説明

画像処理装置、及びプログラム

【課題】サイン等の文字を含む非写実的画像として、文字が背景部分に埋もれていない非写実的画像を提供する。
【解決手段】
記録済の撮影画像データに、特定のアートフィルタを用いた第1のフィルタ処理を施す(S11)。アートフィルタのパラメータを変更した後(S12)、パラメータを変更したアートフィルタを用いた第2のフィルタ処理をサイン画像等のデータに施す(S13)。しかる後、フィルタ処理をサイン画像等のデータを、フィルタ処理後の撮影画像データに合成し、サイン等の文字を含む非写実的画像のデータを生成する(S15,S16)。生成した文字付きの非写実的画像において、文字部分と背景の画像部分とを視覚的に差別化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字を含む非写実的画像を原画像から生成する画像処理技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1には、デジタルカメラ等により撮影され画像データとして記録された撮影画像を絵画風の画像等に変換する技術が記載されている。一般に、撮影画像(写真)のような写実的な画像は写実的画像と呼ばれ、絵画風の画像や、コンピュータグラフックによる画像等のように写実的ではない画像は非写実的画像と呼ばれている。
【0003】
一方、撮影画像を例えば絵画風の画像等の非写実的画像に変換し、新たな作品として鑑賞をする場合には、撮影画像に予めサイン等の文字を付加しておけば、より鑑賞に適した非写実的画像を得ることができる。画像に文字を付加する技術については、下記特許文献2等において公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−31688号公報
【特許文献2】特開平11−187292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、サイン等の文字を付加した撮影画像を非写実的画像に変換する場合には、変換後の非写実的画像に与えられる効果の内容によってはサインが判読しづらくなる。つまりサインが背景となる画像部分に埋もれてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、サイン等の文字を含む非写実的画像として、文字が背景部分に埋もれていない非写実的画像を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点に係る画像処理装置にあっては、原画像を、第1の視覚的効果を与えた非写実的画像に変換する第1の変換手段と、前記第1の画像変換手段により変換された非写実的画像に合成すべき文字を、前記第1の視覚的効果とは内容の異なる第2の視覚的効果を与えた効果付き文字に変換する第2の変換手段と、第1の画像変換手段により変換された非写実的画像に、前記第2の変換手段により変換された効果付き文字を合成し、文字を含む非写実的画像を生成する合成手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第1の観点に係るプログラムにあっては、コンピュータを、原画像を、第1の視覚的効果を与えた非写実的画像に変換する第1の変換手段と、前記第1の画像変換手段により変換された非写実的画像に合成すべき文字を、前記第1の視覚的効果とは内容の異なる第2の視覚的効果を与えた効果付き文字に変換する第2の変換手段と、前記第1の画像変換手段により変換された非写実的画像に、前記第2の変換手段により変換された効果付き文字を合成し、文字を含む非写実的画像を生成する合成手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、サイン等の文字を含む非写実的画像として、文字が背景部分に埋もれていない非写実的画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るデジタルフォトフレームのハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
【図2】デジタルフォトフレームの機能の要部を示す機能ブロック図である。
【図3】エフェクトモードにおけるCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図4】(a)は、文字を含む非写実的画像の一例を示す図、(b)は、(a)の要部拡大図に相当する模式図である。
【図5】文字を含む非写実的画像の他の例を示す、図4(a)に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態は、主としてデジタルカメラ等により撮影され画像データとして記録された画像、つまり写真を表示する機能を有するデジタルフォトフレーム(以下、DPFという。)に関するものである。
【0012】
