説明

画像処理装置およびその制御方法

【課題】 ネットワーク上の他端末と同じ画像補正処理を行える画像処理装置において、補正対象画像が既に補正されているか否か、画像の送信先の機能、ネットワーク上の通信負荷や送信先端末の処理負荷を考慮した画像補正を行う。
【解決手段】 ネットワーク上に接続された他端末と同じ画像補正処理を行うことが可能な画像処理装置であって、画像データが既に補正されているか否かを示す補正有無情報、画像データの送信先端末の補正機能を示す送信先端末情報、ネットワークにおける通信負荷が高いか否かおよび送信先端末の処理負荷が高いか否かを示すシステム負荷状況情報とを入力し、GUIにおいて、前記補正有無情報および送信先端末情報およびシステム負荷状況情報に基づき、画像補正前の画像データを出力するべきか、画像補正後の画像データを出力するべきかを推奨する強調表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像補正処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像を入力する端末、画像を蓄積するデータサーバ、プリンタサーバなどから構成される画像印刷システムが知られている。このようなシステムで画像処理を行う際には、画像処理を施した画像を印刷する場合だけでなく、画像処理前の画像と画像処理パラメータを出力することもある。これは、画像処理を繰り返し施すことにより画像劣化が生じるのを防ぐためである。従来、画像処理パラメータが変更された場合に、そのパラメータのみを転送する技術が知られている。また、編集後データ、編集前データ、編集履歴データを組とする複数のデータの組を読み込んで、各編集時点での編集内容を適用することにより、複数の編集後データ、複数の編集前データ、複数の編集過程データを出力する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3876607号
【特許文献2】特開2009−44241号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の画像印刷システムにおいて、画像データの補正処理は決められた端末で行われていた。しかしながら、このような同種の端末が散在するようなネットワーク環境においては、分散処理なども有効であり、ある画像処理装置(画像処理端末)が画像補正を行うべきか否かは、種々の状況に応じて決定されることが好ましい。
【0005】
本発明は上記従来例に鑑みてなされたものであり、ネットワーク上の他端末と同じ画像補正処理を行うことが可能な画像処理装置において、補正対象となる画像データが既に画像補正されているか否か、あるいはその画像データの送信先端末の機能、あるいはネットワーク上の通信負荷や送信先端末の処理負荷などを考慮した画像補正を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の画像処理装置によれば、ネットワーク上に接続された他の画像処理端末と同じ画像補正処理を行うことが可能な画像処理装置であって、画像補正の対象となる画像データ、該画像データが既に画像補正されているか否かを示す補正有無情報、前記画像データの送信先端末が有する画像補正機能を示す送信先端末情報、前記ネットワークにおける通信負荷が高い状態か否かおよび送信先端末の処理負荷が高い状態か否かを示す情報を示すシステム負荷状況情報とを入力する入力手段と、前記画像補正の対象となる画像データに対して前記画像処理装置が実行予定の画像補正内容を設定させるとともに、前記設定内容に基づく画像補正を行う前の画像データを出力するか、画像補正を行った後の画像データを出力するかを指定させるグラフィックユーザーインタフェースを表示する表示手段とを備え、前記グラフィックユーザーインタフェースにおいて、前記補正有無情報および前記送信先端末情報および前記システム負荷状況情報に基づいて、前記画像補正を行う前の画像データを出力するべきか、画像補正を行った後の画像データを出力するべきかを推奨する強調表示を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上のように本発明によれば、ネットワーク上の他端末と同じ画像補正処理を行える画像処理装置において、補正対象となる画像データが既に画像補正されているか否か、その画像データの送信先端末の機能、ネットワーク上の通信負荷や送信先端末の処理負荷などを考慮した画像補正を行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】システムの構成を示す図
