説明

画像プリント引渡システム

【課題】画像プリントが複数の引渡装置に収容されている場合でも、的確に顧客に画像プリントを引き渡すことができる画像プリント引渡システムを提供する。
【解決手段】制御装置Eの収容情報管理部101は、画像プリントのオーダを特定するオーダ特定情報とそのオーダに係る画像プリントが収容されている引渡装置Cとの関係を収容情報として管理している。引渡装置Cにおいて、顧客から画像プリントの引渡要求を受けると、オーダ特定情報取得部35によりオーダ特定情報を取得し、そのオーダ特定情報と収容情報とに基づき、引渡装置特定部102が引き渡すべき画像プリントが収容されている引渡装置Cを特定する。特定された引渡装置Cの情報は通知部33を介して顧客に通知される。また、顧客が引渡しを要求した引渡装置に引き渡すべき画像プリントが収容されていれば、画像プリント送出部Cfによりその画像プリントを送出し、顧客に引渡す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像プリントを収容する収容ユニットを備え、顧客に対して画像プリントを引渡す画像プリント引渡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上述のような画像プリント引渡技術としては、仕上がりプリントを出し入れするための開口部を備えた筐体と、仕上がりプリントを収納可能な複数の収納棚を有し、且つ、前記筐体内で移動自在な収納ケースと、前記開口部を外部に対して開閉操作するシャッタと、前記収納ケースを前記開口部に対して移動操作する駆動機構と、を備え、前記駆動機構を制御する制御部に、仕上がりプリントを前記収納棚に装入するために、空き状態の前記収納棚が前記開口部に移動するように前記駆動機構を制御する装入モードと、仕上がりプリントが収納されている前記収納棚が前記開口部に移動するように前記駆動機構を制御する排出モードとの間で切り換えるモード切り替え手段が設けられている写真プリント受渡し装置がある(特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1の装置では、顧客から仕上がりプリントの引渡要求に応じて、仕上がりプリントが収納されている収納棚が特定され、収納されている仕上がりプリントが装置から送出されることにより、顧客は仕上がりプリントを受け取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−009482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、特許文献1の技術では、顧客からの引渡要求に応じて写真プリント受渡し装置が仕上がりプリントを収容棚から送出されるため、顧客の利便性を向上させることができる。しかし、特許文献1の技術では、複数の写真プリント受渡し装置が設置されている場合が考慮されていない。
【0006】
顧客が複数の画像プリント注文(オーダ)を行った場合に、仕上がりプリントが複数の写真プリント受渡し装置に収容されたとしても、顧客はオーダの数を認識しているため、仕上がりプリントを取り忘れる可能性は低い。しかしながら、写真プリント受渡し装置毎に収容可能な仕上がりプリントのサイズが異なっており、一のオーダに複数のプリントサイズが混在している場合には、一のオーダに係る仕上がりプリントが複数の写真プリント受渡し装置に収容されることとなる。このような場合には、顧客は仕上がりプリントが複数の写真プリント受渡し装置に収容されていることを認知することができず、仕上がりプリントを受け取り忘れる可能性が高くなる。
【0007】
本発明の目的は、このような課題に鑑み、画像プリントが複数の引渡装置に収容されている場合でも、的確に顧客に画像プリントを引き渡すことができる画像プリント引渡システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の画像プリント引渡システムは、画像プリントをオーダ単位で収容する収容ユニットを有する複数の引渡装置と、制御装置とを備えた画像プリント引渡システムであって、前記制御装置は、画像プリントのオーダを特定するオーダ特定情報と当該オーダに係る画像プリントが収容されている前記引渡装置との関係を収容情報として管理する収容情報管理部と、前記オーダ特定情報と前記収容情報とに基づき、当該オーダ特定情報に係る前記画像プリントが収容されている前記引渡装置である案内対象引渡装置を特定する引渡装置特定部と、を備え、前記引渡装置は、前記オーダ特定情報を取得するオーダ特定情報取得部と、前記取得したオーダ特定情報に関連付けられた画像プリントを前記収容ユニットから送出する画像プリント送出部と、前記オーダ特定情報が取得された際に、前記引渡装置特定部により特定された当該オーダ特定情報に係る前記案内対象引渡装置の情報を取得する引渡装置情報取得部と、前記オーダ特定情報を取得した前記引渡装置以外の前記案内対象引渡装置の情報を顧客に通知する通知部と、を備えている。
【0009】
この構成では、各引渡装置に収容されている画像プリントとその画像プリントに係るオーダを特定するオーダ特定情報が収容情報として管理されている。したがって、オーダ特定情報から、そのオーダの画像プリントが収容されている引渡装置を特定することができる。また、各引渡装置はオーダ特定情報を取得するオーダ特定情報取得部が備えられているため、顧客はいずれの引渡装置でも画像プリントの引渡しのための認証が可能である。顧客がいずれかの引渡装置でオーダ特定情報を入力すると、その引渡装置から引渡装置特定部に対して、入力されたオーダ特定情報に係る画像プリントが収容されている引渡装置(以下、案内対象引渡装置と称する)が特定され、通知部によりその特定された案内対象引渡装置の情報が顧客に通知される。これにより、一のオーダに係る画像プリントが複数の引渡装置に収容されていたとしても、画像プリントが収容されている引渡装置を案内することができ、画像プリントの取り忘れを防止することができる。また、画像プリントが収容されていない引渡装置で認証を行った場合でも、正しい引渡装置に案内することができる。
【0010】
一のオーダに係る画像プリントが複数の引渡装置に収容されている場合には、その引渡装置の情報をそのまま顧客に通知すると、顧客は次にいずれの引渡装置で画像プリントを受け取るべきか迷ってしまう。そのため、本発明の画像プリント引渡システムの好適な実施形態の一つでは、前記引渡装置特定部は、一の前記オーダ特定情報に係る前記案内対象引渡装置が複数ある場合に、当該案内対象引渡装置に優先順位を付け、前記通知部は、前記優先順位に基づき前記案内対象引渡装置の情報を通知する。
【0011】
