説明

画像シートの製造方法及び画像形成装置

【課題】高い光沢度を有し、しかも透明シートと非透明シートとの間に気泡の発生を抑制された画像シートを容易且つ確実に製造可能な画像シートの製造方法及びこの製造方法を適切に実施可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】少なくとも一部に透明部を有し、当該透明部の表面に一色以上の有色トナーによる鏡像トナー画像を形成した第1シート材100と表面に粘着剤層を有する非透明な第2シート材91とが、第1シート材の鏡像トナー画像と第2シート材の粘着剤層とを対向させて貼合された画像シートの製造方法において、第1シート材の鏡像トナー画像が形成された面に平坦化処理を施した後に、鏡像トナー画像を第2シート材の粘着剤層に貼合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一部に透明部を有し、当該透明部の表面に一色以上の有色トナーによる鏡像トナー画像を形成した第1シート材と表面に粘着剤層を有する非透明な第2シート材とが、前記第1シート材の鏡像トナー画像と前記第2シート材の粘着剤層とを対向させて貼合された画像シートの製造方法及びこれに適用される画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光沢のある写真画質の画像を電子写真方式によって形成するために、種々の試みが行われている。例えば、特許文献1に記載されているように、感光体ドラム上に形成された画像情報に対応する静電潜像をカラートナーによって現像してカラートナー像を形成し、このカラートナー像を中間転写体に転写する。そして、当該カラートナー像を帯電させ、このカラートナー像上に透明トナーを静電的に付着させ、このカラートナー像と透明トナー像を転写紙上に転写、定着して写真画質調の画像を形成することが提案されている。
また、特許文献2に記載されているように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の現像手段以外に透明トナーによる現像手段を備え、この透明トナーによる現像手段によって、Y、M、C、Kの画像信号のうちいずれかの画像信号の反転信号によって転写紙上にカラートナー画像と共に透明トナー像を転写、形成して、定着ユニットで定着することが提案されている。
特許文献1及び2に記載のものでは、いずれも転写紙上に、カラートナー像と透明トナー像を形成するものであるため、カラートナー像の表面に凹凸が形成され易く、銀塩写真のような高い光沢度をもった画像が得られにくいという問題がある。
このような欠点を改善するために、電子写真方式の画像形成装置によって片面に鏡像トナー画像を形成させた透明シートと白色紙とをそのトナー画像を挟み込むようにして貼着して画像シートを形成することが提案されている。(例えば、特許文献3参照)
【特許文献1】特開2002−341623公報
【特許文献2】特開平9−200551号公報
【特許文献3】特開平3−50586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献3に記載のものでは、透明シート上の鏡像トナー画像をその反対側の透明シートからトナー画像を観察するので、透明シート表面の平滑性によって高い光沢度を有する画像を容易に得ることができる。しかしながら、透明シート上の鏡像トナー画像と白色紙との間に気泡が内包されやすく、この気泡によって乱反射が生じ、鮮明な画像が形成されない場合が発生するという問題がある。
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、高い光沢度を有し、しかも透明シートと非透明シートとの間に気泡の発生を抑制された画像シートを容易且つ確実に製造可能な画像シートの製造方法及びこの製造方法を適切に実施可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、少なくとも一部に透明部を有し、当該透明部の表面に一色以上の有色トナーによる鏡像トナー画像を形成した第1シート材と表面に粘着剤層を有する非透明な第2シート材とが、前記第1シート材の鏡像トナー画像と前記第2シート材の粘着剤層とを対向させて貼合された画像シートの製造方法において、前記第1シート材の鏡像トナー画像が形成された面に平坦化処理を施した後に、前記鏡像トナー画像を前記第2シート材の粘着剤層に貼合させることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