図1は、本発明を適用したDPF1のハードウェア構成を示す概略ブロック図である。DPF1は、CPU(Central Processing Unit)101によってシステムの全体を制御される構成である。CPU101には、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access memory)103、メディアコントローラ104、操作キー群201、ディスプレイ301が接続されている。
【0013】
ROM102は、CPU101にシステム全体を制御させるための複数種のプログラムやデータが記憶されているメモリである。ROM102に記憶されているプログラムには、CPU101を本実施形態での第1の変換手段、第2の変換手段、合成手段、文字領域検出手段として機能させる表示制御プログラム102aが含まれる。
【0014】
また、ROM102に記憶されているデータには、CPU101が、任意の画像データを対象として文字認識処理を行う際に使用される、種々の文字の形状等の特徴を示す文字パターンデータ等が含まれる。文字認識処理は、画像データにより表される画像から文字が存在する文字領域を認識する処理である。
【0015】
RAM103は、具体的にはSDRAM(Synchronous dynamic random-access memory)等である。
【0016】
メディアコントローラ104は、DPF1の図示しない本体に設けられているメモリカードスロットに着脱自在に装着された記録メディア40と、CPU101との間におけるデータの入出力を制御する入出力インターフェースである。
【0017】
記録メディア40には、デジタルカメラ等において撮影により取得された画像(写真)を表す画像データが複数記録されている。画像データは、例えばJPEG(Joint Photographic Expert Group)方式により圧縮され、撮影日時等の付加情報と共に静止画ファイルとして記録メディア40に記憶されている。なお、以下の説明では撮影により取得された画像を撮影画像といい、撮影画像を表す画像データを撮影画像データという。
【0018】
操作キー群201は、電源スイッチ及び複数の操作スイッチから構成される。CPU101は、操作キー群201における操作キー等の操作状態を定常的にスキャンすることにより、所定のキー操作によるユーザからの種々の指示を検知する。
【0019】
ディスプレイ301は、バックライト付きのカラー液晶表示パネルと、CPU101から供給される画像データ等の表示データに応じてカラー液晶表示パネルを駆動し、画像データにより表される画像等をカラー液晶表示パネルに表示させる駆動回路とから構成される。
【0020】
図2は、DPF1が有する機能の要部を示す機能ブロック図である。DPF1は、制御部10と、操作部20、表示部30を有している。制御部10は、文字領域検出部11と、第1の変換部12、第2の変換部13、画像合成部14、表示制御部15、記憶部16から構成される。
【0021】
操作部20は、DPF1に対するユーザからの各種の指示を検知する機能部分であり、図1に示した操作キー群201により実現される。
【0022】
表示部30は、記録メディア40に記録されている撮影画像データにより表される撮影画像や、他の画像データにより表される画像を表示したり、ユーザがDPF1を操作する際に必要とする各種の操作画面を表示したりする。表示部30は、図1に示したディスプレイ301により実現される。
【0023】
文字領域検出部11は、記録メディア40に記録されている任意の撮影画像データに対して文字領域検出処理を行う。文字領域検出処理は、画像データにより表される撮影画像において文字が表現されている文字領域を検出し、検出した文字領域の画像内での位置を示す位置情報を取得する処理である。文字領域検出部11は、図1に示したCPU101により実現される。
【0024】
第1の変換部12は、記録メディア40に記録されている任意の撮影画像データに、特定のフィルタ処理を施すことによって、処理対象の撮影画像データにより表される撮影画像(原画像)を、鑑賞を目的とした特定の視覚的効果を与えた非写実的画像に変換する。第1の変換部12が撮影画像に与える鑑賞を目的とした特定の視覚的効果が、本実施形態における第1の視覚的効果である。特定の視覚的効果は、例えば水彩画、油絵画、鉛筆画、パステル画等の特定の絵画の画風等である。
【0025】
第1の変換部12が、任意の撮影画像データに施すことができるフィルタ処理の種類は複数であり、第1の変換部12は複数種類の視覚的効果を変換後の非写実的画像に与えることができる。第1の変換部12は、図1に示したCPU101により実現される。
【0026】
第2の変換部13は、記録メディア40に記録されているサイン画像のデータ、又は文字領域検出部11が任意の画像から検出した文字領域の画像(以下、文字領域画像という。)を表すデータに、特定のフィルタ処理を施すことによって、サイン画像や文字領域画像を、特定の視覚的効果を与えた非写実的画像に変換する。
【0027】
