説明

画像処理装置、画像処理装置の制御方法、プログラム

【課題】装置全体の駆動に伴う振動による影響を内周側と外周側に分けて適正に判断して、記憶媒体上で使用可能な領域を用いる。
【解決手段】装置本体の駆動部材を駆動して画像処理可能な状態に遷移した後、所定速度で回転する前記記憶媒体の前記第1および第2の測定領域に対してそれぞれ所定の情報を書き始めてから書き終えるまでに要する第1の書込み時間と第2の書込み時間をそれぞれ測定する。測定された第1の測定領域が第1の閾値時間を超え、かつ、第2の測定領域が第2の閾値時間を超えないと判断した場合、記憶手段の外周側の領域を用いる機能処理の実行を制限し、内周側の領域を用いる機能処理の実行を許可する。一方、第2の測定領域が第2の閾値時間を超え、かつ、第1の測定領域が第1の閾値時間を超えないと判断した場合、記憶手段の内周側の領域を用いる機能処理の実行を制限し、外周側の領域を用いる機能処理の実行を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理装置の制御方法、プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク(HDD)に代表されるディスクドライブ装置を有した情報機器が広く普及している。また、従来はパーソナルコンピュータなど大きな振動を発生する駆動機構を備えていない装置あるいは外部からの振動の影響が小さい装置にディスクドライブ装置が搭載されていた。
【0003】
しかし、近年、複写機、プリンタ装置、これらの機能を統合した複合機等の事務機器のようにスキャナやプリンタエンジン等といった駆動機構を備えている。このような駆動機構においては、モータやクラッチが動作することにより自ら振動を発生する。このような振動を発生する画像処理装置においても、HDDが搭載されることも一般的となっている。
【0004】
このような画像処理装置では、HDDを本体に固着する際の固着方法に問題があったり振動防止具等が経時変化(劣化)したりして振動を吸収しづらくなる場合がある。
このような場合において、本来想定された大きさを超えた振動が生じ、ディスクドライブ装置に影響を与えてしまうことがある。
具体的には、例えば複写機やプリンタ装置、複合機などの事務機器の場合には、経時変化により、機構部分の劣化、ギアなどモータ等駆動部分の磨耗などが起こると、それら駆動部分の振動が初期状態より大きくなる。あるいは、本来発生しない振動数での振動が発生する。
【0005】
それらの要因によりHDD内部のディスク円板上に傷が発生したりヘッド制御機能が低下し、HDDが正常に機能しなくなることがある。
また、画像処理装置はスタンバイ時と稼動時では発生する振動に大きな差があり、稼動時のみディスクドライブ装置が要求された性能を満たさない場合もある。
そこで、HDDに対して振動源が発生する振動の影響が及ぶ場合であっても、HDDの振動状態のレベルを判断し、そのレベルに応じて適切に対応することができる制御装置が下記特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−018602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1によれば、振動状態のレベルを判断するためにHDDにおけるデータ転送時の転送レートの測定を行うことにより、振動レベルの判断を実施しようとしている。実際には振動レベルの判断を実施する際に情報機器に応じて予め定められた閾値と比較を行う。
【0008】
しかしながら、例えばHDD等では円盤状のディスクにデータ書込みを行うため、円盤の外周領域と内周領域では回転方向の移動速度に差があり、同じ速度でデータ転送が行えるわけではない。
【0009】
従って、全部の領域に対して確実なデータ転送速度を保証しようとすると、予め定める閾値をデータ転送速度の早い方、すなわち外周領域の転送速度に合わせた閾値にしなければならない。
【0010】
その場合、振動源によって発生される振動が少しでも激しくなると、すぐに画像処理装置が異常状態となってしまうため、本来制約をかけなくても済む動作に対してまで制約がかかる可能性がある。つまり、振動源によって発生される振動状態が少しでも激しくなると、画像処理装置の制御としては最適な状態ではなくなってしまうという課題がある。
【0011】
本発は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、装置全体の駆動に伴う振動による影響を内周側と外周側に分けて適正に判断して、記憶媒体上で使用可能な領域を用いる機能処理を実行できる仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する本発明の画像処理装置は以下に示す構成を備える。
