画像処理装置および画像処理方法
【課題】複数の対象物の大きさを比較できる表示画像を生成する技術を提供する。
【解決手段】ハードディスクドライブ50は、対象物の画像データと寸法データとを対応付けた画像ファイルを複数保持している。モード設定部142は、対象物画像を寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示する所定比表示モードを設定する。拡大/縮小率決定部148は、対象物画像が表示部上において寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示されるように、表示画像の拡大率または縮小率を決定する。画像サイズ調整部150は、画像を拡大または縮小し、表示画像生成部152は、対象物画像を含む表示画像を生成する。
【解決手段】ハードディスクドライブ50は、対象物の画像データと寸法データとを対応付けた画像ファイルを複数保持している。モード設定部142は、対象物画像を寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示する所定比表示モードを設定する。拡大/縮小率決定部148は、対象物画像が表示部上において寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示されるように、表示画像の拡大率または縮小率を決定する。画像サイズ調整部150は、画像を拡大または縮小し、表示画像生成部152は、対象物画像を含む表示画像を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像をディスプレイなどの表示部に表示する画像処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品画像を実サイズで表示するシステムが提案されている(たとえば特許文献1参照)。このシステムでは、まず送信側で、商品の撮像画面を送る際に撮像面での実サイズ情報Xを計測し、商品となる物体の撮像出力とともに、実サイズ情報Xを付加して送信する。受信側では、ディスプレイのサイズ情報Yと、送られてきた実サイズ情報Xとから、実サイズとなる拡大又は縮小率R(=X/Y)を算出して、再生画面を拡大又は縮小表示する。この技術によると、実サイズと同じ大きさで商品をディスプレイに表示できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−199358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるように、実サイズと同じ大きさでディスプレイに商品を表示することは、商品のリアルな大きさをユーザに認識させることができるため、商品に対する関心を高められる。このとき、様々な対象物のリアルな大きさを比較できる仕組みが構築できれば、ユーザは、大きさだけでなく、複数の対象物の相対的な大きさも認識できるようになる。
【0005】
そこで本発明は、複数の対象物の大きさを比較できる表示画像を生成する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の画像処理装置は、画像を表示部に表示する画像処理装置に関し、複数の対象物の画像データと、各対象物の寸法データとを保持する記憶装置と、対象物画像を表示部に表示する表示画像処理部とを備える。表示画像処理部は、対象物画像を寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示する所定比表示モードを設定するモード設定部と、対象物画像が表示部上において寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示されるように、表示画像の拡大率または縮小率を決定する決定部と、画像を拡大または縮小する画像サイズ調整部と、対象物画像を含む表示画像を生成する表示画像生成部とを有し、画像サイズ調整部は、所定比表示モードにおいて、表示画像生成部により時間的に連続して生成される表示画像に含まれる対象物画像、または表示画像生成部により生成される1つの表示画像に含まれる複数の対象物画像を、各対象物の寸法データで指定されるサイズに対して所定比となるサイズに拡大または縮小する。
【0007】
本発明の別の態様は、画像処理方法に関し、対象物画像を寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示する所定比表示モードを設定するステップと、対象物画像が表示部上において寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示されるように、表示画像の拡大率または縮小率を決定するステップと、画像を拡大または縮小するステップと、対象物画像を含む表示画像を生成するステップとを備える。画像を拡大または縮小するステップは、所定比表示モードにおいて、表示画像生成ステップにより時間的に連続して表示される表示画像に含まれる対象物画像、または表示画像生成ステップにより表示される1つの表示画像に含まれる複数の対象物画像を、各対象物の寸法データで指定されるサイズに対して所定比となるサイズに拡大または縮小する。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、ユーザに、複数の対象物の大きさを比較できる表示画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例にかかる画像処理システムの使用環境を示す図である。
【図2】入力装置の外観構成を示す図である。
【図3】画像処理装置の機能ブロック図を示す図である。
【図4】画像処理装置における制御部の構成を示す図である。
【図5】人を含む画像ファイルの一例を示す図である。
【図6】寸法データが割り当てられる対象物画像の領域を示す図である。
【図7】寸法データが割り当てられる対象物画像の領域の別の例を示す図である。
【図8】図5に示す画像ファイルを表示装置のディスプレイに表示したときの初期画面例を示す図である。
【図9】人画像を含む画像ファイルの一例を示す図である。
【図10】人画像を含む画像ファイルの一例を示す図である。
【図11】子供が赤ちゃんの頃の画像を示す図である。
【図12】子供が小学生の頃の画像を示す図である。
【図13】子供が成人したときの画像を示す図である。
【図14】複数の対象物画像を並べた表示画像の一例を示す図である。
【図15】本実施例における画像処理のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の実施例にかかる画像処理システム1の使用環境を示す。画像処理システム1は、入力装置20と、画像処理ソフトウェアを実行する画像処理装置10と、画像処理装置10による処理結果を出力する表示装置12とを備える。図示していないが、画像処理装置10は、ルータを介してインターネットなどの外部のネットワークに接続してもよい。ネットワークには、対象物の画像データと寸法データとを対応付けた画像ファイルを保持する提供サーバが接続されており、画像処理装置10は、複数の画像ファイルを提供サーバよりダウンロードして取得できる。なお画像処理装置10は、ROM媒体などから複数の画像ファイルを取得してもよい。また、画像処理装置10は、既に記録している画像データに、ユーザに寸法データを記録させることで、画像データと寸法データとを対応付けた画像ファイルを生成してもよい。
【0012】
画像処理装置10は、たとえばゲーム装置であって、画像処理用のアプリケーションプログラムをロードすることで画像処理機能を実現する。なお画像処理装置10は、パーソナルコンピュータであってもよく、画像処理用のアプリケーションプログラムをロードすることで画像処理機能を実現してもよい。
【0013】
表示装置12は、画像を出力するディスプレイおよび音声を出力するスピーカを備えたテレビであってよい。表示装置12は、画像処理装置10に有線ケーブルで接続されてよく、また無線LAN(Local Area Network)などで無線接続されてもよい。なおディスプレイは、画像を表示する表示部の一例であり、他の例として、表示部は、プロジェクタおよびプロジェクタからの映像を投影するスクリーンで構成されてもよい。
【0014】
本実施例の画像処理装置10は、寸法データを設定された対象物画像を、寸法データで指定されるサイズに対して所定比となるサイズで表示装置12に表示する機能をもつ。たとえば寸法データは、対象物の実寸法を指定し、画像処理装置10は、対象物画像を実寸比1分の1(1:1)で生成する。このとき表示装置12のディスプレイには、対象物が実寸法で表示される。そのため部屋の壁面に設置される表示装置12は、大きなディスプレイサイズを有していることが好ましい。なお、ディスプレイの縦幅は2m程度あることが好ましいが、ディスプレイの縦幅は、これに限定するものではなく、2mより小さくてもよい。
【0015】
画像処理装置10は、ユーザから入力装置20に入力される要求に応じて、表示装置12のディスプレイに表示する画像の拡大/縮小処理や、上下左右方向への移動処理など、表示画像を変更する処理を行う。ユーザが、ディスプレイに表示された画像を見ながら入力装置20を操作すると、入力装置20が、表示画像の変更要求を画像処理装置10に送信する。
【0016】
画像ファイルには、後述する所定比表示モードにおいて、対象物画像を表示装置12に表示する際に基準となる寸法データが記録されている。なお、寸法データは、画像データに埋め込まれていてもよいが、対象物の画像データにおける対象物画像の座標値と寸法データとを対応付けた対応データが、画像データとは別個に用意されていてもよい。この対応データは、たとえばユーザが入力することで生成されてもよいが、対象物が俳優や漫画のキャラクタである場合には、インターネットなどから寸法データを取得して、対象物画像の座標値と寸法データとが対応付けられてもよい。この場合、画像データと対応データとを合わせて画像ファイルと呼ぶ。
【0017】
寸法データは、高さ方向または横方向のいずれかの長さで定義されてよい。画像処理装置10は、対象物画像の実物大表示の要求を受け付けると、ディスプレイ上において寸法データで指定される大きさとなるように対象物画像のサイズを調整して、表示画像を生成する。これにより、ユーザは、対象物の実物大画像を、ディスプレイ上で見ることができる。
【0018】
ユーザが、好きな俳優の画像ファイルを収集している場合、表示装置12のディスプレイに等身大の俳優の画像を表示させることができる。またユーザが子供の成長をデジタルカメラで記録している場合に、それぞれの画像データに子供の身長を対応付けることで、撮影時の子供の身長をディスプレイ上に再現でき、たとえば産まれたときから現在までの写真を時間的に切り替えて表示すると、子供が次第に大きくなっていく過程を見ることができる。
【0019】
このように本実施例では、対象物画像に対して実寸法を予め設定しておき、各対象物画像を実寸法で表示して、ユーザに対象物の大きさを実感させることのできる画像処理装置10を提供する。このとき、画像処理装置10は、時間的に連続して異なる対象物画像を実物大表示し、または、異なる対象物画像を1つの表示画像上で実物大表示することで、ユーザが、対象物画像同士の大きさの比較をできるようにする。なお、以下では人を表示する場合を例に説明するが、たとえば画像処理装置10は、絵画や彫刻などの美術品の画像を実物大表示するものであってもよく、また商品カタログに含まれる商品画像を実物大表示するものであってもよい。また本実施例では、対象物の実物大表示を前提に説明するが、たとえば対象物を実物大に対して所定の拡大率または縮小率で表示してもよい。
【0020】
図2は、入力装置20の外観構成を示す。入力装置20は、ユーザが操作可能な操作手段として、十字キー21、アナログスティック27a、27bと、4種の操作ボタン26を備える。4種の操作ボタン26は、○ボタン22、×ボタン23、□ボタン24および△ボタン25から構成される。
【0021】
画像処理システム1において、入力装置20の操作手段には、表示画像の拡大/縮小要求、および上下左右方向へのスクロール要求を入力するための機能が割り当てられる。たとえば、表示画像の拡大/縮小要求の入力機能は、右側のアナログスティック27bに割り当てられる。ユーザはアナログスティック27bを手前に引くことで、表示画像の縮小要求を入力でき、また手前から押すことで、表示画像の拡大要求を入力できる。また、表示画像のスクロール要求の入力機能は、左側のアナログスティック27aに割り当てられる。ユーザはアナログスティック27aを上下左右に倒すことで、倒した方向のスクロール要求を入力できる。このようにアナログスティック27a、27bは、表示画像を連続的にスクロールさせ、また連続的に拡大/縮小するために用いられる。
【0022】
本実施例においては、対象物画像に、ディスプレイに表示する際の寸法データが予め設定されており、入力装置20の操作手段には、指定した対象物画像を実物大表示させる要求を入力するための機能が割り当てられる。たとえば、□ボタン24に、対象物を実物大表示させる要求を入力するための機能が割り当てられてよい。1つの画像ファイルには、1つの対象物の画像データおよび寸法データが含まれており、□ボタン24が押下されると、表示モードが、対象物画像を寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示する所定比表示モードに設定され、対象物画像が実寸大表示されるようになる。
