説明

男子小便器の使用位置の床面構造

【課題】 男子小便器使用者の腰が引けた状態ではなく正しい姿勢で使用しやすいように導くことができる男子小便器の使用位置の床面構造を提供する。
【解決手段】 男子小便器の使用者が立つべき所定の使用位置の床に作り込む床面構造において、当該床面構造100の上面形状が、使用者の踵部分111の位置、土踏まず部分112の位置、母趾球部分113の位置、つま先部分114の位置の順に低くなるように角度をつけたものとする。傾斜角度には踵部分111からつま先114まで一定傾斜角度とすることもでき、また踵部分111の位置から土踏まず部分112の位置への傾斜角度の方が、土踏まず部分112の位置から母趾球部分113の位置への傾斜角度よりも大きいとすることも可能である。使用者は自然と体重の重心を支えるため、腰を前方に押し出し、直立に近い姿勢となり小便の垂れが本来の垂れ受部に滴下する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、男子小便器の使用者が立つべき男子小便器の使用位置の床面構造に関する。
【背景技術】
【0002】
男子小便器の使用において、使用者が男子小便器の前面に対向して立ち、男子小便器の小便の鉢面に向けて小用を足す。小用の当初は小便が男性器から勢い良く男子小便器の鉢面に到達するが小用の終わりに近づくと勢いがなくなり雫となって男性器直下に滴下してしまう。そのため男性器直下部分に位置するように男性小便器の垂れ受部が前方に突き出ている。
【0003】
しかし、従来より男子小便器の手前下部分の床面の小便だれが問題とされてきた。主にその原因は使用者が使用時に想定されている本来の立ち位置より後方に立って使用したり腰が引けた状態で使用したりすることにより、男性器の位置が男性小便器の垂れ受部より手前に位置しているために男性器から滴下した雫が男性小便器の垂れ受部より手前に落ちてしまうことにある。
【0004】
従来から男子小便器の手前が小便の雫により汚れないように、プラスチック製やゴム製のマット等を敷設し、当該マット等に使用者が乗って小用を足すことにより男性器から滴下した雫を当該プラスチック製やゴム製のマット等により受け止めることにより床面の汚れを防止せしめていた。
【0005】
例えば、特開2002−364058号公報に記載されたマットは、小便器の手前下の床面に敷設された小便器の使用者が乗るものであって、薄箱型に形成されており、箱型本体の上面に一又は複数個の穴を穿設し、内部に液体用の吸収材を装填した構成となっている。なお、箱型の本体は、穴の穿設された上面が箱型本体の蓋として開閉自在に箱型本体に枢着する構成としたり、あるいは上部が開口した箱型本体の上部に穴の穿設された板状の蓋を着脱自在に取り付けた構成とすることができるとされている。
【0006】
また、例えば、特開2007−222386号公報に記載されたマットは、特開2002−364058号公報に記載されたマットを改良したものであり、上記の小便器用ステップの前面端部に傾斜を設けて利用者がつまづかないように配慮するとともに、箱型本体の内箱を上げ底として吸収材が上面の穴に直接接合するように押圧設置する構成とし、さらに、使用済みの吸収材の回収が容易になるように外箱と内箱が容易に着脱できるように掛止する構造に工夫されたものとなっている。
【0007】
【特許文献1】特開2002−364058号公報
【特許文献2】特開2007−222386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
男子小便器の手前下部分の床面の小便の垂れは、清掃作業員の清掃作業負担を増加させてしまい、また、床材がタイル等ではなくビニールクロス等であれば小便に含まれる塩分や清掃に用いる薬品の影響により床面が変色したりすることがある。そのため男子小便器の手前下部分の床面の小便の垂れを防止することは重要である。
【0009】
男子小便器の手前下部分の床面の小便の垂れは根本的には男子用小便器の垂れ受部により受け止めることが最適であることは言うまでもない。問題は、使用者が使用時に想定されている本来の立ち位置より後方に立って使用したり腰が引けた状態で使用したりすることであり、男性器の位置が男性小便器の垂れ受部より手前に位置しているために男性器から滴下した雫が男性小便器の垂れ受部より手前に落ちてしまうことにある。そこで、如何に使用者が使用時に想定されている本来の立ち位置に立ってもらうか、かつ、使用時に腰が引けた状態ではなく正しい姿勢で使用してもらうことが重要である。男性器の位置が男性小便器の垂れ受部のエッジよりも前方に位置しておれば男性器から滴下した雫が男性小便器の垂れ受部に受け止められる。
【0010】
