説明

画像処理装置、画像処理方法、および画像処理システム

【課題】処理負荷および画質劣化が少なく、符号化規格に準拠したマルチ映像再生システムを提供することができるようにする。
【解決手段】複数の映像コンテンツそれぞれについて、表示サイズが異なる複数の符号化ストリームが作成される。符号化処理部は、映像コンテンツの符号化ストリームに含まれる、マクロブロックに対応する映像コンテンツのブロックである元ブロックの符号化に関するパラメータが、マルチ映像再生画像の符号化ストリームにおいて禁止されている禁止パラメータである場合、元ブロックの符号化ストリームを復号して再符号化し、その結果得られる符号化ストリームをマクロブロックの符号化ストリームとする。本技術は、例えば、コンテンツを配信するサーバ装置に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、画像処理装置、画像処理方法、および画像処理システムに関し、特に、処理負荷および画質劣化が少なく、符号化規格に準拠したマルチ映像再生システムを提供するための画像処理装置、画像処理方法、および画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンテンツのデジタル化が進み、映像を伝送できるインフラも整備されてきたことにより、インターネットを通じた映像配信が普及しつつある。最近では受信側の装置として、パーソナルコンピュータ以外に、ネットワークに接続可能なテレビジョン受像機も増えてきており、配信される映像コンテンツをテレビジョン受像機で見ることもできるようになってきている。また、近年、クラウドサービスの発展により、ネットワークを介して、プライベートコンテンツを含めた多様なチャンネルが視聴者に提供されるようになってきている。そのため、図1に示すような、複数の映像コンテンツを同時に視聴して、見たい映像コンテンツを簡単に探索することができるマルチ映像再生システムに対するニーズがより高くなってきている。
【0003】
図1のマルチ映像再生システムにおいて、画面に表示されるマルチ映像再生画像は、複数の映像コンテンツで構成される。表示される複数の映像コンテンツのうち、主として視聴される映像コンテンツである主映像コンテンツが、最大サイズで画面中央に配置されている。そして、主映像コンテンツの周辺に、選択(切り替え)可能な他の映像コンテンツが、主映像コンテンツよりも小さいサイズで配置されている。選択可能な映像コンテンツは、例えば、TV放送のチャンネル、Web画面、映画などのビデオコンテンツ、TVチャット画面などであり、例えば、クラウド(ネットワーク)内から取得される。
【0004】
このようなマルチ映像再生画像の表示を実現する第1の方法として、クラウド内のサーバから複数の映像コンテンツそれぞれに対応する複数の符号化ストリームを配信してもらう方法がある。クライアント側の装置は、複数の符号化ストリームを受信して復号化し、合成処理を行うことによって、マルチ映像再生画像を生成する。例えば、特許文献1には、複数のES(Elementary Stream)を受信し、表示優先度に基づいて優先度の高いESに広い面積の表示領域を割り当てるようにしたマルチ映像再生画像が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−064818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、複数の符号化ストリームを配信するためには、かなり広い伝送帯域が必要になるという問題がある。また、クライアント側の装置に、複数の符号化ストリームを同時に復号化し、合成処理する能力が要求されるため、受信機が高価になるというコスト面の問題も発生する。
【0007】
その他のマルチ映像再生画像の表示を実現する第2の方法として、図2に示すように、サーバ側が1本の符号化ストリームとしてマルチ映像再生画像を生成し、配信を行う方法がある。この場合、サーバは、合成する複数の映像コンテンツを一旦復号化(Decode)し、サイズ変更(Resize)と画像合成後に再度符号化(Encode)することによって、符号化ストリームを作成する。従って、サーバは、各映像コンテンツの復号化とサイズ変更、画像合成、および再符号化の処理を行うため、その負荷はかなり大きくなる。また、一旦復号化し、再符号化することによる画質の劣化も懸念される。
【0008】
また、マルチ映像再生画像の符号化ストリームは、符号化規格に準拠する必要がある。
【0009】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、処理負荷および画質劣化が少なく、符号化規格に準拠したマルチ映像再生システムを提供することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本技術の第1の側面の画像処理装置は、複数の映像コンテンツそれぞれについて、表示サイズが異なる複数の符号化ストリームを作成し、前記符号化ストリームを用いて所定のブロック単位で符号化を行うことにより、前記複数の映像コンテンツを同時に表示するマルチ映像再生画像の符号化ストリームを生成する符号化処理部を備え、前記符号化処理部は、前記映像コンテンツの符号化ストリームに含まれる、前記所定のブロックに対応する前記映像コンテンツのブロックである元ブロックの符号化に関するパラメータが、前記マルチ映像再生画像の符号化ストリームにおいて禁止されている禁止パラメータである場合、前記元ブロックの符号化ストリームを復号して再符号化し、その結果得られる符号化ストリームを前記所定のブロックの符号化ストリームとし、前記元ブロックの前記パラメータが前記禁止パラメータではない場合、前記元ブロックの符号化ストリームを前記所定のブロックの符号化ストリームとする画像処理装置である。
【0011】
本技術の第1の側面の画像処理方法は、本技術の第1の側面の画像処理装置に対応する。
【0012】
本技術の第1の側面においては、複数の映像コンテンツそれぞれについて、表示サイズが異なる複数の符号化ストリームが作成され、前記符号化ストリームを用いて所定のブロック単位で符号化が行われることにより、前記複数の映像コンテンツを同時に表示するマルチ映像再生画像の符号化ストリームが生成される。具体的には、前記映像コンテンツの符号化ストリームに含まれる、前記所定のブロックに対応する前記映像コンテンツのブロックである元ブロックの符号化に関するパラメータが、前記マルチ映像再生画像の符号化ストリームにおいて禁止されている禁止パラメータである場合、前記元ブロックの符号化ストリームが復号されて再符号化され、その結果得られる符号化ストリームが前記所定のブロックの符号化ストリームとされる。一方、前記元ブロックの前記パラメータが前記禁止パラメータではない場合、前記元ブロックの符号化ストリームが前記所定のブロックの符号化ストリームとされる。
【0013】
本技術の第2の側面の画像処理システムは、サーバ装置とクライアント装置とからなり、前記サーバ装置は、複数の映像コンテンツそれぞれについて、表示サイズが異なる複数の符号化ストリームを作成し、前記符号化ストリームを用いて所定のブロック単位で符号化を行うことにより、前記複数の映像コンテンツを同時に表示するマルチ映像再生画像の符号化ストリームを生成する符号化処理部と、前記符号化処理部により生成された前記マルチ映像再生画像の符号化ストリームを前記クライアント装置に送信する送信部とを備え、前記符号化処理部は、前記映像コンテンツの符号化ストリームに含まれる、前記所定のブロックに対応する前記映像コンテンツのブロックである元ブロックの符号化に関するパラメータが、前記マルチ映像再生画像の符号化ストリームにおいて禁止されている禁止パラメータである場合、前記元ブロックの符号化ストリームを復号して再符号化し、その結果得られる符号化ストリームを前記所定のブロックの符号化ストリームとし、前記元ブロックの前記パラメータが前記禁止パラメータではない場合、前記元ブロックの符号化ストリームを前記所定のブロックの符号化ストリームとし、前記クライアント装置は、前記送信部により送信された前記マルチ映像再生画像の符号化ストリームを受信する受信部と、受信した前記マルチ映像再生画像の符号化ストリームに基づいて、前記マルチ映像再生画像を所定の表示部に表示させる表示制御部とを備える画像処理システムである。
【0014】
本技術の第2の側面においては、サーバ装置で、複数の映像コンテンツそれぞれについて、表示サイズが異なる複数の符号化ストリームが作成され、前記符号化ストリームを用いて所定のブロック単位で符号化が行われることにより、前記複数の映像コンテンツを同時に表示するマルチ映像再生画像の符号化ストリームが生成される。具体的には、前記映像コンテンツの符号化ストリームに含まれる、前記所定のブロックに対応する前記映像コンテンツのブロックである元ブロックの符号化に関するパラメータが、前記マルチ映像再生画像の符号化ストリームにおいて禁止されている禁止パラメータである場合、前記元ブロックの符号化ストリームが復号されて再符号化され、その結果得られる符号化ストリームが前記所定のブロックの符号化ストリームとされる。一方、前記元ブロックの前記パラメータが前記禁止パラメータではない場合、前記元ブロックの符号化ストリームが前記所定のブロックの符号化ストリームとされる。そして、サーバ装置で、生成された前記マルチ映像再生画像の符号化ストリームが前記クライアント装置に送信される。
【0015】
また、クライアント装置で、送信された前記マルチ映像再生画像の符号化ストリームが受信され、受信された前記マルチ映像再生画像の符号化ストリームに基づいて、前記マルチ映像再生画像が所定の表示部に表示される。
【発明の効果】
【0016】
本技術の第1および第2の側面によれば、処理負荷および画質劣化が少なく、符号化規格に準拠したマルチ映像再生システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】マルチ映像再生システムを説明する図である。
【図2】マルチ映像再生画像を1本の符号化ストリームとして配信する一例を示す図である。
【図3】本技術を適用したマルチ映像再生システムの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図4】本技術を適用したマルチ映像再生画像の生成方法について説明する図である。
【図5】本技術を適用したマルチ映像再生画像生成の概念的な機能ブロック図である。
【図6】映像コンテンツとマルチ映像再生画像のスライスの境界を示す図である。
【図7】映像コンテンツとマルチ映像再生画像のフレームの境界を示す図である。
【図8】映像コンテンツの表示位置が変更される場合の参照画素を示す図である。
【図9】映像コンテンツの表示位置が変更される場合のスキップマクロブロックの参照画素を示す図である。
【図10】映像コンテンツの表示位置が変更される場合のパラメータの変更を説明する図である。
【図11】符号化処理部の機能ブロック図である。