回転駆動される記憶媒体の外周側と内周側に対応づけて第1および第2の測定領域が確保された記憶手段を備える画像処理装置であって、装置本体の駆動部材を駆動して画像処理可能な状態に遷移した後、所定速度で回転する前記記憶媒体の前記第1および第2の測定領域に対してそれぞれ所定の情報を書き始めてから書き終えるまでに要する第1の書込み時間と第2の書込み時間をそれぞれ測定する測定手段と、前記測定手段により測定された第1の書込み時間と前記第1の測定領域のために設定される第1の閾値時間と比較し、さらに前記測定手段により測定された第2の書込み時間と前記第2の測定領域のために設定される第1の閾値時間よりも長い第2の閾値時間と比較して前記記憶手段の状態を周方向に分割された領域毎に判断する判断手段と、前記判断手段が第1の測定領域が第1の閾値時間を超えると判断し、かつ、第2の測定領域が第2の閾値時間を超えないと判断した場合、前記記憶手段の外周側の領域を用いる機能処理の実行を制限し、内周側の領域を用いる機能処理の実行を許可し、前記判断手段が第2の測定領域が第2の閾値時間を超えると判断し、かつ、第1の測定領域が第1の閾値時間を超えないと判断した場合、前記記憶手段の内周側の領域を用いる機能処理の実行を制限し、外周側の領域を用いる機能処理の実行を許可する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、装置全体の駆動に伴う振動による影響を内周側と外周側に分けて適正に判断して、記憶媒体上で使用可能な領域を用いる機能処理を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】画像処理装置の制御構成を説明するブロック図である。
【図2】HDD内でフォーマットされる画像領域の一例を示す図である。
【図3】図1に示したプリンタエンジン部の構成を示す断面図である。
【図4】画像処理装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図5】画像処理装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図6】HDD内でフォーマットされる画像領域の一例を示す図である。
【図7】画像処理装置の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本実施形態を示す画像処理装置の制御構成を説明するブロック図である。
図1において、100はシステム全体の制御を行うシステム制御部である。101は画像データを読み取るスキャナ部である。102はプリンタ部で、システム制御部100によって画像処理され、出力されてきた画像データを記録媒体にモノクロ画像又はカラー画像として記録する。
【0016】
次にシステム制御部100の内部構成について説明する。
103は画像データを処理するシステムコントローラであり、以下に示す各構成要素と汎用I/Fもしくは独自のI/Fで接続される。112は電源供給部であり、システム制御部100内に常夜系電源と非常夜系電源を供給する。メインSW101は、電源供給部112を起動するSWである。
【0017】
104は常夜制御回路であり、本システムの起動時、及び低消費電力状態におけるシステム制御を行う。低消費電力状態時には電源供給部112より常夜系電源のみが給電され、常夜制御回路104並びにシステムコントローラ103の一部回路、外部データI/F部108のみが通電状態となる。
【0018】
また、低消費電力移行前の状態を記憶するため、ワークメモリ107にDRAMが使用されている場合はワークメモリ107も通電し、セルフリフレッシュモードのような低消費電力モードで状態を保持するようにしても構わない。
【0019】
105はバックアップメモリ(不揮発性メモリ)であり、電源供給部112がオフ状態になってもシステム制御部100で必要となる情報を保持しておくためのものである。106は操作部であり、ユーザからの操作を受け付けたり、ユーザに対してシステムの状態や情報などをユーザインタフェース(UI)画面として表示する機能を備える。
【0020】
107はワークメモリであり、システムコントローラの作業領域や画像データを一時的に保持するためのものである。108は外部データI/F部であり、汎用I/FであるLANなどのネットワーク環境に接続された際に本システムとネットワーク環境間でのデータの送受信を行うものである。
【0021】
109はHDDコントローラであり、汎用I/FであるSATAを介してHDD110と接続されている。本実施形態では、所定速度で回転するHDD110は単独で接続されているが、複数台のHDDを接続し、RAIDシステムを構築しても構わない。
【0022】
通常の画像処理システムでは、システムコントローラ103が起動するためには、予めHDD109内の領域を所定の領域にマッピングするためにHDDのフォーマットを行う。
【0023】