の画像シートの製造方法において、前記平坦化処理は、前記第1シート材と鏡像トナー画像との間に、透明な熱可塑性樹脂からなる透明樹脂層を介在させ、当該鏡像トナー画像を加熱、加圧して当該透明樹脂層内に埋設して前記鏡像トナー画像の表面を平坦化することを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1記載の画像シートの製造方法において、前記平坦化処理は、前記第1シート材の表面に鏡像トナー画像を形成した後、鏡像トナー画像の非画像部分に透明樹脂からなる透明トナー像を形成し、前記鏡像トナー画像及び透明トナー像を加熱、加圧して当該鏡像トナー像及び透明トナー像の表面を平坦化することを特徴とする。
【0005】
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像シートの製造方法において、前記第1シート材の鏡像トナー画像が形成される面と反対面が平滑に形成されていることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像シートの製造方法において、前記平坦化処理は、前記第1シート材の表面に形成された未定着鏡像トナー画像が加熱、加圧されて第1シート材上に定着する定着工程で行われることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、少なくとも一部に透明部を有する第1シート材の当該透明部の表面に一色以上の有色トナーによる鏡像トナー画像を形成する画像形成部と、前記第1シート材と表面に粘着剤層を有する非透明な第2シート材とが前記第1シート材の鏡像トナー画像と前記第2シート材の粘着剤層とを対向させて貼合させるシート材貼合装置とを備えた画像形成装置において、前記鏡像トナー画像を前記第2シート材の粘着剤層に貼合させる前に、前記第1のシート材の鏡像トナー画像が形成された面に平坦化処理を施す平坦化処理手段を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項7の発明は、請求項6記載の画像形成装置において、前記第1シート材の鏡像トナー画像は、第1シート材上に形成された透明熱可塑性樹脂からなる透明樹脂層を介して形成され、前記平坦化処理手段は、前記第1シート材の鏡像トナー画像を加熱、加圧して前記透明樹脂層に埋設させて鏡像トナー画像形成面の平坦化処理を行うことを特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項6記載の画像形成装置において、前記画像形成部は、前記第1シート材の透明部表面の鏡像トナー画像を形成後に、当該透明部表面の鏡像トナー画像の非画像部分に、透明樹脂からなる透明トナーによる当該鏡像トナー画像の反転画像を形成する透明トナー画像の形成手段を備え、前記平坦化処理手段は、前記第1シート材の鏡像トナー画像及び透明トナー画像を加熱、加圧して当該鏡像トナー画像及び透明トナー画像の表面を平坦化させることを特徴とする。
また、請求項9の発明は、請求項6乃至8のいずれか1項記載の画像形成装置において、前記平坦化処理手段は、前記第1シート材の表面に形成された未定着鏡像トナー画像を加熱、加圧して第1シート材上に定着する定着装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、前記第1シート材の鏡像トナー画像が形成された面に平坦化処理を施した後に、前記鏡像トナー画像を前記第2シート材の粘着剤層に貼合させることによって、高い光沢度を有し、しかも透明シートと非透明シートとの間に気泡の発生を抑制された画像シートを容易且つ確実に製造可能な画像シートの製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、前記鏡像トナー画像を前記第2シート材の粘着剤層に貼合させる前に、前記第1のシート材の鏡像トナー画像が形成された面に平坦化処理を施す平坦化処理手段を備えた画像形成装置とすることによって、高い光沢度を有し、しかも透明シートと非透明シートとの間に気泡の発生を抑制された画像シートを容易且つ確実に製造することができる画像シートの製造方法を適切に実施可能な画像形成装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図、図2は当該画像形成装置に使用される感光体ユニットの概略構成を示す図である。本実施形態に係る画像形成装置は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための4つの画像形成ユニット1Y、1C、1M、1K、一次転写ユニット6Y、6C、6M、6K、二次転写ユニット7及び定着ユニット8を備え、透明シート等の第1シート材100にトナーによる画像を形成する画像形成部300を備えている。なお、Y、C、M、Kの色順は、図3に限るものでなく、他の並び順であっても構わない。
