説明

画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム

【課題】特定の前提条件を必要とせずに合成処理に用いる写真を選別することが可能な画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供することを目的としている。
【解決手段】付加情報に含まれる所定の情報に基づき、前記画像データが撮像された位置が所定範囲内である画像データを選択し、第一の所定の記憶領域に格納する格納手段と、前記第一の所定の記憶領域に複数の前記画像データが格納されているとき、前記複数の前記画像データ間でデータ比較領域が存在するか否かを判断し、前記複数の前記画像データ間でデータ比較領域が存在する際には当該データ比較領域を算出するデータ比較領域算出手段と、前記データ比較領域において前記複数の前記画像データが一致するか否かを比較する画像データ比較手段と、前記画像データ比較手段による比較結果に基づき前記複数の前記画像データを分類する分類手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置により撮像された画像データに係る付加情報に基づき、合成が可能な前記画像データを選別する画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラとコンピュータとを接続し、デジタルカメラで撮像した画像データをコンピュータに読み込んで様々な処理を行う画像処理システムが知られている(特許文献1)。この画像処理システムには、デジタルカメラを用いて複数枚の写真を撮影し、コンピュータにおいて、複数の写真を表す画像データの重複する領域を重ね合わせるように合成し、連続する1つの画像データを生成する写真合成処理を行うものがある(特許文献2)。
【0003】
従来、このような写真合成処理では、自動で合成処理用の写真を選別する技術が考えられ既に知られている。例えば撮影時の地理的位置が相互に所定の距離以下であると決定された複数の画像ファイルを、前記パノラマ画像の生成に利用可能な画像ファイルとして選別するファイル選別装置等が知られている(特許文献3)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術において画像ファイルを自動で選別させるには、写真を撮影する際に、地表からの高さを一定に保ってカメラを水平方向に移動させつつ写真を撮影することと、垂直方向のカメラの傾きを一定に保つことが前提条件として必要であった。
【0005】
すなわち上記従来の技術では、この2つの前提条件を満たさない場合は、合成処理用の写真を選別する精度が下がり、合成できない写真を選別する可能性が高くなる。
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてこれを解決すべく成されたものであり、特定の前提条件を必要とせずに合成処理に用いる写真を選別することが可能な画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成すべく、以下の如き構成を採用した。
【0008】
本発明は、撮像装置により撮像された画像データに係る付加情報に基づき、合成が可能な前記画像データを選別する画像処理装置であって、前記付加情報に含まれる所定の情報に基づき、前記画像データが撮像された位置が所定範囲内である画像データを選択し、第一の所定の記憶領域に格納する格納手段と、前記第一の所定の記憶領域に複数の前記画像データが格納されているとき、前記複数の前記画像データ間でデータ比較領域が存在するか否かを判断し、前記複数の前記画像データ間でデータ比較領域が存在する際には当該データ比較領域を算出するデータ比較領域算出手段と、前記データ比較領域において前記複数の前記画像データが一致するか否かを比較する画像データ比較手段と、前記画像データ比較手段による比較結果に基づき前記複数の前記画像データを分類する分類手段と、を有する。
【0009】
尚本発明は、上記各処理を実行する方法、上記各処理をコンピュータに実行させるためのプログラムとすることもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、特定の前提条件を必要とせずに合成処理に用いる写真を選別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第一の実施形態の画像処理システムを説明する図である。
【図2】第一の実施形態の画像処理システムを構成する各装置の機能構成を説明する図である。
【図3】画像情報解析部の機能構成を説明する図である。
【図4】画像データ比較部の機能構成を説明する図である。
【図5】画像データ分類部の機能構成を説明する図である。
【図6】第一の実施形態の画像データ選別部の動作を説明するフローチャートである。
【図7】第一の実施形態におけるデータ比較領域の算出を説明する図である。
【図8】第一の実施形態のデータ比較部によるデータ比較領域の比較を説明する図である。
