説明

画像処理装置およびシート送り出し機構

【課題】 ピックアップローラと独立して用紙押し付け部材の進退機構を必要とすることのないようなシート送り出し機構および画像処理装置を提供する。
【解決手段】 第一ガイド面12と第二ガイド面13との間にシートを積層状態に収容するホッパ4と、ホッパ4内のシートを送出するための送出路21と、ホッパ4内のシートを送出路へ送りだすピックアップ機構15とを備え、ピックアップ機構15には、回動可能に設けられたピックアップレバー18と、ピックアップレバー18に回動可能に支持されるとともに、第一のガイド面12側からホッパ4に臨ませて設けられたピックアップローラ19と、ピックアップローラ19の少なくとも一部が第一のガイド面12からホッパ4内部へ出没可能となるようにピックアップレバー18を旋回させる駆動機構とが備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小切手等のシートへの画像形成、および、シート上の画像の読み取りの少なくとも一方を行うための画像処理装置に係り、特に、積層したシートを画像処理のため送り出すためのシート送り出し機構に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像処理装置に用いられるシート送り出し機構としては、特許文献1に示すものが知られている。特許文献1のシート送り出し機構では、互いに平行配置された第一のガイド面と第二のガイド面との間が、積層状態のシートを起立した状態で挿入するためのホッパとして形成されるとともに、第一のガイド面側にピックアップローラが設けられ、第二のガイド面側に用紙押し付け部材が進退自在に設けられる。シートを画像処理のためにホッパから送り出す際には、第二のガイド面側から用紙押し付け部材が第一のガイド面側に突出して、ホッパ内部のシートをピックアップローラに対して押し付ける。この状態でピックアップローラが駆動されることにより、シートが分離されて送出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−184777
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示すようなシート送り出し機構を構成するためには、ピックアップローラとは別に、用紙押し付け部材をシートのピックアップタイミングに合わせて進退自在とするための機構が必要となり、複雑な構造が必要となるとともに、こうした構造を設けるためのスペースが装置内において必要となっていた。
【0005】
こうした問題点に鑑みて、本発明では、ピックアップローラと独立して用紙押し付け部材の進退機構を必要としないようなシート送り出し機構およびそれを用いた画像処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明は以下のような適用例として実現することができる。
【0007】
(適用例1) シートへの画像形成、および、シート上の画像の読み取りの少なくとも一方を行うための画像処理装置であって、第一ガイド面と第二ガイド面とを有し、前記第一および第二ガイド面の間に前記シートを積層状態に収容するシート収容部と、前記シート収容部内の前記シートを送出するための送出路と、前記シート収容部内の前記シートを前記送出路へ送り出すピックアップ機構と、を備え、前記ピックアップ機構は、回動可能に設けられたピックアップレバーと、前記ピックアップレバーに回動可能に支持されるとともに、前記第一のガイド面側から前記シート収容部に臨ませて設けられたピックアップローラと、前記ピックアップローラの少なくとも一部が前記第一のガイド面から前記シート収容部の内部へ出没可能となるように前記ピックアップレバーを旋回させる駆動機構とを備えている。
こうした構成により、ピックアップローラを備えたピックアップレバーがシート収容部に進出することにより、シート収容部内のシートと当接してシートを分離・送出することができる。
【0008】
(適用例2) 適用例1の画像処理装置であって、前記駆動機構は、駆動モータと、前記ピックアップローラが前記第一のガイド面から突出する方向に前記ピックアップレバーを付勢する付勢手段とを備え、前記ピックアップレバーは、前記駆動モータの回転力により、前記付勢手段による付勢力に逆らって前記シート収容部内から前記第一のガイド面側に退避する。
このような構成により、ピックアップレバーの移動に関しては、シート収容部から退避させる際にのみ、駆動モータによる駆動力を供給すればよいこととなる。
【0009】
(適用例3) 適用例2の画像処理装置であって、前記ピックアップローラは、前記駆動モータにより回転駆動される。