【0009】
画像形成ユニット1Y、1C、1M、1Kは、それぞれ、像担持体としての感光体ドラム11Y、11C、11M、11Kと、後述する図2で示すように感光体ドラム表面を一様に帯電する帯電ローラ14等の帯電手段、現像手段10Y、10C、10M、10K及び一次転写ユニット6によって感光体ドラム表面のトナー像が転写搬送ベルト60に転写された後に感光体ドラム表面に残存するトナーを感光体ドラム表面から除去するクリーニング手段15とを備えている。また、各画像形成ユニット1Y、1C、1M、1Kの配置は、各感光体ドラム11Y、11C、11M、11Kの回転軸が平行になるように且つ第1シート材100の移動方向に所定のピッチで配列するように、設定されている。
画像形成ユニット1Y、1C、1M、1Kの下方には、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を備え、画像データに基づいて各感光体ドラム11Y、11C、11M、11Kの表面にレーザー光を走査しながら照射する光書込ユニット3が、上方には各画像形成ユニット1Y、1C、1M、1Kのトナー像を重ね合わせて転写するように搬送する転写搬送ベルト60を有するベルト駆動装置としての一次転写ユニット6が配置されている。転写搬送ベルト60の外周面には、ブラシローラとクリーニングブレードから構成されたクリーニング装置61が接触するように配置されている。このクリーニング装置61により転写搬送ベルト60上に付着したトナー等の異物が除去される。
【0010】
一次転写ユニット6の右側には、画像形成ユニット1Y、1C、1M、1Kで形成され、転写搬送ベルト60に転写されたトナー像を透明シート等の第1シート材100に転写する二次転写ユニット7が配置され、その上方にはベルト定着方式の定着ユニット8が備えられている。画像形成部300の下部には、第1シート材100が積載された給紙カセット4a、4bを備えている。また、画像形成装置側面から手差しで給紙を行う手差しトレイ4cが備えられている。この他、トナー補給容器5Y、5C、5M、5Kが備えられ、図示していない廃トナーボトル、電源ユニットなども備えられている。
【0011】
現像手段としての現像装置10Y、10C、10M、10Kは、いずれも同様の構成からなり、それらは使用するトナーの色のみが異なるトナーとキャリアを使用する二成分現像方式の現像装置であり、トナーと磁性キャリアからなる現像剤が収容されている。現像装置10Y、10C、10M、10Kは、図2に示すように、感光体ドラム11に対向した現像ローラ12、現像剤を搬送・撹拌するスクリュー13、トナー濃度センサ等から構成される。現像ローラ12は、外側の回転自在のスリーブと内側に固定された磁石から構成されており、この磁石の磁力によって回転するスリーブ表面に磁性キャリアと共にトナーを保持し、光書込みユニット3によって各感光体ドラム11Y、11C、11M、11Kの表面に形成されたそれぞれの色に対応した静電潜像に電界力によってトナーを供給して静電潜像をトナー像化する。図示しないトナー濃度センサの出力に応じて、トナー補給装置よりトナーが補給される。
なお、本実施形態における画像形成装置においては、図2に示すように、各感光体ユニット2Y、2C、2M、2Kは、感光体ドラム11の外周に取り付けられる現像装置10、帯電ローラ14及びクリーニング装置15を備えており、現像装置10、帯電ローラ14及びクリーニング装置15は、感光体ドラム11と共に一体に構成されてカートリッジ化されている。そのため、各感光体ユニット2Y、2C、2M、2Kをそれぞれ一体的に画像形成装置本体から取り外して、修理や交換を容易に行えるようになっている。このような各感光体ユニット2Y、2C、2M、2Kのプロセスカートリッジ化は、感光体ドラム11と現像装置10、帯電ローラ14及びクリーニング装置15の全てを一体としたプロセスカートリッジとする必要はなく、必要に応じて、感光体ドラム11と現像装置10または帯電ローラ14等の2種の装置を一体化したカートリッジであっても良い。
【0012】
