説明

画像データ検査装置

【課題】画像データ要求コマンドなしに自動でデータ処理部から操作表示部への画像データ転送を実現し、かつ、画像データの取得機能をもつ手段と画像データの転送機能をもつ手段間で画像データに対する排他区間を確保して画像データへの同時アクセスを回避すること。
【解決手段】画像処理通信手段12は、画像データ管理インデックス記憶手段157の画像データ管理インデックスを読み込み、その値に1加えた値を欠陥画像データのファイル名に付加し、そのファイル名で画像データ記憶手段16に保管し、画像データ管理インデックスを+1する。操作表示通信手段13は、画像データ管理インデックス記憶手段157の画像データ管理インデックスを読み込み、その値以下の値をファイル名にもつ欠陥画像データのファイルを操作表示部3に転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを検査する画像データ検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像データ検査装置は、画像処理部、操作表示部、エラー監視部及びデータ処理部を具備し、各部へデータの送受信を行うデータ処理部の内部では一般的に各部に特化した機能をもつ手段に分散した構成をとっている。
【0003】
前記データ処理部は、各部との通信を専門に行う画像処理通信手段と、操作表示通信手段と、エラー監視通信手段と、これら3つの手段が取得したデータを所望の手段に伝える機能をもつ全体制御手段と、を具備している。
【0004】
画像データ検査装置は、画像処理部から出力される欠陥画像データをデータ処理部がオペレータにより操作される操作表示部へ転送する必要がある。
【0005】
画像データの転送方法として、特許文献1及び特許文献2に記載されたものがある。特許文献1では、操作表示部に当たる第1のコンピュータから画像データ取得のためのコマンドをデータ処理部に当たる第2のコンピュータにコンピュータネットワークを介して送り、第2のコンピュータから第1のコンピュータに画像データの転送を実現する方法を提案している。
【0006】
特許文献2においても、同様にコンピュータネットワークを介して、外部の画像データ保管装置から別の画像データ保管装置に画像データを転送する場合、外部画像データ保管装置に対して画像データの転送要求を保管装置に対して送信して画像データの転送を実現する方法を提案している。
【0007】
コンピュータネットワークを介した画像データの転送方法に関して前記画像データ要求コマンドを用いた画像データ転送を実現する方法が提案されている。しかし、前記方法では多数の欠陥が検出され、画像データ処理部から大量に出力される欠陥画像データをデータ処理部から操作表示部へ転送する場合、操作表示部からの画像データ要求コマンドによる画像データの転送は操作表示部とデータ処理部とのコマンドの送受信という処理が加わることによって、時間コストが高くなってしまうという問題がある。また、欠陥発生時には欠陥画像データに加え欠陥情報も画像処理部から出力され、データ処理部から操作表示部へ転送する必要があるので、優先度の高いデータである欠陥情報の送信処理に負荷を与えてしまうという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10―232925号公報
【特許文献2】特開2000―105677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、画像データ要求コマンドなしに自動でデータ処理部から操作表示部への画像データ転送を実現し、かつ、画像データの取得機能をもつ手段と画像データの転送機能をもつ手段間で画像データに対する排他区間を確保して画像データへの同時アクセスを回避することができる画像データ検査装置を提供することにある。
【0010】
また、本発明の目的は、優先度の高い情報の送信の遅延を回避することができる画像データ検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明に係る画像データ検査装置は、カメラによって撮像された被検査物の画像データを処理し欠陥画像データを生成する画像処理部と、画像データ検査装置の各ユニットの状態を監視し異常が発生した時にはエラー情報を生成するエラー監視部と、前記欠陥画像データの欠陥情報及び前記エラー情報を含む各種情報を表示する操作表示部と、前記画像処理部、エラー監視部及び操作表示部と前記各種情報のやり取りを行うデータ処理部と、を具備し、前記データ処理部が、前記画像処理部との通信を行う画