【図9】第二の実施形態におけるデータ比較領域の算出を説明する図である。
【図10】第二の実施形態のデータ比較部によるデータ比較領域の比較を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態では、複数の画像データの撮影場所を示す位置情報が所定範囲内の画像データを1つのフォルダに格納し、フォルダ内において重複する可能性がある領域がある画像データについては重複する領域を切り出して別のフォルダに格納する。
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第一の実施形態について説明する。図1は、第一の実施形態の画像処理システムを説明する図である。
【0013】
本実施形態の画像処理システム100は、デジタルカメラ110と、画像処理装置120とがケーブル130により接続されて構成されている。本実施形態のデジタルカメラ110は、画像ファイルを生成する入力装置である。画像処理装置120は、画像データの表示制御及び画像処理を行うコンピュータである。また本実施形態の画像処理装置120は、デジタルカメラ110で生成された画像ファイルが保存されているメモリカードが挿入されるメモリカード挿入口121を備えている。
【0014】
本実施形態の画像処理システム100では、ケーブル130及びメモリカード挿入口121からデジタルカメラ110で生成された画像ファイルを画像処理装置120に転送することができる。尚デジタルカメラ110により生成された画像ファイルは、メモリカード以外の可搬型の記録媒体に保存されても良い。またこの記録媒体には、画像処理装置120における後述する画像処理を実行するための画像処理プログラムが格納されていても良い。画像処理プログラムが記録媒体に格納されていた場合、画像処理装置120は、記録媒体から画像処理プログラムを読み出して、後述するメモリへ展開し、CPUにより画像処理プログラムを実行しても良い。
【0015】
図2は、第一の実施形態の画像処理システムを構成する各装置の機能構成を説明する図である。
【0016】
本実施形態のデジタルカメラ110は、転送ドライバ111を有する。本実施形態の画像処理装置120は、メモリカード挿入部121、CPU(Central Processing Unit)122、メモリユニット123、ハードディスク124、画像データ選別部200を有する。
【0017】
デジタルカメラ110は、画像処理装置120に接続されて画像処理装置120から画像ファイルの転送指示を受けると、転送ドライバ111を介して画像ファイルをビットマップに展開した画像データとして出力する。出力された画像データは、画像データ選別部200に転送される。画像処理装置120からの転送指示は、例えば画像処理装置120にインストールされた画像ファイル転送用アプリケーション等から行われる。
【0018】
画像処理装置120において、メモリカード挿入口121は、転送ドライバ127を有する。本実施形態では、メモリカードにデジタルカメラ110で生成した画像ファイルが記憶されていた場合、転送ドライバ127を介して画像データに展開し、画像データ選別部200へ転送する。CPU122は、画像処理装置120の全体の制御を司る。メモリユニット123は、メモリ125、126を含み、CPU122や画像データ選別部200での処理結果や画像処理装置120の各種設定値等が格納されている。ハードディスク124は、例えばデジタルカメラ110が生成した画像データや、各種アプリケーションプログラム等が格納されている。
【0019】
画像データ選別部200は、画像データが転送されてくると、この画像データから合成可能な画像データを選別する。以下に画像データ選別部200の詳細を説明する。
【0020】
画像データ選別部200は、画像情報解析部210、画像データ比較部220、画像データ分類部230を有する。
【0021】
本実施形態の画像データ選別部200では、画像情報解析部210により、入力された複数の画像データを解析する。そして解析結果を画像データ比較部220により比較し、合成可能な複数の画像データがあった場合、画像データ分類部230により合成可能な画像データを分類する。
【0022】
以下に、画像データ選別部200の有する各部の詳細について説明する。尚以下の本実施形態の説明では、説明の便宜上画像データ選別部200に2つの画像データが入力された場合を説明するが、画像データ選別部200には、3つ以上の画像データが入力されて良い。
【0023】
図3は、画像情報解析部の機能構成を説明する図である。本実施形態の画像情報解析部210は、付加情報解析部211、情報抽出部212、フォルダ作成部213、データ比較領域設定部214を有する。
【0024】
付加情報解析部211は、デジタルカメラ110又はメモリカードから画像データが入力されると、電子情報技術産業協会(JEITA)によって制定されたデジタルスチルカメラ用画像ファイルフォーマット規格(Exif)等を含む付加情報を解析する。
【0025】
