説明

画像処理システムおよび画像処理装置

【課題】
本発明は、画像処理を実行する複数のプロセッサで高速に処理を実行する専用プロセッサやワークメモリなどの資源を共有して使用する画像処理システムおよび画像処理装置を提供する。
【解決手段】
画像情報の処理手順が記述された命令群のうちの汎用命令を実行する複数の汎用命令演算手段、命令群のうちの画像情報を高速処理するための拡張命令を実行する複数の拡張命令演算手段、複数の汎用命令演算手段からのそれぞれの拡張命令の実行要求に応じて該実行要求元それぞれの汎用命令演算手段と複数の拡張命令演算手段の何れかとを選択的に接続する第1の接続手段、第1の接続手段で接続された汎用命令演算手段で汎用命令を実行させ、該汎用命令演算手段と接続された拡張命令演算手段で拡張命令を実行させて、入力された画像情報を処理する画像処理手段を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システムおよび画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大量の画像データを高速で処理する画像処理装置や画像処理方法が種々提供されている。
【0003】
例えば入力された画像データを処理して用紙上に形成して出力する画像処理装置では、入力画像データに対して行列演算処理、下地除去処理、フィルタ処理、色変換処理、拡大・縮小、画像合成等の各種画像処理を施した後、用紙などに転写、定着して出力する一連の処理動作を高速で行っている。
【0004】
また、入力された画像データを高速に処理するために、各種画像処理に対応した複数のプロセッサで画像データを処理すると共に、各プロセッサに高速に画像処理するための専用の高速プロセッサを具備させ、高速処理を要する画像データに対しては、高速プロセッサで処理することで、画像処理の高速化を図るようにした画像処理装置も提供されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、複数の処理部により一連の複数種別の画像処理を順番に施す場合において自処理部が主に実行する画像処理に対するアーキテクチャを最適化し易くした画像処理装置および画像処理方法が提案されている。
【0006】
また、特許文献2には、画像処理を高速化するためのライン並列処理に対応して、複数の方向からのディザ処理の高速化を可能にする画像処理装置が提案されている。
【0007】
また、特許文献3には、複数の並列に動作可能な画像描画手段を備えた画像形成装置において、描画命令の並列処理速度を向上させた画像処理方法及び画像形成装置が提案されている。
【特許文献1】特開2006−133839号公報
【特許文献2】特開2007−194955号公報
【特許文献3】特開2001−265548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1には、画像処理の汎用命令を実行する複数の汎用命令演算部に画像を高速処理するための専用命令を実行する専用命令演算部をそれぞれ具備させ、画像データを処理する際に、汎用命令を実行する処理の場合は汎用命令演算部で実行し、専用命令を実行する処理の場合は専用命令演算部で処理して一連の画像処理を高速化する構成が開示されている。
【0009】
また、上記特許文献2には、分割された複数の画像データの個々の主走査方向および副走査方向の同期信号をカウント手段によりカウントし、カウント手段でカウントされた値に基づいて分割された複数の画像データの個々のディザマトリクス用のしきい値テーブルを分割された画像データの境界線での処理の連続性を保つようにディザサイズに応じた主走査処理数とすることで、異なる方向からのディザ処理を高速化する構成が開示されている。
【0010】
また、上記特許文献3には、複数の描画命令に対して、複数の画像描画手段で並列に描画を行う画像処理装置において、複数の異なる描画命令による描画領域に重なりが存在するか否かを重なり判定手段にて判定し、重なりが存在し、かつ後続の描画命令が上書き処理である場合には、先行する描画命令におけるその重なり部分を非描画領域として決定した上で、各描画命令と非描画領域のデータを各画像描画手段に送り、各画像描画手段が並列に描画処理を行い、先行命令と、後続命令とを別々の画像描画手段によって並列に処理して描画命令の並列処理度を向上させる構成が開示されている。
【0011】
しかし、上記特許文献1乃至特許文献3には、高速に画像処理するための拡張命令を実行する複数の拡張命令演算部を画像処理の汎用命令を実行する複数の汎用命令演算部で共有し、また、画像処理の際に使用するワークメモリを各命令演算部で共有して使用するようにした構成は、開示されていない。
【0012】
そこで、本発明は、画像処理を実行する複数のプロセッサで高速に処理を実行する専用プロセッサやワークメモリなどの資源を共有して使用する画像処理システムおよび画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、請求項1の発明の画像処理装置は、画像情報の処理手順が記述された命令群のうちの汎用命令を実行する複数の汎用命令演算手段と、前記命令群のうちの前記画像情報を高速処理するための拡張命令を実行する複数の拡張命令演算手段と、前記複数の汎用命令演算手段からのそれぞれの前記拡張命令の実行要求に応じて該実行要求元それぞれの前記汎用命令演算手段と前記複数の拡張命令演算手段の何れかとを選択的に接続する第1の接続手段と、前記第1の接続手段で接続された前記汎用命令演算手段で前記汎用命令を実行させ、該汎用命令演算手段と接続された前記拡張命令演算手段で前記拡張命令を実行させて、入力された画像情報を処理する画像処理手段を具備することを特徴とする。
【0014】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1の接続手段は、前記実行要求元の1つの前記汎用命令演算手段に対して前記複数の拡張命令演算手段の何れかの1つとを選択的に接続する静的接続手段と、前記実行要求元の複数の前記汎用命令演算手段に対して前記複数の拡張命令演算手段の何れかの1つとを割り当て、該割り当てた前記複数の汎用命令演算手段と前記拡張命令演算手段とを時分割で切り替えて接続する動的接続手段と、前記静的接続手段と前記動的接続手段とを組合わせて前記複数の汎用命令演算手段と前記複数の拡張命令演算手段とを接続する静動両用接続手段を具備することを特徴とする。
【0015】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明において、入力された画像情報の負荷情報を取得する取得手段を更に具備し、前記静的接続手段は、前記取得手段で取得した前記負荷情報に基づき前記実行要求元の1つの前記汎用命令演算手段に対して前記複数の拡張命令演算手段の何れかの1つとを選択的に接続し、前記動的接続手段は、前記取得手段で取得した前記負荷情報に基づき前記実行要求元の複数の前記汎用命令演算手段に対して前記複数の拡張命令演算手段の何れかの1つとを割り当て、該割り当てた前記複数の汎用命令演算手段と前記拡張命令演算手段とを時分割で切り替えて接続することを特徴とする。