【図12】チャンネルリスト更新(生成)処理を説明するフローチャートである。
【図13】クライアント側の起動処理を説明するフローチャートである。
【図14】映像コンテンツ変更処理を説明するフローチャートである。
【図15】視聴配置変更リクエスト受信処理を説明するフローチャートである。
【図16】視聴配置リクエスト対応処理を説明するフローチャートである。
【図17】マルチ映像再生画像生成処理を説明するフローチャートである。
【図18】位置変更処理を説明するフローチャートである。
【図19】可逆符号化の処理順序を示す図である。
【図20】HEVCのイントラ予測モードの第1の例を示す図である。
【図21】HEVCのイントラ予測モードの第2の例を示す図である。
【図22】本技術を適用したコンピュータの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[マルチ映像再生システムの構成例]
図3は、本技術を適用したマルチ映像再生システムの一実施の形態の構成例を示している。
【0019】
画像処理システムとしてのマルチ映像再生システム1は、映像コンテンツを配信するコンテンツ配信サーバ11と、それとネットワーク12を介して接続されているコンテンツ受信装置13により構成される。
【0020】
コンテンツ配信サーバ11は、複数の映像コンテンツを1画面のマルチ映像再生画像に合成し、1本の符号化ストリームにして、クライアントであるコンテンツ受信装置13に配信する。コンテンツ受信装置13は、コンテンツ配信サーバ11が配信する符号化ストリームを、インターネットなどのネットワーク12を介して受信する。そして、コンテンツ受信装置13は、受信した符号化ストリームに基づくマルチ映像再生画像を、自身が有する液晶ディスプレイなどの表示部、または、自身に接続されている表示装置に表示させる。コンテンツ受信装置13は、例えば、ネットワーク接続機能を有するテレビジョン受像機やSTB(Set Top Box)、パーソナルコンピュータ等で構成することができる。
【0021】
なお、図3では、1台のコンテンツ受信装置13しか示していないが、ネットワーク12には複数(多数)のコンテンツ受信装置13が接続されており、コンテンツ配信サーバ11は、符号化ストリームを、複数のコンテンツ受信装置13にマルチキャスト送信する。
【0022】
[マルチ映像再生画像の生成方法]
映像コンテンツA、B、C、及びDの4つの映像コンテンツを同時に表示するマルチ映像再生画像を生成する場合を例に、図4を参照して、コンテンツ配信サーバ11によるマルチ映像再生画像の生成方法について説明する。
【0023】
コンテンツ配信サーバ11は、配信可能な複数の映像コンテンツそれぞれについて、AVC(MPEG4 Part10(Advanced Video Coding))などの所定の符号化方式で複数種類の表示サイズでエンコード(符号化)することで、表示サイズが異なる複数の符号化ストリームを予め作成し、記憶しておく。例えば、コンテンツ配信サーバ11は、映像コンテンツAについて、大、中、小、の各サイズの符号化ストリームを作成する。映像コンテンツB、C、Dについても同様に、大、中、小、の各サイズの符号化ストリームが作成される。以下では、大、中、小、の各サイズを、サイズ(大)、サイズ(中)、サイズ(小)と記述する。なお、サイズ(大)は、画面サイズに対応するサイズである。作成するサイズの種類は、予め決定される。
【0024】
図4に示すような、サイズ(小)の映像コンテンツA、B、及びCと、サイズ(中)の映像コンテンツDとからなるマルチ映像再生画像を生成する場合、コンテンツ配信サーバ11は、予め作成しておいた表示サイズが異なる複数の符号化ストリームを利用して生成する。
【0025】
具体的には、コンテンツ配信サーバ11は、合成対象の複数の映像コンテンツの所定サイズの符号化ストリームを、画面の配置(表示位置)に応じて切り替えてパラメータトランスコードを行うことによって、配信するマルチ映像再生画像の符号化ストリームを作成する。
【0026】
ここで、パラメータトランスコードとは、イントラ/インタータイプ決定処理、ブロックサイズ決定処理、動きベクトル算出処理、イントラ予測モード決定処理を省略し、処理対象の符号化ストリームにおいて映像コンテンツの符号化データに付加される符号化に関するパラメータを使用して符号化を行う符号化処理である。このパラメータは、例えば、マクロブロック(MB)のタイプ情報(イントラタイプ、インタータイプ)、予測ブロックのブロックサイズ情報、動きベクトルを表すMV情報、イントラ予測モードなどである。
【0027】
図5は、パラメータトランスコードを用いた本技術のマルチ映像再生画像生成の概念的な機能ブロック図を示している。
【0028】
ハードディスク等のコンテンツ記憶部41Aには、映像コンテンツAについて予め作成しておいた、サイズ(大)、サイズ(中)、サイズ(小)の各サイズの符号化ストリームが記憶されている。コンテンツ記憶部41Bには、サイズ(大)、サイズ(中)、サイズ(小)の映像コンテンツBの符号化ストリームが記憶されている。コンテンツ記憶部41Cとコンテンツ記憶部41Dにも同様に、映像コンテンツCと映像コンテンツDのサイズ(大)、サイズ(中)、サイズ(小)の符号化ストリームが記憶されている。
【0029】
サイズ(小)の映像コンテンツA、B、及びCと、サイズ(中)の映像コンテンツDとからなるマルチ映像再生画像を生成する場合、パラメータデコーダ42Aは、映像コンテンツAのサイズ(小)の符号化ストリームをコンテンツ記憶部41Aから取得する。そして、パラメータデコーダ42Aは、入力された符号化ストリームから符号化データとパラメータを抽出し、符号化データを画像配置処理部43に供給するとともに、パラメータをパラメータ配置処理部44に供給する。
【0030】
パラメータデコーダ42Bは、映像コンテンツBのサイズ(小)の符号化ストリームをコンテンツ記憶部41Bから取得する。そして、パラメータデコーダ42Bは、入力された符号化ストリームから符号化データとパラメータを抽出し、符号化データを画像配置処理部43に供給するとともに、パラメータをパラメータ配置処理部44に供給する。
【0031】
パラメータデコーダ42Cの処理は、処理対象の符号化ストリームが映像コンテンツCのサイズ(小)の符号化ストリームである点を除いて、パラメータデコーダ42Bと同様である。
【0032】
パラメータデコーダ42Dは、映像コンテンツDのサイズ(中)の符号化ストリームをコンテンツ記憶部41Dから取得する。そして、パラメータデコーダ42Dは、入力された符号化ストリームから符号化データとパラメータを抽出し、符号化データを画像配置処理部43に供給するとともに、パラメータをパラメータ配置処理部44に供給する。
【0033】
画像配置処理部43は、マルチ映像再生画像を所定のマクロブロック単位に分割し、各マクロブロックに注目したときに、その注目マクロブロックの位置に、どの映像コンテンツが配置されるかによって、後段のパラメータ利用エンコーダ45に出力する画像データを切り替える。
【0034】
即ち、画像配置処理部43は、生成するマルチ映像再生画像において、注目マクロブロックの位置が、映像コンテンツAが配置される領域である場合には、パラメータデコーダ42Aから供給された符号化データをパラメータ利用エンコーダ45に出力する。
【0035】
また、画像配置処理部43は、生成するマルチ映像再生画像において、注目マクロブロックの位置が、映像コンテンツBが配置される領域である場合には、パラメータデコーダ42Bから供給された符号化データをパラメータ利用エンコーダ45に出力する。映像コンテンツC及びDが配置される領域についても同様である。
【0036】
パラメータ配置処理部44は、パラメータについて、画像配置処理部43と同様の処理を行う。
【0037】
即ち、パラメータ配置処理部44は、生成するマルチ映像再生画像において、注目マクロブロックの位置が、映像コンテンツAが配置される領域である場合には、パラメータデコーダ42Aから供給されたパラメータをパラメータ利用エンコーダ45に出力する。
【0038】
また、パラメータ配置処理部44は、生成するマルチ映像再生画像において、注目マクロブロックの位置が、映像コンテンツBが配置される領域である場合には、パラメータデコーダ42Bから供給されたパラメータをパラメータ利用エンコーダ45に出力する。映像コンテンツC及びDが配置される領域についても同様である。
【0039】
パラメータ利用エンコーダ45には、生成するマルチ映像再生画像において、注目マクロブロックの位置が、映像コンテンツAが配置される領域である場合には、映像コンテンツAの符号化データとパラメータが供給される。また、注目マクロブロックの位置が、映像コンテンツBが配置される領域である場合には、映像コンテンツBの符号化データとパラメータが供給される。映像コンテンツC及びDが配置される領域についても同様である。
【0040】
パラメータ利用エンコーダ45は、渡されたパラメータに基づくパラメータを符号化データに付加することによりパラメータトランスコードを行い、マルチ映像再生画像の符号化ストリームを生成する。
【0041】
なお、図5では、理解を容易にするため、コンテンツ記憶部41A乃至41Dを別々の異なるコンテンツ記憶部として説明したが、コンテンツ記憶部41A乃至41Dは同一のコンテンツ記憶部41でも良い。同様にパラメータデコーダ42A乃至42Dが行う処理も1つのパラメータデコーダ42で行うようにしてもよい。また、コンテンツ記憶部41A乃至41Dは、コンテンツ配信サーバ11に設けられてもよいし、コンテンツ配信サーバ11とは別の装置に設けられてもよい。
【0042】
以上をまとめると、コンテンツ配信サーバ11は、生成するマルチ映像再生画像において、映像コンテンツAが配置される位置のマクロブロックでは、映像コンテンツAの符号化ストリームからのパラメータトランスコードを行う。また、コンテンツ配信サーバ11は、映像コンテンツBが配置される位置のマクロブロックでは、映像コンテンツBの符号化ストリームからのパラメータトランスコードを行う。同様に、コンテンツ配信サーバ11は、映像コンテンツCまたはDが配置される位置のマクロブロックでは、映像コンテンツCまたはDの符号化ストリームからのパラメータトランスコードを行う。
【0043】
コンテンツ配信サーバ11は、基本的に映像コンテンツの符号化ストリームをパラメータトランスコードするが、通常の復号と再符号化を行う必要がある場合がある。
【0044】
例えば、符号化の演算効率を向上したり、再生側からの要求に応じたりするため、符号化ストリームにおいて、マルチスライスが適用される場合がある。この場合、図6に示すように、映像コンテンツのスライスの境界51と、マルチ映像再生画像のスライスの境界52とが一致しないことがある。
【0045】