この構成では、案内対象引渡装置が複数ある場合には、引渡装置特定部により優先順位が付され、通知部はその優先順位に基づき案内対象引渡装置の情報を顧客に通知する。例えば、優先順位が最も高い案内対象引渡装置のみを通知する、複数の案内対象引渡装置を優先順位とともに通知する等の方法を用いることができる。
【0012】
優先順位は種々の基準により決定することができる。例えば、各引渡装置が隣接していないような場合には、顧客の移動を考慮して決定することが望ましい。そのため、本発明の画像プリント引渡システムの好適な実施形態の一つでは、前記引渡装置特定部は、前記案内対象引渡装置の設置場所に関する設置情報に基づき、前記一のオーダ特定情報に係る前記画像プリントを引渡す顧客の移動経路を最適化することにより前記優先順位を決定する。この構成では、顧客の移動経路に基づき案内対象引渡装置の優先順位が決定されるため、顧客はその優先順位に従って引渡装置間を移動すれば最適な経路をたどることができる。
【0013】
また、各引渡装置に画像プリントの引渡しのための待ち行列が生じているような場合には、画像プリントの引渡しに要する時間に基づいて優先順位を決定することも望ましい。そのため、本発明の画像プリント引渡システムの好適な実施形態の一つでは、前記引渡装置特定部は、前記一のオーダ特定情報に係る前記画像プリントの引渡しに要する引渡時間を最適化することにより前記優先順位を決定する。これにより、顧客の待ち時間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の画像プリント引渡システムのシステム構成図である。
【図2】本発明の画像プリント引渡システムにおける受付装置の斜視図である。
【図3】本発明の画像プリント引渡システムにおける引渡装置の斜視図である。
【図4】本発明の画像プリント引渡システムにおける引渡装置の内部側面図である
【図5】本発明の画像プリント引渡システムにおける引渡装置の内部背面図である。
【図6】本発明の画像プリント引渡システムにおける引渡装置の挿入ユニットの斜視図である。
【図7】本発明の画像プリント引渡システムにおける引渡装置の収容ユニットと排出ユニットの斜視図である。
【図8】本発明の画像プリント引渡システムの受付処理の流れを表すフローチャートである。
【図9】本発明の画像プリント引渡システムの受付処理におけるデータフローである。
【図10】本発明の画像プリント引渡システムの実施形態における受付証の例である。
【図11】本発明の画像プリント引渡システムの引渡処理の流れを表すフローチャートである。
【図12】本発明の画像プリント引渡システムの引渡処理におけるデータフローである。
【図13】本発明の画像プリント引渡システムにおける収容情報テーブルの例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔システム構成〕
以下に、図面を用いて本発明の画像プリント引渡システムの実施例を説明する。図1は、本発明の画像プリント引渡システムのシステム構成図である。図に示すように、本発明の画像プリント引渡システムは顧客から画像プリントの注文(以下、オーダと称する)を受け付ける受付装置A、受け付けたオーダの画像データに対して画像処理を施す画像処理装置B、顧客に対して画像プリントを引き渡すための引渡装置C、各種情報を統合的に管理する制御装置EがネットワークLを介して接続されている。ネットワークLは、LAN(Local Area Network)等の公知のネットワークを用いることができ、ネットワークの接続は有線/無線を問わない。なお、引渡装置Cの内部には、画像プリントを作成する画像プリント装置Caが備えられているが、これらは別体としても構わない。また、本実施形態では、3台の引渡装置Cが備えられているが、引渡装置Cの台数は適宜変更可能である。以下の説明では、特に各々の引渡装置Cを区別する必要がない場合には引渡装置Cと称するが、区別する必要がある場合には、第1引渡装置C1,第2引渡装置C2,第3引渡装置C3と記述する。また、後述するように、各引渡装置Cの内部には画像プリント装置Caが備えられているため、本実施形態では画像プリント装置Caも3台備えられている。以下の説明では、特に各々の画像プリント装置Caを区別する必要がない場合には画像プリント装置Caと称するが、区別する必要がある場合には、第1画像プリント装置Ca1,第2画像プリント装置Ca2,第3画像プリント装置Ca3と記述する。
【0016】
以下に、図面を用いて各装置を具体的に説明する。
【0017】
〔受付装置〕
図2は、受付装置Aの斜視図である。受付装置Aは、顧客から画像プリントを行うための画像データと画像プリントの注文内容(プリント数,プリントサイズ,プリント用紙の種類等)とをオーダ情報として取得する機能および画像プリントの料金を徴収する機能を有している。そのため、受付装置Aは、上部の受付ユニットAUおよび下部の料金受領ユニットADから構成されている。
【0018】
受付ユニットAUは、フラッシュメモリ等の半導体メモリからなる各種半導体記憶媒体から画像データを取得するための半導体ドライブ2、CD−R等のディスク型記憶媒体から画像データを取得するディスクドライブ3、受付証R(図10参照)をプリントし排出する受付証画像プリント装置4、カメラ付き携帯電話等の機器に接続し画像データを取得するコネクタ5、および各種の表示を行うと共に顧客からの入力を可能にするタッチパネル6を表示面に形成したディスプレイ7を備えている。
【0019】
また、図9に示すように、受付ユニットAUの本体1の内部には、CPUを中核部材として各種制御をおこなう受付制御ユニット8が備えられている。この受付制御ユニット8はさらに、顧客からの画像プリントの注文受付処理を行う受付部8Aと、画像プリントを顧客に引き渡す際に必要となる各種情報をプリントした受付証Rを作成する受付証作成部8Bと、受け付けた画像プリント注文に係るデータを送信するデータ通信部8Cと、を備えている。
【0020】
一方、料金受領ユニットADは、縦長姿勢のケース10の上部位置に備えられ、硬貨を受領する硬貨投入孔11Aを備えた硬貨受領器11、紙幣を受領する紙幣挿入孔12Aを備えた紙幣受領器12、およびケース10の下部位置に備えられ、釣銭を排出する釣銭排出口13Aを供えた釣銭排出器13を備えている。
【0021】
〔画像処理装置〕
画像処理装置Bは、汎用コンピュータにより構成されており、受付装置Aにより顧客から受け付けた画像データに対してシェーディング補正や鮮鋭化等の画像処理を施す画像処理部20を備えている。また、画像処理部20は、オーダの受付時に顧客から色補正指示があった場合には、その色補正指示に従った色補正も行う。画像処理を施した画像データ(以下、画像プリントデータと称する)は、画像プリント装置Caにより、プリント用紙Pにプリントされ、画像プリントが作成される。
