説明

男子排尿補助具

【課題】男子の小用時に手を汚すことなく、尿を飛散させずに誘導することができる男子排尿補助具を提供する。
【解決手段】局部に開口部11aを当てて尿を受けると排出口11bから尿を排出するロート状の尿受け具11と、一端が尿受け具11の排出口に接続されて、尿受け具11からの尿を便器1内の排水部に排出させるように誘導する尿誘導管路12とを備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、男子排尿時の尿の飛散による便器廻りの床や壁の汚れ及び残尿の垂れによる便器の汚れを防止する男子排尿補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
男子は腰掛便器で排尿する場合、便座を上げ便器前に立って排尿する方法を取るのが自然であり、排尿時に、尿の飛散や残尿の垂れこぼしによって便器及び便器廻りの床や壁を汚すため、男子が排尿時に手で持って局部に被せ、尿を飛散させずに誘導する水溶紙でなるテーパー状の紙製パイプでできた男子用排尿飛散防止パイプ(特許文献1参照)や、小水の軌道を制御して便器内に収まるように雨樋のごとく誘導する男子小用飛散防止補助カバー(特許文献2参照)が提案されている。
【特許文献1】公開実用平成1−136570号公報
【特許文献2】特開2005−60997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記男子用排尿飛散防止パイプや男子小用飛散防止補助カバーは、共に、水に溶け使い捨てできる水溶性の材質でパイプ状又は樋状に形成され、手で持って局部にあてがい小水を便器に誘導するように使用され、使用後は便器内に捨てて水を放流して廃棄する使い捨てされるものであり、小用時には、局部にあてがった手が汚れて不衛生であるため改善が望まれていた。
【0004】
本発明は、前記課題を解決するもので、男子の小用時に手を汚すことなく、尿を飛散させずに誘導することができる男子排尿補助具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために請求項1記載の発明は、局部に開口部を当てて尿を受けると排出口から尿を排出するロート状の尿受け具と、一端が尿受け具の排出口に接続されて、前記尿受け具からの尿を便器の排水部に排出させるように誘導する尿誘導管路とを備えたことを特徴とする男子排尿補助具である。
【0006】
また、請求項2記載の発明は、前記尿受け具の開口部に被せられて前記尿受け具の内面に水を掛けて洗浄する水洗浄器具を備えた請求項1記載の男子排尿補助具である。
【0007】
また、請求項3記載の発明は、前記尿受け具の排出口は前記尿誘導管路の一端に接続され、前記尿誘導管路は複数の尿誘導管を回動可能に接続して形成され、前記尿誘導管路の他端は便器に取付られている請求項2記載の男子排尿補助具である。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、男子の小用時に局部にロート状の尿受け具の開口部を当てて尿を受けさせることで、手を汚すことなく、尿を飛散させずに便器の排水部に排出させるように誘導することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、実施例を示す図面に基づいて本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は本発明の実施例1を示す概略図、図2は図1の要部を拡大した一部欠截側面図、図3は図2の水洗浄器具の底面図である。図1〜図3において、腰掛便器1は、給水タンク2を備えており、給水タンク2から水が供給されて便器内部が洗浄される水洗式である。腰掛便器1の上部には、蓋3を付属する便座4が取り付けられている。便座4の下面4aには複数のゴム脚4bが設けられていて、腰掛便器1の周壁1bの上部1aにゴム脚4bを介して便座4を載置できるように形成されている。
【0011】
腰掛便器1には、男子排尿補助具10が設置されている。男子排尿補助具10は、尿受け具11と、尿受け具11から排出される尿を腰掛便器1内の排水部1cに誘導する尿誘導管路12と、尿受け具11の内部を水で洗浄する水洗浄器具13とを備えている。
【0012】
尿受け具11は、径の広い開口部11aと径の狭い筒状の排出口11bとが連通するロート状であり、テーパー状の内部には、水溶性の紙で形成され周面がテーパー状の筒材14が装着できるようになっている。この筒材14は、必要に応じて使用すればよいものである。
【0013】
尿受け具11の筒状の排出口11bは、尿誘導管路12の一端12aに嵌合して伸縮可能に接続され、固定ネジ12cを締め付けて尿誘導管路12と接続された位置が設定されている。尿誘導管路12は、2本の尿誘導管15,16が連結されて形成されており、この連結部17には、2枚の舌片18aの略各一端が連結され各舌片18aが90度開いた状態で形成されている金属製ストッパ18が取付られている。尿誘導管15,16の端部同士の連結は、尿誘導管15の球形な端部15aを、尿誘導管16の凹球形な端部16aに嵌合して連結されており、尿誘導管15は連結部17を支点として回動させると、金属製ストッパ18の舌片18aに当接する略90度の角度まで回動可能となっている。
