説明

画像処理装置、画像処理方法および画像処理システム

【課題】画像処理装置、画像処理方法および画像処理システムを提供する。
【解決手段】映像信号を合成する複数の信号処理回路と、前記複数の信号処理部を接続する通信路とを備え、前記複数の信号処理回路のうちのいずれかの信号処理回路は、前記信号処理回路における合成により得られた映像信号と、他の信号処理回路から前記通信路を介して供給される前記他の信号処理回路による合成により得られた映像信号と、を合成する、画像処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法および画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビジョン放送局や映像編集のために用いられる画像処理装置には、M/E(Mix and Effect)と呼ばれる信号処理回路が実装される。この信号処理回路は、例えば、入力される複数の映像信号を合成するキーイング処理を行う。
【0003】
また、特許文献1および2に記載されているように、2つの信号処理回路が実装された画像処理装置も提案されている。この画像処理装置によれば、2系統の映像信号を2つの信号処理回路が同時に処理することができるので、効率的である。例えば、一方の信号処理回路では1フレームを構成する偶数ラインに対応する映像信号を処理し、他方の信号処理回路では奇数ラインに対応する映像信号を処理で処理することが可能である。同様に、一方の信号処理回路では3次元用映像信号における左目用信号を処理し、他方の信号処理回路では右目用信号を処理することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−253387号公報
【特許文献2】特開2009−253388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記のように2つの信号処理回路が実装された画像処理装置においては、2つの信号処理回路を直列的に用いてキーイングなどの合成処理を行うことも可能である。具体的には、一方の信号処理回路で複数の映像信号を合成し、合成後の映像信号を他方の信号処理回路に供給し、他方の信号処理回路で供給された映像信号に対してさらに複数の映像信号を合成することも可能である。
【0006】
しかし、上記のように2つの信号処理回路を直列的に用いると、一方の信号処理回路による信号処理の後に他方の信号処理回路による信号処理が開始されるので、全体の処理時間が長期化してしまうという問題が懸念される。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、映像合成のための処理時間を短縮することが可能な、新規かつ改良された画像処理装置、画像処理方法および画像処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、映像信号を合成する複数の信号処理回路と、前記複数の信号処理部を接続する通信路とを備え、前記複数の信号処理回路のうちのいずれかの信号処理回路は、前記信号処理回路における合成により得られた映像信号と、他の信号処理回路から前記通信路を介して供給される前記他の信号処理回路による合成により得られた映像信号と、を合成する、画像処理装置が提供される。
【0009】
前記信号処理回路は、第1の映像合成部、および前記第1の映像合成部の後段に配される第2の映像合成部を有し、前記第2の映像合成部は、前記第1の映像合成部の合成により得られた映像信号と、前記通信路を介して前記他の信号処理回路から供給される映像信号と、を合成してもよい。
【0010】
前記信号処理回路は、前記第2の映像合成部の合成により得られた映像信号と背景映像信号とを合成する第3の映像合成部をさらに備え、前記第3の映像合成部は、前記第2の映像合成部の次段に配されてもよい。
【0011】
前記画像処理装置は、前記複数の信号処理回路の動作を制御する制御部をさらに備え、前記制御部は、前記複数の信号処理回路の動作モードを、前記信号処理回路が他の信号処理回路から供給される映像信号を合成する結合動作モードおよび他の動作モードのうちで切り換えてもよい。
【0012】
前記他の動作モードは、前記複数の信号処理回路の各々が個別に異なる処理を行う独立動作モードを含んでもよい。
【0013】
前記他の動作モードは、1フレームを構成する奇数ラインに対応する映像信号の処理、および前記1フレームを構成する偶数ラインに対応する映像信号の処理を異なる信号処理回路が行う、連動動作モードを含んでもよい。