【0022】
〔画像プリント装置〕
図4に示すように、画像プリント装置Caは引渡装置Cの本体部30の内部下方に備えられている。画像プリント装置Caの本体41の下端にはキャスタ40が備えられており、本体41の内部の2箇所には記録紙で成るロール状のプリント用紙Pが備えられている。また、本体41の内部には、プリント用紙Pを搬送するために、複数の圧着ローラ42が配置された搬送経路が形成されている。この搬送経路のプリント位置の上方位置にはプリント用紙Pの搬送方向と直交する方向に往復作動しながらインクを吐出するプリントヘッド43が配置され、プリント位置の下方にはプリント用紙Pに負圧を作用させて平坦な基準面に沿わせる吸引機構44が配置されている。搬送経路にはプリントヘッド43で画像データがプリントされたプリント用紙P(画像プリント)をプリントサイズに切断するカッター45を備えており、このカッター45の下方位置にはカッター45での切断により発生する切断片を回収するトラッシュボックス46と、これらを制御するプリント制御ユニット47とが備えられている。
【0023】
この画像プリント装置Caでは、受付装置Aから伝送されるオーダ情報に基づいてプリント制御ユニット47が、圧着ローラ42、プリントヘッド43、カッター45等を制御し、プリント用紙Pに画像データをプリントし、プリントサイズに切断して送り出す制御を実現する。この制御を行う際にプリント用紙Pの位置を検出する複数の位置センサ(図示せず)を備えており、これらの位置センサからの検出信号はプリント制御ユニット47に入力する。
【0024】
また、画像プリント装置Caは、前述したように本体41の下端にキャスタ40を備えているので、後述する引渡装置Cの本体部30のドア部31を開放することで前方側に引き出すことができ、プリント用紙Pの補給や交換だけではなくトラッシュボックス46の切断片の回収が可能となっている。また、2箇所にセットされるプリント用紙Pの幅の選択により、幅が異なる複数種のプリントサイズに対応できる。図面には示していないが、この画像プリント装置Caを引き出した後に元の位置に戻した場合には、引渡装置Cのガイド部(図示せず)に対して画像プリント装置Caの基準部等が接当することで画像プリント装置Caと本体部30との相対的な位置関係が決まり、この画像プリント装置Caにおけるプリント用紙Pの搬出位置と、搬送ユニットCdの搬送始端位置とがプリント用紙Pの搬送に最適な位置関係になる。
【0025】
なお、画像プリント装置Caはインクジェット型に限るものではなく、昇華型の画像プリント装置や、熱転写型の画像プリント装置、静電式の画像プリント装置、銀塩プリンタ等を用いることができる。また、画像プリント装置Caは引渡装置Cの外部に設置する構成としても構わない。
【0026】
〔引渡装置〕
以下、図4から図7を用いて本発明の引渡装置Cを説明する。引渡装置Cは、本体部30と、本体部30の前面にヒンジを介して開閉自在に支持されたドア部31とを有した筐体を備えている。ドア部31の前面上部にはモニタ33(本発明の通知部の例)が備えられ、このモニタ33の下部位置にプリント用紙Pを排出する4つの排出口34が形成されている。排出口34の下側には、受付証Rにプリントされたバーコード形式のオーダ特定情報を読み取るバーコードリーダ35(本発明のオーダ特定情報取得部の例)と、各種音声情報を出力するスピーカ36(本発明の通知部の例)とが備えられている。なお、受付証Rに記録されるオーダ特定情報の形式が磁気情報等に変更された場合には、バーコードリーダ35に代えて、適宜適したデバイスがオーダ特定情報取得部として用いられる。
【0027】
本体部30の内部上方には2つの収容ユニットCbが上下移動自在に支持されている。また、本体部30の内部には画像プリント装置Caで画像データがプリントされたプリント用紙Pを上方に送る搬送ユニットCd、搬送ユニットCdから送り出されたプリント用紙Pを上方に送り、収容ユニットCbの収容空間Sに挿入する挿入ユニットCeを備えている。さらに、本体部30の内部上方には収容ユニットCbの収容空間Sに収容されたプリント用紙Pを4つ排出口34から排出する4つの排出ユニットCfを備えている。なお、4つの排出口34には開閉作動するシャッターユニット37が備えられている。
【0028】
本体部30の内部には搬送ユニットCdから送り出されたプリント用紙Pを積層する状態で受け止める2つのストッカーCgと、この2つのストッカーCgを左右方向に移動自在に支持するスライドプレート38とが備えられている。スライドプレート38の位置を調節することにより、搬送ユニットCdからプリント用紙Pが送り出される位置にストッカーCgの一方を配置することで、配置されたストッカーCgに積層する状態でプリント用紙Pを収容することができる。この本体部30の内部上方には、各部を制御するマイクロプロセッサを有した制御ユニットChが備えられている。
【0029】
〔引渡装置:収容ユニット〕
収容ユニットCbは、縦壁50と、水平姿勢に棚状に配置される複数の支持プレート51とを備えることにより、収容ユニットCbの空間を区画して複数の収容空間Sが形成されている。また、2つの収容ユニットCbは左右に並列配置され、それぞれの収容ユニットCbには、2列の支持プレート51が備えられている。これにより2つの収容ユニットCb全体では、縦方向に多数で、横方向に4列の収容空間Sが配置されることになる。
【0030】
この2つの収容ユニットCbは、上下位置調節機構52により一方を上昇させる際には他方が下降するよう昇降する。上下位置調節機構52は、上下の回転軸52Sに備えたスプロケットに巻回する無端チェーン52Cと、回転軸52Sを駆動する位置調節モータ52Mとを備えている。このように、2つの収容ユニットCbの一方を上昇させる作動形態を採用することにより、重心位置が高くなる現象を回避して重量バランスを良好に維持することができる。
【0031】
上下位置調節機構52は、制御ユニットChからの制御信号に応じて、プリント用紙Pを収容空間Sに収容する際には、プリント用紙Pを収容すべき収容空間Sの高さを挿入ユニットCeによる挿入高さに設定し、プリント用紙Pを収容空間Sから排出する際には、排出すべきプリント用紙Pが収容されている収容空間Sの高さを排出ユニットCfによる排出高さに設定する。なお、収容ユニットCbや収容空間Sの高さはセンサ(図示せず)によって検知される。
【0032】
〔引渡装置:搬送ユニット〕
搬送ユニットCdは、搬送ケース55の内部に、画像プリント装置Caから送り出されたプリント用紙Pに圧着する駆動ローラ56と従動ローラ57と、プリント用紙Pを圧着搬送する複数の圧着型の搬送ローラ58とを備えている。