【0014】
また、尿誘導管路12の他端12b側の尿誘導管16は、腰掛便器1の周壁1bの上部1aに係止機構20により固定されている。尿誘導管路12の他端12b近辺には、尿誘導管16に交差して自由端側から所定の間隔で舌片21,22が設けられており、舌片21より先の尿誘導管16の自由端側はL字状に曲げられている。舌片22には先端のストッパ片23aが雄ネジ部23bを介して操作ノブ23cに連結された形態の固定ネジ23が螺合されている。これら舌片21、22、固定ネジ23は、係止機構20を構成するもので、舌片21は固定ストッパーとして機能し、固定ネジ23のストッパ片23aとの間に腰掛便器1の周壁1bを挟んで操作ノブ23cを回動操作して尿誘導管路12の他端12bを腰掛便器1の周壁1bに固定することができる。
【0015】
また、尿誘導管路12を腰掛便器1の周壁1bに固定した状態において、腰掛便器1の周壁の上部1aにゴム脚4bを介して便座4を載置した場合には、ゴム脚4bの分だけ隙間ができるので、便座4が尿誘導管16を押圧して破損させることはない。
【0016】
水洗浄器具13は、外周に設けた軸受け13aが便所の床面に立設したスタンド25の上部に軸着されて回動可能に固定されている。スタンド25は台座26の中央に立設した筒状の下支柱27の先端に、上支柱28を嵌合して伸縮可能に接続された構成である。そして、スタンド25上部に軸着された水洗浄器具13は、下支柱27の上端部分に設けた固定ネジ27aを締め付けて、上支柱28を固定することにより高さが設定されている。上支柱28には側面に開口部29aを有するC字形の保持具29が取付られており、尿受け具11は、保持具29の側面の開口部29aから差し込んで保持具29に載置できるようになっている。
【0017】
水洗浄器具13は、先窄みの環状突出部31の先端部に設けられた環状溝からなる水吐出口32を有する水洗浄器33と給水管34とから構成されている。給水管34は途中の位置に水圧調整バルブ2cが設けられており、必要に応じて水圧調整ができるようになっている。
【0018】
尿受け具11を保持具29のC字形の孔内に載置して、水洗浄器具13は、軸受け13aを中心に回動させることで、尿受け具11の開口11aに水吐出口32が嵌入し、水洗浄器具13は、尿受け具11の開口部11aに被せる蓋部として機能する。水洗浄器具13を尿受け具11の開口部11aに被せた状態において、給水タンク2の水栓2aから給水タンク2上の洗面部2bに水が供給されるときに、給水管34を介して給水されると、水吐出口32の環状溝内の給水口35から供給される水を水吐出口32から渦状に放出して尿受け具11の内部の洗浄が行われる。
【0019】
次に、男子排尿補助具10の使い方について説明する。男子の小用時には、尿受け具11の外周面を手で持って尿誘導管16の設置角度を変更し、例えば、実線で示したAの位置から、二点鎖線で示したBの位置に移動させる。尿誘導管16は、尿受け具11を移動させたBの位置で略安定して設置角度を維持する。この状態で、局部にロート状の尿受け具11の開口部11aを当てて尿受け具11で尿を受けさせると、尿受け具11から手を離しても、尿受け具11は、設置角度を維持する尿誘導管16に支持されているから手を汚すことはない。また、尿受け具11の排出口11bから排出された尿は、尿誘導管路12を介して腰掛便器1内に誘導されて排出されるから、尿を飛散させずに腰掛便器内の排水部に排出させることができる。小用が終了したら、尿受け具11を保持具29のC字形の孔内に載置して水洗浄器具13により尿受け具11の内部を水で洗浄する。
【実施例2】
【0020】
図4は本発明の実施例2を示す概略図である。図4に示す実施例2の男子排尿補助具10aは、尿受け具41と、尿受け具41から排出される尿を腰掛便器1内に誘導する尿誘導管路42と、尿受け具41の内部を洗浄する水洗浄器具43とを備えている。
【0021】
尿受け具41は、実施例1の尿受け具11と類似した構造であり、径の広い開口部41aと径の狭い排出口41bとが連通するロート状である。テーパー状の内部には、前記水溶性の紙で形成された筒材14が装着できるようになっている。尿受け具41の外周面にはC字形の取手45が設けられていて、便所の壁面に吸盤46aにより取り付けられた吊り下げ具46のフック部46bに引っ掛けて係止されている。
【0022】
尿受け具41の排出口41bは、尿誘導管路42の一端42aに、放射状に回動可能に接続されている。尿誘導管路42は、2本の尿誘導管48,49が連結されて形成されており、尿受け具41の排出口41bと尿誘導管48の端部との連結や、尿誘導管48,49の端部同士の連結は、尿誘導管48の球形な端部48aを、排出口41bや尿誘導管49の凹球形な端部41b(49a)に嵌合して連結されており、放射状に回動可能に接続されている。