【0014】
前記他の動作モードは、3次元用映像信号における左目用信号の処理、および右目用信号の処理を異なる信号処理回路が行う、3次元用連動動作モードを含んでもよい。
【0015】
前記制御部は、前記第2の映像合成部による、前記第1の映像合成部による合成により得られた映像信号と、前記通信路を介して前記他の信号処理回路から供給される映像信号と、の合成方法を指定してもよい。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数の信号処理回路の各々において映像信号を合成するステップと、前記複数の信号処理回路のうちのいずれかの信号処理回路に、他の信号処理回路における合成により得られた映像信号を供給するステップと、前記信号処理回路が、前記信号処理回路における合成により得られた映像信号と、他の信号処理回路から供給される映像信号と、を合成するステップと、を含む画像処理方法が提供される。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、操作部と、映像信号を合成する複数の信号処理回路と、前記複数の信号処理部を接続する通信路と、複数の映像信号が入力され、前記複数の映像信号の各々を前記複数の信号処理回路を含むいずれかの出力先に出力するクロスポイント部とを備え、前記複数の信号処理回路のうちのいずれかの信号処理回路は、前記信号処理回路における合成により得られた映像信号と、他の信号処理回路から前記通信路を介して供給される前記他の信号処理回路による合成により得られた映像信号と、を合成する、画像処理システムが提供される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、映像合成のための処理時間を短縮することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態による画像処理装置の構成を示した説明図である。
【図2】独立動作モードによる映像処理の具体例を示した説明図である。
【図3】プログレッシブ形式の映像信号を連動動作モードで処理する場合の各信号処理部の役割を示した説明図である。
【図4】プログレッシブ形式の映像信号を連動動作モードで処理する場合に各信号処理部に供給される映像信号を示した説明図である。
【図5】3次元用映像信号を連動動作モードで処理する場合の各信号処理部の役割を示した説明図である。
【図6】3次元用映像信号を連動動作モードで処理する場合に各信号処理部に供給される映像信号を示した説明図である。
【図7】信号処理部が結合動作モードで動作する場合の処理を示した説明図である。
【図8】信号処理部が結合動作モードで動作する場合の処理を示した説明図である。
【図9】制御部の構成を示した説明図である。
【図10】独立動作モードを実現するための制御を示した説明図である。
【図11】連動動作モードを実現するための制御を示した説明図である。
【図12】結合動作モードを実現するための制御を示した説明図である。
【図13】画像処理装置の信号処理部の構成を示した説明図である。
【図14】キーミキサの詳細な構成を示した説明図である。
【図15】結合動作モード時のキーミキサによる処理の具体例を示した説明図である。
【図16】画像処理装置の動作を示したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字を付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて信号処理部20#1、20#2および20#3のように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、信号処理部20#1、20#2および20#3を特に区別する必要が無い場合には、単に信号処理部20と称する。
【0022】
また、以下に示す項目順序に従って当該「発明を実施するための形態」を説明する。
1.画像処理装置の要旨
(独立動作モード)
(連動動作モード)
(結合動作モード)
2.各動作モードを実現するための制御
(独立動作モード)
(連動動作モード)
(結合動作モード)
3.画像処理装置の信号処理部の詳細な構成
4.画像処理装置の動作
5.まとめ
【0023】
<1.画像処理装置の要旨>
まず、図1を参照し、本発明の実施形態による画像処理装置1の構成を説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態による画像処理装置1の構成を示した説明図である。図1に示したように、本発明の実施形態による画像処理装置1は、クロスポイント部10と、複数の信号処理部20#1〜20#4と、出力部30と、制御部40と、操作部50と、を備える。このような画像処理装置1は、スイッチャー装置または画像処理システムと称される場合もある。