【0033】
この搬送ユニットCdでは、画像プリント装置Caから送り出されたプリント用紙Pを駆動ローラ56と従動ローラ57とで圧着して搬送を行い、そのプリント用紙Pの後端が駆動ローラ56と従動ローラ57との圧着部位に達すると回転を停止して、駆動ローラ56の駆動軸芯周りで90度回転させることで、プリント用紙Pの後端を上方に向かう姿勢に切り換えた後、駆動ローラ56を逆回転させることによりプリント用紙Pを搬送ローラ58に受け渡し、この搬送ローラ58の搬送により後端側から上方に送り出す作動を行う。
【0034】
図面には示していないが、この搬送ユニットCdでは、駆動ローラ56と複数の搬送ローラ58とを駆動するモータを備え、プリント用紙Pの位置を検出するセンサを備えている。また、前述したように駆動ローラ56の部位で反転させてプリント用紙Pを搬送することにより、この搬送ユニットCdは、搬送終端位置からプリント面を上側にしてプリント用紙Pを搬出する。
【0035】
〔引渡装置:挿入ユニット〕
挿入ユニットCeは、搬送ユニットCdから送り出されたプリント用紙Pを積層状態で受け止めて上方に持ち上げるシフト部60と、持ち上げられたプリント用紙Pを収容ユニットCbに挿入する4つの挿入部80とにより構成されている。
【0036】
シフト部60は、本体部30の左右の内壁に縦長姿勢の一対の縦レール61と、この一対の縦レール61によって両端が案内される状態で昇降作動する横フレーム62と、横フレーム62を昇降作動させる昇降駆動機構63とを備えている。また、シフト部60は、横フレーム62の上面において横方向に移動自在に備えられた左ガイドレール64、左ガイドレール64と平行姿勢で横方向に移動自在に備えられた右ガイドレール65、左ガイドレール64を横方向に作動させる左作動機構66、右ガイドレール65を横方向に作動させる右作動機構67を備えている。
【0037】
昇降駆動機構63は、昇降モータ63Mと、昇降モータ63Mで駆動される無端ベルト型の昇降ベルト63Bとを有している。また、左作動機構66は、左作動モータ66Mと、左作動モータ66Mで駆動される無端ベルト型の左ベルト66Bとを備え、右作動機構67は左作動機構66と同様に、右作動モータ67Mと、この右作動モータ67Mで駆動される無端ベルト型の右ベルト67Bとを備えている。なお、これらの位置を検知する位置センサ(図示せず)が備えられている。
【0038】
また、シフト部60は、左ガイドレール64と右ガイドレール65とにより受け止めるプリント用紙Pの位置を決めるように板状の固定ストッパー71と、固定ストッパー71と対向する位置に配置された板状の可変ストッパー72とを備えている。固定ストッパー71と可変ストッパー72とはスライドプレート38の上面に備えられた支持フレーム73により支持されている。
【0039】
固定ストッパー71は、搬送ユニットCdから送り出されるプリント用紙Pの搬送上流側の位置を決める位置に固定され、可変ストッパー72は、プリント用紙Pのサイズに対応して搬送ユニットCdから送り出されたプリント用紙Pの搬送方向下流側の位置を決めるように位置調節自在に備えられている。そのため、シフト部60は、可変ストッパー72の位置を調整する配置調整機構74を備えている。位置調整機構74は、位置調整モータ74Mと、位置調整モータ74Mで駆動される無端ベルト型の位置調整ベルト74Bとを有している。
【0040】
上述したように、収容空間Sは2つの収容ユニットCbに対して合計4列に形成されているため、収容空間Sの列数と同じ数、すなわち4つの挿入部80が備えられている。挿入部80は、シフト部60で上方に持ち上げられたプリント用紙Pに押圧する押圧片81と、挿入モータ83と、この挿入モータ83で駆動される無端ベルト型の挿入ベルト84とを備え、この挿入ベルト84に対して押圧片81が連結している。
【0041】
この挿入ユニットCeでプリント用紙Pを収容空間Sに挿入する際には、スライドプレート38を、固定ストッパー71と可変ストッパー72とを搬送ユニットCdからプリント用紙Pが搬出される位置にスライド配置する。一方、位置調整機構74の制御により、固定ストッパー71と可変ストッパー72との間隔をプリント用紙Pの長さ(搬送方向での寸法)に対応した値に設定される。また、左作動機構66と右作動機構67との制御により、プリント用紙Pの幅(搬送方向と直交する方向での寸法)に対応した値に左ガイドレール64と右ガイドレール65と間隔が設定される。さらに、昇降駆動機構63の駆動により、横フレーム62と一体的に左ガイドレール64と右ガイドレール65とを搬送ユニットCdから搬出されるプリント用紙Pを受け止める高さに配置する。
【0042】
これにより、搬送ユニットCdから送り出されるプリント用紙Pを、固定ストッパー71と可変ストッパー72とで長さ方向での位置を規制し、左ガイドレール64と右ガイドレール65とにより幅方向で位置を規制するとともに、積層する状態で受け止める。受け止めたプリント用紙Pが設定枚数に達すると、昇降駆動機構63の制御により、横フレーム62と一体的に左ガイドレール64と右ガイドレール65とを上昇させる。この上昇時に、左作動機構66と右作動機構67との制御により、左ガイドレール64と右ガイドレール65とを挿入目標となる収容空間Sが存在する列まで横方向に移動させる。
【0043】
横フレーム62の上昇作動時には、上下位置調節機構52の制御により、収容ユニットCbの挿入目標とする収容空間Sを挿入部80によりプリント用紙Pを挿入可能な高さに設定する。この状態で、横フレーム62が挿入部80で挿入可能な高さに達すると、挿入モータ83の制御により押圧片81を前方に作動させ、この押圧片81で積層状態のプリント用紙Pを押圧し、挿入目標とする収容空間Sに収容する。
【0044】
〔引渡装置:排出ユニット〕
排出ユニットCf(本発明の画像プリント送出部の例)も、収容空間Sの列数と同じ数、すなわち4つのものが備えられており、各排出ユニットCfは収容空間Sの各列に対応している。排出ユニットCfは、収容空間Sに収容されているプリント用紙Pに接触する接当板90と、これに連接されたアーム体91と、排出モータ93と、この排出モータ93で駆動される無端ベルト型の排出ベルト94とを備え、この排出ベルト94に対してアーム体91が連結している。
【0045】