【0023】
また、尿誘導管路42の他端42b側の尿誘導管49は、腰掛便器1の周壁の上部に
実施例1の尿誘導管16と同様に係止機構20により固定されている。
【0024】
水洗浄器具43はシャワー吐出口43aを有するシャワーヘッド43bと給水管44とから構成されており、給水管44の途中の位置には、水圧調整バルブ2cが設けられている。シャワーヘッド43bは、尿受け具41の開口部41aに、シャワー吐出口43aを遊嵌して載置される。シャワーヘッド43bは、尿受け具41の開口部41aに被せる蓋部として機能するもので、尿受け具41の開口部41aに被せた状態で、給水タンク2の水栓2aから給水タンク2上の洗面部2bに水が供給されるときに、給水管44を介して給水されて、シャワー吐出口43aから尿受け具4の内面にシャワー水を掛けて洗浄する。男子排尿補助具10aの使い方は、実施例1の男子排尿補助具10と同じであるのでその説明は省略する。
【0025】
実施例1,2では、便器として洋式の腰掛便器に尿誘導管を取付けた構成を説明したが、本発明の尿受け具は、和式便器に取付けて尿受け具からの尿を和式便器の排水部に排出させるようにして、和式便器で男子が立って排尿しても便器廻りの床や壁を汚さないようにすることができる。また、尿受け具を小便器に取付けて尿受け具からの尿を小便器の排水部に排出させるようにして、小便器の側で男子が立って排尿しても小便器廻りの床や壁を汚さないようにすることができる。
【0026】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない限りどのようにでも実施することができる。例えば、尿誘導管路は実施例1,2では2本の尿誘導管を回動可能に接続して形成した例を示したが、尿誘導管路は3本以上の複数の尿誘導管を回動可能に接続して形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例1を示す概略図である。
【図2】図1の要部を拡大した一部欠截側面図である。
【図3】図2の水洗浄器具の底面図である。
【図4】本発明の実施例2を示す概略図である。
【符号の説明】
【0028】
1 腰掛便器
1a 腰掛便器の周壁の上部
1b 腰掛便器の周壁
1c 排水部
2 給水タンク
2a 水栓
2b 洗面部
2c 水圧調整バルブ
3 蓋
4 便座
4a 便座の下面
4b ゴム脚
10,10a 男子排尿補助具
11,41 尿受け具
11a,41a 径の広い開口部
11b,41b 径の狭い排出口
12,42 尿誘導管路
12a,42a 尿誘導管路12の一端
12b,42b 尿誘導管路12の他端
13,43 水洗浄器具
13a 軸受け
14 筒材
15,16,48,49 尿誘導管
15a,48a 球形な端部
16a,49a 凹球形な端部
17 連結部
18 ストッパ
18a,21,22 舌片
23 固定ネジ
23a ストッパ片
23b 雄ネジ部
23c 操作ノブ
25 スタンド
26 台座
27 下支柱
27a 固定ネジ
28 上支柱
29 保持具
29a 開口部
31 環状突出部
32 水吐出口
33 水洗浄器
34,44 給水管
43a シャワー吐出口
43b シャワーヘッド
45 取手
46 吊り下げ具
46a 吸盤
46b フック部
48,49 尿誘導管
48a 球形な端部
49a 凹球形な端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局部に開口部を当てて尿を受けると排出口から尿を排出するロート状の尿受け具と、一端が尿受け具の排出口に接続されて、前記尿受け具からの尿を便器の排水部に排出させるように誘導する尿誘導管路とを備えたことを特徴とする男子排尿補助具。
【請求項2】
前記尿受け具の開口部に被せられて前記尿受け具の内面に水を掛けて洗浄する水洗浄器具を備えた請求項1記載の男子排尿補助具。
【請求項3】
前記尿受け具の排出口は前記尿誘導管路の一端に接続され、前記尿誘導管路は複数の尿誘導管を回動可能に接続して形成され、前記尿誘導管路の他端は便器に取付られている請求項2記載の男子排尿補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−303084(P2007−303084A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129963(P2006−129963)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【特許番号】特許第3911000号(P3911000)
【特許公報発行日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(506156746)
【Fターム(参考)】