【図2】画像処理装置のGUIを示す図
【図3】実施例の処理概要を示すフローチャート
【図4】パラメータ解析処理を示すフローチャート
【図5】ユーザーインタフェースの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明を具体的に説明する。
【0010】
<実施例1>
図1は、本実施例を実現する画像処理システムの概略図である。画像処理システムは汎用の通信プロトコルによる高速LANを備えており、高速LANには、画像データを入力する受付端末101、Webオーダー端末102が接続されている。端末101はタッチパネルを採用したコンピュータであり、端末102は各種アプリケーションを実行可能なパーソナルコンピュータなどが適用される。本実施例では、受付端末101に搭載されているメモリーカードなどの外部メモリから、端末101のメモリインターフェース部を介して画像データが入力される。また端末102から画像処理パラメータが入力される。なお、この高速LANにはデータサーバ103も接続されており、端末101および端末102から入力した画像データと画像処理パラメータを受信する。このデータサーバ103では受信した画像データに何らかの画像処理を施しても良い。さらに、この高速LANにはプリンタサーバA104、プリンタサーバB105も接続されている。プリンタサーバA104に入力されたデータはプリンターa106またはプリンタb107へ出力され、プリンタサーバB105に入力されたデータはプリンタc108へ出力される。本実施例では、高速LANに接続されている全ての端末(端末101〜102、サーバ103〜105)には、共通の画像処理部を搭載しているものとする。すなわち、高速LANに繋がっている各端末は、同じ画像処理パラメータを利用して必要な画像処理を行うことができる。また、これら各端末には、画像処理の内容を指定するとともに、その画像処理結果を内蔵ディスプレイにより表示することができるものとする。
【0011】
以下、本実施例における各端末(端末101〜102、サーバ103〜105)の概要を説明する。各端末はいわゆる画像処理装置であり、内臓ディスプレイに表示したGUI(グラフィックユーザーインタフェース)を用いて画像処理を行い、「画像処理後の画像を出力するか、画像処理前の画像を出力するか」をユーザに問い合わせる。
【0012】
図2は、各端末に共通する上記GUIを示したものである。図2(a)は、画像処理を行う際に表示するメインウィンドウのGUIである。
【0013】
この画面では、自動補正チェックボタン201をチェックすることにより、写真の明るさ、色を自動的に補正できる。また、赤目補正チェックボタン202をチェックすることにより、処理対象となる画像中の赤目を検出して補正できる。また、明るさチェックボタン203をチェックすることにより、画面を見ながら処理対象画像の明るさをスライダーでマニュアル調整できる。また、コントラストチェックボタン204をチェックすることにより、画面を見ながら処理対象画像のコントラストをマニュアル調整できる。また、Undoボタン205を押下することにより、処理対象画像の編集作業を一工程前の処理内容に戻すことができる。また、Redoボタン206を押下すると、Undoボタン205の押下により戻した工程を再度実行し、一工程前に進めることができる。また、出力ボタン207を押下すると、図2(b)に示す画像出力ダイアログを表示させる。
【0014】
本実施例では、図2(b)の画像出力ダイアログには、2つのボタンが表示されている。補正前ボタン208を押下すると、上記各種の画像処理以前の画像データとそれに対応する各種パラメータを、後段のプリンタに印刷出力させる。補正後ボタン209を押下すると、上記各種の画像処理後の画像データとそれに対応する各種パラメータを、後段のプリンタに印刷出力させる。
【0015】
なお、本実施例では、補正前と補正後の何れを選択するか、GUIを利用しているユーザーが選択するが、予め装置が何れを選択するのが良いかを報知する。以下、図面を用いて上記報知機能について説明する。
【0016】
図3は、本実施例の各端末(画像処理装置)が報知機能を実施する点に関わる一連の動作を示したフローチャートである。まず、ステップS301では、処理対象となる画像データを入力する。
【0017】
