画像処理システム、画像処理プログラム
【課題】基準画像と比較画像との差異点をその見つけにくさに応じて適応的に強調した画像情報を生成することを目的とする。
【解決手段】画像処理システムであって、基準画像情報及び比較画像情報を取得する画像情報取得手段と、基準画像情報と比較画像情報の差分である差分画像情報を取得する差分画像情報取得手段と、前記基準画像の特徴量に応じて、該基準画像情報に含まれる各要素の属性情報とともに該各要素の位置情報を取得する要素取得手段と、前記差分画像情報に含まれる差分値を有する各差分画像部分の位置情報及び前記要素取得手段により抽出された前記各要素の位置情報に基づいて、前記各差分画像部分の属性を判定する属性判定手段と、前記属性判定手段により判定された各差分画像部分の属性と、前記差分画像部分に含まれる差分値に応じた値と、に応じた出力画像情報を生成する出力画像情報生成手段と、を有することを特徴とする。
【解決手段】画像処理システムであって、基準画像情報及び比較画像情報を取得する画像情報取得手段と、基準画像情報と比較画像情報の差分である差分画像情報を取得する差分画像情報取得手段と、前記基準画像の特徴量に応じて、該基準画像情報に含まれる各要素の属性情報とともに該各要素の位置情報を取得する要素取得手段と、前記差分画像情報に含まれる差分値を有する各差分画像部分の位置情報及び前記要素取得手段により抽出された前記各要素の位置情報に基づいて、前記各差分画像部分の属性を判定する属性判定手段と、前記属性判定手段により判定された各差分画像部分の属性と、前記差分画像部分に含まれる差分値に応じた値と、に応じた出力画像情報を生成する出力画像情報生成手段と、を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システム、画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
修正前の画像データと修正後の画像データにおける差異点を低解像度のモニタ等で目視にて認識するのは困難である点に鑑み、検出された差異点に相当する画素につき、その周辺画素についても差異点とする、太らせ処理を行った後、解像度を変換する画像データ検査装置が知られている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3597408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基準画像と比較画像との差異点をその見つけにくさに応じて適応的に強調した画像情報を生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の画像処理システムは、基準画像情報及び比較画像情報を取得する画像情報取得手段と、基準画像情報と比較画像情報の差分である差分画像情報を取得する差分画像情報取得手段と、前記基準画像の特徴量に応じて、該基準画像情報に含まれる各要素の属性情報とともに該各要素の位置情報を取得する要素取得手段と、前記差分画像情報に含まれる差分値を有する各差分画像部分の位置情報及び前記要素取得手段により抽出された前記各要素の位置情報に基づいて、前記各差分画像部分の属性を判定する属性判定手段と、前記属性判定手段により判定された各差分画像部分の属性と、前記差分画像部分に含まれる差分値に応じた値と、に応じた出力画像情報を生成する出力画像情報生成手段と、を有することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の画像処理システムは、請求項1記載の画像処理システムにおいて、前記画像処理システムは、更に、前記基準画像情報と前記比較画像情報が重なるように、少なくとも一方の画像情報の位置、角度、及び/またはサイズの補正処理を行う補正手段を有し、前記差分画像情報取得手段は、補正処理が行われた基準画像情報及び/または比較画像情報の差分に基づいて前記差分画像情報を取得することを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の画像処理システムは、請求項1または2記載の画像処理システムにおいて、前記各差分画像部分の属性は、文字の属性を示す属性、表中の文字の属性を示す表中の文字属性、線の属性を示す線属性、画像の属性を示す画像属性を含むことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の画像処理システムは、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理システムにおいて、前記出力画像生成手段は、前記各差分画像部分の属性及び該各差分画像部分が対応する前記各要素の位置情報に基づいて、前記差分画像部分に含まれる差分値に応じた値を取得する差分値取得手段と、前記差分値に応じた値が該属性毎に定められた閾値以上であるか否かを判定する判定手段と、を有し、前記出力画像情報は、更に、前記判定手段の判定結果に応じた画像情報であることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の画像処理システムは、請求項1乃至4のいずれかに記載の画像処理システムにおいて、前記出力画像生成手段は、前記差分画像部分が表中の文字属性であって、かつ、前記差分画像部分の前記表中の文字属性についてあらかじめ定めた閾値以上であると判定された場合には、前記基準画像情報及び前記比較画像情報で表され、前記差分画像部分を含む表全体を識別表示する画像を表す出力画像情報を生成することを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の画像処理システムは、請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理システムにおいて、前記出力画像生成手段は、前記差分画像部分が表中の文字属性であって、かつ、前記差分画像部分の前記表中の文字属性の閾値より小さいと判定された場合には、前記差分画像部分のうち、前記差分画像部分が対応する表のセルを特定するとともに、当該セルを識別表示する出力画像を生成することを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の画像処理プログラムは、基準画像情報及び比較画像情報を取得する画像情報取得手段、基準画像情報と比較画像情報の差分である差分画像情報を取得する差分画像情報取得手段、前記基準画像の特徴量に応じて、該基準画像情報に含まれる各要素の属性情報とともに該各要素の位置情報を取得する要素取得手段、前記差分画像情報に含まれる差分値を有する各差分画像部分の位置情報及び前記要素取得手段により抽出された前記各要素の位置情報に基づいて、前記各差分画像部分の属性を判定する属性判定手段、及び、前記属性判定手段により判定された各差分画像部分の属性と、前記差分画像部分に含まれる差分値に応じた値と、に応じた出力画像情報を生成する出力画像情報生成手段、としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、7の発明によれば、取得された差分画像部分の見つけにくさに応じて当該差分画像部分を適応的に識別表示する出力画像情報が生成される。
【0013】
請求項2の発明によれば、位置合わせしない場合に比べてより正確な差分画像情報が取得される。
【0014】
請求項3の発明によれば、差分画像部分の属性(文字、表中の文字、線、画像)に応じて、当該差分画像部分を適応的に識別表示する出力画像情報が生成される。
【0015】
請求項4の発明によれば、差分画像部分の有する差分値の特徴や当該差分画像部分の周辺画像に応じた出力画像情報が生成される。
【0016】
請求項5の発明によれば、表内で差分画像部分の割合が予め設定された閾値以上である場合には、前記差分画像部分を含む表全体を識別表示する出力画像が生成される。
【0017】
請求項6の発明によれば、表内で差分画像部分の割合が予め設定された閾値より小さい場合には、当該表のうち当該差分画像部分が含まれるセルを識別表示する出力画像が生成される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態における画像処理システムの構成の概要について説明するための図である。
【図2】図1に示した画像処理装置の機能的な構成について説明するための図である。
【図3】基準画像及び比較画像の一例を示す図である。
【図4】図3に示した基準画像情報と比較画像情報の差分画像情報を示す図である。
【図5】図3に示した基準画像について、文字要素を抽出した場合の例を示す図である。
【図6】図3に示した基準画像について、線要素及び表要素を抽出した場合の例を示す図である。
【図7】図3に示した基準画像と比較画像に基づいて生成された出力画像の一例を示す図である。
【図8】図2に示した出力画像情報生成部の機能的な構成の一例を示す図である。
【図9】出力画像の一例を説明するための図である。
【図10】出力画像の他の一例を説明するための図である。
【図11】出力画像の他の一例を説明するための図である。
【図12】出力画像の他の一例を説明するための図である。
