説明

男性用下着

【課題】陰茎、陰嚢及び睾丸を人体に対してしっかりと安定して固定することができる男性用下着を提供する。
【解決手段】実施形態に係る男性用下着1は、陰茎を股間に押しつけて固定するための男性用下着1であって、人体への装着時に股間の下方に設置されて前側開口から陰茎が内部空間に挿入される布状筒型の陰茎保持部材10と、人体への装着時に陰茎保持部材10を包含すると共に前側開口22から陰嚢全体に被せられて、陰茎、睾丸及び陰嚢全体を覆う袋状の陰嚢保持部材20と、陰茎保持部材10及び陰嚢保持部材20の前側部分に一端が固定された前側接続用紐31,33と、陰茎保持部材10及び陰嚢保持部材20の後側部分に一端が固定された後側接続用紐32と、を備え、人体への装着時に、前側接続用紐31,33及び後側接続用紐32を人体又は人体に装着された部材に固定することで、装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、男性の陰茎を固定して保持するための男性用下着に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、快適さ等の機能や見た目の美観を追求するために、男性の下半身用下着として様々な形態の下着が提供されているが、通常は、重力によって下向きになった陰茎と陰嚢とを自然な状態で保持する下着がほとんどである。
【0003】
一方、本発明者らは、筒型布状部材に挿入した状態で陰茎を股間に押しつけてしっかりと安定して固定するという、新規な陰茎固定方法を実現するための男性用下着(陰茎保持具)を提供しており、例えば、特許文献1及び2に開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4177448号公報
【特許文献2】登録実用新案第3143285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記陰茎保持具(男性用下着)によれば、陰茎を下方から後方へ引っ張った状態で股間に押しつけることで、着用者に不快な感じを与えることなく、陰茎を人体に対して安定して固定することが可能となる。
【0006】
しかし、上記陰茎保持具を装着した状態では、後方に引っ張られた状態の陰茎が股間に押さえつけられるため、陰嚢が、陰茎と股間との間に挟まれることになる。なお、このとき通常であれば、陰嚢によって包まれている二つの睾丸(精巣)は、陰茎によって左右一つずつに分離されるはずである。
【0007】
したがって、上記陰茎保持具を装着した状態では、陰嚢の左右方向中心は陰茎と股間の下面との間に挟まれて固定された状態となっているが、二つの睾丸はフリーな状態となっており、人体に対してしっかりと固定されていない。このため、装着者が激しい運動を行う場合には、睾丸が移動する等して邪魔になったり、集中力が欠ける要因となったりしてしまう。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、陰茎、陰嚢及び睾丸を人体に対してしっかりと安定して固定することができる男性用下着を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明に係る男性用下着は、陰茎を股間に押しつけて固定するための男性用下着において、人体への装着時に股間の下方に設置されて前側開口から陰茎が内部空間に挿入される布状筒型の陰茎保持部材と、人体への装着時に前記陰茎保持部材を包含すると共に前側開口から陰嚢全体に被せられて、陰茎、睾丸及び陰嚢全体を覆う袋状の陰嚢保持部材と、前記陰茎保持部材及び前記陰嚢保持部材の前側部分に一端が固定された前側接続用紐と、前記陰茎保持部材及び前記陰嚢保持部材の後側部分に一端が固定された後側接続用紐と、を備え、人体への装着時に、前記前側接続用紐及び前記後側接続用紐を人体又は人体に装着された部材に固定することで、前記陰茎保持部材及び前記陰嚢保持部材の前側部分が人体の前側から上方に引っ張られながら、かつ、前記陰茎保持部材及び前記陰嚢保持部材の後側部分が人体の後側から上方に引っ張られながら装着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る男性用下着によれば、陰茎、陰嚢及び睾丸を人体に対してしっかりと安定して固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本実施形態に係る男性用下着の斜視図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る男性用下着の陰茎保持部材の斜視図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る男性用下着の陰嚢保持部材の斜視図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る男性用下着を装着するために人体の前側に位置させた際の上面図である。