図2は、図1に示したHDD110内でフォーマットされる画像領域の一例を示す図である。以下、HDD110の外周側または内周側に実行可能な機能処理の種別に対応づけて使用する領域を割り当てる例を説明する。
【0024】
図2に示す例では、HDD110の最外周領域から20GB分を画像領域として確保している。HDDはその物理的特性上、外周領域から内周領域に向かうに連れ、転送速度が遅くなることが一般に知られている。
画像処理装置の場合、システムの各機能に対してHDD110に必要とされる転送速度要求が異なるため、HDD110の物理的特性に照らし合わせ、高いパフォーマンスが要求される機能順に画像データ領域を外周側より確保する。本実施形態では最外周領域から、PDL領域、コピー領域、イメージング領域、その他の画像領域という順に割付を実施している。
【0025】
ここでイメージング領域とは、ネットワークへの送信などリアルタイム性の低い画像処理機能を指す。その他の画像領域とは、MFP上で動作するアプリケーション機能(外部装置への画像データ送信機能など)が使用するための画像領域である。
【0026】
101はスキャナ部であり、スキャナコントローラ114及びスキャナエンジン部113から構成される102はプリンタエンジン部であり、プリンタコントローラ115及びプリンタエンジン部116から構成される。
【0027】
プリンタコントローラ115は、システム制御部100内のシステムコントローラ103と独自I/FであるコマンドBus及びVideoBusを介して接続され、画像データの受信や、システムコントローラ103とコマンド通信を行う。
【0028】
116はプリンタエンジン部であり、システム制御部100からプリンタコントローラ115に送信されてきた画像データを記録媒体へ記録する。
図3は、図1に示したプリンタエンジン部116の構成を示す断面図である。以下、印刷処理において回転駆動する駆動ローラを含む駆動部材による振動要因を説明する。なお、スキャナ部101は、プリンタエンジン部116の上部に、プリンタエンジン部116と間をあけて装着されているものとする。
図3に示すプリンタエンジンの例は4ドラムフルカラー方式のカラー画像形成装置本体である。50Y、50M、50C、50Kは感光ドラムで、それぞれイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色の現像材(トナー)を備えた各画像形成ステーションに設けられている。なお、プリンタエンジン部116には、用紙を搬送するための搬送ローラや、感光ドラムを駆動するための駆動装置を備え、上述したように駆動時に振動する。
【0029】
各感光ドラム50Y、50M、50C、50Kの表面には、それぞれに対応したレーザスキャナ装置51Y、51M、51C、51Kを備える。そして、プリンタコントローラ115によって受信したシステ画像データからの画像データに基づいて発せられたレーザ光はレーザスキャナ装置51Y、51M、51C、51Kにより露光される。それによって各感光ドラム50Y、50M、50C、50K上に潜像が形成される。さらにそれぞれイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色の現像材によって現像されトナー像が形成される。52は中間転写ベルトで、各感光ドラム50Y、50M、50C、50Kで形成された各色毎のトナー像が一次転写される。
【0030】
給紙カセット53には記録媒体であるシートPが積載されており、給紙ローラ54により給紙され、フィード・リタードローラ対55、搬送ローラ対56、57、により搬送され、駆動停止しているレジストローラ対59に搬送される。
【0031】
また、マルチ給紙部40からの給紙が指定された場合は、マルチ給紙トレー41に記録媒体であるシートPが積載されており、マルチ給紙ローラ42により給紙され、搬送ローラ対57により搬送され、駆動停止しているレジストローラ対59に搬送される。
【0032】
上記シートPは、レジストローラ対59により斜行が補正された後、所定のタイミングで二次転写部60へ搬送されて中間転写ベルト52上のトナー像が転写される。そして二次転写部60の二次転写ローラ60aと中間転写ベルト52により、定着器61に搬送されてトナー像の定着が行なわれる。
【0033】
画像形成面を下にして排紙するFD排紙が指定された場合、フラッパ67を図示しない制御手段及び駆動手段により動かす事により、前記定着器61を通過したシートPは、フラッパ67の上側を通過し、排紙ローラ対62に搬送され搬送路69に搬送される。搬送路69に搬送されたシートPは排紙ローラ対68、62によって搬送され排紙トレー64上に画像形成面を下にして排出積載される。
【0034】
また、画像形成面を上にして排紙するFU排紙が指定された場合、フラッパ67を図示しない制御手段及び駆動手段により動かす事により、前記定着器61を通過したシートPは、フラッパ67の下側を通過する。そして、シートPは、排紙ローラ対65によって搬送され排紙トレー66上に画像形成面を上にして排出積載される。