【図13】出力画像の他の一例を説明するための図である。
【図14】画像処理装置の処理のフローの概要を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態における画像処理システムの構成の概要について説明するための図である。図1に示すように、本実施の形態における画像処理システム100は、例えば、ネットワーク130を介して接続された画像処理装置110と端末装置120とを有する。
【0021】
画像処理装置110は、例えば、CPUやメモリ等で構成されるサーバで構成され、例えば、制御部111、記憶部112、通信部113を有する。なお、制御部111、記憶部112、通信部113は、内部バス114により互いに接続される。
【0022】
制御部111は、例えば、CPU、MPU等であって、記憶部112に格納されたプログラムに従って動作する。記憶部112は、例えば、ROMやRAM、ハードディスク等の情報記録媒体で構成され、制御部111によって実行されるプログラムを保持する情報記録媒体である。また、記憶部112は、制御部111のワークメモリとしても動作する。なお、当該プログラムは、例えば、ネットワークを介して、ダウンロードされて提供されてもよいし、または、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータで読み取り可能な各種の情報記録媒体によって提供されてもよい。
【0023】
通信部113は、当該画像処理装置100を、ネットワーク130を介して、後述する端末装置120と接続する。
【0024】
端末装置120は、例えば、FAX機能やスキャナ機能等を有するいわゆる複合機等であって、図1に示すように、例えば、内部バス127により互いに接続された、制御部121、記憶部122、通信部123、操作部124、表示部125、読み取り部126を有する。
【0025】
操作部124は、例えば、複数のボタンやタッチパネル等で構成され、ユーザの指示操作に応じて、当該指示操作の内容を制御部121に出力する。表示部125は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等であって、制御部121からの指示に従い、情報を表示する。読み取り部126は、媒体の表面を撮像センサでスキャンすることにより、媒体の画像を読み取り、画像情報として取得する。なお、制御部121、記憶部122、通信部123については、上記画像処理装置110と同様であるので、説明を省略する。
【0026】
なお、上記画像処理システム100の構成は、一例であってこれに限定されるものではない。例えば、図1においては、1の端末装置120のみを示しているが、その他の数であってもよい。また、図1においては、端末装置120のみが、読み取り部126を有する場合を示しているが、画像処理装置110が操作部124、表示部125、読み取り部126等を有するように構成してもよい。
【0027】
図2は、画像処理装置の機能的な構成について説明するための図である。図2に示すように画像処理装置110は、機能的に、画像情報取得部201、位置補正部202、差分画像情報取得部203、要素取得部204、属性判定部205、出力画像情報生成部206を含む。なお、各部201乃至206の機能は、例えば、画像処理装置110の制御部111により実現される。
【0028】
画像情報取得部201は、基準画像情報及び比較画像情報を取得する。当該基準画像を表す基準画像情報や比較画像を表す比較画像情報は、例えば、読み取り部126から直接か、ネットワーク130を介して取得される。なお、下記においては、説明の簡略化のため、基準画像情報及び比較画像情報として、図3(A)及び(B)にそれぞれ示した、基準画像及び比較画像が取得された場合を例として説明する。
【0029】
位置補正部202は、基準画像と比較画像の画像が重なるように、画像の位置、角度、サイズ等の補正処理を行う。例えば、基準画像に対して、比較画像の位置を移動、比較画像を回転、比較画像を拡大縮小処理することにより、基準画像と比較画像が最大限重なるように補正する。なお、当該位置補正は、例えば、基準画像及び比較画像にあらかじめ表された基準位置を示す基準位置情報に基づいて、当該基準位置情報が両画像間で合致するように上記位置等を補正してもよいし、または、基準画像と比較画像の差分値の絶対値の総計が最小になるように上記位置等を補正してもよい。
【0030】
差分画像情報取得部203は、基準画像と比較画像の差分である差分画像情報を取得する。図4は、図3に示した基準画像情報と比較画像情報の差分画像情報を示す図である。なお、図4においては、色の濃い部分が基準画像から追加された画像情報(以下、追加画像部分と称する)に相当し、色の薄い部分が基準画像から削除された画像情報(以下、削除画像部分と称する)に相当する。例えば、基準画像及び比較画像において0と1の2値画像で表される場合については、追加画像部分は、差分値が−1を有する部分となり、削除画像部分は差分値が+1を有する部分となり、他の部分は、差分値が0を有する部分となる。
【0031】
要素取得部204は、基準画像から、例えば、基準画像の特徴量に応じて、各要素の属性情報とともにその領域情報を取得する。ここで、各要素とは、例えば、文字の属性を有する文字要素、表の属性を有する線要素、イラストや写真等の属性を有する画像要素、及びその他の要素に相当する。要素取得部204は、当該各属性とともに各属性の要素を含む領域を示す位置情報を取得する。なお、各要素の抽出方法としては、文字要素の抽出には、いわゆるレイアウト解析やラベリング等を用い、線要素の抽出には、いわゆる射影、追跡やフィルタ処理等を用い、また、表要素の抽出には射影処理やラベリング等を用いるが、各要素の抽出処理の詳細については周知であるので説明を省略する。なお、上記においては、要素取得部204は、基準画像情報のみから各要素を抽出する場合について説明したが、ユーザの設定により比較画像からも各要素を抽出するように構成してもよい。例えば、ユーザが基準画像と比較画像を見て、相違が大きいと判断した場合には、比較画像及び基準画像の双方から各要素を抽出するように選択し、一方、相違が小さいと判断した場合には、基準画像からのみ各要素を抽出するように選択する等である。
【0032】
具体的には、図5及び図6に示した例を用いて説明する。図5は、図3に示した基準画像について、文字要素を抽出した場合の例を示す図である。また、図6は、図3に示した基準画像について、線要素及び表要素を抽出した場合の例を示す図である。例えば、図5に示すように、文字要素は、1文字ずつ文字要素として抽出される。なお、図5の各文字要素に外接する矩形領域が各文字要素の領域を示す領域情報に相当し、要素取得部204は、当該領域の位置情報、例えば、当該矩形領域の頂点の座標、を取得する。同様に、要素取得部204は、線要素については、線の位置を示す位置情報、例えば、線の両端点の座標を取得し、表要素については、表を示すための位置情報、例えば、表を表す矩形領域の頂点の座標や表に含まれるセルを表すためのセル内部の座標を取得する。
【0033】
属性判定部205は、例えば、各差分画像部分の位置情報及び要素取得部204により抽出された各要素の位置情報に基づいて、各差分画像部分の属性を判定する。具体的には、図4乃至図6に示した例を用いて説明する。
【0034】
図4及び図5に示した場合、属性判定部205は、例えば、文字要素501の領域(位置)に差分画像部分401が位置することから、差分画像部分401は、文字属性であると判定する。同様に、差分画像部分402は、文字要素502の領域に差分画像部分402が位置することから、文字属性であると判定する。差分画像部分403については、文字要素503の領域及び表要素601の位置に位置することから、表中の文字属性であると判定する等である。
【0035】
出力画像情報生成部206は、各差分画像部分の有する属性とその差分値に応じた値に基づいて、基準画像と比較画像との差が明確になるような出力画像情報を生成する。当該出力画像情報は、例えば、ユーザが操作している端末装置120の表示部125等に表示される。
【0036】
ここで、図7を用いて、出力画像の一例について説明する。図7は、図3(A)及び(B)に示した基準画像と比較画像に基づいて生成された出力画像情報が、例えば、上記ユーザが操作している端末装置120の表示部125に表示された場合の一例を示す図である。図7からわかるように、出力画像においては、比較画像において基準画像に対して、追加、削除、または、変更等された部分(差分画像部分に相当する)が強調される。例えば、画像に対してサイズの小さい文字の変更部分に相当する差分画像部分402は、当該差分画像部分402を有する文字が枠づけされる。また、表中の文字に相当する差分画像部分403は、当該差分画像部分403の属する表のセルが識別表示(例えば、セルが着色される)される。一方、比較的差異が明確である太字の変更部分(差分画像部分401)については、基準画像に対して差分画像部分が識別表示(着色等)される等である。なお、図7に示した例は一例であって、本実施の形態はこれに限定されるものではない。
【0037】