【図5】図5は、本実施形態に係る男性用下着を装着した状態を示す正面図である。
【図6】図6は、本実施形態に係る男性用下着を装着した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、図1〜図3を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る男性用下着の斜視図である。図2は、本実施形態に係る男性用下着の陰茎保持部材の斜視図である。図3は、本実施形態に係る男性用下着の陰嚢保持部材の斜視図である。なお、図1乃至図3では、図中左下側が各部材の前側となっており、人体への装着時に人体の前側に位置することになる。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る男性用下着は、陰茎保持部材10、陰嚢保持部材20、陰茎保持部材10及び陰嚢保持部材20を人体に装着するための接続部材30を備えている。陰茎保持部材10は、人体への装着時に陰茎が内部に挿入される筒部13を有する布状筒体11を備えている。
【0014】
図2において、図中左下側(14a、14b側)が陰茎保持部材10の前側である。人体への装着時には、筒部13の前側開口から陰茎が挿入されると共に、陰茎保持部材10は、この前側が人体の前側に位置した状態で、股間の下方において人体の前後方向に延在して位置することになる。
【0015】
陰茎保持部材10は、ストッキング素材で形成されており、二枚の細長い長方形状(帯状)のストッキング素材11,12の両側端部を縫い合わせることで、筒部13が形成されている。図2において、ストッキング素材11が上側、ストッキング素材12が下側に位置している。
【0016】
また、図2に示すように、上側の長方形状ストッキング素材11のほうが下側のストッキング素材12よりも短い。また、ストッキング素材11,12の後端が一致した状態で縫い合わされており、陰茎保持部材10の前側部分では、筒部が形成されておらず、下側のストッキング素材12のみが存在している。
【0017】
また、陰茎保持部材10の前側端の左右両端部14a,14bには、前側接続用紐31a,31bがそれぞれ接続されており、後側端の左右両端部15a,15bには、後側接続用紐32a,32bがそれぞれ接続されている。
【0018】
陰嚢保持部材20は、図1及び図3に示すように、陰茎保持部材10を包含する、前後端が開口した袋状の袋体21を備えており、この袋体21は、前側の開口22径が大きく、前後方向中間あたりから後端に向かって徐々に細くなる形状をしている。また、袋体21の後端部の内側には、左右にそれぞれヒダ部25a、25bが形成されている。また、袋体21の前側端部の左右端部24a,24bには、前側接続用紐33a,33bがそれぞれ接続されている。
【0019】
図1に示すように、陰茎保持部材10と陰嚢保持部材20とを一体化した状態では、袋状の陰嚢保持部材20の袋体21の内部に、筒状の陰茎保持部材10が延在した状態となる。また、陰茎保持部材10の前側端であって下側のストッキング素材12の前側端が、その端縁に沿って陰嚢保持部材20の前側端と縫い合わされ、陰茎保持部材10と陰嚢保持部材20とが一体化されている。
【0020】
また、陰茎保持部材10の後端開口径と、陰嚢保持部材20の後端開口径とは同じサイズであり、陰嚢保持部材20の袋体21の後端のヒダ部25a,25bは、それぞれ陰茎保持部材10の後端の両端部15a,15bと縫い合わされて固定されている。よって、後側接続用紐32a,32bを引っ張りあげることで、陰茎保持部材10及び陰嚢保持部材20の双方の後端部を引っ張り上げて、これらを人体に対して固定・装着することができる。
【0021】
なお、後述するように、陰茎保持部材10の全長は陰茎保持部材20の全長よりも少し長いため、陰茎保持部材10の筒部12の後端が、陰嚢保持部材20の後端開口よりも若干外に飛び出した構成となっている。
【0022】
一方、陰茎保持部材10の前端に接続された前側接続用紐31a,31bと、陰嚢保持部材20の前端に接続された前側接続用紐33a,33bは、それぞれ独立しているので、各保持部材10,20に適した所望の張力で、接続用紐31,33それぞれを引っ張ることができる。これにより、装着者によって形状、位置等が異なる陰茎及び陰嚢を、各装着者に適した態様で保持・固定することが可能となる。
【0023】
なお、陰嚢保持部材20及び接続部材30(前側接続用紐31,33、後側接続用紐32)も陰茎保持部材10と同様に高い伸縮性を有するストッキング素材で製造されている。