【0016】
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかの発明において、前記複数の汎用命令演算手段と前記複数の拡張用命令演算手段とで共有可能な作業用の記憶部と、前記複数の汎用命令演算手段または前記複数の拡張命令演算手段からの前記記憶部の使用要求に応じて該使用要求元それぞれの前記汎用命令演算手段または前記拡張命令演算手段と前記記憶部とを選択的に接続する第2の接続手段を具備することを特徴とする。
【0017】
また、請求項5の画像処理システムの発明は、画像情報の処理を指示する指示装置と、前記指示装置からの指示に基づき前記画像情報の処理を実施する画像処理装置を具備し、前記指示装置は、画像情報の処理の負荷を示す負荷情報を生成する負荷情報生成手段と、前記負荷情報生成手段で生成した前記負荷情報を画像情報に付加して前記画像処理装置に送信する送信手段を具備し、前記画像処理装置は、前記送信手段で送信される前記負荷情報が付加された画像情報を受信する受信手段と、画像情報の処理手順が記述された命令群のうちの汎用命令を実行する複数の汎用命令演算手段と、前記命令群のうちの前記画像情報を高速処理するための拡張命令を実行する複数の拡張命令演算手段と、前記画像情報に付加された前記負荷情報を取得する取得手段と、前記取得手段で取得した前記負荷情報に基づき前記複数の汎用命令演算手段からのそれぞれの前記拡張命令の実行要求に応じて該実行要求元それぞれの前記汎用命令演算手段と前記複数の拡張命令演算手段の何れかとを選択的に接続する第1の接続手段と、前記第1の接続手段で接続された前記汎用命令演算手段で前記汎用命令を実行させ、該汎用命令演算手段と接続された前記拡張命令演算手段で前記拡張命令を実行させて、入力された画像情報を処理することを特徴とする。
【0018】
また、請求項6の発明は、前記指示装置は、前記画像処理装置から送信される前記負荷情報に基づく解析結果の解析情報を受信してデータベースに蓄積管理する管理手段を更に具備し、前記画像処理装置は、入力された画像情報の処理における前記複数の拡張命令演算部の使用率および前記複数の汎用命令演算部からの前記拡張命令の実行要求の数の情報を解析する解析部と、前記解析部で解析した解析情報を前記指示装置に送信する送信手段を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明によれば、複数の拡張命令演算部を複数の汎用命令演算部で共有して使用するので、複数の汎用命令演算部それぞれに拡張命令演算部を具備させる場合と比べて回路規模を縮小することができる。
【0020】
また、請求項2記載の発明によれば、画像処理する際に、各命令演算部の処理状態に応じて最適な汎用命令演算部と拡張命令演算部との組み合わせによる処理が実施されるので、画像処理の高速化が図れる。
【0021】
また、請求項3記載の発明によれば、処理前に処理対象データの負荷の大きさが認識でき、負荷の大きい処理対象データを優先的に拡張命令演算部に割り当てて処理させることができるので、画像処理の高速化が図れる。
【0022】
また、請求項4記載の発明によれば、画像処理用のワークメモリを複数の命令演算部で共有して使用するので、ワークメモリを有効利用することができる。
【0023】
また、請求項5記載の発明によれば、処理を要求する装置(要求装置)から処理を実施する装置(処理装置)に対して処理対象データと共に、そのデータの負荷の大きさを示す負荷情報も送信されるので、処理装置は、負荷情報に基づき処理対象データの処理に最適な汎用命令演算部と拡張命令演算部との組み合わせで処理することができる。
【0024】
また、請求項6記載の発明によれば、処理対象データの負荷の大きさを示す負荷情報が高精度に生成されて、処理対象データと共に処理を要求する装置(要求装置)から処理を実施する装置(処理装置)に送信されるので、処理装置は、負荷情報に基づき処理対象データの処理をより最適な汎用命令演算部と拡張命令演算部との組み合わせで処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係わる画像処理システムおよび画像処理装置の一実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明に係わる画像処理システム600の構成の一例を示す構成図である。
【0027】
図1に示すように、画像処理システム600は、複数のクライアントPC4−1、・・・クライアントPC4−n(以下、総称する場合は、「クライアントPC4−n」という。)と画像処理装置3とがLAN(=Local Area Network)等のネットワーク7で接続されている。
【0028】
各クライアントPC4−nは、入力装置(例えばキーボードやマウス等)、出力装置(例えばディスプレイ等)、中央処理装置(例えばCPU)、記憶装置(ROM、RAM、ハードディスク、外部記憶装置等)等で構成された一般的なコンピュータである。
【0029】
尚、CPUは、Central Processing Unit、ROMは、Read Only Memory、RAMは、Random Access Memoryの略である。
【0030】
画像処理装置3は、各クライアントPC4−nとのインタフェース制御、画像処理装置3の動作制御および画像処理等の制御を行う画像処理制御部1と、画像処理制御部1で画像処理された画像データを画像処理装置3が備える用紙上に形成して出力する処理を行う印刷部2とで構成されており、画像処理装置3は、画像処理制御部1を介してネットワーク7と接続される。
【0031】
画像処理システム600には、前述した各クライアントPC4−nおよび画像処理装置3の他に、ネットワーク7に接続される各種装置を管理するサーバ等の各種装置が接続されており、ネットワーク7には画像処理装置3が複数接続されていてもよい。
【0032】
本発明に係わる画像処理装置3は、画像処理における実行負荷が小さく、汎用的な処理を実行するための汎用命令を実行する複数のプロセッサ(以下、「汎用命令演算部」という。)と、実行負荷が大きく、高速に処理するための専用の命令(以下、「拡張命令」という。)を実行する複数のプロセッサ(以下、「拡張命令演算部」という。)とを備え、各汎用命令演算部と各拡張命令演算部とをそれぞれ切替手段で切り替えて接続して、複数の拡張命令演算部を各汎用命令演算部で共有して使用できるように構成されている。
【0033】
この各汎用命令演算部と各拡張命令演算部との切り替え接続の制御は、各汎用命令演算部と各拡張命令演算部とを予め設定された情報(マッピング情報)に基づき1対1で接続する静的切替接続と、予め設定された情報(マッピング情報)に基づき各汎用命令演算部と各拡張命令演算部とをn(複数)対1で割り当て、1つの拡張命令演算部に割り当てられた複数の汎用命令演算部をシステムの負荷状態に応じて時分割で切り替え接続する動的切替接続および静的切替接続と動的切替接続のどちらか一方または双方で各汎用命令演算部と各拡張命令演算部とを切り替えて接続する静動両用接続の各制御方法があり、これらの制御は、主に画像処理制御部1により行われる。