ここで、スライスやフレームの境界に位置する予測ブロックについては、符号化規格で禁止されているイントラ予測モード等のパラメータ(以下、禁止パラメータという)がある。例えば、AVC規格では、予測ブロックのブロックサイズが4x4画素、8x8画素、16x16画素等であり、そのサイズごとに、予測方向を表すイントラ予測モードが数種類規定されている。このイントラ予測モードのうち、いくつかのイントラ予測モードについては、参照する画素が論理的に存在しないため、スライスやフレームの境界に位置する予測ブロックに対しての使用が禁止されている。例えば、上側がスライスやフレームの境界に位置する予測ブロックに対しては、Verticalモードを使用することが禁止されている。
【0046】
境界52が境界51と一致しない場合、境界52に位置する映像コンテンツの予測ブロックは、映像コンテンツ上では境界に位置しないため、その予測ブロックのパラメータは禁止パラメータである可能性がある。
【0047】
よって、コンテンツ配信サーバ11は、境界52に位置するマクロブロックのパラメータに禁止パラメータが含まれている場合、禁止パラメータが含まれないように、そのマクロブロックの符号化ストリームを復号し、再符号化する必要がある。
【0048】
また、図7に示すように、マルチ映像再生画像の表示範囲が移動するとき、映像コンテンツがマルチ映像再生画像の画面から部分的にはみ出す場合がある。この場合、映像コンテンツのフレームの境界53と、マルチ映像再生画像のフレームの境界54とが一致せず、図6の場合と同様に、境界54に位置する映像コンテンツの予測ブロックのパラメータは、禁止パラメータである可能性がある。
【0049】
従って、コンテンツ配信サーバ11は、境界54に位置するマクロブロックのパラメータに禁止パラメータが含まれている場合、図6の場合と同様に、禁止パラメータが含まれないように、そのマクロブロックの符号化ストリームを復号し、再符号化する必要がある。
【0050】
さらに、マルチ映像再生画像の表示範囲の移動等により、映像コンテンツの表示位置が変更される場合、インタータイプのマクロブロックの動きベクトルに基づく他のフレームのマルチ映像再生画像の参照画素は、本来参照すべき画素とは異なる。従って、その参照画素を用いて再符号化が行われた場合、マルチ映像再生画像に主観的に劣化が目立つブロックノイズが発生する可能性がある。よって、コンテンツ配信サーバ11は、本来参照すべき画素が参照されるように、映像コンテンツの表示位置の変更に基づいて動きベクトルを補正する。
【0051】
しかしながら、動きベクトルを補正した場合であっても、図8に示すように、参照画素がマルチ映像再生画像の画面外にはみ出す場合がある。従って、このような場合、コンテンツ配信サーバ11は、参照画素がマルチ映像再生画像の画面内になるように、符号化ストリームを復号し、再符号化する必要がある。
【0052】
さらに、マクロブロックがスキップマクロブロックである場合、図8の場合と同様に、図9に示すように、スキップマクロブロックに対応する動きベクトルに基づく他のフレームのマルチ映像再生画像の参照画素は、本来参照すべき画素とは異なる。従って、図8の場合と同様に、映像コンテンツの表示位置の変更に基づいて動きベクトルを補正したり、参照画素がマルチ映像再生画像の画面内になるように、符号化ストリームを復号し、再符号化したりする。
【0053】
なお、動きベクトルが補正されたり、再符号化が行われたりすると、スキップマクロブロックとされたマクロブロックの動きベクトルが、スキップマクロブロックに対応する動きベクトルではなくなるため、図10に示すように、MV情報を動きベクトルに変更し、ブロックサイズ情報を16×16画素に変更する必要がある。
【0054】
図11は、図3のコンテンツ配信サーバ11のパラメータトランスコードをマクロブロック単位で行う符号化処理部60の機能ブロック図を示している。
【0055】
図11の符号化処理部60は、スイッチ61、パラメータデコーダ62、パラメータ修正部63、パラメータ修正部63、パラメータ決定部64、イントラ予測/動き補償部65、DCT/量子化部66、可逆符号化部67、出力部68、逆量子化/逆DCT部69、デブロッキングフィルタ70、およびDPB(Decoded Picture Buffer)71により構成される。
【0056】
スイッチ61には、予め作成しておいた、マルチ映像再生画像を構成する映像コンテンツの所定サイズの符号化ストリームが、マルチ映像再生画像のマクロブロックに対応する映像コンテンツのブロック(以下、元ブロックという)単位で入力される。スイッチ61は、受信部として機能し、ユーザによるマルチ映像再生画像に対する表示範囲の移動指令(変更指令)等を表す表示情報を受信し、表示情報に基づいて、元ブロックのパラメータを抽出する必要があるか否かを判定する。
【0057】
スイッチ61は、元ブロックのパラメータを抽出する必要がないと判定した場合、その元ロブロックの符号化ストリームを出力部68に供給する。一方、スイッチ61は、元ブロックのパラメータを抽出する必要があると判定した場合、その元ブロックの符号化ストリームをパラメータデコーダ62に供給する。
【0058】
パラメータデコーダ62は、スイッチ61から供給される元ブロック単位の符号化ストリームから、その元ブロックのパラメータを抽出する。パラメータデコーダ62は、元ブロックのパラメータ、表示情報、マクロブロックがマルチ映像再生画像上のスライスまたはフレームの境界に位置し、かつ、元ブロックのパラメータが禁止パラメータであるか否か等に基づいて、その元ブロックのパラメータを修正する必要があるか否かを判定する。
【0059】
パラメータデコーダ62は、元ブロックのパラメータを修正する必要がないと判定した場合、その元ブロックの符号化ストリームを出力部68に供給する。また、パラメータデコーダ62は、元ブロックのパラメータを修正する必要があると判定した場合、その元ブロックのパラメータ、表示情報、マクロブロックがマルチ映像再生画像上のスライスまたはフレームの境界に位置し、かつ、元ブロックのパラメータが禁止パラメータであるか否か等に基づいて、再符号化する必要があるか否かを判定する。また、パラメータデコーダ62は、符号化ストリームから符号化データも抽出する。
【0060】
パラメータデコーダ62は、再符号化する必要がないと判定した場合、元ブロックのパラメータと符号化データをパラメータ修正部63に供給する。一方、再符号化する必要があると判定された場合、または、パラメータ修正部63から要求された場合、パラメータデコーダ62は、元ブロックの符号化データを復号し、その結果得られる画像データをパラメータ決定部64に供給する。
【0061】
パラメータ修正部63は、パラメータデコーダ62から供給される元ブロックのパラメータのMV情報等を、表示情報が表す移動指令に対応する移動量等に基づいて修正(更新)する。また、パラメータ修正部63は、修正後のパラメータに基づく参照画素がマルチ映像再生画像の画面内に存在するか否かを判定し、参照画素がマルチ映像再生画像の画面内に存在すると判定した場合、修正後のパラメータと符号化データを可逆符号化部67に供給する。
【0062】
一方、パラメータ修正部63は、マルチ映像再生画像の画面内に参照画素が存在しないと判定した場合、元ブロックの画像データのパラメータ決定部64への供給を、パラメータデコーダ62に要求する。
【0063】
パラメータ決定部64は、パラメータデコーダ62から供給される元ブロックの画像データに基づいてパラメータを決定する。具体的には、パラメータ決定部64は、パラメータデコーダ62から供給される元ブロックの画像データに対して、イントラ予測/動き補償部65と同様に、イントラ予測処理および動き補償処理を行い、予測画像データを生成する。そして、最も符号化コストの小さい予測画像データを生成する際に用いられたパラメータを最終的なパラメータに決定する。
【0064】
パラメータ決定部64は、決定されたパラメータと画像データをイントラ予測/動き補償部65に供給するとともに、パラメータを可逆符号化部67に供給する。
【0065】
イントラ予測/動き補償部65は、パラメータ決定部64からのパラメータに基づいて、DPB71に記憶されている復号済みの画像データを参照して、パラメータ決定部64からの画像データに対するイントラ予測処理または動き補償処理を実行する。イントラ予測/動き補償部65は、イントラ予測処理または動き補償処理の結果生成される予測画像データと画像データをDCT/量子化部66に供給し、予測画像データを逆量子化/逆DCT部69に供給する。
【0066】
DCT/量子化部66は、イントラ予測/動き補償部65から供給される予測画像データと画像データの差分を求める。DCT/量子化部66は、その結果得られる差分画像データに対して直交変換を施し、変換係数を求めるDCT処理を実行する。また、DCT/量子化部66は、求めた変換係数を量子化する量子化処理を実行する。DCT/量子化部66は、量子化処理後の画像データを可逆符号化部67に供給する。
【0067】
可逆符号化部67は、DCT/量子化部66から供給される量子化後の画像データに対し、可変長符号化、算術符号化等の可逆符号化を行う。可変長符号化としては、H.264/AVC方式で定められているCAVLC(Context-Adaptive Variable Length Coding)などがあげられる。算術符号化としては、CABAC(Context-Adaptive Binary Arithmetic Coding)などがあげられる。可逆符号化部67は、可逆符号化の結果得られる符号化データ、または、パラメータ修正部63からの符号化データに、パラメータ決定部64またはパラメータ修正部63から供給されるパラメータを付加する。そして、可逆符号化部67は、その結果得られる符号化ストリームを出力部68に供給する。
【0068】
出力部68は、可逆符号化部67から供給される元ブロック単位の符号化ストリーム、または、スイッチ61から供給される元ブロック単位の符号化ストリームを、マルチ映像再生画像のマクロブロック単位の符号化ストリームとして出力する。
【0069】
逆量子化/逆DCT部69は、DCT/量子化部66から供給される量子化された変換係数を逆量子化し、得られた変換係数を、さらに逆直交変換する。換言すれば、逆量子化/逆DCT部69は、DCT/量子化部66が行うDCT処理及び量子化処理に対応する方法で、逆量子化処理及び逆DCT処理を実行する。また、逆量子化/逆DCT部69は、逆直交変換の結果得られる差分画像データと、イントラ予測/動き補償部65から供給される予測画像データとを加算し、その結果得られる画像データを復号済みの画像データとしてデブロッキングフィルタ70に供給する。
【0070】
デブロッキングフィルタ70は、逆量子化/逆DCT部69から供給される復号済みの画像データに対して、ブロック歪みを除去するためのデブロッキング処理を施す。また、デブロッキングフィルタ70は、デブロッキング処理を施した復号済みの画像データ、または、デブロッキング処理を施さない復号済みの画像データを、DPB71に供給する。
【0071】
DPB71は、デブロッキングフィルタ70から供給される復号済みの画像データを記憶する。