【0035】
プリンタエンジン部116は上述の各ローラやドラムなどを駆動するため、モータやクラッチなどを有しており、その動作によって振動が発生する。
同様にスキャナエンジン部113においてもスキャナを駆動するため、各部にモータやクラッチなどの振動源を有するが、詳細についてはここでは省略する。
次に、本実施形態を示す画像処理装置におけるHDD振動測定の方法と振動測定後の制御に関して説明する。
本実施形態において、HDDの振動レベルの判断は、システムコントローラ103がHDDコントローラ109を起動してHDD110へデータの転送を実行し、その転送レートの測定結果に基づいて判断が実施される。
【0036】
例えば、転送レートの測定結果を所定の基準値(不揮発性メモリに記憶される)と比較したり、それ以前に得ている測定結果と比較したりすることを行う。
振動測定は、メインスイッチ111により画像処理装置に電源が供給され、起動した直後に開始される。
また、画像処理装置が低消費電力モード状態になっていた際に、外部データI/F部108から入力されてきた起動コマンドによって、通常待機状態もしくは動作状態に復帰する。具体的には、外部データI/F部108から入力される起動コマンドを受けると、常夜制御回路104より起動信号が発行され、電源供給部112より非常夜系電源が給電されて通常待機状態もしくは動作状態に復帰する。
【0037】
なお、その復帰時にも振動測定を実施するようにしても構わない。さらには、操作部106からメニュー指定することにより、ユーザが任意に振動測定を実施できるようにしても構わない。
【0038】
図4は、本実施形態を示す画像処理装置の制御手順を示すフローチャートである。本例は、振動測定のメイン処理に対応する。各ステップはシステムコントローラ103がワークメモリ107にロードする制御プログラムを実行することで実現される。ここで、システムコントローラ103は、マイクロプロセッサやCPUとして構成することも可能である。なお、本実施形態において測定結果とは、所定速度で回転する記録媒体に所定の情報を領域分割された各測定領域に書込みを開始してから書込みを終了するまでの書込み時間(第1の書込み時間、第2の書込み時間)を測定する。具体的には、システムコントローラ103の内部タイマを用いて測定する。その測定結果が後述する領域毎の測定結果Status−Area1、2に対応する。
【0039】
まず、前述のように振動測定を実施する要因が発生すると、S301で、振動の測定を行い、測定結果Status−Area1及び測定結果Status−Area2を得る。
【0040】
ここで、測定結果Status−Area1はHDD110の外周側の振動状態を表し、Successであるとシステムコントローラ103が判断した場合は、振動状態が正常範囲であることを示す。また、Failであるとシステムコントローラ103が判断した場合は、振動状態が激しくHDD110に何らかの異常状態が発生していることを示す。
【0041】
また、測定結果Status−Area2はHDDの内周側の振動状態を表し、Successであるとシステムコントローラ103が判断した場合は、振動状態が正常範囲であることを示す。また、Failであるとシステムコントローラ103が判断した場合は、振動状態が激しく何らかの異常状態を示す。
【0042】
本実施形態では、システムコントローラ103がS302で外周側の記憶領域が振動の影響を受けていると判断した場合には、外周側に割り当てた図2に示す機能処理の制限したり、許可したりする制御を行う。具体的には、S307で、PDL領域を用いるプリントジョブ処理機能、コピージョブ処理機能を制限し、内周側に割り当てた機能処理については実行可能とするように制御できる。これにより、振動の影響を受けていない内周側の機能に対応するジョブについてシステムコントローラ103がその実行を許可することができる。
【0043】
以下、図5を参照して、図4に示したS301の詳細手順を説明する。
図5は、本実施形態を示す画像処理装置の制御手順を示すフローチャートである。本例は、図4に示したS301の詳細手順を示す。なお、各ステップはシステムコントローラ103がワークメモリ107にロードする制御プログラムを実行することで実現される。ここで、システムコントローラ103は、マイクロプロセッサやCPUとして構成することも可能である。
【0044】
振動測定フローが開始されると、まず、S401ではシステムコントローラ103がスキャナ部101からのコピー動作要求の受付を禁止するため、操作部106上からユーザがコピー開始を選択できないようにする。その際、操作部106には、振動測定中であることを示す表示を行ってもよい。
【0045】
また、外部データI/F部108を介してネットワーク上の各機器に対して画像処理装置の動作状態を無効状態として通知する。
