説明

画像を形成又は印刷するよう意図された材料及びその製造方法

本発明は、画像を形成又は印刷するよう意図された、支持体及び少なくとも1つの親水性バインダーベースの層を含む材料、並びに、その製造方法に関し、当該方法は、親水性バインダーのゲル化処理を制御することを可能にしている。前記親水性バインダーベースの層のうち少なくとも1つにおいて、熱感受性ポリマー又はコポリマー上に存在する錯形成剤を用いた錯体形成により前記親水性バインダーがゲル化され、前記熱感受性ポリマー又はコポリマーが、前記錯形成剤を保護するために、前記熱感受性ポリマー又はコポリマーの下部臨界溶解温度LCSTよりも高い温度で疎水性であり、さらに、前記錯形成剤を利用可能にするために前記LCSTよりも低い温度で水溶性であり、前記熱感受性(コ)ポリマーのLCSTが前記親水性バインダーの硬化温度よりも高くあることを本発明による材料は特徴としている。本発明による材料は、写真感光材料として、又は、インクジェット印刷技術によって適用された水溶性のインク組成物を受ける材料として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を形成又は印刷するよう意図され、支持体及び少なくとも1つの親水性バインダーベースの層を含んだ材料、並びに、該材料の製造方法に関する。前記材料は、例えば、インクジェット印刷技術によって水ベースのインク組成物を受けるよう意図された材料又は写真感光材料であり得る。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット印刷技術によって水ベースのインクを受けるよう意図された材料は、支持体上に異なる層を被覆することにより得られる。吸収層は、イメージング後、水ベースのインク組成物の液体部分を吸収する。液体の除去により、表面へのインク移動のリスクが減る。インク定着層は、印刷ドットのサイズにおける増加を促進して画質を低下させるであろう過度のインクを防ぐ一方で、優れた色飽和度を得るために、紙基材の繊維内へのいかなるインクの損失も防ぐ。吸収層及び定着層は、どちらの機能も確実にする単一層を構成することもできる。保護層は、指紋及びプリンタのフィードローラの圧力かぶりに対する保護を確実にするようなされている。これらの層のうち一部は、ポリ(ビニルアルコール)等の親水性バインダーのベースを有している。
【0003】
被覆技術は写真分野にも使用されており、種々の親水性バインダーベースの層、特に画像形成ハロゲン化銀乳剤層だが、ハレーション防止層、帯電防止層等の保護層、中間層等も支持体上に被覆することにより写真感光材料が得られている。そのような配置は、Research Disclosure, Item 38957, page 624, section XI (September 1996)に記載されている。Research Disclosureは、Kenneth Mason Publications Ltd., Dudley House, 12 North Street, Emsworth, Hampshire PO107DQ, United Kingdomの刊行物である。
【0004】
一般に写真分野に使用される親水性バインダーは、被覆後の高速被覆処理を可能にする速硬特性で既知のゼラチンである。ポリ(ビニルアルコール)は、ゼラチンよりも遅く固まるというデメリットを有している。従って、その使用は、被覆速度の低下を必然的に伴い、コスト削減も生産力の増加も可能にはしない。
【0005】
特に、ゼラチンをポリ(ビニルアルコール)と取り替えることが可能になるように、又は、従来の写真感光材料被覆装置を使用して、インクジェット印刷のための材料を生成することが可能になるように、ポリ(ビニルアルコール)の硬化特性を改善するよう企てられてきた。
【0006】
ポリ(ビニルアルコール)の硬化特性を改善するための1つの解決策は、硬化剤を使用することにあった。従って、DHD(ジヒドロキシジオキサン)が、被覆の物理的性質を改善するための硬化剤として使用されてきた。しかし、DHDは毒性の問題をもたらし得るだけでなく、速硬化剤(rapid hardener)でもない。従って、結果は予測したほど良くはない。四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)も硬化剤として使用されてきた。そのような化合物は、そのボラートアニオンのために、二錯体形成反応(dicomplexation reaction)として親水性バインダーのヒドロキシ基と反応し、鎖内及び鎖間で結合したジジオール(didiol)錯体を介して親水性バインダーのゲル化を生じる。二錯体形成反応は非常に速いので、ホウ砂は、非常に優れた硬化特性を有する被覆を得ることを可能にする。しかし、ホウ砂は非常に効率的なので、被覆前に親水性バインダーと混合することが難しい。