この画像形成装置によって、第1シート材100にトナー画像を形成する場合について説明する。先ず、帯電ローラ14に図示しない電源より所定の電圧が印加されて、対向する感光体ドラム11表面を一様に帯電する。所定の電位に帯電された感光体ドラム11表面には、引き続いて光書込ユニット3により画像データに基づくレーザー光が走査され、静電潜像が書き込まれる。静電潜像を担持した感光体ドラム11表面が現像装置10に到達すると、感光体ドラム11と対向配置される現像ローラ12により、感光体ドラム11表面の静電潜像にトナーが供給されて、トナー像が形成される。上記の動作が感光体ユニット2Y、2C、2M、2K全てに同様にして所定のタイミングで行われ、感光体ドラム11Y、11C、11M、11K表面にはそれぞれ所定の色のトナー像が形成される。この場合、本実施形態においては、後述するように、第1シート材100に形成されるトナー像は、光書込ユニット3による感光体ドラム11上に静電潜像を形成する際に、光書込ユニット3を鏡像モードに選択、設定することによって鏡像で形成されている。
【0013】
第1シート材100は、給紙カセット4a、4b、もしくは手差しトレイ4cのいずれかから搬送され、レジストローラ17に到達したところで一度停止する。感光体ユニット2Y、2C、2M、2Kの画像形成動作タイミングで転写搬送ベルト60上に、各感光体ドラム11上のトナー像を順次転写していく。このトナー像の転写は、転写搬送ベルト60を挟んで各感光体ドラム11Y、11C、11M、11Kと対向配置されている一次転写ローラ67Y、67C、67M、67Kから、図示しない電源より感光体ドラム11上のトナーの極性とは逆極性の電圧が印加されることで行われる。そして、感光体ドラム11Kとの対向位置を通過し、4色のトナー像が重ね合わされたトナー像は、レジストローラ17で送り出された第1シート材100上に、二次転写ユニット7で転写される。第1シート材100は、引き続いて定着ユニット8に搬送され、熱と圧力を受けてトナー画像が定着される。
【0014】
本実施形態における画像形成装置は、透明シート材からなる第1シート材100の他に紙材等からなる通常の記録用紙に所望の画像を印刷することも可能であり、光書込ユニット3を標準モードに設定して正像を印刷可能となっている。このように標準モードを選択した場合には、切替爪18を作動させて定着ユニット8で定着されて搬送された記録用紙は、搬送ローラ対19によって排紙ローラ20に送給されて排紙トレイ21に排紙される。また、この画像形成装置は、両面印刷機構も備えており、定着ユニット8を通過した記録用紙等のシート材は、切替爪22で搬送路が切り替えられ、反転ローラ対23に搬送され、一旦停止後、反転ローラ対23で逆送され、切替爪24の切替で搬送路を両面印刷用搬送路25に搬送され、再び、レジストローラ17に送給される。レジストローラ17に送給されたシート材は、印刷面を外側に反転されて二次転写ユニット7でトナー像が転写され、定着ユニット8で定着されて記録用紙の両面に印刷された状態で搬送ローラ対19に送給される。
【0015】
一方、図7で示すように、内側に鏡像画像100aが形成された第1シート材100は、図1に示した搬送ローラ対26、27、28によって搬送されて、図3に示した搬入口30からシート材貼着装置9に搬送される。シート材貼着装置9では、図5に示すように、一面に粘着剤層を有する白色紙等の非透明媒体からなる第2シート材91と一面に鏡像画像100aを有する第1シート材100とを、第1シート材100の一面に形成された鏡像画像100aと第2シート材91の粘着剤層91bを対向させて貼り合わせ、光沢、質感の高い写真調の画像を有する貼合シート材200を作成する。
【0016】
次に、本発明による一実施形態に係るシート材貼着装置について、図3、図4に基づいて説明する。
本実施形態に係るシート材貼着装置9においては、図4に示すように、白色紙を基材91aとし、この基材91a上に一面に透明な粘着剤層91bを形成した非透明媒体である所定長さと幅を有する短尺な第2シート材91を、長尺な剥離紙92に対して第2シート材91の粘着剤層91bを貼着することによって形成されたシート材Sが使用されている。図3に示すように、所定の幅に裁断された第2シート材91は、剥離紙92上に所定間隔で貼合されることにより、シート材Sを形成している。このシート材Sはシート材貼着装置9の支軸90によりロール状に巻き取られた状態で支持されている。ロール状シート材Sから引き出されたシート材Sは、分離板93によって第2シート材91と剥離紙92とに曲率分離されて、剥離紙92はローラ96を介して巻き取り軸94に巻き取られる。このように、剥離紙92が巻き取り軸94に巻き取られることによって第2シート材91の先端部911は、第1シート材100の搬送方向Aと斜交する方向Bに繰り出されるようになっている。