排出ユニットCfでプリント用紙Pを排出する際には、上下位置調節機構52の制御により収容ユニットCbを昇降させることで、排出すべきプリント用紙Pが収容された収容空間Sを排出ユニットCfで排出可能な高さに設定する。この状態で排出すべきプリント用紙Pが収容された列の排出モータ93を制御することにより、接当板90を前方に作動させ、この接当板90でプリント用紙Pを排出口34から送り出す。上述したように、各排出口34にはシャッターユニット37が備えられているため、プリント用紙Pの排出時には、プリント用紙Pが排出される排出口34に対応するシャッターユニット37の電動モータ(図示せず)を駆動し、そのシャッターユニット37を開放作動させる。これにより、顧客は排出口34から排出されるプリント用紙Pを引き出すことができる。そのため、プリント用紙Pの送り出し量は、プリント用紙Pは長さ方向で顧客が握って引き出せる程度であれば十分である。
【0046】
〔引渡装置:ストッカー〕
ストッカーCgは、いわゆるLサイズや比較的多量にプリントされる頻度が高いサイズのプリント用紙を積層状態で蓄積するために使用される。本実施形態では、2つのストッカーCgが備えられており、それぞれ異なるサイズのプリント用紙Pに対応している。当然ながら、ストッカーCgの数や対応するプリント用紙Pのサイズは適宜変更可能である。
【0047】
ストッカーCgは、上方に開放した矩形の枠体96を有し、この枠体96の内部には上方に向けてバネ付勢されたボトムプレート97が備えられている。上述したように、2つのストッカーCgはスライドプレート38に支持されている。スライドプレート38は、スライド駆動機構98によりスライド作動可能になっている。スライド駆動機構98は、スライド駆動モータ98Mと、このスライド駆動モータ98Mの駆動力によって作動する無端ベルト型のスライドベルト98Bとで構成されている。
【0048】
ストッカーCgにプリント用紙Pを収容する際には、スライドプレート38をスライドさせることにより、収容するプリント用紙Pに対応したサイズのストッカーCgを、搬送ユニットCdから送り出されるプリント用紙Pを受け止める位置に配置する。これにより、ストッカーCg上にプリントされたプリント用紙Pが排出され、プリント用紙Pの重量によりバネの付勢力に抗してボトムプレート97が下降することにより、プリント用紙Pが積層状態で収容される。
【0049】
この引渡装置Cでは、ストッカーCgに対して数百枚を超えるプリント用紙Pの収容が可能であり、ストッカーCgへの収容を行った場合には、オペレータが適宜ドア部31を開放し、ストッカーCgに収容したプリント用紙Pを人為的に取り出し、DP袋等に保存し手渡しラック(図示せず)に対して人為的に保管することになる。特に、ストッカーCgにプリント用紙Pを収容する際に、1つのオーダのプリント用紙Pだけでなく複数のオーダのプリント用紙Pを収容することも可能であり、このように複数のオーダのプリント用紙Pを収容する場合には、オーダの区切りを明らかにするためにオーダの特定が可能な情報をプリント用紙Pにプリントし、プリント用紙Pの最後に付加する制御も行われる。
【0050】
〔引渡装置:引渡装置情報取得部〕
制御ユニットChには、ソフトウェアにより引渡装置情報取得部99が構成されている。引渡装置情報取得部99は、バーコードリーダ35によりオーダ特定情報が読取られた際に、そのオーダ特定情報を制御装置Eの引渡装置特定部102に送信し、そのオーダ特定情報により特定されるオーダの画像プリントが収容されている引渡装置Cの情報を取得する。
【0051】
〔制御装置〕
制御装置Eは、汎用コンピュータから構成されており、その内部にCPUを中核として、収容情報管理部101、引渡装置特定部102、および画像プリント装置決定部103が備えられている。収容情報管理部101は、画像プリント装置Caにより作成された画像プリントが引渡装置Cに収容された際に、作成された画像プリントのオーダ特定情報とその画像プリントが収容された引渡装置Cを特定する引渡装置特定情報とを関連付けて収容情報として収容情報テーブルに記憶管理する。一方、画像プリントが引渡装置Cから顧客に引渡された際には、その画像プリントのオーダ特定情報とその引渡装置Cの引渡装置特定情報とが収容情報テーブルから削除される。なお、本実施形態においては、引渡装置特定情報は各引渡装置Cに付された一意の数字を用いる。
【0052】
引渡装置特定部102は、引渡装置Cの引渡装置情報取得部99から送信されたオーダ特定情報に係る画像プリントを収容している引渡装置Cを収容情報テーブルに基づいて特定するとともに、特定した引渡装置C(以下、案内対象引渡装置Cと称する)の引渡装置特定情報を引渡装置情報取得部99に返す。
【0053】
画像プリント装置決定部103は、受け付けたオーダの内容や各画像プリント装置Caおよび引渡装置Cの状態に基づき、そのオーダの画像プリントを作成する画像プリント装置Caを決定する。
【0054】
〔受付処理の流れ〕
以下に、図8のフローチャートおよび図9のデータフローを用いて、画像プリント引渡システムにおける画像プリントのオーダの受付処理の流れを説明する。未使用時の受付ユニットAUのディスプレイ7には初期画面が表示されているため、画像プリントを注文したい顧客は、タッチパネル6を操作し、受付ユニットAUを画像データの入力可能状態に移行させる。その後、顧客は画像プリントを行うための画像データが記録されている媒体(USBメモリ,CD−R,携帯電話等。画像データ記憶媒体と総称する)を受付ユニットAUの対応するドライブ(半導体ドライブ2,ディスクドライブ3)やコネクタ5に装着する。
【0055】
画像データ記憶媒体の装着が完了すると、受付部8Aは画像データを読み込み、本体1のメモリ(図示せず)に一時記憶する(#01)。このとき、受付部8Aは、各画像データに対して、各画像データを識別するための画像IDを付与する。受付部8Aは、画像データの取得が完了すると、注文内容を入力するためのオーダ入力画面に移行する。オーダ入力画面は受付部8Aにより生成され、ディスプレイ7に表示される。
【0056】
顧客はディスプレイ7に表示されたオーダ入力画面に対してタッチパネル6を操作し、注文内容を入力する(#02)。注文内容の入力は、一般的に用いられているプレジャッジ画面を通じて行われる。本実施形態では、注文内容として各画像データに対する、画像プリントの枚数,プリントサイズ,補正値を用いる。なお、プレジャッジ画面に表示されるサムネイル画像は、受け付けた画像データがExif(Exchangeable image file format)等のサムネイル画像データを含む場合には、そのサムネイル画像データを用い、画像データがサムネイル画像データを含まない場合には画像データから生成したサムネイル画像データを用いる。
【0057】
顧客が注文内容を確定すると、受付部8Aは注文内容を表す注文内容データを生成し、メモリに一時記憶する(#03)。また、受付部8Aは、受け付けたオーダを特定するためのオーダ特定情報を生成する。このオーダ特定情報はオーダに係る画像データと注文内容データに付与される。したがって、注文内容データは{オーダ特定情報,画像ID,プリントサイズ,プリント数,補正値}を要素として有するレコードの集合となる。
