説明

画像処理装置およびそれを用いる運動機器システム

【課題】運動機器において、簡単な構成で使用者の姿勢を矯正し、高い運動効果を得る。
【解決手段】使用者に乗馬を模した運動負荷を付与する揺動型運動機器に、該機器を使用する使用者の姿を撮像するカメラ、およびその撮像画像を表示するモニタ3を設け、使用者に自身の運動姿勢をフィードバックし、所望の運動効果を得られるようにするにあたって、前記カメラからモニタ3の間に、撮像画像を処理する画像処理装置を設ける。そして、該画像処理装置は、前記カメラの撮像画像51に対して、使用者が騎乗するにあたって取るべき推奨姿勢を表すキャラクタ画像52を合成して、前記モニタ3に出力する。画像処理装置は、予め作成された画像のスーパーインポーズなどの簡単な画像処理を行えばよいので、簡単な構成で、高い運動効果を得ることができ、使用者の継続使用の意欲を高め、また高い商品満足度を与えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動機器を使用する使用者の姿を撮像装置で撮像し、その撮像画像を表示装置で表示することで、使用者に自身の運動姿勢をフィードバックするようにした運動機器システムに用いられる画像処理装置およびその運動機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
前記のように、運動機器を使用する使用者の姿を撮像装置で撮像し、その撮像画像を表示装置で表示することは、運動機器システムという予め組まれたシステムではなく、簡単なところでは、モニタにビデオカメラを直結するような構成で従来から用いられている。そして、使用者のフォームを映し出す等で、所期の運動効果が得られているかをチェックするようなことが行われている。ところが、単純に使用者の姿を映し出しただけでは、本当に正しい姿勢が得られているか、使用者がなかなか分らないという問題がある。
【0003】
一方、本件出願人は、使用者が着座した座部を揺動させることで、前記使用者に乗馬を模した運動負荷を付与する揺動型運動機器において、座部に着座した使用者の運動姿勢を感圧センサ(体重のかかり方を見るエリア分割された圧力センサ等)で検出し、その検出された情報に応じて、対応する内容を、表示や音声で使用者に報知することで、正しい騎乗姿勢を取らせるようにしたものを、先に特許文献1で提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−149468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術は、特にモータなどの動力源を用いる他動の運動機器において、使用者に正しい姿勢を取らせ、高い運動効果を得ることができる優れた技術である。これによって、初心者にありがちな効果が上がらないことによる使用の中断や、運動意欲の消失といった問題を解消し、商品満足度を高めるようになっている。
【0006】
しかしながら、この従来技術は、表示がスケルトン画像で、直ぐには姿勢の崩れを判断し難く、また圧力センサの圧力分布から前記スケルトン画像を作成するので、構成が複雑であるという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、簡単な構成で、使用者の分り易いフィードバックを行うことができる画像処理装置およびそれを用いる運動機器システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像処理装置は、運動機器を使用する使用者の姿を撮像する撮像装置と、その撮像画像を表示する表示装置との間に介在される画像処理装置であって、前記撮像画像に対して、推奨姿勢を表すキャラクタ画像を合成して、前記表示装置に出力することを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、運動機器を使用する使用者の姿を撮像装置で撮像し、その撮像画像を表示装置で表示することで、使用者に自身の運動姿勢をフィードバックし、所望の運動効果を得られるようにする運動機器システムに用いられる画像処理装置であって、該画像処理装置は、前記撮像画像に対して、その運動機器を使用している使用者が取るべき推奨姿勢、すなわち前記所望の運動効果を得られる姿勢を表すキャラクタ画像を合成して、前記表示装置に出力する。
【0010】
したがって、家庭のテレビジョン受信機を前記表示装置とするなどして、それに撮像装置に該画像処理装置という簡単な構成でフィードバックのシステムを実現でき、さらに該画像処理装置は、予め作成された画像のスーパーインポーズなどの簡単な画像処理を行えばよい。そして、使用者は、表示装置に表示される自身の画像がキャラクタ画像に一致するよう、姿勢を矯正することで、簡単に推奨姿勢を維持することができる。こうして、簡単な構成で、単純に使用者の姿を映し出しただけでは得られない矯正効果を得て、高い運動効果を得ることができ、使用者の継続使用の意欲を高め、また高い商品満足度を与えることができる。
【0011】
また、本発明の画像処理装置では、前記運動機器は、使用者が着座した座部を揺動させることで、前記使用者に運動負荷を付与する揺動型運動機器であることを特徴とする。