実際に、ホウ砂は、被覆に先立ちバインダーと反応し始めて、バインダーの粘度を猛烈に変え、必要とされた表面の被覆の前にバインダーをゲル化させてしまい、不十分な物理的性質を有する材料若しくは皮膜欠陥の発生を生じるか、又は、バインダーの粘度が高くなり過ぎた場合、被覆装置を妨害することにより被覆の停止さえ生じてしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、画像を形成又は印刷するよう意図され、親水性バインダーベースの層を含んだ新たな材料、並びに、均一であり、優れた物理的性質を有する親水性バインダーベースの層を得るために、ポリ(ビニルアルコール)等の前記親水性バインダーのゲル化処理を最適化及びより制御するよう可能にするその新たな製造方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、画像を形成及び印刷するよう意図された、本発明による新たな材料は、支持体及び少なくとも1つの親水性バインダーベースの層を含み、さらに、前記親水性バインダーベースの層のうち少なくとも1つにおいて、熱感受性ポリマー又はコポリマー上に存在する錯形成剤を用いた錯体形成により前記親水性バインダーはゲル化され、前記熱感受性ポリマー又はコポリマーは、前記錯形成剤を保護するために、前記熱感受性ポリマー又はコポリマーの下部臨界溶解温度LCSTよりも高い温度で疎水性であり、さらに、前記錯形成剤を利用可能にするために前記LCSTよりも低い温度で水溶性であり、前記熱感受性(コ)ポリマーのLCSTは前記親水性バインダーの硬化温度よりも高くあることを特徴としている。
【0009】
本発明は、画像を形成又は印刷するように意図され、支持体及び少なくとも1つの親水性バインダーベースの層を含んだ材料の製造方法にも関し、当該方法は:
(i)
前記親水性バインダーの錯形成剤を含んだ熱感受性ポリマー又はコポリマーを調製するステップであって、前記熱感受性ポリマー又はコポリマーが、前記錯形成剤を保護するために、前記熱感受性ポリマー又はコポリマーの下部臨界溶解温度LCSTよりも高い温度で疎水性であり、さらに、前記錯形成剤を利用可能にするために、前記LCSTよりも低い温度で水溶性である、ステップ、
(ii)
前記LCSTよりも高い温度で、前記熱感受性(コ)ポリマーを前記親水性バインダーと混合するステップ、
(iii)
前記LCSTよりも高い温度で、少なくとも1つの、ステップ(ii)により得られた混合物の層で前記支持体を被覆するステップ、並びに、
(iv)
ステップ(iii)において得られた前記層を前記LCSTよりも低い温度に曝露させて、錯形成により前記親水性バインダーをゲル化させるために前記錯形成剤を利用可能にするステップ
を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
一実施形態によると、前記錯形成剤は熱感受性コポリマー上にグラフトされ、該熱感受性コポリマーは、一般式がCH2=CRC=ONR1R2のモノマーを本質的に含有しており、式中、RはH若しくはCH3でありえ、R1、R2は同じ若しくは異なり、アルキル基(直鎖若しくは分岐鎖)又はアリル基(置換若しくは未置換)に相当することができ、前記熱感受性コポリマーは、該コポリマー上に前記錯形成剤をグラフトするために前記錯形成剤と反応することができるグラフト単位を含んだモノマーで共重合されている。
【0011】
一実施形態によると、前記錯形成剤は、前記親水性バインダーを錯形成させることができるボロナート(boronate)単位を含む。
【0012】
好ましくは、本発明による材料は、モノマーとしてのアクリル酸モノマーと共重合したN−イソプロピルアクリルアミドを本質的に含有する熱感受性コポリマーに属する酸単位上にグラフトされた3−アミノフェニルボロン酸により錯形成されたポリ(ビニルアルコール)に基づく層を含む。本発明の材料を得る別の方法は、フェニルボロン酸基(phenylboronic group)を有するモノマーとのN−アルキルアクリルアミドの共重合であろう。
【0013】
本発明による方法は、錯形成剤を含んだ(コ)ポリマーのLCSTに関連して温度に作用することにより、親水性バインダーのゲル化処理を制御することを可能にしている。
【0014】
他の特徴は、以下の説明を読む上で明らかになるであろう。
【0015】
本発明による材料は、第一に支持体を含む。この支持体は、所望の用途に従い選ばれる。支持体は、透明又は不透明な熱可塑性フィルム、特に、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルベースのフィルム;セルロースエステル、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート等のセルロース誘導体;ポリアクリレート;ポリイミド;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリスチレン;ポリオレフィン;ポリスルホン;ポリエーテルイミド;ポリ塩化ビニル等のビニルポリマー;及びその混合物であり得る。本発明に使用される支持体は紙の場合もあり、その紙の両面をポリエチレン層で被覆することができる。製紙用パルプを含んだ支持体がポリエチレンで両面を被覆された場合、樹脂被覆紙(RCペーパー)と呼ばれ、種々の商標名下で商業的に入手可能である。この種の支持体は、インクジェット印刷に向けられた材料を調製するのに特に好ましい。使用される支持体の側面は、支持体に対する第1の層の接着を確実にするために、ゼラチン又は別の組成物の非常に薄い膜で被覆することができる。支持体に対する親水性バインダーベースの層の接着を改善するために、支持体の表面も、親水性バインダーベースの層を被覆する前に、コロナ放電による前処理を受けさせることができる。