【0058】
注文が確定すると、受付部8Aは画像プリントの料金を計算するとともに、その料金をディスプレイ7に表示し、顧客に支払いを促す。受付部8Aは、料金受領ユニットADを監視し、顧客の料金支払いの完了を確認する(#04)。
【0059】
料金の支払いが完了すると(#04のYes分岐)、受付部8Aからデータ通信部8Cにオーダ特定情報が通知される(#05)。
【0060】
オーダ特定情報を取得したデータ通信部8Cは、オーダ特定情報に対応する注文内容データをメモリから取得し、画像プリント装置決定部103に送信する(#06)。
【0061】
注文内容情報等を取得した画像プリント装置決定部103は、注文内容情報と各画像プリント装置Caの状態とに基づき、画像プリントを作成する画像プリント装置Caを決定する(#07)。このとき、決定された画像プリント装置Caに対応する引渡装置Cと、オーダ特定情報とが収容情報テーブルに登録される。例えば、各画像プリント装置Caに装填されている画像プリントのためのプリント用紙Pのサイズが異なっている場合には、注文内容データの画像プリントサイズのプリント用紙Pが装填されている画像プリント装置Caが選択される。当然ながら、注文内容データに複数の画像プリントサイズが含まれており、一の画像プリント装置Caでそれらのプリントサイズをプリントできない場合には、複数の画像プリント装置Caが選択されることとなる。なお、注文されたプリントサイズに対応するプリント用紙Pが装填されている画像プリント装置Caが複数ある場合には、その画像プリント装置Caが接続(収納)されている引渡装置Cの収容ユニットCbの空き状態を考慮して、画像プリント装置Caを決定しても構わない。この場合には、各引渡装置Cの収容ユニットCbの状態を把握するために、画像プリント決定装置103は各引渡装置Cの制御ユニットChに対して問い合わせを行う。
【0062】
また、本実施形態のように画像プリント装置Caと引渡装置Cとが一体に構成されている場合や、画像プリント装置Caと引渡装置Cとが接続されている場合には、引渡装置Cの状態に応じて、画像プリント装置Caを決定しても構わない。例えば、各引渡装置Cの収容ユニットCbに収容可能な画像プリントのサイズが異なっている場合には、画像プリントのサイズと引渡装置Cに収容可能な画像プリントのサイズとに応じて引渡装置Cが決定され、それに応じて画像プリント装置Caが決定される。また、さらに引渡装置Cの収容ユニットCbの空き状態を考慮することもできる。
【0063】
このようにして、画像プリントを作成する画像プリント装置Caが決定されると、画像プリント装置決定部103は、取得した注文内容データから画像プリント装置Ca毎の注文内容データ(以下、個別注文内容データと称する)を生成する(#08)。例えば、注文内容データにLと2Lのプリントサイズの注文が含まれており、第1画像プリント装置Ca1にはL、第2画像プリント装置Ca2には2Lのプリント用紙が装填されているとすると、注文内容データからプリントサイズがLであるレコードが抽出され、第1画像プリント装置Ca1用の個別注文内容データとされる。一方、注文内容データから抽出されたプリントサイズが2Lであるレコードは、第2画像プリント装置Ca2用の個別注文内容データとされる。この個別注文内容データには、対応する画像プリント装置Caの識別番号が付加され、データ通信部8Cに返送される(#09)。なお、決定された画像プリント装置Caが一のときは、取得した注文内容データ自体が個別注文内容データとなるため、#08の処理はスキップすることができる。このときは、その旨のみをデータ通信部8Cに返送し、個別注文内容データの送信を行わない構成とすることもできる。
【0064】
個別注文内容データを取得したデータ通信部8Cは、個別注文内容データを受付証作成部8Bに送信する(#10)。個別注文内容データを取得した受付証作成部8Bは、取得した個別注文内容データに基づいて受付証Rのプリントデータを作成し、受付証画像プリント装置4によりプリントアウトする(#11)。図10は、本実施例における受付証Rの例である。この例では、画像プリントを受け取るべき引渡装置Cが複数記載されている。顧客は、このオーダ特定情報を表すバーコードを引渡装置Cのバーコードリーダ35に読取らせることにより、注文した画像プリントを受け取ることができる。
【0065】
また、データ通信部8Cは、取得した注文内容データに基づき、画像処理装置Bに送信すべき画像データとその補正値を特定する。このとき、個別注文内容データに基づき、各画像データをプリントする画像プリント装置Caを特定できるため、各画像データに対して、その画像プリント装置Caの識別情報を付加する。すなわち、各画像データは、補正値と、その画像データをプリントすべき画像プリント装置Caの識別情報とが付加されたデータ形式となる。このような画像データがオーダ特定情報とともに、画像処理装置Bに送信される(#12)。
【0066】
画像データと補正値とオーダ特定情報を取得した各画像処理装置Bでは、画像処理部20が取得した画像データに対して所定の画像処理および取得した補正値による色補正処理を施し、画像プリントのための画像プリントデータを作成する。作成された画像プリントデータは対応する画像プリント装置Caのプリント制御ユニット47に送信される(#13)。
【0067】
また、データ通信部8Cは、画像処理装置Bにデータを送信する際に、個別注文内容データを対応する画像プリント装置Caのプリント制御ユニット47に送信する(#14)。
【0068】
各プリント制御ユニット47は、画像処理装置Bから画像プリントデータを受信すると、個別注文内容データに基づき画像プリントを作成する(#15)。
【0069】
このようにして作成された画像プリントは、搬送ユニットCdを介して挿入ユニットCeのシフト部60上にオーダ単位で積層された後、挿入部80により収容空間Sに挿入される。このとき、画像プリントを収容する収容空間Sは、制御ユニットChにより決定され、制御ユニットChは、オーダ特定情報とそのオーダ特定情報の画像プリントが収容された収容空間Sの位置とを記憶しておく。
【0070】
〔引渡処理の流れ〕
以下に、図11のフローチャートおよび図12のデータフローを用いて、本発明の画像プリント引渡システムの画像プリントの引渡処理の流れを説明する。まず、顧客はいずれかの引渡装置Cのバーコードリーダ35に受付証Rのバーコードをかざすことにより、受付証Rにプリントされたオーダ特定情報を表すバーコードが読み取られ、オーダ特定情報が取得される(#21)。取得されたオーダ特定情報は、引渡装置情報取得部99に送られる。なお、以下の説明では、顧客が認証を行った引渡装置Cを認証引渡装置Cと称する。また、第1引渡装置C1,第2引渡装置C2および第3引渡装置C3の引渡装置特定情報をそれぞれ1,2,3とする。