像処理通信手段と、前記エラー監視部との通信を行うエラー監視通信手段と、前記操作表示部との通信を行う操作表示通信手段と、前記画像処理通信手段、エラー監視通信手段及び操作表示通信手段との間でそれぞれデータの通信を行って通信されたデータの内容によっては他の手段に向けた処理コマンドを生成する全体制御手段と、前記画像処理通信手段、前記エラー監視通信手段及び前記操作表示通信手段の各々と前記全体制御手段との間に接続されている第1及び第2の記憶手段と、を具備し、前記全体制御手段が前記第1の記憶手段からのデータの読み込みを行い、かつ、前記第2の記憶手段にデータの書き込みを行い、前記画像処理通信手段、前記エラー監視通信手段及び前記操作表示通信手段の各々が前記第1の記憶手段にデータの書き込みを行い、かつ、前記第2の記憶手段からのデータの読み込みを行うことを特徴とする。
【0012】
請求項1の発明によれば、全体制御手段が第1の記憶手段からのデータの読み込みを行い、かつ、第2の記憶手段にデータの書き込みを行い、画像処理通信手段、エラー監視通信手段及び操作表示通信手段の各々が第1の記憶手段にデータの書き込みを行い、かつ、第2の記憶手段からのデータの読み込みを行うため、画像データ要求コマンドなしに自動でデータ処理部から操作表示部への画像データ転送を実現し、かつ、画像データの取得機能をもつ手段と画像データの転送機能をもつ手段間で画像データに対する排他区間を確保して画像データへの同時アクセスを回避することができる。
【0013】
請求項2の発明に係る画像データ検査装置は、請求項1の発明において、前記データ処理部は、さらに前記画像処理通信手段と前記操作表示通信手段との間に接続され前記画像データを管理するためのデータである画像データ管理インデックスを保持する管理インデックス記憶手段と、前記画像処理通信手段と前記操作表示通信手段との間に接続され画像データを記憶する画像データ記憶手段を具備し、前記画像処理通信手段が、前記画像処理部より取得した前記欠陥情報と当該欠陥情報に付随する前記欠陥画像データを分離し、前記欠陥情報を前記全体制御手段との間にある前記第1の記憶手段に送って前記欠陥情報の書き込みを行い、前記欠陥画像データを前記画像データ管理インデックスに1加えた値を付加したファイル名でファイル化して前記画像データ記憶手段に一時書き込み、かつ、書き込み完了後に前記画像データ管理インデックスをインクリメントし、前記操作表示通信手段が、前記画像データ管理インデックスを読み込み、前記画像データ記憶装置への書き込み完了を表し、前記各手段の間での同時アクセスの危険がない画像データ管理インデックス以下の値がファイル名に付加されている前記欠陥画像データのファイルを前記操作表示部に転送することを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明によれば、全体制御手段が第1の記憶手段からのデータの読み込みを行い、かつ、第2の記憶手段にデータの書き込みを行い、画像処理通信手段、エラー監視通信手段及び操作表示通信手段の各々が第1の記憶手段にデータの書き込みを行い、かつ、第2の記憶手段からのデータの読み込みを行い、かつ、管理インデックス記憶手段と画像データ記憶手段とを用いて画像データの転送を管理しているため、画像データ要求コマンドなしに自動でデータ処理部から操作表示部への画像データ転送を実現し、かつ、画像データの取得機能をもつ手段と画像データの転送機能をもつ手段間で画像データに対する排他区間を確保して画像データへの同時アクセスを回避することができる。
【0015】
請求項3の発明に係る画像データ検査装置は、請求項1及び請求項2のいずれかの発明において、前記操作表示通信手段が、欠陥が多発したときに前記欠陥画像データの転送数を少なくし前記欠陥情報の送信を優先し、かつ、欠陥の発生が少ないときに前記欠陥画像データの転送数を多くすることを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明によれば、請求項1及び請求項2のいずれかの発明の効果に加えて、操作表示通信手段が欠陥が多発したときに欠陥画像データの転送数を少なくし前記欠陥情報の送信を優先し、かつ、欠陥の発生が少ないときに欠陥画像データの転送数を多くするため、操作表示部への欠陥情報の送信の遅延を回避することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、全体制御手段が第1の記憶手段からのデータの読み込みを行い、かつ、第2の記憶手段にデータの書き込みを行い、画像処理通信手段、エラー監視通信手段及び操作表示通