【0034】
図2は、画像処理制御部1の構成の詳細を示す構成図である。
【0035】
図2に示すように、画像処理制御部1は、ASIC(=Application Specific Integrated Circuit)の集積回路で構成されたマルチCPU(=Central Processing Unit)のプロセッサてあり、画像処理における汎用命令を実行する複数の汎用命令演算部10〜80、画像処理における浮動小数点やハーフトーンなどの処理を高速に行うための拡張命令を実行する複数の拡張命令演算部310〜360、拡張命令スケジューラ200、外部インタフェース(以下、「外部I/F」)90、メモリコントローラ110を備えており、複数の汎用命令演算部10〜80と外部I/F90およびメモリコントローラ110がシステムバス130で接続されている。
【0036】
また、複数の汎用命令演算部(プロセッサ)10〜80と複数の拡張命令演算部310〜360とは、拡張命令スケジューラ200を介して接続されており、拡張命令スケジューラ200は、各汎用命令演算部(プロセッサ)10〜80と各拡張命令演算部310〜360との接続を切り替えて接続する制御を行う。
【0037】
また、画像処理制御部1には、図示せぬ主制御部がシステムバス130を介して接続されており、この主制御部が画像処理制御部1全体を統括制御するように構成されている。
【0038】
また、メモリコントローラ110にはSDRAM(=Synchronous Dynamic Random Access Memory)などの外部メモリ120が接続されており、メモリコントローラ110は、外部メモリ120とのデータの入出力を制御してデータの入出力を管理する。
【0039】
外部I/F90は、ネットワーク7または画像処理装置3とは他の装置(以下、「外部装置」という。)と接続し、ネットワーク7を介して接続されたクライアントPC4−n等の外部装置または直接接続された外部装置とデータ信号や制御信号の授受の制御を行う。
【0040】
クライアントPC4−nから画像処理装置3に対して処理要求と共に送信される画像データや処理条件などの各種情報を含む画像情報は、ネットワーク7を介して外部I/F90で受信される。
【0041】
尚、図2では、各拡張命令演算部310〜360の一例として、拡張命令演算部310が浮動少数点処理ユニット(拡張命令演算部(FPU))、拡張命令演算部320が色変換専用命令の演算を行う色変換専用命令演算部、拡張命令演算部330〜拡張命令演算部360がハーフトーン(=HT)処理の専用命令の演算を行うHT専用命令演算部で構成された一例を示してあるが、この構成に限定されるものではなく、各種汎用命令を実行する汎用命令演算部と各種拡張命令の演算を行う拡張命令演算部を構成することが可能である。
【0042】
また、汎用命令演算部数、拡張命令演算部数、汎用命令演算部と拡張命令演算部の構成比率は、特に制限されるものではなく、拡張命令スケジューラ200によって任意の汎用命令演算部と任意の拡張命令演算部とを接続することが可能である。
【0043】
次に、各汎用演算命令部(プロセッサ)10〜80の構成について図3を参照して説明する。
【0044】
図3は、各汎用演算命令部(プロセッサ)10〜80の内部構成の一例を示す構成図であり、図3は、説明の便宜上、汎用演算命令部(プロセッサ)10の内部構成の一例を示したものであるが、他の各汎用演算命令部(プロセッサ)20〜80も汎用演算命令部(プロセッサ)10と同様に構成されており、各汎用演算命令部(プロセッサ)20〜80の説明は省略する。
【0045】
図3に示すように、汎用演算命令部(プロセッサ)10は、命令演算部101、データ管理部102、メモリインタフェース(以下、「メモリI/F」)103、データキャッシュ104、データRAM105、拡張命令インタフェース(以下、「拡張命令I/F」)106、命令管理部107、命令キャッシュ108、命令RAM109を備えている。
【0046】
命令演算部101は、メモリI/F103とデータキャッシュ104とデータRAM105とに接続されたデータ管理部102および命令キャッシュ108と命令RAM109とに接続された命令管理部107と接続され、命令キャッシュ108や命令RAM109に記憶される汎用命令に基づきデータキャッシュ104やデータRAM105を使用してデータの演算を行う。
【0047】
データ管理部102は、メモリI/F103とデータキャッシュ104とデータRAM105のデータの入出力を制御してプログラムの汎用命令実行時のデータの入出力を管理する。
【0048】
メモリI/F103は、システムバス130やメモリコントローラ110を介して接続された外部メモリ120などのメモリとのデータの入出力のインタフェース制御を行う。
【0049】
データキャッシュ104は、ロードされたデータや演算結果を一時的に格納する高速RAMである。
【0050】
データRAM105は、汎用演算命令部(プロセッサ)10に内蔵されたデータ格納用の高速の内部RAMである。
【0051】
拡張命令I/F106は、データ管理部102および命令管理部107と接続されており、拡張命令スケジューラ200の後述するセレクタ部210(図5参照)を介して各拡張命令演算部310〜360に接続され、汎用演算命令部(プロセッサ)10と各拡張命令演算部310〜360との間でデータの入出力のインタフェース制御を行う。
【0052】
命令管理部107は、命令キャッシュ108および命令RAM109の命令の入出力を制御してプログラム実行時の命令の入出力を管理する。
【0053】
命令キャッシュ108は、フェッチされた命令や実行後の命令を一時的に格納する高速RAMである。
【0054】
命令RAM109は、汎用演算命令部(プロセッサ)10に内蔵された命令格納用の高速の内部RAMである。
【0055】
次に、各拡張命令演算部310〜360の構成について図4を参照して説明する。
【0056】
図4は、各拡張命令演算部310〜360の内部構成の一例を示す構成図であり、図4は、説明の便宜上、拡張命令演算部(FPU)310の内部構成の一例を示したものであるが、他の各拡張命令演算部320〜360もそれぞれの専用の拡張命令を実行するように構成された他は、拡張命令演算部(FPU)310と同様に構成されており、各拡張命令演算部320〜360の説明は省略する。
【0057】
図4に示すように、拡張命令演算部(FPU)310は、命令演算部311、データ管理部312、メモリインタフェース(以下、「メモリI/F」)313、データRAM314、汎用命令インタフェース(以下、「汎用命令I/F」)315を備えている。
【0058】