【0017】
このようにして繰り出された第2シート材91は、搬送ローラ対97、98によって搬送される第1シート材100の先端部101と交差し、第1シート材100の先端部101と第2シート材91の先端部911とが交差当接(斜交部103)する。そして、第2シート材91の粘着剤層91bによって第1シート材100の先端部101と第2シート材91の先端部911とが粘着して圧着ローラ95a、95bに搬送され、圧着ローラ95a、95bで、第1シート材100と第2シート材91とが確実に一体に粘着される。その後、第1シート材100と第2シート材91とが粘着、貼合された1枚のシート(貼合シート材200)として圧着ローラ95a、95bによって下方に搬送される。このようにして第1シート材100と第2シート材91とが、鏡像画像100aが間に介在された状態で粘着、貼合されると、画像シートとして、図5に示すように、第2シート材91の白色基材91aを背景とした美麗な正像が第1シート材100の上方から観察されることになる。しかもこの画像は、透明シートの表面によって平坦化されたトナー画像となり、透明シートそのものが有する高い光沢性のため、トナーのない非画像部100bも含め全画面均一な高光沢となる。このようにすることによって、極めて写真調の高い画像を得ることが可能となる。
【0018】
このようにして第1シート材100と第2シート材91とを粘着、貼合した際に、図6に示すように、第1シート材100の先端100dと第2シート材91の先端91dや側端100eや91eの位置がずれて貼合される場合があり、端縁が不揃いとなって見苦しい画像シートになってしまう。しかも、電子写真方式によってトナー画像を形成すると端辺に縁枠が形成されてしまい縁なし写真画像の要求に応えることができない。そのため、本実施形態の画像形成装置においては、貼合シート材200を介して回転刃50と55をまた回転刃51と56とを対向させて回転軸52で回転刃50、51を回転させ、また回転軸57で回転刃55、56を回転させ、貼合シート材200を圧着ローラ95a、95bによる貼合シート材200の搬送方向と直交する方向に搬送させることによって貼合シート材200の端辺を切断するシート材切断装置40(図3参照)を使用して、電子写真方式によって形成されたトナー画像を有する貼合シート材200の端辺200c、200d、200e、200fを切り落として縁なし写真画像を適切に作成することができるようにしてある。なお、縁なし写真画像を必要とせず、端縁の不揃いを修正するためにのみ端辺200c、200d、200e、200fを切断する場合であっても有効であるが、特に、縁なし写真画像を形成する場合には、切断された端辺200c、200d、200e、200fでのトナーの脱落や画像のひび割れ等の発生を抑制することが可能となるので好適である。
【0019】
ところで、第1シート材100と第2シート材91を粘着、貼合する際に、鏡像トナー画像層100aに凹凸があると、図7に示すように、トナー層の少ない部分100a1やトナー層が存在しない部分100a2との境界部に空隙が形成され、この空隙が圧着ローラ95a、95bによる貼り合わせ後に、気泡104となって残存する。その結果、図8に示すように、この気泡104で反射状態に差が生じ、トナー画像の画質が低下してしまう恐れがある。
【0020】
これを予防するため、本実施形態においては、図9に示すように、第1シート材100として、透明シート支持体100c上に透明な熱可塑性樹脂からなる透明樹脂層100dを積層したものを使用している。この第1シート材100を使用し、前述の画像形成装置の画像形成ユニット1Y、1C、1M、1Kで透明樹脂層100d上に、未定着鏡像トナー画像を形成し、加熱ローラ81と定着ローラ82に張架された定着ベルト83と定着ローラ82を押圧する加圧ローラ84で未定着鏡像トナー画像を定着させるとともに、図10に示すように、鏡像トナー画像100aを透明樹脂層100d内に埋設して平坦面100eを形成するようにしている。
このように、鏡像トナー画像100aを透明樹脂層100d内に埋設して平坦面100eが形成された第1シート材100を使用して、この平坦面100eと第2シート材91の粘着剤層91bを対向させて図7に示すように圧着ローラ95a、95bで第1シート材100と第2シート材91とを圧着、貼合させても、図11に示すように、前述の空隙100a1、100a2の形成が抑制され、気泡104の発生を抑制することが可能となる。