上記の特開2002−364058号公報や特開2007−222386号公報に記載されたマット類は、男子小便器の手前下部分の床面に直接滴下することを防止せしめる点で効果が期待され、床面の変質という自体は防御できるものの、当該マット類に滴下させることを前提としている以上、当該マット類自体の清掃作業が増加してしまうため清掃作業員の清掃負担自体は軽減されずむしろ増加することとなってしまう。下部に吸収体を備える構造となっているため小便の垂れで汚れている箱状体を開閉して吸収体を交換する作業は負担が大きいと考えられる。
【0011】
上記問題点に鑑み、本発明は、男子小便器使用者の小便の垂れが本来の垂れ受部に滴下するように、使用者が使用時に想定されている本来の立ち位置に立つように導き、かつ、使用時に腰が引けた状態ではなく正しい姿勢で使用しやすいように導くことができる男子小便器の使用位置の床面構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の男子小便器の使用位置の床面構造は、
男子小便器の使用者が立つべき使用位置の床面構造であって、前記男子小便器の使用者が立つべき前記使用位置の床面が、前記使用者の踵の位置、土踏まずの位置、母趾球の位置、つま先の位置の順に低くなるように角度をつけた傾斜を備えたものであることを特徴とする。
ここで、前記床面の傾斜角度として、前記使用者の前記踵の位置から前記母趾球の位置まで一定の傾斜角度とすることができる。
また、前記床面の傾斜角度として、前記使用者の前記踵の位置から前記土踏まずの位置への傾斜角度の方が、前記土踏まずの位置から前記母趾球の位置への傾斜角度よりも大きいものとすることもできる。
【0013】
上記構成により、本発明の男子小便器の使用位置の床面に立てば、放尿時姿勢は腰から下は前方向になり腰から上は後ろ方向に向かう。つまり、使用者はバランスを取るため自然と体重の重心が立ち位置直下に位置するように姿勢をとりやすくなり、腰の位置が垂直方向および前方向に安定し、男性器の位置が垂れ受部より前方に位置するように導くことができる。
【0014】
問題となる腰が引ける状態を分析すると、使用者は腰が引けた状態で安定するためには、上体をかがめるとともに、体重を足裏の後方部分の踵と、足裏の前方部分の母趾球から第5趾球までで支えている。つまり、腰部分を後ろに位置するためには足先の母趾球から第5趾球までで踏ん張る状態となっている。
【0015】
本発明の男子小便器の使用位置の床面構造では、足載せ部の上面形状において、特に踵の位置から土踏まずの位置への傾斜角度の方が、土踏まずの位置から母趾球の位置への傾斜角度よりも大きい形状した場合には足先の母趾球から第5趾球までで踏ん張り、使用者は腰の背面を反らし、使用者は自然と体重の重心を支えるため、結果として腰を前方に押し出し、直立に近い姿勢に導かれるという効果が得られる。
【0016】
また、上記の男子小便器の使用位置の床面において、前記使用者の前記母趾球から第5趾球までの横足弓(メタタザールアーチ)部分が凸形状を備え、両端の前記母趾球の位置と前記第5趾球の位置が低く、中央の第3趾球の位置が高くなっていることが好ましい。
【0017】
使用者の母趾球から第5趾球までの横足弓(メタタザールアーチ)部分が凸形状を備えたものとなっており、母趾球や第5趾球に力が入りにくく、使用者は自然と体重の重心を支えるため、腰を前方に押し出し、直立に近い姿勢に導かれるという効果が得やすくなる。
【0018】
なお、前記男子小便器の使用位置の床面において、前記使用者が立つべき使用位置を分かりやすく示すように他の床面の色とは異なる色とすることが好ましい。
上記構成により、男子小便器を使用する使用者に使用時に立つべき位置を分かりやすくし、正しい男子小便器の使用位置に導くことができる。
【0019】
また、前記男子小便器の使用位置の床面において、前記使用者が立つべき使用位置を分かりやすく示すように他の床面の床面資材とは異なる床面資材とすることも好ましい。
例えば、本発明の床面構造の上面形状を備えたセラミックのプレート材を床面に埋め込んで床面構造の一部として作り込むことが可能である。
プレート状のセラミック資材などの床面資材として、尿だれなどの汚れが付着しにくい防汚・抗菌性の高い素材であっても、男子小便器の近辺の限られた大きさのエリアを効率的にカバーするものとして採用することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の男子小便器の使用位置の床面構造によれば、使用者は自然と体重の重心を支えるため、腰を前方に押し出し、直立に近い姿勢に導かれるという効果が得られ、男子小便器使用者の小便の垂れが本来の垂れ受部に滴下するように導くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の男子小便器の使用位置の床面構造の実施形態を説明する。ただし、本発明の技術的範囲は以下の実施形態に示した具体的な用途や形状・寸法などには限定されない。