【0071】
オーダ特定情報を取得した引渡装置情報取得部99は、取得したオーダ特定情報を制御装置Eの引渡装置特定部102に送信し、そのオーダ特定情報に係る画像プリントが収容されている引渡装置Cの引渡装置特定情報を問い合わせる(#22)。
【0072】
オーダ特定情報を取得した引渡装置特定部102は、収容情報テーブルに基づきオーダ情報に係る画像プリントが収容されている引渡装置Cを特定する(#23)。上述のように、収容情報テーブルには、オーダ特定情報と引渡装置特定情報とが関連付けられて登録されているため、オーダ特定情報をキーとして収容情報テーブルを検索すると、その検索結果として案内対象引渡装置Cの引渡装置特定情報が得られる。例えば、収容情報テーブルが図13の内容であるときに、オーダ特定情報「0002」に対する問い合わせがあった場合には、引渡装置特定情報{1,2,3}が得られる。このようにして特定された案内対象引渡装置Cの引渡装置特定情報は、引渡装置特定部102から認証引渡装置Cの引渡装置情報取得部99に送信される(#24)。
【0073】
取得された引渡装置特定情報は、引渡装置情報取得部99から制御ユニットChに通知され、制御ユニットChでは、取得した引渡装置特定情報に自身の引渡装置特定情報が含まれているか否かを判定する(#25)。取得した引渡装置特定情報に自身の引渡情報特定情報が含まれていれば(#25のYes分岐)、制御ユニットChは、引渡処理を実行する(#26)。このとき、制御ユニットChはオーダ特定情報の画像プリントが収容されている収容空間Sを特定し、排出ユニットCfを制御することにより、特定した収容空間Sから画像プリントを排出する。
【0074】
引渡処理が実行されると、認証引渡装置Cの制御ユニットChから制御装置Eの収容情報管理部101にその旨と自身の引渡装置特定情報と引渡しを実行した画像プリントのオーダ特定情報とが通知される(#27)。
【0075】
認証引渡装置Cからの通知を受けた収容情報管理部101は、取得したオーダ特定情報と引渡装置特定情報との組を収容情報テーブルから削除する(#28)。
【0076】
また、認証引渡装置Cの制御ユニットChは、取得した引渡装置特定情報に基づき、顧客から取得したオーダ特定情報に係る画像プリントが他の引渡装置Cに収容されているか否かを判定する(#29)。具体的には、取得した引渡装置特定情報に自身以外の引渡装置Cの引渡装置特定情報が含まれているか否かを判定する。制御ユニットChは、他の引渡装置Cの引渡装置特定情報が含まれていれば、顧客に対してその引渡装置Cに画像プリントが収容されている旨や所在等をモニタ33やスピーカ36を介して顧客に通知する(#30)。例えば、認証引渡装置Cのモニタ33に、「お客様の画像プリントはNo1およびNo3の引渡装置にもございます」等の表示がなされる。顧客は、この通知により他の引渡装置Cに受け取るべき画像プリントが収容されていることを知ることができ、通知された引渡装置Cにおいて受付証Rによる認証を行うと、上記処理により、その引渡装置Cに収容された画像プリントを受け取ることができる。なお、顧客に対して案内対象引渡装置Cを通知する際に、複数の案内対象引渡装置Cがあっても全ての案内対象引渡装置Cを通知する必要はなく、一の案内対象引渡装置Cを通知すれば、各々の引渡装置Cにおいて順次案内対象引渡装置Cが通知されるため、顧客は画像プリントが収容されている全ての引渡装置Cから画像プリントを受け取ることができる。
【0077】
一方、全ての画像プリントの引渡しが完了していれば、その旨を顧客に通知する(#31)。
【0078】
このように、本発明の画像プリント引渡システムでは、一のオーダに係る画像プリントが複数の引渡装置Cに収容されている場合でも、各々の引渡装置Cにおいて、受け取るべき画像プリントが収容されている引渡装置Cが案内されるため、的確に画像プリントの取り忘れを防止することができる。また、顧客が認証を行った引渡装置Cに、そのオーダに係る画像プリントが収容されていない場合でも、その引渡装置Cにおいて正しい引渡装置Cが案内されるため、的確に画像プリントの取り忘れを防止することができる。
【0079】
〔案内対象引渡装置の優先順位付け処理〕
案内対象引渡装置Cが複数ある場合には、優先順位を付けて顧客に通知することが望ましい場合がある。例えば、複数の引渡装置Cが図1のように互いに隣接して設置されておらず、互いに離間して設置されている場合に、顧客が引渡装置C間を移動する距離が最小となるように誘導すると、顧客の利便性の向上に繋がる。また、複数の引渡装置Cに異なる長さの待ち行列が生じるような場合には、待ち行列が短い、すなわち待ち時間が短い引渡装置Cを優先して案内することも顧客の利便性向上に繋がる。
【0080】
(1)顧客の移動距離の最適化
上述したように、顧客の移動距離の最小化することを制約条件として案内対象引渡装置Cの優先順位を決定することができる。これは、顧客の移動距離の最適化の一例であり、顧客の移動距離を最小化することのみが移動距離の最適化ではなく、他の制約条件を入れて移動距離を最適化しても構わない。
【0081】
移動距離を最適化するためには、引渡装置特定部102は各引渡装置C間の距離(直線距離ではなく、顧客が実際に移動する経路に沿った距離が望ましい)を記憶しており、認証引渡装置Cを起点として、全ての案内対象引渡装置Cを巡る経路を最小化することにより、優先順位を付ける。移動経路の最小化の方法は、巡回セールスマン問題として知られており、様々な解法が提案されているため、それらの解法により実現することができる。
【0082】
(2)引渡に要する時間の最適化
また、上述したように、顧客が全ての画像プリントを受け取るのに要する時間の最小化を制約条件として案内対象引渡装置Cの優先順位を決定することができる。これは、画像プリントの引渡しに要する引渡時間の最適化の一例であり、他の制約条件を入れて引渡時間を最適化しても構わない。
【0083】
引渡時間を最適化は、例えば、各々の案内対象引渡装置Cに生じている待ち行列の状態を取得し、待ち行列の短い案内対象引渡装置Cの優先順位を上位に設定することにより可能である。
【0084】
〔別実施形態〕
(1)上述の実施形態では、引渡装置Cと制御装置Eとを別体としたが、制御装置Eの各機能部を受付装置A,画像処理装置B,いずれかの引渡装置Cに備える構成としても構わない。この場合には、制御装置Eの機能部を備えた装置が制御装置として機能することとなる。
【0085】