【0016】
次に、本発明による材料は、少なくとも1つの親水性バインダーベースの層を含む。親水性バインダーとは、システムを化学的にゲル化する錯形成剤を有する錯体を形成することができる、好ましくはシス1,2又は1,3という位置で隣接するヒドロキシ基を有する化合物を意味している。そのような親水性バインダーは、ポリ(ビニルアルコール)又はヒドロキシプロピルセルロースであり得る。ポリ(ビニルアルコール)は、例えば、Nippon Gohsei社から商業的に入手可能である。
【0017】
本発明によると、少なくとも1つの親水性バインダーベースの層において、熱感受性ポリマー又はコポリマー上に存在する錯形成剤を用いた錯体形成により前記親水性バインダーはゲル化され、熱感受性ポリマー又はコポリマーは、前記錯形成剤を保護するために、熱感受性ポリマー又はコポリマーの下部臨界溶解温度LCSTよりも高い温度で疎水性であり、さらに、前記錯形成剤を利用可能にするために前記LCSTよりも低い温度で水溶性であり、前記熱感受性(コ)ポリマーのLCSTは前記親水性バインダーの硬化温度よりも高い。硬化温度は、材料が親水性バインダーのゲル化を引き起こすのに曝露される温度を意味している。
【0018】
熱感受性(コ)ポリマーは、水溶液において、「ペレットグロビュール(pellet−globule)」転移を受けることによって、及び、その水溶性を変えることによって、温度に従い性質を変えるという利点を有している。LCSTと呼ばれる下部臨界溶解温度より下で、熱感受性(コ)ポリマーは水中で分散され、完全に水溶性である。そのLCSTより上で、熱感受性(コ)ポリマーは水溶性ではなく、相分離が観察される。
【0019】
好ましくは、前記熱感受性ポリマーは、本質的にN−アルキルアクリルアミドをモノマーとして含有するコポリマーであり、N−アルキルアクリルアミドは、CH2=CRC=ONR1R2という一般式を有し、式中、RはH若しくはCH3でありえ、R1、R2は同じ若しくは異なり、アルキル基(直鎖若しくは分岐鎖)又はアリル基(置換若しくは未置換)に相当することができ、前記コポリマーは、該コポリマー上に前記錯形成剤をグラフトするために前記錯形成剤と反応することができるグラフト単位を含んだモノマーで共重合されている。
【0020】
好ましくは、前記N−アルキルアクリルアミド又はN−アルキルメタクリルアミドの熱感受性ポリマーのアルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、及びn−ブチル基からなる群の中から選択される。
【0021】
好ましくは、前記熱感受性ポリマーは、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)である。
【0022】
好ましくは、錯形成剤と反応することができるグラフト単位を含み、さらに、前記熱感受性ポリマーと共重合したモノマーは、グラフト単位に酸官能基を与えるアクリル酸又はメタクリル酸である。
【0023】
他のモノマーを使用して、ターポリマー又はそれ以上のポリマーを形成することができる。
【0024】
熱感受性コポリマーを調製するために使用される種々のモノマーの性質及び割合は、錯形成剤のグラフトに必要とされるグラフト単位の数、及び、求められたLCSTの値に従い選択される。このように、熱感受性ポリマーに含まれたモノマーの性質はLCSTに対して影響し、親水性モノマーの混合は前記LCSTを上昇させ、反対に、疎水性モノマーの導入は前記LCSTを低下させる。
【0025】
好ましくは、前記コポリマー上に前記錯形成剤をグラフトするために前記錯形成剤と反応することができるグラフト単位を含んだ5〜10%のモノマーで共重合された90〜95%の熱感受性ポリマーから前記熱感受性コポリマーは調製される。
【0026】
好ましくは、前記熱感受性コポリマーは、90%のポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)及び10%のアクリル酸を含む。
【0027】
本発明に有用なポリマー及びコポリマーは、10,000から200,000、好ましくは約30,000の分子量を有していることが好ましい。
【0028】
本発明によると、親水性バインダーの錯形成剤は、熱感受性(コ)ポリマーと混合される。好ましくは、錯形成剤は、親水性バインダー、より好ましくは、親水性バインダーのヒドロキシ官能基を錯形成させて、システムを化学的にゲル化させることができるボロナート単位を含む。
【0029】
好ましくは、前記錯形成剤はRB(OH)という式を有しており、式中、Rは、前記グラフト単位上にグラフトすることができる遊離基で置換されるフェニル基である。この目的のため前記の遊離基は、熱感受性(コ)ポリマー上に存在するグラフト単位と反応する官能基を有しており、錯形成剤が前記熱感受性(コ)ポリマー上にグラフトするようになっている。
【0030】
好ましくは、Rは3−アミノフェニル基、錯形成剤は3−アミノフェニルボロン酸である。
