗Aから取り出すブロック苗のマット状苗縦方向での大きさが増加あるいは減少する。取り量調節レバー71がレバーガイド75の切り欠き部に係入されて操作位置に保持されると、苗載せ台15とガイドレール32が調節位置に保持される。図6に示すように、苗取り量変更機構70は、前記回転支軸74に一体回転自在に支持された前記ストッパアーム57を備えている。
【0049】
すなわち、苗取り量変更機構70は、取り量調節レバー71が回転支軸74の軸芯まわりで揺動操作されることによって調節操作され、各苗植付け機構14がマット状苗Aから取り出すブロック苗のマット状苗縦方向での大きさを増加あるいは減少するように変更する。このように苗取り量変更が行われると、前記ストッパアーム57が前記ストッパ部57aによって位置決め片56を伝動軸54の軸芯まわりで揺動調整し、受動アーム55の待機位置を変更調整する。つまり、各苗植付け機構14によって取り出されるブロック苗のマット状苗縦方向での大きさが大きくされるほど、受動アーム55が縦送りアーム53aによって駆動される揺動角度がより大になるよう受動アーム55の待機位置を変更調整する。
【0050】
図16は、田植機が備える苗供給制御装置のブロック図である。この図に示すように、苗供給制御装置は、前記複数の駆動変更機構80を備える他、各駆動変更機構80に設けた駆動変更検出手段85と、各駆動変更機構80の前記縦送り補正モータ82に連係された制御手段95と、この制御手段95に連係された四つの苗移動量検出手段90と、制御手段95に連係された縦送り量設定手段96と、制御手段95に検出スイッチ97aが連係された横送り回数検出手段97と、制御手段95に検出スイッチ98aが連係された縦送り検出手段98とを備えている。さらに、苗供給制御装置は、制御手段95に連係された操向検出手段105と変速状態検出手段106と上昇検出手段107と複数の指令手段112とを備えている。
【0051】
図11,12,13に示すように、各駆動変更機構80に設けた駆動変更検出手段85は、前記位置決めアーム65を支持するベース部材83にブラケット84を介して支持されたポテンショメータによって構成してある。このポテンショメータの回転操作軸85aは、この回転操作軸85aに一体回転自在に連結された揺動自在な操作アーム88と、この操作アーム88を前記位置決めアーム65に連動させている連動リンク89とを介して位置決めアーム65に連動されている。すなわち、各駆動変更検出手段85は、この駆動変更検出手段85が備えられた駆動変更機構80の位置決めアーム65の操作位置を検出し、この検出結果を制御手段95にフィードバックする。
【0052】
図2,4に示すように、四つの苗移動量検出手段90は、苗載せ台15に苗載せ台横幅方向に並べて設けてある。四つの苗移動量検出手段90は、一つの苗移動量検出手段90が前記各苗植え単位条の二つの苗載置部15aの一方に位置するよう配置してある。図14は、苗移動量検出手段90の底面図である。図15は、苗移動量検出手段90の側面図である。これらの図に示すように、各苗移動量検出手段90は、苗載置部15aの下端側に前記一対の苗縦送りベルト50,50の間に配置して設けた回転輪体91と、苗載せ台15の裏面側に固定のブラケット92に支持されたロータリエンコーダ93とを備えている。回転輪体91は、ロータリエンコーダ93の苗載せ台横向きの回転操作軸93aに一体回転自在に支持されている。回転輪体91は、回転輪体91とマット状苗Aとの間のスリップが発生しにくいよう回転輪体91の外周面に設けたローレット加工部91aを備えている。ローレット加工部91aに替えて歯切り加工部を採用してもよい
【0053】