信手段の各々が第1の記憶手段にデータの書き込みを行い、かつ、第2の記憶手段からのデータの読み込みを行うため、画像データ要求コマンドなしに自動でデータ処理部から操作表示部への画像データ転送を実現し、かつ、画像データの取得機能をもつ手段と画像データの転送機能をもつ手段間で画像データに対する排他区間を確保して画像データへの同時アクセスを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1に係る画像データ検査装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る画像データ記憶手段の画像データ管理インデックスを用いた画像処理通信手段と操作表示通信手段による欠陥画像データの転送動作を説明するためのフロー図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る管理インデックス記憶手段と画像処理通信手段及び操作表示通信手段との関係を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る画像データ検査装置における欠陥発生時の画像データ管理インデックスの変化を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る画像データ検査装置を示すブロック図である。図1に示すように、画像データ検査装置は、画像処理部2と、エラー監視部4と、操作表示部3と、データ処理部1と、を具備している。
【0020】
画像処理部2は、カメラによって撮像された被検査物の画像データを処理し欠陥画像データを生成する。エラー監視部4は、画像データ検査装置1の各ユニットの状態を監視し異常が発生した時にはエラー情報を生成する。操作表示部3は、欠陥画像データの欠陥情報及びエラー情報を含む各種情報を表示する。データ処理部1は、画像処理部2、エラー監視部4及び操作表示部3と各種情報のやり取りを行う。
【0021】
データ処理部1は、画像処理通信手段12と、エラー監視通信手段14と、操作表示通信手段13と、全体制御手段11と、第1の記憶手段151、153、155と、第2の記憶手段152、154、156と、を具備している。画像処理通信手段12は、画像処理部1との通信を行う。エラー監視通信手段14は、エラー監視部4との通信を行う。操作表示通信手段13は、操作表示部3との通信を行う。全体制御手段11は、画像処理通信手段12、エラー監視通信手段14及び操作表示通信手段13との間でそれぞれデータの通信を行って通信されたデータの内容によっては他の手段に向けた処理コマンドを生成する。
【0022】
第1の記憶手段151及び第2の記憶手段152は、画像処理通信手段1と全体制御手段11との間に接続されている。第1の記憶手段155及び第2の記憶手段156は、エラー監視通信手段14と全体制御手段11との間に接続されている。第1の記憶手段153及び第2の記憶手段154は、操作表示通信手段13と全体制御手段11との間に接続されている。全体制御手段11は、第1の記憶手段151、153、155からのデータの読み込みを行い、かつ、第2の記憶手段152、154、156にデータの書き込みを行う。画像処理通信手段12は、第1の記憶手段151にデータの書き込みを行い、かつ、第2の記憶手段152からのデータの読み込みを行う。エラー監視通信手段14は、第1の記憶手段155にデータの書き込みを行い、かつ、第2の記憶手段156からのデータの読み込みを行う。操作表示通信手段13は、第1の記憶手段153にデータの書き込みを行い、かつ、第2の記憶手段154からのデータの読み込みを行う。このように、データの流れる向きによって経路が分離される。
【0023】
データ処理部1は、さらに画像データ記憶手段16を具備している。画像データ記憶手段16は、画像処理通信手段12と操作表示通信手段13との間に接続され、画像データを記憶する。画像データ記憶手段16は、フラッシュメモリなどで構成されている。データ処理部1は、さらに管理インデックス記憶手段157を具備している。管理インデックス記憶手段157は、画像処理通信手段12と操作表示通信手段13との間に接続され、画像データを管理するためのデータである画像データ管理インデックスを保持する。
【0024】