このような構成により、ピックアップレバーの駆動源を用いて、ピックアップローラを駆動することができる。
【0010】
(適用例4) 適用例2または3の画像処理装置であって、前記ピックアップレバーには、旋回軸が設けられ、前記駆動機構は、前記駆動モータと前記ピックアップローラおよび前記旋回軸とを接続する伝達機構を備え、前記伝達機構は、前記駆動モータが正回転するときに前記駆動モータの回転力を前記ピックアップローラに伝達しつつ、該回転力の前記旋回軸への伝達を規制し、前記駆動モータが逆回転するときに、該駆動モータの回転力を前記旋回軸へ伝達する、ワンウェイクラッチ機構を備えている。
このような構成により、シートのピックアップ時には、ピックアップローラを移動させつつ付勢手段によりピックアップレバーをシート収容部に進出させ、それ以外の場合には、旋回軸を駆動してピックアップレバーをシート収容部から退避させることができる。
【0011】
(適用例5) 適用例1から4のいずれかの画像処理装置であって、前記送出路に面して設けられて前記シートを搬送するための搬送ローラをさらに備え、前記ピックアップ機構と前記搬送ローラは、ともに前記シート収容部の前記第一のガイド面側に設けられている。
こうした構成により、シート搬送に伴い駆動される部分をともに第一のガイド面側に配置することができる。
【0012】
(適用例6) 適用例5の画像処理装置であって、前記搬送ローラは、前記駆動機構により回転駆動される。
こうした構成により、ピックアップ機構と搬送ローラとを同一の駆動源により駆動することができる。
【0013】
(適用例7) 第一のガイド面と第二のガイド面との間にシートを収容するホッパに対して設けられ、該ホッパからシートを送り出すためのシート送り出し機構であって、 前記第一のガイド面側から前記第二のガイド面側に向けて突出することにより前記ホッパ内のシートに圧接可能とされたピックアップローラと、前記ピックアップローラを、前記ホッパからみて前記第一のガイド面の外側へ格納する格納機構と、前記格納機構を駆動するとともに、前記ピックアップローラへ回転力を供給する駆動部と、を備えている。
こうした構成により、ホッパの外側にピックアップローラを退避させるための駆動源とピックアップローラ自体を回動させるための駆動源とを共通とすることができる。
【0014】
(適用例8) 適用例7のシート送り出し機構であって、前記格納機構は、前記ピックアップローラを回動可能に支持するピックアップレバーと、前記駆動部から第一の方向の回転力を伝達して、前記ピックアップローラが前記第一のガイド面の外側へ格納されるように前記ピックアップレバーを旋回させるとともに、前記駆動部から前記第一の方向と逆方向の第二の方向の回転力を伝達して前記ピックアップローラを回転させるギア機構と、を備えている。
こうした構成により、駆動部からの回転力により、ピックアップレバーを旋回させて、ピックアップレバーを第一のガイドメ面の外側に格納することができる。また、ピックアップレバーを格納しない場合には、駆動部の伝達力によりピックアップローラを回転駆動することができる。
【0015】
(適用例9) 適用例8のシート送り出し機構であって、前記ギア機構は、前記第一の方向の相対回転を規制し前記第二の方向の相対回転を許容するワンウェイクラッチを備えている。
こうした構成により、一般の部品を用いてギア機構を簡単に構成することができる。
【0016】
(適用例10) 適用例8または9のシート送り出し機構であって、前記格納機構は、前記ピックアップローラが前記第一のガイド面側から前記第二のガイド面側に向けて突出するように前記ピックアップレバーを付勢する付勢手段を備えている。
こうした構成により、ピックアップレバーを格納しないときには、付勢手段によりピックアップレバーをホッパ内部に突出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る小切手処理装置を示す外観斜視図である。
【図2】図1に示した小切手処理装置の内部の平面図である。
【図3】図2に示した小切手処理装置におけるシート給送構造に係る部分の平面図である。
【図4】図3に示したシート送り出し機構の斜視図である。
【図5】図4に示したシート送り出し機構をV−V線に沿って見た場合の斜視断面図である。
【図6】図5に示したピックアップ機構の斜視図である。