すなわち、苗載置部15aに載置されたマット状苗Aの消費が進み、マット状苗Aの後端が回転輪体91を越えて苗供給口18の側に移動してマット状苗Aが回転輪体91から外れない限り、前記ブラケット92が回転論体91に掛かるマット状苗Aの重量のために弾性変形して発揮する操作力によって回転輪体91がマット状苗Aの床土部の底面側に接触付勢される。これにより、マット状苗Aが苗供給口18に向けて移動すると、これに伴って回転輪体91が回転し、ロータリエンコーダ93が回転作動する。つまり、各苗移動量検出手段90は、マット状苗Aが回転輪体91から外れない限り、マット状苗Aが苗載置部上を縦移動すると、ロータリエンコーダ93によってその縦移動量を検出、この検出結果を制御手段95に出力する。
【0054】
図16に示すように、縦送り量設定手段96は、前記取り量調節レバー71に回転操作部が連動された回転ポテンショメータによって構成してある。縦送り量設定手段96は、前記苗取り量変更機構70が調節操作され、苗植付け機構14による取り出し苗のマット状苗縦方向での大きさを変更設定されると、取り出し苗の変更設定されたマット状苗縦方向での大きさを、マット状苗Aの縦送り制御のための制御目標縦送り量S0として設定し、この設定制御目標縦送り量S0を制御手段95に出力する。
【0055】
図16に示すように、横送り回数検出手段97は、前記検出スイッチ97aを備える他、前記縦送り軸53に一体回転自在に支持された検出対象片97bを備えている。検出スイッチ97aは、近接スイッチで成り、検出対象片97bが縦送り軸53によって回転操作されて検出スイッチ97aに近接することによって検出作動する。
すなわち、横送り回数検出手段97は、各苗植付け機構14の苗植付け爪14eによる苗取り出しが行われる都度、検出スイッチ97aが検出作動し、制御手段95に検出スイッチ97aの検出作動回数をマット状苗Aの横送り回数として計測させ、この計測結果を基に苗横送りがストロークエンドに到達したか否かを検出させる。この横送り回数検出手段97は、縦送り軸53の回転数を横送り回数として検出するものだから、苗植付け機構14によってマット状苗Aから取り出される苗のマット状苗横方向での大きさを変更されても、設定横送り回数SNの変更設定を行う必要がない。すなわち、取り出し苗のマット状苗横方向での大きさを変更する横送り変速装置(図示せず)は、縦送り軸53よりも伝動方向下手側で変速作用して横送り軸41の変速を行う。このため、横送り軸41の変速にかかわらず、縦送り軸53の回転数は一定に維持される。
【0056】
図16に示すように、縦送り検出手段98は、前記検出スイッチ98aを備える他、前記伝動軸54の前記受動アーム55に一体揺動自在に支持された検出対象片98bを備えている。検出スイッチ98aは、近接スイッチで成り、受動アーム55が縦送りアーム53aによって駆動されて伝動軸54が駆動される都度、検出対象片98bが検出スイッチ98aに近接して検出作動する。すなわち、縦送り検出手段98は、検出スイッチ98aが検出作動したことを制御手段95に検出させ、これによって苗縦送りベルト50による苗縦送りが行われたと制御手段95に検出させる。
【0057】
操向検出手段105は、ステアリングホイール6に連動された回転角センサで成り、ステアリングホイール6の直進位置からの回転角を左右前輪1の切れ角として検出し、この検出結果を制御手段95に出力する。変速状態検出手段106は、エンジン5の出力を変速して前後輪1,2に伝達する静油圧式無段変速装置108の油圧ポンプの斜板操作軸の操作位置を静油圧式無段変速装置108の変速状態として検出し、この検出結果を制御手段95に出力する。上昇検出手段107は、リンク機構9に連動された検出スイッチで成り、リンク機構9の車体フレーム3に対する上昇を苗植付け装置10の上昇非作業高さへの上昇として検出し、この検出結果を制御手段95に出力する。
【0058】
前記複数の指令手段112は、苗植付け装置10の前記苗載せ台15の裏面側に設けた複数のクラッチレバー111に各別に連動された検出スイッチによって構成してある。複数のクラッチレバー111は、前記各植付け駆動ケース13の内部に一つずつ配置して苗植付け装置10に設けられた複数の少数条クラッチ110(図4参照)に各別に連動されている。各少数条クラッチ110は、この少数条クラッチ110が内装された植付け伝動ケース13に設けた一対の苗植付け機構14,14に対する伝動を入り切りする。