次に、出力画像情報生成部206の機能的な構成の一例について説明する。出力画像情報生成部206は、図8に示すように、例えば、差分値取得部801、判定部802、強調画像情報生成部803、画像情報合成部804を有する。以下、出力画像情報生成部206の機能的な構成の一例について、差分画像部分が、文字属性を有する場合、表中の文字属性を有する場合、画像属性を有する場合、その他の場合を例に、順に説明する。なお、下記構成は例示にすぎず、本実施の形態はこれに限定されるものではない。
【0038】
差分値取得部801は、属性判定部205により文字属性と判定された差分画像部分については、例えば、対応する文字要素の領域内における差分値の絶対値(例えば、画素数に相当する)の割合や対応する文字要素のフォントサイズ等を算出する。より具体的には、例えば、上記のように差分画像部分401は、文字要素501の領域に位置していることから、文字要素501の領域内(例えば、図5に示した要素取得部204により文字要素501として抽出された領域)における差分値の絶対値の割合を算出する。
【0039】
判定部802は、当該割合の示す値やフォントサイズが、文字属性に関連付けてあらかじめ定められた閾値以上であるか否かを判定する。判定部802が、当該閾値以上であると判定した場合には、画像情報合成部804は、基準画像に当該差分画像部分を合成し、当該差分画像部分を識別表示(例えば、着色等)する画像情報を生成する。具体的には、図7に示すように、差分画像部分401を識別表示する画像情報を生成する等である。
【0040】
一方、判定部802が閾値より小さいと判定した場合には、強調画像情報生成部803は、差分画像部分を含む文字を囲む枠を表す枠画像情報を生成する。この場合、画像情報合成部804は、基準画像情報に当該差分画像部分及び枠画像情報で表される枠画像を合成した画像情報を生成する。具体的には、例えば、上記図7に示すように、当該差分画像部分402を識別表示(例えば、着色等)するとともに、当該差分画像部分402に対応する文字要素502を囲む枠を表示する画像情報を生成する。
【0041】
次に、差分画像部分が表中の文字属性を有する場合について説明する。差分値取得部801は、表中の文字の属性と判定された差分画像部分については、例えば、対応する文字要素を含む表中の文字要素の画素数における差分値の絶対値の割合を算出する。具体的には、例えば、上記のように差分画像部分403は、文字要素503の領域に位置していることから、表要素601内の文字要素の画素数における差分値の絶対値の割合を算出する。
【0042】
判定部802は、当該割合の示す値が、表中の文字属性に関連付けてあらかじめ定められた閾値以上であるか否かを判定する。判定部802が閾値より小さいと判定した場合には、画像情報合成部804は、当該差分画像情報の位置情報に基づいて、当該差分画像部分が属する表の領域情報のうち、当該差分画像が属するセルの領域を特定する。そして、画像情報合成部804は、基準画像に当該差分画像部分を合成し、当該差分画像部分を識別表示するとともに、上記特定されたセルを識別表示した画像情報を生成する。具体的には、例えば、図7に示すように、差分画像部分403を識別表示(例えば着色等)するとともに、当該差分画像部分403が属する表のセルを識別表示(例えば着色等)した画像情報を生成するである。
【0043】
一方、判定部802が閾値以上であると判定した場合には、画像情報合成部804は、基準画像と比較画像のうち、当該差分画像部分が属する表及び当該表に属する文字要素を位置を予め定められた距離及び方法にずらして表示する画像情報を生成する。具体的には、例えば、図9に示した場合、図9(A)に示した基準画像の表と図9(B)に示した比較画像の表から、図9(C)に示した画像情報を生成する。例えば、基準画像における表等と比較画像における表等を識別表示(例えば、色分けして表示)する。
【0044】
次に、差分画像部分が線属性を有する場合について説明する。差分値取得部801は、線属性と判定された差分画像部分については、例えば、対応する線要素の領域内における差分値の絶対値の割合を算出する。
【0045】
判定部802は、当該割合の示す値が、線属性に関連付けてあらかじめ定められた閾値以上であるか否かを判定する。判定部802が、閾値より小さいと判定した場合には、例えば、画像情報合成部804は、基準画像に当該差分画像部分を合成した画像情報を生成し、当該差分画像部分と対応する線要素を全体として識別表示する。つまり、この場合は
追加画像部分及び削除画像部分それぞれの識別表示は行わない。具体的には、例えば、基準画像及び比較画像における線要素がそれぞれ図10(A)及び(B)に示した場合、図10(C)または(D)のように表示する画像情報を生成する等である。
【0046】
また、基準画像と比較画像における当該線要素の位置情報に基づいて、当該差分画像部分が、当該差分画像部分が属する線要素の端点であるか否かを認識し、端点に存在すると判断した場合には、当該差分画像部分を識別表示しないように構成してもよい。なお、当該差分画像部分の表示または非表示については、ユーザが設定できるように構成してもよい。具体的には、例えば、基準画像及び比較画像の線要素が図11(A)及び(B)に示した場合、図11(C)または(D)のような画像情報を生成する等である。
【0047】
一方、判定部802が閾値以上であると判定した場合には、例えば、強調画像情報生成部803は、当該差分画像部分が属する線要素を囲うあらかじめ定められた大きさの領域を識別表示する画像情報を生成し、画像情報合成部804は、基準画像に当該画像情報を合成した画像情報を生成するようにしてもよい。この場合、上記差分値取得部801は、具体的には、例えば、上記のように差分画像部分404の幅か高さの大きい方に対する、画像全体の幅か高さの割合を算出する。図12(A)または(B)は、判定部802が閾値以上であると判定した場合の例を示す。具体的には、図12(A)は、例えば、当該線要素を囲む領域が着色して表示された場合を示し、図12(B)は、当該線要素を囲む領域がハッチングされて表示された場合を示すものとする。なお、この場合、図7に示すように、例えば、差分画像部分404を単に識別表示(例えば、着色等)するように構成してもよい。また、閾値以下の場合は、枠で囲むなどの強調画像を生成するように構成してもよい。また、上記においては、単に線要素の差分値が閾値以上であるか否かに応じて表示方法を異ならせる構成について説明したが、後述するようにその他の値に基づいて表示方法を異ならせてもよい。具体的には、例えば、その他線要素を表す領域における差分画像部分の分散等に基づいて、識別表示方法を異ならせるように構成してもよい。この場合、より差異が発見しにくい場合ほど、より識別して表示されるように構成すればよい。
【0048】
次に、差分画像部分が画像属性を有する場合の例について説明する。差分値取得部801は、画像属性と判定された差分画像部分については、例えば、対応する画像要素の領域内における差分値の絶対値の割合を算出する。判定部802は、当該割合の示す値が、画像属性に関連付けてあらかじめ定められた閾値以上であるか否かを判定する。
【0049】
判定部802が閾値以上であると判定した場合には、強調画像情報生成部803は、当該画像が差し替えられたことを示す画像情報を生成する。例えば、画像情報合成部804は、基準画像に当該差し替えられたことを示す画像情報を生成する。より具体的には、例えば、基準画像及び比較画像の画像要素が図13(A)及び(B)に示した場合、図13(C)に示すように差し替えられたことを示すために元の画像要素を識別表示(例えば、元の画像要素と異なる色に着色するなど)する等である。一方、判定部802が閾値より小さいと判定した場合には、例えば、画像情報合成部804は基準画像に差分画像部分を合成し、差分画像部分が識別表示(例えば、枠づけされて表示される等)される画像情報を生成する。
【0050】
次に、その他の属性を有する場合について説明する。ユーザの設定に応じて、出力画像情報生成部206は当該差分画像部分を識別表示または除去した出力画像情報を生成する。例えば、ユーザの設定に応じて、当該差分画像がその他の属性領域からあらかじめ設定された距離以上離れた点(孤立点)や予め設定された面積以下の点の集合等に相当する場合、ノイズとして出力画像情報から除去する。
【0051】
次に、画像処理装置110の処理のフローについて説明する。図14は、画像処理装置110における処理のフローの一例について説明するための図である。
【0052】
画像情報取得部201は、基準画像情報及び比較画像情報を取得する(S101)。位置補正部202は、基準画像と比較画像の画像が重なるように、画像の位置、角度、サイズ等の補正処理を行う(S102)。差分画像情報取得部203は、基準画像と比較画像の差分である差分画像情報を取得する(S103)。要素取得部204は、基準画像から、基準画像の特徴量に応じて、各要素の属性情報とともにその領域情報を抽出する(S104)。
【0053】