【0072】
以上のように、符号化処理部60は、パラメータを抽出する必要がない、または、パラメータを修正する必要がないと判定した場合、入力された符号化ストリームを、そのままマルチ映像再生画像の符号化ストリームとして出力することにより、パラメータトランスコードを行う。以下では、このようなパラメータトランスコードを、修正なしパラメータトランスコードという。
【0073】
また、符号化処理部60は、パラメータを修正する必要があると判定し、再符号化を行う必要がないと判定し、参照画素がマルチ映像再生画像の画面内に存在する場合、入力された符号化ストリームに含まれるパラメータのみを修正することにより、パラメータトランスコードを行う。以下では、このようなパラメータトランスコードを修正ありパラメータトランスコードという。一方、参照画素がマルチ映像再生画像の画面内に存在しない場合、または、符号化処理部60がパラメータを修正する必要があると判定し、再符号化を行う必要があると判定した場合、符号化処理部60は、符号化ストリームを復号し、再符号化する。
【0074】
[チャンネルリスト更新処理のフローチャート]
図12は、コンテンツ配信サーバ11が新しい映像コンテンツを取得した時に実行される、チャンネルリスト更新(生成)処理のフローチャートである。
【0075】
この処理では、初めに、ステップS1において、コンテンツ配信サーバ11は、新しい映像コンテンツが取得されたか否かを判定し、新しい映像コンテンツが取得されたと判定されるまで、ステップS1の処理を繰り返す。
【0076】
ステップS1で、新しい映像コンテンツが取得されたと判定された場合、処理はステップS2に進み、コンテンツ配信サーバ11は、取得された新しい映像コンテンツの符号化ストリームを、サイズ(大)、サイズ(中)、サイズ(小)の各表示サイズについて生成する。
【0077】
ステップS3において、コンテンツ配信サーバ11は、コンテンツ記憶部41に記憶されているチャンネルリストに、取得された新しい映像コンテンツの情報を追加して、チャンネルリストを更新する。コンテンツ記憶部41にチャンネルリストが存在しない場合には、コンテンツ配信サーバ11は、取得された新しい映像コンテンツの情報を含むチャンネルリストを生成し、コンテンツ記憶部41に記憶する。
【0078】
以上により、チャンネルリスト更新は終了する。
【0079】
[起動処理のフローチャート]
図13は、クライアント側であるコンテンツ受信装置13が、起動したときに実行する起動処理のフローチャートを示している。
【0080】
この処理では、初めに、ステップS11において、コンテンツ受信装置13は、コンテンツ配信サーバ11からのチャンネルリストを受信する。コンテンツ受信装置13は、チャンネルリストの送信を要求するコマンドを送信して、それに応じて送信されてくるチャンネルリストを受信してもよいし、定期的または不定期に送信されているチャンネルリストを受信するのでもよい。
【0081】
ステップS12において、コンテンツ受信装置13は、マルチ映像再生画像として最初に表示される複数の映像コンテンツの種類及び配置が規定された初期視聴配置情報を、図示せぬ設定記憶部から取得する。例えば、コンテンツ受信装置13を製造した直後の最初の起動では、設定記憶部に予め記憶されている初期視聴配置情報が取得され、2回目以降の起動では、以前にマルチ映像再生画像を表示した時の最終状態に対応する初期視聴配置情報が取得される。
【0082】
ステップS13において、コンテンツ受信装置13は、取得した初期視聴配置情報に基づくマルチ映像再生画像をコンテンツ配信サーバ11にリクエストするための視聴配置リクエストを作成する。
【0083】
例えば、視聴配置リクエストは、映像コンテンツのコンテンツ数と、各映像コンテンツを識別するコンテンツ識別子および対角座標で表される各映像コンテンツの表示領域であるコンテンツ領域(配置領域)とからなる、次のようなフォーマットにより作成することができる。
【0084】
[コンテンツ数(N),コンテンツ1識別子,コンテンツ1位置(左上x座標,左上y座標,右下x座標,右下y座標) ,コンテンツ2識別子,コンテンツ2位置(左上x座標,左上y座標,右下x座標,右下y座標) ,・・・,コンテンツN識別子,コンテンツN位置(左上x座標,左上y座標,右下x座標,右下y座標)]
【0085】
ステップS14において、コンテンツ受信装置13は、作成した視聴配置リクエストを、コンテンツ配信サーバ11に送信して、処理を終了する。
【0086】
[映像コンテンツ変更処理]
図14は、コンテンツ受信装置13において一度マルチ映像再生画像が表示された後、マルチ映像再生画像を構成する映像コンテンツについて所定の変更がされたときに実行される、映像コンテンツ変更処理のフローチャートである。
【0087】
初めに、ステップS21において、コンテンツ受信装置13は、映像コンテンツを変更する操作が行われたか否かを判定し、変更する操作が行われたと判定されるまでステップS21の処理を繰り返す。
【0088】
ステップS21で、映像コンテンツを変更する操作が行われたと判定された場合、ステップS22において、コンテンツ受信装置13は、変更後のマルチ映像再生画像の構成に対応する視聴配置リクエストを作成する。
【0089】
そして、ステップS23において、コンテンツ受信装置13は、作成した視聴配置リクエストをコンテンツ配信サーバ11に送信して、処理を終了する。
【0090】
[視聴配置変更リクエスト受信処理]
図15は、図13または図14の処理によりコンテンツ受信装置13から送信された視聴配置変更リクエストに対してコンテンツ配信サーバ11が実行する、視聴配置変更リクエスト受信処理のフローチャートである。
【0091】
初めに、ステップS31において、コンテンツ配信サーバ11は、視聴配置変更リクエストを受信したか否かを判定し、視聴配置変更リクエストを受信したと判定されるまでステップS31の処理を繰り返す。
【0092】
ステップS31で、視聴配置変更リクエストを受信したと判定された場合、処理はステップS32に進み、コンテンツ配信サーバ11は、視聴配置変更リクエストに応じてマルチ映像再生画像を生成(変更)する視聴配置リクエスト対応処理を実行して、処理を終了する。
【0093】
[視聴配置リクエスト対応処理]
図16は、図15のステップS32で実行される視聴配置リクエスト対応処理の詳細フローチャートである。
【0094】
この処理では、初めに、ステップS41において、コンテンツ配信サーバ11は、コンテンツ受信装置13から送信されてきた視聴配置リクエストを受信する。視聴配置リクエストには、映像コンテンツのコンテンツ数Nと、その各映像コンテンツを識別するコンテンツ識別子、各映像コンテンツのコンテンツ領域(位置およびサイズ)が記述されている。そこで、コンテンツ配信サーバ11は、受信した視聴配置リクエストに基づいて、コンテンツ数Nを設定するとともに、映像コンテンツを示す変数iに0を代入して初期化する。
【0095】
ステップS42において、コンテンツ配信サーバ11は、i番目の映像コンテンツ(以下、コンテンツ(i)という。)の情報を取得する。即ち、コンテンツ配信サーバ11は、視聴配置リクエストに基づいて、コンテンツ(i)について、コンテンツ識別子により映像コンテンツを特定し、その映像コンテンツの表示位置および表示サイズを特定する。
【0096】
ステップS43において、コンテンツ配信サーバ11は、コンテンツ(i)が表示中であるか、即ち、視聴配置リクエストを受信する前のマルチ映像再生画像でもコンテンツ(i)を表示していたかを判定する。
【0097】
ステップS43で、コンテンツ(i)が表示中ではない、即ち、コンテンツ(i)は新たに表示することが選択された映像コンテンツであると判定された場合、処理はステップS44に進み、コンテンツ配信サーバ11は、コンテンツ変更処理を実行する。
【0098】
一方、ステップS43で、コンテンツ(i)が表示中である、即ち、変更前のマルチ映像再生画像でもコンテンツ(i)が表示されていたと判定された場合、処理はステップS45に進む。ステップS45において、コンテンツ配信サーバ11は、コンテンツ(i)の表示サイズに変更がないかを判定する。
【0099】
ステップS45で、コンテンツ(i)の表示サイズに変更があると判定された場合、処理はステップS46に進み、コンテンツ配信サーバ11は、コンテンツ(i)の表示サイズを変更するサイズ変更処理を実行する。
【0100】
一方、ステップS45で、コンテンツ(i)の表示サイズに変更がないと判定された場合、処理はステップS47に進む。ステップS47において、コンテンツ配信サーバ11は、コンテンツ(i)の表示位置に変更がないか、即ち表示情報が受信されたかを判定する。
【0101】
ステップS47で、コンテンツ(i)の表示位置に変更があると判定された場合、処理はステップS48に進み、コンテンツ配信サーバ11は、コンテンツ(i)の表示位置を変更する位置変更処理を実行する。なお、表示位置を変更する前の画像を参照している間の数フレーム(フィールド)は、コンテンツ(i)の表示位置に変更があると判定され、位置変更処理が実行される。
【0102】
一方、ステップS47で、コンテンツ(i)の表示位置に変更がないと判定された場合、処理はステップS49に進み、コンテンツ配信サーバ11は、修正なしパラメータトランスコードを行う修正なしパラメータトランスコード処理を実行する。
【0103】
ステップS44,S46,S48、またはS49の処理後、ステップS50において、コンテンツ配信サーバ11は、変数iを1だけインクリメントして、処理をステップS51に進める。
【0104】
ステップS51において、コンテンツ配信サーバ11は、未処理の映像コンテンツがあるか、即ち、変数iがコンテンツ数Nよりも小さいかを判定する。
【0105】
ステップS51で、未処理の映像コンテンツがある、即ち、変数iがコンテンツ数Nよりも小さいと判定された場合、処理はステップS42に戻り、それ以降の処理が繰り返し実行される。即ち、マルチ映像再生画像に表示される次の映像コンテンツについて、上述したステップS42乃至S50の処理が実行される。
【0106】
一方、ステップS51で、未処理の映像コンテンツがないと判定された場合、視聴配置リクエスト対応処理は終了し、図15に戻る。
【0107】
以上のように、視聴配置リクエスト対応処理では、コンテンツ配信サーバ11は、表示位置が変更された場合、表示サイズが変更された場合、コンテンツが変更された場合、変更がない場合に対応する処理を行う。
【0108】
なお、クライアント側であるコンテンツ受信装置13が、起動直後に、最初に送信してくる視聴配置リクエストに対しては、変更前のマルチ映像再生画像(映像コンテンツ)が存在しないため、全ての映像コンテンツに対して、ステップS44の処理と同様の処理が実行される。
【0109】
[マクロブロック単位のマルチ映像再生画像生成処理]
図16を参照して説明した視聴配置リクエスト対応処理は、マルチ映像再生画像の生成を、映像コンテンツ単位で考えた場合の処理である。