【0021】
なお、流出開始温度が約120℃である市販トナーを用いた実験では、第1シート材100の透明シート支持体100cとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン等を、透明樹脂層100dとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の透明熱可塑性樹脂からなるシート材を透明シート支持体100c上に加熱、加圧して積層したものを用いることができた。図11に示すような貼合シート材200は、鏡像トナー画像100aの凹凸が透明樹脂層100dに吸収されることでトナーの段差に起因する気泡104が小さくなり、気泡104からの反射も目立たなくなる。また、第2シート材91との接着性も改善され、第2シート材91との貼り合わせ不良による画像濃度ムラや剥離の発生を抑制することができる。
【0022】
次に、第1シート材100と第2シート材91の貼合時の気泡発生を抑制する他の実施形態について説明する。
本実施形態においては、図12に示すように、前述の実施形態で使用された図1で示す画像形成装置と基本構造は同一である。即ち、画像形成ユニット1Y、1C、1M、1Kによる有色のトナー画像を第1シート材100上に形成する工程、第1シート材100と第2シート材91とをシート材貼合装置9で貼合する工程及び、貼合シート材200の端辺をシート材切断装置40で切断する工程は、図1で示す前述の実施形態と同一である。しかし、本実施形態の画像形成ユニットにおいては、後述する透明トナー像を形成する画像形成ユニット1Tが追加されており、転写搬送ベルト60の搬送方向Cにおいてイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの鏡像トナー像100aが形成された後工程で透明トナー像が形成されるように配設されている。なお、図1で示す画像形成装置の構成と同一構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0023】
画像形成ユニット1Tは、他の有色の画像形成ユニット1Y、1C、1M、1Kと同様に、感光体ドラム11Tの外周に帯電ローラ14、現像手段10T、クリーニング装置15を備えている。そして、光書込みユニット3からのイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの鏡像トナー像100aの反転画像情報に基づく光を照射して帯電ローラ14で一様に帯電された感光体ドラム11Tの表面に静電潜像を形成し、この静電潜像を現像手段10Tから供給される透明トナーで透明トナー像化する。このようにして感光体ドラム11T上に形成された透明トナー像は、先行して転写搬送ベルト60上に転写されている有色の鏡像トナー画像100aに対して反転した画像として鏡像トナー画像100aが形成されていない非画像部100b(図5参照)及び鏡像トナー画像層の薄い部分に有色の鏡像トナー画像と共に付着、転写される。このようにして、鏡像トナー画像100aと透明トナー像100fを有する転写搬送ベルト60は、給紙カセット4aから給送された透明シートからなる第1シート材100の表面に転写され、透明トナー画像形成ユニット1Tを使用しないで形成された鏡像トナー画像100a(図13参照)の凹凸部分に、図14に示すように、透明トナーからなる透明トナー像100fが形成される。
【0024】
このようにして第1シート材100上に形成された未定着鏡像トナー画像100aと透明トナー像100fが定着ユニット8の定着ローラ82、定着ベルト83及び加圧ローラ84によって加熱加圧されて、第1シート材100上に未定着鏡像トナー画像100a及び透明トナー像100fを定着する。同時に、鏡像トナー画像100aと透明トナー像100fの表面が平坦化される。
このようにして鏡像トナー画像100aと透明トナー像100fの表面が平坦化された第1シート材100は、前述のように、シート材貼合装置9で鏡像トナー画像100aと透明トナー像100fを第2シート材91の粘着剤層91bと対向させて貼りあわせ図15に示すような貼合シート材200を形成する。このようにして貼合された貼合シート材200は、第1シート材100の鏡像トナー画像100aの形成された表面が平坦化されるので、第2シート材91との貼り合せ時に、空隙の形成が抑制されて気泡の発生が抑制される。その結果、気泡104からの反射も目立たなくなる。また、第2シート材91との接着性も改善され、第2シート材91との貼り合わせ不良による画像濃度ムラや剥離の発生を抑制することができる。