【0024】
続いて、装着前の伸びていない状態での男性用下着1のサイズについて説明する。陰茎保持部材10については、全長が130mm、筒部13の内径が25mmである。また、陰嚢保持部材20については、全長が120mm、前側開口22の内径が50mm、後側開口の内径が25mmである。
【0025】
もちろん、陰茎保持部材10及び陰嚢保持部材20を構成する素材はストッキング素材に限らず、布状部材であれば、適宜変更可能である。但し、陰茎、睾丸等を安定して固定するためには、伸縮性の高い素材を用いるのが望ましい。また、男性用下着1を構成する各部材のサイズについても、装着者に合わせて適宜変更可能であることは言うまでもない。また、接続部材30については、ゴム等、布状部材以外の素材を使っても良い。
【0026】
以上、男性用下着1の構成について詳細に説明したが、次に、男性用下着1の装着手順について、図4を参照しながら詳細に説明する。図4は、本実施形態に係る男性用下着を装着するために人体の前側に位置させた際の上面図である。同図に示すように、男性用下着1を人体に装着する際には、まず、男性用下着1の前側を上にすると共に、陰茎保持部材10と陰嚢保持部材20の前側端で縫い合わされた部分を向こう側にした状態で、男性用下着1を人体の前側に位置させる。
【0027】
続いて、陰茎保持部材10を陰茎に装着する。具体的には、亀頭が筒部13の後端から露出するまで、陰茎を筒部13に挿入する。陰茎保持部材10は、伸縮性の高いストッキング素材で作られているので、いったん装着すると、筒部13全体が陰茎表面に密着し、陰茎が筒部13から容易に抜けることはない。
【0028】
さらに、包皮を剥いて亀頭を完全に露出させておけば、筒部13から陰茎が抜けようとしても、カリ首の部分に筒部13の後端縁が引っ掛かって抜けるのを防止できる。よって、装着者が仮性包茎の人の場合でも、筒部13に陰茎を挿入する際には亀頭を完全に露出させた状態とすることが望ましい。
【0029】
続いて、陰茎保持部材10に挿入された陰茎を下向きにして後方へ引っ張り、陰茎を挿入した陰茎保持部材10が股間の下方で前後に延在した状態で、陰茎保持部材10の前側端に一端が固定されている前側接続用紐31a,31bと、後側端に一端が固定されている後側接続用紐32a,32bを上方に引き上げながら人体に固定する。これにより、まずは陰茎保持部材10がしっかりと人体に装着される。
【0030】
具体的には、前側接続用紐31a,31bを上方に引っ張りながら、腰骨の上辺りでそれぞれ人体の左側と右側から後方へと回し、人体の後側でこれらの他端同士を結ぶ。さらに、後側接続用紐32a,32bを上方に引っ張りながら、腰骨の上辺りでそれぞれ人体の左側と右側から前方へと回し、人体の前側でこれらの他端同士を結ぶ。
【0031】
そうすると、陰茎保持部材10に挿入された下向きの陰茎は、下方から後方へ引っ張られた状態で、筒部13の下面によって面で上方の股間へと押しつけられた状態で固定されることになる。このとき、陰嚢は、陰茎と股間との間に挟まれ、陰茎によって股間の下面に押しつけられてしっかりと固定される。また、陰茎は二つの睾丸の間に位置することになるので、この状態では、二つの睾丸は少しだけフリーな状態となっている。
【0032】
続いて、陰嚢保持部材20の前側開口22を拡げながら、睾丸と陰嚢全体を覆うように袋体21を陰嚢に被せる。この状態で、陰嚢保持部材20の前側端に一端が固定されている前側接続用紐33a,33bを上方に引っ張りながら、腰骨の上辺りでそれぞれ人体の左側と右側から後方へと回し、人体の後側でこれらの他端同士を結ぶ。
【0033】
なお、陰嚢保持部材20の後側端のヒダ部25a,25bは、陰茎保持部材10の後側端15a,15bとそれぞれ接続固定されている。よって、上述したように、後側接続用紐32a,32bを上方に引っ張りながら人体に固定することで、陰嚢保持部材20の後側端も上方に引っ張られた状態となっている。これにより、陰嚢保持部材20も人体に対してしっかりと固定され、睾丸は袋状の陰嚢保持部材20によって吊り上げられ、股間に対して押しつけられた状態となる。
【0034】
以上により、男性用下着1が装着されることになるが、上述した装着手順は一例を示しただけであり、他の手順でも装着できることは言うまでもない。図5及び図6に本実施形態に係る男性用下着の装着状態を示す。図5は、男性用下着を装着した状態を示す正面図であり、図6は、男性用下着を装着した状態を示す断面図である。
【0035】
図5及び図6に示すように、男性用下着1を装着すると、筒部13に陰茎Pが挿入された陰茎保持部材10、陰茎Pの両側に位置する睾丸K及び陰嚢が、陰嚢保持部材20によって包含され、陰茎P、睾丸K及び陰嚢は男性用下着1によって覆い隠されることになる。