【0025】
制御部40は、操作部50に対するユーザ操作に基づき、クロスポイント部10、複数の信号処理部20#1〜20#4、および出力部30などの動作を制御する。例えば、制御部40は、操作部50に対するユーザ操作に従い、クロスポイント部10に入力される映像信号の出力先、信号処理部20におけるキー信号の処理方法およびトランジションの種類などを制御する。
【0026】
なお、操作部50は、多様な操作用インタフェースで実現することが可能である。例えば、操作部50は、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ、レバー、またはマウスなどであってもよい。
【0027】
クロスポイント部10は、外部からの映像信号および各信号処理部20からのリエントリ信号が入力され、これらの映像信号から選択された信号を、制御部40による制御に従って信号処理部20#1〜20#4、または出力部30に出力する。
【0028】
信号処理部20(信号処理回路)は、クロスポイント部10から入力される映像信号を、制御部40による制御に従って処理および合成する。この信号処理部20は、例えばM/E(Mix and Effect)として機能する。なお、信号処理部20#1〜20#4の回路構成および機能は同一であるが、信号処理部20#1〜20#4の各々は、後述の動作モードによって異なる処理を行う場合がある。
【0029】
また、本実施形態による画像処理装置1においては、各信号処理部20は相互に接続されている。具体的には、図1に示したように、信号処理部20#1と信号処理部20#2は通信路21により内部接続され、信号処理部20#3と信号処理部20#4は通信路22により内部接続される。各信号処理部20は、この通信路21または通信路22を介して内部信号を送受信することにより、後述する結合動作モードを実現することができる。
【0030】
出力部30は、クロスポイント部10から入力される信号を、位相を合わせて信号規格に適合するフォーマットにして外部に出力する。
【0031】
このような画像処理装置1は、信号処理部20#1〜20#4の動作を制御することにより、独立動作モード、連動動作モード、および結合動作モードのいずれかを選択的に実行することができる。以下、独立動作モード、連動動作モード、および結合動作モードについて説明する。
【0032】
(独立動作モード)
独立動作モードは、信号処理部20#1〜20#4の各々が独立した処理を行う動作モードである。この独立動作モードによれば、例えば図2に示す映像処理が実現される。
【0033】
図2は、独立動作モードによる映像処理の具体例を示した説明図である。図2に示したように、独立動作モードにおいては、まず、信号処理部20#1が、クロスポイント部10から供給される複数の映像信号を合成して合成映像信号S1を取得する。そして、信号処理部20#1は、合成映像信号S1と背景映像信号S2を合成して合成映像信号S3を取得する。この合成映像信号S3は、クロスポイント部10にリエントリされる。
【0034】
その後、信号処理部20#2は、複数の映像信号および合成映像信号S3がクロスポイント部10から入力される。そして、信号処理部20#2は、複数の映像信号を合成して合成映像信号S4を取得し、さらに、合成映像信号S4と合成映像信号S3を合成することにより、合成映像信号S5を取得することができる。
【0035】
このように、独立動作モードによれば、ある信号処理部が合成を行い、この合成により得られた合成映像信号を他の信号処理部に入力し、他の信号処理部が合成映像信号に対してさらに映像信号を合成する。すなわち、複数の信号処理部20を直列的に用いることにより、1つの信号処理部20で合成可能な数を超える映像信号を合成することができる。
【0036】
(連動動作モード)
連動動作モードは、処理対象の映像信号を複数の信号処理部に分散的に供給し、複数の信号処理部を1つの信号処理回路として扱う動作モードである。この連動動作モードによれば、プログレッシブ形式の映像信号を例えば図3および図4に示すようにして処理することができる。
【0037】
図3は、プログレッシブ形式の映像信号を連動動作モードで処理する場合の各信号処理部20の役割を示した説明図である。プログレッシブ形式の映像信号はLink−AとLink−Bからなるデュアルリンクに変換され、各信号処理部20には、Link−AまたはLink−Bの処理が割り当てられる。