画像処理通信手段12は、画像処理部2より取得した欠陥情報と当該欠陥情報に付随する欠陥画像データを分離し、欠陥情報を全体制御手段11との間にある第1の記憶手段151に送って欠陥情報の書き込みを行い、欠陥画像データを画像データ管理インデックスに1加えた値を付加したファイル名でファイル化して画像データ記憶手段16に一時書き込み、かつ、書き込み完了後に管理インデックス記憶手段157の画像データ管理インデックスをインクリメントする。操作表示通信手段13は、管理インデックス記憶手段157の画像データ管理インデックスを読み込み、画像データ記憶手段16への書き込み完了を表し、前記各手段の間での同時アクセスの危険がない画像データ管理インデックス以下の値がファイル名に付加されている欠陥画像データのファイルを操作表示部3に転送する。
【0025】
画像処理通信手段12は、画像処理部2から得られる被検査物の欠陥情報とそれに付随する欠陥画像データを分離し、優先度の高い欠陥情報を全体制御手段11を介して操作表示部3に送り、オペレータに欠陥情報を迅速に伝える。一方、画像処理通信手段12は、欠陥情報に比べ優先度が低くデータ容量が大きい欠陥画像データを一時的に欠陥画像データ記憶手段である画像データ記憶手段16に書き込み保管しておく。
【0026】
操作表示通信手段13は、欠陥画像データ記憶手段である画像データ記憶手段16から欠陥画像データを読み込み、コンピュータネットワークを介して操作表示部3に欠陥画像データを転送する。
【0027】
さらに、データ処理部1は、欠陥画像データ記憶手段である画像データ記憶手段16に保管してある欠陥画像データを操作表示部3に転送する際、画像データ管理インデックスの値を用いて、画像処理通信手段12による画像データ記憶手段16への欠陥画像データの書き込みと、操作表示通信手段13による画像データ記憶手段16からの欠陥画像データの読み込みの間で、欠陥画像データに対する排他区間を確保し、欠陥画像データへの同時アクセスを回避することを可能としている。
【0028】
図2を用いて、画像データ記憶手段16の画像データ管理インデックスを用いた画像処理通信手段12と操作表示通信手段13による欠陥画像データの転送動作について詳しく説明する。
【0029】
まず、画像処理通信手段12の動作について説明する。画像処理通信手段12は、画像処理部2から欠陥情報とそれに付随する欠陥画像データを取得する(ステップS1)。そして、画像処理通信手段12は、欠陥情報を全体制御手段11との間にある第1の記憶手段151に欠陥情報を送信する(ステップS2)。
【0030】
次に、画像処理通信手段12は、管理インデックス記憶手段157の画像データ管理インデックスを読み込む(ステップS3)。画像データ管理インデックスは、操作表示通信手段13においても必要な値のため、画像処理通信手段12と操作表示通信手段13の手段間で共有可能なように共有メモリの仕組みを用いている。ここで、仮に画像データ管理インデックス157の値が「3」であった場合について考える。画像処理通信手段12は、読み込んだ画像データ管理インデックスに1を加えた値をファイル名に付加して、欠陥画像データをファイル化する(ステップS4)。ここで、付加される画像データ管理インデックスの値は「4」となる。欠陥画像データのファイル名には、欠陥の座標、欠陥のサイズ、被検査物のコード及び検査時間に加えてある特定の桁数の画像データ管理インデックスが付加される。例えば、桁数を5とし、画像データ管理インデックスが「4」であった場合、ファイル名は「欠陥の座標−欠陥のサイズ−被検査物のコード−検査時間−00004.拡張子」と表される。
【0031】
画像処理通信手段12は、ファイル化した欠陥画像データを画像データ記憶手段16に保管し(ステップS5)、画像データ管理インデックスをインクリメントする(ステップS6)。ここで、画像データ管理インデックスには「4」という値が保持されていることになる。
【0032】
前記処理が画像処理通信手段12による欠陥画像データの画像データ記憶手段16への書き込みのための一連の流れであり、画像処理部2から欠陥情報及び欠陥画像データを取得するたびにこの処理が繰り返される。
【0033】
次に、操作表示通信手段13の動作について説明する。操作表示通信手段13は、画像データ記憶手段16から欠陥画像データを読み込んで、操作表示部3に欠陥画像データを転送する役割をもっている。
【0034】
操作表示通信手段13は、ある周期で管理インデックス記憶手段157の画像データ管理インデックスを読み込んでいる(ステップS7)。ここで、読み込んだときの画像データ管理インデックスの値が「3」であった場合について説明する。
【0035】
操作表示通信手段13は、画像データ管理インデックス157の値が「3」であった場合、記憶装置16に保管してある欠陥画像データのファイル名を確認し、ファイル名に付加されている画像データ管理インデックスの値が「3」以下の値をファイル名にもつ欠陥画像データを操作表示部3に転送する(ステップS8)。