【0023】
入力装置20は、入力された要求を画像処理装置10に伝送する機能をもち、本実施例では画像処理装置10との間で無線通信可能に構成される。入力装置20と画像処理装置10は、Bluetooth(ブルートゥース)(登録商標)プロトコルやIEEE802.11プロトコルなどを用いて無線接続を確立してもよい。なお入力装置20は、画像処理装置10とケーブルを介して接続して、入力要求を画像処理装置10に伝送してもよい。
【0024】
図3は、画像処理装置10の機能ブロック図を示す。画像処理装置10は、無線インタフェース40、スイッチ42、表示処理部44、ハードディスクドライブ50、記録媒体装着部52、ディスクドライブ54、メインメモリ60、バッファメモリ70および制御部100を有して構成される。表示処理部44は、表示装置12のディスプレイに表示するデータをバッファするフレームメモリを有する。
【0025】
スイッチ42は、イーサネットスイッチ(イーサネットは登録商標)であって、外部の機器と有線または無線で接続して、データの送受信を行うデバイスである。スイッチ42は、ルータを介してネットワークに接続し、提供サーバから複数の画像ファイルを受信してもよい。またスイッチ42は無線インタフェース40に接続し、無線インタフェース40は、所定の無線通信プロトコルで入力装置20と接続する。入力装置20においてユーザから入力された要求は、無線インタフェース40、スイッチ42を経由して、制御部100に供給される。
【0026】
ハードディスクドライブ50は、データを記憶する補助記憶装置として機能する。スイッチ42を介して受信された複数の画像ファイルは、ハードディスクドライブ50に格納されてもよい。表示処理の実行時、ハードディスクドライブ50に格納された画像ファイルは、メインメモリ60に読み出される。記録媒体装着部52は、メモリカードなどのリムーバブル記録媒体が装着されると、リムーバブル記録媒体からデータを読み出す。ディスクドライブ54は、読出専用のROMディスクが装着されると、ROMディスクを駆動して認識し、データを読み出す。ROMディスクは、光ディスクや光磁気ディスクなどであってよい。複数の画像ファイルは、メモリカードやROMディスクから、ハードディスクドライブ50にインストールされてもよい。
【0027】
制御部100は、マルチコアCPUを備え、1つのCPUの中に1つの汎用的なプロセッサコアと、複数のシンプルなプロセッサコアを有する。汎用プロセッサコアはPPU(Power Processing Unit)と呼ばれ、残りのプロセッサコアはSPU(Synergistic-Processing Unit)と呼ばれる。
【0028】
制御部100は、メインメモリ60およびバッファメモリ70に接続するメモリコントローラを備える。PPUはレジスタを有し、演算実行主体としてメインプロセッサを備えて、実行するアプリケーションにおける基本処理単位としてのタスクを各SPUに効率的に割り当てる。なお、PPU自身がタスクを実行してもよい。SPUはレジスタを有し、演算実行主体としてのサブプロセッサとローカルな記憶領域としてのローカルメモリを備える。ローカルメモリは、バッファメモリ70として使用されてもよい。メインメモリ60およびバッファメモリ70は記憶装置であり、RAM(ランダムアクセスメモリ)として構成される。SPUは制御ユニットとして専用のDMA(Direct Memory Access)コントローラをもち、メインメモリ60とバッファメモリ70の間のデータ転送を高速に行うことができ、また表示処理部44におけるフレームメモリとバッファメモリ70の間で高速なデータ転送を実現できる。本実施例の制御部100は、複数のSPUを並列動作させることで、高速な画像処理機能を実現する。表示処理部44は、表示装置12に接続されて、後述する表示画像生成部により生成された表示画像をディスプレイに出力する。
【0029】
図4は、画像処理装置10における制御部100の構成を示す。制御部100は、入力信号処理部120、ディスプレイ解像度導出部130および表示画像処理部140を備える。入力信号処理部120は、要求取得部122およびモード指定受付部124を有する。表示画像処理部140は、モード設定部142、画像ファイル取得部144、画像切取部146、拡大/縮小率決定部148、画像サイズ調整部150、表示画像生成部152および通知部154を有する。入力信号処理部120は、ユーザからの入力要求を受け付け、表示処理に必要な情報を表示画像処理部140に供給する。
【0030】
図4において、さまざまな処理を行う機能ブロックとして記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、その他のLSIで構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。既述したように、制御部100は1つのPPUと複数のSPUとを有し、PPUおよびSPUがそれぞれ単独または協同して、各機能ブロックを構成できる。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
【0031】
ハードディスクドライブ50は、対象物の画像データと寸法データとを対応付けた画像ファイルを複数保持している。既述したように、複数の画像ファイルは、ネットワーク経由で提供サーバより取得されてもよく、またROM媒体などから提供されてもよい。写真データなどに寸法データを埋め込むことで、画像ファイルが生成されてもよく、写真データと寸法データが別個のデータとしてハードディスクドライブ50に保持されていてもよい。以下では、表示する対象物が人間である場合について説明するが、表示対象物は、自分が飼っているペットであってもよく、また身長などの見た目の身体的特徴が公表されているアニメのキャラクタなどであってもよい。
【0032】
本実施例の画像処理装置10において、ユーザは、表示装置12のディスプレイに表示された画像を、入力装置20を操作することで拡大、縮小することができる。このように画像処理装置10は、ユーザが表示画像を自由に拡大、縮小できる「自由表示モード」を設定でき、自由表示モードにおいては、ユーザが、対象物画像を自分の好きな拡大率または縮小率でディスプレイに表示することができる。
【0033】
さらに画像処理装置10は、対象物画像を寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示する「所定比表示モード」を設定できる。所定比表示モードにおいては、ユーザが、対象物画像を含んだ画像ファイルを選択してディスプレイに表示させ、所定のボタン(□ボタン24)を押下すると、画像ファイルに含まれる対象物画像が寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示される。所定比表示モードにおいては、以後、画像ファイルが選択されると、対象物画像が指定サイズに対して所定比で表示されるようになる。本実施例において、寸法データで指定されるサイズは実寸法であるため、所定比を1:1に設定すると、対象物画像がディスプレイに実寸大で表示されることになる。なお、所定比を2分の1(2:1)に設定すれば、対象物画像はディスプレイに1/2スケールで表示される。
【0034】
所定比表示モードにおいて、ユーザは、画像ファイルを逐一選択することで、表示画像を切り替えてもよいが、表示する画像ファイルの順番が予め定められていてもよい。複数の画像ファイルの表示順序が定められている場合において、ユーザは、所定の操作ボタン(たとえば、△ボタン25)を押下すると、画像ファイルが順番にしたがって選択され、各画像ファイルに含まれる対象物画像が寸法データに対して所定比となるように拡大または縮小されて、ディスプレイに表示される。なお、各対象物画像の表示時間が、たとえば10秒などの所定値に設定されて、10秒ごとに対象物画像が自動で切り替えられるようにされてもよい。所定比表示モードにおいては、ユーザが実寸大表示に対する拡大率または縮小率を予め登録しておき、所定比を1:1に登録しておくことで、連続表示される一連の画像に含まれる対象物画像が、実寸大表示されるようになる。
【0035】
図5は、人を含む画像ファイルの一例を示す。この画像ファイルは、デジタルカメラで撮像され、撮影後に人の画像データに寸法データを対応付けて生成されたものである。この画像ファイルのXY座標は、左上隅を(0,0)、左下隅を(0,1)、右上隅を(1,0)、右下隅を(1,1)とする。寸法データは、横方向(X軸)の大きさで表現されてもよく、また縦方向(Y軸)の大きさで表現されてもよい。そのため、寸法データの方向が特定できるように、寸法データには、横方向のものであるか、または縦方向のものであるかを指定する情報が含まれる。
【0036】
人の見た目の大きさは身長で表現されるため、本実施例の画像処理装置10では、寸法データが縦方向の大きさで表現される。なお身長は、人が直立しているときの大きさを表現するものであり、たとえば人が椅子に座って、直立していない場合には、身長ではなく、椅子に座っている人の足下から頭までの高さを示す寸法データが設定される。また、寝そべったりするなど、横になっている人画像の寸法データは、横方向の長さで表現されてもよい。
【0037】
図6は、寸法データが割り当てられる対象物画像の領域を示す。領域200は、人の寸法データが割り当てられる人画像の領域である。領域200は、人画像を囲む矩形領域として設定され、4隅の座標(x1,y1)、(x1,y2)、(x2,y1)、(x2,y2)で特定される。領域200には、人の寸法データ(たとえば180cm)が対応付けられている。画像ファイルのデータ構造は、画像データ、対象物画像の座標情報および寸法データを含んで構成される。領域200は、既存の画像処理技術により設定されてよく、具体的には背景から人画像を抽出して、人画像を囲む4辺を導出することで設定される。なお領域200は、ユーザがポインタなどを操作して設定してもよい。寸法データは、画像データに埋め込まれていてもよいが、画像データとは別に、対象物画像の寸法データを、対象物画像を囲む矩形領域を特定する座標情報に対応付けて記録したファイルが用意されてもよい。
【0038】
図7は、寸法データが割り当てられる対象物画像の領域の別の例を示す。領域202は、人の寸法データが割り当てられる人画像の領域である。領域202は、人画像の輪郭線で閉じた領域として設定される。領域202は、既存の画像処理技術により設定されてよく、背景から人画像を抽出することで導出されればよい。領域202には、人の寸法データ(180cm)が対応付けられている。なお、以下では理解を容易にするために、図6に示すように対象物画像の矩形領域を設定した例に基づいて説明する。
【0039】
図8は、図5に示す画像ファイルを表示装置12のディスプレイに表示したときの初期画面例を示す。この初期画面例では、図5に示す画像データの縦方向長さを、ディスプレイの縦幅に合わせて、画像データの拡大率が自動調整されている。なお、図5に示す画像データを拡大せずに、初期画面が構成されてもよい。以下では、1つの画像ファイルに、1つの対象物画像が含まれている場合を例にとる。
【0040】
初期画面が表示された状態では、表示モードは、自由表示モードに設定されている。ユーザは、アナログスティック27bを手前に引くと、表示画像の縮小要求を入力でき、また手前から押すことで、表示画像の拡大要求を入力できる。図4を参照して、要求取得部122が縮小要求を受け付けると、拡大/縮小率決定部148は、操作量に応じた縮小率を決定して、画像サイズ調整部150が、決定された縮小率に基づいて表示画像のサイズを縮小する。一方、要求取得部122が拡大要求を受け付けると、拡大/縮小率決定部148は、操作量に応じた拡大率を決定して、画像サイズ調整部150が、決定された拡大率に基づいて表示画像のサイズを拡大する。自由表示モードにおいて拡大/縮小率決定部148は、表示されている画像に対して縮小率または拡大率を決定する。
【0041】
ユーザがアナログスティック27bを手前から押し続ける場合には、要求取得部122が拡大要求を連続して受け付け、拡大/縮小率決定部148は、拡大率を次第に大きくすることで、画像サイズ調整部150が、表示画像のサイズを連続的に拡大する。表示画像生成部152は、画像サイズ調整部150により縮小または拡大された表示画像を生成し、表示処理部44から表示装置12に出力する。このように、自由表示モードにおいて、ユーザは、入力装置20を操作することで、表示画像を自由に縮小または拡大することができる。またユーザはアナログスティック27aを上下左右に倒すことで、倒した方向のスクロール要求を入力できる。なお、自由表示モードにおいて、表示画像が、寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示された場合には、たとえば、所定比で表示されていることを示すメッセージを出したり、音を出力するなどして、ユーザに所定比で表示されていることを示す演出が行われてもよい。