次に、ステップS302では、処理対象となる画像を表す各種パラメータを入力する。ここで、ステップS302以降で入力されるの各種パラメータには、補正有無情報、送信先端末情報、システム負荷状況情報の3種類の情報を含む。補正有無情報とは、「入力された画像データが画像処理(画像補正)以前の画像であるか、画像補正(画像処理)後の画像であるか」を示す情報である。次に、送信先端末情報とは、送信先の端末によって画像補正が可能であるかどうかの情報である。次に、システム負荷状況情報とは、この画像処理システムに繋がるネットワーク(高速LAN)における通信負荷が高い状態か否かと、送信先端末の処理負荷が高い状態か否かを示す情報である。システム負荷状況情報は、リアルタイムに変動する情報でもある。よって、前者であれば、ネットワークをモニタリングすることにより、ネットワーク(高速LAN)の通信負荷が高い状態か否か取得する。また後者であれば、端末に頻繁にステータスを問い合わせ、処理待ちジョブの個数を確認したりすることで取得する。
【0018】
ステップS303では、図2(a)のGUIを介して設定された画像補正パラメータを取得する。ここではユーザーによる各種設定が行われることになる。
【0019】
ステップS304では画像補正パラメータを解析する。以下、この解析方法について、図4を用いて説明する。まず、ステップS401で、送信先端末情報に基づいて、送信先の端末において現在の画像処理パラメータを用いた補正処理が可能であるか否かを判断する。ここでの送信先とは、出力先として直接接続された端末に限らず、そのあとに続けて印刷出力されるまでに経由する全端末に相当する。すなわち、この補正処理が可能か否かの判断は、ユーザーが設定中の画像補正パラメータを用いて印刷されるまでの何処かの端末で該当する補正処理が可能かどうかを判断する。もし該当する画像処理が可能である場合には、ステップS302に進み、不可能である場合にはステップS406に進む。
【0020】
ステップS402では、上記各種パラメータのうちのシステム負荷状況情報に基づいて、送信先の端末の負荷およびネットワークの負荷について何れもが低いか否かを判断する。もしいずれの負荷も低いと判断した場合には、ステップS403に進み、何れか一方でも負荷が高いと判断した場合にはステップS405に進む。
【0021】
ステップS403で、ステップS301で入力した画像(処理対象画像)にすでに画像補正がされているか否かを判断する。ここで、すでに画像補正後であった場合には、さらに高画質に補正する必要は不要であるとして、ステップS404に進む。もし画像補正前であった場合には、高画質化のために補正することが有効であるとして、ステップS405に進む。
【0022】
ステップS404では、後段に出力する画像を画像補正前にしたようが良い旨を報知するように、図2(a)の補正前ボタン208を、図5(a)のように変更する。ここで太い線で囲まれているボタンは、そのボタンを押下することを推奨していることに相当する。
【0023】
ステップS405では、後段に出力する画像を画像補正前にしたようが良い旨を報知するように、図2(a)の補正後ボタン209を、図5(b)のように変更する。ここでも、上述したように、太い線で囲まれているボタンが、そのボタンを押下することを推奨しているものである。
【0024】
ステップS406では、後段に出力する画像を画像補正後にすることが必須である旨を報知するように、図2(a)の補正前ボタン208を消去するとともに、補正後ボタン209のみを残す。これにより、ユーザーは補正後ボタンしか指定できない。
【0025】
以上では、ネットワーク上に接続された他の画像処理端末と同じ画像補正処理を行うことが可能な画像処理装置(端末101〜102、サーバ103〜105)について説明した。具体的には、画像補正の対象となる画像データ、画像データが既に画像補正されているか否かを示す補正有無情報、画像データの送信先端末が有する画像補正機能を示す送信先端末情報、ネットワークにおける通信負荷が高い状態か否かおよび送信先端末の処理負荷が高い状態か否かを示す情報を示すシステム負荷状況情報を入力した。そして、画像補正の対象となる画像データに対して自装置が実行予定の画像補正内容を設定させるとともに、設定内容に基づく画像補正を行う前の画像データを出力するか、画像補正を行った後の画像データを出力するかを指定させるGUIを表示させた。そして、このGUIにおいて、これら各種パラメータに基づいて、画像補正を行う前の画像データを出力するべきか、画像補正を行った後の画像データを出力するべきかを推奨する強調表示を行った。
【0026】
