説明

画像中のターゲット抽出方法

【目的】 テレビカメラで撮影した画像中からターゲットを確実容易に抽出することができる画像中のターゲット抽出方法を提供する。
【構成】 閃光装置で所定周期毎に閃光11を発し、その周期の半分の周期毎にテレビカメラで、閃光装置とその周辺領域を撮影し、テレビカメラにより連続して撮影された、閃光装置が発した閃光11が写された画像31と、閃光装置が発した閃光11が写されていない画像33との間で、各画素情報の差分演算を行うことで、画像31中に写された閃光11を抽出するようにした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、テレビカメラで撮影された画像中のターゲットを抽出する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】テレビカメラで撮影された画像中から特定の物体(以下、ターゲットと称する)を抽出する場合に、従来は、色、コントラスト、形状等、ターゲットの特徴に基づいて画像を画像処理していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、画像中のターゲットをその色やコントラスト等の特徴から抽出する従来方式では、ターゲットの色やターゲットと背景とのコントラスト差等に応じて、画像を構成する画素に対しRGB値や輝度値の閾値を設定しなければならないため、閾値の値を決定するまでに種々の調整が必要となりその作業が煩雑となる不具合があると共に、閾値の値が適切でないとターゲットを確実に抽出できなくなる不具合があった。
【0004】また、画像中のターゲットを形状で特定して抽出する従来方式では、ターゲットとテレビカメラのいずれか一方或はその両方が移動する場合、テレビカメラとターゲットの位置関係によってターゲットの撮影方向が変わり、それに伴い画像中のターゲットの形状が変わるため、ターゲットを所定の方向から撮影した画像でないと確実にターゲットを抽出することができない場合があるという不具合があった。
【0005】本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、画像中からターゲットを確実容易に抽出することができる画像中のターゲット抽出方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために本発明は、ターゲットとその背景とをテレビカメラで撮影した画像中から前記ターゲットを抽出するに際し、前記テレビカメラの撮影領域内で前記ターゲットを繰り返し交互に露出、隠蔽させ、前記ターゲットの露出時に前記テレビカメラで撮影した画像の各画素情報と、前記ターゲットの隠蔽時に前記テレビカメラで撮影した画像の各画素情報との間で差分演算を行うことで、該ターゲットの露出時に撮影した前記画像中のターゲットを抽出するようにしたことを特徴とする。
【0007】また、本発明は、前記ターゲットの露出及び隠蔽の周期に同期して前記テレビカメラが間欠的に撮影を行うようにした。さらに、本発明は、間欠発光手段から所定周期毎に出力される光を前記ターゲットとして用いるようにした。また、本発明は、前記間欠発光手段の発光周期に同期し、該発光周期の半分の周期で前記テレビカメラが間欠的に撮影を行うようにした。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明による画像中のターゲット抽出方法の一実施形態を示す説明図であり、図1において1は閃光装置(間欠発光装置に相当)、3はテレビカメラ、5は画像処理用コンピュータである。
【0009】閃光装置1は、ターゲットとして用いる白色の閃光(図示せず)を発するもので、この閃光は図2の上段に示すように一定の周期毎に発っせられる。テレビカメラ3は閃光装置1に向けて配設されており、図2の下段に示すように、閃光装置1が閃光を発する周期に同期して、その半分の周期毎に、閃光装置1とその周辺領域を間欠的に撮影する。
【0010】従って、図2中Aで示すタイミングでは、閃光を発している状態の閃光装置1とその周辺領域がテレビカメラ3で撮影され、タイミングAに続く図2中Bで示すタイミングでは、閃光を発していない状態の閃光装置1とその周辺領域がテレビカメラ3で撮影される。そして、以後は、閃光を発している状態の閃光装置1及びその周辺領域と、閃光を発していない状態の閃光装置1及びその周辺領域とが、交互に繰り返しテレビカメラ3で撮影される。
【0011】画像処理用コンピュータ5にはテレビカメラ3が接続されており、閃光装置1が閃光を発する周期の半分の周期毎に、テレビカメラ3で撮影した画像の画像信号が順次入力される。また、画像処理用コンピュータ5には図3に示すように、テレビカメラ3から入力された画像信号を保持する複数のビデオフレームメモリ51と、連続して入力され個別のビデオフレームメモリ51内に保持されたテレビカメラ3からの画像信号間で、各画素毎に差分演算を行う演算部53とが設けられている。
【0012】閃光装置1が図2の上段に示す周期で閃光を発し、その周期の半分の周期毎にテレビカメラ3が閃光装置1とその周辺領域を撮影すると、例えば図2中のタイミングAの時点で撮影された画像の画像信号が、画像処理用コンピュータ5のあるビデオフレームメモリ51内に保持され、次の、図2中のタイミングBの時点で撮影された画像の画像信号が、画像処理用コンピュータ5の次のビデオフレームメモリ51内に保持される。
【0013】画像処理用コンピュータ5の各ビデオフレームメモリ51内に保持された画像の内容は、図4に示すように、タイミングAの時点で撮影された画像31(ターゲットの露出時にテレビカメラで撮影した画像に相当)には閃光装置1が発した閃光11が写されており、タイミングBの時点で撮影された画像33(ターゲットの隠蔽時にテレビカメラで撮影した画像に相当)には閃光装置1が発した閃光11が写されていない。