命令演算部311は、データRAM314とメモリI/F313とに接続されたデータ管理部312と汎用命令I/F315とに接続され、各汎用演算命令部(プロセッサ)10〜80から拡張命令スケジューラ200のセレクタ部210および拡張命令I/F315を介して入力される拡張命令に基づきデータRAM314を使用してデータの高速演算を行う。
【0059】
データ管理部312は、メモリI/F313とデータRAM314のデータの入出力を制御して拡張命令実行時のデータの入出力を管理する。
【0060】
メモリI/F313は、システムバス130およびメモリコントローラ110を介して外部メモリ120に接続し、データの入出力のインタフェース制御を行う。
【0061】
汎用命令I/F315は、命令演算部311と接続されており、拡張命令スケジューラ200の後述するセレクタ部210(図5参照)を介して各汎用演算命令部(プロセッサ)10〜80に接続され、拡張命令演算部(FPU)310と各汎用演算命令部(プロセッサ)10〜80との間でデータの入出力のインタフェース制御を行う。
【0062】
次に、拡張命令スケジューラ200の構成について図5を参照して説明する。
【0063】
図5は、拡張命令スケジューラ200の構成の一例を示す構成図であり、図5に示すように、拡張命令スケジューラ200は、セレクタ部210、調停制御部220を備え、セレクタ部210は、調停制御部220から指示される接続制御の方法およびその接続制御の際に参照される後述の機能割当テーブル230や設定レジスタ240およびモードレジスタ250の各設定情報に基づき各汎用命令演算部10〜80と各拡張命令演算部310〜360との接続の切り替え制御を行う。
【0064】
調停制御部220は、調停制御部内部設定インタフェース(以下、「調停制御部内部設定I/F」という。)221と、静的割当制御部222と、動的割当制御部223と、負荷監視部224とで構成されており、ユーザの指示またはシステムの負荷状態に基づき前述した静的切替接続、動的切替接続および静動両用接続の各接続制御による各汎用命令演算部10〜80と各拡張命令演算部310〜360との切り替え接続をセレクタ部210に指示して制御する。
【0065】
調停制御部220の調停制御部内部設定I/F221は、調停制御部220とシステムバス130との間のデータの入出力の制御を行い、調停制御部内部設定I/F221に接続された静的割当制御部222と動的割当制御部223と負荷監視部224との間およびこれらの各部とシステムバス130との間のデータの入出力の制御を行う。
【0066】
静的割当制御部222は、各汎用命令演算部10〜80と各拡張命令演算部310〜360との静的切替接続の制御を行う部であり、静的割当制御部222には各汎用命令演算部10〜80と各拡張命令演算部310〜360とを1対1で接続するための情報(マッピング情報)が図6に示すような機能割当テーブル230で記憶され、この機能割当テーブル230に基づき各汎用命令演算部10〜80と各拡張命令演算部310〜360との静的切替接続を行う。
【0067】
機能割当テーブル230は、図6に示すように、各汎用命令演算部10〜80の識別情報を示す汎用命令演算部IDおよび各拡張命令演算部の識別情報を示す拡張命令演算部IDとで構成されており、汎用命令演算部IDに記録された各汎用命令演算部10〜80と接続する各拡張命令演算部310〜360が1対1で対応付けされた機能割当情報(設定値)て管理されている。
【0068】
この機能割当テーブル230において、例えば機能割当情報231は、汎用命令演算部10と拡張命令演算部310とを接続することを示している。
【0069】
機能割当テーブル230に記録された各機能割当情報(設定情報)は、ユーザまたは負荷監視部224により書き換えられるまで維持されて記憶される。
【0070】
動的割当制御部223は、各汎用命令演算部10〜80と各拡張命令演算部310〜360との動的切替接続の制御を行う部であり、動的割当制御部223には各汎用命令演算部10〜80と各拡張命令演算部310〜360とをn対1で割り当て、1つの拡張命令演算部に割り当てられた複数の汎用命令演算部をシステムの負荷状態に応じて時分割で切り替え接続するための調停方法や接続する各汎用命令演算部の優先順位などの情報を記憶する設定レジスタ240を備えている。
【0071】
設定レジスタ240には、図7に示すように、各汎用命令演算部の識別情報を示す汎用命令演算部IDおよび各拡張命令演算部の識別情報を示す拡張命令演算部IDの各設定情報が記憶されており、汎用命令演算部IDで示される複数の汎用命令演算部と共有して接続される拡張命令演算部IDで示される1つの拡張命令演算部が対応付けされて設定されている。
【0072】
設定レジスタ240の設定情報において、例えば設定情報241は、複数の汎用命令演算部10、20、30に拡張命令演算部310を割り当て、各汎用命令演算部10、20、30をシステムの負荷状態に応じて時分割で拡張命令演算部10と切り替え接続することを示している。
【0073】
この場合は、汎用命令演算部10、20、30の優先順位で各汎用命令演算部が時分割で拡張命令演算部310と接続される。
【0074】
設定レジスタ240に記憶された各設定情報は、ユーザまたは負荷監視部224により書き換えられるまで維持されて記憶され、その各設定情報に基づく調停方法や優先順位で各汎用命令演算部と拡張命令演算部との割り当ておよび接続が維持される。
【0075】
負荷監視部224は、システムの負荷状態を監視し、ユーザの指示またはシステムの負荷状態に応じて静的切替接続、動的切替接続および静動両用接続の何れかの制御方法で各汎用命令演算部と各拡張命令演算部とを切り替え接続する制御を行う部であり、このような制御を行うための情報を記憶するモードレジスタ250を備えている。
【0076】
モードレジスタ250は、図8に示すように、「静的割当制御による制御」、「動的割当制御による制御」、「負荷監視部による制御」の各項目に対応する設定値を記憶する記憶領域を備えており、「静的割当制御による制御」の項目の記憶領域には、静的切替接続の実施および優先有無の情報が記憶され、「動的割当制御による制御」の項目の記憶領域には、動的切替接続の実施および優先有無の情報が記憶され、「負荷監視部による制御」の項目の記憶領域には、静動両用接続の実施および優先有無の情報が記憶される。
【0077】
調停制御部220は、このモードレジスタ250の設定情報に基づきユーザーにより設定された各設定情報と負荷監視部224により設定された各設定情報のどちらを優先して実施するかを選択し、静的割当制御部222の機能割当テーブル230および動的割当制御部223の設定レジスタ240の各設定情報を書き換える。
【0078】
尚、負荷監視部224は、システムの負荷状態に応じて静的割当制御部222の機能割当テーブル230や動的割当制御部223の設定レジスタ240の各設定情報を生成して自動的に設定できるように構成されている。
【0079】