【図7】図6に示したピックアップ機構における駆動機構を分離して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る小切手処理装置(画像処理装置)1の外観斜視図である。小切手処理装置1は、装置本体2に対して、小切手等のシート3を起立した状態で積層収容するホッパ(シート収容部)4と、ホッパ4から送出されたシート3を搬送する搬送路5と、搬送路5に沿って搬送されるシート3に対して画像印刷、データの読み取り、あるいはスキャニング等を行う処理部6と、処理部6における処理が終了し、搬送路5を通じて排出されたシート3等を搬送路5から受けるための排出部7とが設けられた構成とされている。
【0019】
図2は、小切手処理装置1の装置本体2の内部を示す平面図である。これらの図に示すように、装置本体2のうち、ホッパ4が設けられた部分の周囲は、シート3を搬送路5に送り出すためのシート給送構造10として形成されている。
【0020】
シート給送構造10は、互いに略平行に配置された第一のガイド面12と第二のガイド面13との間にホッパ4が形成されるとともに、ホッパ4内部に収納されたシート3を分離するためのピックアップ機構(シート送り出し機構)15と、分離されたシート3を搬送路5へ送り出すためのフィードローラ(搬送ローラ)16およびリタードローラ17とを備えた構成とされている。
【0021】
図3はシート給送構造10を拡大して示した平面図であり、図4は図3中IV方向からシート給送構造10を見た際の斜視図である。これらの図中に示すように、ピックアップ機構15は、ピックアップレバー18と、ピックアップレバー18に支持されたピックアップローラ19とを備えた構成となっている。
【0022】
ピックアップレバー18は旋回軸18aを中心に回動可能となるようにシート給送構造10から支持されている。またピックアップローラ19はピックアップレバー18の先端部18bにおいて回動可能に支持されており、かつ第一のガイド面12に設けられた開口部12aを通じてホッパ4内部に臨むように取り付けられている。
【0023】
また、ピックアップレバー18とシート給送構造10との間には、押さえバネ(付勢手段)20が設けられている。押さえバネ20はその一端20aがシート給送構造10に取り付けられるとともに、他端20bがピックアップレバー18に設けられたリブ18cに取り付けられている。押さえバネ20の弾性力がリブ18cに作用することにより、ピックアップレバー18は旋回軸18aを中心に旋回して、ピックアップローラ19が第一のガイド面12の開口部12aから第二のガイド面13側に突出するように、付勢される。
【0024】
ホッパ4は、搬送路5側の端部の幅寸法が徐々に縮小するよう構成とされ、搬送路5側の先端はホッパ4内のシート3を搬送路5に送出するための送出路21として形成されている。フィードローラ16およびリタードローラ17は、送出路21を挟んで互いに圧接するように設けられている。なお、フィードローラ16は、ホッパ4から見て第一のガイド面12側、すなわちピックアップ機構15と同じ側に設けられる。
【0025】
図5は、シート給送構造10を図4中V−V線に沿って見た場合の斜視断面図である。図5中に示すように、シート給送構造10の底板23の下方には、ピックアップ機構15およびフィードローラ16を駆動するための駆動機構24が設けられている。駆動機構24は、駆動源となるモータ(駆動モータ、駆動部)26と、モータ26の回転力をピックアップローラ19に伝達するための伝達機構27とを有している。伝達機構27はモータ26の回転軸26aに接続された第一のギア29と、第一のギア29に接続された第二のギア30と、第二のギア30に接続された第三のギア31と、第三のギア31に同軸に接続されたワンウェイクラッチ機構32と、ワンウェイクラッチ機構32に接続された第四のギア33と、第四のギア33に接続されるとともに、ピックアップローラ19の回転軸19aにその回転軸34aが同軸に接続された第五のギア34とを備えて構成されている。また、ワンウェイクラッチ機構32は、第六のギア36および第七のギア37とも接続され、第七のギア37は、フィードローラ16と同軸に接続されている。
【0026】
図6は、シート給送構造10における、底板23と、第一のガイド面12と、駆動機構24を含めたピックアップ機構15との位置関係を示す図であり、図7は、図6に示した駆動機構24の構造を他の構造から分離して示した斜視図である。
【0027】
これらの図中に示すように、ワンウェイクラッチ機構32はギア部32aと回動軸32bとを備えており、ギア部32aが第三のギア31と一体化されるとともに、回動軸32bがピックアップレバー18の旋回軸18aに接続されている。ワンウェイクラッチ機構32は、ギア部32aが回動軸32bに対して所定方向(図7中A方向)に相対回転することを許容し、所定方向と逆方向(図7中B方向)に相対回転することを規制する。
【0028】