【0012】
上記の構成によれば、使用者が着座した座部を揺動させることで、前記使用者に乗馬を模した運動負荷を付与する揺動型運動機器は、使用者がバランスを崩し易く、上記のようなフィードバックが特に有効である。
【0013】
さらにまた、本発明の運動機器システムは、前記撮像装置および表示装置と、前記画像処理装置と、前記運動機器とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の運動機器システムでは、前記運動機器には、前記表示装置に向けて、該運動機器と表示装置との位置関係を較正するための基準光を照射する発光装置をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
上記の構成によれば、運動機器に設けた発光装置が表示装置に向けて基準光を照射し、その基準光が表示装置の所定位置に照射されるように運動機器と表示装置との位置関係を調整しておくことで、上述のように使用者の姿勢の矯正効果を得るにあたって、より正確な矯正を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の画像処理装置は、以上のように、運動機器を使用する使用者の姿を撮像装置で撮像し、その撮像画像を表示装置に表示することで、使用者に自身の運動姿勢をフィードバックするにあたって、画像処理装置が、前記撮像画像に、運動機器を使用している使用者が取るべき推奨姿勢を表すキャラクタ画像を合成する。
【0017】
それゆえ、家庭のテレビジョン受信機を表示装置とするなどして、それに撮像装置に該画像処理装置という簡単な構成でフィードバックのシステムを実現でき、さらに該画像処理装置は予め作成された画像のスーパーインポーズなどの簡単な画像処理を行えばよく、簡単な構成で、単純に使用者の姿を映し出しただけでは得られない矯正効果を得て、高い運動効果を得ることができ、使用者の継続使用の意欲を高め、また高い商品満足度を与えることができる。
【0018】
さらにまた、本発明の運動機器システムは、以上のように、前記撮像装置および表示装置と、前記画像処理装置と、前記運動機器とを備え、前記運動機器に設けた発光装置が表示装置に向けて基準光を照射する。
【0019】
それゆえ、前記基準光が表示装置の所定位置に照射されるように運動機器と表示装置との位置関係を調整しておくことで、上述のように使用者の姿勢の矯正効果を得るにあたって、より正確な矯正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の一形態に係る運動機器システムのブロック図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係る運動姿勢矯正のための使用者へのフィードバック画面を説明するための図である。
【図3】乗馬を模した運動負荷を付与する揺動型運動機器における推奨騎乗姿勢を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の他の形態に係る運動機器システムにおける機器位置合せの様子を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の他の形態に係る運動機器システムにおける機器位置合せの様子を説明するための図である。
【図6】本発明の実施の他の形態に係る運動機器システムにおける機器位置合せの結果例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の一形態に係る運動機器システムのブロック図である。この運動機器システムは、モータを内蔵し、使用者に運動負荷を与える他動の運動機器1と、その運動機器1を使用する使用者の姿を撮像する撮像装置であるカメラ2と、その撮像画像を表示することで、使用者に自身の運動姿勢をフィードバックし、所望の運動効果を得られるようにする表示装置であるモニタ3とを備えて構成される運動機器システムに、注目すべきは、前記カメラ2からモニタ3の間に、撮像画像を処理する画像処理装置4を備えることである。
【0022】
本実施の形態では、前記運動機器1は、馬の背や鞍を模した形状で使用者が着座する座部11を揺動させることで、前記使用者に乗馬を模した運動負荷を付与する揺動型運動機器を例にしているが、他の運動機器、特に、他動の運動機器であればよい。しかしながら、揺動型運動機器は、使用者がバランスを崩し易く、無意識のうちに姿勢が変化してしまう可能性が高いので、上記のようなフィードバックが特に有効である。この揺動型運動機器は、脚台12に、前記モータを内蔵する本体13が昇降変位可能に支持され、その本体13によって前記座部11が揺動変位される。前記座部11の前方にはリング状の手綱14が設けられ、またこの座部11からは左右一対の鐙15が垂下して設けられている。
【0023】
前記画像処理装置4は、図2で示すように、前記カメラ2の撮像画像51に対して、使用者が騎乗するにあたって取るべき推奨姿勢、すなわち前記所望の運動効果を得られる姿勢を表すキャラクタ画像52を合成して、前記モニタ3に出力する。図2の例では、使用者の実際の撮像画像51は、キャラクタ画像52と区別するために、模式的に示しているが、実写画像またはそれを画像処理して得られる輪郭画像などである。図2の例では、使用者は左右にバランスを崩し、その撮像画像51も左右に傾いている。
