説明

画像処理装置、画像処理システム

【課題】印刷データを解析したときに、印刷データサイズに基づいて、装置内部においても転送サイズを変更することにより、システム全体としての処理効率を向上させる画像処理装置等を提供すること。
【解決手段】印刷データを受信するデータI/F部と、前記印刷データから少なくとも画像データを解析する解析部と、前記解析部により解析された画像データを印刷する画像印刷部と、を備え、前記データI/F部から、解析部に印刷データを転送する場合に、転送サイズを変更することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からコンピュータ等のクライアント装置から送信される印刷データを解析し出力する画像処理装置が知られている。画像処理装置は、クライアント装置から一度印刷データをデータI/F部で受信し、受信された印刷データを解析部に出力する。
【0003】
解析部は、印刷データを解析することにより、画像データ等を生成し、画像形成部等により出力することとなる。ここで、クライアント装置は、送信する印刷データサイズの大きさを変更することによりシステム全体としての効率を上げるようにしてきた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−265982公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、デジタル複合機をはじめとする画像処理装置は、クライアント装置から送られてくる印刷データやISDN回線等を通じて受信されたFAX送信データを解析することで画像データを生成する。
【0006】
上述したように、このとき画像処理装置において処理される印刷データサイズは固定である。すなわち、画像処理装置のデータI/F部で一つの転送サイズが大きな印刷データを受信しても、小さな印刷データを受信しても、データI/F部より解析部へ転送されるデータは一定のサイズで固定であった。
【0007】
とくに、印刷データであるプリンタ記述言語には、コマンドや文字情報、画像イメージ等の情報が含まれており、解析部においてはコマンドを読み出し、そのコマンドに従って次に読み出すデータサイズを決めていく。一般的に文字や描画コマンドのデータは比較的小さなものであり、画像イメージなどは大きなデータであることが多い。
【0008】
このとき、データI/F部では転送すべきデータサイズがクライアント装置より送信されてから解析部にデータを転送するが、この転送サイズが小さい場合は転送頻度が高く、短いデータに対しては有利であるが、大きなデータに対してはオーバーヘッドが無駄となるという問題が生じてしまう。
【0009】
他方、データI/F部から解析部に転送する転送サイズが大きい場合は、大きなデータに対しては転送効率が上がるが、転送サイズ分のデータがクライアント装置から送信されるのを待つ時間が長くなり短いデータに対しては無駄に待つ時間が必要となるという問題が生じてしまう。
【0010】
結果として、データI/F部では現在転送しているデータに対して最適な転送サイズを判断することができないため、標準的なデータサイズを規定することで平均的に効率よくなるようにすることしかできず、様々なデータに対して動的にデータ転送効率を上げることは困難であった。
【0011】
上述した課題に鑑み、本発明の画像処理装置は、印刷データを解析したときに、印刷データサイズに基づいて、装置内部においても転送サイズを変更することにより、システム全体としての処理効率を向上させる画像処理装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明の画像処理装置は、
印刷データを受信するデータI/F部と、
前記印刷データから少なくとも画像データを解析する解析部と、
前記解析部により解析された画像データを印刷する画像印刷部と、
を備え、
前記データI/F部から、解析部に印刷データを転送する場合に、転送サイズを変更することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の画像処理装置は、
前記解析部は、印刷データに含まれている印刷データの大きさを解析し、
当該解析された印刷データの大きさを前記データI/F部に出力することで、前記データI/F部は印刷データの転送サイズを変更することを特徴とする。
【0014】
本発明の画像処理システムは、
印刷データを出力するクライアント装置と、画像処理装置とが含まれる画像処理システムにおいて、
前記画像処理装置は、
前記クライアント装置から、印刷データを受信するデータI/F部と、
前記印刷データから少なくとも画像データを解析する解析部と、
前記解析部により解析された画像データを印刷する画像印刷部と、
を備え、
前記データI/F部から、解析部に印刷データを転送する場合に、転送サイズを変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の画像処理装置は、印刷データを受信するデータI/F部と、印刷データから少なくとも画像データを解析する解析部と、解析部により解析された画像データを印刷する画像印刷部と、を備え、データI/F部から、解析部に印刷データを転送する場合に、転送サイズを変更することができる。したがって、データI/F部から解析部に印刷データが転送される場合に、印刷データの大きさに適した転送サイズに変更されることにより、オーバーヘッドが削減され、システム全体として効率の良いデータ転送が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態におけるシステム全体を説明するための図である。
【図2】本実施形態における画像処理装置の外観を説明するための図である。
【図3】本実施形態における画像処理装置の機能構成を説明するための図である。
【図4】本実施形態におけるクライアント装置の機能構成を説明するための図である。
【図5】本実施形態における処理の流れを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、以下の実施形態については、本発明を実現するための一例であり、実施形態の記載に本発明が限定的に解釈されないことは勿論である。
【0018】
[1.システム構成]
図1は、本実施形態における画像処理装置10を含む画像システム1の全体構成を説明するための概略図である。画像システム1は、画像処理装置10に、クライアント装置20がネットワークを介して接続されている。
【0019】