【0038】
例えば、図3に示したように、信号処理部20#1にLink−Aの処理が割り当てられ、信号処理部20#2にLink−Bの処理が割り当てられる。この場合、図4に示したように、信号処理部20#1にはLink−Aの映像信号が供給され、信号処理部20#2にはLink−Bの映像信号が供給される。そして、Link−AおよびLink−Bは1つの映像信号を構成するものであるので、信号処理部20#1および信号処理部20#2は、Link−AまたはLink−Bに対して基本的に同一の信号処理を実行する。なお、同一フレームを構成するLink−AとLink−Bの一方は偶数ラインに対応し、他方は奇数ラインに対応する。
【0039】
また、連動動作モードによれば、3次元用映像信号を図5および図6に示すようにして処理することができる。
【0040】
図5は、3次元用映像信号を連動動作モードで処理する場合の各信号処理部20の役割を示した説明図である。3次元用映像信号は、左目用のレフト信号および右目用のライト信号からなり、各信号処理部20には、レフト信号またはライト信号の処理が割り当てられる。
【0041】
例えば、図5に示したように、信号処理部20#1にレフト信号の処理が割り当てられ、信号処理部20#2にライト信号の処理が割り当てられる。この場合、図6に示したように、信号処理部20#1にはレフト信号が供給され、信号処理部20#2にはライト信号が供給される。そして、信号処理部20#1および信号処理部20#2は、供給される信号に対して基本的には同一の信号処理を実行する。
【0042】
このように、連動動作モードによれば、複数の信号処理部を連動して同時に動作させることにより、1つの信号処理部の処理能力(処理速度、信号帯域)の数倍のパフォーマンスを得ることが可能である。なお、図3および図5において通信路21および22を破線で示したように、通信路21および22は連動動作モードにおいては利用されない。
【0043】
(結合動作モード)
上記の独立動作モードおよび連動動作モードでは、信号処理部20間の通信路21および22は特に利用されなかったが、結合動作モードでは、この通信路21および22が重要な役割を担う。以下、図7および図8を参照して結合動作モードについて具体的に説明する。
【0044】
図7および図8は、信号処理部20が結合動作モードで動作する場合の処理を示した説明図である。結合動作モードにおいては、まず、図8に示したように信号処理部20#1および信号処理部20#2の各々に複数の映像信号が入力され、信号処理部20#1が複数の映像信号を合成して合成映像信号S6を取得するのと同時に、信号処理部20#2も複数の映像信号を合成して合成映像信号S7を取得する。そして、信号処理部20#2は、通信路21を介して信号処理部20#1に合成映像信号S7を供給する。
【0045】
続いて、信号処理部20#1は、合成映像信号S6、信号処理部20#2から供給された合成映像信号S7、および背景映像信号S8を合成することにより、合成映像信号S9を取得することができる。
【0046】
このような結合動作モードによれば、一回の処理でより多くの信号を合成することができる。すなわち、1つの信号処理部20で扱える映像信号の数を倍増させることが可能である。また、結合動作モードによれば、独立動作モードと同様の合成結果を、独立動作モードより処理時間を短縮して得ることが可能である。この結合動作モードについては、「3.画像処理装置の信号処理部の詳細な構成」において詳細に説明する。
【0047】
<2.各動作モードを実現するための制御>
以上、各動作モードの内容を説明した。続いて、画像処理装置1において各動作モードを実現するための制御方法を説明する。
【0048】
図9は、制御部40の構成を示した説明図である。図9に示したように、制御部40は、操作部50に対するユーザ操作に従い、各信号処理部20の動作を規定する制御パラメータ群(通常制御パラメータ#1〜#4、拡張制御パラメータ#1、#2)を生成する。制御パラメータとしては、キー信号、トランジションの種類などを規定する、毎フィールドまたは毎フレームで更新されるパラメータが挙げられる。
【0049】
制御対象切替部42は、各制御パラメータの供給先を切り替える。ドライバソフト44は、制御対象切替部42から供給される制御パラメータを実際の回路制御データ(レジスタやLUT)に変換し、回路制御データを対応する信号処理部20に書き込む。例えば、ドライバソフト44#1は、制御対象切替部42から供給される制御パラメータを実際の回路制御データに変換し、回路制御データを信号処理部20#1に書き込む。なお、ドライバソフト44#1〜44#4の機能は基本的には同一である。