属性判定部205は、各差分画像部分の位置情報及び要素取得部204により抽出された各要素の位置情報に基づいて、各差分画像部分の属性を判定する(S105)。出力画像情報生成部206は、各差分画像部分の有する属性とその差分値に応じた値に基づいて、基準画像と比較画像との差が明確になるような出力画像情報を生成する(S106)。なお、当該出力画像情報は、例えば、端末装置125の表示部125に表示される。
【0054】
上記処理のフローは一例にすぎず、上記フローと実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。例えば、S102及びS103の前にS104の処理を行ってもよいし、また、S102及びS103の処理とS104の処理を並行して行うように構成してもよい。
【0055】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。
【0056】
例えば、出力画像情報生成部206は、基準画像と比較画像との差分に基づく差分結果の大きさ(画素数、外接矩形サイズ、縦横の辺の長さ、文字サイズ等)、長さ、太さ、量に相当する値や、要素の種類(文字、罫線内の文字、線画、表罫線、イラスト、写真等)、差分結果に対する周辺画像や周辺画像に対する差分結果の位置関係等に応じて、差分結果が強調してユーザが容易に基準画像と比較画像の相違点を発見できるような出力画像が形成できる限り異なる構成であってもよい。この場合、差分結果の強調方法としては、例えば、差分結果自体の着色や、差分箇所を囲む枠づけ(当該枠づけの枠の太さや間隔、種類を異ならせてもよい)、表のセル内の背景部分の着色やハッチング、差分結果の背景部分の着色、ハッチング、位置をずらす等を用いてもよい。
【0057】
上記においては、主に、差分画像部分について、対応する要素の領域内における差分値の絶対値の割合を算出する場合を例として説明したが、その他の差分画像部分の特徴(例えば、各領域における分散や画像全体に対する割合)や、差分画像部分の周辺画像の環境やユーザ設定等に基づいて、出力画像情報を生成するように構成してもよい。
【0058】
具体的には、例えば、差分画像部分が文字属性を有する場合においては、差分の特徴として差分結果が小さく細かいか否か、具体的には、例えば、差分画像部分(差分画像部分に外接する領域)の占める割合に対して差分値を有する割合があらかじめ定められた閾値より小さいか否かを判定し、小さいと判定した場合には、差分画像部分の属する文字要素または隣接する文字要素を含む文字ブロックを識別表示するように構成してもよい。あるいは、差分の特徴として、基準画像において対応する文字と差分画像部分の画素数を比較して、当該差分画像部分の画素数が文字の画素数に応じてあらかじめ定められた閾値よりも大きい場合には、差分画像部分のみを識別表示するように構成してもよい。
【0059】
差分画像部分が表中の文字の属性を有する場合においては、例えば、差分の特徴として差分結果が小さく細かいか否か、より具体的には、例えば、差分画像部分(差分画像部分に外接する領域)の占める割合に対して差分値を有する割合があらかじめ定められた閾値より小さいか否かを判定し、小さいと判定した場合であって、周囲の環境として当該表の密度が高い場合や、枠付けする場合において枠と表を構成する線が干渉する場合等は、差分画像部分の属するセルを識別表示するように構成してもよい。また、表内に占める差分画像部分の割合があらかじめ設定された閾値よりも大きいか否かを判定し、大きいと判定した場合には、表の差し替えを示す出力画像情報を生成、表示されるように構成してもよい。更に、表の行または列を構成する差分画像部分の割合があらかじめ設定された閾値よりも大きいか否かを判定し、大きいと判定した場合には、当該行または列の差し替えを示す出力画像情報を生成、表示されるように構成してもよい。なお、これらの場合、ユーザの設定により差し替えを示すか否かを決定できるように構成してもよい。
【0060】
差分画像部分が線属性を有する場合には、差分画像部分の画素数が、例えば、差分の特徴として、対応する線要素の長さや太さ等に応じて決定される等の閾値以上か否かを決定し、当該閾値以下であると判定した場合には、当該差分画像部分が同一線分または直線状に多数存在するか否か、または、当該線分等における位置に応じて、識別表示方法が異なるように構成してもよい。当該表示方法はユーザが設定できるように構成してもよい。一方、閾値より小さいと判定した場合には、標準の識別表示として設定されている強調方法よりも強調度を抑えて表示(例えば、線を含んだ背景が強調される場合には、当該背景領域をより狭くする等)するよう構成してもよい。
【0061】
差分画像部分がイラストや写真等の属性を有する場合には、例えば、差分画像部分の差分値が大小多種の値を含むことから、当該イラストや写真等の領域内で差分画像部分の占める割合があらかじめ設定された値以上であるか否かに応じて、イラスト等の差し替えとして表示するか否かを決定するように構成してもよい。また、差分画像部分がその他の属性を有する場合であって、差分画像部分の画素数があらかじめ設定された値よりも小さい場合には、基準画像において当該差分画像部分の対応する領域の面積や、同様の面積を有する差分画像部分が存在するか否かに応じて、当該差分画像部分を表示するか否かを決定してもよい。なお、ユーザが表示の要否につき、設定できるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0062】
100 画像処理システム、110 画像処理装置、111、121 制御部、112、122 記憶部、113、123 通信部、120 端末装置、124 操作部、125 表示部、126 読み取り部、201 画像情報取得部、202 位置補正部、203 差分画像情報取得部、204 要素取得部、205 属性判定部、206 出力画像情報生成部、801 差分値取得部、802 判定部、803 強調画像情報生成部、804 画像情報合成部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システム、画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
修正前の画像データと修正後の画像データにおける差異点を低解像度のモニタ等で目視にて認識するのは困難である点に鑑み、検出された差異点に相当する画素につき、その周辺画素についても差異点とする、太らせ処理を行った後、解像度を変換する画像データ検査装置が知られている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3597408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基準画像と比較画像との差異点をその見つけにくさに応じて適応的に強調した画像情報を生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の画像処理システムは、基準画像情報及び比較画像情報を取得する画像情報取得手段と、基準画像情報と比較画像情報の差分である差分画像情報を取得する差分画像情報取得手段と、前記基準画像の特徴量に応じて、該基準画像情報に含まれる各要素の属性情報とともに該各要素の位置情報を取得する要素取得手段と、前記差分画像情報に含まれる差分値を有する各差分画像部分の位置情報及び前記要素取得手段により抽出された前記各要素の位置情報に基づいて、前記各差分画像部分の属性を判定する属性判定手段と、前記属性判定手段により判定された各差分画像部分の属性と、前記差分画像部分に含まれる差分値に応じた値と、に応じた出力画像情報を生成する出力画像情報生成手段と、を有することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の画像処理システムは、請求項1記載の画像処理システムにおいて、前記画像処理システムは、更に、前記基準画像情報と前記比較画像情報が重なるように、少なくとも一方の画像情報の位置、角度、及び/またはサイズの補正処理を行う補正手段を有し、前記差分画像情報取得手段は、補正処理が行われた基準画像情報及び/または比較画像情報の差分に基づいて前記差分画像情報を取得することを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の画像処理システムは、請求項1または2記載の画像処理システムにおいて、前記各差分画像部分の属性は、文字の属性を示す属性、表中の文字の属性を示す表中の文字属性、線の属性を示す線属性、画像の属性を示す画像属性を含むことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の画像処理システムは、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理システムにおいて、前記出力画像生成手段は、前記各差分画像部分の属性及び該各差分画像部分が対応する前記各要素の位置情報に基づいて、前記差分画像部分に含まれる差分値に応じた値を取得する差分値取得手段と、前記差分値に応じた値が該属性毎に定められた閾値以上であるか否かを判定する判定手段と、を有し、前記出力画像情報は、更に、前記判定手段の判定結果に応じた画像情報であることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の画像処理システムは、請求項1乃至4のいずれかに記載の画像処理システムにおいて、前記出力画像生成手段は、前記差分画像部分が表中の文字属性であって、かつ、前記差分画像部分の前記表中の文字属性についてあらかじめ定めた閾値以上であると判定された場合には、前記基準画像情報及び前記比較画像情報で表され、前記差分画像部分を含む表全体を識別表示する画像を表す出力画像情報を生成することを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の画像処理システムは、請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理システムにおいて、前記出力画像生成手段は、前記差分画像部分が表中の文字属性であって、かつ、前記差分画像部分の前記表中の文字属性の閾値より小さいと判定された場合には、前記差分画像部分のうち、前記差分画像部分が対応する表のセルを特定するとともに、当該セルを識別表示する出力画像を生成することを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の画像処理プログラムは、基準画像情報及び比較画像情報を取得する画像情報取得手段、基準画像情報と比較画像情報の差分である差分画像情報を取得する差分画像情報取得手段、前記基準画像の特徴量に応じて、該基準画像情報に含まれる各要素の属性情報とともに該各要素の位置情報を取得する要素取得手段、前記差分画像情報に含まれる差分値を有する各差分画像部分の位置情報及び前記要素取得手段により抽出された前記各要素の位置情報に基づいて、前記各差分画像部分の属性を判定する属性判定手段、及び、前記属性判定手段により判定された各差分画像部分の属性と、前記差分画像部分に含まれる差分値に応じた値と、に応じた出力画像情報を生成する出力画像情報生成手段、としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、7の発明によれば、取得された差分画像部分の見つけにくさに応じて当該差分画像部分を適応的に識別表示する出力画像情報が生成される。
【0013】
請求項2の発明によれば、位置合わせしない場合に比べてより正確な差分画像情報が取得される。
【0014】
請求項3の発明によれば、差分画像部分の属性(文字、表中の文字、線、画像)に応じて、当該差分画像部分を適応的に識別表示する出力画像情報が生成される。
【0015】
請求項4の発明によれば、差分画像部分の有する差分値の特徴や当該差分画像部分の周辺画像に応じた出力画像情報が生成される。
【0016】
請求項5の発明によれば、表内で差分画像部分の割合が予め設定された閾値以上である場合には、前記差分画像部分を含む表全体を識別表示する出力画像が生成される。
【0017】
請求項6の発明によれば、表内で差分画像部分の割合が予め設定された閾値より小さい場合には、当該表のうち当該差分画像部分が含まれるセルを識別表示する出力画像が生成される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態における画像処理システムの構成の概要について説明するための図である。
【図2】図1に示した画像処理装置の機能的な構成について説明するための図である。
【図3】基準画像及び比較画像の一例を示す図である。
【図4】図3に示した基準画像情報と比較画像情報の差分画像情報を示す図である。
【図5】図3に示した基準画像について、文字要素を抽出した場合の例を示す図である。
【図6】図3に示した基準画像について、線要素及び表要素を抽出した場合の例を示す図である。
【図7】図3に示した基準画像と比較画像に基づいて生成された出力画像の一例を示す図である。
【図8】図2に示した出力画像情報生成部の機能的な構成の一例を示す図である。
【図9】出力画像の一例を説明するための図である。
【図10】出力画像の他の一例を説明するための図である。
【図11】出力画像の他の一例を説明するための図である。
【図12】出力画像の他の一例を説明するための図である。
【図13】出力画像の他の一例を説明するための図である。
【図14】画像処理装置の処理のフローの概要を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態における画像処理システムの構成の概要について説明するための図である。図1に示すように、本実施の形態における画像処理システム100は、例えば、ネットワーク130を介して接続された画像処理装置110と端末装置120とを有する。
【0021】
画像処理装置110は、例えば、CPUやメモリ等で構成されるサーバで構成され、例えば、制御部111、記憶部112、通信部113を有する。なお、制御部111、記憶部112、通信部113は、内部バス114により互いに接続される。
【0022】
制御部111は、例えば、CPU、MPU等であって、記憶部112に格納されたプログラムに従って動作する。記憶部112は、例えば、ROMやRAM、ハードディスク等の情報記録媒体で構成され、制御部111によって実行されるプログラムを保持する情報記録媒体である。また、記憶部112は、制御部111のワークメモリとしても動作する。なお、当該プログラムは、例えば、ネットワークを介して、ダウンロードされて提供されてもよいし、または、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータで読み取り可能な各種の情報記録媒体によって提供されてもよい。
【0023】
通信部113は、当該画像処理装置100を、ネットワーク130を介して、後述する端末装置120と接続する。
【0024】
端末装置120は、例えば、FAX機能やスキャナ機能等を有するいわゆる複合機等であって、図1に示すように、例えば、内部バス127により互いに接続された、制御部121、記憶部122、通信部123、操作部124、表示部125、読み取り部126を有する。
【0025】
操作部124は、例えば、複数のボタンやタッチパネル等で構成され、ユーザの指示操作に応じて、当該指示操作の内容を制御部121に出力する。表示部125は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等であって、制御部121からの指示に従い、情報を表示する。読み取り部126は、媒体の表面を撮像センサでスキャンすることにより、媒体の画像を読み取り、画像情報として取得する。なお、制御部121、記憶部122、通信部123については、上記画像処理装置110と同様であるので、説明を省略する。
【0026】
なお、上記画像処理システム100の構成は、一例であってこれに限定されるものではない。例えば、図1においては、1の端末装置120のみを示しているが、その他の数であってもよい。また、図1においては、端末装置120のみが、読み取り部126を有する場合を示しているが、画像処理装置110が操作部124、表示部125、読み取り部126等を有するように構成してもよい。
【0027】
図2は、画像処理装置の機能的な構成について説明するための図である。図2に示すように画像処理装置110は、機能的に、画像情報取得部201、位置補正部202、差分画像情報取得部203、要素取得部204、属性判定部205、出力画像情報生成部206を含む。なお、各部201乃至206の機能は、例えば、画像処理装置110の制御部111により実現される。
【0028】
画像情報取得部201は、基準画像情報及び比較画像情報を取得する。当該基準画像を表す基準画像情報や比較画像を表す比較画像情報は、例えば、読み取り部126から直接か、ネットワーク130を介して取得される。なお、下記においては、説明の簡略化のため、基準画像情報及び比較画像情報として、図3(A)及び(B)にそれぞれ示した、基準画像及び比較画像が取得された場合を例として説明する。
【0029】
位置補正部202は、基準画像と比較画像の画像が重なるように、画像の位置、角度、サイズ等の補正処理を行う。例えば、基準画像に対して、比較画像の位置を移動、比較画像を回転、比較画像を拡大縮小処理することにより、基準画像と比較画像が最大限重なるように補正する。なお、当該位置補正は、例えば、基準画像及び比較画像にあらかじめ表された基準位置を示す基準位置情報に基づいて、当該基準位置情報が両画像間で合致するように上記位置等を補正してもよいし、または、基準画像と比較画像の差分値の絶対値の総計が最小になるように上記位置等を補正してもよい。
【0030】
差分画像情報取得部203は、基準画像と比較画像の差分である差分画像情報を取得する。図4は、図3に示した基準画像情報と比較画像情報の差分画像情報を示す図である。なお、図4においては、色の濃い部分が基準画像から追加された画像情報(以下、追加画像部分と称する)に相当し、色の薄い部分が基準画像から削除された画像情報(以下、削除画像部分と称する)に相当する。例えば、基準画像及び比較画像において0と1の2値画像で表される場合については、追加画像部分は、差分値が−1を有する部分となり、削除画像部分は差分値が+1を有する部分となり、他の部分は、差分値が0を有する部分となる。