モードレジスタ250の設定情報としては、例えば9パターンの組み合わせが可能であり、例えばパターン1の設定情報251は、静的割当制御部222による静的切替接続の制御および動的割当制御部223による動的切替接続の制御をユーザにより設定された機能割当情報231および設定レジスタ240の各設定情報に基づき行い、負荷監視部224による機能割当情報231および設定レジスタ240の各設定情報の自動設定を行わないことを示している。
【0080】
モードレジスタ250の各設定情報は、ユーザまたは管理者が画像処理装置3が備える図示せぬ操作画面のモード設定画面から静的切替接続、動的切替接続および静動両用接続の実施有無およびユーザ設定または自動設定の何れを優先して実施するかを選択設定するように構成されており、この操作で設定された設定情報がモードレジスタ250に記憶される。
【0081】
また、静的割当制御部222の機能割当テーブル230、動的割当制御部223の設定レジスタ240、負荷監視部224のモードレジスタ250の各設定情報は、システムバス130および外部I/F90を介して接続されたクライアントPC4−1からユーザが任意に設定することも可能であり、これらの各設定情報は、書き換えされない限り維持される。
【0082】
また、静的切替接続、動的切替制御および静動両用接続により各汎用命令演算部10〜80と各拡張命令演算部310〜360とが接続された状態は、静的割当制御部222、動的割当制御部223および負荷監視部224の各部の各設定情報が変更されて切り替え接続されるまで維持される。
【0083】
また、拡張命令演算部と接続されない汎用命令演算部は、高速演算処理を持たない汎用命令演算部(プロセッサ)として動作する。
【0084】
このように構成された画像処理制御部1が画像処理を行う際に汎用命令演算部10〜80と各拡張命令演算部310〜360とを切り替え接続する制御動作について、図9の流れ図を参照して説明する。
【0085】
図9に示すように、クライアントPC4−nからの印刷要求と共に送信される画像データや処理条件などの各種情報を含む画像情報を画像処理装置3の画像処理制御部1が受信すると、画像処理制御部1の図示せぬ主制御部は、拡張命令スケジューラ200に対して各汎用命令演算部10〜80と各拡張命令演算部310〜360との切り替え接続を要求する。
【0086】
拡張命令スケジューラ200が主制御部からの各汎用命令演算部10〜80と各拡張命令演算部310〜360との接続要求を受信すると、拡張命令スケジューラ200の調停制御部220は、負荷監視部224のモードレジスタ250に設定されている設定情報に基づき静的切替接続を実施するか否かを判断する(S101)。
【0087】
負荷監視部224のモードレジスタ250には、ユーザまたは管理者により画像処理装置3が備える図示せぬ操作画面のモード設定画面から静的切替接続や動的切替接続の実施有無およびユーザ設定または自動設定の何れを優先して実施するかなどの各種設定情報(図8参照)が設定されており、調停制御部220は、各設定情報のうちの「静的割当制御による制御」項目に対応する設定値に基づき静的切替接続を実施するか否かを判断する。
【0088】
S101において、静的切替接続を実施すると判断した場合は(S101でYES)、静的切替接続を実施する際に参照する機能割当テーブル230にユーザ設定の各設定情報を優先して設定するかまたは負荷監視部224がシステムの負荷状態に応じて自動的に生成する設定情報を優先して設定するかを判断する(S102)。
【0089】
S102において、ユーザ設定の設定情報を優先して機能割当テーブル230に設定すると判断した場合には(S102でYES)、機能割当テーブル230に設定する各設定情報をクライアントPC4−nから取得し、取得した各設定情報で機能割当テーブル230の各設定情報を書き換える(S103)。
【0090】
この場合は、負荷監視部224は、機能割当テーブル230に設定する各設定情報の取得要求を調停制御部内部設定I/F221を介して画像処理制御部1の主制御部に要求し、主制御部がシステムバス130、外部I/F90およびネットワーク7を介してクライアントPC4−nに機能割当テーブル230の各設定情報の送信を要求する。
【0091】
一方、画像処理制御部1から機能割当テーブル230の各設定情報の送信要求を受信したクライアントPC4−nは、機能割当テーブル230の各設定情報を設定する図示せぬ設定画面をクライアントPC4−nの表示画面に表示させ、ユーザにより入力された各設定値を画像処理制御部1へ送信する。
【0092】
クライアントPC4−nから送信された機能割当テーブル230の各設定情報は、ネットワーク7および画像処理制御部1の外部I/F90を介して受信され、受信された各設定情報は、システムバス130および調停制御部内部設定I/F221を介して拡張命令スケジューラ200の調停制御部220に転送され、転送された各設定情報で静的割当制御部222の機能割当テーブル230が負荷監視部224の制御に基づき書き換えられる。
【0093】
S102において、機能割当テーブル230の各設定情報を負荷監視部224がシステムの負荷状態に応じて自動的に生成する設定情報を優先して設定すると判断した場合には(S102でNO)、負荷監視部224がシステムの負荷状態に応じて機能割当テーブル230の各設定情報を自動生成して設定する(S104)。
【0094】
この場合は、負荷監視部224は、各汎用命令演算部10〜80や各拡張命令演算部310〜360の処理状態を確認し、各汎用命令演算部10〜80や各拡張命令演算部310〜360の負荷が偏らないように各汎用命令演算部10〜80と各拡張命令演算部310〜360とを接続するような各設定情報を自動生成し、生成した各設定情報で機能割当テーブル230を書き換える。
【0095】
S103またはS104において、静的割当制御部222の機能割当テーブル230の各設定情報が設定されると、調停制御部220は、負荷監視部224のモードレジスタ250に設定されている「動的割当制御による制御」の項目に対応する設定値に基づき動的切替接続を実施するか否かを判断する(S105)。
【0096】
S105において、動的切替接続を実施すると判断した場合は(S105でYES)、動的切替接続を実施する際に参照する設定レジスタ240にユーザ設定の各設定情報を優先して設定するかまたは負荷監視部224がシステムの負荷状態に応じて自動的に生成する設定情報を優先して設定するかを判断する(S106)。
【0097】
S106において、ユーザ設定の設定情報を優先して設定レジスタ240に設定すると判断した場合には(S106でYES)、設定レジスタ240に設定する各設定情報をクライアントPC4−nから取得して設定レジスタ240に設定する(S107)。
【0098】