【0050】
このような制御部40が、独立動作モード、連動動作モード、および結合動作モードの各々を実現するための制御方法を順次に説明する。
【0051】
(独立動作モード)
独立動作モードを実現する場合、制御部40は、各ドライバソフト44に異なる通常制御パラメータを供給する。例えば、制御部40は、図10に示したように、通常制御パラメータ#1をドライバソフト44#1に供給し、通常制御パラメータ#2をドライバソフト44#2に供給し、通常制御パラメータ#3をドライバソフト44#3に供給し、通常制御パラメータ#4をドライバソフト44#4に供給する。
【0052】
これにより、ドライバソフト44#1〜44#4の各々が各信号処理部20に異なる回路制御データを書き込むので、各信号処理部20が独立した処理を行う独立動作モードを実現することができる。
【0053】
(連動動作モード)
独立動作モードを実現する場合、制御部40は、2つのドライバソフト44に同一の通常制御パラメータを供給する。例えば、制御部40は、図11に示したように、通常制御パラメータ#1をドライバソフト44#1およびドライバソフト44#2に供給し、通常制御パラメータ#3をドライバソフト44#3および通常制御パラメータ#4に供給する。
【0054】
これにより、ドライバソフト44#2が、ドライバソフト44#1が信号処理部20#1に書き込む回路制御データと同一の回路制御データを信号処理部20#2に書き込むので、信号処理部20#1および20#2が同一の処理を行う連動動作モードを実現できる。
【0055】
(結合動作モード)
結合動作モードを実現する場合、制御部40は、結合させる2の信号処理部の一方に対応するドライバソフトに通常制御パラメータ(例えば、KEY1〜KEY4)を供給し、他方に対応するドライバソフトに拡張制御パラメータ(例えば、KEY5〜KEY8)を供給する。
【0056】
具体的には、制御部40は、図12に示したように、信号処理部20#1に対応するドライバソフト44#1には通常制御パラメータ#1を供給する。また、制御部40は信号処理部20#1と結合させる信号処理部20#2に対応するドライバソフト44#2には拡張制御パラメータ#1を供給する。同様に、制御部40は、信号処理部20#3に対応するドライバソフト44#3には通常制御パラメータ#3を供給する。また、制御部40は信号処理部20#3と結合させる信号処理部20#4に対応するドライバソフト44#4には拡張制御パラメータ#2を供給する。これにより、結合動作モードを実現することができる。
【0057】
このように、本発明の実施形態によれば、制御の上位側でドライバソフト44に供給するパラメータを切り替えることにより動作モードを切り替えることができるので、制御系全体の効率化を図ることが可能である。
【0058】
<3.画像処理装置の信号処理部の詳細な構成>
以上、画像処理装置1の構成、および各動作モードを実現するための制御方法を説明した。続いて、図13〜図15を参照し、信号処理部20の詳細な構成を説明した後に、結合動作モード時の信号処理部20の処理を具体的に説明する。
【0059】
図13は、画像処理装置1の信号処理部20の構成を示した説明図である。図13に示したように、信号処理部20は、キープロセッサ31−1〜31−4と、カラージェネレータ32と、ワイプジェネレータ33と、ソースセレクタ34と、キーミキサ35−1〜35−3と、トランジションコントローラ36と、トランスミキサ37と、アウトプットセレクタ38と、を備える。
【0060】
各キープロセッサ31は、キー信号および映像信号が入力され、キー信号の形状に映像信号を切り抜くキー信号処理を施す。そして、各キープロセッサ31は、キー信号および素材信号(キー信号の形状に切り抜かれた映像信号)からなるレイヤ信号をソースセレクタ34に出力する。
【0061】
カラージェネレータ32は、背景映像信号やワイプ・ボーダー信号に用いる色信号を発生する。ワイプジェネレータ33は、トランジションに用いるワイプ信号を発生する。
【0062】
ソースセレクタ34は、入力されるレイヤ信号や背景映像信号から、合成に使用する信号を重ね合わせる順番に従って選択して、キーミキサ35に供給する。
【0063】