【0110】
次に、マルチ映像再生画像の生成をマクロブロック単位で考えた場合の処理について、図17を参照して説明する。図17は、時刻tにおける(t枚目の)マルチ映像再生画像を生成するマルチ映像再生画像生成処理のフローチャートである。マルチ映像再生画像を生成(更新)する周期は、例えば、フィールド周期である。
【0111】
初めに、ステップS61において、コンテンツ配信サーバ11の符号化処理部60は、生成するマルチ映像再生画像のマクロブロックMBの初期設定を行う。具体的には、符号化処理部60は、処理対象のマクロブロックMBを特定するための変数xおよびyに初期値として「0」を設定する。本実施の形態では、マルチ映像再生画像が、水平方向にX個、垂直方向にY個のマクロブロックMBに分割され、マクロブロックMBの境界は、映像コンテンツを配置する領域であるコンテンツ領域の境界と少なくとも一致するものとする。なお、以下では、水平方向が変数x、垂直方向が変数yの位置のマクロブロックMBを、マクロブロックMB(x,y)と記述する。
【0112】
ステップS62において、符号化処理部60は、時刻tのマクロブロックMB(x,y)_tが、映像コンテンツを配置する領域であるコンテンツ領域内にあるかを判定する。
【0113】
ステップS62で、時刻tのマクロブロックMB(x,y)_tがコンテンツ領域内にはないと判定された場合、処理はステップS63に進み、符号化処理部60は、時刻tのマクロブロックMB(x,y)_tの画像データとして固定データを通常エンコード処理する。即ち、固定データが、マクロブロックMB(x,y)_tの画像データとしてパラメータ決定部64に入力され、イントラ予測/動き補償部65、DCT/量子化部66、可逆符号化部67、および出力部68を介して通常エンコード処理され、出力される。固定データは、例えば、固定の黒画像などを表示するための画像データである。
【0114】
一方、ステップS62で、時刻tのマクロブロックMB(x,y)_tがコンテンツ領域内にあると判定された場合、処理はステップS64に進む。ステップS64において、符号化処理部60のスイッチ61は、時刻tのマクロブロックMB(x,y)_tと、その1つ前の時刻t−1のマクロブロックMB(x,y)_t−1の映像コンテンツが同じであるかを判定する。ここで、時刻tと時刻t−1で映像コンテンツが同じとは、画像が同一という意味ではなく、番組(内容)が同じということである。
【0115】
ステップS64で、時刻tのマクロブロックMB(x,y)_tと時刻t−1のマクロブロックMB(x,y)_t−1の映像コンテンツが同じではないと判定された場合、スイッチ61は、パラメータを抽出する必要があると判定する。そして、スイッチ61は、マクロブロックMB(x,y)_tの符号化ストリームをパラメータデコーダ62に供給する。そして、ステップS65において、符号化処理部60は、時刻tのマクロブロックMB(x,y)_tのコンテンツ変更処理を実行する。
【0116】
具体的には、変更後の映像コンテンツがライブ放送コンテンツである場合、コンテンツ配信サーバ11は、変更後の映像コンテンツの現在放送中のピクチャから符号化対象とする。従って、符号化処理部60は、マクロブロックMB(x,y)_tに対応する元ブロックのピクチャタイプがPピクチャである場合、そのPピクチャをIピクチャとして再符号化する。
【0117】
即ち、パラメータデコーダ62は、再符号化する必要があると判定し、パラメータ決定部64は、マクロブロックMB(x,y)_tをIピクチャとしてパラメータを決定し直す。なお、このとき、マクロブロックMB(x,y)_tがフレームまたはスライスの境界に位置する場合には、禁止パラメータ以外のパラメータが新たなパラメータとして決定される。そして、イントラ予測/動き補償部65、DCT/量子化部66、可逆符号化部67、および出力部68は、決定し直されたパラメータを用いて、マクロブロックMB(x,y)_tに対応する元ブロックの符号化データのデコード結果を再符号化し、その結果得られる符号化ストリームを出力する。
【0118】
これにより、マクロブロックMB(x,y)のピクチャタイプがPピクチャである場合、Iピクチャになるまで待って映像コンテンツを変更する必要がないため、高い応答性を実現できる。
【0119】
また、符号化処理部60は、マクロブロックMB(x,y)_tに対応する元ブロックのピクチャタイプがIピクチャであり、マクロブロックMB(x,y)_tがフレームまたはスライスの境界に位置しないか、または、マクロブロックMB(x,y)_tがフレームまたはスライスの境界に位置するが、パラメータが禁止パラメータではない場合、その元ブロックの符号化ストリームをそのまま出力する。
【0120】
即ち、この場合、パラメータデコーダ62は、パラメータを修正する必要がないと判定し、マクロブロックMB(x,y)_tに対応する元ブロックの符号化ストリームを、出力部68に供給する。これにより、入力されたマクロブロックMB(x,y)_tに対応する元ブロックの符号化ストリームが、そのまま、マルチ映像再生画像のマクロブロックMB(x,y)_tの符号化ストリームとして出力される。
【0121】
一方、マクロブロックMB(x,y)_tに対応する元ブロックのピクチャタイプがIピクチャであり、マクロブロックMB(x,y)_tがフレームまたはスライスの境界に位置し、パラメータが禁止パラメータである場合、符号化処理部60は、元ブロックの符号化ストリームを再符号化する。
【0122】
即ち、この場合、パラメータデコーダ62は、再符号化する必要があると判定し、パラメータ決定部64は、マクロブロックMB(x,y)_tのパラメータを禁止パラメータ以外のパラメータに決定し直す。そして、イントラ予測/動き補償部65、DCT/量子化部66、可逆符号化部67、および出力部68は、決定し直されたパラメータを用いて、マクロブロックMB(x,y)_tに対応する元ブロックの符号化データのデコード結果を再符号化し、その結果得られる符号化ストリームを出力する。
【0123】
また、マクロブロックMB(x,y)_tに対応する元ブロックのピクチャタイプがBピクチャである場合、符号化処理部60は、何もせず、IピクチャまたはPピクチャを待つ。
【0124】
一方、変更後の映像コンテンツが非ライブ放送コンテンツである場合、コンテンツ配信サーバ11は、その映像コンテンツの先頭から符号化対象とする。このため、符号化処理部60は、変更後の映像コンテンツがライブ放送コンテンツであり、マクロブロックMB(x,y)_tに対応する元ブロックのピクチャタイプがIピクチャである場合と同様の処理を行う。
【0125】
また、ステップS64で、時刻tのマクロブロックMB(x,y)_tと時刻t−1のマクロブロックMB(x,y)_t−1の映像コンテンツが同じであると判定された場合、処理はステップS66に進む。ステップS66において、スイッチ61は、時刻tのマクロブロックMB(x,y)_tと時刻t−1のマクロブロックMB(x,y)_t−1が属するコンテンツ領域の表示サイズが同じであるかを判定する。
【0126】
ステップS66で、コンテンツ領域の表示サイズが同じではないと判定された場合、スイッチ61は、パラメータを抽出する必要があると判定する。そして、スイッチ61は、マクロブロックMB(x,y)_tに対応する元ブロックの符号化ストリームをパラメータデコーダ62に供給する。そして、ステップS67において、符号化処理部60は、時刻tのマクロブロックMB(x,y)_tのサイズ変更処理を実行する。なお、サイズ変更処理は、符号化対象が、表示サイズが変更された映像コンテンツである点を除いて、コンテンツ変更処理と同様である。
【0127】
一方、ステップS66で、コンテンツ領域の表示サイズが同じであると判定された場合、処理はステップS68に進む。そして、ステップS68において、スイッチ61は、時刻tのマクロブロックMB(x,y)_tと時刻t−1のマクロブロックMB(x,y)_t−1が属するコンテンツ領域の位置が同じであるかを判定する。
【0128】
ステップS68で、コンテンツ領域の位置が同じではないと判定された場合、スイッチ61は、パラメータを抽出する必要があると判定し、マクロブロックMB(x,y)_tに対応する元ブロックの符号化ストリームをパラメータデコーダ62に供給する。そして、ステップS69において、符号化処理部60は、時刻tのマクロブロックMB(x,y)_tに対応する映像コンテンツの位置変更処理を実行する。このマクロブロックMB(x,y)_tの位置変更処理の詳細は、後述する図18を参照して説明する。
【0129】
一方、ステップS68で、コンテンツ領域の位置が同じであると判定された場合、スイッチ61は、パラメータを抽出する必要がないと判定し、処理をステップS70に進める。ステップS70において、符号化処理部60は、時刻tのマクロブロックMB(x,y)_tについて修正なしパラメータトランスコード処理を実行する。
【0130】
具体的には、符号化処理部60のスイッチ61は、マクロブロックMB(x,y)_tがマルチ映像再生画像上のスライスまたはフレームの境界に位置しない場合、入力されるマクロブロックMB(x,y)_tに対応する元ブロックの符号化ストリームを、出力部68に供給する。出力部68は、その符号化ストリームを、マルチ映像再生画像のマクロブロックMB(x,y)_tの符号化ストリームとしてそのまま出力する。
【0131】
一方、マクロブロックMB(x,y)_tがマルチ映像再生画像上のスライスまたはフレームの境界に位置する場合、スイッチ61は、元ブロックのパラメータを抽出する必要があると判定し、マクロブロックMB(x,y)_tに対応する元ブロックの符号化ストリームをパラメータデコーダ62に供給する。パラメータデコーダ62は、マクロブロックMB(x,y)_tのパラメータが禁止パラメータである場合、再符号化する必要があると判定し、パラメータ決定部64は、マクロブロックMB(x,y)_tのパラメータを禁止パラメータ以外のパラメータに決定し直す。そして、イントラ予測/動き補償部65、DCT/量子化部66、可逆符号化部67、および出力部68は、決定し直されたパラメータを用いて、マクロブロックMB(x,y)_tに対応する元ブロックの符号化データのデコード結果を再符号化し、その結果得られる符号化ストリームを出力する。
【0132】
また、マクロブロックMB(x,y)_tのパラメータが禁止パラメータではない場合、パラメータデコーダ62は、パラメータを修正する必要がないと判定し、マクロブロックMB(x,y)_tに対応する元ブロックの符号化ストリームを、出力部68に供給する。出力部68は、その符号化ストリームを、マルチ映像再生画像のマクロブロックMB(x,y)_tの符号化ストリームとしてそのまま出力する。
【0133】
ステップS63,S65,S67,S69、またはS70の後、処理はステップS71に進む。ステップS71において、符号化処理部60は、変数xを1だけインクリメントして、処理をステップS72に進める。
【0134】