【0042】
自由表示モードが設定されている状態で、ユーザが、所定のボタン、たとえば□ボタン24を押下すると、モード指定受付部124は、所定比表示モードの設定指示を受け付ける。□ボタン24は、モードの切り替え指示を入力するためのボタンとして利用され、□ボタン24を押下すると、モード指定受付部124が、モードの切替指示を受け付けて、モード設定部142に供給する。モード設定部142は、自由表示モードと所定比表示モードとを切り替え制御を行い、自由表示モードが設定されている状態で切替指示を供給されると、表示モードを、所定比表示モードに設定する。
【0043】
所定比表示モードにおいて、拡大/縮小率決定部148は、対象物画像がディスプレイ上において寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示されるように、表示画像の拡大率または縮小率を決定する。所定比は、1:1に設定されているものとする。なお所定比表示モードにおいて、拡大率は、画像ファイルに含まれる画像データを、そのまま(拡大縮小することなく)ディスプレイに表示したときの表示画像(オリジナル画像)を1倍以上に拡大するときの比を意味し、また縮小率は、オリジナル画像を1倍以下に拡大するときの比を意味する。このように、所定比表示モードにおいて、拡大率および縮小率は、ともに、オリジナル画像のサイズに対する比を表現するため、以下では、説明の便宜上、拡大率および縮小率を統一して、「拡大率」と呼ぶこともある。
【0044】
拡大/縮小率決定部148は、画像ファイルに含まれる対象物画像の寸法データを取得する。ここでは、拡大/縮小率決定部148が、人画像の寸法データ(180cm)を取得する。拡大/縮小率決定部148は、対象物画像がディスプレイ上において寸法データで指定される大きさとなるように、拡大率を決定する。拡大/縮小率決定部148は、ディスプレイの解像度をもとに、対象物画像の拡大率を決定する。
【0045】
ディスプレイサイズ保持部132は、ディスプレイのサイズを保持する。ディスプレイサイズは、ディスプレイの対角線の長さおよびアスペクト比で定義されてもよい。アスペクト比は、横と縦の画素数または長さの比であり、たとえば、SDTV用のディスプレイのアスペクト比は4:3、HDTV用のディスプレイは16:9である。コンピュータディスプレイのアスペクト比は4:3、5:4などのタイプがある。ディスプレイサイズは、たとえば画像処理装置10に表示装置12を接続したときに、ユーザにより入力されてもよい。なお、ディスプレイサイズは、ディスプレイの対角線の長さではなく、ディスプレイの縦および横の長さであってもよい。なお、本実施例のディスプレイは、縦幅が2m程度ある大型のディスプレイも含んでいる。またディスプレイサイズは、縦および横の画素数の情報も含んでいる。
【0046】
ディスプレイ解像度導出部130は、ディスプレイサイズ保持部132に保持されたディスプレイサイズから、ディスプレイ解像度を導出する。ディスプレイ解像度は、画素密度であって、単位長さ当たりの画素数で定義されてもよい。ディスプレイ解像度の代表的な単位はdpi(ドットパーインチ)であるが、これに限るものではない。
【0047】
具体的にディスプレイ解像度導出部130は、ディスプレイサイズから、ディスプレイの縦および横の長さを導出する。たとえばディスプレイサイズとして、ディスプレイ対角線の長さと、アスペクト比が保持されている場合、ディスプレイ解像度導出部130は、それらの情報を用いて縦および横の長さをそれぞれ導出できる。さらにディスプレイサイズとして、縦および横の画素数が保持されているため、縦方向と横方向のディスプレイ解像度(画素密度)がそれぞれ導出される。
【0048】
まずディスプレイ解像度導出部130は、対角線の長さとアスペクト比から、縦幅L、横幅Wを導出する。ここで縦画素数がPL、横画素数がWLであれば、縦方向のディスプレイ解像度がPL/L、横方向のディスプレイ解像度がWL/Lであることが導出される。なお各ディスプレイ解像度の単位はdpiとする。
【0049】
ディスプレイ解像度保持部134は、ディスプレイ解像度導出部130により導出されたディスプレイの縦方向および横方向の解像度を保持する。なおディスプレイ解像度が既知である場合は、ディスプレイ解像度導出部130が上記した演算により算出する必要はなく、ディスプレイ解像度保持部134は、既知の解像度を保持すればよい。
【0050】
ディスプレイサイズ保持部132およびディスプレイ解像度保持部134は、ハードディスクドライブ50に形成された格納領域であってよい。なお表示装置12がHDMI機器である場合は、画像処理装置10が表示装置12に問い合わせることで、表示装置12がディスプレイサイズおよび縦横の画素数を画像処理装置10に知らせてもよい。
【0051】
拡大/縮小率決定部148は、対象物画像の寸法データと、ディスプレイの解像度をもとに、対象物画像の拡大率を決定する。自由表示モードにおいて拡大/縮小率決定部148は、表示されている画像に対して拡大率(または縮小率)を決定していたが、所定比表示モードにおいては、拡大/縮小率決定部148が、オリジナル画像データに対して、拡大率を決定する。
【0052】
まず拡大/縮小率決定部148は、身長180cmの人画像を実物大表示するために必要な縦方向の画素数LEPを導出する。
LEP=(1cm当たりの画素数)×実寸法
=PL/(L×2.54)×180cm
(1インチ=2.54cm)
【0053】
続いて拡大/縮小率決定部148は、図6を参照して、画像ファイルに含まれる画像データを展開したときの縦方向の画素数を導出する。図6において、対象物画像の縦方向の幅は(y2−y1)であり、拡大/縮小率決定部148は、この対象物画像データを、拡大縮小なしに表示するときに使用する画素数を導出する。この画素数がPSであるとする。オリジナル画像をディスプレイ上で180cmとなるように表示するときの縦方向の拡大率EFは、
EF=(実物大表示時の縦方向画素数/オリジナル画像における人画像の縦方向画素数)
=LEP/PS
となる。ここでは、縦方向の拡大率EFを求めたが、縦方向のディスプレイ解像度PL/L、横方向のディスプレイ解像度WL/Lが同じであれば、横方向についても同じ拡大率EFが適用される。
【0054】
このように拡大/縮小率決定部148は、対象物画像の縦方向および横方向の拡大率EFを決定する。なお、拡大率が一辺の2乗で表現される場合には、拡大率はEFの2乗となる。以上のようにして、拡大/縮小率決定部148は、対象物画像が寸法データで指定されるサイズに対して所定比(1:1)でディスプレイ上に表示される表示画像の拡大率を決定する。
【0055】
画像サイズ調整部150は、拡大/縮小率決定部148により決定された拡大率で、画像を拡大または縮小する。表示画像生成部152は、画像サイズ調整部150により拡大または縮小された画像データを受け取り、対象物画像を含む表示画像を生成する。これにより、図1に示されるように、対象物画像を実寸大にサイズ調整した表示画像がディスプレイに示されるようになる。
【0056】
画像ファイル取得部144は、ハードディスクドライブ50に保持される複数の画像ファイルから、表示する画像ファイルを選択する機能をもつ。画像ファイル取得部144は、予め定められた表示順序にしたがって画像ファイルを選択し、この表示順序は、ユーザにより指定されたものであってよい。なお画像ファイル取得部144は、画像ファイルの属性、たとえばファイル生成日などにもとづいて、表示順序を特定してもよい。本実施例の画像処理装置10は、所定比表示モードにおいて、複数の画像ファイルに含まれる対象物画像を、時間的に連続して表示する機能を有しており、画像ファイル取得部144は、表示する画像ファイルを、ユーザの選択操作なく、自動的に選択する。なお画像ファイル取得部144が選択するタイミングは、ユーザのボタン操作をトリガにしてもよい。
【0057】
以下、画像ファイル取得部144が、子供の成長記録を表現するために、赤ちゃんの画像ファイルから成人の画像ファイルまで、順次選択する例を説明する。なお、この表示順序は、ユーザにより設定されている。
【0058】
図9は、人画像を含む画像ファイルの一例を示す。この画像ファイルには、赤ちゃんの頃の画像が含まれている。領域204は、人の寸法データが割り当てられる人画像の領域であり、4隅の座標(x3,y3)、(x3,y4)、(x4,y3)、(x4,y4)で特定される。領域204には、人の寸法データ(たとえば55cm)が対応付けられている。画像ファイルのデータ構造は、画像データ、対象物画像の座標情報および寸法データを含んで構成される。
【0059】
図10は、人画像を含む画像ファイルの一例を示す。この画像ファイルには、小学生の頃の画像が含まれている。領域206は、人の寸法データが割り当てられる人画像の領域であり、4隅の座標(x5,y5)、(x5,y6)、(x6,y5)、(x6,y6)で特定される。領域206には、人の寸法データ(たとえば100cm)が対応付けられている。画像ファイルのデータ構造は、画像データ、対象物画像の座標情報および寸法データを含んで構成される。
【0060】
画像ファイル取得部144は、図9に示す画像ファイル、図10に示す画像ファイル、図5に示す画像ファイルを、この順に選択する。まず、画像ファイル取得部144が、図9に示す画像ファイルを選択し、その画像ファイルを取得する。拡大/縮小率決定部148は、対象物画像の寸法データ(55cm)と、ディスプレイの解像度をもとに、対象物画像の拡大率を決定する。画像サイズ調整部150は、拡大/縮小率決定部148により決定された拡大率で、画像を拡大または縮小する。表示画像生成部152は、画像サイズ調整部150により拡大または縮小された画像データを受け取り、対象物画像を含む表示画像を生成する。表示処理部44は、生成された表示画像を、表示装置12のディスプレイに表示する。
【0061】
図11は、子供が赤ちゃんの頃の画像を示す。拡大/縮小率決定部148および画像サイズ調整部150による処理の結果、ディスプレイには、赤ちゃんの画像が、高さ方向に55cmに調整されて表示される。なお、画像ファイルに、メタ情報が含まれている場合には、そのメタ情報が表示されてもよい。たとえば表示画像生成部152は、対象物画像の周辺に、寸法を表示してもよい。またメタ情報に、写真の撮影日が含まれている場合には、その撮影日が表示されてもよい。さらに、メタ情報に、ユーザが入力されたコメントが含まれている場合には、そのコメントが表示されてもよい。メタ情報は、対象物画像と重ならない位置に表示されることが好ましい。
【0062】
ここでユーザが△ボタン25を押下すると、画像ファイル取得部144が、表示順序にしたがって、図10に示す画像ファイルを選択し、その画像ファイルを取得する。
【0063】
拡大/縮小率決定部148は、対象物画像の寸法データ(100cm)と、ディスプレイの解像度をもとに、対象物画像の拡大率を決定する。画像サイズ調整部150は、拡大/縮小率決定部148により決定された拡大率で、画像を拡大または縮小する。表示画像生成部152は、画像サイズ調整部150により拡大または縮小された画像データを受け取り、対象物画像を含む表示画像を生成する。表示処理部44は、生成された表示画像を、表示装置12のディスプレイに表示する。
【0064】
図12は、子供が小学生の頃の画像を示す。拡大/縮小率決定部148および画像サイズ調整部150による処理の結果、ディスプレイには、小学生の頃の画像が、高さ方向に100cmに調整されて表示される。
【0065】
ここでユーザが△ボタン25を押下すると、画像ファイル取得部144が、表示順序にしたがって、図5に示す画像ファイルを選択し、その画像ファイルを取得する。
【0066】
拡大/縮小率決定部148は、対象物画像の寸法データ(180cm)と、ディスプレイの解像度をもとに、対象物画像の拡大率を決定する。画像サイズ調整部150は、拡大/縮小率決定部148により決定された拡大率で、画像を拡大または縮小する。表示画像生成部152は、画像サイズ調整部150により拡大または縮小された画像データを受け取り、対象物画像を含む表示画像を生成する。表示処理部44は、生成された表示画像を、表示装置12のディスプレイに表示する。
【0067】
図13は、子供が成人したときの画像を示す。拡大/縮小率決定部148および画像サイズ調整部150による処理の結果、ディスプレイには、成人したときの画像が、高さ方向に180cmに調整されて表示される。
【0068】
以上のように、画像サイズ調整部150は、表示画像生成部152により時間的に連続して表示される表示画像に含まれる対象物画像を、各対象物の寸法データで指定されるサイズに対して所定比となるサイズに拡大または縮小する。これにより、図11、図12、図13に示すように、子供が成長していく過程を連続してディスプレイに実寸大で表示することができ、ユーザは、子供の大きさを比較できるようになる。
【0069】