【0031】
要素取得部204は、基準画像から、例えば、基準画像の特徴量に応じて、各要素の属性情報とともにその領域情報を取得する。ここで、各要素とは、例えば、文字の属性を有する文字要素、表の属性を有する線要素、イラストや写真等の属性を有する画像要素、及びその他の要素に相当する。要素取得部204は、当該各属性とともに各属性の要素を含む領域を示す位置情報を取得する。なお、各要素の抽出方法としては、文字要素の抽出には、いわゆるレイアウト解析やラベリング等を用い、線要素の抽出には、いわゆる射影、追跡やフィルタ処理等を用い、また、表要素の抽出には射影処理やラベリング等を用いるが、各要素の抽出処理の詳細については周知であるので説明を省略する。なお、上記においては、要素取得部204は、基準画像情報のみから各要素を抽出する場合について説明したが、ユーザの設定により比較画像からも各要素を抽出するように構成してもよい。例えば、ユーザが基準画像と比較画像を見て、相違が大きいと判断した場合には、比較画像及び基準画像の双方から各要素を抽出するように選択し、一方、相違が小さいと判断した場合には、基準画像からのみ各要素を抽出するように選択する等である。
【0032】
具体的には、図5及び図6に示した例を用いて説明する。図5は、図3に示した基準画像について、文字要素を抽出した場合の例を示す図である。また、図6は、図3に示した基準画像について、線要素及び表要素を抽出した場合の例を示す図である。例えば、図5に示すように、文字要素は、1文字ずつ文字要素として抽出される。なお、図5の各文字要素に外接する矩形領域が各文字要素の領域を示す領域情報に相当し、要素取得部204は、当該領域の位置情報、例えば、当該矩形領域の頂点の座標、を取得する。同様に、要素取得部204は、線要素については、線の位置を示す位置情報、例えば、線の両端点の座標を取得し、表要素については、表を示すための位置情報、例えば、表を表す矩形領域の頂点の座標や表に含まれるセルを表すためのセル内部の座標を取得する。
【0033】
属性判定部205は、例えば、各差分画像部分の位置情報及び要素取得部204により抽出された各要素の位置情報に基づいて、各差分画像部分の属性を判定する。具体的には、図4乃至図6に示した例を用いて説明する。
【0034】
図4及び図5に示した場合、属性判定部205は、例えば、文字要素501の領域(位置)に差分画像部分401が位置することから、差分画像部分401は、文字属性であると判定する。同様に、差分画像部分402は、文字要素502の領域に差分画像部分402が位置することから、文字属性であると判定する。差分画像部分403については、文字要素503の領域及び表要素601の位置に位置することから、表中の文字属性であると判定する等である。
【0035】
出力画像情報生成部206は、各差分画像部分の有する属性とその差分値に応じた値に基づいて、基準画像と比較画像との差が明確になるような出力画像情報を生成する。当該出力画像情報は、例えば、ユーザが操作している端末装置120の表示部125等に表示される。
【0036】
ここで、図7を用いて、出力画像の一例について説明する。図7は、図3(A)及び(B)に示した基準画像と比較画像に基づいて生成された出力画像情報が、例えば、上記ユーザが操作している端末装置120の表示部125に表示された場合の一例を示す図である。図7からわかるように、出力画像においては、比較画像において基準画像に対して、追加、削除、または、変更等された部分(差分画像部分に相当する)が強調される。例えば、画像に対してサイズの小さい文字の変更部分に相当する差分画像部分402は、当該差分画像部分402を有する文字が枠づけされる。また、表中の文字に相当する差分画像部分403は、当該差分画像部分403の属する表のセルが識別表示(例えば、セルが着色される)される。一方、比較的差異が明確である太字の変更部分(差分画像部分401)については、基準画像に対して差分画像部分が識別表示(着色等)される等である。なお、図7に示した例は一例であって、本実施の形態はこれに限定されるものではない。
【0037】
次に、出力画像情報生成部206の機能的な構成の一例について説明する。出力画像情報生成部206は、図8に示すように、例えば、差分値取得部801、判定部802、強調画像情報生成部803、画像情報合成部804を有する。以下、出力画像情報生成部206の機能的な構成の一例について、差分画像部分が、文字属性を有する場合、表中の文字属性を有する場合、画像属性を有する場合、その他の場合を例に、順に説明する。なお、下記構成は例示にすぎず、本実施の形態はこれに限定されるものではない。
【0038】
差分値取得部801は、属性判定部205により文字属性と判定された差分画像部分については、例えば、対応する文字要素の領域内における差分値の絶対値(例えば、画素数に相当する)の割合や対応する文字要素のフォントサイズ等を算出する。より具体的には、例えば、上記のように差分画像部分401は、文字要素501の領域に位置していることから、文字要素501の領域内(例えば、図5に示した要素取得部204により文字要素501として抽出された領域)における差分値の絶対値の割合を算出する。
【0039】
判定部802は、当該割合の示す値やフォントサイズが、文字属性に関連付けてあらかじめ定められた閾値以上であるか否かを判定する。判定部802が、当該閾値以上であると判定した場合には、画像情報合成部804は、基準画像に当該差分画像部分を合成し、当該差分画像部分を識別表示(例えば、着色等)する画像情報を生成する。具体的には、図7に示すように、差分画像部分401を識別表示する画像情報を生成する等である。
【0040】
一方、判定部802が閾値より小さいと判定した場合には、強調画像情報生成部803は、差分画像部分を含む文字を囲む枠を表す枠画像情報を生成する。この場合、画像情報合成部804は、基準画像情報に当該差分画像部分及び枠画像情報で表される枠画像を合成した画像情報を生成する。具体的には、例えば、上記図7に示すように、当該差分画像部分402を識別表示(例えば、着色等)するとともに、当該差分画像部分402に対応する文字要素502を囲む枠を表示する画像情報を生成する。
【0041】
次に、差分画像部分が表中の文字属性を有する場合について説明する。差分値取得部801は、表中の文字の属性と判定された差分画像部分については、例えば、対応する文字要素を含む表中の文字要素の画素数における差分値の絶対値の割合を算出する。具体的には、例えば、上記のように差分画像部分403は、文字要素503の領域に位置していることから、表要素601内の文字要素の画素数における差分値の絶対値の割合を算出する。
【0042】
判定部802は、当該割合の示す値が、表中の文字属性に関連付けてあらかじめ定められた閾値以上であるか否かを判定する。判定部802が閾値より小さいと判定した場合には、画像情報合成部804は、当該差分画像情報の位置情報に基づいて、当該差分画像部分が属する表の領域情報のうち、当該差分画像が属するセルの領域を特定する。そして、画像情報合成部804は、基準画像に当該差分画像部分を合成し、当該差分画像部分を識別表示するとともに、上記特定されたセルを識別表示した画像情報を生成する。具体的には、例えば、図7に示すように、差分画像部分403を識別表示(例えば着色等)するとともに、当該差分画像部分403が属する表のセルを識別表示(例えば着色等)した画像情報を生成するである。
【0043】
一方、判定部802が閾値以上であると判定した場合には、画像情報合成部804は、基準画像と比較画像のうち、当該差分画像部分が属する表及び当該表に属する文字要素を位置を予め定められた距離及び方法にずらして表示する画像情報を生成する。具体的には、例えば、図9に示した場合、図9(A)に示した基準画像の表と図9(B)に示した比較画像の表から、図9(C)に示した画像情報を生成する。例えば、基準画像における表等と比較画像における表等を識別表示(例えば、色分けして表示)する。
【0044】
次に、差分画像部分が線属性を有する場合について説明する。差分値取得部801は、線属性と判定された差分画像部分については、例えば、対応する線要素の領域内における差分値の絶対値の割合を算出する。
【0045】
判定部802は、当該割合の示す値が、線属性に関連付けてあらかじめ定められた閾値以上であるか否かを判定する。判定部802が、閾値より小さいと判定した場合には、例えば、画像情報合成部804は、基準画像に当該差分画像部分を合成した画像情報を生成し、当該差分画像部分と対応する線要素を全体として識別表示する。つまり、この場合は
追加画像部分及び削除画像部分それぞれの識別表示は行わない。具体的には、例えば、基準画像及び比較画像における線要素がそれぞれ図10(A)及び(B)に示した場合、図10(C)または(D)のように表示する画像情報を生成する等である。
【0046】