ステップS72において、符号化処理部60は、変数xが水平方向のマクロブロック数Xと等しいかを判定する。ステップS72で、変数xがマクロブロック数Xと等しくない(変数xがマクロブロック数Xより小さい)と判定された場合、処理はステップS62に戻る。
【0135】
一方、ステップS72で、変数xが水平方向のマクロブロック数Xと等しいと判定された場合、処理はステップS73に進み、符号化処理部60は、変数xを「0」にリセットするとともに、変数yを1だけインクリメントする。
【0136】
ステップS74において、符号化処理部60は、変数yが垂直方向のマクロブロック数Yと等しいかを判定する。ステップS74で、変数yがマクロブロック数Yと等しくない(変数yがマクロブロック数Yより少ない)と判定された場合、処理はステップS62に戻る。
【0137】
一方、ステップS74で、変数yがマクロブロック数Yと等しいと判定された場合、処理は終了する。
【0138】
[マクロブロックMB(x,y)_tの位置変更処理]
図18は、図17のステップS69で実行される、マクロブロックMB(x,y)_tの位置変更処理の詳細フローチャートである。
【0139】
初めに、ステップS101において、パラメータデコーダ62は、スイッチ61を介して入力されるマクロブロックMB(x,y)_tに対応する元ブロックの符号化ストリームに含まれるパラメータを、マクロブロックMB(x,y)_tのパラメータとして抽出する。
【0140】
ステップS102において、パラメータデコーダ62は、ステップS101で抽出されたパラメータに基づいて、マクロブロックMB(x,y)_tに対応する元ブロックのタイプ情報がインタータイプであるかを判定する。
【0141】
ステップS102で、マクロブロックMB(x,y)_tに対応する元ブロックのタイプ情報がインタータイプであると判定された場合、パラメータデコーダ62は、再符号化する必要がないと判定する。そして、パラメータデコーダ62は、ステップS101で抽出されたパラメータと、元ブロックの符号化ストリームに含まれる符号化データをパラメータ修正部63に供給する。
【0142】
そして、ステップS103において、パラメータ修正部63は、パラメータデコーダ62から供給されるパラメータに基づいて、マクロブロックMB(x,y)_tに対応する元ブロックのMV情報がスキップマクロモードであるかを判定する。
【0143】
ステップS103でMV情報がスキップマクロモードであると判定された場合、ステップS104において、パラメータ修正部63は、ブロックサイズ情報を16×16画素に変更(更新)する。そして、処理をステップS105に進める。
【0144】
一方、ステップS103でMV情報がスキップマクロモードではないと判定された場合、ステップS104をスキップしてステップS105に進む。
【0145】
ステップS105において、パラメータ修正部63は、マクロブロックMB(x,y)_tのMV変換を行う。具体的には、マクロブロックMB(x,y)_tの元の動きベクトルを(MvX,MvY)とし、変更前の位置から変更後の位置までの移動量を(dX,dY)とすると、パラメータ修正部63は、マクロブロックMB(x,y)_tの新たな動きベクトルを、(MvX+dX,MvY+dY)とし、MV情報を、その動きベクトルに更新する。
【0146】
ステップS106において、パラメータ修正部63は、マクロブロックMB(x,y)_tの新たな動きベクトル(MvX+dX,MvY+dY)に基づく参照画素が存在するか、即ち、参照画素がマルチ映像再生画像の画面内に存在するかを判定する。
【0147】
ステップS106で、参照画素が存在すると判定された場合、処理はステップS107に進み、符号化処理部60は、修正ありパラメータトランスコードを行う修正ありパラメータトランスコード処理を行う。具体的には、パラメータ修正部63は、更新されたパラメータを、パラメータデコーダ62から供給される符号化データに付加し、その結果得られる符号化ストリームを出力部68に供給し、マクロブロックMB(x,y)_tの符号化ストリームとして出力させる。
【0148】
一方、ステップS106で、参照画素が存在しないと判定された場合、ステップS108において、パラメータ修正部63は、参照画素のマルチ映像再生画像の画面に対するはみだし量が所定量以上であるかを判定する。
【0149】
ステップS108ではみだし量が所定量以上であると判定された場合、パラメータ修正部63は、画像データのパラメータ決定部64への供給をパラメータデコーダ62に要求する。そして、処理はステップS109に進み、符号化処理部60は、マクロブロックMB(x,y)_tに対して再符号化処理を行う。
【0150】
具体的には、パラメータデコーダ62は、マクロブロックMB(x,y)_tに対応する元ブロックの符号化データを復号し、その結果得られる画像データをパラメータ決定部64に供給する。パラメータ決定部64は、パラメータデコーダ62から供給される画像データと参照する画像データを用いてイントラ予測処理および動き補償処理を行うことにより、パラメータを決定し直す。そして、イントラ予測/動き補償部65、DCT/量子化部66、および可逆符号化部67は、決定し直されたパラメータ等を用いて画像データを符号化し、そのパラメータを付加する。出力部68は、その結果得られる符号化ストリームを、マクロブロックMB(x,y)_tの符号化ストリームとして出力する。
【0151】
一方、ステップS108ではみ出し量が所定量以上ではないと判定された場合、パラメータ修正部63は、画像データのパラメータ決定部64への供給をパラメータデコーダ62に要求するとともに、修正後のパラメータをパラメータデコーダ62に供給する。そして、処理はステップS110に進み、符号化処理部60は、マクロブロックMB(x,y)_tに対して既定の再符号化処理を行う。
【0152】
具体的には、パラメータデコーダ62は、マクロブロックMB(x,y)_tに対応する元ブロックの符号化データを復号し、その結果得られる画像データと修正後のパラメータをパラメータ決定部64に供給する。パラメータ決定部64は、パラメータデコーダ62から供給される修正後のパラメータを新たなパラメータとして決定する。そして、イントラ予測/動き補償部65、DCT/量子化部66、および可逆符号化部67は、修正後のパラメータ等を用いて画像データを符号化する。なお、このとき、参照画素はマルチ映像再生画像の画面内に存在しないため、既定の参照画素を参照する。符号化された画像データには、パラメータが付加され、出力部68は、その結果得られる符号化ストリームを、マクロブロックMB(x,y)_tの符号化ストリームとして出力する。
【0153】
また、上述したステップS102で、マクロブロックMB(x,y)_tのタイプ情報がイントラタイプであると判定された場合、処理はステップS111に進む。ステップS111において、パラメータデコーダ62は、マクロブロックMB(x,y)_tがマルチ映像再生画像におけるスライスまたはフレームの境界に位置するかを判定する。
【0154】
ステップS111でマクロブロックMB(x,y)_tがマルチ映像再生画像におけるスライスまたはフレームの境界に位置すると判定された場合、ステップS112において、パラメータデコーダ62は、マクロブロックMB(x,y)_tのパラメータが禁止パラメータであるかを判定する。
【0155】
ステップS112でマクロブロックMB(x,y)_tのパラメータが禁止パラメータであると判定された場合、パラメータデコーダ62は、再符号化する必要があると判定し、画像データをパラメータ決定部64に供給する。そして、処理はステップS109に進み、符号化処理部60は、上述した再符号化処理を行う。
【0156】
一方、ステップS111でマクロブロックMB(x,y)_tがマルチ映像再生画像におけるスライスまたはフレームの境界に位置しないと判定された場合、または、ステップS112でマクロブロックMB(x,y)_tのパラメータが禁止パラメータではないと判定された場合、パラメータデコーダ62は、パラメータを修正する必要がないと判定する。
【0157】
そして、ステップS113において、符号化処理部60は、時刻tのマクロブロックMB(x,y)_tについて修正なしパラメータトランスコード処理を実行する。具体的には、パラメータデコーダ62は、パラメータを修正する必要がないと判定し、マクロブロックMB(x,y)_tに対応する元ブロックの符号化ストリームを、出力部68に供給する。出力部68は、その符号化ストリームを、マルチ映像再生画像のマクロブロックMB(x,y)_tの符号化ストリームとしてそのまま出力する。
【0158】
以上のように、コンテンツ配信サーバ11は、配信可能な全ての映像コンテンツについて、表示サイズの異なる複数の符号化ストリームを予め作成し、記憶しておく。そして、コンテンツ配信サーバ11は、受信した視聴配置リクエストに基づいて、予め作成した符号化ストリームをパラメータトランスコードすることにより、複数の映像が配置されたマルチ映像再生画像の1本の符号化ストリームを作成し、コンテンツ受信装置13に送信する。
【0159】
従って、コンテンツ配信サーバ11からコンテンツ受信装置13には、1本の符号化ストリームが提供されるので、コンテンツ受信装置13が1本の符号化ストリームしか再生できない装置であってもマルチ映像再生画像を表示することができる。
【0160】
サーバ側のコンテンツ配信サーバ11がマルチ映像再生画像を生成する際のパラメータトランスコード量は、基本的に1種類の映像コンテンツの符号化ストリームを作成するときと同等であるので、従来のマルチ映像再生画像の生成方法と比べて高速に処理できる。
【0161】
さらに、スライスまたはフレームの境界の位置の変化によりパラメータが禁止パラメータとなった場合、コンテンツ配信サーバ11は、パラメータトランスコードではなく、再符号化を行う。従って、マルチ映像再生画像の符号化ストリームが規格に違反し、復号エラーが発生することを防止することができる。
【0162】
また、映像コンテンツの表示位置が変更される場合、コンテンツ配信サーバ11は、本来参照すべき画素が参照されるように、映像コンテンツの表示位置の変更に基づいて動きベクトルを補正する。さらに、補正後の動きベクトルに基づく参照画素がマルチ映像再生画像の画面内に存在しない場合、パラメータトランスコードではなく、再符号化を行う。従って、本来参照すべき画素ではない画素が参照されることによる画質劣化を防止することができる。
【0163】
以上のように、コンテンツ配信サーバ11は、予め作成した符号化ストリームのパラメータを可能な限り利用してパラメータトランスコードを行い、規格違反や画質劣化が予想される部分のみを再符号化することによりマルチ映像再生画像の符号化ストリームを作成する。従って、コンテンツ配信サーバ11は、処理負荷と画質劣化を最小限に抑制し、符号化規格に準拠することができる。
【0164】