【0025】
本実施形態においては、透明トナー像は、有色の鏡像トナー画像100aの反転画像を画像信号の形成時に反転した画像信号を形成させて光書込みユニットで光書込みを行うようにしたが、原稿の読取り時に反射ミラーを使用してミラー反転処理を行って反転画像信号を形成するようにしても良い。
本実施形態において使用される透明トナーとは、光吸収や光散乱による着色を目的とした色材を含まない、実質的に無色透明なトナー粒子である。このようなトナー粒子は、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ビニル系樹脂等一般のトナーで使用され樹脂で20μm以下の粒径を有する着色材を含まないトナー粒子が使用可能である。
【0026】
上記実施形態においては、平坦化処理手段として、加熱、加圧する定着手段を兼用したが、必ずしも定着手段と兼用させる必要はなく、定着手段と別個に、定着処理後に、加熱、加圧して、鏡像トナー画像100aを透明樹脂層の埋設又は、鏡像トナー画像100aと透明トナー像100fを加熱、加圧してその表面を平坦化させる平坦化手段を設けても良い。しかし、定着手段で、定着処理と平坦化処理を兼用させる場合には、構成を簡略化可能となるので好適である。
また、本発明による画像シートは、鏡像トナー画像100aが形成された第1シート材100の鏡像トナー画像100a形成面と反対面から画像を観察するようにしているので、当該反対面は可及的に平滑であることが望まれる。このような平滑性は、通常のプラスチック材からなる透明のシート材を使用する限りは十分に満足することができる。
なお、上記実施形態においては、第1シート材100として、全面が透明なシートを使用したが、図16で示すように、シート材の一部のみを透明部分100gとし、他の部分100hを不透明部分としたシート材であってもよい。
また、上記実施形態においては、第2シート材91として、白色紙からなる基材91a上に透明な粘着剤層91bを形成したものを使用したが、これに限らず、基材91aとして透明基材を使用し、粘着剤層に白色顔料等を混合して非透明な粘着剤層91bを形成したものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による一実施形態の画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1で示す画像形成装置で使用される感光体ユニットの概略構成を示す断面図である。
【図3】図1で示す画像形成装置で使用されるシート材貼着装置とシート材切断装置の概略構成を示す断面図である。
【図4】本発明による一実施形態のシート材貼着装置で使用されるシート材の概略構成を示す断面図である。
【図5】本発明による一実施形態のシート材貼着装置で作成された貼合シート材の概略構成を示す断面図である。
【図6】本発明による一実施形態のシート材貼着装置で作成された貼合シート材の平面図である。
【図7】本発明による一実施形態のシート材貼着装置で作成された従来の貼合シート材の空隙形成を説明するための断面図である。
【図8】図7で形成された貼合シート材の断面図である。
【図9】本発明による一実施形態の第1シート材の断面図である。
【図10】本発明による一実施形態の鏡像トナー画像が形成された第1シート材の断面図である。
【図11】本発明による一実施形態の貼合シート材の断面図である。
【図12】本発明による他の実施形態の画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図13】従来の鏡像トナー画像が形成された第1シート材の断面図である。
【図14】本発明による他の実施形態の鏡像トナー画像が形成された第1シート材の断面図である。
【図15】本発明による他の実施形態の貼合シート材の断面図である。
【図16】本発明による第1シート材として使用される一実施形態のシート材の平面図である。
【符号の説明】
【0028】