【0036】
操作表示通信手段13が欠陥画像データを操作表示部3に転送する際、画像処理通信手段12は、新しい欠陥画像データを書き込んでいる可能性があるが、書き込み中の新しい欠陥画像データのファイル名に付加されている画像データ管理インデックスが「4」であるため、操作表示通信手段13が書き込み中の新しい欠陥画像データを操作表示部3に転送してしまうことはなく、欠陥画像データへの同時アクセスを回避することを可能としている。
【0037】
前記処理が操作表示通信手段13による欠陥画像データの記憶装置16から操作表示部3への転送のための一連の流れであり、ある周期でこの処理が繰り返される。
【0038】
また、図3に管理インデックス記憶手段157と画像処理通信手段12及び操作表示通信手段13との関係を示す。管理インデックス記憶手段157の画像データ管理インデックスは「0」を初期値とする。画像処理通信手段12は、画像データ記憶手段16に欠陥画像データの書き込みが完了するたびに管理インデックス記憶手段157の画像データ管理インデックスをインクリメントしていく。そして、操作表示通信手段13は、ある周期で管理インデックス記憶手段157の画像データ管理インデックスの値を読み込んでいく。
【0039】
ここで、最初の周期で読み込んだ画像データ管理インデックスの値が「3」であった場合、画像データ記憶手段16に保管されている「1、2、3」の画像データ管理インデックスがファイル名に付加されている欠陥画像データを操作表示部3に転送する(ステップS11)。そして、次の周期で画像データ管理インデックスを読み込んだとき、画像データ管理インデックスが「7」であった場合、操作表示通信手段13は、画像データ記憶手段16に保管されている「4、5、6、7」の画像データ管理インデックスがファイル名に付加されている欠陥画像データを操作表示部3に転送する(ステップS12)。
【0040】
画像データ管理インデックスはファイル名として付加する関係上、桁数をあらかじめ決めておかなければならない。よって、例えば、画像データ管理インデックスの値を5桁と決めた場合、画像データ管理インデックスの最大値が「99999」となってしまうため、次に画像データ管理インデックスをインクリメントしたとき「0」に戻ってしまい、操作表示通信手段13における画像データ管理インデックス以下の値をファイル名にもつ欠陥画像データを操作表示部3に転送するという処理が成り立たなくなってしまう。
【0041】
そこで、図4に示すように、画像データ管理インデックスをある段階でリセットする必要がある。図4は画像データ管理インデックスの変化を表した図になっており、横軸に時間をとり、縦軸に画像データ管理インデックスをとっている。まず、検査開始から検査区間1において欠陥が発生するごとに画像データ管理インデックスはインクリメントされていく。そして、次の検査区間2が始まる前に画像データ管理インデックスを「0」にリセットし、検査区間1と同様に欠陥が発生するごとに画像データ管理インデックスをインクリメントしていく。ここで、リセットするタイミングは、被検査物の変更、検査パラメータの設定、1フレーム当たりの欠陥の数というように、各画像データ検査装置に合った様々な方法で定義することが可能である。
【0042】
前記に説明した欠陥画像データの転送方法は、操作表示通信部13が画像データ管理インデックスを読み込んだ時点で、画像データ記憶手段16に保管されている書き込みが完了している欠陥画像データすべてを転送するという処理を行っている。
【0043】
しかし、欠陥が多発して記憶装置16に大量に保管された欠陥画像データを、操作表示部3に転送する処理は、優先度の高い欠陥情報の送信処理を圧迫することが考えられる。よって、本発明の実施の形態1では、欠陥情報を優先して操作表示部3に送信するため欠陥画像データ転送数を可変にすることを実施している。
【0044】
つまり、操作表示通信手段13は、欠陥が多発したときに欠陥画像データの転送数を少なくして欠陥情報の送信を優先し、かつ、欠陥の発生が少ないときに欠陥画像データの転送数を多くすることによって、操作表示部3への欠陥情報の送信の遅延を回避することを可能としている。
【0045】
欠陥が多発したときの欠陥画像データの転送数及び欠陥の発生が少ないときの欠陥画像データの転送数は、欠陥が多発したときの全体制御手段11、画像処理通信手段12、操作表示通信手段13及びエラー監視通信手段14にかかる負荷を考慮して各画像データ検査装置ごとに決める必要がある。
【0046】