次に、S402では、システムコントローラ103がHDD110の振動測定を実施するため、HDD110のどの領域に対してのデータアクセスを行うかを決定し、HDDコントローラ109と通信を行い、必要な設定を行う。なお、図2中に振動測定時に設定される測定領域を示した。
【0046】
この場合、コピー領域の終わりから所定の範囲(例えば10MB)を測定領域1、その他の画像領域の終わりから所定の範囲(例えば10MB)を測定領域2として設定している。
【0047】
次に、S403では、システムコントローラ103は、ワークメモリ107上に所定サイズ(例えば10MBに相当する)の画像データを生成する。画像データのパターンは゛00,01,02・・・゛とインクリメントするデータであっても構わないし、゛00、FF,AA、55・・・゛のようにフルbitスイッチングするようなデータであっても構わない。
【0048】
S402、403で測定領域及び画像データが設定されたら、S404へ進む。そして、S404でシステムコントローラ103はスキャナコントローラ114及びプリンタコントローラ115と通信しながら、スキャナエンジン部113、プリンタエンジン部116の駆動を要求する。
【0049】
S405ではスキャナエンジン部113及びプリンタエンジン部116が駆動を開始後、所定の操作を行い、システム制御部への画像入力及びシステム制御部100からの画像転送の準備が完了(EngineReady)したかどうかの判断を行う。つまり、システムコントローラ103は画像処理可能な状態に遷移したかどうかを判断する。
【0050】
ここで、所定の操作とは、例えばスキャナエンジン部113の走査ユニットをホームポジションへの移動や記録媒体へのレジストレーション位置へのセット、などがそれに当たる。振動測定時は、原稿や記録媒体の搬送は実施しないが、システムコントローラ103とスキャナコントローラ114やプリンタコントローラ115間の通信やエンジン部の駆動タイミングは実際の動作と同じタイミングで実行する。
【0051】
このように駆動タイミングを実動作に合わせることにより、測定時にHDD110に伝わる振動がより正確なものになる。
次に、S405で、EngineReadyとなったら、S406ではシステムコントローラ103がワークメモリ107上に生成したデータをHDDコントローラ109を介し、HDD110に対して転送開始する。
【0052】
同時にシステムコントローラ103が備えるタイマ(図示しない)を始動させ、転送に要する時間の測定も開始する。
S407では、システムコントローラ103がHDD110へのデータ転送が終了したかを判断する。本実施形態ではS402で2領域を測定領域として設定しているので、システムコントローラ103は1つの転送領域へデータ転送が終了したら、タイマを停止し所要時間を記憶する。
【0053】
このようにして画像データを記憶し終えたらシステムコントローラ103は再びタイマを起動し、次の転送領域の転送時間を計測する。2領域全てに対して画像データのライトが終了したら、データ転送を停止し、S408へ進む。
【0054】
本実施形態ではHDD110の周方向のパフォーマンス差を考慮し、測定領域1、2それぞれに異なる閾値TH1、TH2を用意している。
S408では、システムコントローラ103が測定領域1に関する測定結果T1と閾値TH1の比較を行う。もし、比較結果がT1>TH1(第1の閾値時間)であるとシステムコントローラ103が判断した場合は、S409へ進む。そして、S409で、システムコントローラ103は、測定領域1用に用意された状態変数Status−Area1にFAILを設定する。
【0055】
一方、S408で、T1≦TH1であるとシステムコントローラ103が判断した場合は、S410で、システムコントローラ103がStatus−Area1にSuccessを設定して、S411へ進む。
【0056】
そして、S411では、システムコントローラ103が測定領域2に関する測定結果T2と閾値TH2の比較を行う。もし、比較結果がT2>TH2(第2の閾値時間)であるとシステムコントローラ103が判断した場合は、S409で、システムコントローラ103が測定領域2用に用意された状態変数Status−Area2にFAILを設定する。
【0057】
一方、S411で、T2≦TH2であるとシステムコントローラ103が判断した場合は、S410で、システムコントローラ103がStatus−Area2にSuccessを設定して、本処理を終了する。
【0058】
以上の手順でHDD110の振動測定を実施したら、図4に示したメインフローに戻る。
そして、S302では、まず、システムコントローラ103は、HDD110の内周側の振動状態Status−Area2の内容を確認する。ここで、システムコントローラ103が振動状態Status−Area2がFailであると判断した場合は、S303に進み、HDD110の内周領域を使う機能を禁止する。この場合は、本実施形態では、システムコントローラ103は、イメージング処理とアプリケーション処理について禁止する。