なお、表示画像生成部152は、連続して表示画像を生成する場合に、ディスプレイ上における対象物画像の位置を揃えることが好ましい。表示画像生成部152は、所定比表示モードの開始時に生成した対象物画像のディスプレイ上の位置を記憶しておき、次に表示画像を生成する際に、対象物画像の位置を、前回表示した対象物画像の位置に合わせて設定する。具体的に、表示画像生成部152は、最初に表示する対象物画像の横方向の中心位置を記憶しておき、次回以降表示する対象物画像の横方向の中心位置を、記憶した中心位置に合わせるようにする。なお、表示画像生成部152は、最初に表示する対象物画像の縦方向の最下位置も記憶しておき、次回以降表示する対象物画像の縦方向の最下位置を、記憶した最下位置に合わせることが好ましい。対象物画像の中心位置および最下位置は、図5や図6に示す対象物画像の領域を基準として導出される。これにより、ユーザは、目線を動かさずに、連続表示される対象物画像を見ることができるとともに、最下位置を揃えることで、対象物画像の大きさを容易に比較することができる。
【0070】
なお、この例では、最下位置を記憶しておくこととしたが、表示画像生成部152は、寸法データが縦方向のものである場合に、最下位置を記憶し、一方で、寸法データが横方向のものである場合には、最初に表示する対象物画像の最左位置(ないしは最右位置)を記憶しておく。これにより、表示画像生成部152は、連続表示する対象物画像の基準位置を揃えることができる。なお、表示画像生成部152は、メタ情報もあわせて表示する場合には、設定した最下位置または最左位置を基準として、メタ情報の表示位置を定める。たとえば、最下位置を設定している場合には、その最下位置よりも下方にメタ情報を表示し、最左位置を設定している場合には、その最左位置よりも左方にメタ情報を表示する。このように、メタ情報の表示位置を設定することで、メタ情報が対象物画像に重ならないように表示することができる。
【0071】
なお表示画像生成部152が、画像サイズ調整部150により拡大された対象物画像の全体がディスプレイに表示できないことを判定したとき、通知部154は、所定のメッセージをディスプレイに表示する。このメッセージは、たとえば「等身大表示すると画面からはみ出します。それでも等身大表示しますか?」という警告であってよい。なお、表示画像生成部152は、記憶している最下位置に対象物画像の最下位置を合わせたとき、対象物画像の一部がディスプレイからはみ出すことを認識すると、対象物画像を、ディスプレイの下端までずらすように位置を調整する。それでも、対象物画像の全体がディスプレイに表示できないことを判定したときに、通知部154が所定のメッセージをディスプレイに表示するようにしてもよい。なお、対象物画像をディスプレイの下端までずらしたときに対象物画像の全体をディスプレイに含められるか否かは、単純に、ディスプレイサイズの幅と、寸法データとを比較することで判定されてもよい。
【0072】
また表示画像生成部152は、画像サイズ調整部150により対象物画像を寸法データで指定されるサイズに対して所定比となるサイズに拡大または縮小された画像データを受け取り、表示画像を生成するが、そのとき、ディスプレイに余白領域が生じることがある。なお余白領域とは、ディスプレイの画素数に対して画像データ量が不足し、表示データが存在しない領域を意味する。表示画像生成部152は、ディスプレイに余白領域が生じることを判定すると、余白領域を所定のカラー(たとえばブラック)で埋めてもよいが、画像ファイル取得部144に、別の画像ファイルを取得することを指示してもよい。
【0073】
画像ファイル取得部144は、表示画像生成部152から指示を受けると、予め定められた表示順序にしたがって、画像ファイルを選択して取得する。取得された画像ファイルは、拡大/縮小率決定部148および画像サイズ調整部150により拡大または縮小されて、表示画像生成部152に渡される。表示画像生成部152は、複数の画像ファイルから取得される対象物画像を、1つの表示画像に含めるようにしてもよい。このとき画像切取部146が、画像データから、対象物画像の領域を切り出し、表示画像生成部152が、切り出された対象物画像を、1つの表示画像上に並べてもよい。このとき画像切取部146は、画像ファイルに設定されている図5や図6に示す対象物画像の領域を切り出し、表示画像生成部152が、切り出された複数の対象物画像を、1つの表示画像に並べて配置する。なお、それでも余白領域が存在する場合には、余白領域を所定のカラーで埋めてもよい。
【0074】
図14は、複数の対象物画像を並べた表示画像の一例を示す。表示画像生成部152は、複数の画像ファイルに含まれる対象物画像を並べて、それぞれ実寸大表示する表示画像を生成する。このように、1つの画像ファイルで表示画像を生成すると余白領域が生じる場合には、別の画像ファイルから対象物画像を抽出して、複数の対象物画像を並べることで、ユーザは、一つの画像を、複数の対象物画像の大小比較をすることができ、この例では、ユーザが、子供の成長過程を1つの画像で見ることができる。
【0075】
表示画像生成部152は、表示する対象物画像の数に応じて、対象物画像間の間隔を設定する。対象物画像の間隔は、一様であることが好ましい。画像切取部146が、対象物画像の領域を切り出し、表示画像生成部152が、切り出された対象物画像を配置することで、対象物画像の間隔を一様に設定でき、ユーザが見やすい表示画像を生成することが可能となる。
【0076】
なお表示画像生成部152は、表示する対象物画像の縦方向の最下位置を揃えるようにする。最下位置を揃えることで、ユーザは、対象物画像の大きさを容易に比較することができる。なお、既述したように、表示画像生成部152は、寸法データが縦方向のものである場合に、最下位置を設定し、一方で、寸法データが横方向のものである場合には、最初に表示する対象物画像の最左位置(ないしは最右位置)を設定する。表示画像生成部152は、寸法データが縦方向で表現される対象物は横方向に複数並べ、一方で、寸法データが横方向で表現される対象物は縦方向に複数並べるため、寸法データが縦方向であるか、または横方向であるかに応じて、表示画像生成部152は、複数の対象物画像を並べる際の基準となる位置を定めることが好ましい。
【0077】
なお、表示画像生成部152は、メタ情報もあわせて表示する場合には、設定した最下位置または最左位置を基準として、メタ情報の表示位置を定める。たとえば、最下位置を設定している場合には、その最下位置よりも下方にメタ情報を表示し、最左位置を設定している場合には、その最左位置よりも左方にメタ情報を表示する。このように、メタ情報の表示位置を設定することで、メタ情報が対象物画像に重ならないように表示することができる。
【0078】
なお、ここでは、画像ファイル取得部144が画像ファイルを選択する順に、表示画像生成部152が、左から対象物画像を並べて表示画像を生成している。なお表示画像生成部152は、対象物画像を、たとえば身長順に並べ替えてもよく、図14に示す3つの対象物画像を、寸法データを参照して、右から身長の低い順に並べて表示画像を生成してもよい。
【0079】
なお、表示画像生成部152は、余白領域が生じている場合に、画像ファイル取得部144に対して、上記した例とは異なる画像ファイルを取得することを指示してもよい。たとえば、ディスプレイにユーザ自身の姿を等身大表示させている場合、表示画像生成部152が、余白領域に、衣服などの着せ替え用のファッションアイテムを、並べて配置してもよい。余白領域に配置されるファッションアイテムは、拡大/縮小率決定部148および画像サイズ調整部150により実寸大表示され、ユーザが入力装置20を操作することで、等身大表示されたユーザの姿に、重ね合わせることができる。これにより、等身大の自分の姿に、気に入った衣服を自由に着せ替えできるようになる。
【0080】
図15は、本実施例における画像処理のフローチャートを示す。図15に示すフローチャートにおいては、各部の処理手順を、ステップを意味するS(Stepの頭文字)と数字との組み合わせによって表示する。なお、本明細書のフローチャートにおいて、Sと数字との組み合わせによって表示した処理で何らかの判断処理が実行され、その判断結果が肯定的であった場合は、Y(Yesの頭文字)を付加して、例えば、(S10のY)と表示し、逆にその判断結果が否定的であった場合は、N(Noの頭文字)を付加して、(S10のN)と表示する。モード設定部142が、表示モードを自由表示モードに設定していない場合(S10のN)、本フローは実行されない。
【0081】
モード設定部142が、表示モードを所定比表示モードに設定している場合(S10のY)、本フローが実行される。拡大/縮小率決定部148は、対象物画像の拡大率を決定し(S12)、画像サイズ調整部150が、決定された拡大率で対象物画像を拡大して、表示画像生成部152が表示画像を生成する(S14)。表示処理部44は、生成された表示画像をディスプレイに出力する。ここで、要求取得部122は、画像の切替要求を監視し(S16のN)、△ボタン25の押下操作を受け付けると(S16のY)、画像ファイル取得部144が、所定の表示順序にしたがって、画像ファイルを選択する(S18)。
【0082】
画像ファイル取得部144が、画像ファイルを選択して取得すると(S18のY)、拡大/縮小率決定部148は、対象物画像の拡大率を決定し(S12)、表示画像生成部152が、画像サイズ調整部150によりサイズ調整された画像データをもとに表示画像を生成する(S14)。表示処理部44は、生成された表示画像をディスプレイに出力する。一方、画像ファイル取得部144により、画像ファイルの全てがすでに選択済みであれば(S18のN)、本フローが終了する。
【0083】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0084】
本実施例においては、画像ファイルに対象物画像が1つ含まれている場合を説明したが、対象物画像は複数含まれていてもよい。複数の対象物画像に対して、それぞれ寸法データを対応付けておくことで、ユーザが、対象物を特定すると、表示画像生成部152は、特定された対象物画像を実寸大で含む表示画像を生成できる。また、複数の対象物画像を実寸大で並べて表示する場合には、画像切取部146が、各対象物画像を切り出すことで、表示画像生成部152が、複数の対象物画像を実寸大で含む1つの表示画像を生成できる。
【0085】
また実施例では、実寸大表示すると対象物画像の全体が表示されない場合に、通知部154が、所定のメッセージを通知することを説明した。拡大/縮小率決定部148、画像サイズ調整部150および/または表示画像生成部152は、画像ファイル取得部144により取得予定の画像ファイルに含まれる対象物画像が、実寸大表示したときに全体が表示されるものであるか予め調査してもよい。この調査は、ディスプレイサイズの幅と、寸法データとを比較することで行われる。この調査により、少なくとも1つの対象物画像が実寸大表示することによりディスプレイからはみ出ることが判定されると、最も大きい対象物画像がディスプレイに収まるように縮小率を決定し、拡大/縮小率決定部148は、その縮小率で、画像ファイル取得部144により取得される全ての対象物画像を縮小してもよい。なお、このとき、通知部154は、その縮小率を示す情報をディスプレイに表示し、表示画像生成部152は、その縮小率で、対象物画像を含む表示画像を生成する。これにより、全ての対象物画像の全体を表示できるとともに、各対象物画像の相対的な大きさの比較も容易になる。
【0086】
また表示画像生成部152は、表示装置12のディスプレイの床面からの設置高さの情報を有し、対象物画像を等身大表示する際に、床面からの設置高さ分の画像を、対象物画像から差し引いて、ディスプレイに表示してもよい。ディスプレイの設置高さの情報は、設置時にユーザにより登録されればよい。たとえば、ディスプレイの下端の高さが床面から30cmにある場合、表示画像生成部152は、図13に示す人画像を、足下から30cmまでは表示せず、30cmより上の対象物画像のみを表示するようにする。これにより、ユーザは、その人画像が部屋の中で立っているように実感することができる。
【0087】
また実施例では、対象物の全身が表現されている画像データについて説明したが、たとえば、上半身のみが撮影された画像データの場合もある。この場合、撮影された上半身の寸法データと、その被撮影者の身長とを特定する寸法データを用意しておくことで、表示画像生成部152は、画像データを所定比に拡大/縮小した表示画像を生成し、また被撮影者の頭頂部を、床面からディスプレイの設置高さも加味して、身長データで特定される高さに合わせて表示してもよい。これにより、全身画像ではないが、その被撮影者が部屋の中で立っているときの様子を再現できる。
【0088】
なお、表示画像生成部152は、ディスプレイの床面からの高さではなく、高度計などを用いて、ディスプレイの海抜高度の情報を有してもよい。たとえば、ディスプレイが海抜高度50mの位置に設置されている場合、巨大な対象物(たとえば、寸法100m)を表示する際に、表示画像生成部152は、対象物の足元から50mの位置から、対象物画像を表示するようにしてもよい。
【0089】