【0031】
本発明による材料は、以下のステップ:
(i)
前記親水性バインダーの錯形成剤を含んだ熱感受性ポリマー又はコポリマーを調製するステップであって、前記熱感受性ポリマー又はコポリマーが、前記錯形成剤を保護するために、前記熱感受性ポリマー又はコポリマーの下部臨界溶解温度LCSTよりも高い温度で疎水性であり、さらに、前記錯形成剤を利用可能にするために、前記LCSTよりも低い温度で水溶性である、ステップ、
(ii)
前記LCSTよりも高い温度で、前記熱感受性(コ)ポリマーを前記親水性バインダーと混合するステップ、
(iii)
前記LCSTよりも高い温度で、少なくとも1つの、ステップ(ii)により得られた混合物の層で前記支持体を被覆するステップ、並びに、
(iv)
ステップ(iii)において得られた前記層を前記LCSTよりも低い温度に曝露させて、錯形成により前記親水性バインダーをゲル化させるために前記錯形成剤を利用可能にするステップ
を含んだ処理に従い調製される。
【0032】
熱感受性コポリマーは、当業者には既知の重合技術に従い調製される。N−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸モノマーを、レドックス開始剤を用いた遊離基共重合により共重合することができる。
【0033】
錯形成剤のグラフトは、当業者には既知の従来技術に従い、特に、例えば1−(3−ジメチルアミノプロピル)3−エチルーカルボジイミド塩酸塩(EDC)の水溶性のカルボジイミド等のカップリング剤を用いて行われる。
【0034】
支持体上の被覆は、ブレード塗工、ナイフ塗布、又はカーテン塗工等、従来の被覆方法を使用する。被覆の厚さは、写真用途において、又は、インクジェット印刷用に従来使用されているものである。
【0035】
本発明の方法によると、錯形成剤を有する熱感受性(コ)ポリマー/親水性バインダーの混合物は、この混合物が支持体上に被覆されて親水性バインダーベースの層を形成しない限り、親水性バインダーの錯形成剤を有する熱感受性(コ)ポリマーのLCSTよりも高い温度で維持される。従って、親水性バインダーが錯形成及びゲル化されないように、熱感受性(コ)ポリマーは、疎水性でまま、錯形成剤が「隠れて」保護されている収縮した形状のままである。このように、前記混合物は完全に液体で、支持体の表面全体を容易に被覆することができ、被覆装置を妨害するリスクを有さない。
【0036】
親水性バインダーベースの層が被覆されると、例えば、熱感受性(コ)ポリマーが水溶性になるように被覆装置のうち温度が急激に低下する硬化領域内に支持体が移動した場合、親水性バインダーベースの層は、熱感受性(コ)ポリマーのLCSTよりも低い温度に曝露される。従って、熱感受性の鎖は膨張して錯形成剤を露出し、親水性バインダーのヒドロキシ官能基が錯形成剤を利用できるようにしている。次に、親水性バインダーのゲル化及び硬化は、ジジオールの錯体形成により急速に生じる。錯形成剤の群をいくつか有する熱感受性コポリマーの鎖は、親水性バインダーの異なる鎖と相互作用して、システムをゲル化することができるであろう。本発明による材料は、従って、錯形成剤を用いた錯体形成によりゲル化された親水性バインダーが、優れた物理的性質を有した均一な層を提供するために急速且つ不可逆的に硬化される層を含む。熱感受性コポリマーは錯形成剤を保護しており、親水性バインダーベースの層が被覆された後のみ親水性バインダーのゲル化及び硬化処理を開始する。従って、親水性バインダーのゲル化及び硬化処理は、温度に作用することにより完全に制御されている。
【0037】
次に、前記材料は、支持体が垂直に通り抜け、乾燥速度及び生産性も促進する乾燥機(ループ乾燥機)において乾燥することができる。
【0038】
好ましくは、最終的な層において、前記親水性バインダーは乾燥重量に基づき2%から15%に相当し、前記親水性バインダーの錯形成剤を含んだ熱感受性(コ)ポリマーは乾燥重量に基づき1%から10%に相当するであろう。
【0039】
本発明による材料は写真分野において使用することができ、前記親水性バインダーベースの層は画像形成ハロゲン化銀乳剤層を構成する。この場合、本発明による方法の特別な態様に加えて、適切な乳剤を調製するためにResearch Disclosure, Item No 36544, September 1994, page 501, Chapter I, II, IIIに記載の従来の操作に従い、親水性バインダーを調製することができる。上記のResearch Disclosure, Chapter VI, VII, VIIIに記載されているように、乳剤は、従来使用されている添加剤を含むことができる。上記のResearch Disclosure, Chapter IXに記載されているように、乳剤は、層の機械的又は物理的性質を変える薬剤等、他の添加剤も含むことができる。それにもかかわらず、添加剤は、親水性バインダーの錯形成剤を含んだ熱感受性(コ)ポリマーと適合性がなければならない。
【0040】