【0014】これら2つの画像31、33の画像信号が画像処理用コンピュータ5に入力されてその各ビデオフレームメモリ51内に保持されると、画像処理用コンピュータ5の演算部53で、画像31の画像信号中の各画素の情報から画像33の画像信号中の各画素の情報を差し引く差分演算が行われ、その結果、図4に示す画像31中の閃光11の画素情報のみが抽出される。
【0015】このように、本実施例の画像中のターゲット抽出方法では、閃光装置1で所定周期毎に閃光11を発し、その周期の半分の周期毎にテレビカメラ3で、閃光装置1とその周辺領域を撮影し、テレビカメラ3により連続して撮影された、閃光装置1が発した閃光11が写された画像31と、閃光装置1が発した閃光11が写されていない画像33との間で、各画素情報の差分演算を行うことで、画像31中に写された閃光11を抽出するようにした。
【0016】このため、従来のように、ターゲットの色やターゲットと背景とのコントラスト差等に応じて、画像を構成する画素に対しRGB値や輝度値の閾値を設定する必要がなくなり、それに伴い、閾値の値を決定するための種々の煩雑な調整作業を不要とすることができ、画像中からのターゲットの抽出を容易に行うことができる。また、ターゲットが写された画像とターゲットが写されていない画像との間で差分演算を行うため、ターゲットが一定の方向から撮影されていなくても、その画像からターゲットを確実に抽出することができる。
【0017】尚、本実施例では、閃光装置1が一定の周期毎に発する閃光11をターゲットとして用いたが、本発明方法を実施するためのターゲットの構成は、本実施例で示したものに限定されない。例えば、等速で回転する回転円盤の一箇所に孔を設け、その回転円盤の背後に、回転円盤と異なる色に着色された着色板を配設し、回転円盤の一部をテレビカメラで撮影して、テレビカメラの撮影領域内に回転円盤の孔が入る周期毎に、その孔を通して背後の着色板がテレビカメラで撮影される構成とし、この回転円盤の孔を通してテレビカメラで撮影される着色板をターゲットとして用いてもよい。
【0018】また、本実施例では、閃光装置1が閃光11を発する周期に同期して、その半分の周期毎にテレビカメラ3が撮影を行うものとしたが、閃光11の発光中と閃光11の非発光中との画像を撮影することができれば、テレビカメラ3の撮影周期は実施例で示した周期に限定されない。さらに、本実施例では、画像処理用コンピュータ5が複数のビデオフレームメモリ51を備えているものとしたが、ビデオフレームメモリ51は最低2つあればよく、ビデオカメラ3から画像信号が入力される毎に、例えばシフトレジスタ等を用いて、入力された画像信号を1段目のビデオフレームメモリ51に保持させ、それまで1段目のビデオフレームメモリ51に保持されていた画像信号を2段目のビデオフレームメモリ51に転送するようにしてもよい。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ターゲットとその背景とをテレビカメラで撮影した画像中から前記ターゲットを抽出するに際し、前記テレビカメラの撮影領域内で前記ターゲットを繰り返し交互に露出、隠蔽させ、前記ターゲットの露出時に前記テレビカメラで撮影した画像の各画素情報と、前記ターゲットの隠蔽時に前記テレビカメラで撮影した画像の各画素情報との間で差分演算を行うことで、該ターゲットの露出時に撮影した前記画像中のターゲットを抽出するようにしたので、画像中からターゲットを確実容易に抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による画像中のターゲット抽出方法の一実施形態を示す説明図である。
【図2】図1に示す閃光装置の発光周期とテレビカメラの撮影周期との関係を示す説明図である。
【図3】図1に示す画像処理用コンピュータの内部構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示すテレビカメラで撮影される画像とこれを用いて画像処理用コンピュータが行う差分演算の内容をと示す説明図である。
【符号の説明】
1 閃光装置(間欠発光装置)
11 閃光
3 テレビカメラ
31 画像(ターゲットの露出時にテレビカメラで撮影した画像)
33 画像(ターゲットの隠蔽時にテレビカメラで撮影した画像)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ターゲットとその背景とをテレビカメラで撮影した画像中から前記ターゲットを抽出するに際し、前記テレビカメラの撮影領域内で前記ターゲットを繰り返し交互に露出、隠蔽させ、前記ターゲットの露出時に前記テレビカメラで撮影した画像の各画素情報と、前記ターゲットの隠蔽時に前記テレビカメラで撮影した画像の各画素情報との間で差分演算を行うことで、該ターゲットの露出時に撮影した前記画像中のターゲットを抽出するようにした、ことを特徴とする画像中のターゲット抽出方法。
【請求項2】 前記ターゲットの露出及び隠蔽の周期に同期して前記テレビカメラが間欠的に撮影を行うようにした請求項1記載の画像中のターゲット抽出方法。
【請求項3】 間欠発光手段から所定周期毎に出力される光を前記ターゲットとして用いるようにした請求項1又は2記載の画像中のターゲット抽出方法。
【請求項4】 前記間欠発光手段の発光周期に同期し、該発光周期の半分の周期で前記テレビカメラが間欠的に撮影を行うようにした請求項3記載の画像中のターゲット抽出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開平6−241798
【公開日】平成6年(1994)9月2日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−54802
【出願日】平成5年(1993)2月19日
【出願人】(000112668)株式会社フジタ (20)