なお、実施例では、表示装置12がディスプレイである例について説明したが、既述したように、表示装置12は、プロジェクタおよびスクリーンにより構成されてもよい。プロジェクタとスクリーンの距離に応じて、スクリーンに表示される画像の大きさは変化するが、上記した技術により、寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示することができる。なお、等身大で表示する場合には、最初に、プロジェクタとスクリーンの距離を調整するか、または、拡大/縮小率決定部148により設定する拡大率をキャリブレーションにより調整すればよい。この調整は、スクリーンに投影された画像の寸法を測定し、その測定寸法と、寸法データで指定される寸法とを等しくすることで行われる。寸法の測定は、手動で行われてもよく、またはスクリーンに投影された画像の実寸法をカメラなどで撮影して測定することで行われてもよい。たとえば拡大/縮小率決定部148が拡大率をリニアに変更し、カメラで測定した測定寸法と寸法データで指定する寸法とが等しくなる拡大率を、基準拡大率として利用することで、表示画像生成部152が、スクリーン上で対象物画像を等身大で表示することが可能となる。
【符号の説明】
【0090】
1・・・画像処理システム、10・・・画像処理装置、12・・・表示装置、20・・・入力装置、50・・・ハードディスクドライブ、60・・・メインメモリ、100・・・制御部、120・・・入力信号処理部、122・・・要求取得部、124・・・モード指定受付部、130・・・ディスプレイ解像度導出部、132・・・ディスプレイサイズ保持部、134・・・ディスプレイ解像度保持部、140・・・表示画像処理部、142・・・モード設定部、144・・・画像ファイル取得部、146・・・画像切取部、148・・・拡大/縮小率決定部、150・・・画像サイズ調整部、152・・・表示画像生成部、154・・・通知部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像をディスプレイなどの表示部に表示する画像処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品画像を実サイズで表示するシステムが提案されている(たとえば特許文献1参照)。このシステムでは、まず送信側で、商品の撮像画面を送る際に撮像面での実サイズ情報Xを計測し、商品となる物体の撮像出力とともに、実サイズ情報Xを付加して送信する。受信側では、ディスプレイのサイズ情報Yと、送られてきた実サイズ情報Xとから、実サイズとなる拡大又は縮小率R(=X/Y)を算出して、再生画面を拡大又は縮小表示する。この技術によると、実サイズと同じ大きさで商品をディスプレイに表示できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−199358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるように、実サイズと同じ大きさでディスプレイに商品を表示することは、商品のリアルな大きさをユーザに認識させることができるため、商品に対する関心を高められる。このとき、様々な対象物のリアルな大きさを比較できる仕組みが構築できれば、ユーザは、大きさだけでなく、複数の対象物の相対的な大きさも認識できるようになる。
【0005】
そこで本発明は、複数の対象物の大きさを比較できる表示画像を生成する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の画像処理装置は、画像を表示部に表示する画像処理装置に関し、複数の対象物の画像データと、各対象物の寸法データとを保持する記憶装置と、対象物画像を表示部に表示する表示画像処理部とを備える。表示画像処理部は、対象物画像を寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示する所定比表示モードを設定するモード設定部と、対象物画像が表示部上において寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示されるように、表示画像の拡大率または縮小率を決定する決定部と、画像を拡大または縮小する画像サイズ調整部と、対象物画像を含む表示画像を生成する表示画像生成部とを有し、画像サイズ調整部は、所定比表示モードにおいて、表示画像生成部により時間的に連続して生成される表示画像に含まれる対象物画像、または表示画像生成部により生成される1つの表示画像に含まれる複数の対象物画像を、各対象物の寸法データで指定されるサイズに対して所定比となるサイズに拡大または縮小する。
【0007】
本発明の別の態様は、画像処理方法に関し、対象物画像を寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示する所定比表示モードを設定するステップと、対象物画像が表示部上において寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示されるように、表示画像の拡大率または縮小率を決定するステップと、画像を拡大または縮小するステップと、対象物画像を含む表示画像を生成するステップとを備える。画像を拡大または縮小するステップは、所定比表示モードにおいて、表示画像生成ステップにより時間的に連続して表示される表示画像に含まれる対象物画像、または表示画像生成ステップにより表示される1つの表示画像に含まれる複数の対象物画像を、各対象物の寸法データで指定されるサイズに対して所定比となるサイズに拡大または縮小する。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、ユーザに、複数の対象物の大きさを比較できる表示画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例にかかる画像処理システムの使用環境を示す図である。
【図2】入力装置の外観構成を示す図である。
【図3】画像処理装置の機能ブロック図を示す図である。
【図4】画像処理装置における制御部の構成を示す図である。
【図5】人を含む画像ファイルの一例を示す図である。
【図6】寸法データが割り当てられる対象物画像の領域を示す図である。
【図7】寸法データが割り当てられる対象物画像の領域の別の例を示す図である。
【図8】図5に示す画像ファイルを表示装置のディスプレイに表示したときの初期画面例を示す図である。
【図9】人画像を含む画像ファイルの一例を示す図である。
【図10】人画像を含む画像ファイルの一例を示す図である。
【図11】子供が赤ちゃんの頃の画像を示す図である。
【図12】子供が小学生の頃の画像を示す図である。
【図13】子供が成人したときの画像を示す図である。
【図14】複数の対象物画像を並べた表示画像の一例を示す図である。
【図15】本実施例における画像処理のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の実施例にかかる画像処理システム1の使用環境を示す。画像処理システム1は、入力装置20と、画像処理ソフトウェアを実行する画像処理装置10と、画像処理装置10による処理結果を出力する表示装置12とを備える。図示していないが、画像処理装置10は、ルータを介してインターネットなどの外部のネットワークに接続してもよい。ネットワークには、対象物の画像データと寸法データとを対応付けた画像ファイルを保持する提供サーバが接続されており、画像処理装置10は、複数の画像ファイルを提供サーバよりダウンロードして取得できる。なお画像処理装置10は、ROM媒体などから複数の画像ファイルを取得してもよい。また、画像処理装置10は、既に記録している画像データに、ユーザに寸法データを記録させることで、画像データと寸法データとを対応付けた画像ファイルを生成してもよい。
【0012】
画像処理装置10は、たとえばゲーム装置であって、画像処理用のアプリケーションプログラムをロードすることで画像処理機能を実現する。なお画像処理装置10は、パーソナルコンピュータであってもよく、画像処理用のアプリケーションプログラムをロードすることで画像処理機能を実現してもよい。
【0013】
表示装置12は、画像を出力するディスプレイおよび音声を出力するスピーカを備えたテレビであってよい。表示装置12は、画像処理装置10に有線ケーブルで接続されてよく、また無線LAN(Local Area Network)などで無線接続されてもよい。なおディスプレイは、画像を表示する表示部の一例であり、他の例として、表示部は、プロジェクタおよびプロジェクタからの映像を投影するスクリーンで構成されてもよい。
【0014】
本実施例の画像処理装置10は、寸法データを設定された対象物画像を、寸法データで指定されるサイズに対して所定比となるサイズで表示装置12に表示する機能をもつ。たとえば寸法データは、対象物の実寸法を指定し、画像処理装置10は、対象物画像を実寸比1分の1(1:1)で生成する。このとき表示装置12のディスプレイには、対象物が実寸法で表示される。そのため部屋の壁面に設置される表示装置12は、大きなディスプレイサイズを有していることが好ましい。なお、ディスプレイの縦幅は2m程度あることが好ましいが、ディスプレイの縦幅は、これに限定するものではなく、2mより小さくてもよい。
【0015】
画像処理装置10は、ユーザから入力装置20に入力される要求に応じて、表示装置12のディスプレイに表示する画像の拡大/縮小処理や、上下左右方向への移動処理など、表示画像を変更する処理を行う。ユーザが、ディスプレイに表示された画像を見ながら入力装置20を操作すると、入力装置20が、表示画像の変更要求を画像処理装置10に送信する。
【0016】
画像ファイルには、後述する所定比表示モードにおいて、対象物画像を表示装置12に表示する際に基準となる寸法データが記録されている。なお、寸法データは、画像データに埋め込まれていてもよいが、対象物の画像データにおける対象物画像の座標値と寸法データとを対応付けた対応データが、画像データとは別個に用意されていてもよい。この対応データは、たとえばユーザが入力することで生成されてもよいが、対象物が俳優や漫画のキャラクタである場合には、インターネットなどから寸法データを取得して、対象物画像の座標値と寸法データとが対応付けられてもよい。この場合、画像データと対応データとを合わせて画像ファイルと呼ぶ。
【0017】
寸法データは、高さ方向または横方向のいずれかの長さで定義されてよい。画像処理装置10は、対象物画像の実物大表示の要求を受け付けると、ディスプレイ上において寸法データで指定される大きさとなるように対象物画像のサイズを調整して、表示画像を生成する。これにより、ユーザは、対象物の実物大画像を、ディスプレイ上で見ることができる。
【0018】
ユーザが、好きな俳優の画像ファイルを収集している場合、表示装置12のディスプレイに等身大の俳優の画像を表示させることができる。またユーザが子供の成長をデジタルカメラで記録している場合に、それぞれの画像データに子供の身長を対応付けることで、撮影時の子供の身長をディスプレイ上に再現でき、たとえば産まれたときから現在までの写真を時間的に切り替えて表示すると、子供が次第に大きくなっていく過程を見ることができる。
【0019】
このように本実施例では、対象物画像に対して実寸法を予め設定しておき、各対象物画像を実寸法で表示して、ユーザに対象物の大きさを実感させることのできる画像処理装置10を提供する。このとき、画像処理装置10は、時間的に連続して異なる対象物画像を実物大表示し、または、異なる対象物画像を1つの表示画像上で実物大表示することで、ユーザが、対象物画像同士の大きさの比較をできるようにする。なお、以下では人を表示する場合を例に説明するが、たとえば画像処理装置10は、絵画や彫刻などの美術品の画像を実物大表示するものであってもよく、また商品カタログに含まれる商品画像を実物大表示するものであってもよい。また本実施例では、対象物の実物大表示を前提に説明するが、たとえば対象物を実物大に対して所定の拡大率または縮小率で表示してもよい。
【0020】
図2は、入力装置20の外観構成を示す。入力装置20は、ユーザが操作可能な操作手段として、十字キー21、アナログスティック27a、27bと、4種の操作ボタン26を備える。4種の操作ボタン26は、○ボタン22、×ボタン23、□ボタン24および△ボタン25から構成される。
【0021】
画像処理システム1において、入力装置20の操作手段には、表示画像の拡大/縮小要求、および上下左右方向へのスクロール要求を入力するための機能が割り当てられる。たとえば、表示画像の拡大/縮小要求の入力機能は、右側のアナログスティック27bに割り当てられる。ユーザはアナログスティック27bを手前に引くことで、表示画像の縮小要求を入力でき、また手前から押すことで、表示画像の拡大要求を入力できる。また、表示画像のスクロール要求の入力機能は、左側のアナログスティック27aに割り当てられる。ユーザはアナログスティック27aを上下左右に倒すことで、倒した方向のスクロール要求を入力できる。このようにアナログスティック27a、27bは、表示画像を連続的にスクロールさせ、また連続的に拡大/縮小するために用いられる。
【0022】