ここで、画像処理装置10は、例えば原稿をコピーしたり、画像データを印刷したり、原稿を他の装置に送信(FAX機能等)したりするデジタル複合機等により構成されている。
【0020】
また、クライアント装置20は、いわゆるパーソナルコンピュータ等により構成されており、画像処理装置10とはEthernet(登録商標)等の有線LANや、IEEE802.11bといった無線LANといったネットワークにより接続されている。
【0021】
[2.装置構成]
続いて、画像システム1に含まれる各装置の機能構成について図を用いて説明する。
【0022】
[2.1 画像処理装置]
まず、画像処理装置10の機能構成について図2及び図3を用いて説明する。図2は画像処理装置10の外観斜視図であり、図3は画像処理装置10の機能構成図である。
【0023】
図3に示すように、画像処理装置10は、制御部100に、画像読取部110と、画像処理部120と、画像形成部130と、記憶部140と、操作表示部150と、データI/F部160と、解析部170と、送受信部180とが接続されている。
【0024】
制御部100は、画像処理装置10の全体を制御するための機能部である。制御部100は、記憶部140に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)等により構成されている。
【0025】
画像読取部110は、原稿の画像を読み取って画像データを生成するものであり、例えばCCD(Charge Coupled Device)等の光学情報を電気信号に変換するデバイスを備えたスキャナ部(図示せず)より構成されている。なお、画像読取部110がデジタルカメラ等で撮像された画像を外部から取り込むようにしてもよい。
【0026】
画像処理部120は、画像読取部110より読み取られた画像データに対して、A/D変換処理、シェーディング処理、色補正処理(色変換処理)、変倍処理、階調補正処理等の各種画像に関する処理を実行する機能部である。また、後述するデータI/F部160により受信された画像データ、送受信部180を介して読み込まれた画像データに対しても各種画像に関する処理を実行する。そして、各種画像に関する処理が実行された画像データは、記憶部140に画像データとして記憶される。
【0027】
画像形成部130は、画像データを記録媒体(例えば記録用紙)に形成するための機能部である。例えば、図2の給紙トレイ132から記録用紙を給紙し、画像形成部130に記録用紙の表面に画像が形成された後に排紙トレイ134から排紙される。画像形成部130は、例えば電子写真方式を利用したレーザプリンタ等により構成されている。
【0028】
記憶部140は、画像処理装置10の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部140は、例えば、半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。
【0029】
操作表示部150は、画像処理装置10において各種情報等を表示する表示部と、利用者が画像処理装置10に対して各種設計等を指示する操作部とを含んで構成されている機能部である。代表的な装置を一例として説明すると、タッチパネル等である。
【0030】
データI/F部160は、画像処理装置10と外部の端末とが通信を行う為のインタフェースを提供する機能部である。例えば、Ehternetに接続可能なNIC(Network Interface Card)等により構成されている。本実施形態においては、クライアント装置20から、印刷データを受信する。
【0031】
解析部170は、データI/F部160により受信された印刷データの解析する機能部である。主にクライアント装置20からデータI/F部160を介して受信された印刷データに含まれるコマンドを解析し、文字及び/又は画像を含む画像データを生成する。そして、生成された画像データは、記憶部140に一時記憶される。
【0032】
送受信部180は、画像データが他の回線を利用して送受信される場合に利用される機能部である。例えば、ISDN回線を経由することにより、FAX機能を実現することが出来る。
【0033】
[2.2 クライアント装置]
続いて、クライアント装置20について、図4を用いて説明する。クライアント装置20は、制御部200に、入出力部210と、通信部220と、記憶部230とがバスを介して接続されている。
【0034】
入出力部210は、利用者がクライアント装置20に操作指示する場合に入力するための入力装置(例えば、キーボード等)と、クライアント装置20からの情報を表示・出力するための表示装置(例えば、液晶ディスプレイ等)とを含んで構成される機能部である。また、入力装置と表示装置とが一体に形成されているタッチパネル等を利用しても良い。また、出力装置は、表示・出力するだけに限られず、プリンタと言った印刷装置も含まれている。
【0035】
通信部220は、クライアント装置20が、他の端末等とネットワークを介して接続する場合に用いられる機能部である。本実施形態においては、ネットワークを介して、画像処理装置10のデータI/F部160と接続されることとなる。
【0036】
記憶部230は、クライアント装置20の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部230は、例えば、半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。
【0037】
印刷データ生成部240は、利用者から印刷等の指示が行われた場合に、印刷する文字及び/又は画像に基づいた印刷データを生成するための機能部である。ここで、印刷データについては、印刷の指示を含む情報、コマンドが含まれるものであり、例えば、PostScript、PCL(Printer Control Language)、SPDL(Sharp Printer Description Language)、ESC/P(Epson Standard Code for Printer)、LIPS(LBP Image Processing System)、Windows Printing System等といった種々の印刷データが利用される。
【0038】
[3.処理の流れ]
続いて、画像処理装置10において実行される処理について、図5を用いて説明する。まず、転送サイズが初期化される(ステップS102)。ここで、転送サイズは縮小した状態で初期化される。
【0039】