この場合、負荷監視部224は、クライアントPC4−nから機能割当テーブル230に設定する各設定情報を取得する場合と同様に、設定レジスタ240に設定する各設定情報の取得要求を画像処理制御部1の主制御部を介してクライアントPC4−nに要求し、クライアントPC4−nは、設定レジスタ240の設定情報の取得要求に対して各設定情報を設定する図示せぬ設定画面を表示画面に表示させ、ユーザにより入力された各設定値を画像処理制御部1へ送信する。
【0099】
クライアントPC4−nから送信された各設定情報は、画像処理制御部1の拡張命令スケジューラ200の調停制御部220に転送され、転送された各設定情報は、負荷監視部224の制御により動的割当制御部223の設定レジスタ240に設定される。
【0100】
S106において、設定レジスタ240の各設定情報を負荷監視部224がシステムの負荷状態に応じて自動的に生成する設定情報を優先して設定すると判断した場合には(S106でNO)、負荷監視部224がシステムの負荷状態に応じて設定レジスタ240の各設定情報を自動生成して設定する(S108)。
【0101】
この場合は、負荷監視部224は、各汎用命令演算部10〜80や各拡張命令演算部310〜360の処理状態を確認し、各汎用命令演算部10〜80や各拡張命令演算部310〜360の負荷が偏らないように各汎用命令演算部10〜80と各拡張命令演算部310〜360とをn(複数)対1で割り当て、割り当てられた各汎用命令演算部10〜80と各拡張命令演算部310〜360との接続およびその接続の優先順位などの各設定情報を自動生成し、生成した各設定情報を設定レジスタ240に設定する。
【0102】
次に、画像処理装置3とは異なる本発明に係わる画像処理装置33で構成された画像処理システム610について説明する。
【0103】
図10は、本発明に係わる画像処理システム610の構成の一例を示す構成図であり、 図10において、画像処理システム610を構成する画像処理装置33が備える各部のうちの画像処理装置3と同様に構成されて動作する各部には、説明の便宜上、画像処理装置3と同一の符号を付し、同一符号の各部の説明は省略または簡略して説明するものとする。
【0104】
図10に示すように、画像処理システム610は、複数のクライアントPC5−1、・・・クライアントPC5−n(以下、総称する場合は、「クライアントPC5−n」という。)と画像処理装置33とがLAN等のネットワーク7で接続されている。
【0105】
クライアントPC5−nは、画像データの頁数、指定色、バンド単位毎のデータ量などの負荷情報を生成する負荷情報生成手段と、生成した負荷情報、画像情報および拡張命令スケジューラ260からフィードバックされる負荷情報の解析結果をクライアントPC5−nが備えるそれぞれのデータベース(負荷情報DB)6−1、・・・6−n(以下、総称する場合は、「負荷情報DB6−n」という。)にデータベース化して管理する管理手段を備えて構成されている他は、画像処理システム600の各クライアントPC4−nと同様に構成された一般的なコンピュータである。
【0106】
画像処理装置33は、画像処理制御部11と印刷部2とで構成されており、画像処理装置33は、画像処理制御部11が備える後述の拡張命令スケジューラ260の構成が前述した画像処理制御部1(画像処理装置3)の拡張命令スケジューラ200と異なるように構成された他は、画像処理装置3と同様に構成されている。
【0107】
拡張命令スケジューラ260は、セレクタ部210、調停制御部270を備えており、調停制御部270は、調停制御部内部設定I/F221と、静的割当制御部222と、動的割当制御部223と、負荷情報解析部274とで構成されている。
【0108】
拡張命令スケジューラ260は、調停制御部270が前述した調停制御部220(画像処理装置3の拡張命令スケジューラ200)の負荷監視部224を負荷情報解析部274と置き換えて構成され、負荷情報解析部274がクライアントPC4−nから処理要求と共に送信される画像データに付加された負荷情報に基づき静的割当制御部222の機能割当テーブル230および動的割当制御部223の設定レジスタ240の各設定情報を設定するように構成された他は、拡張命令スケジューラ200と同様に構成されている。
【0109】
このように構成された画像処理制御部11が画像処理を行う際に汎用命令演算部10〜80と各拡張命令演算部310〜360とを切り替え接続する制御動作について、図11の流れ図を参照して説明する。
【0110】
図11に示すように、クライアントPC5−nからの印刷要求と共に送信される画像データおよび負荷情報、処理条件などの各種情報を含む画像情報700を画像処理装置33の画像処理制御部11が受信すると(S201)、画像処理制御部11の図示せぬ主制御部は、拡張命令スケジューラ260に対して各汎用命令演算部10〜80と各拡張命令演算部310〜360との切り替え接続を要求する。
【0111】
尚、画像情報700は、図12に示すように、ヘッダ部710とデータ部720とで構成されており、負荷情報は、処理条件などの各種情報を記録するヘッダ部710に記録されている。
【0112】
また、負荷情報は、画像データの頁数、指定色、バンド単位毎のデータ量などの情報が記録されている。
【0113】
拡張命令スケジューラ260が主制御部からの各汎用命令演算部10〜80と各拡張命令演算部310〜360との接続要求を受信すると、拡張命令スケジューラ260の負荷情報解析部274は、負荷情報解析部274のモードレジスタ250に設定されている「静的割当制御による制御」の項目に対応する設定値に基づき静的切替接続を実施するか否かを判断する(S202)。
【0114】
S202において、静的切替接続を実施すると判断した場合は(S202でYES)、負荷情報解析部274が負荷情報に基づき静的切替接続を実施する際に参照する機能割当テーブル230の各設定情報を生成し、生成した各設定情報で機能割当テーブル230の各設定情報を書き換える(S203)。
【0115】
S203において、機能割当テーブル230の各設定情報が設定されると、負荷情報解析部274は、モードレジスタ250に設定されている「動的割当制御による制御」の項目に対応する設定値に基づき動的切替接続を実施するか否かを判断する(S204)。
【0116】
S204において、動的切替接続を実施すると判断した場合は(S204でYES)、動的切替接続を実施する際に参照する設定レジスタ240の各設定情報を生成し、生成した各設定情報で設定レジスタ240の各設定情報を書き換える(S205)。
【0117】
S205において、設定レジスタ240の各設定情報が設定され、機能割当テーブル230および設定レジスタ240の各設定情報に基づき静的切替接続、動的切替制御および静動両用接続により各汎用命令演算部10〜80と各拡張命令演算部310〜360とが切り替え接続されて画像処理が実施されると、負荷情報解析部274は、各拡張命令演算部310〜360の使用率、各汎用命令演算部10〜80から各拡張命令演算部310〜360への処理要求の数、処理要求に対する応答率等の情報を解析し、その解析結果の解析データを印刷要求したクライアントPC5−nへ送信してフィードバックする(S206)。