本実施例においては、対象物画像に、ディスプレイに表示する際の寸法データが予め設定されており、入力装置20の操作手段には、指定した対象物画像を実物大表示させる要求を入力するための機能が割り当てられる。たとえば、□ボタン24に、対象物を実物大表示させる要求を入力するための機能が割り当てられてよい。1つの画像ファイルには、1つの対象物の画像データおよび寸法データが含まれており、□ボタン24が押下されると、表示モードが、対象物画像を寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示する所定比表示モードに設定され、対象物画像が実寸大表示されるようになる。
【0023】
入力装置20は、入力された要求を画像処理装置10に伝送する機能をもち、本実施例では画像処理装置10との間で無線通信可能に構成される。入力装置20と画像処理装置10は、Bluetooth(ブルートゥース)(登録商標)プロトコルやIEEE802.11プロトコルなどを用いて無線接続を確立してもよい。なお入力装置20は、画像処理装置10とケーブルを介して接続して、入力要求を画像処理装置10に伝送してもよい。
【0024】
図3は、画像処理装置10の機能ブロック図を示す。画像処理装置10は、無線インタフェース40、スイッチ42、表示処理部44、ハードディスクドライブ50、記録媒体装着部52、ディスクドライブ54、メインメモリ60、バッファメモリ70および制御部100を有して構成される。表示処理部44は、表示装置12のディスプレイに表示するデータをバッファするフレームメモリを有する。
【0025】
スイッチ42は、イーサネットスイッチ(イーサネットは登録商標)であって、外部の機器と有線または無線で接続して、データの送受信を行うデバイスである。スイッチ42は、ルータを介してネットワークに接続し、提供サーバから複数の画像ファイルを受信してもよい。またスイッチ42は無線インタフェース40に接続し、無線インタフェース40は、所定の無線通信プロトコルで入力装置20と接続する。入力装置20においてユーザから入力された要求は、無線インタフェース40、スイッチ42を経由して、制御部100に供給される。
【0026】
ハードディスクドライブ50は、データを記憶する補助記憶装置として機能する。スイッチ42を介して受信された複数の画像ファイルは、ハードディスクドライブ50に格納されてもよい。表示処理の実行時、ハードディスクドライブ50に格納された画像ファイルは、メインメモリ60に読み出される。記録媒体装着部52は、メモリカードなどのリムーバブル記録媒体が装着されると、リムーバブル記録媒体からデータを読み出す。ディスクドライブ54は、読出専用のROMディスクが装着されると、ROMディスクを駆動して認識し、データを読み出す。ROMディスクは、光ディスクや光磁気ディスクなどであってよい。複数の画像ファイルは、メモリカードやROMディスクから、ハードディスクドライブ50にインストールされてもよい。
【0027】
制御部100は、マルチコアCPUを備え、1つのCPUの中に1つの汎用的なプロセッサコアと、複数のシンプルなプロセッサコアを有する。汎用プロセッサコアはPPU(Power Processing Unit)と呼ばれ、残りのプロセッサコアはSPU(Synergistic-Processing Unit)と呼ばれる。
【0028】
制御部100は、メインメモリ60およびバッファメモリ70に接続するメモリコントローラを備える。PPUはレジスタを有し、演算実行主体としてメインプロセッサを備えて、実行するアプリケーションにおける基本処理単位としてのタスクを各SPUに効率的に割り当てる。なお、PPU自身がタスクを実行してもよい。SPUはレジスタを有し、演算実行主体としてのサブプロセッサとローカルな記憶領域としてのローカルメモリを備える。ローカルメモリは、バッファメモリ70として使用されてもよい。メインメモリ60およびバッファメモリ70は記憶装置であり、RAM(ランダムアクセスメモリ)として構成される。SPUは制御ユニットとして専用のDMA(Direct Memory Access)コントローラをもち、メインメモリ60とバッファメモリ70の間のデータ転送を高速に行うことができ、また表示処理部44におけるフレームメモリとバッファメモリ70の間で高速なデータ転送を実現できる。本実施例の制御部100は、複数のSPUを並列動作させることで、高速な画像処理機能を実現する。表示処理部44は、表示装置12に接続されて、後述する表示画像生成部により生成された表示画像をディスプレイに出力する。
【0029】
図4は、画像処理装置10における制御部100の構成を示す。制御部100は、入力信号処理部120、ディスプレイ解像度導出部130および表示画像処理部140を備える。入力信号処理部120は、要求取得部122およびモード指定受付部124を有する。表示画像処理部140は、モード設定部142、画像ファイル取得部144、画像切取部146、拡大/縮小率決定部148、画像サイズ調整部150、表示画像生成部152および通知部154を有する。入力信号処理部120は、ユーザからの入力要求を受け付け、表示処理に必要な情報を表示画像処理部140に供給する。
【0030】
図4において、さまざまな処理を行う機能ブロックとして記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、その他のLSIで構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。既述したように、制御部100は1つのPPUと複数のSPUとを有し、PPUおよびSPUがそれぞれ単独または協同して、各機能ブロックを構成できる。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
【0031】
ハードディスクドライブ50は、対象物の画像データと寸法データとを対応付けた画像ファイルを複数保持している。既述したように、複数の画像ファイルは、ネットワーク経由で提供サーバより取得されてもよく、またROM媒体などから提供されてもよい。写真データなどに寸法データを埋め込むことで、画像ファイルが生成されてもよく、写真データと寸法データが別個のデータとしてハードディスクドライブ50に保持されていてもよい。以下では、表示する対象物が人間である場合について説明するが、表示対象物は、自分が飼っているペットであってもよく、また身長などの見た目の身体的特徴が公表されているアニメのキャラクタなどであってもよい。
【0032】
本実施例の画像処理装置10において、ユーザは、表示装置12のディスプレイに表示された画像を、入力装置20を操作することで拡大、縮小することができる。このように画像処理装置10は、ユーザが表示画像を自由に拡大、縮小できる「自由表示モード」を設定でき、自由表示モードにおいては、ユーザが、対象物画像を自分の好きな拡大率または縮小率でディスプレイに表示することができる。
【0033】
さらに画像処理装置10は、対象物画像を寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示する「所定比表示モード」を設定できる。所定比表示モードにおいては、ユーザが、対象物画像を含んだ画像ファイルを選択してディスプレイに表示させ、所定のボタン(□ボタン24)を押下すると、画像ファイルに含まれる対象物画像が寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示される。所定比表示モードにおいては、以後、画像ファイルが選択されると、対象物画像が指定サイズに対して所定比で表示されるようになる。本実施例において、寸法データで指定されるサイズは実寸法であるため、所定比を1:1に設定すると、対象物画像がディスプレイに実寸大で表示されることになる。なお、所定比を2分の1(2:1)に設定すれば、対象物画像はディスプレイに1/2スケールで表示される。
【0034】
所定比表示モードにおいて、ユーザは、画像ファイルを逐一選択することで、表示画像を切り替えてもよいが、表示する画像ファイルの順番が予め定められていてもよい。複数の画像ファイルの表示順序が定められている場合において、ユーザは、所定の操作ボタン(たとえば、△ボタン25)を押下すると、画像ファイルが順番にしたがって選択され、各画像ファイルに含まれる対象物画像が寸法データに対して所定比となるように拡大または縮小されて、ディスプレイに表示される。なお、各対象物画像の表示時間が、たとえば10秒などの所定値に設定されて、10秒ごとに対象物画像が自動で切り替えられるようにされてもよい。所定比表示モードにおいては、ユーザが実寸大表示に対する拡大率または縮小率を予め登録しておき、所定比を1:1に登録しておくことで、連続表示される一連の画像に含まれる対象物画像が、実寸大表示されるようになる。
【0035】
図5は、人を含む画像ファイルの一例を示す。この画像ファイルは、デジタルカメラで撮像され、撮影後に人の画像データに寸法データを対応付けて生成されたものである。この画像ファイルのXY座標は、左上隅を(0,0)、左下隅を(0,1)、右上隅を(1,0)、右下隅を(1,1)とする。寸法データは、横方向(X軸)の大きさで表現されてもよく、また縦方向(Y軸)の大きさで表現されてもよい。そのため、寸法データの方向が特定できるように、寸法データには、横方向のものであるか、または縦方向のものであるかを指定する情報が含まれる。
【0036】
人の見た目の大きさは身長で表現されるため、本実施例の画像処理装置10では、寸法データが縦方向の大きさで表現される。なお身長は、人が直立しているときの大きさを表現するものであり、たとえば人が椅子に座って、直立していない場合には、身長ではなく、椅子に座っている人の足下から頭までの高さを示す寸法データが設定される。また、寝そべったりするなど、横になっている人画像の寸法データは、横方向の長さで表現されてもよい。
【0037】
図6は、寸法データが割り当てられる対象物画像の領域を示す。領域200は、人の寸法データが割り当てられる人画像の領域である。領域200は、人画像を囲む矩形領域として設定され、4隅の座標(x1,y1)、(x1,y2)、(x2,y1)、(x2,y2)で特定される。領域200には、人の寸法データ(たとえば180cm)が対応付けられている。画像ファイルのデータ構造は、画像データ、対象物画像の座標情報および寸法データを含んで構成される。領域200は、既存の画像処理技術により設定されてよく、具体的には背景から人画像を抽出して、人画像を囲む4辺を導出することで設定される。なお領域200は、ユーザがポインタなどを操作して設定してもよい。寸法データは、画像データに埋め込まれていてもよいが、画像データとは別に、対象物画像の寸法データを、対象物画像を囲む矩形領域を特定する座標情報に対応付けて記録したファイルが用意されてもよい。
【0038】
図7は、寸法データが割り当てられる対象物画像の領域の別の例を示す。領域202は、人の寸法データが割り当てられる人画像の領域である。領域202は、人画像の輪郭線で閉じた領域として設定される。領域202は、既存の画像処理技術により設定されてよく、背景から人画像を抽出することで導出されればよい。領域202には、人の寸法データ(180cm)が対応付けられている。なお、以下では理解を容易にするために、図6に示すように対象物画像の矩形領域を設定した例に基づいて説明する。
【0039】
図8は、図5に示す画像ファイルを表示装置12のディスプレイに表示したときの初期画面例を示す。この初期画面例では、図5に示す画像データの縦方向長さを、ディスプレイの縦幅に合わせて、画像データの拡大率が自動調整されている。なお、図5に示す画像データを拡大せずに、初期画面が構成されてもよい。以下では、1つの画像ファイルに、1つの対象物画像が含まれている場合を例にとる。
【0040】
初期画面が表示された状態では、表示モードは、自由表示モードに設定されている。ユーザは、アナログスティック27bを手前に引くと、表示画像の縮小要求を入力でき、また手前から押すことで、表示画像の拡大要求を入力できる。図4を参照して、要求取得部122が縮小要求を受け付けると、拡大/縮小率決定部148は、操作量に応じた縮小率を決定して、画像サイズ調整部150が、決定された縮小率に基づいて表示画像のサイズを縮小する。一方、要求取得部122が拡大要求を受け付けると、拡大/縮小率決定部148は、操作量に応じた拡大率を決定して、画像サイズ調整部150が、決定された拡大率に基づいて表示画像のサイズを拡大する。自由表示モードにおいて拡大/縮小率決定部148は、表示されている画像に対して縮小率または拡大率を決定する。
【0041】
ユーザがアナログスティック27bを手前から押し続ける場合には、要求取得部122が拡大要求を連続して受け付け、拡大/縮小率決定部148は、拡大率を次第に大きくすることで、画像サイズ調整部150が、表示画像のサイズを連続的に拡大する。表示画像生成部152は、画像サイズ調整部150により縮小または拡大された表示画像を生成し、表示処理部44から表示装置12に出力する。このように、自由表示モードにおいて、ユーザは、入力装置20を操作することで、表示画像を自由に縮小または拡大することができる。またユーザはアナログスティック27aを上下左右に倒すことで、倒した方向のスクロール要求を入力できる。なお、自由表示モードにおいて、表示画像が、寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示された場合には、たとえば、所定比で表示されていることを示すメッセージを出したり、音を出力するなどして、ユーザに所定比で表示されていることを示す演出が行われてもよい。