各キーミキサ35は、ソースセレクタ34により選択された信号を、ソースセレクタ34により選択された順番に一つずつ合成する。このキーミキサ35は、ミックス回路351〜355を有する。ミックス回路351〜353(第1の映像合成部)は、ソースセレクタ34により選択されたレイヤ信号L1(V,K)〜L4(V,K)の重ね合わせ合成を行う。そして、ミックス回路354(第2の映像合成部)は、結合動作モードにおいて、通信路21を介して他の信号処理部から供給される合成映像信号と、ミックス回路353からの出力信号とを合成する。さらに、ミックス回路355が、ミックス回路354からの出力信号と、背景映像信号とを合成する。このキーミキサ35の詳細な構成は、図14および図15を参照して後述する。
【0064】
トランジションコントローラ36は、トランジションの種類や動作状況(フェーダ値)に応じて、各キーミキサ35からの出力信号に乗算するトランジション信号を生成する。トランスミキサ37は、各キーミキサ35からの出力信号を、トランジションコントローラ36により生成されたトランジション信号に従って1つに合成する。アウトプットセレクタ38は、各キーミキサ35からの出力信号、およびトランスミキサ37からの出力信号が入力され、動作状況に応じて、ビュー出力、プログラムへ出力する信号を選択する。
【0065】
ここで、図14および図15を参照し、キーミキサ35についてより詳細に説明する。図14は、キーミキサ35の詳細な構成を示した説明図である。図15は、結合動作モード時のキーミキサ35による処理の具体例を示した説明図である。
【0066】
図14および図15に示したように、キーミキサ35は、ミックス回路351〜355、およびセレクタ360を有する。また、キーミキサ35には第1レイヤの素材信号L1V〜第4レイヤの素材信号L4V、第1レイヤのキー信号L1K〜第4レイヤのキー信号L4K、および第5レイヤの背景映像信号L5Vが入力される。
【0067】
より詳細には、ミックス回路351は、第1レイヤの素材信号L1V、第1レイヤのキー信号L1K、第2レイヤの素材信号L2V、および第2レイヤのキー信号L2Kが入力される。そして、ミックス回路351は、下記の数式に従った処理を行うことにより、図15に示す合成映像信号M1、および合成キー信号を取得する。なお、図15においては素材信号のみを示し、キー信号(素材信号と同一の形状を有する。)の記載は割愛している。
【0068】
合成映像信号 L1V+L2V*(1−L1K)
合成キー信号 L1K+L2K*(1−L1K)
【0069】
ミックス回路352は、ソースセレクタ34から第3レイヤの素材信号L3Vおよびキー信号L3Kが入力され、ミックス回路351から合成映像信号M1および合成キー信号が入力される。そして、ミックス回路352は、ミックス回路351と同様の処理を行うことにより、図15に示す合成映像信号M2、および合成キー信号を取得する。
【0070】
ミックス回路353は、ソースセレクタ34から第4レイヤの素材信号L4Vおよびキー信号L4Kが入力され、ミックス回路352から合成映像信号M2および合成キー信号が入力される。そして、ミックス回路353は、ミックス回路351と同様の処理を行うことにより、図15に示す合成映像信号M3、および合成キー信号を取得する。
【0071】
一方、結合動作モード時には、他の信号処理部20#2のキーミキサ35においても図15に示す合成映像信号M3’および合成キー信号が生成され、この合成映像信号M3’および合成キー信号が、通信路21を介してセレクタ360に供給される。
【0072】
セレクタ360は、通信路21を介して供給される合成映像信号M3’と、ミックス回路353から入力される合成映像信号M3の上下関係を、制御部40からの制御に従って選択する。そして、セレクタ360は、選択した上下関係が実現されるように各信号をミックス回路354に供給する。なお、独立動作モード時、および連動動作モード時には、セレクタ360はミックス回路353からの出力信号のみをミックス回路354に供給する。
【0073】
ミックス回路354は、セレクタ360を介して、ミックス回路353において生成された合成映像信号M3および合成キー信号、他の信号処理部20#2において生成された合成映像信号M3’および合成キー信号が入力される。そして、ミックス回路354は、セレクタ360により選択された上下関係に従って合成処理を行うことにより、図15に示す合成映像信号M4、および合成キー信号を取得する。なお、図15においては、合成映像信号M3’が合成映像信号M3の上側(前面)に配されるように合成処理が行われた例を示している。
【0074】