情報抽出部212は、解析された付加情報から所定の情報を抽出する。本実施形態の所定の情報とは、写真を撮影した位置情報、目的地の位置情報(被写体がある場所の位置情報)、写真の被写体と撮影地点との距離、撮影された写真の方向を示す角度、撮影したときの水平方向とカメラの底面との傾き、焦点距離、画像の幅及び画像の高さである。情報抽出部212は、抽出した所定の情報を画像データに付加し、フォルダ作成部213へ出力する。尚以下の説明では、所定の情報を属性情報と呼ぶ。
【0026】
フォルダ作成部213は、入力された属性情報のうち、写真を撮影した位置情報に応じてハードディスク124にフォルダを作成する。本実施形態では、例えば撮影場所の位置情報が所定範囲内の画像データが格納されるフォルダが作成される。ここでの所定範囲は予め設定された範囲であり、任意に設定されても良い。また本実施形態のフォルダ作成部213は、フォルダ作成時に位置情報と関連したフォルダ名を作成する。フォルダ作成部213は、フォルダを作成すると、各画像データの属性情報に含まれる位置情報と対応したフォルダへ画像データを格納する。
【0027】
例えばフォルダ作成部213は、同一の建物内を示す位置情報を有する画像データを格納するフォルダの名前を建物の名前とし、この建物内で撮影された画像データを建物名がつけられたフォルダへ格納しても良い。またフォルダ作成部213は、例えば同一の町内を示す位置情報を有する画像データを格納するフォルダの名前を町の名前とし、この町内で撮影された画像データを町の名前がつけられたフォルダへ格納しても良い。
【0028】
フォルダ作成部213は、画像データをフォルダへ格納すると、画像データと画像データが格納されるフォルダ名との対応付けたフォルダ対応情報を属性情報に含める。
【0029】
データ比較領域設定部214は、フォルダに複数の画像データが存在する場合に、そのフォルダ内の画像データ毎に重複する可能性のある領域を後述する方法で算出する。尚本実施形態における画像データの重複とは、例えば複数の画像データにおいて同一の被写体が写るっていることを示してもよい。尚本実施形態の被写体とは、特に、固定された被写体、例えば景色等である。また以下の本実施形態の説明では、画像データ毎に重複する可能性のある領域をデータ比較領域と呼ぶ。
【0030】
そしてデータ比較領域設定部214は、各々の画像データに対して算出された領域をデータ比較領域として設定し、その設定値を属性情報に含める。データ比較領域設定部214は、この処理を複数の画像データが存在するフォルダの数だけ繰り返す。
【0031】
次に、図4を参照して本実施形態の画像データ比較部220について説明する。図4は、画像データ比較部の機能構成を説明する図である。
【0032】
画像データ比較部220は、領域切り出し部221、データ比較部222を有する。領域切り出し部221は、画像情報解析部210から出力された属性情報に含まれるデータ比較領域の設定値に基づき、2つの画像データからデータ比較領域内の画像データを切り出す。領域切り出し部221は、切り出した一方の画像データをメモリ125に格納し、切り出した他方の画像データをメモリ126に格納する。
【0033】
データ比較部222は、メモリ125、126にそれぞれ格納された画像データを読み出し、画像データ同士が重複するか否かを判定する。
【0034】
判定手法は、例えばデータ比較領域全面の画素を比較する手法であっても良い。尚本実施形態の画像処理装置120は、一般的なコンピュータにより実現するものとしたが、画像処理装置120は、例えば画像形成を行うプリンタ等によって実現しても良い。この場合、上記判定の手法は、プリンタのメモリ容量等を考慮し、ハイパスフィルタを用いて部分的にエッジを比較するようなパターンマッチング処理とすることが好ましい。
【0035】
データ比較部222は、2つの画像データに一致する部分があると判定したとき、画像面内の座標情報を属性情報に含め、画像データ分類部230へ出力する。同時にデータ比較部222はそれぞれのメモリ125,126から読み出した2つの画像データ(データ比較領域)を属性情報と共に画像データ分類部230へ出力する。画像面内の座標情報とは、領域切り出し部221により切り出された領域のうち、一致すると判断された画素群の座標情報である。本実施形態では、画像データが一致する複数の画素を画素群とし、この画素群の座標情報を属性情報に含める。具体的には例えば、画像データが一致する画素群の座標をx=64〜100,y=32〜50とすると、x=64,y=32,x_count=100−64+1=37,y_count=50−32+1=19というように4つの値だけを保持すれば良く、属性情報の情報量を削減できる。
【0036】
次に、図5を参照して本実施形態の画像データ分類部230について説明する。図5は、画像データ分類部の機能構成を説明する図である。
【0037】
本実施形態の画像データ分類部230は、フォルダ追加部231、ファイル選別部232を有する。
【0038】
フォルダ追加部231は、画像データ比較部220から画像データと属性情報が入力されると、画像データを格納するフォルダを新たに作成する。フォルダ追加部231は、例えば属性情報に含まれるフォルダ対応情報のフォルダ名に「(合成可)」を追加し、新たなフォルダを作成する。