本発明による材料が、インクジェット印刷を含む用途に向けられている場合、前記親水性バインダーベースの層は、インクジェット印刷技術により適用された水溶性のインク組成物を受けるよう意図されたインク受容層である。この場合、ゲル化された親水性バインダーは、インクジェット用途において従来使用される添加剤と共に使用することができるが、その添加剤は、親水性バインダーの錯形成剤を含んだ熱感受性(コ)ポリマーと適合性がなければならない。例えば、前記親水性バインダーベースの層は、乾燥層の全重量に基づき、5から95重量%の充填剤を含むことができる。そのような充填剤は、コロイドシリカ若しくはパイロジェンシリカ(pyrogenated silica)等の無機充填剤、又は、ポリアクリル系若しくはポリメタクリル系のラテックス等の有機充填剤であり得る。本発明による、インクジェット印刷により画像を形成するよう意図された材料は、上記のインク受容層に加えて、前記インク受容層の上又は下に配置された、他の機能を有する他の層を含むことができる。インク受容層だけでなく他の層も、結果として生じる画像の特性を改善するために、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、可塑剤等、当業者には既知のいかなる他の添加剤も含むことができる。
【0041】
以下の実施例は、本発明を限定することなく、本発明を例証している。
【実施例】
【0042】
(1)熱感受性コポリマーの調製
約30,000g/モルの分子量で、10%のアクリル酸単位を有した、N−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸のコポリマーを調製した。
【0043】
以下の製品を使用した:
N−イソプロピルアクリルアミド:M=113.16g/モル、CAS No.2210−25−5、Acros Organics社から商業的に入手可能
アクリル酸:M=72.06g/モル、CAS No.79−70−7、Acros Organics社から商業的に入手可能
N−イソプロピルアクリルアミド20.4g及びアクリル酸1.442gを含んだ浸透水約180mlを、アルゴン雰囲気下で反応器内に導入した。反応器を、アルゴン雰囲気下にて、25℃で30分間維持した。次に、18mlの1Mソーダを添加して、アクリル酸90%を中和した。約5.5/6という反応混合物の最終pHを得た。2.338gのNaCl塩を添加し、反応器を、アルゴン雰囲気下にて、25℃で1時間維持した。重合のレドックス開始剤、すなわち、0.0576gの過硫酸アンモニウム(NH4)及び0.38gのメタ重亜硫酸ナトリウムNaを、別々に10mlの水に溶解した。結果として生じる溶液を反応器内に添加した。結果として生じる混合物を25℃で12時間撹拌し、次に、10,000〜20,000ダルトン遮断するセルロース透析膜を用いて1週間透析した。次に、コポリマーを含有する溶液を凍結乾燥した。10%のアクリル酸単位を含んだ、今後P(NIPAM−co−AA)と呼ばれるポリ(NIPAM−co−アクリル酸)を20g得た。このコポリマーは、1%水溶液(1% solution in water)において48.4℃というLCST、及び、5%水溶液(5% solution in water)において42.6℃というLCSTを有している。
【0044】
結果として生じるコポリマーにおいて、アクリル酸単位を、本質的にナトリウム塩として見出した。
(2)親水性バインダーの錯形成剤による熱感受性コポリマーのグラフト
錯形成剤として、ポリ(ビニルアルコール)のヒドロキシ官能基を錯形成させることができる3−アミノフェニルボロン酸を選択した。この錯形成剤を、実施例(1)で得られた熱感受性コポリマーのアクリル酸単位の酸官能基上にグラフトした。
【0045】
コポリマーの酸官能基及び錯形成剤のアミン官能基と反応してアミド結合を形成する、カップリング剤1−(3−ジメチルアミノプロピル)3−エチルーカルボジイミド塩酸塩(今後EDCと呼ばれる)を使用した。
【0046】
浸透水83mlを、アルゴン雰囲気下且つ室温(25℃)にて反応器内に導入し、次に、実施例(1)で得られたコポリマーP(NIPAM−co−AA)10gを徐々に添加した。完全に溶解されるまで待った。別個に、1.676gのヘミスルフェートとしての3−アミノフェニルボロン酸を浸透水33mlに溶解し、次に、この溶液を前記反応器内に導入した。この混合物を10分間撹拌し、次に、予め3mlの水に溶解した1.73gのEDCを前記反応器内に導入した。結果として生じる混合液を、アルゴン雰囲気下にて、25℃で12時間撹拌した。白い懸濁液を得た。この懸濁液を、ビーカー内のエタノール33mlに添加した。この混合物を撹拌し、一晩置いた。下が液相で、上がゲル相の相分離が生じた。ゲル相をビーカー内に分離し、120mlの水を添加した。この混合物を、ゲルが水に溶解されるように、氷浴において低温(前記LCSTよりも下)で2時間撹拌した。結果として生じる溶液を、3日間凍結乾燥した。今後はP(NIPAM−co−AA/B)と呼ばれる、ボロナート単位によりグラフトされたポリ(NIPAM−co−アクリル酸)コポリマー9.90gを得た。このコポリマーは、1%水溶液(1% solution in water)において26℃というLCST、及び、5%水溶液(5% solution in water)において21.2℃というLCSTを有している。