【0118】
一方、解析結果がフィードバックされたクライアントPC5−nは、解析データを基に画像データと解析データをデータベース化して負荷情報DB6−nに蓄積保存し、次回の負荷情報作成時に使用して精度を向上させた負荷情報を生成する。
【0119】
次に、画像処理装置33とは異なる本発明に係わる画像処理装置34で構成された画像処理システム620について説明する。
【0120】
図13は、画像処理システム600、610とは異なる本発明に係わる画像処理システム620の構成の一例を示す構成図であり、画像処理システム620は、画像処理装置3および画像処理装置33と異なる構成の画像処理装置34が複数のクライアントPC4−nが接続されたネットワーク7に接続されている他は、画像処理システム600と同様に構成されている。
【0121】
図13において、画像処理装置34を構成する各部のうちの画像処理装置3(図2参照)と同様に構成されて動作する各部には、説明の便宜上、画像処理装置3と同一の符号を付し、同一符号の各部の説明は省略または簡略して説明するものとする。
【0122】
画像処理装置34は、画像処理制御部12と印刷部2とで構成されており、画像処理制御部12は、複数の汎用命令演算部10〜80、ハーフトーンなどの処理を高速に行うための拡張命令を実行する複数の拡張命令演算部330〜350、拡張命令スケジューラ200、外部I/F90、メモリコントローラ110、ワークメモリスケジューラ400、命令処理用ワークメモリ500を備えており、複数の汎用命令演算部10〜80と外部I/F90とメモリコントローラ110およびワークメモリスケジューラ400がシステムバス130で接続されている。
【0123】
また、複数の汎用命令演算部(プロセッサ)10〜80と複数の拡張命令演算部330〜350とは、拡張命令スケジューラ200を介して接続されており、複数の拡張命令演算部330〜350と命令処理用ワークメモリ500とは、ワークメモリスケジューラ400を介して接続されている。
【0124】
また、複数の汎用命令演算部(プロセッサ)10〜80と命令処理用ワークメモリ500とは、拡張命令スケジューラ200およびワークメモリスケジューラ400を介して接続されている。
【0125】
命令処理用ワークメモリ500は、各汎用命令演算部10〜80および各拡張命令演算部330〜350が各命令の実行の際に使用する各種パラメータが記憶し、また、各命令実行の際にワークメモリとしてデータなどを記憶する。
【0126】
また、ワークメモリスケジューラ400は、調停部410、データ選択部420、画像データバッファ430、外部記憶制御部431、ワークメモリバッファ440、ワークメモリ制御部441を備えており、調停部410は、各拡張命令演算部330〜350からの処理要求に基づき画像データおよび当該処理に必要な各種パラメータを外部メモリ120や命令処理用ワークメモリ500からの読み出しの調整制御を行う。
【0127】
データ選択部420は、調停部410からの指示に基づき各拡張命令演算部330〜350と画像データバッファ430およびワークメモリバッファ440との接続の切り替え制御を行う。
【0128】
画像データバッファ430は、外部記憶制御部431の制御により入出力する画像データを一時的に記憶する。
【0129】
外部記憶制御部431は、外部記憶装置とワークメモリスケジューラ400との間のデータの入出力制御を行う。
【0130】
ワークメモリバッファ440は、ワークメモリ制御部441の制御により命令処理用ワークメモリ500から読み込まれた各種パラメータなどのデータを一時的に記憶する。
【0131】
ワークメモリ制御部441は、命令処理用ワークメモリ500とワークメモリスケジューラ400との間のデータの入出力制御を行う。
【0132】
このように、画像処理制御部12は、ワークメモリスケジューラ400と命令処理用ワークメモリ500とを備え、複数の汎用命令演算部(プロセッサ)10〜80または複数の拡張命令演算部330〜350と命令処理用ワークメモリ500とをワークメモリスケジューラ400を介して接続し、命令処理用ワークメモリ500を複数の汎用命令演算部(プロセッサ)10〜80または複数の拡張命令演算部330〜350で共用して使用できるように構成した他は、画像処理制御部1(画像処理装置3)と同様に構成されている。
【0133】
このように構成された画像処理制御部12が画像処理を行う際に各汎用命令演算部10〜80または各拡張命令演算部310〜360と命令処理用ワークメモリ500とを切り替え接続する制御動作について、図14の流れ図を参照して説明する。
【0134】
図14に示すように、ワークメモリスケジューラ400の調停部410は、各汎用命令演算部10〜80または各拡張命令演算部310〜360からの処理要求を受信すると(S301、S301でYES)、処理要求のあった各汎用命令演算部または各拡張命令演算部の種類やその数に応じて各汎用命令演算部または各拡張命令演算部による処理に必要な画像データや各種パラメータおよびそれらのデータ量の読み出しの制御を外部記憶制御部431とワークメモリ制御部441とに指示する。
【0135】
調停部410から制御の指示を受けた外部記憶制御部431およびワークメモリ制御部441は、外部記憶制御部431が外部メモリから画像データを順次読み出して画像データバッファ430に記憶させ、ワークメモリ制御部441が命令処理用ワークメモリ500から画像処理に必要な各種パラメータなどのデータを順次読み出してワークメモリバッファ440に記憶させる(S302、S303)。
【0136】
各バッファに画像データおよび各種パラメータがそれぞれ記憶されると、調停部410は、処理要求のあった各汎用命令演算部または各拡張命令演算部と画像データバッファ430およびワークメモリバッファ440との接続を順次切り替えて接続し(S304)、接続された汎用命令演算部または拡張命令演算部が画像データバッファ430に記憶された画像データおよびワークメモリバッファ440に記憶された各種パラメータを取り込んで汎用命令または拡張命令を実行する(S305)。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明は、複数のプロセッサで構成される装置の専用のプロセッサやワークメモリなどの資源を複数のプロセッサで共有して使用する技術に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明に係わる画像処理システム600の構成の一例を示す構成図
【図2】画像処理制御部1の構成の詳細を示す構成図
【図3】汎用演算命令部(プロセッサ)10〜80の内部構成の一例を示す構成図
【図4】拡張命令演算部310〜360の内部構成の一例を示す構成図
【図5】拡張命令スケジューラ200の構成の一例を示す構成図
【図6】機能割当テーブル230の構成および設定情報の一例を示す図
【図7】設定レジスタ240の構成および設定情報の一例を示す図