【0039】
フォルダ追加部231により新たに追加されたフォルダは、ハードディスク124に作成される。またフォルダ追加部231は、新たに追加されたフォルダ名をフォルダ対応情報に含め、画像データと属性情報をファイル選別部232へ出力する。
【0040】
ファイル選別部232では、フォルダ追加部231で新たに追加されたフォルダに画像データと属性情報を格納する。このとき属性情報は、情報抽出部212により抽出された所定の情報と、画像データが格納されたフォルダ名を含むフォルダ対応情報と、データ比較領域の設定値と、画像面内の座標情報と、が含まれる。
【0041】
以下に、図6を参照して本実施形態の画像データ選別部200の動作を説明する。図6は、第一の実施形態の画像データ選別部の動作を説明するフローチャートである。
【0042】
画像データ選別部200は、付加情報解析部211に入力された画像データの付加情報の有無を判断する(ステップS601)。尚付加情報は、電子情報技術産業協会(JEITA)によって制定されたデジタルスチルカメラ用画像ファイルフォーマット規格(Exif)で定められた場所に情報が格納されている。
【0043】
ステップS601において付加情報無しと判断された場合、画像データ選別部200は処理を終了する。ステップS601で付加情報有りと判断された場合、情報抽出部212は、付加情報から所定の情報(属性情報)を抽出する(ステップS602)。
【0044】
続いてフォルダ作成部213は、属性情報に含まれる「写真を撮影した位置情報」に応じて、画像データを格納するフォルダを作成する(ステップS603)。続いてフォルダ作成部213は、作成したフォルダに対応する画像データを格納する(ステップS604)。このときフォルダ作成部213は、フォルダ対応情報を属性情報に含め、画像データと共にこの属性情報もフォルダへ格納する。
【0045】
続いてデータ比較領域設定部214は、複数の画像データが格納されているフォルダが存在するか否かを判断する(ステップS605)。尚複数の画像データとは、複数の写真に対応する複数の画像データである。ステップS605において該当するフォルダが存在しない場合、画像データ選別部200は処理を終了する。ステップS605において該当するフォルダが存在する場合、データ比較領域設定部214は、複数の画像データが格納されたフォルダを選択する(ステップS606)。尚ステップS605において、該当するフォルダが複数存在した場合、画像データの属性情報が抽出された順にフォルダを選択しても良い。
【0046】
データ比較領域設定部214は、データ比較領域設定対象の2つの画像データを選択する(ステップS607)。2つの画像データとは、2つの写真に対応する画像データである。尚1つのフォルダに3つ以上の画像データが格納されている場合、格納された順番の早い2つの画像データを選出しても良い。
【0047】
画像データを選択すると、データ比較領域設定部214は、後述する式3、式4を用いてデータ比較領域の算出に用いるパラメータを算出する(ステップS608)。続いてデータ比較領域設定部214は、後述する判定式1を用いて選択された2つの画像データが重複する可能性があるか否かを判断する(ステップS609)。ステップS609において重複する可能性がないと判断された場合、データ比較領域設定部214は後述するステップS615へ進む。尚本実施形態では、画像データの比較は、ハードディスク124に格納された画像データの複製を用いて行うものとした。
【0048】
ステップS609において重複する可能性があると判断された場合、データ比較領域設定部214は、後述する式1、式2を用いてデータ比較領域の幅方向の設定値と高さ方向の設定値を決定し、この設定値を属性情報に含めて画像データと共に領域切り出し部221へ出力する(ステップS610)。
【0049】
以下に図7を参照して本実施形態のデータ比較領域設定部214によるデータ比較領域の算出について説明する。図7は、第一の実施形態におけるデータ比較領域の算出を説明する図である。
【0050】
図7では、撮影地点Pから撮影した2つの画像71、72を例として説明する。本実施形態のデータ比較領域設定部214は、以下の判定式に基づき画像71と画像72とに重複する部分があるか否かを、以下の判定式1に基づき判定する。
判定式1
α1/2+α2/2≦θ ならば重複する部分あり
α1/2+α2/2>θ ならば重複する部分なし
この判定式により重複する部分ありと判定される。
【0051】
画像71と画像72とにおいて重複する可能性のある部分があると判定されると、データ比較領域設定部214は、以下の式1により重複する可能性のある部分の画像の幅を算出する。尚A1は画像71の幅であり、A2は画像72の幅である。A1′は画像71における画像72と重複する部分の幅であり、A2′は画像72における画像71と重複する部分の幅である。
【0052】
【数1】