【0059】
次に、S304で、システムコントローラ103は、HDD110の外周側の振動状態Status−Area1の内容を確認する。ここで、システムコントローラ103が振動状態Status−Area1の内容がFailであった場合は、HDD110の全ての画像領域で振動状態が異常とみなされるため、全ての機能が使用できないようにする。
【0060】
この場合は、S305で、システムコントローラ103は、Error状態として処理する。
具体的にはシステムコントローラ103は操作部106上にエラーメッセージを表示しユーザにその旨と対処方法をメッセージで通知するといった処理である。なお、ネットワーク機能を用いて、画像処理装置をメンテナンスするサーバ装置にエラー状況を示す情報と、サービスマンの手配要求を自動的に通知するように制御してもよい。
【0061】
一方、S302で、振動情報Status−Area2の内容がSuccessであるとシステムコントローラ103が判断した場合は、S306へ進む。
そして、S306で引き続き、システムコントローラ103は、外周側の振動状態Status−Area1の内容を確認する。ここで、外周側の振動状態Status−Area1の内容がFailであるとシステムコントローラ301が判断した場合は、S307に進み、HDD110の外周領域を使う機能を禁止する。
【0062】
この場合は、図2に示した領域(外周側の10Mを使用する機能の領域)に問題があるため、システムコントローラ103はコピー処理とPDLプリント処理について禁止する。
【0063】
一方、外周側の振動状態Status−Area1の内容がSuccessであるとシステムコントローラ103が判断した場合は、特に振動状態に異常は見られないので、特に処理を行うことなく、本処理を終了する。
なお、HDD110の内周領域を使う機能またはHDD110の外周領域を使う機能を制限する方法として次のような方法がある。例えば、システムコントローラ103は、操作部106に表示する複数の機能(コピー機能や画像データ送信機能)のうち、禁止された機能の画面を表示できないように制御する方法である。具体的に、Status−Area1の内容がFailである場合に、システムコントローラ103は、外周領域を使う機能であるコピー機能の操作画面に遷移するためのボタンをグレー状態または非表示状態にして選択できないようにする。なお、プリント機能については、操作部106を用いて操作されるものではなく外部装置から受信したデータを受信する機能であるため、操作部106に対して特別な制御はされない。代わりに、プリント機能の使用を禁止した状態で、外部装置から印刷要求を受けた場合、システムコントローラ103は、当該外部装置に、プリント機能の使用が禁止されていることを通知し、当該印刷要求に基づく印刷をしないように制御すればよい。
本実施形態によれば、HDDの振動状態を周方向に分割して判断することにより、振動異常の状態においても必要最小限の機能のみ停止することができる。
【0064】
〔第2実施形態〕
第1実施形態においては、HDDの振動状態が異常状態となった領域に関しては、その機能を禁止するようにしていたが、異常状態となった領域を縮退的に動作させるようにする構成をとると、ユーザの利便性が更に上がる。以下にその実施形態について説明する。
【0065】
図6は、図1に示したHDD110内でフォーマットされる画像領域の一例を示す図である。本例は、HDD110内でフォーマットされる本実施形態における画像領域の例を示す。画像領域としては第1実施形態と同じく20GBとするが、図6では、HDD110の最外周領域に振動測定領域1を設けている。振動測定領域は第1実施形態同様任意の容量で構わないが、振動測定領域は、振動異常時の縮退動作用共通領域を兼ねる。HDD110の外周領域に振動測定領域2は、第1実施形態の測定領域1に対応し、HDD110の内周領域に振動測定領域3は、第1実施形態の測定領域2に対応する。
【0066】
従って、画像処理装置がジョブ処理を実行できる最小限の容量もしくはそれに近い容量(例えば10MB)である。その他は第1実施形態と同じく数G〜10数GB単位で領域をPDL領域、コピー領域、イメージング領域、その他の画像領域というように区切っている。
【0067】
また、コピー領域の終わりから所定の範囲(例えば10MB)を測定領域2、その他の画像領域の終わりから所定の範囲(例えば10MB)を測定領域3として設定している。
本実施形態において、HDD110は、システムコントローラ103が第1または第2の測定領域に対応する機能処理を実行できないと判断した場合に、いずれかの機能処理を実行する領域として使用する領域を第1の測定領域よりも外周側に設ける例を示す。しかしながら、いずれかの機能処理を実行する領域として使用する領域を第1の測定領域よりも内周側に確保可能としてもよい。
