説明

男性用シャツの裾部構造

【課題】ズボン内のシャツ裾部が邪魔にならず、排尿に手間のかからない男性用シャツの裾部構造を提供する。
【解決手段】ズボン内部に着用する男性用のシャツ本体1の裾部2にかなりの幅を有するトンネル形開口部3を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排尿操作をスムースにする男性用シャツの裾部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化が急速に進んで加齢に伴い体に変調をきたすことになるのは避けがたく、特に下半身の老化によって排尿に支障を生じる現象は男女ともに増加しているが、男性の場合、立って用をするという姿勢に変わりはない。そして尿意を催すとズボンのチャックを開け、パンツに手を入れてペニスを引き出すという動作を要するが、このときズボン内部に丸首の下着などを着ていると、排尿時にズボンのチャックを開いてもシャツの裾部が邪魔をしてパンツからペニスを引き出すのに時間がかかり、特に高齢者、失禁・前立腺疾患などの患者では切迫状態の時に思わぬ粗相をすることにもなりかねず、そこであらかじめシャツの下端にスリットを形成するといった男性用シャツの提案も散見される(例えば特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−166102号公報
【特許文献2】特開2003−183901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には前身頃の中央下端部にスリットを設けた男性用シャツが開示されている。このシャツはズボンなどの上から着用しても、ズボン又は他の下着の下に着用してもそれらの前部に設けられた開口部からペニスを取り出すことができるというもので、スリット形状は平行状V字形などの細形状で下端が二分されることを特徴としているが、通常シャツの内又は外にあるズボンの内側には更にパンツを着用するので先ずパンツからペニスを取り出し、次いでズボンのチャック部分から取り出すことを要するが、パンツの前部分は重ね合うように開口されているためペニスの取り出しは斜めの開口部に手を入れなければならず、このためスリットのような切れ込み状のものでは尿意が切迫したときの膨張したペニスの取り出しが容易ではないと懸念される。
【0005】
特許文献2も背丈が長めに設定されたシャツの下部開口部にスリットを備えるという点では文献1と大差はない。スリット形状は山形状なども含まれるとしているが、山形状スリットであっても上端は幅狭となるので、ペニスがこの幅狭箇所に位置する場合は取り出しに難渋すると考えられるし、この技術が想定している長めのシャツはズボンの外側に位置するためそれなりに有用と理解されるが、ズボン内部に着装したときには裾の部分を端折ることになるためスリットがペニス取り出し位置に合致することにはならず、したがって切迫時の排尿操作に支障を生じるおそれがある。
【0006】
本発明はこうした従来技術を念頭にしつつ、その問題解決に有効な手段を備えて本発明者が従来から創案したところのシャツに更に改良を加えて実現した男性用シャツの裾部構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題解決のために本発明は、丸首状で頭から被って着用する男性用シャツ本体の裾部正面をトンネル形開口部とした男性用シャツの裾部構造であって、前記トンネル形開口部が、パンツの前面開口の丈と同等若しくは若干長めに形成され、10センチ以上の幅を有して形成されたものであることを特徴とする男性用シャツの裾部構造を主旨としたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明を実施したシャツを着用するとパンツの前面開口から引き出したペニスは十分な幅を有するトンネル形開口部を通ってズボンの開口チャック部から難なく取り出すことができる。したがって排尿時にはズボン内にあるシャツによって邪魔されることなくペニスは確実迅速な取り出しがなされるため、尿意が切迫した高齢者・疾患者であっても排尿操作に支障がなく、下着やズボンを濡らしたり便器周辺が尿水によって汚されるといった不測の事態を未然に防止できる。
【0009】
トンネル形開口部はペニス取り出しに十分な横幅と丈を備えているためズボン内において裾部正面が左右にずれたり皺寄りすることがあってもペニス取り出しには支障がなく、またその形態は外観上格別な違和感はなく、たとえシャツを外部に配置してもズボンとシャツの組み合わせの仕方によってはむしろ独自のファッション性に富み体裁が悪くなるといった恐れはない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を示す正面側説明図である。