【0042】
自由表示モードが設定されている状態で、ユーザが、所定のボタン、たとえば□ボタン24を押下すると、モード指定受付部124は、所定比表示モードの設定指示を受け付ける。□ボタン24は、モードの切り替え指示を入力するためのボタンとして利用され、□ボタン24を押下すると、モード指定受付部124が、モードの切替指示を受け付けて、モード設定部142に供給する。モード設定部142は、自由表示モードと所定比表示モードとを切り替え制御を行い、自由表示モードが設定されている状態で切替指示を供給されると、表示モードを、所定比表示モードに設定する。
【0043】
所定比表示モードにおいて、拡大/縮小率決定部148は、対象物画像がディスプレイ上において寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示されるように、表示画像の拡大率または縮小率を決定する。所定比は、1:1に設定されているものとする。なお所定比表示モードにおいて、拡大率は、画像ファイルに含まれる画像データを、そのまま(拡大縮小することなく)ディスプレイに表示したときの表示画像(オリジナル画像)を1倍以上に拡大するときの比を意味し、また縮小率は、オリジナル画像を1倍以下に拡大するときの比を意味する。このように、所定比表示モードにおいて、拡大率および縮小率は、ともに、オリジナル画像のサイズに対する比を表現するため、以下では、説明の便宜上、拡大率および縮小率を統一して、「拡大率」と呼ぶこともある。
【0044】
拡大/縮小率決定部148は、画像ファイルに含まれる対象物画像の寸法データを取得する。ここでは、拡大/縮小率決定部148が、人画像の寸法データ(180cm)を取得する。拡大/縮小率決定部148は、対象物画像がディスプレイ上において寸法データで指定される大きさとなるように、拡大率を決定する。拡大/縮小率決定部148は、ディスプレイの解像度をもとに、対象物画像の拡大率を決定する。
【0045】
ディスプレイサイズ保持部132は、ディスプレイのサイズを保持する。ディスプレイサイズは、ディスプレイの対角線の長さおよびアスペクト比で定義されてもよい。アスペクト比は、横と縦の画素数または長さの比であり、たとえば、SDTV用のディスプレイのアスペクト比は4:3、HDTV用のディスプレイは16:9である。コンピュータディスプレイのアスペクト比は4:3、5:4などのタイプがある。ディスプレイサイズは、たとえば画像処理装置10に表示装置12を接続したときに、ユーザにより入力されてもよい。なお、ディスプレイサイズは、ディスプレイの対角線の長さではなく、ディスプレイの縦および横の長さであってもよい。なお、本実施例のディスプレイは、縦幅が2m程度ある大型のディスプレイも含んでいる。またディスプレイサイズは、縦および横の画素数の情報も含んでいる。
【0046】
ディスプレイ解像度導出部130は、ディスプレイサイズ保持部132に保持されたディスプレイサイズから、ディスプレイ解像度を導出する。ディスプレイ解像度は、画素密度であって、単位長さ当たりの画素数で定義されてもよい。ディスプレイ解像度の代表的な単位はdpi(ドットパーインチ)であるが、これに限るものではない。
【0047】
具体的にディスプレイ解像度導出部130は、ディスプレイサイズから、ディスプレイの縦および横の長さを導出する。たとえばディスプレイサイズとして、ディスプレイ対角線の長さと、アスペクト比が保持されている場合、ディスプレイ解像度導出部130は、それらの情報を用いて縦および横の長さをそれぞれ導出できる。さらにディスプレイサイズとして、縦および横の画素数が保持されているため、縦方向と横方向のディスプレイ解像度(画素密度)がそれぞれ導出される。
【0048】
まずディスプレイ解像度導出部130は、対角線の長さとアスペクト比から、縦幅L、横幅Wを導出する。ここで縦画素数がPL、横画素数がWLであれば、縦方向のディスプレイ解像度がPL/L、横方向のディスプレイ解像度がWL/Lであることが導出される。なお各ディスプレイ解像度の単位はdpiとする。
【0049】
ディスプレイ解像度保持部134は、ディスプレイ解像度導出部130により導出されたディスプレイの縦方向および横方向の解像度を保持する。なおディスプレイ解像度が既知である場合は、ディスプレイ解像度導出部130が上記した演算により算出する必要はなく、ディスプレイ解像度保持部134は、既知の解像度を保持すればよい。
【0050】
ディスプレイサイズ保持部132およびディスプレイ解像度保持部134は、ハードディスクドライブ50に形成された格納領域であってよい。なお表示装置12がHDMI機器である場合は、画像処理装置10が表示装置12に問い合わせることで、表示装置12がディスプレイサイズおよび縦横の画素数を画像処理装置10に知らせてもよい。
【0051】
拡大/縮小率決定部148は、対象物画像の寸法データと、ディスプレイの解像度をもとに、対象物画像の拡大率を決定する。自由表示モードにおいて拡大/縮小率決定部148は、表示されている画像に対して拡大率(または縮小率)を決定していたが、所定比表示モードにおいては、拡大/縮小率決定部148が、オリジナル画像データに対して、拡大率を決定する。
【0052】
まず拡大/縮小率決定部148は、身長180cmの人画像を実物大表示するために必要な縦方向の画素数LEPを導出する。
LEP=(1cm当たりの画素数)×実寸法
=PL/(L×2.54)×180cm
(1インチ=2.54cm)
【0053】
続いて拡大/縮小率決定部148は、図6を参照して、画像ファイルに含まれる画像データを展開したときの縦方向の画素数を導出する。図6において、対象物画像の縦方向の幅は(y2−y1)であり、拡大/縮小率決定部148は、この対象物画像データを、拡大縮小なしに表示するときに使用する画素数を導出する。この画素数がPSであるとする。オリジナル画像をディスプレイ上で180cmとなるように表示するときの縦方向の拡大率EFは、
EF=(実物大表示時の縦方向画素数/オリジナル画像における人画像の縦方向画素数)
=LEP/PS
となる。ここでは、縦方向の拡大率EFを求めたが、縦方向のディスプレイ解像度PL/L、横方向のディスプレイ解像度WL/Lが同じであれば、横方向についても同じ拡大率EFが適用される。
【0054】
このように拡大/縮小率決定部148は、対象物画像の縦方向および横方向の拡大率EFを決定する。なお、拡大率が一辺の2乗で表現される場合には、拡大率はEFの2乗となる。以上のようにして、拡大/縮小率決定部148は、対象物画像が寸法データで指定されるサイズに対して所定比(1:1)でディスプレイ上に表示される表示画像の拡大率を決定する。
【0055】
画像サイズ調整部150は、拡大/縮小率決定部148により決定された拡大率で、画像を拡大または縮小する。表示画像生成部152は、画像サイズ調整部150により拡大または縮小された画像データを受け取り、対象物画像を含む表示画像を生成する。これにより、図1に示されるように、対象物画像を実寸大にサイズ調整した表示画像がディスプレイに示されるようになる。
【0056】
画像ファイル取得部144は、ハードディスクドライブ50に保持される複数の画像ファイルから、表示する画像ファイルを選択する機能をもつ。画像ファイル取得部144は、予め定められた表示順序にしたがって画像ファイルを選択し、この表示順序は、ユーザにより指定されたものであってよい。なお画像ファイル取得部144は、画像ファイルの属性、たとえばファイル生成日などにもとづいて、表示順序を特定してもよい。本実施例の画像処理装置10は、所定比表示モードにおいて、複数の画像ファイルに含まれる対象物画像を、時間的に連続して表示する機能を有しており、画像ファイル取得部144は、表示する画像ファイルを、ユーザの選択操作なく、自動的に選択する。なお画像ファイル取得部144が選択するタイミングは、ユーザのボタン操作をトリガにしてもよい。
【0057】
以下、画像ファイル取得部144が、子供の成長記録を表現するために、赤ちゃんの画像ファイルから成人の画像ファイルまで、順次選択する例を説明する。なお、この表示順序は、ユーザにより設定されている。
【0058】
図9は、人画像を含む画像ファイルの一例を示す。この画像ファイルには、赤ちゃんの頃の画像が含まれている。領域204は、人の寸法データが割り当てられる人画像の領域であり、4隅の座標(x3,y3)、(x3,y4)、(x4,y3)、(x4,y4)で特定される。領域204には、人の寸法データ(たとえば55cm)が対応付けられている。画像ファイルのデータ構造は、画像データ、対象物画像の座標情報および寸法データを含んで構成される。
【0059】
図10は、人画像を含む画像ファイルの一例を示す。この画像ファイルには、小学生の頃の画像が含まれている。領域206は、人の寸法データが割り当てられる人画像の領域であり、4隅の座標(x5,y5)、(x5,y6)、(x6,y5)、(x6,y6)で特定される。領域206には、人の寸法データ(たとえば100cm)が対応付けられている。画像ファイルのデータ構造は、画像データ、対象物画像の座標情報および寸法データを含んで構成される。
【0060】
画像ファイル取得部144は、図9に示す画像ファイル、図10に示す画像ファイル、図5に示す画像ファイルを、この順に選択する。まず、画像ファイル取得部144が、図9に示す画像ファイルを選択し、その画像ファイルを取得する。拡大/縮小率決定部148は、対象物画像の寸法データ(55cm)と、ディスプレイの解像度をもとに、対象物画像の拡大率を決定する。画像サイズ調整部150は、拡大/縮小率決定部148により決定された拡大率で、画像を拡大または縮小する。表示画像生成部152は、画像サイズ調整部150により拡大または縮小された画像データを受け取り、対象物画像を含む表示画像を生成する。表示処理部44は、生成された表示画像を、表示装置12のディスプレイに表示する。
【0061】
図11は、子供が赤ちゃんの頃の画像を示す。拡大/縮小率決定部148および画像サイズ調整部150による処理の結果、ディスプレイには、赤ちゃんの画像が、高さ方向に55cmに調整されて表示される。なお、画像ファイルに、メタ情報が含まれている場合には、そのメタ情報が表示されてもよい。たとえば表示画像生成部152は、対象物画像の周辺に、寸法を表示してもよい。またメタ情報に、写真の撮影日が含まれている場合には、その撮影日が表示されてもよい。さらに、メタ情報に、ユーザが入力されたコメントが含まれている場合には、そのコメントが表示されてもよい。メタ情報は、対象物画像と重ならない位置に表示されることが好ましい。
【0062】
ここでユーザが△ボタン25を押下すると、画像ファイル取得部144が、表示順序にしたがって、図10に示す画像ファイルを選択し、その画像ファイルを取得する。
【0063】
拡大/縮小率決定部148は、対象物画像の寸法データ(100cm)と、ディスプレイの解像度をもとに、対象物画像の拡大率を決定する。画像サイズ調整部150は、拡大/縮小率決定部148により決定された拡大率で、画像を拡大または縮小する。表示画像生成部152は、画像サイズ調整部150により拡大または縮小された画像データを受け取り、対象物画像を含む表示画像を生成する。表示処理部44は、生成された表示画像を、表示装置12のディスプレイに表示する。
【0064】
図12は、子供が小学生の頃の画像を示す。拡大/縮小率決定部148および画像サイズ調整部150による処理の結果、ディスプレイには、小学生の頃の画像が、高さ方向に100cmに調整されて表示される。
【0065】
ここでユーザが△ボタン25を押下すると、画像ファイル取得部144が、表示順序にしたがって、図5に示す画像ファイルを選択し、その画像ファイルを取得する。
【0066】
拡大/縮小率決定部148は、対象物画像の寸法データ(180cm)と、ディスプレイの解像度をもとに、対象物画像の拡大率を決定する。画像サイズ調整部150は、拡大/縮小率決定部148により決定された拡大率で、画像を拡大または縮小する。表示画像生成部152は、画像サイズ調整部150により拡大または縮小された画像データを受け取り、対象物画像を含む表示画像を生成する。表示処理部44は、生成された表示画像を、表示装置12のディスプレイに表示する。
【0067】
図13は、子供が成人したときの画像を示す。拡大/縮小率決定部148および画像サイズ調整部150による処理の結果、ディスプレイには、成人したときの画像が、高さ方向に180cmに調整されて表示される。
【0068】
以上のように、画像サイズ調整部150は、表示画像生成部152により時間的に連続して表示される表示画像に含まれる対象物画像を、各対象物の寸法データで指定されるサイズに対して所定比となるサイズに拡大または縮小する。これにより、図11、図12、図13に示すように、子供が成長していく過程を連続してディスプレイに実寸大で表示することができ、ユーザは、子供の大きさを比較できるようになる。
【0069】