(3)本発明による材料の調製
以下の実施例に従い調製した本発明による材料は、特にインクジェット印刷の用途のために設計されている。
【0047】
無機充填剤として、アモルファスシリカのポリマーを以下の方法に従い調製した:
テトラエチルオルトシリケート3147gを、エタノール400g、脱イオン水1680g、及び、0.1M塩酸溶液40mlと混合し、室温にて10分間、次に、50℃にて1.5時間撹拌した。次に、その混合物を、撹拌することなく60℃にて8時間インキュベートした。結果として生じたゲルを、次に、恒量まで凍結乾燥した。結果として生じた粉をひいた。1023.9gの白い粉を得た。
【0048】
Nippon Goshei社から商業的に入手可能なポリ(ビニルアルコール)(PVA)Gohsenol GH23(9%溶液)を、親水性のバインダーとして使用した。
【0049】
実施例2において調製した熱感受性コポリマーP(NIPAM−co−AA/B)を、2%水溶液(2% solution in water)にした。
【0050】
層の組成物は以下であった:
シリカポリマー=2.85g
PVA=4g
P(NIPAM−co−AA/B)=12.37g
水=33g
一方では、シリカポリマーをPVA及び水と混合し、次にその混合物を40℃まで熱した。もう一方で、P(NIPAM−co−AA/B)の2%溶液を40℃まで熱した。次に、被覆する前に、全てを40℃にて2分間混合した。この温度は、錯形成剤を保護してPVAとの反応を防ぐために、熱感受性コポリマーのLCSTよりも上であった。
【0051】
RCペーパータイプの支持体を被覆装置上に配置し、第一に非常に薄いゼラチン層で被覆して、真空状態により被覆装置上に固定した。被覆の直前に熱風で熱したブレードを用いて、この支持体を、上記のように調製した組成物で被覆した。被膜の濡れ厚は300μmであった。次に支持体を、室温(21℃)にて24時間置いて乾かした。次に、ボロナート錯形成剤を利用可能にしてPVAと反応させ、層をゲル化及び硬化するように、温度を熱感受性コポリマーのLCSTよりも上げた。
(4)硬化特性の研究
吸引式抽出器を用いた吸引により、サーモスタットで18℃に調節された実験台に材料用支持体を付着させた。モーターの使用により制御された速度で、被覆用ブレードを実験台上に移動させた。ブレードの後、一続きの異なる圧力のエアジェット3つを、その濡れた層に対する擾乱をその硬化中に誘発するために、移動させることが可能である。エアジェットにより残された形跡を被膜上で観察することができる。
【0052】
この目的のために、実施例3に記述された組成物を有した50μm厚の層を支持体上に被覆した。比較のために、類似の組成物(22gの水に対して4gのPVA、3gのシリカポリマー)だが、グラフトされた熱感受性コポリマーを含有していない層で支持体を被覆することにより、比較材料を調製した。組成物は、予め40℃まで熱した。
【0053】
適用したエアジェットは、10、50、及び90mバールという圧力を有し、さらに、擾乱を被覆25秒後に適用した。
【0054】
圧力10mバールのエアジェットでは、いかなる材料に対しても形跡は観察されなかった。
【0055】
圧力50mバールのエアジェットでは、エアジェットにより残された形跡を比較材料の層上に観察した。本発明の材料の層は形跡を示さなかった。
【0056】
圧力95mバールのエアジェットでは、本発明による材料の層は、グラフトされた熱感受性ポリマーを使用していない比較材料の層よりもはるかに軽い形跡を示した。
【0057】
これらの結果は、本発明による材料が、比較材料よりもエアジェットによる影響をはるかに受けにくいことを示している。このように層の硬化は、比較材料よりも本発明による材料を用いた方がより優れていた。
(5)時間の経過に伴う色堅牢度の評価
時間の経過に伴う色堅牢度を評価するために、オゾンへの曝露による色彩変化の試験を、本発明の材料及び比較材料に対して行った。4色(黒、黄、シアン、及びマゼンタ)を含んだ試験標板を、Hewlett−Packard HP5550プリンタ及び関連するインクを用いて、結果として生じた材料上に印刷した。その試験標板を、種々の色の強さを測定するGretagMacbeth Spectrolino濃度計を用いて分析した。次にその材料を、制御されたオゾン雰囲気(1ppm)にて24時間、室内の暗い部分に置いた。いかなる色濃度の低下も濃度計を用いてモニターした。
【0058】
色彩変化の試験を、2週間の50Kルクスの光に対する曝露によっても実行した。4色(黒、黄、シアン、及びマゼンタ)を含んだ試験標板を、Hewlett−Packard HP5550プリンタ及び関連するインクを用いて、結果として生じた材料上に印刷した。次に、大気による酸化現象を最小限のするために、6mm厚で、且つ、使用したネオン管(Osram Lumilux(登録商標)FQ80W/840Cool White)の発光分光に対して完全に透明なPlexiglas(登録商標)のシート下に、印刷した試験標板を置いた。いかなる色濃度の低下も、2週間後に濃度計を用いて測定した。
【0059】