算出結果は、A1′≒A2′となるはずだが、デジタルカメラ110に設けられているGPS(Global Positioning System)の受信感度によっては、誤差が大きくなることも考えられる。そのときには、どちらか一方の画像データにおけるデータ比較領域の幅を基準値とし、もう一方の画像データにおけるデータ比較領域の幅を基準値と同じにするとよい。例えば、A1′とA2′の値を比較して大きいほうの値を基準値とすればよい。
【0053】
次にデータ比較領域設定部214は、以下の式2により、重複する部分の画像の高さ(図8参照)を算出する。尚B1は画像71の高さであり、B2は画像72の高さである。
【0054】
【数2】


データ比較領域設定部214は、以上により、算出されたA1′、A2′、B1′及びB2′の値をデータ比較領域の設定値として属性情報に含め、画像データと共に領域切り出し部221へ送る。
【0055】
尚画像71、画像72が左右どちらに位置するかについては、以下に述べるパラメータγ1:画像71を撮影した方向、γ2:画像72を撮影した方向から決定できる。尚画像を撮影した方向を示すパラメータであるγ1、γ2は、付加情報に含まれるものであり、属性情報として情報抽出部212により付加情報から抽出される。尚本実施形態における画像の撮影した方向は、「単位」と「数値」で表されても良い。単位は、方位の表し方を示すものであり、真方位又は磁気方位の何れか一方が選択されても良い。数値は、0〜359.99までの範囲で表される。
【0056】
以下に図7に示すパラメータについて説明する。
α1は画像71の画像幅方向の画角であり、α2は画像72の画像幅方向画角であり、θは撮影地点から見た画像71、画像72間の角度である。X1は画像71の被写体と撮影地点Pと間の距離、X2は画像72の被写体と撮影地点Pと間の距離である。A1は画像71の幅(カメラのフレームサイズ)であり、A2は画像72の幅(カメラのフレームサイズ)である。B1は画像71の高さ(カメラのフレームサイズ)であり、B2は画像72の高さ(カメラのフレームサイズ)である。
【0057】
尚これらのパラメータのうち属性情報として取得できるパラメータは、X1、X2、A1、A2、B1及びB2である。
【0058】
その他のパラメータについては以下の数式により算出される。
【0059】
角度θは以下の式3より算出できる。尚、以下の式3に用いた全てのパラメータについては属性情報として取得できる。
【0060】
【数3】


ここでγ1は画像71を撮影した方向であり、γ2は画像72を撮影した方向である。
【0061】
画角α1、α2は以下の式4により算出できる。尚、以下の式4に用いた全てのパラメータは付加情報として取得できる。尚式4では、xがA1の場合α=α1、xがA2の場合α=α2である。
【0062】
【数4】


尚式3、式4により算出されるパラメータは、データ比較領域設定部214において2つ画像データが重複するか否かを判定する前に、予め算出されているものとした。
【0063】
図6に戻って、領域切り出し部221は、属性情報に含まれる設定値に基づき、2つの画像データからデータ比較領域を切り出し、それぞれをメモリ125、126に格納する(ステップS611)。
【0064】
続いてデータ比較部222は、メモリ125、126に格納された画像データに一致する部分があるかどうかを判定する(ステップS612)。
【0065】
以下に図8を参照してデータ比較部222による比較について説明する。図8は、第一の実施形態のデータ比較部によるデータ比較領域の比較を説明する図である。
【0066】
図8において、画像71と画像72とが重複する。本実施形態のデータ比較部222は、画像71のデータ比較領域(A'×B1)を示す画像データの画素と、画像72のデータ比較領域(A'×B2)を示す画像データの画素とを比較し、画像71,72間で画素が一致する部分があるか否かを判断する。この点に関し、それぞれの部分は実際には同一の被写体に対応するものではないが画像71,72間でいくつかの画素が偶然一致するというような事態を考慮し、画像71,72間で画素が一致する部分があるか否かの判断は、当該部分の各々が所定の閾値以上である際に限ってなされることが望ましい。当該閾値は例えば実験等によって決定することができる。
【0067】
ステップS612において、画像データに一致する部分がある場合、フォルダ追加部231は、新たなフォルダを作成する(ステップS613)。ここで作成する新規フォルダはいずれもステップS612で一致する部分があると判定され、合成可能であると判断された画像データが格納されるものである。ステップS612において、一致する部分がない場合、ステップS615へ進む。
【0068】
続いてファイル選別部232は、ステップS612で一致する部分ありと判定された画像データをステップS613で作成したフォルダに格納する(ステップS614)。
【0069】
続いて画像データ選別部200は、ステップS606で選択したフォルダ内に、ステップS607以降の処理を施していない画像データが存在するか否かを判断する(ステップS615)。ステップS615において該当する画像データが存在する場合、ステップS607へ戻る。ステップS615において該当する画像データが存在しない場合、画像データ選別部200は、ハードディスク124に複数の画像データが格納された未処理のフォルダが存在するか否かを判断する(ステップS616)。ステップS616において該当するフォルダが存在する場合、ステップS606に戻る。ステップS616において該当するフォルダが存在しない場合、画像データ選別部200は処理を終了する。
【0070】
以上に説明したように、本実施形態では、属性情報に基づき、撮像した位置が所定範囲内の複数の画像データにおいて、重複する可能性がある領域が存在するか否かを判定する。そして重複する可能性のある領域が存在する場合は、重複する領域を算出してデータ比較領域とする。そしてデータ比較領域において一致する画素が存在する場合、データ比較領域として切り出された画像データを、合成可能な画像データとしてまとめて保存しておく。よって本実施形態では、前提条件を設けることなく合成可能な画像データを選別することができる。
【0071】
また本実施形態では、通常の画像データを格納するフォルダとは別に、複数の画像データにおいて一致する部分のある領域を格納するフォルダを設けることで、例えばモニタに表示する場合にも速やかに合成処理を行うことができる。
【0072】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態では、データ比較領域の算出方法のみが第一の実施形態と相違する。よって以下の本発明の第二の実施形態では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号を付与し、その説明を省略する。
【0073】
図9は、第二の実施形態におけるデータ比較領域の算出を説明する図である。図9では、画像が傾いている場合を示している。図9(a)は、データ比較領域の算出を説明する図であり、図9(b)は画像の傾きを示す図である。
【0074】
図9では、撮影地点Pから撮影した2つの画像91、92を例として説明する。本実施形態のデータ比較領域設定部214は、以下の判定式2に基づき画像91と画像92とに重複する部分があるか否かを判定する。
判定式2
α1/2+α2/2+C2≦θ ならば重複する部分なし
α1/2+α2/2+C2>θ ならば重複する部分あり

ここで、判定式2における係数C2は、以下の式5にて算出される。
【0075】
【数5】



この判定式2により、画像91と画像92とが重複する部分があると判定されると、データ比較領域設定部214は、以下の式6により重複している部分の画像の幅を算出する。
【0076】
【数6】


次にデータ比較領域設定部214は、以下の式7により、重複する部分の画像の高さ(図8参照)を算出する。
【0077】
【数7】


本実施形態では、以上により、算出されたA1′、A2′、B1′及びB2′の値をデータデータ比較領域の設定値として属性情報に含め、画像データと共に領域切り出し部221へ送る。
【0078】
以下に図10を参照してデータ比較部222による比較について説明する。図10は、第二の実施形態のデータ比較部によるデータ比較領域の比較を説明する図である。
【0079】
図10(a),(b),(c)において、画像91と画像92とが重複する。本実施形態のデータ比較部222は、画像91のデータ比較領域(A'×B1)を示す画像データの画素と、画像92のデータ比較領域(A'×B2')を示す画像データの画素とを比較し、画像91,92間で画素が一致する部分があるか否かを判断する。なお図10(c)中のA'は、A'=A1'=A2'である。又、上述の第一の実施形態同様、それぞれの部分は実際には同一の被写体に対応するものではないが、画像91,92間でいくつかの画素が偶然一致するというような事態を考慮し、画像91,92間で画素が一致する部分があるか否か判断は当該部分の各々が所定の閾値以上である際に限ってなされることが望ましい。当該閾値は例えば実験等によって決定することができる。
【0080】
本実施形態では、上記構成により、第一の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0081】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0082】
100 画像処理システム
110 デジタルカメラ
120 CPU
200 画像処理部
210 画像情報解析部
220 画像データ比較部
230 画像データ分類部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】
【特許文献1】特開2006−080731号公報
【特許文献2】特開2000−22934号公報
【特許文献3】特開2008−104179号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置により撮像された画像データに係る付加情報に基づき、合成が可能な前記画像データを選別する画像処理装置であって、