以上によれば、補正有無情報、送信先端末情報、システム負荷状況情報に基づいて、自動的に、ユーザーが新たに設定した画像補正後の画像データを後段端末に出力するか、あるいは画像補正前の画像データを後段端末に出力するかをユーザーに推奨する形で報知する。これにより、最終的にはユーザーがマニュアルで何れかを選択するとしても、何れを選択するべきかをボタンの押下前からユーザーが知ることができ、システム全体としての画像補正処理として有効な結果を導くことができる。
【0027】
<変形例>
なお、上述した各実施例は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上記実施例の各工程や機能を実現するソフトウェア(コンピュータプログラム)を、ネットワークや記憶媒体を介してシステムに供給し、そのシステムのコンピュータ(またはCPU等)が上記プログラムを読み込んで、画像処理装置を制御、実行させる処理である。上記コンピュータプログラムや、それを記憶したコンピュータ可読記憶媒体も本発明の範疇に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク上に接続された他の画像処理端末と同じ画像補正処理を行うことが可能な画像処理装置であって、
画像補正の対象となる画像データ、該画像データが既に画像補正されているか否かを示す補正有無情報、前記画像データの送信先端末が有する画像補正機能を示す送信先端末情報、前記ネットワークにおける通信負荷が高い状態か否かおよび送信先端末の処理負荷が高い状態か否かを示す情報を示すシステム負荷状況情報とを入力する入力手段と、
前記画像補正の対象となる画像データに対して前記画像処理装置が実行予定の画像補正内容を設定させるとともに、前記設定内容に基づく画像補正を行う前の画像データを出力するか、画像補正を行った後の画像データを出力するかを指定させるグラフィックユーザーインタフェースを表示する表示手段とを備え、
前記グラフィックユーザーインタフェースにおいて、前記補正有無情報および前記送信先端末情報および前記システム負荷状況情報に基づいて、前記画像補正を行う前の画像データを出力するべきか、画像補正を行った後の画像データを出力するべきかを推奨する強調表示を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像補正は、赤目補正、明るさの調整、コントラストの調整の何れかを含み、前記ネットワーク上に接続された他の画像処理端末も前記画像処理装置と同じ画像補正機能を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
コンピュータに読み込み込ませ実行させることで、前記コンピュータを請求項1に記載の画像処理装置として機能させるコンピュータプログラム。
【請求項4】
請求項3に記載のコンピュータプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項5】
ネットワーク上に接続された他の画像処理端末と同じ画像補正処理を行うことが可能な画像処理装置の制御方法であって、前記画像処理装置は、
画像補正の対象となる画像データ、該画像データが既に画像補正されているか否かを示す補正有無情報、前記画像データの送信先端末が有する画像補正機能を示す送信先端末情報、前記ネットワークにおける通信負荷が高い状態か否かおよび送信先端末の処理負荷が高い状態か否かを示す情報を示すシステム負荷状況情報とを入力する工程と、
前記画像補正の対象となる画像データに対して前記画像処理装置が実行予定の画像補正内容を設定させるとともに、前記設定内容に基づく画像補正を行う前の画像データを出力するか、画像補正を行った後の画像データを出力するかを指定させるグラフィックユーザーインタフェースを表示する工程とを備え、
前記グラフィックユーザーインタフェースにおいて、前記補正有無情報および前記送信先端末情報および前記システム負荷状況情報に基づいて、前記画像補正を行う前の画像データを出力するべきか、画像補正を行った後の画像データを出力するべきかを推奨する強調表示を行うことを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−42212(P2013−42212A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176045(P2011−176045)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】