続いて、クライアント装置20から送信された印刷データが受信される(ステップS104)。具体的には、ネットワークを介して送信された印刷データが、データI/F部160を介して受信される。
【0040】
続いて、印刷データが終了したか否かを判定する(ステップS106)。印刷データが終了している場合には、データ終了通知を出力する(ステップS106;Yes→ステップS110)。
【0041】
他方、印刷データが終了していない場合(ステップS106;No)、転送サイズ分受信済みか否かを判定する(ステップS108)。転送サイズまで印刷データを受信していない場合には、続けて印刷データを受信する(ステップS108;No→ステップS104)。
【0042】
ここで、ステップS110においてデータ終了通知が出力されたか、転送サイズ分だけ印刷データが受信された場合(ステップS108;Yes)には、印刷データを解析部170に出力する(ステップS112)。
【0043】
続いて、解析部170は、印刷データに含まれる印刷コマンドを解析する(ステップS114)。ここで、転送サイズが拡大されていなければ、印刷データサイズが転送サイズより大きいか否かを判定する(ステップS116;No→ステップS118)。印刷データサイズが、転送サイズより大きい場合には(ステップS118;Yes)、転送サイズを拡大する(ステップS120)。
【0044】
他方、ステップS116において、転送サイズが拡大されていない場合には(ステップS116:No)、残りの印刷データサイズが、転送サイズより小さいか否を判定する(ステップS122)。残りの印刷データサイズが転送サイズより小さい場合には(ステップS122;Yes)、転送サイズを縮小する(ステップS124)。
【0045】
そして、読み出された印刷データに基づいて画像データを生成する(ステップS126)。生成された画像データは、画像形成部130に転送される(ステップS128)。
【0046】
ここで、印刷データがまだある場合には、ステップS104から繰り返し実行する(ステップS130;No→ステップS104)。他方、印刷データが終了した場合には(ステップS130;Yes)、画像形成部130が印刷をする(ステップS132)。
【0047】
なお、上述した説明は、説明の都合上、ステップS102からステップS130を随時処理することとして説明したが、ステップS104における印刷データの受信は、印刷データを受信中行われ、解析部170による解析が並列して動作することとなる。
【0048】
すなわち、図5のステップS1114において解析部170がコマンドを解析している間も印刷データは受信されることとなる。そして、ステップS120で転送サイズが拡大又はステップS124において転送サイズが縮小された場合には、それ以降転送される転送サイズが変更されることとなる。
【0049】
また、ステップS130において、印刷データが終了したか否かを判定しているが、これは受信される印刷データが終了か否かを判定する。すなわち、印刷データの受信が終了しても、ステップS112において解析部170において転送された印刷データが、例えばバッファ等に残っている場合には、ステップS114〜ステップS128の処理は当然繰り返し実行される。
【0050】
なお、本処理は、印刷された画像データが最終の画像データか否かを更に確認し、最終の画像データが印刷されるまで、上記の処理を繰り返し実行することとしても良い。この場合においても、説明の都合上上記の処理を繰り返すが、必要に応じて処理が実行されるのは勿論である。一例として、ステップS126において画像データが生成され、ステップS132において印刷されるまでの間は、解析部170によるコマンド解析等の処理は実行されないこととなる。
【0051】
[4.変形例]
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【0052】
また、上述した実施形態において、クライアント装置20はパーソナルコンピュータを一例として説明したが、例えば小型の携帯端末や携帯電話といった同様の機器でも良い。この場合、携帯端末と画像処理装置10は、例えば、赤外線通信や、Felica(登録商標)といった、近距離間通信を利用する場合であっても本発明を適用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
10 画像処理装置
100 制御部
110 画像読取部
120 画像処理部
130 画像形成部
140 記憶部
150 操作表示部
160 データI/F部
170 解析部
180 送受信部
20 クライアント装置
200 制御部
210 入出力部
220 通信部
230 記憶部
240 印刷データ生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データを受信するデータI/F部と、
前記印刷データから少なくとも画像データを解析する解析部と、
前記解析部により解析された画像データを印刷する画像印刷部と、
を備え、
前記データI/F部から、解析部に印刷データを転送する場合に、転送サイズを変更することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記解析部は、印刷データに含まれている印刷データの大きさを解析し、
当該解析された印刷データの大きさを前記データI/F部に出力することで、前記データI/F部は印刷データの転送サイズを変更することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
印刷データを出力するクライアント装置と、画像処理装置とが含まれる画像処理システムにおいて、
前記画像処理装置は、
前記クライアント装置から、印刷データを受信するデータI/F部と、
前記印刷データから少なくとも画像データを解析する解析部と、
前記解析部により解析された画像データを印刷する画像印刷部と、
を備え、
前記データI/F部から、解析部に印刷データを転送する場合に、転送サイズを変更することを特徴とする画像処理システム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【公開番号】特開2013−107355(P2013−107355A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255999(P2011−255999)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】