すなわち、八つの苗植付け機構14の隣り合う二つずつの苗植付け機構14,14が一つの苗植え単位条に属するようにして八つの苗植付け機構14を四つの苗植え単位条にグループ分けし、苗植え単位条毎において、クラッチレバー111により、少数条クラッチ110を入り状態と切り状態とに切換え操作して二つの苗植付け機構14,14を駆動状態と停止状態とに切換え操作する。苗植え単位条毎において、指令手段112は、少数条クラッチ110が入り状態に切換え操作されると、この少数条クラッチ110が属する苗植え単位条に属する二つの苗載置部15a,15aの苗縦送りを実行させるべき実行指令を制御手段95に出力し、少数条クラッチ110が切り状態に切換え操作されると、この少数条クラッチ110が属する苗植え単位条に属する二つの苗載置部15a,15aの苗縦送りを停止させるべき停止指令を制御手段95に出力する。
【0059】
制御手段95は、自走車体に設けたマイクロコンピュータを利用して構成してある。
この制御手段95は、前記変速検出手段106と前記上昇検出手段107と前記縦送り量設定手段96と前記操向検出手段105と前記各指令手段112とを車体状態検出手段115として使用し、自走車体が苗植え状態にあるか、あるいは非苗植え状態としての苗積み込み状態と移動走行状態と旋回走行状態と畦越え走行状態と苗取り量変更状態と発進操作状態と停止操作状態と少数条クラッチ操作状態とにあるかを検出する。苗積み込み状態は、苗載せ台15に苗供給される状態である。少数条クラッチ操作状態は、前記複数の少数条クラッチ110の少なくとも一つが切り状態と入り状態との一方から他方に切換え操作される状態である。苗取り量変更状態は、苗取り量変更機構70が操作される状態である。
【0060】
すなわち、制御手段95は、変速状態検出手段106から精油圧式無段変速装置108が前進の中速度(作業用速度)にあることの検出情報を入力し、上昇検出手段107から非検出状態の情報を入力すると、自走車体が苗植え状態にあると検出する。
【0061】
制御手段95は、変速状態検出手段106から静油圧式無段変速装置108が中立状態(伝動停止状態)にある検出情報を入力し、上昇検出手段107から検出状態の情報を入力すると、自走車体が苗積み込み状態(苗載せ台15に苗積み込みされる状態)にあると検出する。
【0062】
制御手段95は、変速状態検出手段106から静油圧式無段変速装置108が高速状態(移動用速度の状態)にある検出情報を入力し、上昇検出手段107から検出状態の情報を入力すると、自走車体が移動走行状態にあると検出する。
【0063】
制御手段95は、操向検出手段105から前車輪1の切れ角が旋回用の最低設定切れ角以上にある検出情報を入力し、変速状態検出手段106から精油圧式無段変速装置108が伝動状態にあることの検出情報を入力すると、自走車体が旋回走行状態にあると検出する。
【0064】
制御手段95は、変速状態検出手段106から静油圧式無段変速装置108が低速状態(畦越え速度の状態)にある検出情報を入力し、上昇検出手段107から検出状態の情報を入力すると、自走車体が畦越え走行状態にあると検出する。
【0065】
制御手段95は、上昇検出手段107から検出状態の情報を入力し、縦送り量設定手段96からこれを構成しているポテンショメータが回転作動している状態にある情報を入力すると、自走車体が苗取り量変更状態にあると検出する。
【0066】
制御手段95は、変速状態検出手段106から静油圧式無段変速装置108が中立状態から前進や後進の伝動状態に変速作動する情報を入力すると、自走車体が発進状態にあると検出する。
【0067】
制御手段95は、変速状態検出手段106から静油圧式無段変速装置108が前進や後進の伝動状態から中立状態に変速作動する情報を入力すると、自走車体が停止操作状態にあると検出する。
【0068】