但し、第2の変換部13が行うフィルタ処理は、第1の変換部12が行うフィルタ処理とは内容が異なり、第2の変換部13が、サイン画像や文字領域画像に与える特定の視覚的効果は、第1の変換部12が原画像に与える視覚的効果とは異なるものである。第2の変換部12がサイン画像や文字領域画像に与える特定の視覚的効果が、本実施形態における第2の視覚的効果である。
【0028】
また、第2の変換部13によるフィルタ処理後のサイン画像や文字領域画像が、本実施形態における効果付き文字である。第2の変換部13は、図1に示したCPU101により実現される。
【0029】
なお、以下の説明においては、第1の変換部12が行うフィルタ処理を第1のフィルタ処理といい、かつ第2の変換部13が行うフィルタ処理を第2のフィルタ処理という。また、第1の変換部12による原画像の非写実的画像への変換、及び第2の変換部13によるサイン画像や文字領域画像の非写実的画像への変換をアート変換という。
【0030】
画像合成部14は、第1の変換部12によるアート変換後の撮影画像を表す画像データに、第2の変換部13によるアート変換後のサイン画像や文字領域画像を表す画像データを合成することにより、文字を含む非写実的画像を表す画像データを生成する。画像合成部14は、図1に示したCPU101により実現される。
【0031】
表示制御部15は、記録メディア40に記録されている任意の画像データにより表される画像や、画像合成部14が生成した画像データにより表される文字を含む非写実的画像を表示部30に表示させる。表示制御部15は、図1に示したCPU101により実現される。
【0032】
記憶部16は、文字領域検出部11が任意の画像から検出した文字領域画像を表すデータである文字領域画像データや、表示制御部15が表示部30に表示させる種々の画像のデータを一時的に記憶する。記憶部16は、図1に示したRAM103により実現される。
【0033】
次に、以上の構成からなるDPF1の動作について説明する。DPF1には表示モードとして、通常モードとエフェクトモードとが用意されている。表示モードの切替は、ユーザが操作キー群201の所定の操作キーを操作することによって適宜可能となっている。
【0034】
通常モードは、記録メディア40に記録されている撮影画像データにより表される撮影画像をディスプレイ301にそのまま表示する表示モードである。エフェクトモードは、撮影画像を、文字を含む非写実的画像に変換してディスプレイ301に表示する表示モードである。
【0035】
以下、エフェクトモードにおけるDPF1の具体的な動作について説明する。エフェクトモードにおいてユーザは所定のキー操作によって、表示対象の撮影画像を選択する。
【0036】
図3は、エフェクトモードにおいて、制御部10(CPU101)がROM102に記憶されている表示制御プログラム102aに従って実行する処理であって、表示対象の撮影画像が選択された後の処理を示したフローチャートである。
【0037】
エフェクトモードにおいて制御部10は、表示対象の撮影画像が選択された後、ユーザにより選択された撮影画像を表す撮影画像データを記録メディア40から読み出し、記憶部16(RAM103)に一時記憶する(ステップS1)。
【0038】
次に、文字領域検出部11(CPU101)が、記憶部16に記憶された撮影画像データを処理対象として文字領域検出処理を行う(ステップS2)。ステップS2の処理において文字領域検出部11は、撮影画像データにより表される撮影画像において文字が表現されている文字領域を検出し、検出した文字領域の撮影画像内での位置を示す位置情報を取得する。
【0039】
文字領域検出部11による文字領域の検出方法は、例えば特開2009−259190公報に記載されている、特徴標準辞書の文字カテゴリの構造情報を利用して、文字画像から文字パターンを抽出する公知の技術等を適用した方法である。つまり特徴標準辞書の文字カテゴリと類似する特徴を有する領域を文字領域として検出する方法である。
【0040】
文字領域の検出が成功した場合(ステップS3:YES)、制御部10は、文字領域検出部11が検出した文字領域の画像データを撮影画像から切り出し(ステップS4)、切り出した画像データを、文字領域検出部11が取得した文字領域の位置情報と共に、撮影画像データとは別に記憶部16に一時記憶する(ステップS5)。ステップS4において制御部10が切り出す画像データは、撮影画像において表現されている背景を含まない文字のみを表す画像データである。
【0041】
一方、ステップS2の処理において文字領域が検出できなかった場合には(ステップS3:NO)、制御部10は、サイン画像の選択画面を表示部30(ディスプレイ301)に表示させる(ステップS6)。ステップS6において制御部10は、記録メディア40から、予め記録されている1又は複数のサイン画像データを読み出し、サイン画像データにより表されるサイン画像を表示部30に表示する。そして、制御部10は、ユーザに所定のキー操作によって所望するサイン画像を選択させる。
【0042】
その後、制御部10は、ユーザによりサイン画像が選択されたら(ステップS7:YES)、選択されたサイン画像を表すサイン画像データを記憶部16に一時記憶する(ステップS8)。