欠陥画像データの転送数の切り替えに関しては、カメラから取得した1フレーム当たりの欠陥の数で実行することができる。1フレーム当たりの欠陥の数が欠陥情報の送信に遅延をきたす可能性がある数であった場合、欠陥画像データの転送数を少なくする。1フレーム当たりの欠陥の数が欠陥情報の送信に遅延をきたす可能性がない場合、欠陥画像データの転送数を多くする。そして、欠陥の数が多かったフレーム時の欠陥画像データもまとめて転送する方法をとることによって、欠陥情報送信の遅延を回避し、かつ欠陥画像データの取りこぼしも回避可能な画像データ転送システムを実現することができる。
【0047】
本発明は、画像データを用いた検査装置の画像データ転送システムとして適用することが可能であり、例えば、カラーフィルタなどのパターン検査装置及び印刷などの絵柄検査装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 データ処理部
2 画像処理部
3 操作表示部
4 エラー監視部
11 全体制御通信手段
12 画像処理通信手段
13 操作表示通信手段
14 エラー監視通信手段
151、152、153、154、155、156 記憶手段
157 管理インデックス記憶手段
16 画像データ記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラによって撮像された被検査物の画像データを処理し欠陥画像データを生成する画像処理部と、
画像データ検査装置の各ユニットの状態を監視し異常が発生した時にはエラー情報を生成するエラー監視部と、
前記欠陥画像データの欠陥情報及び前記エラー情報を含む各種情報を表示する操作表示部と、
前記画像処理部、エラー監視部及び操作表示部と前記各種情報のやり取りを行うデータ処理部と、を具備し、
前記データ処理部は、
前記画像処理部との通信を行う画像処理通信手段と、
前記エラー監視部との通信を行うエラー監視通信手段と、
前記操作表示部との通信を行う操作表示通信手段と、
前記画像処理通信手段、エラー監視通信手段及び操作表示通信手段との間でそれぞれデータの通信を行って通信されたデータの内容によっては他の手段に向けた処理コマンドを生成する全体制御手段と、
前記画像処理通信手段、前記エラー監視通信手段及び前記操作表示通信手段の各々と前記全体制御手段との間に接続されている第1及び第2の記憶手段と、を具備し、
前記全体制御手段は前記第1の記憶手段からのデータの読み込みを行い、かつ、前記第2の記憶手段にデータの書き込みを行い、前記画像処理通信手段、前記エラー監視通信手段及び前記操作表示通信手段の各々は前記第1の記憶手段にデータの書き込みを行い、かつ、前記第2の記憶手段からのデータの読み込みを行うことを特徴とする画像データ検査装置。
【請求項2】
前記データ処理部は、さらに前記画像処理通信手段と前記操作表示通信手段との間に接続され前記画像データを管理するためのデータである画像データ管理インデックスを保持する管理インデックス記憶手段と、前記画像処理通信手段と前記操作表示通信手段との間に接続され画像データを記憶する画像データ記憶手段と、を具備し、
前記画像処理通信手段は、前記画像処理部より取得した前記欠陥情報と当該欠陥情報に付随する前記欠陥画像データを分離し、前記欠陥情報を前記全体制御手段との間にある前記第1の記憶手段に送って前記欠陥情報の書き込みを行い、前記欠陥画像データを前記画像データ管理インデックスに1加えた値を付加したファイル名でファイル化して前記画像データ記憶手段に一時書き込み、かつ、書き込み完了後に前記画像データ管理インデックスをインクリメントし、
前記操作表示通信手段は、前記画像データ管理インデックスを読み込み、前記画像データ記憶装置への書き込み完了を表し、前記各手段の間での同時アクセスの危険がない画像データ管理インデックス以下の値がファイル名に付加されている前記欠陥画像データのファイルを前記操作表示部に転送することを特徴とする請求項1に記載の画像データ検査装置。
【請求項3】
前記操作表示通信手段は、欠陥が多発したときに前記欠陥画像データの転送数を少なくし前記欠陥情報の送信を優先し、かつ、欠陥の発生が少ないときに前記欠陥画像データの転送数を多くすることを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれかに記載の画像データ検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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