前記付加情報に含まれる所定の情報に基づき、前記画像データが撮像された位置が所定範囲内である画像データを選択し、第一の所定の記憶領域に格納する格納手段と、
前記第一の所定の記憶領域に複数の前記画像データが格納されているとき、前記複数の前記画像データ間でデータ比較領域が存在するか否かを判断し、前記複数の前記画像データ間でデータ比較領域が存在する際には当該データ比較領域を算出するデータ比較領域算出手段と、
前記データ比較領域において前記複数の前記画像データが一致するか否かを比較する画像データ比較手段と、
前記画像データ比較手段による比較結果に基づき前記複数の前記画像データを分類する分類手段と、を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記データ比較領域算出手段は、
前記複数の前記画像データにおける前記データ比較領域の幅と高さとを算出し、前記幅と高さとを前記データ比較領域の設定値として前記画像データ比較手段へ設定する請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像データ比較手段は、
前記複数の前記画像データから前記設定値に基づく前記データ比較領域の画像データをそれぞれ切り出す切り出し手段と、
前記切り出された画像データにおいて一致する画素が存在するか否かを比較する比較手段と、を有する請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記分類手段は、
前記画像データ比較手段において一致する画素が存在する場合、前記切り出し手段により前記複数の前記画像データからそれぞれ切り出された前記画像データを第二の所定の記憶領域に記憶させる請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記所定の情報は、
前記画像データを撮影した撮影地点の位置情報、被写体の位置情報、前記被写体と前記撮影地点との距離、撮影したときの水平方向と前記撮像装置の底面との傾き、焦点距離、前記画像データにより示される画像の幅及び前記画像の高さ、前記画像の撮影方向を含む請求項1ないし4の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記データ比較領域算出手段は、
前記所定の情報に含まれる前記画像の前記撮影方向に基づき、前記複数の前記画像の間の角度を算出し、
前記所定の情報に含まれる前記焦点距離と前記画像の幅に基づき前記画像の画像幅方向の画角を算出し、
前記複数の前記画像の間の角度と、前記複数の前記画像それぞれの前記画角とを用いて前記データ比較領域を算出する請求項5記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記データ比較領域算出手段は、
前記複数の前記画像の間の角度と、前記複数の前記画像それぞれの前記画角とに基づき、
前記複数の前記画像データにおいて重複した領域が存在するか否かを判定する請求項6記載の画像処理装置。
【請求項8】
撮像装置により撮像された画像データに係る付加情報に基づき、合成が可能な前記画像データを選別する画像処理装置による画像処理方法であって、
前記付加情報に含まれる所定の情報に基づき、前記画像データが撮像された位置が所定範囲内である画像データを選択し、第一の所定の記憶領域に格納する格納手順と、
前記第一の所定の記憶領域に複数の前記画像データが格納されているとき、前記複数の前記画像データ間でデータ比較領域が存在するか否かを判断し、前記複数の前記画像データ間でデータ比較領域が存在する際には当該データ比較領域を算出するデータ比較領域算出手順と、
前記データ比較領域において前記複数の前記画像データが一致するか否かを比較する画像データ比較手順と、
前記画像データ比較手順における比較結果に基づき前記複数の前記画像データを分類する分類手順と、を有する画像処理方法。
【請求項9】
撮像装置により撮像された画像データに係る付加情報に基づき、合成が可能な前記画像データを選別する画像処理装置において実行される画像処理プログラムであって、
前記画像処理装置に、
前記付加情報に含まれる所定の情報に基づき、前記画像データが撮像された位置が所定範囲内である画像データを選択し、第一の所定の記憶領域に格納する格納ステップと、
前記第一の所定の記憶領域に複数の前記画像データが格納されているとき、前記複数の前記画像データ間でデータ比較領域が存在するか否かを判断し、前記複数の前記画像データ間でデータ比較領域が存在する際には当該データ比較領域を算出するデータ比較領域算出ステップと、
前記データ比較領域において前記複数の前記画像データが一致するか否かを比較する画像データ比較ステップと、
前記画像データ比較ステップにおける比較結果に基づき前記複数の前記画像データを分類する分類ステップと、を実行させる画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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