本発明の材料又は比較材料に対しても、オゾン又は光を受けても、濃度の低下は観察されなかった。本発明による材料は、比較材料のオゾン及び光に対する安定性と本質的に同じで、オゾン又は光に対して非常に高い安定性を有していた。これにより、PVAの錯形成剤によりグラフトされた熱感受性コポリマーの使用は、材料の光及びオゾンに対する安定性の特性を変えないということが実証された。
(6)物理的性質の評価
(a)引っかき試験:
分析することになる材料を配置した回転支持体、及び、材料に適用した金属チップをつけ、引っかきの力を増加させるために重さを加えることができるアームを含んだ装置を使用した。
【0060】
Hewlett−Packard HP5550プリンタ及び関連するインクを使用することにより、Dmaxでカラーマゼンタを本発明による材料及び比較材料上に印刷した。次に、印刷した材料に引っかき試験を受けさせた。材料を引っかくのに必要とされる最小重量を決定した:本発明による材料では、引っかきを観察するために7グラムの重量を必要とするが、3グラムの重量が比較材料を引っかくには十分であった。
【0061】
これらの結果は、熱感受性コポリマー上にグラフトされた錯形成剤によってゲル化された層を含んだ本発明による材料が、比較材料よりも引っかきに対してより抵抗力があり、前記グラフトされたコポリマーがPVAとの反応により層を硬化するのを可能にしたことを実証した。
(b)引っ張り試験
この試験を使用して、支持体上に被覆した層の、引っ張りにより損傷を受ける傾向、従って、層の硬度を評価した。
【0062】
軸の周りを移動する殻竿を含み、ア―ムのうちの1つがその端にダイアモンドチップを有し、もう一方のアームが釣合いおもりを有した装置を使用した。追加の荷を受けることができる釣合せ装置は、ダイアモンド保有のアーム上を滑る。
【0063】
その試験は、材料の表面上で増加する荷を受けたダイアモンドチップを移動させることに本質があった。
【0064】
Hewlett−Packard HP5550プリンタ及び関連するインクを使用することにより、Dmaxでカラーマゼンタを本発明による材料及び比較材料上に印刷した。次に、印刷した材料に引っ張り試験を受けさせた。50gから250gのおもりを、この試験のために使用した。これらのおもりそれぞれに対して、比較材料の表面は猛烈に悪化する一方で、本発明による材料の表面は変化しなかった。
【0065】
これらの結果は、熱感受性コポリマー上にグラフトされた錯形成剤によってゲル化された層を含んだ本発明による材料が、比較材料の層よりもはるかに硬い表面を有していることを実証した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成又は印刷するよう意図された、支持体及び少なくとも1つの親水性バインダーベースの層を含む材料であって、前記親水性バインダーベースの層のうち少なくとも1つにおいて、熱感受性ポリマー又はコポリマー上に存在する錯形成剤を用いた錯体形成により前記親水性バインダーがゲル化され、前記熱感受性ポリマー又はコポリマーが、前記錯形成剤を保護するために、前記熱感受性ポリマー又はコポリマーの下部臨界溶解温度LCSTよりも高い温度で疎水性であり、さらに、前記錯形成剤を利用可能にするために前記LCSTよりも低い温度で水溶性であり、前記熱感受性(コ)ポリマーのLCSTは前記親水性バインダーのゲル化温度よりも高くあることを特徴とする、材料。
【請求項2】
前記錯形成剤が熱感受性コポリマー上にグラフトされ、該熱感受性コポリマーが、モノマーとして一般式がCH2=CRC=ONR1R2というN−アルキルアクリルアミドを本質的に含有し、式中、RはH若しくはCH3でありえ、R1、R2は同じ若しくは異なり、アルキル基(直鎖若しくは分岐鎖)又はアリル基(置換若しくは未置換)に相当することができ、前記熱感受性コポリマーが、該コポリマー上に前記錯形成剤をグラフトするために前記錯形成剤と反応することができるグラフト単位を含んだモノマーで共重合されることを特徴とする、請求項1に記載の材料。
【請求項3】
前記N−アルキルアクリルアミド又はN−アルキルメタクリルアミドの熱感受性ポリマーのアルキル基が、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、及びn−ブチル基を含めた群の中から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の材料。
【請求項4】
前記グラフト単位を含んだモノマーが、アクリル酸及びメタクリル酸から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の材料。
【請求項5】
前記錯形成剤が、前記親水性バインダーを錯形成させることができるボロナート単位を含むことを特徴とする、請求項1に記載の材料。
【請求項6】
前記錯形成剤がRB(OH)という式を有し、式中、Rは、前記グラフト単位上にグラフトすることができる遊離基で置換されるフェニル基であることを特徴とする、請求項5に記載の材料。
【請求項7】
前記錯形成剤が3−アミノフェニルボロン酸であることを特徴とする、請求項6に記載の材料。
【請求項8】
前記親水性バインダーが、ポリ(ビニルアルコール)又はヒドロキシプロピルセルロースから選択される、請求項1に記載の材料。
【請求項9】