また、第四のギア33および第五のギア34はピックアップレバー18により支持されており、ピックアップレバー18が旋回する際には、ピックアップレバー18とともに移動する。このため、図6に示すように、底板23には、ピックアップローラ19の回転軸19a(第四のギアの回転軸34a)と第四のギア33の回転軸33aの移動を許容するための長孔39、40がそれぞれ設けられている。
【0029】
また、ワンウェイクラッチ機構32のギア部32aは、第六のギア36および第七のギア37を介してフィードローラ16に対して接続されているので、ギア部32aとフィードローラ16とは同方向に回転するようになっている。
【0030】
なお、モータ26は図示しない制御部に接続されており、制御部からの制御に基づき、所定のタイミングで、その回転方向を正回転(図7中R2)および逆回転(図7中R1)に切り替え制御することが可能な構成とされている。
【0031】
次に、上述の小切手処理装置1におけるシート送り出し機構(ピックアップ機構)15の動作について説明する。
上述したように、ピックアップ機構15のピックアップレバー18は、押さえバネ20によってピックアップローラ19がホッパ4の内部に突出する方向に付勢されているので、駆動機構24を駆動しない状態においては、図2に示すように、ピックアップレバー18が旋回してピックアップローラ19がホッパ4の内部に突出した状態となっている。
【0032】
小切手処理装置1に電源を投入し、モータ26が駆動されると、まず、モータ26は、図7におけるR1方向に回転駆動される。R1方向のモータ26の回転力は第一のギア29、第二のギア30、第三のギア31を介してワンウェイクラッチ機構32のギア部32aに対して伝達されるが、ワンウェイクラッチ機構32は、ギア部32aが回動軸32bに対して図7中B方向に相対移動しないように形成されているので、第三のギア31がR1方向に回動している際には、回動軸32bも同方向(B方向)に回転することとなる。これにより回動軸32bに接続されたピックアップレバー18の旋回軸18aもB方向に回動することとなる。
【0033】
旋回軸18aがB方向に回動することにより、ピックアップレバー18も旋回し、これに伴い、ピックアップレバー18の先端部18bに設けられたピックアップローラ19は、図7中C方向に移動されることとなる。こうして、ピックアップローラ19は、第一のガイド面12に設けられた開口部12aを通じて、ホッパ4からみて第一のガイド面12の外側の位置に格納されることとなる。
【0034】
ホッパ4内に収納されたシート3に何らかの画像処理を行う際には、図示しない制御部からの制御信号に基づき、モータ26が、図7中R1方向とは反対方向のR2方向に回転駆動される。この場合、モータ26のR2方向の回転力は、第一のギア29、第二のギア30、第三のギア31を介してワンウェイクラッチ機構32のギア部32aに対して伝達されるが、ワンウェイクラッチ機構32は、ギア部32aの回動軸32bに対する図7中A方向の相対移動を許容するように構成されているため、ギア部32aは回動軸32bに拘束されることなく、図7中A方向に回動する。これにより、ワンウェイクラッチ機構32のギア部32aに係合する第四のギア33および第五のギア34も図中R2方向に回動することとなり、さらに、第五のギア34に同軸に接続されたピックアップローラ19も図7中R2方向に回転する。
【0035】
一方、この状態において、ギア部32aは、回動軸32bと関係なく回動しているために、回動軸32bに接続されたピックアップレバー18の旋回軸18aは、モータ26からの回転力に影響を受けない。したがって、ピックアップレバー18のリブ18cに接続された押さえバネ20による付勢力により、ピックアップレバー18は図7中D方向に移動する。その結果、ピックアップレバー18の先端部18bに取り付けられたピックアップローラ19が、第一のガイド面12の開口部12aを通じてホッパ4の内部に突出し、ホッパ4に収容されたシート3に対して当接することとなる。このとき、ピックアップローラ19は図7中R2方向に回動しているため、ピックアップローラ19に当接したシート3は、ピックアップローラ19により搬送されて、送出路21を通じフィードローラ16が設けられている位置にまで供給される。
【0036】