また、基準画像と比較画像における当該線要素の位置情報に基づいて、当該差分画像部分が、当該差分画像部分が属する線要素の端点であるか否かを認識し、端点に存在すると判断した場合には、当該差分画像部分を識別表示しないように構成してもよい。なお、当該差分画像部分の表示または非表示については、ユーザが設定できるように構成してもよい。具体的には、例えば、基準画像及び比較画像の線要素が図11(A)及び(B)に示した場合、図11(C)または(D)のような画像情報を生成する等である。
【0047】
一方、判定部802が閾値以上であると判定した場合には、例えば、強調画像情報生成部803は、当該差分画像部分が属する線要素を囲うあらかじめ定められた大きさの領域を識別表示する画像情報を生成し、画像情報合成部804は、基準画像に当該画像情報を合成した画像情報を生成するようにしてもよい。この場合、上記差分値取得部801は、具体的には、例えば、上記のように差分画像部分404の幅か高さの大きい方に対する、画像全体の幅か高さの割合を算出する。図12(A)または(B)は、判定部802が閾値以上であると判定した場合の例を示す。具体的には、図12(A)は、例えば、当該線要素を囲む領域が着色して表示された場合を示し、図12(B)は、当該線要素を囲む領域がハッチングされて表示された場合を示すものとする。なお、この場合、図7に示すように、例えば、差分画像部分404を単に識別表示(例えば、着色等)するように構成してもよい。また、閾値以下の場合は、枠で囲むなどの強調画像を生成するように構成してもよい。また、上記においては、単に線要素の差分値が閾値以上であるか否かに応じて表示方法を異ならせる構成について説明したが、後述するようにその他の値に基づいて表示方法を異ならせてもよい。具体的には、例えば、その他線要素を表す領域における差分画像部分の分散等に基づいて、識別表示方法を異ならせるように構成してもよい。この場合、より差異が発見しにくい場合ほど、より識別して表示されるように構成すればよい。
【0048】
次に、差分画像部分が画像属性を有する場合の例について説明する。差分値取得部801は、画像属性と判定された差分画像部分については、例えば、対応する画像要素の領域内における差分値の絶対値の割合を算出する。判定部802は、当該割合の示す値が、画像属性に関連付けてあらかじめ定められた閾値以上であるか否かを判定する。
【0049】
判定部802が閾値以上であると判定した場合には、強調画像情報生成部803は、当該画像が差し替えられたことを示す画像情報を生成する。例えば、画像情報合成部804は、基準画像に当該差し替えられたことを示す画像情報を生成する。より具体的には、例えば、基準画像及び比較画像の画像要素が図13(A)及び(B)に示した場合、図13(C)に示すように差し替えられたことを示すために元の画像要素を識別表示(例えば、元の画像要素と異なる色に着色するなど)する等である。一方、判定部802が閾値より小さいと判定した場合には、例えば、画像情報合成部804は基準画像に差分画像部分を合成し、差分画像部分が識別表示(例えば、枠づけされて表示される等)される画像情報を生成する。
【0050】
次に、その他の属性を有する場合について説明する。ユーザの設定に応じて、出力画像情報生成部206は当該差分画像部分を識別表示または除去した出力画像情報を生成する。例えば、ユーザの設定に応じて、当該差分画像がその他の属性領域からあらかじめ設定された距離以上離れた点(孤立点)や予め設定された面積以下の点の集合等に相当する場合、ノイズとして出力画像情報から除去する。
【0051】
次に、画像処理装置110の処理のフローについて説明する。図14は、画像処理装置110における処理のフローの一例について説明するための図である。
【0052】
画像情報取得部201は、基準画像情報及び比較画像情報を取得する(S101)。位置補正部202は、基準画像と比較画像の画像が重なるように、画像の位置、角度、サイズ等の補正処理を行う(S102)。差分画像情報取得部203は、基準画像と比較画像の差分である差分画像情報を取得する(S103)。要素取得部204は、基準画像から、基準画像の特徴量に応じて、各要素の属性情報とともにその領域情報を抽出する(S104)。
【0053】
属性判定部205は、各差分画像部分の位置情報及び要素取得部204により抽出された各要素の位置情報に基づいて、各差分画像部分の属性を判定する(S105)。出力画像情報生成部206は、各差分画像部分の有する属性とその差分値に応じた値に基づいて、基準画像と比較画像との差が明確になるような出力画像情報を生成する(S106)。なお、当該出力画像情報は、例えば、端末装置125の表示部125に表示される。
【0054】
上記処理のフローは一例にすぎず、上記フローと実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。例えば、S102及びS103の前にS104の処理を行ってもよいし、また、S102及びS103の処理とS104の処理を並行して行うように構成してもよい。
【0055】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。
【0056】
例えば、出力画像情報生成部206は、基準画像と比較画像との差分に基づく差分結果の大きさ(画素数、外接矩形サイズ、縦横の辺の長さ、文字サイズ等)、長さ、太さ、量に相当する値や、要素の種類(文字、罫線内の文字、線画、表罫線、イラスト、写真等)、差分結果に対する周辺画像や周辺画像に対する差分結果の位置関係等に応じて、差分結果が強調してユーザが容易に基準画像と比較画像の相違点を発見できるような出力画像が形成できる限り異なる構成であってもよい。この場合、差分結果の強調方法としては、例えば、差分結果自体の着色や、差分箇所を囲む枠づけ(当該枠づけの枠の太さや間隔、種類を異ならせてもよい)、表のセル内の背景部分の着色やハッチング、差分結果の背景部分の着色、ハッチング、位置をずらす等を用いてもよい。
【0057】
上記においては、主に、差分画像部分について、対応する要素の領域内における差分値の絶対値の割合を算出する場合を例として説明したが、その他の差分画像部分の特徴(例えば、各領域における分散や画像全体に対する割合)や、差分画像部分の周辺画像の環境やユーザ設定等に基づいて、出力画像情報を生成するように構成してもよい。
【0058】
具体的には、例えば、差分画像部分が文字属性を有する場合においては、差分の特徴として差分結果が小さく細かいか否か、具体的には、例えば、差分画像部分(差分画像部分に外接する領域)の占める割合に対して差分値を有する割合があらかじめ定められた閾値より小さいか否かを判定し、小さいと判定した場合には、差分画像部分の属する文字要素または隣接する文字要素を含む文字ブロックを識別表示するように構成してもよい。あるいは、差分の特徴として、基準画像において対応する文字と差分画像部分の画素数を比較して、当該差分画像部分の画素数が文字の画素数に応じてあらかじめ定められた閾値よりも大きい場合には、差分画像部分のみを識別表示するように構成してもよい。
【0059】
差分画像部分が表中の文字の属性を有する場合においては、例えば、差分の特徴として差分結果が小さく細かいか否か、より具体的には、例えば、差分画像部分(差分画像部分に外接する領域)の占める割合に対して差分値を有する割合があらかじめ定められた閾値より小さいか否かを判定し、小さいと判定した場合であって、周囲の環境として当該表の密度が高い場合や、枠付けする場合において枠と表を構成する線が干渉する場合等は、差分画像部分の属するセルを識別表示するように構成してもよい。また、表内に占める差分画像部分の割合があらかじめ設定された閾値よりも大きいか否かを判定し、大きいと判定した場合には、表の差し替えを示す出力画像情報を生成、表示されるように構成してもよい。更に、表の行または列を構成する差分画像部分の割合があらかじめ設定された閾値よりも大きいか否かを判定し、大きいと判定した場合には、当該行または列の差し替えを示す出力画像情報を生成、表示されるように構成してもよい。なお、これらの場合、ユーザの設定により差し替えを示すか否かを決定できるように構成してもよい。
【0060】
差分画像部分が線属性を有する場合には、差分画像部分の画素数が、例えば、差分の特徴として、対応する線要素の長さや太さ等に応じて決定される等の閾値以上か否かを決定し、当該閾値以下であると判定した場合には、当該差分画像部分が同一線分または直線状に多数存在するか否か、または、当該線分等における位置に応じて、識別表示方法が異なるように構成してもよい。当該表示方法はユーザが設定できるように構成してもよい。一方、閾値より小さいと判定した場合には、標準の識別表示として設定されている強調方法よりも強調度を抑えて表示(例えば、線を含んだ背景が強調される場合には、当該背景領域をより狭くする等)するよう構成してもよい。
【0061】
差分画像部分がイラストや写真等の属性を有する場合には、例えば、差分画像部分の差分値が大小多種の値を含むことから、当該イラストや写真等の領域内で差分画像部分の占める割合があらかじめ設定された値以上であるか否かに応じて、イラスト等の差し替えとして表示するか否かを決定するように構成してもよい。また、差分画像部分がその他の属性を有する場合であって、差分画像部分の画素数があらかじめ設定された値よりも小さい場合には、基準画像において当該差分画像部分の対応する領域の面積や、同様の面積を有する差分画像部分が存在するか否かに応じて、当該差分画像部分を表示するか否かを決定してもよい。なお、ユーザが表示の要否につき、設定できるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0062】