前記親水性バインダーベースの層のうち少なくとも1つが、インクジェット印刷技術により被覆される水溶性のインク組成物を受ける層である、請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の材料。
【請求項10】
前記親水性バインダーベースの層が、乾燥層の全重量に基づき、5から95重量%の充填剤を含む、請求項9に記載の材料。
【請求項11】
前記親水性バインダーベースの層のうち少なくとも1つが、画像形成ハロゲン化銀乳剤層である、請求項1乃至9のうちいずれか1項に記載の材料。
【請求項12】
画像を形成又は印刷するように意図され、支持体及び少なくとも1つの親水性バインダーベースの層を含んだ材料の製造方法であって:
(i)
前記親水性バインダーの錯形成剤を含んだ熱感受性ポリマー又はコポリマーを調製するステップであって、前記熱感受性ポリマー又はコポリマーが、前記錯形成剤を保護するために、前記熱感受性ポリマー又はコポリマーの下部臨界溶解温度LCSTよりも高い温度で疎水性であり、さらに、前記錯形成剤を利用可能にするために、前記LCSTよりも低い温度で水溶性である、ステップ、
(ii)
前記LCSTよりも高い温度で、前記熱感受性(コ)ポリマーを前記親水性バインダーと混合するステップ、
(iii)
前記LCSTよりも高い温度で、少なくとも1つの、前記ステップ(ii)により得られた混合物の層で前記支持体を被覆するステップ、並びに、
(iv)
前記ステップ(iii)において得られた前記層を前記LCSTよりも低い温度に曝露させて、錯形成により前記親水性バインダーをゲル化するために前記錯形成剤を利用可能にするステップ
を含む、方法。
【請求項13】
前記親水性バインダーが、ポリ(ビニルアルコール)又はヒドロキシプロピルセルロースから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップ(i)が、N−アルキルアクリルアミドの熱感受性ポリマーから得られた熱感受性コポリマー上への前記錯形成剤のグラフトを含み、前記N−アルキルアクリルアミドのモノマーがCH2=CRC=ONR1R2という一般式を有し、式中、RはH若しくはCH3でありえ、R1、R2は同じ若しくは異なり、アルキル基(直鎖若しくは分岐鎖)又はアリル基(置換若しくは未置換)に相当することができ、前記熱感受性コポリマーが、該コポリマー上に前記錯形成剤をグラフトするために前記錯形成剤と反応することができるグラフト単位を含んだモノマーで共重合されている、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記熱感受性コポリマーが、90〜95%の前記熱感受性ポリマー、及び、前記錯形成剤と反応することができるグラフト単位を含んだ5〜10%の前記モノマーから得られる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記N−アルキルアクリルアミド又はN−アルキルメタクリルアミドの熱感受性ポリマーのアルキル基が、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、及びn−ブチル基からなる群の中から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記グラフト単位を含んだモノマーが、アクリル酸及びメタクリル酸から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記親水性バインダーの錯形成剤を含んだ熱感受性(コ)ポリマーが、10,000から200,000の分子量を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記錯形成剤が、前記親水性バインダーを錯形成させることができるボロナート単位を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記錯形成剤がRB(OH)という式を有し、式中、Rは、前記グラフト単位上にグラフトすることができる遊離基で置換されるフェニル基であることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記錯形成剤が3−アミノフェニルボロン酸である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
最終的な層において、前記親水性バインダーが乾燥重量に基づき2%から15%に相当し、前記親水性バインダーの錯形成剤を含んだ熱感受性(コ)ポリマーが乾燥重量に基づき1%から10%に相当するであろう、請求項12に記載の方法。

【公表番号】特表2009−541097(P2009−541097A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516934(P2009−516934)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005219
【国際公開番号】WO2008/000352
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】