制御手段95は、前記複数の指令手段112の少なくとも一つから切り換わり作動している情報を入力すると、自走車体が少数条クラッチ操作状態にあると検出する。
【0069】
図17,18,19は、前記一つの苗植え単位条を一つの制御単位とし、制御単位毎に行う苗縦送り制御のフロー図である。制御手段95は、この図に示す如く作動する。
すなわち、縦送り検出手段98による検出情報と、横送り回数検出手段97による検出情報とを基に、苗縦送りベルト50による苗縦送りが行われてからの横送り回数を検出する。このとき、苗縦送りベルト50による苗縦送りが行われたことを検出すると、その都度回数検出をリセットして検出する。
【0070】
検出横送り回数KNが苗載せ台15を一方の横移動ストロークエンドから他方の横移動ストロークエンドに横移動させる間に行われるものとして予め設定した設定横送り回数SNに達するまでの間、苗移動量検出手段90を苗ずれ量検出手段101として使用し、この苗ずれ量検出手段101による検出情報を基に、苗縦送りベルト50が停止された状態で苗載置部15aに発生したマット状苗Aの苗供給口18に向けてのずれ量Bを検出する。さらに、検出横送り回数KNが前記設定横送り回数SNに達するまでの間、前記車体状態検出手段115による検出情報を基に、自走車体が苗積み込み状態と苗取り量変更状態と旋回走行状態と発進状態と停止操作状態と少数条クラッチ操作状態と移動走行状態と畦越え走行状態とになったか否かを判断する。自走車体が苗積み込み状態になったと判断した場合、前記苗移動量検出手段90を苗ずれ量検出手段101に使用し、自走車体が苗積み込み状態になっていた間のマット状苗Aのずれ量(C1)を検出する。自走車体が苗取り量変更状態になったと判断した場合、前記苗移動量検出手段90を苗ずれ量検出手段101に使用し、自走車体が苗取り量変更状態になっていた間のマット状苗Aのずれ量(C2)を検出する。自走車体が旋回走行状態になったと判断した場合、前記苗移動量検出手段90を苗ずれ量検出手段101に使用し、自走車体が旋回走行状態になっていた間のマット状苗Aのずれ量(C3)を検出する。自走車体が発進や停止操作状態になったと判断した場合、前記苗移動量検出手段90を苗ずれ量検出手段101に使用し、自走車体が発進や停止操作状態になっていた間のマット状苗Aのずれ量(C4)を検出する。自走車体が少数条クラッチ操作状態になったと判断した場合、前記苗移動量検出手段90を苗ずれ量検出手段101に使用し、自走車体が少数条クラッチ操作状態になっていた間のマット状苗Aのずれ量(C5)を検出する。自走車体が移動走行状態になったと判断した場合、前記苗移動量検出手段90を苗ずれ量検出手段101に使用し、自走車体が移動走行状態になっていた間のマット状苗Aのずれ量(C6)を検出する。自走車体が畦越え走行状態になったと判断した場合、前記苗移動量検出手段90を苗ずれ量検出手段101に使用し、自走車体が畦越え走行状態になっていた間のマット状苗Aのずれ量(C7)を検出する。
【0071】
検出横送り回数KNが設定横送り回数SNに達すると、縦送り量設定手段96によって設定された設定制御目標縦送り量S0を、記憶部102によって記憶されている記憶縦送り誤差Zと、前記検出ずれ量Bとを基に補正して、さらに、苗積み込み時の苗ずれ量(C1)と苗取り量変更時の苗ずれ量(C2)と旋回走行時の苗ずれ量(C3)と発進停止時の苗ずれ量(C4)と少数条クラッチ操作時の苗ずれ量(C5)と移動走行時の苗ずれ量(C6)と畦越え走行時の苗ずれ量(C7)の検出があった場合には、検出があった苗ずれ量(C1)、(C2)、(C3)、(C4)、(C5)、(C6)、(C7)をも基に補正して、補正制御目標縦送り量(S1)を設定する。このとき、苗ずれ量(C1)と(C2)と(C3)と(C4)と(C5)と(C6)と(C7)との重み付けを記憶縦送り誤差Zと検出ずれ量Bとの重み付けよりも低くして補正制御目標縦送り量(S1)を設定する。設定制御目標縦送り量S0は、四つの制御単位に共通のものとして設定される。