また、この際、フィードローラ16も、第六のギア36、第七のギア37を介してワンウェイクラッチ機構32のギア部32aに接続されることにより、ギア部32aおよびピックアップローラ19と同方向に回転するようになっているため、送出路21に送られたシート3は、フィードローラ16によりさらに搬送路5に搬送され、処理部6に送られて画像処理が施される。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態の小切手処理装置1においては、ピックアップローラ19を備えたピックアップレバー18がホッパ4の内部に進出して、ホッパ4の内部のシート3と当接し、シート3を分離することができる。これにより、従来と異なり、ピックアップローラとは別に、用紙押し付け部材をシートのピックアップタイミングに合わせて進退させる機構を設ける必要がなく、装置の構造の簡略化を図るとともに、装置内のスペースを有効活用して装置の小型化を図ることが可能となる。
【0038】
さらに、ピックアップレバー18が、モータ26の回転力により、押さえバネ20による付勢力に逆らって、ホッパ4内から第一のガイド面12側に退避する構成となっているので、ピックアップレバー18の移動に際しては、ホッパ4から退避させるときにのみ、モータ26による駆動力を供給すればよいこととなる。これにより、ピックアップローラ19をホッパ4内部に突出させる際には、モータ26の駆動力をピックアップレバー18の移動に利用する必要がなく、モータ26の駆動力を有効活用することができる。
【0039】
この場合、特に、ピックアップローラ19もモータ26により回転駆動される構成となっているので、ピックアップレバー18を格納しない際のモータ26の駆動力を有効活用することが可能となる。また、この際、ピックアップレバー18の格納とピックアップローラ19の回動とのタイミングが重ならないので、モータ26の負荷が過大となることがない。
【0040】
また、駆動機構24に、モータ26とピックアップローラ19および旋回軸18aとを接続する伝達機構27が備えられ、伝達機構27に備えられたワンウェイクラッチ機構32が、モータ26が正回転(R2方向に回転)するときにモータ26の回転力をピックアップローラ19に伝達しつつ、回転力の旋回軸18aへの伝達を規制し、モータ26が逆回転(R1方向に回転)するときにモータ26の回転力を旋回軸18aへ伝達するように動作するので、シート3のピックアップ時には、ピックアップローラ19を移動させつつ、押さえバネ20によりピックアップローラ19をホッパ4に進出させ、それ以外の場合には、旋回軸18aを駆動してピックアップレバー18をホッパ4から退避させることができる。このように、ワンウェイクラッチ機構32を用いることにより、ピックアップ機構15を少ない部品点数で簡易な構造により実現することができる。
【0041】
また、ピックアップ機構15とフィードローラ16とは、ともにホッパ4から見て第一のガイド面12側に設けられている。この場合、フィードローラ16は、駆動機構24により駆動される構成となっているので、シート搬送に伴い駆動される部分をともに第一のガイド面12側に配置することが可能となり、これにより駆動力の伝達機構27を納まりよく配置することができる。また、このように、ホッパ4の外側にピックアップローラ19を退避させるための駆動源とピックアップローラ19自体を回動させるための駆動源とを共通としたので、これらを駆動するのに別々のモータ等を設ける必要がなく、部品点数および製造コストの削減を図ることができる。
【0042】
また、ピックアップレバー18と押さえバネ20と伝達機構27とによりピックアップローラ19の格納機構を構成し、さらに、伝達機構27を、第一から第五のギア29,30,31,33および34とワンウェイクラッチ機構32とを用いて構成するようにしたので、一般の部品を用いてピックアップローラ19の格納機構を構成することができる。特に、ピックアップレバー18をホッパ4内部に突出させるために、押さえバネ20を用いたため、簡易な構成を実現できる。
【0043】
以上において本発明の一実施の形態を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で、他の構成を採用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1…小切手処理装置(画像処理装置)、3…シート、4… ホッパ(シート収容部)、5…搬送路、12…第一のガイド面、13…第二のガイド面、15…ピックアップ機構(シート送り出し機構)、16…フィードローラ搬送ローラ、17…リタードローラ、18…ピックアップレバー、18a…旋回軸、19…ピックアップローラ、20…押さえバネ(付勢手段)、21…送出路、24…駆動機構、26…モータ(駆動モータ、駆動部)、27…伝達機構(ギア機構)、32…ワンウェイクラッチ機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートへの画像形成、および、シート上の画像の読み取りの少なくとも一方を行うための画像処理装置であって、