【0024】
したがって、家庭のテレビジョン受信機を前記モニタ3とするなどして、それにカメラ2に該画像処理装置4という簡単な構成でフィードバックのシステムを実現でき、さらに該画像処理装置4は、予め作成された画像のスーパーインポーズなどの簡単な画像処理を行えばよい。そして、使用者は、モニタ3に表示される自身の撮像画像51がキャラクタ画像52に一致するように姿勢を矯正することで、簡単に前記推奨姿勢を維持することができる。こうして、簡単な構成で、単純に使用者の姿を映し出しただけでは得られない矯正効果を得て、高い運動効果を得ることができ、使用者の継続使用の意欲を高め、また高い商品満足度を与えることができる。
【0025】
前記推奨姿勢は、乗馬にあたっての基本姿勢であり、たとえば図3で示すように、座部11の一番深い部分に、左右に偏らないように跨り、太腿でしっかり座部11を挟み、顎を引いて背筋を真っ直ぐし、目線は前方を向き、肩の力を抜いて胸を張り、手綱14は軽く握り、鐙15は足裏の親指の付け根で踏む・・・というものである。このような項目の中で、カメラ2の解像度やモニタ3の大きさなどから、使用者が前記キャラクタ画像52に実際の撮像画像51から判別可能な項目を矯正することができる。
【0026】
[実施の形態2]
図4は、本発明の実施の他の形態に係る運動機器システムのブロック図である。この運動機器システムは、前述の図1で示す運動機器システムに類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。注目すべきは、本実施の形態では、運動機器1’に、前記モニタ3に向けて、該運動機器1’とモニタ3との位置関係を較正するための基準光を照射する発光装置16をさらに備えていることである。前記発光装置16は、半導体レーザなどのスポット光17を放射するものであり、前記較正は、たとえばこの図4で示すように、前記スポット光17のモニタ3上での照射領域31が、画面32の左右方向の中央で、かつ上下方向の下から1/3程度の位置となるように、運動機器1’とモニタ3との位置関係を調整することで行われる。
【0027】
その後、図5で示すように、カメラ2のパン・チルトおよびズームが調整される。ズーム調整不能の場合は、前記運動機器1’とモニタ3との距離が調整され、たとえば図6で示すように、騎乗した使用者53の膝から上が、前記画面32に大きく映り込むように調整される。
【0028】
これらの図4および図5では図示していないが、前記画像処理装置4の機能は同一である。このように運動機器1’に設けた発光装置16がモニタ3に向けて基準光17を照射し、その基準光17がモニタ3の所定位置に照射されるように該運動機器1’とモニタ3との位置関係を調整しておくことで、上述のように使用者の姿勢の矯正効果を得るにあたって、より正確な矯正を行うことができる。
【0029】
前述のようにモニタ3には通常のテレビジョン受信機などの汎用品を使用することができ、カメラ2にも、ムービーのカメラ機能や、いわゆるテレビ電話用の小型のカメラ等の汎用品を使用することができる。その場合、前記画像処理装置4を、小さなボード(部品)でそれらの間に介在させることで、上述の機能を実現することができる。一方、カメラ2を専用品とする場合には、そのカメラ2の一機能として前記画像処理装置4の機能を持たせてもよい。好ましくは、前記カメラ2にモニタ3がワイヤレス通信機能を備えている場合には、前記画像処理装置4に同様のワイヤレス通信機能を持たせ、該画像処理装置4を運動機器1,1’に搭載するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1,1’ 運動機器
2 カメラ
3 モニタ
4 画像処理装置
11 座部
12 脚台
13 本体
14 手綱
15 鐙
16 発光装置
17 スポット光
31 照射領域
32 画面
51 撮像画像
52 キャラクタ画像
53 使用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動機器を使用する使用者の姿を撮像する撮像装置と、その撮像画像を表示する表示装置との間に介在される画像処理装置であって、
前記撮像画像に対して、推奨姿勢を表すキャラクタ画像を合成して、前記表示装置に出力することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記運動機器は、使用者が着座した座部を揺動させることで、前記使用者に運動負荷を付与する揺動型運動機器であることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記撮像装置および表示装置と、前記請求項1または2記載の画像処理装置と、前記運動機器とを備えることを特徴とする運動機器システム。
【請求項4】
前記運動機器には、前記表示装置に向けて、該運動機器と表示装置との位置関係を較正するための基準光を照射する発光装置をさらに備えることを特徴とする請求項3記載の運動機器システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate