説明

画像データ圧縮伸長装置

【目的】 画像データをリアルタイムで非等長ブロックに分割し、圧縮伸長処理する画像データ圧縮伸長装置において、画像データの分割形状を復号画像上に表示し、さらに復号装置で復号画像の画質改善を容易に行うことができるようにすることを目的とする。
【構成】 圧縮データ復号部内に、ブロック境界線生成器39を有しブロックに分割したときの分割の状態(ブロックの大きさ)を復号画像上にリアルタイムに表示するブロック分割表示手段と、上記ブロック分割表示の情報から復号画像の画質を調整する復号画像画質調整手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ディジタル化された画像データを非等長ブロックに分割して圧縮符号化する装置に関し、特にその画像データが圧縮符号化されたときの分割の状態の表示、および圧縮符号化された画像データを復号したときの画質改善が可能な画像データ圧縮伸長装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】画像データを非等長ブロックに分割して圧縮符号化する画像データ圧縮伸長装置の例としては特開昭62−101183があるが、この方式の画像データ圧縮伸長装置の開発、調整および診断では画像データが正しく非等長ブロックに分割されたかを確認する必要がある。この確認のために復号画像上にその分割の状態を表示すると良否を容易に判断できる。
【0003】従来から画像用の画像データ圧縮伸長装置の開発では一般に該静止画像データを計算機上のソフトウエアで圧縮伸長処理しモニタ装置等で画質評価する。具体的にはソフトウエアで分割の状態を算出し、復号画像上にその分割の状態を重ねて表示することが多く行われている。上記の具体例を図4に示す。図4の全体の構成は画像データの蓄積装置、画像データ圧縮伸長装置(画像データ圧縮符号化部と圧縮データ復号部からなる)およびモニタ装置である。
【0004】まず画像データ圧縮符号化部について説明する。蓄積装置31から静止画像データ32が画像データ圧縮伸長装置30内画像データ圧縮符号化部20の画像データ入力端子33に入力される。入力された静止画像データ32はデータ列変換器34で画像データ圧縮の基本ブロック(基本ブロックのサイズは16画素(水平)×16画素(垂直)(以後単に16×16画素と略す))に分割する。さらに基本ブロック内を8×8画素、4×4画素さらに2×2画素まで細かく分割する。そして、指定の圧縮率に従い圧縮器35で16×16画素サイズの分割から2×2画素サイズの分割を組み合わせる。さらに分割サイズが最適化された後、画像データを係数に変換し圧縮データとして伝送装置36、またはメディア等に蓄積するための蓄積装置31に接続される。
【0005】つぎに、圧縮データ復号部について説明する。圧縮データを復号するために画像データ圧縮伸長装置30内圧縮データ復号部21の受信装置37で伝送装置36または蓄積装置31からの圧縮データを受信する。受信した圧縮データは復号器38で元の画像に復号する。
【0006】ここで、画像データを非等長ブロックに分割する例を図5に示す。図5はある静止画像61内の太い曲線の一部が非等長ブロックに分割されている場合を示している。この例では画像の分割の基本は16×16画素で、これを基本ブロックとし、図5の基本ブロック62内で太い曲線の輪郭(境界)部分は柄が細かいので2×2画素まで細かく分割され、太い曲線の輪郭以外の柄が平坦な部分では4×4画素または8×8画素で分割される。そして、図5に示す2×2画素から16×16画素のブロックの境界線をソフトウエアで算出し、復号画像上に重ねて画像の分割状態を判断していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ディジタル化された画像データを非等長ブロックに分割して圧縮伸長する装置においては、その画像データが圧縮符号化されたときの分割の状態は画像の柄が細かい部分では最小2×2画素まで細かく分割され、柄が平坦な部分では最大16×16画素で分割されるが、圧縮伸長処理をハードウエアで行う静止画像用の画像データ圧縮伸長装置の調整、診断や動画像をリアルタイムで圧縮伸長処理する装置の場合、この装置の開発、調整および診断(2×2画素ブロックから16×16画素ブロックまで正しく分割されているか)を行うのが難しいという欠点があった。また、画像の符号化はブロック単位に処理されるため復号画像上にブロックとブロックの境界(ブロックアーチファクト)が目立つという欠点があった。
【0008】本発明はこれらの欠点を取り除き、画像データを非等長ブロックに分割して圧縮伸長する画像データ圧縮伸長装置の開発、調整および診断を容易に行えるようにすることを目的とする。さらに、復号装置内で圧縮データを復号するためブロック分割状態の解析処理を行うがこの解析の情報から復号画像の画質を調整できるようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するため、画像データを非等長ブロックに分割して圧縮伸長する装置において、その画像データが圧縮符号化されたときの分割の状態をリアルタイムに復号画像上に重ねて表示するようにしたものである。基本構成は従来の構成を示した図4の復号器38の情報からブロック分割状態を表示するためのブロック境界線表示器と復号画像調整器をそなえたもので、その具体例を図1に示す。
【0010】まず、画像データ圧縮符号化部について説明するが、画像データ圧縮符号化部については従来の技術である図4の画像データ圧縮符号化部20と同様の構成である。つぎに、圧縮データ復号部について説明する。圧縮データを復号するために復号画像画質調整器付き圧縮データ復号装置22内受信装置37で、画像データ圧縮符号化部20内伝送装置36または蓄積装置31からの圧縮データを受信する。受信した圧縮データは復号画像画質調整器付き圧縮データ復号装置22内復号器38で元の画像に戻す。
【0011】また、画像データ圧縮伸長装置30では、ブロック境界線生成器39を設け、ブロック境界線生成器39で抽出されたブロック境界線信号を伸長データ出力41(復号画像)と加算器42で加算する。加算されたブロック境界線信号はモニタ装置43で図2に示すようになり、16×16画素から8×8画素、4×4画素さらに2×2画素までの境界線を復号画像上に重ねあわせて確認することができる。
【0012】さらに、ブロック境界線生成器39で抽出されたブロック境界線信号を復号画像画質調整器40に入力し、輪郭補正信号を生成する。輪郭補正信号を伸長データ出力41(復号画像)と加算器42で加算する。これで復号画像の輪郭を調整することが可能となる。なお、復号画像画質調整器40内はブロック境界線生成器39で抽出されたブロック境界線信号から輪郭を抽出する輪郭抽出部40−1と輪郭抽出部40−1で抽出された輪郭をどの程度復号画像にかけるかを調整する画像処理部40−2とからなる。
【0013】
【作用】その結果、画像データを非等長ブロックに分割して圧縮伸長する画像データ圧縮伸長装置のうち、静止画像をハードウエアで圧縮伸長処理する装置または動画像をリアルタイムで処理する装置の場合、画像データが画像データ圧縮伸長装置内のデータ列変換器でブロックに分割したときの分割状態(ブロックの大きさ)を復号画像上にリアルタイムに表示できるので、ハードウエアの開発、調整および診断が大変容易になる。
【0014】さらに、ブロックの分割状態の解析は圧縮データを復号する際必ず行うが、ブロックの分割の基本は細かい絵柄に対し最小2×2画素に分割し、平坦な絵柄に対し最大16×16画素単位に分割するので、結局このブロックの分割状態の解析結果から画像の輪郭情報が得られる。よって、改めて画像の輪郭を検出することなく復号画像の画質の調整が可能となる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。本発明の第一の実施例を図2を使い説明する。図2は図5に示す曲線が上から左へ描かれている柄のブロックの分割状態表示の具体例である。図2のブロック境界線は1画素の幅とする。2×2画素ブロックであれば左上の1画素だけ復号画像そのままで右上、左下および右下の3画素はブロック境界線51−2を表示する。4×4画素、8×8画素および16×16画素の各ブロックについても同様でブロック内右側1画素と下側1画素をブロック境界線とし、4×4画素ではブロック境界線51−4、8×8画素ではブロック境界線51−8、また16×16画素ではブロック境界線51−16とする。
【0016】なお、ブロック境界線51−2、51−4、51−8および51−16は復号画像の輝度レベルによって暗い絵柄の部分は輝度レベル(C8)h(画像データのダイナミックレンジを8ビットとすると最大輝度)の明るい線を、明るい絵柄の部分は輝度レベル(3C)h(画像データのダイナミックレンジを8ビットとすると最少輝度)の暗い線を切り換えて表示可能する。結果として、復号画像の絵柄に関係なくブロック境界線が容易に確認できる。
【0017】本発明の第二の実施例を説明する。画像の符号化は一般にブロック単位に処理されるが、非等長ブロックに分割する方式ではブロックの分割状態の解析は圧縮データを復号する際必ず行う。図2の例では、細かい絵柄に対し最小2×2画素に分割し、平坦な絵柄に対し最大8×8画素単位に分割されているので、ブロック分割状態の解析結果の2×2画素のブロックをつないでいくと、画像の輪郭情報が得られる。この輪郭情報で画像の輪郭の調整が可能になる。よって、改めて画像の輪郭検出回路を設けることなく復号画像の画質の調整が可能である。