【0043】
つまり、ステップS2〜S8の処理によって、記憶部16には、撮影画像データから切り出された文字領域画像データ、又はサイン画像データのいずれか一方の画像データが一時記憶される。
【0044】
引き続き、制御部10は、アートフィルタの選択画面を表示部30に表示させる(ステップS9)。ステップS6において制御部10は、DPF1に予め用意されている複数種類のフィルタ処理に応じてそれぞれ命名された複数種のアートフィルタの名称(記号でもよい。)を表示した選択画面を表示部30に表示する。そして、制御部10は、ユーザに所定のキー操作によって所望するアートフィルタを選択させる。
【0045】
なお、アートフィルタとは、複数のフィルタ処理の種類をユーザに示すために使用される用語であり、例えば市販のソフトウエアパッケージであるAdobeシステム社によるAdobePhotoshop(商標)において用いられているような「アーティスティックフィルター」の種類を示す用語(「色鉛筆」、「水彩画」等)と同じものである。
【0046】
その後、ユーザによりアートフィルタが選択されたら(ステップS10:YES)、第1の変換部12(CPU101)が、選択されたアートフィルタに対応する第1のフィルタ処理を、記憶部16に記憶されている処理対象の撮影画像データに施すアート変換を行う(ステップS11)。ステップS11において第1の変換部12は、アート変換後の撮影画像データ、つまり撮影画像に特定の視覚的効果を与えた非写実的画像を表す画像データを記憶部16に記憶する。
【0047】
第1の変換部12が処理対象の撮影画像データに施す第1のフィルタ処理は、例えば本発明の背景技術として説明した特開2006−31688号公報に記載されている下記の技術等の公知の技術を適用した方法によって、撮影画像データにより表される画像に特定の視覚的効果を与える処理である。特開2006−31688号公報に記載されている技術は、画像データに含まれる画素について、色などを判断基準の一つとして各画素をグループ化し、画像データを複数の基本領域に分割し、基本領域を表現の単位領域とする。さらに各々の基本領域の特徴に基づいて統合した複数の基本領域を表現の単位領域とする。そして、各々の単位領域の特徴に基づいて各々の単位領域に含まれる画素の色を決定する技術である。
【0048】
また、第1のフィルタ処理は、例えばAdobeシステム社によるAdobePhotoshop(商標)において画像の加工に用いられている画像処理技術によっても実現することができる。
【0049】
次に、第2の変換部13(CPU101)が、第2のフィルタ処理の内容を設定する(ステップS12)。ステップS12の処理は、第1の変換部12が第1のフィルタ処理に際して使用した設定値を、第2の変換部13が第2のフィルタ処理において使用する設定値に変更する処理である。第2の変換部13が変更する設定値は、第1のフィルタ処理による変換後の非写実的画像に与える視覚的効果を左右する設定値である。
【0050】
また、第2の変換部13が変更する設定値は、DPF1に予め用意されているフィルタ処理の種類毎に予め決められている規定の設定値であり、第1の変換部12が第1のフィルタ処理として実行したフィルタ処理に対応する規定の設定値である。規定の設定値は、例えばフィルタ処理後の画像内における筆触の太さ、筆触の密度、筆触の向きを左右する設定値である。ここで、筆触とは、絵画などにおける絵筆の効果、すなわち筆さばきによって生じた色調・明暗やリズム感などの表現を形成する絵筆の作用のことであり、筆ざわり、タッチと同義である。設定値が、フィルタ処理後の画像内における筆触の太さ、筆触の密度、筆触の向きを左右する設定値である場合、設定値には以下のような値が設定される。
【0051】
設定値がフィルタ処理後の画像内における筆触の太さを左右する設定値である場合、変更後の設定値は、筆触の太さを、例えば変更前の設定値で得られる筆触の太さの3倍以上、又は3分の1以下の太さとする値である。つまり変更後における設定値は、筆触の太さを、変更前の設定値で得られる筆触の太さとの違いが見た目で分かる程度の太さとする値である。
【0052】
また、設定値がフィルタ処理後の画像内における筆触の密度を左右する設定値である場合、変更後の設定値は、筆触の密度を、例えば変更前の設定値で得られる筆触の密度の2倍以上、又は2分の1以下の密度とする値である。つまり変更後における設定値は、筆触の密度を、変更前の設定値で得られる筆触の密度との違いが見た目で分かる程度の密度とする値である。ここで、フィルタ処理後の画像内における筆触の密度とは、例えばフィルタ処理後の画像内にハッチングとして認識される平行して点在する同一又は異なる長さの多数の線が表れる場合における線の本数である。
【0053】
また、設定値がフィルタ処理後の画像内における筆触の向きを左右する設定値である場合、変更後の設定値は、筆触の向きを、例えば変更前の設定値で得られる筆触の向きを、筆触の傾き角度が例えば30度〜90度異なる向きとする値である。つまり変更後における設定値は、筆触の向きを、変更前の設定値で得られる筆触の向きとの違いが見た目で分かる程度の向きとする値である。
【0054】
また、ステップS12の処理において第2の変換部13は、規定の設定値を変更する際、設定値の変更度合をサイン画像や文字領域画像の撮影画像の大きさに対する相対的な大きさに応じて変化させる。例えば第2の変換部13は、サイン画像や文字領域画像の大きさレベルを、予め決められている基準に従い「大」又は「小」のいずれのレベルであるか判断する。そして、第2の変換部13は、大きさレベルが「小」のときには、大きさレベルが「大」のときよりも大きな変更度合で設定値を変更する。
【0055】
引き続き、第2の変換部13は、第2のフィルタ処理を記憶部16に記憶されている文字領域画像データ、又はサイン画像データに施すアート変換を行う(ステップS13)。第2のフィルタ処理は、第1の変換部12による第1のフィルタ処理と同一のアルゴリズムによるフィルタ処理を、ステップS12の処理で変更した設定値を用いて行うフィルタ処理である。ステップS13において第2の変換部13は、アート変換後の文字領域画像データ、又はサイン画像データ、つまり撮影画像とは異なる特定の視覚的効果を与えた非写実的画像を表す画像データを記憶部16に記憶する。以下の説明では、ステップS13の処理で第2の変換部13が記憶部16に記憶する画像データにより表される非写実的画像を、便宜的に効果付き文字という。
【0056】
次に、画像合成部14(CPU101)が、まず、第2の変換部13における第2のフィルタ処理の対象がサイン画像であったか否かを確認する(ステップS14)。そして、画像合成部14は、第2のフィルタ処理の対象がサイン画像であった場合には(ステップS14:YES)、効果付き文字を表す画像データを、アート変換後の撮影画像の予め決められている特定位置に上書き合成する(ステップS15)。画像合成部14は、合成後の画像データを記憶部16に記憶する。
【0057】
また、画像合成部14は、第2のフィルタ処理の対象が文字領域画像であった場合には(ステップS14:NO)、効果付き文字を表す画像データを、アート変換後の撮影画像における元の位置に上書き合成する(ステップS16)。画像合成部14は、合成後の画像データを記憶部16に記憶する。
【0058】
その後、表示制御部15(CPU101)が、ステップS15、又はステップS16の処理において記憶部16に記憶された合成後の画像データを表示部30(ディスプレイ301)へ送り、表示部30において文字を含む非写実的画像を表示させる(ステップS17)。
【0059】
図4(a)は、ステップS17の処理に伴いディスプレイ301に表示される文字を含む非写実的画像A、つまり背景となるアート変換後の撮影画像Bに効果付き文字Cが合成された画像の一例を示す図である。また、図4(b)は、効果付き文字Cの周辺を示す拡大図である。図4(b)は、第1のフィルタ処理によりアート変換後の撮影画像Bに与えられる視覚的効果と、第2のフィルタ処理によりアート変換後の効果付き文字Cに与えられる視覚的効果との違いが筆触の向きである場合を便宜的に示した図である。
【0060】
また、図5は、アート変換後の撮影画像Bに与えられる視覚的効果と、アート変換後の効果付き文字Cに与えられる視覚的効果との違いが筆触の太さである場合の例を便宜的に示した図4(b)に対応する図である。
【0061】
ここで、アート変換後の撮影画像Bに合成されるアート変換後の効果付き文字Cは、アート変換前の撮影画像から切り出された文字領域画像、又はサイン画像に、撮影画像とは異なる視覚的効果を与えた非写実的画像である。
【0062】
そのため、効果付き文字Cには、背景のアート変換後の撮影画像Bとは異なる雰囲気を確保することができ、効果付き文字Cと背景のアート変換後の撮影画像Bとを視覚的に差別化することができる。よって、文字を含む非写実的画像として、文字が背景部分に埋もれていない非写実的画像を提供することができる。
【0063】
また、第2のフィルタ処理を、第1のフィルタ処理と同一のアルゴリズムによるフィルタ処理であるとともに、第1のフィルタ処理で使用した設定値を変更して使用する処理とし、かつ第1のフィルタ処理で使用した設定値の変更を以下のようにした。すなわち、第1のフィルタ処理で使用した設定値を、サイン画像や文字領域画像の大きさレベルが「小」のときには、大きさレベルが「大」のときよりも大きな変更度合で変更するようにした。したがって、効果付き文字が小さい場合には、アート変換後の撮影画像との雰囲気の違いを、効果付き文字が大きい場合に比べて顕著なものとすることにより、より確実に効果付き文字とアート変換後の撮影画像とを視覚的に差別化することができる。
【0064】
(変形等)