【実施例1】
【0022】
実施例1として本発明の男子小便器の使用位置の床面構造の構成例を示す。
図1は、本発明の男子小便器の使用位置の床面構造100aの構成を模式的に示す図である。図1(a)は平面図である。図1(b)は床面構造の上面形状に一定の傾斜角度を持たせた場合の側面図となっている。図1(c)は床面構造の上面形状に別の傾斜角度を持たせた場合の側面図となっている。男子用小便器200との関係を分かりやすく示すために男子用小便器200も併せて示している。
【0023】
図1(a)から図1(c)に示すように、本発明の男子小便器の使用位置の床面に作った床面構造100aは、男子小便器を使用する使用者が載せ置いた足裏を支える床面となっている。
この本発明の男子小便器の使用位置の床面構造100aの上面形状は傾きを持っており、使用者の踵部分111aの位置、土踏まず部分112aの位置、母趾球部分113aの位置、つま先部分114aの位置の順に低くなるように角度がつけられている。
【0024】
図1(b)に示した構成例では、足載せ部の上面形状において、使用者の踵部分111a1の位置からつま先部分114a1への傾斜角度が一定のものとなっている。
一方、図1(c)に示した構成例では、足載せ部の上面形状において、使用者の踵部分111a2の位置から土踏まず部分112a2の位置への傾斜角度の方が、土踏まず部分112a2の位置から母趾球部分113a2の位置およびつま先部分114a2への傾斜角度よりも大きいものとなっている。
【0025】
このような上面形状を持つ本発明の男子小便器の使用位置の床面に床面構造100を作ることにより得られる効果を図2および図3を参照しつつ説明する。
図2(a)から図2(b)は、本発明の男子小便器の使用位置の床面構造を持たない通常の平面の床面の場合に小便の垂れが垂れ受部220の手前に落ちてしまう場合を模式的に示している。それぞれ、立ち位置と小便落下点との関係を上から模式的に示した図と、横から模式的に示した図を挙げている。
【0026】
図2(a)は、使用者が使用時に想定されている本来の立ち位置より後方に立って男子小便器200を使用する場合である。
図2(a)に見るように、使用者が使用時に想定されている本来の立ち位置より後方に離れて立つと男性器の位置は男子用小便器200の垂れ受部220より手前に位置している。小用の当初は勢い良く放尿できるので男子用小便器200の鉢面210に到達するが、小用の終わり頃には勢いがなくなり下方に落ち始め、使用者の男性器の位置が垂れ受部220より手前に位置しているために男性器から滴下した雫が垂れ受部220より手前に落ちてしまうこととなる。
【0027】
図2(b)は、使用者が使用時に立ち位置は比較的良いものの腰が引けた状態で男子用小便器200を使用する場合である。使用者の腰が引けているとやはり男性器の位置は男子用小便器200の垂れ受部220より手前に位置しているため、小用の終わり頃には勢いがなくなり下方に落ち始め、男性器から滴下した雫が垂れ受部220より手前に落ちてしまうこととなる。
なお、この姿勢でも上体が前にあり腰が後方にあるため体重の重心がとれた安定した姿勢となっている。
【0028】
一方、本発明の男子小便器の使用位置の床面に床面構造を作った場合は、立ち位置、姿勢ともに良くなり腰が引けずに前方に位置するようになり、図3(a)または図3(b)に示すように、男性器の位置は男子用小便器200の垂れ受部220のエッジより前方に位置しており、男性器から滴下した雫が垂れ受部220内に受け止められている。以下、この状態が導かれる点について説明する。
【0029】
本発明の男子小便器の使用位置の床面に床面構造100a1または100a2を作った場合は、まず、その位置が男子小便器200手前の本来使用者が立つべき位置に作られており、使用者が男子小便器の使用位置の床面構造100a1または100a2に足を載せ置くことにより、本来使用者が立つべき所定位置に立つように導く。
【0030】
次に、本発明の男子小便器の使用位置の床面に床面構造100a1または100a2を作った場合は、図3(a)または図3(b)に示すように、足載せ部の上面形状が傾いているために、上体を前方に傾けた状態では重心が前に移動しやすく安定しにくいため、立ち位置において重心を保つためには上体を起こして腰を前方に保つ姿勢を自然と取りやすくなる。踵より母趾球が下に位置するため母趾球に力を入れて重心を安定させるよりも上体を起こして前方に保つ姿勢の方が重心を安定させてバランスを取る方が簡単で使用者は自然と直立する姿勢を取りやすくなるのである。