【0018】本発明の第三の実施例を説明する。画像の符号化は一般にブロック単位に処理されるためブロックアーチファクトが復号画像上で目立つことがよくある。このブロックアーチファクトが目立たないようにするためには図3に示すブロックとブロックの境界画素間に演算処理を行うと画質の改善が可能である。一方、ブロックとブロックの境界画素間に演算処理を行うためには、まず、ブロックとブロックの境界を探す必要があるが、仮に画像のブロックサイズが8×8画素固定の場合は、復号側でブロックとブロックの境界画素の位置を容易に探せるので、上記に示すブロックとブロックの境界画素間の演算処理も容易であるが、本画像データ圧縮伸長装置では画像データを非等長ブロックに分割するためブロックとブロックの境界画素の位置を復号側で検出するのは容易ではない。よって、ブロックの分割状態表示の情報を利用して上記のブロックとブロックの境界画素間の演算処理を行う。なお、ブロックとブロックの境界画素間の演算処理の具体例は図3に示すブロック境界線51である画素と隣接ブロック内の隣接画素52の間にフィルタをかける等の処理を行う。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、画像データを非等長ブロックに分割する方式の画像データ圧縮伸長装置(特に動画像対応の場合)の開発、調整および診断が容易になる。また、ブロックの分割状態の解析結果から画像の輪郭情報が得られるのでこの輪郭情報を利用すれば改めて画像の輪郭を検出する必要がなく復号画像の画質の調整が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例の説明図である。
【図3】本発明の実施例の説明図である。
【図4】従来の構成を示すブロック図である。
【図5】従来の方式を説明するための図である。
【符号の説明】
20 画像データ圧縮符号化部
21 圧縮データ復号部
22 復号画像画質調整器付き圧縮データ復号装置
30 画像データ圧縮伸長装置
31 蓄積装置
32 静止画像データ
33 画像データ入力端子
34 データ列変換器
35 圧縮器
36 伝送装置
37 受信装置
38 復号器
39 ブロック境界線生成器
40 復号画像画質調整器
40−1 輪郭抽出部
40−2 画像処理部
41 復号画像データ
42 加算器
43 モニタ装置
51 画素ブロック境界線
51−2 2×2素ブロック境界線
51−4 4×4画素ブロック境界線
51−8 8×8画素ブロック境界線
51−16 16×16画素ブロック境界線
52 隣接画素
61 静止画像
62 基本ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ディジタル化された画像データを非等長ブロックに分割するデータ列変換器および該データ列変換器で並びかえられた画像データを圧縮する圧縮器とを有する画像データ圧縮符号化部と、復号器を有し、上記画像データ圧縮符号化部から伝送された圧縮データをもとの画像データに復号する圧縮データ復号部とからなる画像データ圧縮伸長装置において、上記圧縮データ復号部内にブロック境界線生成器を設け、上記復号器からの情報によりブロック境界線信号を生成し、上記復号器による復号信号と加算して、入力された画像データを上記データ列変換器でブロックに分割したときの分割の状態(ブロックの大きさ)を復号画像上にリアルタイムに表示できるようにしたことを特徴とする画像データ圧縮伸長装置。
【請求項2】 ディジタル化された画像データを非等長ブロックに分割するデータ列変換器および該データ列変換器で並びかえられた画像データを圧縮する圧縮器とを有する画像データ圧縮符号化部と、上記画像データ圧縮符号化部から伝送された圧縮データをもとの画像データに復号する復号器を有する圧縮データ復号部とからなる画像データ圧縮伸長装置において、上記圧縮データ復号部内にブロック境界線生成器を設け、上記復号器からの情報によりブロック境界線信号を生成し、上記復号器による復号信号と加算して、入力された画像データを上記データ列変換器でブロックに分割したときの分割の状態(ブロックの大きさ)を復号画像上にリアルタイムに表示できるようにするとともに、上記ブロック境界線信号を入力とする復号画像画質調整器を設け、輪郭補正信号を生成し、上記復号器による復号信号と加算して、復号画像の画質を調整できるようにしたことを特徴とする画像データ圧縮伸長装置。
【請求項3】 請求項2において、復号画像画質調整器は輪郭抽出部および抽出された輪郭をどの程度復号画像にかけるかを調整する画像処理部からなることを特徴とする画像データ圧縮伸長装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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