【図8】モードレジスタ250の構成および設定情報の一例を示す図
【図9】画像処理制御部1による各汎用命令演算部と各拡張命令演算部との切り替え接続の制御動作の流れ図を示す図
【図10】本発明に係わる画像処理システム610の構成の一例を示す構成図
【図11】画像処理制御部11による各汎用命令演算部と各拡張命令演算部との切り替え接続の制御動作の流れ図を示す図
【図12】画像情報700の構成の一例を示す図
【図13】本発明に係わる画像処理システム620の構成の一例を示す構成図
【図14】画像処理制御部12による各汎用命令演算部または各拡張命令演算部と命令処理用ワークメモリとの切り替え接続の制御動作の流れ図を示す図
【符号の説明】
【0139】
1、11、12 画像処理制御部
2 印刷部
3、33、34 画像処理装置
4−1、4−n、5−1、5−n クライアントPC
6−1、6−n 負荷情報DB(データベース)
7 ネットワーク
10、20、30、40、50、60、70、80 汎用命令演算部
90 外部インタフェース(外部I/F)
101、311 命令演算部
102、312 データ管理部
103、313 メモリインタフェース(メモリI/F)
104 データキャッシュ
105、314 データRAM
106 拡張命令インタフェース(拡張命令I/F)
107 命令管理部
108 命令キャッシュ
109 命令RAM
110 メモリコントローラ
120 外部メモリ
130 システムバス
200、260 拡張命令スケジューラ
210 セレクタ部
220、270 調停制御部
221 調停制御部内部設定インタフェース(調停制御部内部設定I/F)
222 静的割当制御部
223 動的割当制御部
224 負荷監視部
230 機能割当テーブル
240 設定レジスタ
250 モードレジスタ
274 負荷情報解析部
310、320、330、340、350、360 拡張命令演算部
315 汎用命令インタフェース(汎用命令I/F)
400 ワークメモリスケジューラ
410 調停部
420 データ選択部
430 画像データバッファ
431 外部記憶制御部
440 ワークメモリバッファ
441 ワークメモリ制御部
500 命令処理用ワークメモリ
600、610、620 画像処理システム
700 画像情報
710 ヘッダ部
720 データ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報の処理手順が記述された命令群のうちの汎用命令を実行する複数の汎用命令演算手段と、
前記命令群のうちの前記画像情報を高速処理するための拡張命令を実行する複数の拡張命令演算手段と、
前記複数の汎用命令演算手段からのそれぞれの前記拡張命令の実行要求に応じて該実行要求元それぞれの前記汎用命令演算手段と前記複数の拡張命令演算手段の何れかとを選択的に接続する第1の接続手段と、
前記第1の接続手段で接続された前記汎用命令演算手段で前記汎用命令を実行させ、該汎用命令演算手段と接続された前記拡張命令演算手段で前記拡張命令を実行させて、入力された画像情報を処理する画像処理手段
を具備する画像処理装置。
【請求項2】
前記第1の接続手段は、
前記実行要求元の1つの前記汎用命令演算手段に対して前記複数の拡張命令演算手段の何れかの1つとを選択的に接続する静的接続手段と、
前記実行要求元の複数の前記汎用命令演算手段に対して前記複数の拡張命令演算手段の何れかの1つとを割り当て、該割り当てた前記複数の汎用命令演算手段と前記拡張命令演算手段とを時分割で切り替えて接続する動的接続手段と、
前記静的接続手段と前記動的接続手段とを組合わせて前記複数の汎用命令演算手段と前記複数の拡張命令演算手段とを接続する静動両用接続手段
を具備する請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
入力された画像情報の負荷情報を取得する取得手段を
更に具備し、
前記静的接続手段は、
前記取得手段で取得した前記負荷情報に基づき前記実行要求元の1つの前記汎用命令演算手段に対して前記複数の拡張命令演算手段の何れかの1つとを選択的に接続し、
前記動的接続手段は、
前記取得手段で取得した前記負荷情報に基づき前記実行要求元の複数の前記汎用命令演算手段に対して前記複数の拡張命令演算手段の何れかの1つとを割り当て、該割り当てた前記複数の汎用命令演算手段と前記拡張命令演算手段とを時分割で切り替えて接続する請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記複数の汎用命令演算手段と前記複数の拡張用命令演算手段とで共有可能な作業用の記憶部と、
前記複数の汎用命令演算手段または前記複数の拡張命令演算手段からの前記記憶部の使用要求に応じて該使用要求元それぞれの前記汎用命令演算手段または前記拡張命令演算手段と前記記憶部とを選択的に接続する第2の接続手段
を具備する請求項1乃至3記載の画像処理装置。
【請求項5】
画像情報の処理を指示する指示装置と、
前記指示装置からの指示に基づき前記画像情報の処理を実施する画像処理装置
を具備し、
前記指示装置は、
画像情報の処理の負荷を示す負荷情報を生成する負荷情報生成手段と、
前記負荷情報生成手段で生成した前記負荷情報を画像情報に付加して前記画像処理装置に送信する送信手段
を具備し、
前記画像処理装置は、
前記送信手段で送信される前記負荷情報が付加された画像情報を受信する受信手段と、 画像情報の処理手順が記述された命令群のうちの汎用命令を実行する複数の汎用命令演算手段と、
前記命令群のうちの前記画像情報を高速処理するための拡張命令を実行する複数の拡張命令演算手段と、
前記画像情報に付加された前記負荷情報を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した前記負荷情報に基づき前記複数の汎用命令演算手段からのそれぞれの前記拡張命令の実行要求に応じて該実行要求元それぞれの前記汎用命令演算手段と前記複数の拡張命令演算手段の何れかとを選択的に接続する第1の接続手段と、
前記第1の接続手段で接続された前記汎用命令演算手段で前記汎用命令を実行させ、該汎用命令演算手段と接続された前記拡張命令演算手段で前記拡張命令を実行させて、入力された画像情報を処理する画像処理手段
を具備する画像処理システム。
【請求項6】
前記指示装置は、
前記画像処理装置から送信される前記負荷情報に基づく解析結果の解析情報を受信してデータベースに蓄積管理する管理手段
を更に具備し、
前記画像処理装置は、
入力された画像情報の処理における前記複数の拡張命令演算部の使用率および前記複数の汎用命令演算部からの前記拡張命令の実行要求の数の情報を解析する解析部と、
前記解析部で解析した解析情報を前記指示装置に送信する送信手段
を具備する請求項5記載の画像処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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