【0031】
図4は、本発明の男子小便器の使用位置の床面に作った床面構造により、踵が上がりつま先が下がった状態においてバランスをとるために自然と腰の位置が前方に出る様子を模式的に示した図である。それぞれ、立ち位置と小便落下点との関係を上から模式的に示した図と、横から模式的に示した図を挙げている。
図4の構成例は、足載せ部の上面形状において、使用者の踵部分111a1の位置からつま先部分114a1への傾斜角度が一定のものとなっている例である。
図4(a)に示すように踵が上がりつま先が下がる状態では前傾姿勢でいると体重が前に移動しやすく平面時よりもさらに足裏の母趾球に力を入れないと安定しない。そこで図4(b)に示すように、人は自然と引けた腰を前方に突き出して体重重心移動を行うように導かれるのである。腰が前方に位置するようになれば男性性器も前方に位置することとなり男子用小便器の垂れ受部220内に小用の雫が滴下するようになる。
【0032】
図5の構成例は、足載せ部の上面形状において、使用者の踵部分111a2の位置から土踏まず部分112a2の位置への傾斜角度の方が、土踏まず部分112a2の位置から母趾球部分113a2の位置およびつま先部分114a2への傾斜角度よりも大きいものとなっている例である。このように一定の傾斜角度よりもさらに踵部分が高くなる傾斜がついていると、図5(c)に示すように、踵部分111a2の位置から土踏まず部分112a2の位置への傾斜角度が大きいため、重心を保つためにはさらに、立ち位置において上体を起こし腰を前方に保つ姿勢を自然と取りやすくなる。
【0033】
以上、本発明の男子小便器の使用位置の床面構造によれば、使用者は自然と体重の重心を支えるため、腰を前方に押し出し、直立に近い姿勢に導かれるという効果が得られ、男子小便器使用者の小便の垂れが本来の垂れ受部に滴下するように導くことができる。
【0034】
以上、本発明の男子小便器の使用位置の床面構造100a1または100a2によれば、使用者は自然と体重の重心を支えるため、腰を前方に押し出し、直立に近い姿勢に導かれるという効果が得られ、男子小便器使用者の小便の垂れが本来の垂れ受部に滴下するように導くことができる。
【実施例2】
【0035】
実施例2として本発明の男子小便器の使用位置の床面構造100bの構成例を示す。
図6は、本発明の男子小便器の使用位置の床面構造100b1の構成を模式的に示す図である。この図6は床面構造の上面形状に踵111b1からつま先114b1まで一定の傾斜角度を持たせた場合の例を示しており、図6(a)は平面図、図6(b)はA1−A2線縦断面図、図6(c)はB1−B2線横断面図を示している。
【0036】
また、図7は床面構造の上面形状に踵部分111b2の位置から土踏まず部分112b2の位置への傾斜角度の方が土踏まず部分112b2の位置から母趾球部分113b2の位置への傾斜角度よりも大きくなるように角度がつけられている構成例を示しており、図7(a)は平面図、図7(b)はA1−A2線縦断面図、図7(c)はB1−B2線横断面図を示している。
両図において男子用小便器200との関係を分かりやすく示すために男子用小便器200も併せて示している。
【0037】
実施例1では床面構造の上面形状の横方向は水平であったが、実施例2では、図6(c)に示すように、本発明の男子小便器の使用位置の床面構造100b1の上面形状において、使用者の母趾球から第5趾球までの横足弓(メタタザールアーチ)部分が凸形状を備え、両端の母趾球部分113b1の位置と第5趾球部分115b1の位置が低く、中央の第3趾球部分116b1の位置が高くなっている。図7(c)でも同様であり、本発明の男子小便器の使用位置の床面構造100b2の上面形状において、使用者の母趾球から第5趾球までの横足弓(メタタザールアーチ)部分が凸形状を備え、両端の母趾球部分113b2およびの位置と第5趾球部分115b2の位置が低く、中央の第3趾球部分116b2の位置が高くなっている。
【0038】
このような上面形状を持つ本発明の男子小便器の使用位置の床面構造100b1または100b2を用いることにより得られる効果を図8および図9を参照しつつ説明する。
【0039】
図8および図9は、本発明の男子小便器の使用位置の床面構造100b1または100b2を用いて踵が上がりつま先が下がった状態においてバランスをとるために自然と腰の位置が前方に出る様子を模式的に示した図である。それぞれ、立ち位置と小便落下点との関係を上から模式的に示した図と、横から模式的に示した図を挙げている。
【0040】