なお、上述した説明では、説明を簡単にするため、パラメータトランスコード時に、DCT/量子化部66による処理および可逆符号化部67による可逆符号化処理等が行われないものとしたが、パラメータトランスコード時であっても、場合によっては、これらの処理が行われる。
【0165】
例えば、パラメータトランスコード前後で量子化精度を変更して発生ビット量を制御する場合、符号化データが復号され、量子化部66による処理および可逆符号化部67による可逆符号化処理等が行われる。また、図19に示すように、マルチ映像再生画像の同一スライスに複数の映像コンテンツである映像コンテンツA乃至Dが配置される場合、映像コンテンツの境界については、符号化データが復号され、量子化部66による処理および可逆符号化部67による可逆符号化処理等が行われる。
【0166】
即ち、可逆符号化は、可逆符号化対象のマクロブロックの上側および左側のブロックに依存する。従って、図19に示すように、映像コンテンツA乃至Dのマクロブロックは、各映像コンテンツにおいて左から右、上から下に向かう順で、上側および左側のブロックを参照して可逆符号化されている。これに対して、マルチ映像再生画像のマクロブロックは、マルチ映像再生画像全体において左から右、上から下に向かう順で、上側および左側のブロックを参照して可逆符号化される必要がある。よって、映像コンテンツの境界では、可逆符号化をやり直す必要がある。
【0167】
また、上述したように、可逆符号化は、可逆符号化対象のマクロブロックの周辺のブロックに依存するため、周辺のブロックの可逆符号化がやり直される場合、符号化データが復号され、量子化部66による処理および可逆符号化部67による可逆符号化処理等が行われる。
【0168】
なお、上述した説明では、再符号化時にパラメータを決定し直す際、元のパラメータを参照しなかったが、元のパラメータを参照してもよい。例えば、元のパラメータのうちのタイプ情報を、更新後のパラメータのうちのタイプ情報として用いるようにしてもよい。この場合、タイプ情報がイントラタイプである場合、イントラ予測のみを行うことによりパラメータを決定し直し、インタータイプである場合、動き補償のみを行うことによりパラメータを決定し直す。従って、元のパラメータを参照しない場合に比べて、処理負荷が軽減される。これに対して、元のパラメータを参照しない場合、最も適した予測画像を生成することができるので、画質劣化を抑制することができる。
【0169】
また、本技術の符号化方式は、AVC方式のほか、HEVC(High Efficiency Video Coding)方式等であってもよい。符号化方式がHEVC方式である場合、例えば、予測ブロックのサイズが8×8画素である輝度信号のイントラ予測モードは、図20に示した33方向のイントラ予測モードとDC Predictionを示すイントラ予測モードの34個のイントラ予測モードである。また、予測ブロックのサイズが16×16画素、32×32画素、64×64画素である輝度信号のイントラ予測モードは、図21に示すように、座標(dxIntra,dyIntra)に対応し、モード数は33である。なお、座標(dxIntra,dyIntra)は、予測ブロックに隣接する隣接ブロックのうちの予測画素として用いられる画素が交わる線の、所定の座標(x,y)の基点画素以外の端点の基点画素に対する位置を表している。即ち、隣接ブロックのうちの予測画素として用いられる画素は、基点画素と座標(x+dxIntra,y+dyIntra)の位置を結んだ線と交わる。
【0170】
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0171】
図22は、上述した一連の処理をプログラムにより実行し、コンテンツ配信サーバ11またはコンテンツ受信装置13として機能するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0172】
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)101,ROM(Read Only Memory)102,RAM(Random Access Memory)103は、バス104により相互に接続されている。
【0173】
バス104には、さらに、入出力インタフェース105が接続されている。入出力インタフェース105には、入力部106、出力部107、記憶部108、通信部109、及びドライブ110が接続されている。
【0174】
入力部106は、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる。出力部107は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部108は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部109は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ110は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体111を駆動する。
【0175】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU101が、例えば、記憶部108に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース105及びバス104を介して、RAM103にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0176】
コンテンツ配信サーバ11をコンピュータで構成した場合、CPU101は、例えば、複数の映像コンテンツそれぞれについて、表示サイズが異なる複数の符号化ストリームを予め作成する処理、符号化処理部60に対応するパラメータトランスコード処理などを行う。記憶部108は、予め作成された各映像コンテンツの複数の表示サイズの符号化ストリームを記憶する。通信部109は、コンテンツ受信装置13からの視聴配置リクエストを受信したり、生成した符号化ストリームをコンテンツ受信装置13に送信する。
【0177】
コンテンツ受信装置13をコンピュータで構成した場合、CPU101は、例えば、視聴配置リクエストを作成したり、1ストリームの符号化ストリームをデコードし、マルチ映像再生画像を生成し、表示部(出力部107)に表示させる。通信部109は、コンテンツ配信サーバ11に視聴配置リクエストを送信したり、コンテンツ配信サーバ11から送信されてきた1ストリームの符号化ストリームを受信して、CPU101に供給する。
【0178】
コンピュータ(CPU101)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブル記録媒体111に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0179】
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブル記録媒体111をドライブ110に装着することにより、入出力インタフェース105を介して、記憶部108にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部109で受信し、記憶部108にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM102や記憶部108に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0180】
なお、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる場合はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで実行されてもよい。
【0181】
また、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0182】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0183】
例えば、上述した実施の形態では、マルチ映像再生画像が3つのサイズ(小)の映像コンテンツと1つのサイズ(中)の映像コンテンツからなる例について説明したが、マルチ映像再生画像はこれに限定されない。換言すれば、マルチ映像再生画像において、映像コンテンツの表示サイズ、一画面で同時に表示(視聴)する映像コンテンツの数や配置は、適宜、設定することができる。
【0184】
また、上述した実施の形態では、コンテンツ配信サーバ11が、合成する全ての映像コンテンツの各サイズの符号化ストリームを自身で作成し、記憶していた。しかし、合成対象の、表示サイズが異なる複数の符号化ストリームは、他のサーバ(コンピュータ)で作成され、それをコンテンツ配信サーバ11が取得してマルチ映像再生画像を生成するようにしてもよい。また、自身が作成した符号化ストリームと、他のサーバから取得した符号化ストリームを組み合わせて使用してもよい。
【0185】
さらに、上述したマルチ映像再生画像は、表示サイズが異なる映像コンテンツの組み合わせで構成されていたが、同一サイズのみの複数の映像コンテンツの組み合わせでもよい。
【0186】
また、本技術は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0187】
さらに、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0188】
また、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0189】
本技術は、以下のような構成もとることができる。
【0190】
(1)
複数の映像コンテンツそれぞれについて、表示サイズが異なる複数の符号化ストリームを作成し、前記符号化ストリームを用いて所定のブロック単位で符号化を行うことにより、前記複数の映像コンテンツを同時に表示するマルチ映像再生画像の符号化ストリームを生成する符号化処理部
を備え、
前記符号化処理部は、前記映像コンテンツの符号化ストリームに含まれる、前記所定のブロックに対応する前記映像コンテンツのブロックである元ブロックの符号化に関するパラメータが、前記マルチ映像再生画像の符号化ストリームにおいて禁止されている禁止パラメータである場合、前記元ブロックの符号化ストリームを復号して再符号化し、その結果得られる符号化ストリームを前記所定のブロックの符号化ストリームとし、前記元ブロックの前記パラメータが前記禁止パラメータではない場合、前記元ブロックの符号化ストリームを前記所定のブロックの符号化ストリームとする
画像処理装置。
(2)
前記マルチ映像再生画像の表示範囲の変更を表す表示情報を受信する受信部
をさらに備え、
前記符号化処理部は、前記受信部により前記表示情報が受信された場合、前記元ブロックの前記パラメータが前記禁止パラメータであるかどうかを判断する
前記(1)に記載の画像処理装置。