【0036】
また、下向き状態で股間に押しつけられた陰茎Pによって左右に分離された睾丸Kを、袋状の陰嚢保持部材20によって包み込みながら吊り上げて股間に押しつけることで、それぞれ別々に固定することが可能となる。なお、図6に示すように、陰茎Pの先端の亀頭部分は、股間の下側において陰茎保持部材10及び陰嚢保持部材20の後端開口から露出した状態となっている。したがって、男性用下着1の装着者は、装着したままで排尿を行うことも可能である。
【0037】
以上、本実施形態に係る男性用下着について詳細に説明したが、本実施形態によれば、陰茎保持部材によって下向きの陰茎を股間に押しつけて安定的に固定できるだけでなく、陰茎によって左右に分離された二つの睾丸を陰嚢と共に股間に押しつけて安定的に固定することができる。また、陰嚢保持部材として伸縮性の高いストッキング素材を用いているので、睾丸をソフトに包み込んで固定することができ、装着者に痛みを感じさせることもない。
【0038】
陰茎の固定についても、陰茎保持部材と陰嚢保持部材とにより二重に押しつけられることになるので、陰茎保持部材単独の場合と比べて、より安定して陰茎を下向きに股間に押しつけて固定することができる。したがって、例えば、スポーツ等の激しい動きをする場合であっても、陰茎、陰嚢、睾丸等が移動して邪魔になったり、不快を感じたりといったことを防止することができる。
【0039】
また、本実施形態によれば、陰茎、睾丸及び陰嚢を股間に押しつけて固定した状態で、陰嚢保持部材によってこれらを覆い隠しているので、下着を装着した状態の外観も良好なものとなる。
【0040】
なお、本発明の実施の形態は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施形態では、陰茎保持部材と陰嚢保持部材とを一部を縫い合わせることで一体の構成としているが、例えば、結んだり、ボタンで留めたり、面ファスナー等で固定して一体化しても良い。また、一体化せずに別体のままでも良い。
【0041】
また、上記実施形態では、男性用下着を人体に固定するための接続部材として、陰茎保持部材及び陰嚢保持部材に一端が固定された接続用紐を用い、当該接続用紐を人体の腰骨回りに結びつけているが、接続用紐を固定する場所は、例えば、首回りの肩など、任意の場所で良い。また、腰回りに固定した腰紐や、下着等、人体に装着された部材に接続用紐を固定するようにしても良い。
【0042】
また、上記実施形態では、前側接続用紐としては、陰茎保持部材用と陰嚢保持部材用とで別々の接続用紐を用いているが、後側接続用紐のように兼用の紐を用いても良い。
【符号の説明】
【0043】
1 男性用下着
10 陰茎保持部材
13 筒部
20 陰嚢保持部材
21 袋体
30 接続部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰茎を股間に押しつけて固定するための男性用下着において、
人体への装着時に股間の下方に設置されて前側開口から陰茎が内部空間に挿入される布状筒型の陰茎保持部材と、
人体への装着時に前記陰茎保持部材を包含すると共に前側開口から陰嚢全体に被せられて、陰茎、睾丸及び陰嚢全体を覆う袋状の陰嚢保持部材と、
前記陰茎保持部材及び前記陰嚢保持部材の前側部分に一端が固定された前側接続用紐と、
前記陰茎保持部材及び前記陰嚢保持部材の後側部分に一端が固定された後側接続用紐と、
を備え、人体への装着時に、前記前側接続用紐及び前記後側接続用紐を人体又は人体に装着された部材に固定することで、前記陰茎保持部材及び前記陰嚢保持部材の前側部分が人体の前側から上方に引っ張られながら、かつ、前記陰茎保持部材及び前記陰嚢保持部材の後側部分が人体の後側から上方に引っ張られながら装着されることを特徴とする男性用下着。
【請求項2】
前記前側接続用紐は、前記陰茎保持部材の前側部分に接続された陰茎保持用の紐と、前記陰嚢保持部材の前側部分に接続された、前記陰茎保持用の紐とは別体の陰嚢保持用の紐とを備えることを特徴とする請求項1記載の男性用下着。
【請求項3】
前記陰茎保持部材及び前記陰嚢保持部材の後端にも開口が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の男性用下着。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−52343(P2011−52343A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202242(P2009−202242)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(508114605)
【Fターム(参考)】