図8(a)や図9に示すように踵が上がりさらにつま先が下がる状態では前傾姿勢でいると体重が支えづらく、図4(a)や図5(a)の状態よりさらに足裏の母趾球に力を入れないと安定しないところ、図8(c)や図9(c)に示すように母趾球から第5趾球までの横足弓(メタタザールアーチ)部分において母趾球部分113b1または113b2と、第5趾球部分115b1または115b2が低くなっているため、力が入りにくく前傾姿勢では安定しづらい。
【0041】
そこで図8(b)や図9(b)に示すように、人は自然と引けた腰を前方に突き出して体重重心移動を行い、体が鉛直方向に直立するように導かれるのである。腰が前方に位置するようになれば男性性器も前方に位置することとなり男子用小便器の垂れ受部220内に小用の雫が滴下するようになる。
【0042】
つまり、本発明の男子小便器の使用位置の床面構造100b1または100b2を用いる場合は、上面形状が傾斜していることに加えて、母趾球から第5趾球までの横足弓(メタタザールアーチ)部分が凸形状を備えているため、母趾球部分やつま先部分で踏ん張りが効きにくくなっており、上体をかがめた上体では安定しづらく、重心を保つためには立ち位置において体が鉛直方向となるように上体を起こし腰を前方に保つ姿勢を自然と取りやすくなる。
【0043】
以上、本発明の男子小便器の使用位置の床面構造100bによれば、使用者は自然と体重の重心を支えるため、腰を前方に押し出し、直立に近い姿勢に導かれるという効果が得られ、男子小便器使用者の小便の垂れが本来の垂れ受部に滴下するように導くことができる。
【実施例3】
【0044】
実施例3として男子小便器の使用位置の床面構造100cの構成例を示す。
図10は、実施例3にかかる本発明の男子小便器の使用位置の床面構造100cの構成を模式的に示す図である。図10は平面図となっている。
【0045】
図10に示すように、本発明の男子小便器の使用位置の床面構造100cは、使用者が立つべき使用位置を分かりやすく示すように他の床面の色とは異なる色としたものである。
さらに、この構成例では、男子小便器の使用位置の床面構造100cの上面に足型模様が表示され、足を置くべき位置を示したものとなっており、足を乗せる位置を誘導しやすいように工夫されている。
【0046】
以上、本発明の男子小便器用履物によれば、男子小便器を使用する使用者に使用時に立つべき位置を分かりやすくし、正しい男子小便器の使用位置に導くことができる。
【実施例4】
【0047】
実施例4として男子小便器の使用位置の床面構造100dの構成例を示す。
実施例4として男子小便器の使用位置の床面構造100dは、使用者が立つべき使用位置を分かりやすく示すように他の床面の床面資材とは異なる床面資材を用いて作っている例である。例えば、セラミックプレート資材などが挙げられる。
【0048】
図11および図12は、実施例4にかかる本発明の男子小便器の使用位置の床面構造100dの構成を模式的に示す図である。
図11の例では、セラミックプレート形状が使用者の踵部分111d1の位置からつま先部分114d1への傾斜角度が一定のものとなっている。図11(a)はセラミックプレート資材を模式的に取り出して示した図、図11(b)は当該プレート状のセラミック資材などの床面資材の上面を模式的に示した図である。
図12の例では、セラミックプレート形状が使用者の踵部分111d2の位置から土踏まず部分112d2の位置への傾斜角度の方が土踏まず部分112d2の位置から母趾球部分113d2の位置への傾斜角度よりも大きくなるように角度がつけられているものとなっている。図12(a)はプレート状のセラミック資材などの床面資材を模式的に取り出して示した図、図11(b)はセラミックプレート資材の上面を模式的に示した図である。
【0049】
プレート状のセラミック資材など尿だれなどの汚れが付着しにくい防汚・抗菌性の高い高価な素材であっても、男子小便器の近辺の限られた大きさのエリアを効率的にカバーするものとして採用することができる。
【0050】
なお、この例においても、当該セラミックプレート資材の色として、他の床面資材の色とは異なる色とすれば、利用者の男子小便器の使用位置が分かりやすいように導く工夫となる。
【0051】
さらに、この構成例では、男子小便器の使用位置の床面構造100dの上面に足型模様が表示され、足を置くべき位置を示したものとなっており、足を乗せる位置を誘導しやすいように工夫されている。
【0052】
以上、本発明の男子小便器用履物によれば、セラミックプレート資材などの床面資材を用いれば、尿だれなどの汚れが付着しにくい防汚・抗菌性の高い高価な素材であっても男子小便器の近辺の限られた大きさのエリアを効率的にカバーするものとして採用することができる。
【0053】