【図2】パンツとシャツの着用状態を示す説明図である。
【図3】ズボンからペニスを取り出した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明すると、図1に示すとおり本発明は下着である丸首式の男性用シャツ本体1の裾部2にトンネル形開口部3を形成したもので、シャツ本体1は頭から被って着用するものであれば首部がV字形であるとU字形であることに拘泥されず、また当然ながらトンネル形開口部3は裾部2の正面に形成すればよく、背面側は通常のシャツと異なることはない。
【0012】
トンネル形開口部3は文字通りトンネルの出入り口と酷似した形状であり、図2のとおり一般的なパンツ10の前面開口11の丈と同等若しくはやや長めに形成される。パンツ10の前面開口11は重ね合わせ状のものが多く、その部分にボタンが取り付けられているものもあれば無いものもあるが、排尿時には重ね合わせ箇所を横側から手指を差し込んで開きペニスを取り出すのが普通である。無論パンツの形状大きさは多様であるから一概には言えないが、前面開口11の丈は10センチほどで股間部の底辺よりも数センチ上部に形成されているものが一般的であり、したがってシャツ本体1の裾部(下端)がパンツの股間部底辺と同じ位置であると、パンツ10に形成された前面開口11の下端部よりも下方に位置することになり、その分パンツ10とトンネル形開口部3は齟齬することになるが、通常ペニスはパンツの前面開口11の上部よりも下部から取り出すと理解され、それゆえトンネル形開口部3が前面開口11と同程度の丈でも支障は生じないと考えられる。因みに本発明者は特開2006−9060において本体の正面に開口部を形成し左右いずれからもペニスが取り出しできるようなパンツを創案しているが、このようなパンツとの組み合わせであれば本発明の存在は、より効果的となる。
【0013】
トンネル形開口部3は上端部が半円形状で堅牢・安定感があり十分な広がりをもつ幅を備えている。そして作製にあたっては所謂ヒートシートカット方式によって迅速確実な裁断が可能であり繊維周縁部が型崩れしない点では縫製によるものと異ならず安価量産の観点からもふさわしい。本考案の裾部構造はそれほど複雑なものではないため個人が自宅で作製しよう思えば不可能ではないが、多くのユーザーを対象とするには量産に好適する方法をとることが肝要であるとの点からもこのような手段をとることが好ましく、またシャツ着用者の体形に順応するように所謂S、M、Lのサイズに応じてトンネル形開口部3の大きさにも幅を持たせることは当然で、前記した丈、横幅は一例に過ぎず本発明の目的効果を奏する範囲において数値前後の値も含まれる。
【0014】
シャツ本体1は図3に示すようにズボン20の内側に下着として着用することを前提としているので、ペニスは先ずズボン20のチャック21を開いてから開口されたチャック箇所に手指を差し込み、トンネル形開口部3から更にパンツ10の前面開口11に指を入れてペニスを取り出すという順序をとる。従来であるとシャツ本体が邪魔をしてパンツの前面開口を開くことさえままならないこともあったが、本案ではトンネル形開口部3に手指が用意に介入できるためパンツの前面開口11に手指の到達する時間的ロスが少なくてすみ、したがって尿意が切迫しても排尿は瞬時に行われて粗相をきたすことがない。
【符号の説明】
【0015】
1 シャツ本体
2 裾部
3 トンネル形開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
丸首状で頭から被って着用する男性用シャツ本体の裾部正面をトンネル形開口部とした男性用シャツの裾部構造であって、前記トンネル形開口部が、パンツの前面開口の丈と同等若しくは若干長めに形成され、10センチ以上の幅を有して形成されたものであることを特徴とする男性用シャツの裾部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−11043(P2013−11043A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156107(P2011−156107)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(506379817)株式会社ノーブルライフ (3)
【Fターム(参考)】