(3)
前記禁止パラメータは、前記マルチ映像再生画像のスライスまたはフレームの境界に位置する所定のブロックの符号化ストリームにおいて禁止されているパラメータである
前記(1)または(2)に記載の画像処理装置。
(4)
前記符号化処理部は、前記元ブロックの前記パラメータが前記禁止パラメータではなく、参照画素に対応する動きベクトルを含む場合、前記マルチ映像再生画像を構成する前記映像コンテンツの表示位置の変更に基づいて、その動きベクトルを更新し、前記動きベクトルが更新された前記元ブロックの符号化ストリームを前記所定のブロックの符号化ストリームとする
前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の画像処理装置。
(5)
前記符号化処理部は、更新後の前記動きベクトルに基づく前記映像コンテンツが前記マルチ映像再生画像の画面内に存在する場合、その動きベクトルを含む前記元ブロックの符号化ストリームを前記所定のブロックの符号化ストリームとし、更新後の前記動きベクトルに基づく前記映像コンテンツが前記マルチ映像再生画像の画面内に存在しない場合、その動きベクトルに対応する前記元ブロックの符号化ストリームを復号して再符号化し、その結果得られる符号化ストリームを前記所定のブロックの符号化ストリームとする
前記(4)に記載の画像処理装置。
(6)
前記符号化処理部は、前記元ブロックの前記パラメータが前記禁止パラメータではなく、前記元ブロックの動きベクトルを表す情報としてのスキップマクロモードを含む場合、前記マルチ映像再生画像を構成する前記映像コンテンツの表示位置の変更に基づいて、前記所定のブロックの参照画素に対応する動きベクトルを演算し、前記スキップマクロモードを、その動きベクトルに更新して、前記パラメータが更新された前記元ブロックの符号化ストリームを前記所定のブロックの符号化ストリームとする
前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の画像処理装置。
(7)
画像処理装置が、
複数の映像コンテンツそれぞれについて、表示サイズが異なる複数の符号化ストリームを作成し、前記符号化ストリームを用いて所定のブロック単位で符号化を行うことにより、前記複数の映像コンテンツを同時に表示するマルチ映像再生画像の符号化ストリームを生成する符号化処理ステップ
を含み、
前記符号化処理ステップの処理では、前記映像コンテンツの符号化ストリームに含まれる、前記所定のブロックに対応する前記映像コンテンツのブロックである元ブロックの符号化に関するパラメータが、前記マルチ映像再生画像の符号化ストリームにおいて禁止されている禁止パラメータである場合、前記元ブロックの符号化ストリームを復号して再符号化し、その結果得られる符号化ストリームを前記所定のブロックの符号化ストリームとし、前記元ブロックの前記パラメータが前記禁止パラメータではない場合、前記元ブロックの符号化ストリームを前記所定のブロックの符号化ストリームとする
画像処理方法。
(8)
サーバ装置とクライアント装置とからなり、
前記サーバ装置は、
複数の映像コンテンツそれぞれについて、表示サイズが異なる複数の符号化ストリームを作成し、前記符号化ストリームを用いて所定のブロック単位で符号化を行うことにより、前記複数の映像コンテンツを同時に表示するマルチ映像再生画像の符号化ストリームを生成する符号化処理部と、
前記符号化処理部により生成された前記マルチ映像再生画像の符号化ストリームを前記クライアント装置に送信する送信部と
を備え、
前記符号化処理部は、前記映像コンテンツの符号化ストリームに含まれる、前記所定のブロックに対応する前記映像コンテンツのブロックである元ブロックの符号化に関するパラメータが、前記マルチ映像再生画像の符号化ストリームにおいて禁止されている禁止パラメータである場合、前記元ブロックの符号化ストリームを復号して再符号化し、その結果得られる符号化ストリームを前記所定のブロックの符号化ストリームとし、前記元ブロックの前記パラメータが前記禁止パラメータではない場合、前記元ブロックの符号化ストリームを前記所定のブロックの符号化ストリームとし、
前記クライアント装置は、
前記送信部により送信された前記マルチ映像再生画像の符号化ストリームを受信する受信部と、
受信した前記マルチ映像再生画像の符号化ストリームに基づいて、前記マルチ映像再生画像を所定の表示部に表示させる表示制御部と
を備える
画像処理システム。
【符号の説明】
【0191】
1 マルチ映像再生システム, 11 コンテンツ配信サーバ, 13 コンテンツ受信装置, 60 符号化処理部, 68 出力部, 101 CPU, 109 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の映像コンテンツそれぞれについて、表示サイズが異なる複数の符号化ストリームを作成し、前記符号化ストリームを用いて所定のブロック単位で符号化を行うことにより、前記複数の映像コンテンツを同時に表示するマルチ映像再生画像の符号化ストリームを生成する符号化処理部
を備え、
前記符号化処理部は、前記映像コンテンツの符号化ストリームに含まれる、前記所定のブロックに対応する前記映像コンテンツのブロックである元ブロックの符号化に関するパラメータが、前記マルチ映像再生画像の符号化ストリームにおいて禁止されている禁止パラメータである場合、前記元ブロックの符号化ストリームを復号して再符号化し、その結果得られる符号化ストリームを前記所定のブロックの符号化ストリームとし、前記元ブロックの前記パラメータが前記禁止パラメータではない場合、前記元ブロックの符号化ストリームを前記所定のブロックの符号化ストリームとする
画像処理装置。
【請求項2】
前記マルチ映像再生画像の表示範囲の変更を表す表示情報を受信する受信部
をさらに備え、
前記符号化処理部は、前記受信部により前記表示情報が受信された場合、前記元ブロックの前記パラメータが前記禁止パラメータであるかどうかを判断する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記禁止パラメータは、前記マルチ映像再生画像のスライスまたはフレームの境界に位置する所定のブロックの符号化ストリームにおいて禁止されているパラメータである
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記符号化処理部は、前記元ブロックの前記パラメータが前記禁止パラメータではなく、参照画素に対応する動きベクトルを含む場合、前記マルチ映像再生画像を構成する前記映像コンテンツの表示位置の変更に基づいて、その動きベクトルを更新し、前記動きベクトルが更新された前記元ブロックの符号化ストリームを前記所定のブロックの符号化ストリームとする
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記符号化処理部は、更新後の前記動きベクトルに基づく前記映像コンテンツが前記マルチ映像再生画像の画面内に存在する場合、その動きベクトルを含む前記元ブロックの符号化ストリームを前記所定のブロックの符号化ストリームとし、更新後の前記動きベクトルに基づく前記映像コンテンツが前記マルチ映像再生画像の画面内に存在しない場合、その動きベクトルに対応する前記元ブロックの符号化ストリームを復号して再符号化し、その結果得られる符号化ストリームを前記所定のブロックの符号化ストリームとする
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記符号化処理部は、前記元ブロックの前記パラメータが前記禁止パラメータではなく、前記元ブロックの動きベクトルを表す情報としてのスキップマクロモードを含む場合、前記マルチ映像再生画像を構成する前記映像コンテンツの表示位置の変更に基づいて、前記所定のブロックの参照画素に対応する動きベクトルを演算し、前記スキップマクロモードを、その動きベクトルに更新して、前記パラメータが更新された前記元ブロックの符号化ストリームを前記所定のブロックの符号化ストリームとする
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像処理装置が、
複数の映像コンテンツそれぞれについて、表示サイズが異なる複数の符号化ストリームを作成し、前記符号化ストリームを用いて所定のブロック単位で符号化を行うことにより、前記複数の映像コンテンツを同時に表示するマルチ映像再生画像の符号化ストリームを生成する符号化処理ステップ
を含み、
前記符号化処理ステップの処理では、前記映像コンテンツの符号化ストリームに含まれる、前記所定のブロックに対応する前記映像コンテンツのブロックである元ブロックの符号化に関するパラメータが、前記マルチ映像再生画像の符号化ストリームにおいて禁止されている禁止パラメータである場合、前記元ブロックの符号化ストリームを復号して再符号化し、その結果得られる符号化ストリームを前記所定のブロックの符号化ストリームとし、前記元ブロックの前記パラメータが前記禁止パラメータではない場合、前記元ブロックの符号化ストリームを前記所定のブロックの符号化ストリームとする
画像処理方法。
【請求項8】
サーバ装置とクライアント装置とからなり、
前記サーバ装置は、
複数の映像コンテンツそれぞれについて、表示サイズが異なる複数の符号化ストリームを作成し、前記符号化ストリームを用いて所定のブロック単位で符号化を行うことにより、前記複数の映像コンテンツを同時に表示するマルチ映像再生画像の符号化ストリームを生成する符号化処理部と、
前記符号化処理部により生成された前記マルチ映像再生画像の符号化ストリームを前記クライアント装置に送信する送信部と
を備え、
前記符号化処理部は、前記映像コンテンツの符号化ストリームに含まれる、前記所定のブロックに対応する前記映像コンテンツのブロックである元ブロックの符号化に関するパラメータが、前記マルチ映像再生画像の符号化ストリームにおいて禁止されている禁止パラメータである場合、前記元ブロックの符号化ストリームを復号して再符号化し、その結果得られる符号化ストリームを前記所定のブロックの符号化ストリームとし、前記元ブロックの前記パラメータが前記禁止パラメータではない場合、前記元ブロックの符号化ストリームを前記所定のブロックの符号化ストリームとし、
前記クライアント装置は、
前記送信部により送信された前記マルチ映像再生画像の符号化ストリームを受信する受信部と、
受信した前記マルチ映像再生画像の符号化ストリームに基づいて、前記マルチ映像再生画像を所定の表示部に表示させる表示制御部と
を備える
画像処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−55587(P2013−55587A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193808(P2011−193808)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】