以上、本発明の男子小便器の使用位置の床面構造における好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は多様なメーカーの男子小便器の使用位置の床面構造に適用することができる。また、多様なメーカーの男子小便器用履物に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施例1にかかる本発明の男子小便器の使用位置の床面構造100aの構成を模式的に示す図
【図2】従来の床面構造を用いた場合に尿だれが生じる様子を示す図
【図3】本発明の男子小便器の使用位置の床面構造100a1または100a2を用いることにより得られる効果を示す図
【図4】床面構造100a1により踵が上がりつま先が下がった状態においてバランスをとるために自然と腰の位置が前方に出る様子を模式的に示した図
【図5】床面構造100a2により踵が上がりつま先が下がった状態においてバランスをとるために自然と腰の位置が前方に出る様子を模式的に示した図
【図6】本発明の男子小便器の使用位置の床面構造100b1の構成を模式的に示す図
【図7】本発明の男子小便器の使用位置の床面構造100b2の構成を模式的に示す図
【図8】実施例2にかかる本発明の男子小便器の使用位置の床面構造100b1を用いることにより得られる効果を示す図
【図9】実施例2にかかる本発明の男子小便器の使用位置の床面構造100b2を用いることにより得られる効果を示す図
【図10】実施例3にかかる本発明の男子小便器の使用位置の床面構造100cの構成を模式的に示す図
【図11】実施例4にかかる本発明の男子小便器の使用位置の床面構造100d1の構成を模式的に示す図
【図12】実施例4にかかる本発明の男子小便器の使用位置の床面構造100d2の構成を模式的に示す図
【符号の説明】
【0056】
100 男子小便器の使用位置の床面構造
111 踵部分
112 土踏まず部分
113 母趾球部分
114 つま先部分
115 第5趾球部分
116 第3趾球部分
200 男子用小便器
210 鉢面
220 垂れ受部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
男子小便器の使用者が立つべき使用位置の床面構造であって、
前記男子小便器の使用者が立つべき前記使用位置の床面が、前記使用者の踵の位置、土踏まずの位置、母趾球の位置、つま先の位置の順に低くなるように角度をつけた傾斜を備えたものであることを特徴とする男子小便器の使用位置の床面構造。
【請求項2】
前記床面の傾斜角度において、前記使用者の前記踵の位置から前記母趾球の位置まで一定の傾斜角度であることを特徴とする請求項1に記載の男子小便器の使用位置の床面構造。
【請求項3】
前記床面の傾斜角度において、前記使用者の前記踵の位置から前記土踏まずの位置への傾斜角度の方が、前記土踏まずの位置から前記母趾球の位置への傾斜角度よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の男子小便器の使用位置の床面構造。
【請求項4】
前記男子小便器の使用位置の床面において、前記使用者の前記母趾球から第5趾球までの横足弓(メタタザールアーチ)部分が凸形状を備え、両端の前記母趾球の位置と前記第5趾球の位置が低く、中央の第3趾球の位置が高くなっていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の男子小便器の使用位置の床面構造。
【請求項5】
前記男子小便器の使用位置の床面において、前記使用者が立つべき使用位置を分かりやすく示すように他の床面の色とは異なる色とすることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の男子小便器の使用位置の床面構造。
【請求項6】
前記男子小便器の使用位置の床面において、前記使用者が立つべき使用位置を分かりやすく示すように他の床面の床面資材とは異なる床面資材とすることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の男子小便器の使用位置の床面構造。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−116765(P2010−116765A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292821(P2008−292821)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(503334448)
【出願人】(507022569)
【Fターム(参考)】