100 画像処理システム、110 画像処理装置、111、121 制御部、112、122 記憶部、113、123 通信部、120 端末装置、124 操作部、125 表示部、126 読み取り部、201 画像情報取得部、202 位置補正部、203 差分画像情報取得部、204 要素取得部、205 属性判定部、206 出力画像情報生成部、801 差分値取得部、802 判定部、803 強調画像情報生成部、804 画像情報合成部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準画像情報及び比較画像情報を取得する画像情報取得手段と、
基準画像情報と比較画像情報の差分である差分画像情報を取得する差分画像情報取得手段と、
前記基準画像の特徴量に応じて、該基準画像情報に含まれる各要素の属性情報とともに該各要素の位置情報を取得する要素取得手段と、
前記差分画像情報に含まれる差分値を有する各差分画像部分の位置情報及び前記要素取得手段により抽出された前記各要素の位置情報に基づいて、前記各差分画像部分の属性を判定する属性判定手段と、
前記属性判定手段により判定された各差分画像部分の属性と、前記差分画像部分に含まれる差分値に応じた値と、に応じた出力画像情報を生成する出力画像情報生成手段と、
を有することを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記画像処理システムは、更に、前記基準画像情報と前記比較画像情報が重なるように、少なくとも一方の画像情報の位置、角度、及び/またはサイズの補正処理を行う補正手段を有し、
前記差分画像情報取得手段は、補正処理が行われた基準画像情報及び/または比較画像情報の差分に基づいて前記差分画像情報を取得することを特徴とする請求項1記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記各差分画像部分の属性は、文字の属性を示す属性、表中の文字の属性を示す表中の文字属性、線の属性を示す線属性、画像の属性を示す画像属性を含むことを特徴とする請求項1または2記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記出力画像生成手段は、
前記各差分画像部分の属性及び該各差分画像部分が対応する前記各要素の位置情報に基づいて、前記差分画像部分に含まれる差分値に応じた値を取得する差分値取得手段と、
前記差分値に応じた値が該属性毎に定められた閾値以上であるか否かを判定する判定手段と、を有し、
前記出力画像情報は、更に、前記判定手段の判定結果に応じた画像情報であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記出力画像生成手段は、前記差分画像部分が表中の文字属性であって、かつ、前記差分画像部分の前記表中の文字属性についてあらかじめ定めた閾値以上であると判定された場合には、前記基準画像情報及び前記比較画像情報で表され、前記差分画像部分を含む表全体を識別表示する画像を表す出力画像情報を生成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記出力画像生成手段は、前記差分画像部分が表中の文字属性であって、かつ、前記差分画像部分の前記表中の文字属性についてあらかじめ定めた閾値より小さいと判定された場合には、前記差分画像部分のうち、前記差分画像部分が対応する表のセルを特定するとともに、当該セルを識別表示する出力画像情報を生成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理システム。
【請求項7】
基準画像情報及び比較画像情報を取得する画像情報取得手段、
基準画像情報と比較画像情報の差分である差分画像情報を取得する差分画像情報取得手段、
前記基準画像の特徴量に応じて、該基準画像情報に含まれる各要素の属性情報とともに該各要素の位置情報を取得する要素取得手段、
前記差分画像情報に含まれる差分値を有する各差分画像部分の位置情報及び前記要素取得手段により抽出された前記各要素の位置情報に基づいて、前記各差分画像部分の属性を判定する属性判定手段、及び
前記属性判定手段により判定された各差分画像部分の属性と、前記差分画像部分に含まれる差分値に応じた値と、に応じた出力画像情報を生成する出力画像情報生成手段、
としてコンピュータを機能させるための画像処理プログラム。
【請求項1】
基準画像情報及び比較画像情報を取得する画像情報取得手段と、
基準画像情報と比較画像情報の差分である差分画像情報を取得する差分画像情報取得手段と、
前記基準画像の特徴量に応じて、該基準画像情報に含まれる各要素の属性情報とともに該各要素の位置情報を取得する要素取得手段と、
前記差分画像情報に含まれる差分値を有する各差分画像部分の位置情報及び前記要素取得手段により抽出された前記各要素の位置情報に基づいて、前記各差分画像部分の属性を判定する属性判定手段と、
前記属性判定手段により判定された各差分画像部分の属性と、前記差分画像部分に含まれる差分値に応じた値と、に応じた出力画像情報を生成する出力画像情報生成手段と、
を有することを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記画像処理システムは、更に、前記基準画像情報と前記比較画像情報が重なるように、少なくとも一方の画像情報の位置、角度、及び/またはサイズの補正処理を行う補正手段を有し、
前記差分画像情報取得手段は、補正処理が行われた基準画像情報及び/または比較画像情報の差分に基づいて前記差分画像情報を取得することを特徴とする請求項1記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記各差分画像部分の属性は、文字の属性を示す属性、表中の文字の属性を示す表中の文字属性、線の属性を示す線属性、画像の属性を示す画像属性を含むことを特徴とする請求項1または2記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記出力画像生成手段は、
前記各差分画像部分の属性及び該各差分画像部分が対応する前記各要素の位置情報に基づいて、前記差分画像部分に含まれる差分値に応じた値を取得する差分値取得手段と、
前記差分値に応じた値が該属性毎に定められた閾値以上であるか否かを判定する判定手段と、を有し、
前記出力画像情報は、更に、前記判定手段の判定結果に応じた画像情報であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記出力画像生成手段は、前記差分画像部分が表中の文字属性であって、かつ、前記差分画像部分の前記表中の文字属性についてあらかじめ定めた閾値以上であると判定された場合には、前記基準画像情報及び前記比較画像情報で表され、前記差分画像部分を含む表全体を識別表示する画像を表す出力画像情報を生成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記出力画像生成手段は、前記差分画像部分が表中の文字属性であって、かつ、前記差分画像部分の前記表中の文字属性についてあらかじめ定めた閾値より小さいと判定された場合には、前記差分画像部分のうち、前記差分画像部分が対応する表のセルを特定するとともに、当該セルを識別表示する出力画像情報を生成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理システム。
【請求項7】
基準画像情報及び比較画像情報を取得する画像情報取得手段、
基準画像情報と比較画像情報の差分である差分画像情報を取得する差分画像情報取得手段、
前記基準画像の特徴量に応じて、該基準画像情報に含まれる各要素の属性情報とともに該各要素の位置情報を取得する要素取得手段、
前記差分画像情報に含まれる差分値を有する各差分画像部分の位置情報及び前記要素取得手段により抽出された前記各要素の位置情報に基づいて、前記各差分画像部分の属性を判定する属性判定手段、及び
前記属性判定手段により判定された各差分画像部分の属性と、前記差分画像部分に含まれる差分値に応じた値と、に応じた出力画像情報を生成する出力画像情報生成手段、
としてコンピュータを機能させるための画像処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−29982(P2013−29982A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165515(P2011−165515)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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