しかし、制御単位によっては、検出ずれ量B及び記憶縦送り誤差Zの大きさが異なり、補正制御目標縦送り量S1が異なることがある。補正制御目標縦送り量S1を設定すると、ポテンショメータ85によって位置決めアーム65の操作位置をフィードバックさせながら縦送り補正モータ82を操作し、これにより、位置決めアーム65を調整操作し、回転角調整ロータ63の待機位置Mを補正制御目標縦送り量S1に対応した待機位置に調整操作する。すなわち、苗縦送りベルト50が補正制御目標送り量S1に対応したストロークだけ駆動されるよう、回転角調整ロータ63の待機位置Mを調整操作する。つまり、補正制御目標縦送り量S1が設定制御目標送り量S0よりも大きいほど、回転角調整ロータ63が駆動連動フック64によって駆動される回転角度がより大きくなるよう、補正制御目標送り量S1が設定制御目標送り量S0よりも小さいほど、回転角調整ロータ63が駆動連動フック64によって駆動される回転角度がより小さくなるよう回転角調整ロータ63の待機位置Mを調整する。
【0072】
この後、縦送り検出手段98による検出情報を基に、苗縦送りベルト50による苗縦送りが行われたと判断すると、苗縦送りベルト50が苗縦送り機構52によって作動操作された状態で苗載せ台15に発生したマット状苗Aの縦移動量を苗移動量検出手段90による検出情報を基に検出し、この検出縦移動量SKと前記補正制御目標縦送り量S1との誤差を演算し、この演算縦送り誤差Zを記憶部102に更新して記憶させる。すなわち、新たに演算した縦送り誤差Zを先に記憶されていた記憶縦送り誤差Zに替えて記憶させる。
【0073】
これにより、各苗植付け機構14に対する苗供給が次の如く行われる。
すなわち、苗載せ台15が苗横送り機構40によって各苗植付け機構14の苗植え運動に連動させてガイドレール32に沿わせて横移動操作される。これにより、苗載せ台15は、各苗植付け機構14が対応する苗載置部15aに載置されたマット状苗Aの下端部からマット状苗横方向での一端側から他端側に向けて順次にブロック苗を取り出していくよう、各苗載置部15aのマット状苗Aを対応する苗供給口18に対して苗載せ台横方向に移動させる。このとき、制御手段95は、制御単位毎に、苗移動量検出手段90を苗ずれ量検出手段101として使用し、この苗ずれ量検出手段101による検出情報を基に、苗横送りが行われている間に発生した苗ずれ量Bを検出する。
【0074】
苗載せ台15が左右の横移動ストロークエンドに到達すると、伝動軸54の受動アーム55が縦送り軸53の縦送りアーム53aの回転経路に入り込み、受動アーム55が縦送りアーム53aによって駆動されて苗縦送り機構52が作動する。これにより、四つの苗植え単位条それぞれの苗載置部15aにおいて、各苗植え単位条の二つの苗載置部15a,15aに備えてある苗縦送りベルト50が対応するベルト駆動部60によって駆動され、マット状苗Aを苗供給口18に向けて縦送りする。
【0075】
このとき、制御手段95は、制御単位毎において、縦送り量設定手段96によって四つの制御単位に共通するものとして設定された設定制御目標縦送り量S0を補正した補正制御目標縦送り量S1を設定する。すなわち、設定制御目標縦送り量Sを、記憶部102によって対応する制御単位のものとして記憶されている記憶縦送り誤差Zと、先の苗横送りの際に対応する制御単位のものとして検出した検出ずれ量Bと、先の苗縦送りの後に対応する制御単位のものとして検出した苗積み込み時の苗ずれ量(C1)と苗取り量変更時の苗ずれ量(C2)と旋回走行時の苗ずれ量(C3)と発進停止時の苗ずれ量(C4)と少数条クラッチ操作時の苗ずれ量(C5)と移動走行時の苗ずれ量(C6)と畦越え走行時の苗ずれ量(C7)とを基に補正し、補正制御目標縦送り量S1を設定する。そして、この補正制御目標縦送り量S1を基に縦送り補正モータ82を操作し、回転角調整ロータ63の待機位置Mを補正制御目標縦送り量S1に対応した待機位置に調整操作する。これにより、各制御単位(各苗植え単位条)の苗縦送りベルト50が補正制御目標縦送り量S1に対応したストロークを駆動され、マット状苗Aを苗供給口18に向けて補正制御目標縦送り量S1を移動するよう縦送りする。
【0076】
すなわち、先の苗縦送りの際、マット状苗Aの慣性やスリップなどに起因して苗縦送りに過不足が発生することがあっても、かつ、先の苗横送りの際、マット状苗Aの重量、苗載せ台15の振動、苗植付け爪14eによる苗掻き取りのために発生する苗の引っ張りなどに起因してマット状苗Aのずれ動きが発生することがあっても、さらに、発生した苗縦送りの過不足やマット状苗Aのずれ動きの大きさが縦送りグループ(苗植え条単位)によって異なっても、さらには、先の苗縦送りの後に苗載せ台15の苗補給、苗取り量変更機構70の操作、自走車体の旋回走行や発進停止、自走車体の移動走行や畦越え走行、少数条クラッチ110の操作に起因したマット状苗Aのずれ動きが発生することがあっても、苗縦送り後の苗横送りの際には、各苗植え条単位において、苗縦送りベルト50による縦送り量にマット状苗Aのずれ動き量が加わり、マット状苗Aの実際の縦移動量が縦送り量設定手段96による設定制御目標縦送り量S0に等しい又はほぼ等しい量になって各苗植付け機構14が縦送り量設定手段96によって設定された大きさに等しい又はほぼ等しい大きさのブロック苗を取り出すよう、マット状苗Aを縦送りする。
【0077】
この苗縦送りを終えると、制御手段95は、苗縦送り時の苗移動量検出手段90による検出縦移動量SKと、苗縦送り時の補正制御目標縦送り量S1とを比較し、検出縦移動量SKと補正制御目標縦送り量S1の誤差Zを演算し、この演算縦送り誤差Zを、次の苗縦送りの際の補正制御目標縦送り量S1を設定するための記憶縦送り誤差Zとして、記憶部102に先の記憶縦送り誤差Zと更新して記憶させる。
【0078】
図16に示すように、制御手段95に、警報手段103を連係させてある。警報手段103は、図1に示す如く自走車体に設けた制御ボックス100に設けてある。
【0079】
図20は、前記各苗植え単位条を一つの制御単位とし、制御単位毎に行う警報制御のフロー図である。この図に示すように、制御手段95は、縦送り検出手段98による検出情報を基に、苗縦送りベルト50が作動しているか否かを判断し、苗縦送りベルト50が作動していると判断し、かつ、苗移動量検出手段90による検出情報を入力していると判断した場合、苗載置部15aのマット状苗Aが苗移動量検出手段90の回転輪体91の配置箇所によって決まる設定残量まで減少していないと検出する。苗縦送りベルト50が作動していると判断し、かつ、苗移動量検出手段90による検出情報を入力していないと判断した場合、苗載置部15aのマット状苗Aが前記設定残量以下に減少したと検出し、警報手段103を作動操作する。
【0080】
これより、苗移動量検出手段90の回転輪体91が設置されている四つの苗載置部15aの少なくとも一つにおいて、マット状苗Aが設定残量以下に減少すると、マット状苗Aが回転輪体91から外れる。この後、苗縦送りベルト50が駆動されて縦送り検出手段98が検出作動すると、制御手段95が警報手段103を作動操作する。すると、警報装置103は、液晶画面を利用し、苗載せ台15に設定残量以下に減少したマット状苗Aがあることを警報する。
【0081】
図21は、前記一つの苗植え単位条を一つの制御単位とし、制御単位毎に行う少数条植え制御のフロー図である。この図に示すように、制御手段95は、前記指令手段112による停止指令があるか否かを判断し、停止指令があると判断した場合、縦送り補正モータ82を補正制御目標縦送り量S1に優先して停止指令に対応した状態に操作し、位置決めアーム65を停止位置Tに操作することによって前記駆動変更機構80を縦送りベルト停止状態に切り換え操作する。停止指令がないと判断した場合、縦送り補正モータ82を補正制御目標縦送り量S1に基づいて操作し、前記駆動変更機構80を縦送りベルト駆動状態に切り換え操作し、かつ、位置決めアーム65を縦送り域Dの所定の操作位置に操作し、回転角調整ロータ63を補正制御目標縦送り量S1に対応した待機位置Mに調整操作する。
【0082】
これにより、少数条植え作業を行う場合、所定のクラッチレバー111を切り位置に切り換え操作する。すると、クラッチレバー111に対応した少数条クラッチ110が切り状態に切り換わり、クラッチレバー111に対応した二つの苗植付け機構14,14に対する伝動が絶たれる。これと共に、この二つの苗植付け機構14,14が対応する苗載置部15a,15aのための駆動変更機構80が縦送りベルト停止状態に切り換え操作され、この二つの苗載置部15a,15aの全ての苗縦送りベルト50は、苗載せ台15が左右の横移動ストロークエンドに到達しても駆動されない。これにより、苗植付け装置10は、切り位置に操作されたクラッチレバー111に対応した苗植え単位条に属する二つの苗植付け機構14,14と二つの苗載置部15a,15aの苗縦送りベルト50との駆動を停止し、この苗植え単位条における苗植え付けを停止しながら、入り位置に操作されているクラッチレバー111に対応した苗植え単位条における苗植付けを行う。
【0083】
〔第二実施例〕
図22は、第二実施構成を備えた制御手段95が行う苗縦送り制御のフロー図である。この図に示すように、第二実施例の制御手段95と第一実施例の制御手段95とを比較すると、縦送り量設定手段96による設定制御目標縦送り量S0を補正して補正制御目標縦送り量を設定する点で第二実施例の制御手段95と第一実施例の制御手段95とは異なる構成を備え、その他の点では第二実施例の制御手段95と第一実施例の制御手段95とは同じ構成を備えている。次に、第二実施例の制御手段95の第一実施例の制御手段95とは異なる構成について説明する。
【0084】
第二実施例の制御手段95は、検出横送り回数KNが設定横送り回数SNに達すると、縦送り量設定手段96による設定制御目標縦送り量S0を補正した補正制御目標縦送り量S2を設定する。このとき、制御手段95は、検出横送り回数KNが設定横送り回数SNに達するまでの間に苗ずれ量検出手段101によって検出された検出ずれ量Bと、記憶部102による記憶縦送り誤差Zとを補正要因として採用するが、苗積み込み時に検出された苗ずれ量(C1)と、苗取り量変更時に検出された苗ずれ量(C2)と、自走車体の旋回走行時に検出された苗ずれ量(C3)と、自走車体の発進停止時に検出された苗ずれ量(C4)と、少数条クラッチ110の操作時に検出された苗ずれ量(C5)と、自走車体の移動走行時に検出された苗ずれ量(C6)と、自走車体の畦越え走行時に検出された苗ずれ量(C7)とのそれぞれを補正要因として採用せず、設定制御目標縦送り量S0を検出ずれ量Bと記憶縦送り誤差Zとを基に補正し、苗ずれ量(C1)と(C2)と(C3)と(C4)と(C5)と(C6)と(C7)とによっては補正しない補正制御目標縦送り量S2を設定する。
【0085】
〔別実施例〕
上記の実施例に示した苗縦送りベルト50に替え、マット状に係止作用する搬送爪が周設された搬送回転輪体を採用して実施した場合も、本発明の目的を達成することができる。従って、苗縦送りベルト50、搬送回転輪体などを総称して縦送り搬送体50と呼称する。
【0086】
上記の各実施例に示した苗移動量検出手段90に替え、光学センサを利用した構成のものを採用して実施してもよい。この場合も、本発明の目的を達成することができる。
【0087】
上記の各実施例に示した苗植付け装置10の替え、4条植えや6条植えなど、8条植え以外の苗植付けが可能な苗植付け装置にも本発明は適用できる。また、上記の各実施例に示した如く2条植えの苗植え単位条を一つの制御単位として縦送り制御を行うに替え、1条植え、あるいは3条や4条など2条以外の複数条植えの苗植え単位条を一つの制御単位として縦送り制御を行う構成を採用して実施してもよく、この場合も本発明の目的を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】施肥装置付き乗用型田植機の全体側面図
【図2】施肥装置付き乗用型田植機の全体平面図
【図3】苗植付け装置の側面図
【図4】苗植付け装置の平面図
【図5】苗取り量変更機構の側面図
【図6】苗植付け装置の苗縦送り軸配設部での側面図
【図7】ベルト駆動部の断面図
【図8】(イ)は、駆動変更機構の駆動連動フック停止状態での側面図、(ロ)は、駆動変更機構の駆動連動フック駆動状態での側面図
【図9】ベルト駆動部の分解状態での斜視図
【図10】(イ)は、駆動変更機構の縦送りベルト駆動状態での側面図、(ロ)は、駆動変更機構の縦送りベルト停止状態での側面図
【図11】苗載せ台の駆動変更機構配設部での裏面図
【図12】駆動変更機構の底面図
【図13】駆動変更機構の側面図
【図14】苗移動量検出手段の底面図
【図15】苗移動量検出手段の側面図
【図16】苗供給制御装置のブロック図
【図17】苗縦送り制御のフロー図
【図18】苗縦送り制御のフロー図
【図19】苗縦送り制御のフロー図
【図20】警報制御のフロー図
【図21】少数条植え制御のフロー図
【図22】第二実施形態を備えた苗縦送り制御のフロー図
【符号の説明】
【0089】
10 苗植付け装置
14 苗植付け機構
14e 苗植付け爪
15 苗載せ台
18 苗供給口
50 縦送り搬送体
70 苗取り量変更機構
80 駆動変更機構
95 制御手段
96 縦送り量設定手段
101 苗ずれ量検出手段
110 少数条クラッチ
115 車体状態検出手段
A マット状苗
B 検出ずれ量
S0 設定制御目標縦送り量
S1,S2 補正制御目標縦送り量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗植付け爪を有する苗植付け機構が、前記苗植付け爪が苗載せ台の苗供給口と田面とにわたって上下に往復移動するよう駆動され、苗載せ台に載置されたマット状苗から苗取り出しするとともに取り出し苗を田面に植え付けるよう構成した苗植付け装置と、前記苗植付け装置が連結された自走機体とを備えた田植機であって、
前記苗載せ台に載置されたマット状苗を前記苗供給口に向けて縦送りする縦送り搬送体と、前記縦送り搬送体の駆動量を変更する駆動変更機構と、マット状苗の縦送り制御のための制御目標縦送り量を設定する縦送り量設定手段と、前記縦送り搬送体が停止された状態での苗載せ台におけるマット状苗の縦移動量を検出する苗ずれ量検出手段と、前記自走車体が苗植え状態であるか非苗植え状態であるかを検出する車体状態検出手段とを備え、
前記縦送り量設定手段による設定制御目標縦送り量を、苗植え状態での前記苗ずれ量検出手段による検出ずれ量を基に補正し、かつ、非苗植え状態での前記苗ずれ量検出手段による検出ずれ量の重み付けを低くして補正した又は補正しない補正制御目標縦送り量を設定し、マット状苗が前記設定補正制御目標縦送り量を縦送りされるよう、前記駆動変更機構を調整操作する制御手段を備えてある田植機。
【請求項2】
車体状態検出手段は、苗載せ台の苗積み込み状態を非苗植え状態として検出するよう構成してある請求項1記載の田植機。
【請求項3】
車体状態検出手段は、苗植付け機構によるマット状苗縦方向での苗取り出し量を変更する苗取り量変更機構の操作状態を非苗植え状態として検出するよう構成してある請求項1記載の田植機。
【請求項4】
車体状態検出手段は、自走車体の旋回走行状態を非苗植え状態として検出するよう構成してある請求項1記載の田植機。
【請求項5】
車体状態検出手段は、自走車体の発進操作及び停止操作の状態を非苗植え状態として検出するよう構成してある請求項1記載の田植機。
【請求項6】
複数の苗植付け機構を備え、車体状態検出手段は、前記複数の苗植付け機構の一部の苗植付け機構に対する伝動を入り切りする少数条クラッチの操作状態を非苗植え状態として検出するよう構成してある請求項1記載の田植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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