第一ガイド面と第二ガイド面とを有し、前記第一および第二ガイド面の間に前記シートを積層状態に収容するシート収容部と、
前記シート収容部内の前記シートを送出するための送出路と、
前記シート収容部内の前記シートを前記送出路へ送り出すピックアップ機構と、を備え、
前記ピックアップ機構は、回動可能に設けられたピックアップレバーと、前記ピックアップレバーに回動可能に支持されるとともに、前記第一のガイド面側から前記シート収容部に臨ませて設けられたピックアップローラと、前記ピックアップローラの少なくとも一部が前記第一のガイド面から前記シート収容部の内部へ出没可能となるように前記ピックアップレバーを旋回させる駆動機構とを備えた、画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理装置であって、
前記駆動機構は、駆動モータと、前記ピックアップローラが前記第一のガイド面から突出する方向に前記ピックアップレバーを付勢する付勢手段とを備え、
前記ピックアップレバーは、前記駆動モータの回転力により、前記付勢手段による付勢力に逆らって前記シート収容部内から前記第一のガイド面側に退避することを特徴とする、画像処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像処理装置であって、
前記ピックアップローラは、前記駆動モータにより回転駆動されることを特徴とする、画像処理装置。
【請求項4】
請求項2または3記載の画像処理装置であって、
前記ピックアップレバーには、旋回軸が設けられ、
前記駆動機構は、前記駆動モータと前記ピックアップローラおよび前記旋回軸とを接続する伝達機構を備え、
前記伝達機構は、前記駆動モータが正回転するときに前記駆動モータの回転力を前記ピックアップローラに伝達しつつ、該回転力の前記旋回軸への伝達を規制し、前記駆動モータが逆回転するときに、該駆動モータの回転力を前記旋回軸へ伝達する、ワンウェイクラッチ機構を備えていることを特徴とする、画像処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記送出路に面して設けられて前記シートを搬送するための搬送ローラをさらに備え、
前記ピックアップ機構と前記搬送ローラは、ともに前記シート収容部の前記第一のガイド面側に設けられていることを特徴とする、画像処理装置。
【請求項6】
請求項5記載の画像処理装置であって、
前記搬送ローラは、前記駆動機構により回転駆動されることを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
第一のガイド面と第二のガイド面との間にシートを収容するホッパに対して設けられ、該ホッパからシートを送り出すためのシート送り出し機構であって、
前記第一のガイド面側から前記第二のガイド面側に向けて突出することにより前記ホッパ内のシートに圧接可能とされたピックアップローラと、
前記ピックアップローラを、前記ホッパからみて前記第一のガイド面の外側へ格納する格納機構と、
前記格納機構を駆動するとともに、前記ピックアップローラへ回転力を供給する駆動部と、を備えたシート送り出し機構。
【請求項8】
請求項7記載のシート送り出し機構であって、
前記格納機構は、前記ピックアップローラを回動可能に支持するピックアップレバーと、
前記駆動部から第一の方向の回転力を伝達して、前記ピックアップローラが前記第一のガイド面の外側へ格納されるように前記ピックアップレバーを旋回させるとともに、前記駆動部から前記第一の方向と逆方向の第二の方向の回転力を伝達して前記ピックアップローラを回転させるギア機構と、を備えていることを特徴とするシート送り出し機構。
【請求項9】
請求項8記載のシート送り出し機構であって、
前記ギア機構は、前記第一の方向の相対回転を規制し前記第二の方向の相対回転を許容するワンウェイクラッチを備えていることを特徴とするシート送り出し機構。
【請求項10】
請求項8または9記載のシート送り出し機構であって、
前記格納機構は、前記ピックアップローラが前記第一のガイド面側から前記第二のガイド面側に向けて突出するように前記ピックアップレバーを付勢する付勢手段を備えていることを特徴とするシート送り出し機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−197130(P2012−197130A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60894(P2011−60894)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】