(2)上述の実施形態では、画像プリントが2以上の引渡装置Cに収容されている場合に、顧客が一の引渡装置Cで画像プリントを受け取った際に、その一の引渡装置Cで次の引渡装置Cを案内し、顧客が次の引渡装置Cで認証を行った際には、次の引渡装置Cから制御装置Eに案内対象引渡装置Cの問い合わせを行う構成であったが、他の構成とすることもできる。例えば、一の引渡装置Cにおいて画像プリントの引渡しが完了すると、一の引渡装置Cから次の案内対象引渡装置Cに引渡装置特定情報を送信する構成とすることもできる。この構成では、各引渡装置Cから制御装置Eへの問い合わせの重複を回避することができる。
【0086】
(3)上述の実施形態では、引渡装置特定部102は、特定した全ての案内対象引渡装置Cの引渡装置特定情報を返送する構成としたが、少なくとも認証引渡装置Cが案内対象引渡装置であるか否かの情報と、認証引渡装置C以外の1の引渡装置Cの引渡装置特定情報を送信すればよい。これらの情報があれば、認証引渡装置Cにおいて、顧客が次に行くべき引渡装置Cを通知することができる。例えば、第2引渡装置C2(認証引渡装置C)からオーダ特定情報「0001」に対する問い合わせがあった場合には、引渡装置特定情報{1,3}が得られる。このとき、引渡装置特定部102は、第2引渡装置C2が案内対象引渡装置でない旨、および引渡装置特定情報「1」(または「3」)を返送する。これにより、第2引渡装置C2では、顧客に対して第1引渡装置C1(または第3引渡装置C3)を案内することができる。一方、第2引渡装置C2からオーダ特定情報「0002」に対する問い合わせがあった場合には、引渡装置特定部102は、第2引渡装置C2が案内対象引渡装置である旨、および引渡装置特定情報「1」(または「3」)を返送する。
【0087】
(4)上述の実施形態では、画像プリント装置決定部103は、注文内容情報と各画像プリント装置の状態とによって画像プリントを作成する画像プリント装置Caを決定したが、他の条件に基づいて画像プリント装置Caを決定しても構わない。例えば、画像プリントが可能な限り一の引渡装置Cに収容されるように画像プリント装置Caを決定すれば顧客の利便性を向上させることができる。また、同じ顧客が複数のオーダを行った場合でも、画像プリントが収容される引渡装置Cが可能な限り少なくなるように画像プリント装置Caを決定すると好適である。この場合には、オーダの受付時に顧客を認証し、画像プリントを収容する際に、オーダ特定情報と顧客を特定可能な情報とを画像プリントの収容位置と関連付けておくことで実現することができる。
【0088】
顧客の利便性だけでなく、店舗の運営側の観点から画像プリント装置Caを決定することもできる。例えば、各店舗における画像プリントの注文内容の傾向(各画像プリント装置Caの稼働率、画像プリントの注文傾向等)に基づいて画像プリント装置Caを決定すると、各画像プリント装置Ca等のメンテナンスのタイミングを揃えることによる省力化や、各引渡装置Cおよび画像プリント装置Caの効率的な運用が可能となるため、好ましい。また、画像プリント作成中に一の画像プリント装置Caでエラーが発生した場合に、他の画像プリント装置Caでその画像プリントを作成可能である場合には、その他の画像プリント装置Caに画像プリントの作成を代替させるよう制御することも、メンテナンスの省力化の点から好ましい。なお、画像プリント装置Caに装填されている複数サイズのプリント用紙Pのうち、一部のサイズのプリント用紙Pがなくなった際に、その画像プリント装置Caでプリント可能なサイズ(なくなっていないプリント用紙Pで作成可能なサイズ)の画像プリントを含むオーダがあれば、そのオーダを先にプリントするよう、オーダの順序を変更するよう制御することも、メンテナンスを省力化できるため好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、画像プリントを収容する収容ユニットを有する複数の引渡装置を備えた画像プリント引渡システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0090】
C:引渡装置
Cb:収容ユニット
Cf:排出ユニット(画像プリント送出部)
Ch:制御ユニット
33:モニタ(通知部)
35:バーコードリーダ(オーダ特定情報取得部)
36:スピーカ(通知部)
99:引渡装置情報取得部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像プリントをオーダ単位で収容する収容ユニットを有する複数の引渡装置と、制御装置とを備えた画像プリント引渡システムであって、
前記制御装置は、
画像プリントのオーダを特定するオーダ特定情報と当該オーダに係る画像プリントが収容されている前記引渡装置との関係を収容情報として管理する収容情報管理部と、
前記オーダ特定情報と前記収容情報とに基づき、当該オーダ特定情報に係る前記画像プリントが収容されている前記引渡装置である案内対象引渡装置を特定する引渡装置特定部と、を備え、
前記引渡装置は、
前記オーダ特定情報を取得するオーダ特定情報取得部と、
前記取得したオーダ特定情報に関連付けられた画像プリントを前記収容ユニットから送出する画像プリント送出部と、
前記オーダ特定情報が取得された際に、前記引渡装置特定部により特定された当該オーダ特定情報に係る前記案内対象引渡装置の情報を取得する引渡装置情報取得部と、
前記オーダ特定情報を取得した前記引渡装置以外の前記案内対象引渡装置の情報を顧客に通知する通知部と、を備えたことを特徴とする画像プリント引渡システム。
【請求項2】
前記引渡装置特定部は、一の前記オーダ特定情報に係る前記案内対象引渡装置が複数ある場合に、当該案内対象引渡装置に優先順位を付け、
前記通知部は、前記優先順位に基づき前記案内対象引渡装置の情報を通知することを特徴とする請求項1記載の画像プリント引渡システム。
【請求項3】
前記引渡装置特定部は、前記案内対象引渡装置の設置場所に関する設置情報に基づき、前記一のオーダ特定情報に係る前記画像プリントを引渡す顧客の移動経路を最適化することにより前記優先順位を決定することを特徴とする請求項2記載の画像プリント引渡システム。
【請求項4】
前記引渡装置特定部は、前記一のオーダ特定情報に係る前記画像プリントの引渡しに要する引渡時間を最適化することにより前記優先順位を決定することを特徴とする請求項2記載の画像プリント引渡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−287940(P2010−287940A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138095(P2009−138095)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】