ミックス回路355は、ソースセレクタ34から第5レイヤの背景映像信号L5Vが入力され、ミックス回路354から合成映像信号M4および合成キー信号が入力される。そして、ミックス回路355は、背景映像信号L5Vが合成映像信号M4の背面に配されるように合成処理を行うことにより、図15に示す合成映像信号M5および合成キー信号を取得して出力する。
【0075】
<4.画像処理装置の動作>
以上、信号処理部20のキーミキサ35による処理を詳細に説明した。以下、図16を参照し、画像処理装置1の動作を整理する。
【0076】
図16は、画像処理装置1の動作を示したシーケンス図である。図16に示したように、まず、画像処理装置1の信号処理部20#1のキーミキサ35、および信号処理部20#2のキーミキサ35に、複数のキー信号および素材信号が入力される(ステップ1A、ステップ1B)。例えば、信号処理部20#1のキーミキサ35にはKEY1〜KEY4のキー信号が入力され、信号処理部20#2のキーミキサ35にはKEY5〜KEY8のキー信号が入力される。
【0077】
その後、信号処理部20#1のキーミキサ35、および信号処理部20#2のキーミキサ35の各々は、入力された素材信号およびキー信号を合成し、合成映像信号および合成キー信号を生成する(ステップ2A、ステップ2B)。
【0078】
続いて、信号処理部20#2は、信号処理部20#2のキーミキサ35により生成された合成映像信号および合成キー信号を、通信路21を介して信号処理部20#1に供給する(ステップ3)。
【0079】
そして、信号処理部20#1のキーミキサ35は、ステップ2Aで生成した合成映像信号および合成キー信号と、ステップ3で信号処理部20#2から供給された合成映像信号および合成キー信号を合成する(ステップ4)。さらに、信号処理部20#1のキーミキサ35は、ステップ4で得られた合成映像信号に背景映像信号を合成する(ステップ5)。
【0080】
<5.まとめ>
以上説明したように、本発明の実施形態による画像処理装置1は、複数の信号処理部20を接続する通信路21、22を備え、この通信路21および22を活用することにより、結合動作モードを実現することができる。この結合動作モードによれば、ある信号処理部20に、他の信号処理部20における合成により得られた合成映像信号が通信路21、22を介して供給され、この信号処理部20が、自身が合成した合成映像信号と、通信路21、22を介して供給される合成映像信号を合成する。
【0081】
このような結合動作モードによれば、一回の処理でより多くの信号を合成することができる。すなわち、処理時間を短縮しつつ、1つの信号処理部20で扱える映像信号の数を倍増させることが可能である。また、信号処理部20は、自身が合成した合成映像信号と、通信路21、22を介して供給される合成映像信号を、上下関係を選択して合成することができる。
【0082】
また、本発明の実施形態による画像処理装置1は、結合動作モードと、独立動作モードおよび連動動作モードなどの他の動作モードを、目的や用途に応じて適宜切り替えることができる。
【0083】
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0084】
例えば、本明細書の画像処理システム1の処理における各ステップは、必ずしもシーケンス図として記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、画像処理システム1の処理における各ステップは、シーケンス図として記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0085】
また、上記では信号処理部20#1および信号処理部20#2を結合させる例を中心に説明したが、信号処理部20#3および信号処理部20#4も同様にして結合させることができる。
【0086】
さらに、結合動作モードと連動動作モードを同時に実現してもよい。例えば、信号処理部20#1および信号処理部20#2を結合させ、信号処理部20#3および信号処理部20#4を結合させつつ、信号処理部20#1および信号処理部20#2にLink−Aを割り当て、信号処理部20#3および信号処理部20#4にLink−Bを割り当ててもよい。同様に、信号処理部20#1および信号処理部20#2を結合させ、信号処理部20#3および信号処理部20#4を結合させつつ、信号処理部20#1および信号処理部20#2にレフト信号を割り当て、信号処理部20#3および信号処理部20#4にライト信号を割り当ててもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 画像処理装置
10 クロスポイント部
20 信号処理部
21、22 通信路
30 出力部
31 キープロセッサ
32 カラージェネレータ
33 ワイプジェネレータ
34 ソースセレクタ
35 キーミキサ
36 トランジションコントローラ
37 トランスミキサ
38 アウトプットセレクタ
40 制御部
42 制御対象切替部
44 ドライバソフト
50 操作部
351、352、353、354、355 ミックス回路
360 セレクタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号を合成する複数の信号処理回路と;
前記複数の信号処理部を接続する通信路と;
を備え、
前記複数の信号処理回路のうちのいずれかの信号処理回路は、前記信号処理回路における合成により得られた映像信号と、他の信号処理回路から前記通信路を介して供給される前記他の信号処理回路による合成により得られた映像信号と、を合成する、画像処理装置。
【請求項2】
前記信号処理回路は、第1の映像合成部、および前記第1の映像合成部の後段に配される第2の映像合成部を有し、
前記第2の映像合成部は、前記第1の映像合成部の合成により得られた映像信号と、前記通信路を介して前記他の信号処理回路から供給される映像信号と、を合成する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記信号処理回路は、前記第2の映像合成部の合成により得られた映像信号と背景映像信号とを合成する第3の映像合成部をさらに備え、
前記第3の映像合成部は、前記第2の映像合成部の次段に配される、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像処理装置は、前記複数の信号処理回路の動作を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記複数の信号処理回路の動作モードを、前記信号処理回路が他の信号処理回路から供給される映像信号を合成する結合動作モードおよび他の動作モードのうちで切り換える、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記他の動作モードは、前記複数の信号処理回路の各々が個別に異なる処理を行う独立動作モードを含む、請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記他の動作モードは、1フレームを構成する奇数ラインに対応する映像信号の処理、および前記1フレームを構成する偶数ラインに対応する映像信号の処理を異なる信号処理回路が行う、連動動作モードを含む、請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記他の動作モードは、3次元用映像信号における左目用信号の処理、および右目用信号の処理を異なる信号処理回路が行う、3次元用連動動作モードを含む、請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第2の映像合成部による、前記第1の映像合成部による合成により得られた映像信号と、前記通信路を介して前記他の信号処理回路から供給される映像信号と、の合成方法を指定する、請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項9】
複数の信号処理回路の各々において映像信号を合成するステップと;
前記複数の信号処理回路のうちのいずれかの信号処理回路に、他の信号処理回路における合成により得られた映像信号を供給するステップと;
前記信号処理回路が、前記信号処理回路における合成により得られた映像信号と、他の信号処理回路から供給される映像信号と、を合成するステップと;
を含む、画像処理方法。
【請求項10】
操作部と;
映像信号を合成する複数の信号処理回路と;
前記複数の信号処理部を接続する通信路と;
複数の映像信号が入力され、前記複数の映像信号の各々を前記複数の信号処理回路を含むいずれかの出力先に出力するクロスポイント部と;
を備え、
前記複数の信号処理回路のうちのいずれかの信号処理回路は、前記信号処理回路における合成により得られた映像信号と、他の信号処理回路から前記通信路を介して供給される前記他の信号処理回路による合成により得られた映像信号と、を合成する、画像処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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