【0068】
図7は、本実施形態を示す画像処理装置の制御手順を示すフローチャートである。本例は、振動測定のメイン処理に対応する。各ステップはシステムコントローラ103がワークメモリ107にロードする制御プログラムを実行することで実現される。ここで、システムコントローラ103は、マイクロプロセッサやCPUとして構成することも可能である。
【0069】
まず、前述のように振動測定の実施要因が発生した場合、S601で振動の測定を行う。S601の振動測定の詳細動作については、基本的には第1実施形態に示したS301と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0070】
S601では、最外周側の振動状態Status−Area1及び外周側の振動状態Status−Area2、内周側の振動状態Status−Area3の振動状態の測定結果を得る。それぞれ、各測定結果の内容がSuccessであれば振動状態が正常範囲であることを示し、Failであれば振動状態が激しく何らかの異常状態を示す。
【0071】
次に、S602で、システムコントローラ103は外周側の振動状態の判定を行う。ここで、外周側の振動状態Status−Area1の内容がFAILであるとシステムコントローラ103が判断した場合は、縮退動作領域の振動状態が良くないので、S603に進み、S603で縮退なしの機能の制限動作を実行する。
【0072】
なお、S603で実行される機能の制限動作は第1実施形態で述べた動作と同じになるため、ここでは説明を省略する。
一方、S602で、外周側の振動状態Status−Area1の内容がSuccessであるとシステムコントローラ103が判断した場合は、S604に進み、外周領域の振動状態Status−Area2の内容を判断する。
【0073】
ここで、外周領域の振動状態Status−Area2の内容がFAILであるとシステムコントローラ103が判断した場合は、S605で外周領域を使う機能であるPDL、コピーを縮退動作させる。
【0074】
ここで、縮退動作は、システムコントローラ103がジョブ処理要求に対し、PDL、コピーのコンカレント動作を禁止し、どちらかのジョブが動作中はシステムをビジー状態とみなし、次のジョブを受け付けないようにすることである。
【0075】
より具体的には操作部106に対し、システムコントローラ103がコピー開始ボタン押しても受け付けないようにし、状態表示用のLEDもその状態に該当させるような色を表示させるように制御する。
【0076】
また、PDLプリントの場合は、システムコントローラ103がPC上のドライバ画面で印刷不可の状態にして表示させるように制御する。
次に、S606で、内周領域の振動状態Status−Area3の内容を確認する。そして、FAILであるとシステムコントローラ103が判断した場合は、S607で内周領域を使うイメージング処理やその他の画像領域を用いるアプリケーション処理を縮退動作させて、本処理を終了する。
【0077】
より具体的には、イメージング処理もしくはアプリケーションが実行中の場合は、操作部106に対し、システムコントローラ103がイメージング開始ボタン押しても受け付けないように制御する。あるいは、システムコントローラ103内でアプリケーションのライセンスを使用禁止状態にする。
【0078】
一方、S606で、内周領域の振動状態Status−Area3の内容を確認し、Successであるとシステムコントローラ103が判断した場合は、本処理を終了する。
【0079】
同様に、S604で、振動状態Status−Area2の内容を確認し、Successであるとシステムコントローラ103が判断した場合も、本処理を終了する。
なお、本実施形態縮退動作では、禁止領域の処理を同時実行することはできないが、処理を全面的に禁止するわけではなく、ユーザにとってはその機能が使えるようになっている。したがって、画像処理装置全体としてはダウンタイムとはならない状態にすることが可能である。
【0080】
本実施形態では、外部記憶装置としてHDDを用いた画像処理装置を例として説明したが、SSDとHDDとを組み合わせた画像処理装置においても本発明を適用可能である。
また、上記実施形態では、外周側に緊急領域を確保する場合について説明したが、HDD110の内周側に所定容量確保するように構成してもよい。さらに、内周側と外周側に分けて緊急領域を確保するように構成してもよい。
【0081】
各実施形態によれば、HDDの振動状態を周方向に分割して判断することにより、振動異常の状態においても必要最小限の機能のみ停止するようにできる。