本実施形態においては、アート変換前の撮影画像のから切り出された文字領域画像、又はサイン画像に施す第2のフィルタ処理が、第1のフィルタ処理と同一のアルゴリズムによるフィルタ処理を、第1のフィルタ処理とは異なる設定値を用いて行う処理である構成について説明した。しかし、DPF1には、第2のフィルタ処理を第1のフィルタ処理とは全く異なるアルゴリズムに基づくフィルタ処理とした構成を採用してもよい。例えば第1のフィルタ処理を、撮影画像を油絵風の画像に変換する処理とするとともに、第2のフィルタ処理を、撮影画像を鉛筆画風の画像に変換する処理としてもよい。
【0065】
また、第2のフィルタ処理は、文字領域画像、又はサイン画像の色を、単にアート変換後の撮影画像の合成箇所における背景色に対してネガポジ反転した色に変更する処理としてもよい。
【0066】
また、本実施形態においては、サイン画像を効果付き文字にアート変換し、アート変換後の撮影画像に合成するとき、効果付き文字をアート変換後の撮影画像の予め決められている特定位置に合成する場合について説明した。
【0067】
しかし、効果付き文字の合成位置を、予め決められた設定規則に従い自動的に設定するようにしてもよい。合成位置の設定規則としては、例えば(a)画像の隅であること、(b)画像の下部であること、(c)注目領域ではないこと、(d)ピントの合っている位置から離れていることの複数の条件をより多く満たすといったものである。なお、(c)の注目領域とは、例えば撮影画像から公知の顔検出技術により検出した人物の顔領域である。
【0068】
また、本実施形態においては、DPF1が非写実的画像に変換して表示する画像が、写真撮影により得られた画像(写真)である場合について説明した。しかし、本発明において非写実的画像への変換対象となる原画像は、写真撮影により得られた画像に限らず、例えば写真をスキャナで読み取り画像データとして記録されたものであっても構わない。
【0069】
また、本実施形態においては、本発明をDPFに採用した場合について説明したが、本発明は、所定の画像処理機能を備えたものであれば、DPF以外の他の装置にも適用することができる。他の装置としては、例えばデジタルカメラや、デジタルカメラが内蔵された携帯電話端末等の任意の携帯情報端末、汎用的なパーソナルコンピュータ、プリンタである。
【符号の説明】
【0070】
1 DPF
10 制御部
11 文字領域検出部
12 第1の変換部
13 第2の変換部
14 画像合成部
15 表示制御部
16 記憶部
20 操作部
30 表示部
40 記録メディア
101 CPU
102 ROM
102a 表示制御プログラム
103 RAM
104 メディアコントローラ
201 操作キー群
301 ディスプレイ
A 文字を含む非写実的画像
B アート変換後の撮影画像
C 効果付き文字

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原画像を、第1の視覚的効果を与えた非写実的画像に変換する第1の変換手段と、
前記第1の画像変換手段により変換された非写実的画像に合成すべき文字を、前記第1の視覚的効果とは内容の異なる第2の視覚的効果を与えた効果付き文字に変換する第2の変換手段と、
第1の画像変換手段により変換された非写実的画像に、前記第2の変換手段により変換された効果付き文字を合成し、文字を含む非写実的画像を生成する合成手段と
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第2の変換手段は、
前記文字の筆触の太さ、筆触の密度、筆触の向きの少なくとも1つを、前記非写実的画像の筆触の太さ、筆触の密度、筆触の向きとは異なるものに変換する
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記原画像から文字が表現されている文字領域を検出する文字領域検出手段を備え、
前記第2の変換手段は、
前記文字領域検出手段が検出した文字領域に表現されている文字を第2の視覚的効果を与えた効果付き文字に変換し、
前記合成手段は、
前記非写実的画像において前記文字領域検出手段が検出した文字領域に対し前記第2の変換手段により変換された効果付き文字を合成する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
コンピュータを、
原画像を、第1の視覚的効果を与えた非写実的画像に変換する第1の変換手段と、
前記第1の画像変換手段により変換された非写実的画像に合成すべき文字を、前記第1の視覚的効果とは内容の異なる第2の視覚的効果を与えた効果付き文字に変換する第2の変換手段と、
前記第1の画像変換手段により変換された非写実的画像に、前記第2の変換手段により変換された効果付き文字を合成し、文字を含む非写実的画像を生成する合成手段
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−175309(P2011−175309A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36788(P2010−36788)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】