1Y、1C、1M、1K、1T 画像形成ユニット、2Y、2C、2M、2K、1T 感光体ユニット、3 光書込み装置、6 一次転写ユニット、7 二次転写ユニット、8 定着ユニット、9 シート材貼着装置、10、10Y、10C、10M、10K、10T 現像装置、11Y、11C、11M、11K、11T 感光体ドラム、17 レジストローラ、40 シート材切断装置、60 転写搬送ベルト、81 加熱ローラ、82 定着ローラ、83 定着ベルト、84 加圧ローラ、91 第2シート材、91b 粘着剤層、95a、95b 圧着ローラ、100 第1シート材、100a 鏡像トナー画像、100b 非画像部、100c 透明シート支持体、100d 透明樹脂層、100e 平坦面、100f 透明トナー像、104 気泡、200 貼合シート材、300 画像形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部に透明部を有し、当該透明部の表面に一色以上の有色トナーによる鏡像トナー画像を形成した第1シート材と表面に粘着剤層を有する非透明な第2シート材とが、前記第1シート材の鏡像トナー画像と前記第2シート材の粘着剤層とを対向させて貼合された画像シートの製造方法において、
前記第1シート材の鏡像トナー画像が形成された面に平坦化処理を施した後に、前記鏡像トナー画像を前記第2シート材の粘着剤層に貼合させることを特徴とする画像シートの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の画像シートの製造方法において、
前記平坦化処理では、前記第1シート材と鏡像トナー画像との間に、透明な熱可塑性樹脂からなる透明樹脂層を介在させ、当該鏡像トナー画像を加熱、加圧して当該透明樹脂層内に埋設して前記鏡像トナー画像の表面を平坦化することを特徴とする画像シートの製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の画像シートの製造方法において、
前記平坦化処理では、前記第1シート材の表面に鏡像トナー画像を形成した後、鏡像トナー画像の非画像部分に透明樹脂からなる透明トナー像を形成し、前記鏡像トナー画像及び透明トナー像を加熱、加圧して当該鏡像トナー像及び透明トナー像の表面を平坦化することを特徴とする画像シートの製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像シートの製造方法において、
前記第1シート材の鏡像トナー画像が形成される面と反対面が平滑に形成されていることを特徴とする画像シートの製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像シートの製造方法において、
前記平坦化処理は、前記第1シート材の表面に形成された未定着鏡像トナー画像が加熱、加圧されて第1シート材上に定着される定着工程で行われることを特徴とする画像シートの製造方法。
【請求項6】
少なくとも一部に透明部を有する第1シート材の当該透明部の表面に一色以上の有色トナーによる鏡像トナー画像を形成する画像形成部と、前記第1シート材と表面に粘着剤層を有する非透明な第2シート材とが前記第1シート材の鏡像トナー画像と前記第2シート材の粘着剤層とを対向させて貼合されるシート材貼合装置とを備えた画像形成装置において、
前記鏡像トナー画像を前記第2シート材の粘着剤層に貼合させる前に、前記第1のシート材の鏡像トナー画像が形成された面に平坦化処理を施す平坦化処理手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像形成装置において、
前記第1シート材の鏡像トナー画像は、第1シート材上に形成された透明熱可塑性樹脂からなる透明樹脂層を介して形成され、前記平坦化処理手段は、前記第1シート材の鏡像トナー画像を加熱、加圧して前記透明樹脂層に埋設させて鏡像トナー画像形成面の平坦化処理を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項6記載の画像形成装置において、
前記画像形成部は、前記第1シート材の透明部表面の鏡像トナー画像を形成後に、当該透明部表面の鏡像トナー画像の非画像部分に、透明樹脂からなる透明トナーによる当該鏡像トナー画像の反転画像を形成する透明トナー画像の形成手段を備え、前記平坦化処理手段は、前記第1シート材の鏡像トナー画像及び透明トナー画像を加熱、加圧して当該鏡像トナー画像及び透明トナー画像の表面を平坦化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか1項記載の画像形成装置において、
前記平坦化処理手段は、前記第1シート材の表面に形成された未定着鏡像トナー画像を加熱、加圧して第1シート材上に定着する定着装置であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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