また、パフォーマンスの最も良い外周側に、振動異常時に各処理が共有する画像データ領域を用意することで全ての機能を停止せずに継続動作させることができる。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0082】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0083】
本発明の様々な例と実施形態を示して説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は、本明細書内の特定の説明に限定されるのではない。
【符号の説明】
【0084】
101 システムコントローラ
106 操作部
110 HDD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動される記憶媒体の外周側と内周側に対応づけて第1および第2の測定領域が確保された記憶手段を備える画像処理装置であって、
装置本体の駆動部材を駆動して画像処理可能な状態に遷移した後、所定速度で回転する前記記憶媒体の前記第1および第2の測定領域に対してそれぞれ所定の情報を書き始めてから書き終えるまでに要する第1の書込み時間と第2の書込み時間をそれぞれ測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された第1の書込み時間と前記第1の測定領域のために設定される第1の閾値時間と比較し、さらに前記測定手段により測定された第2の書込み時間と前記第2の測定領域のために設定される第1の閾値時間よりも長い第2の閾値時間と比較して前記記憶手段の状態を周方向に分割された領域毎に判断する判断手段と、
前記判断手段が第1の測定領域が第1の閾値時間を超えると判断し、かつ、第2の測定領域が第2の閾値時間を超えないと判断した場合、前記記憶手段の外周側の領域を用いる機能処理の実行を制限し、内周側の領域を用いる機能処理の実行を許可し、
前記判断手段が第2の測定領域が第2の閾値時間を超えると判断し、かつ、第1の測定領域が第1の閾値時間を超えないと判断した場合、前記記憶手段の内周側の領域を用いる機能処理の実行を制限し、外周側の領域を用いる機能処理の実行を許可する制御手段と、
を備えることを画像処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記判断手段が第1の測定領域が第1の閾値時間を超えると判断し、かつ、第2の測定領域が第2の閾値時間を超えると判断した場合、前記記憶手段の内周側の領域を用いる機能処理の実行を制限し、かつ、外周側の領域を用いる機能処理の実行も制限することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記記憶媒体は、前記判断手段が第1または第2の測定領域に対応する機能処理を実行できないと判断した場合に、いずれかの機能処理を実行する領域として使用する領域を前記第1の測定領域よりも外周側または内周側に確保可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記記憶媒体は、前記外周側または前記内周側に実行可能な機能処理の種別に対応づけて使用する領域を割り当てることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
回転駆動される記憶媒体の外周側と内周側に対応づけて第1および第2の測定領域が確保された記憶手段を備える画像処理装置の制御方法であって、
装置本体の駆動部材を駆動して画像処理可能な状態に遷移した後、所定速度で回転する前記記憶媒体の前記第1および第2の測定領域に対してそれぞれ所定の情報を書き始めてから書き終えるまでに要する第1の書込み時間と第2の書込み時間をそれぞれ測定する測定工程と、
前記測定工程により測定された第1の書込み時間と前記第1の測定領域のために設定される第1の閾値時間と比較し、さらに前記測定工程により測定された第2の書込み時間と前記第2の測定領域のために設定される第1の閾値時間よりも長い第2の閾値時間と比較して前記記憶手段の状態を周方向に分割された領域毎に判断する判断工程と、
前記判断工程が第1の測定領域が第1の閾値時間を超えると判断し、かつ、第2の測定領域が第2の閾値時間を超えないと判断した場合、前記記憶手段の外周側の領域を用いる機能処理の実行を制限し、内周側の領域を用いる機能処理の実行を許可し、
前記判断工程が第2の測定領域が第2の閾値時間を超えると判断し、かつ、第1の測定領域が第1の閾値時間を超えないと判断した場合、前記記憶手段の内周側の領域を用いる機能処理の実行を制限し、外周側の領域を用いる機能処理の実行を許可する制御工程と、
を備えることを画像処理装置の制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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