なお、表示画像生成部152は、連続して表示画像を生成する場合に、ディスプレイ上における対象物画像の位置を揃えることが好ましい。表示画像生成部152は、所定比表示モードの開始時に生成した対象物画像のディスプレイ上の位置を記憶しておき、次に表示画像を生成する際に、対象物画像の位置を、前回表示した対象物画像の位置に合わせて設定する。具体的に、表示画像生成部152は、最初に表示する対象物画像の横方向の中心位置を記憶しておき、次回以降表示する対象物画像の横方向の中心位置を、記憶した中心位置に合わせるようにする。なお、表示画像生成部152は、最初に表示する対象物画像の縦方向の最下位置も記憶しておき、次回以降表示する対象物画像の縦方向の最下位置を、記憶した最下位置に合わせることが好ましい。対象物画像の中心位置および最下位置は、図5や図6に示す対象物画像の領域を基準として導出される。これにより、ユーザは、目線を動かさずに、連続表示される対象物画像を見ることができるとともに、最下位置を揃えることで、対象物画像の大きさを容易に比較することができる。
【0070】
なお、この例では、最下位置を記憶しておくこととしたが、表示画像生成部152は、寸法データが縦方向のものである場合に、最下位置を記憶し、一方で、寸法データが横方向のものである場合には、最初に表示する対象物画像の最左位置(ないしは最右位置)を記憶しておく。これにより、表示画像生成部152は、連続表示する対象物画像の基準位置を揃えることができる。なお、表示画像生成部152は、メタ情報もあわせて表示する場合には、設定した最下位置または最左位置を基準として、メタ情報の表示位置を定める。たとえば、最下位置を設定している場合には、その最下位置よりも下方にメタ情報を表示し、最左位置を設定している場合には、その最左位置よりも左方にメタ情報を表示する。このように、メタ情報の表示位置を設定することで、メタ情報が対象物画像に重ならないように表示することができる。
【0071】
なお表示画像生成部152が、画像サイズ調整部150により拡大された対象物画像の全体がディスプレイに表示できないことを判定したとき、通知部154は、所定のメッセージをディスプレイに表示する。このメッセージは、たとえば「等身大表示すると画面からはみ出します。それでも等身大表示しますか?」という警告であってよい。なお、表示画像生成部152は、記憶している最下位置に対象物画像の最下位置を合わせたとき、対象物画像の一部がディスプレイからはみ出すことを認識すると、対象物画像を、ディスプレイの下端までずらすように位置を調整する。それでも、対象物画像の全体がディスプレイに表示できないことを判定したときに、通知部154が所定のメッセージをディスプレイに表示するようにしてもよい。なお、対象物画像をディスプレイの下端までずらしたときに対象物画像の全体をディスプレイに含められるか否かは、単純に、ディスプレイサイズの幅と、寸法データとを比較することで判定されてもよい。
【0072】
また表示画像生成部152は、画像サイズ調整部150により対象物画像を寸法データで指定されるサイズに対して所定比となるサイズに拡大または縮小された画像データを受け取り、表示画像を生成するが、そのとき、ディスプレイに余白領域が生じることがある。なお余白領域とは、ディスプレイの画素数に対して画像データ量が不足し、表示データが存在しない領域を意味する。表示画像生成部152は、ディスプレイに余白領域が生じることを判定すると、余白領域を所定のカラー(たとえばブラック)で埋めてもよいが、画像ファイル取得部144に、別の画像ファイルを取得することを指示してもよい。
【0073】
画像ファイル取得部144は、表示画像生成部152から指示を受けると、予め定められた表示順序にしたがって、画像ファイルを選択して取得する。取得された画像ファイルは、拡大/縮小率決定部148および画像サイズ調整部150により拡大または縮小されて、表示画像生成部152に渡される。表示画像生成部152は、複数の画像ファイルから取得される対象物画像を、1つの表示画像に含めるようにしてもよい。このとき画像切取部146が、画像データから、対象物画像の領域を切り出し、表示画像生成部152が、切り出された対象物画像を、1つの表示画像上に並べてもよい。このとき画像切取部146は、画像ファイルに設定されている図5や図6に示す対象物画像の領域を切り出し、表示画像生成部152が、切り出された複数の対象物画像を、1つの表示画像に並べて配置する。なお、それでも余白領域が存在する場合には、余白領域を所定のカラーで埋めてもよい。
【0074】
図14は、複数の対象物画像を並べた表示画像の一例を示す。表示画像生成部152は、複数の画像ファイルに含まれる対象物画像を並べて、それぞれ実寸大表示する表示画像を生成する。このように、1つの画像ファイルで表示画像を生成すると余白領域が生じる場合には、別の画像ファイルから対象物画像を抽出して、複数の対象物画像を並べることで、ユーザは、一つの画像を、複数の対象物画像の大小比較をすることができ、この例では、ユーザが、子供の成長過程を1つの画像で見ることができる。
【0075】
表示画像生成部152は、表示する対象物画像の数に応じて、対象物画像間の間隔を設定する。対象物画像の間隔は、一様であることが好ましい。画像切取部146が、対象物画像の領域を切り出し、表示画像生成部152が、切り出された対象物画像を配置することで、対象物画像の間隔を一様に設定でき、ユーザが見やすい表示画像を生成することが可能となる。
【0076】
なお表示画像生成部152は、表示する対象物画像の縦方向の最下位置を揃えるようにする。最下位置を揃えることで、ユーザは、対象物画像の大きさを容易に比較することができる。なお、既述したように、表示画像生成部152は、寸法データが縦方向のものである場合に、最下位置を設定し、一方で、寸法データが横方向のものである場合には、最初に表示する対象物画像の最左位置(ないしは最右位置)を設定する。表示画像生成部152は、寸法データが縦方向で表現される対象物は横方向に複数並べ、一方で、寸法データが横方向で表現される対象物は縦方向に複数並べるため、寸法データが縦方向であるか、または横方向であるかに応じて、表示画像生成部152は、複数の対象物画像を並べる際の基準となる位置を定めることが好ましい。
【0077】
なお、表示画像生成部152は、メタ情報もあわせて表示する場合には、設定した最下位置または最左位置を基準として、メタ情報の表示位置を定める。たとえば、最下位置を設定している場合には、その最下位置よりも下方にメタ情報を表示し、最左位置を設定している場合には、その最左位置よりも左方にメタ情報を表示する。このように、メタ情報の表示位置を設定することで、メタ情報が対象物画像に重ならないように表示することができる。
【0078】
なお、ここでは、画像ファイル取得部144が画像ファイルを選択する順に、表示画像生成部152が、左から対象物画像を並べて表示画像を生成している。なお表示画像生成部152は、対象物画像を、たとえば身長順に並べ替えてもよく、図14に示す3つの対象物画像を、寸法データを参照して、右から身長の低い順に並べて表示画像を生成してもよい。
【0079】
なお、表示画像生成部152は、余白領域が生じている場合に、画像ファイル取得部144に対して、上記した例とは異なる画像ファイルを取得することを指示してもよい。たとえば、ディスプレイにユーザ自身の姿を等身大表示させている場合、表示画像生成部152が、余白領域に、衣服などの着せ替え用のファッションアイテムを、並べて配置してもよい。余白領域に配置されるファッションアイテムは、拡大/縮小率決定部148および画像サイズ調整部150により実寸大表示され、ユーザが入力装置20を操作することで、等身大表示されたユーザの姿に、重ね合わせることができる。これにより、等身大の自分の姿に、気に入った衣服を自由に着せ替えできるようになる。
【0080】
図15は、本実施例における画像処理のフローチャートを示す。図15に示すフローチャートにおいては、各部の処理手順を、ステップを意味するS(Stepの頭文字)と数字との組み合わせによって表示する。なお、本明細書のフローチャートにおいて、Sと数字との組み合わせによって表示した処理で何らかの判断処理が実行され、その判断結果が肯定的であった場合は、Y(Yesの頭文字)を付加して、例えば、(S10のY)と表示し、逆にその判断結果が否定的であった場合は、N(Noの頭文字)を付加して、(S10のN)と表示する。モード設定部142が、表示モードを自由表示モードに設定していない場合(S10のN)、本フローは実行されない。
【0081】
モード設定部142が、表示モードを所定比表示モードに設定している場合(S10のY)、本フローが実行される。拡大/縮小率決定部148は、対象物画像の拡大率を決定し(S12)、画像サイズ調整部150が、決定された拡大率で対象物画像を拡大して、表示画像生成部152が表示画像を生成する(S14)。表示処理部44は、生成された表示画像をディスプレイに出力する。ここで、要求取得部122は、画像の切替要求を監視し(S16のN)、△ボタン25の押下操作を受け付けると(S16のY)、画像ファイル取得部144が、所定の表示順序にしたがって、画像ファイルを選択する(S18)。
【0082】
画像ファイル取得部144が、画像ファイルを選択して取得すると(S18のY)、拡大/縮小率決定部148は、対象物画像の拡大率を決定し(S12)、表示画像生成部152が、画像サイズ調整部150によりサイズ調整された画像データをもとに表示画像を生成する(S14)。表示処理部44は、生成された表示画像をディスプレイに出力する。一方、画像ファイル取得部144により、画像ファイルの全てがすでに選択済みであれば(S18のN)、本フローが終了する。
【0083】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0084】
本実施例においては、画像ファイルに対象物画像が1つ含まれている場合を説明したが、対象物画像は複数含まれていてもよい。複数の対象物画像に対して、それぞれ寸法データを対応付けておくことで、ユーザが、対象物を特定すると、表示画像生成部152は、特定された対象物画像を実寸大で含む表示画像を生成できる。また、複数の対象物画像を実寸大で並べて表示する場合には、画像切取部146が、各対象物画像を切り出すことで、表示画像生成部152が、複数の対象物画像を実寸大で含む1つの表示画像を生成できる。
【0085】
また実施例では、実寸大表示すると対象物画像の全体が表示されない場合に、通知部154が、所定のメッセージを通知することを説明した。拡大/縮小率決定部148、画像サイズ調整部150および/または表示画像生成部152は、画像ファイル取得部144により取得予定の画像ファイルに含まれる対象物画像が、実寸大表示したときに全体が表示されるものであるか予め調査してもよい。この調査は、ディスプレイサイズの幅と、寸法データとを比較することで行われる。この調査により、少なくとも1つの対象物画像が実寸大表示することによりディスプレイからはみ出ることが判定されると、最も大きい対象物画像がディスプレイに収まるように縮小率を決定し、拡大/縮小率決定部148は、その縮小率で、画像ファイル取得部144により取得される全ての対象物画像を縮小してもよい。なお、このとき、通知部154は、その縮小率を示す情報をディスプレイに表示し、表示画像生成部152は、その縮小率で、対象物画像を含む表示画像を生成する。これにより、全ての対象物画像の全体を表示できるとともに、各対象物画像の相対的な大きさの比較も容易になる。
【0086】
また表示画像生成部152は、表示装置12のディスプレイの床面からの設置高さの情報を有し、対象物画像を等身大表示する際に、床面からの設置高さ分の画像を、対象物画像から差し引いて、ディスプレイに表示してもよい。ディスプレイの設置高さの情報は、設置時にユーザにより登録されればよい。たとえば、ディスプレイの下端の高さが床面から30cmにある場合、表示画像生成部152は、図13に示す人画像を、足下から30cmまでは表示せず、30cmより上の対象物画像のみを表示するようにする。これにより、ユーザは、その人画像が部屋の中で立っているように実感することができる。
【0087】
また実施例では、対象物の全身が表現されている画像データについて説明したが、たとえば、上半身のみが撮影された画像データの場合もある。この場合、撮影された上半身の寸法データと、その被撮影者の身長とを特定する寸法データを用意しておくことで、表示画像生成部152は、画像データを所定比に拡大/縮小した表示画像を生成し、また被撮影者の頭頂部を、床面からディスプレイの設置高さも加味して、身長データで特定される高さに合わせて表示してもよい。これにより、全身画像ではないが、その被撮影者が部屋の中で立っているときの様子を再現できる。
【0088】
なお、表示画像生成部152は、ディスプレイの床面からの高さではなく、高度計などを用いて、ディスプレイの海抜高度の情報を有してもよい。たとえば、ディスプレイが海抜高度50mの位置に設置されている場合、巨大な対象物(たとえば、寸法100m)を表示する際に、表示画像生成部152は、対象物の足元から50mの位置から、対象物画像を表示するようにしてもよい。
【0089】
なお、実施例では、表示装置12がディスプレイである例について説明したが、既述したように、表示装置12は、プロジェクタおよびスクリーンにより構成されてもよい。プロジェクタとスクリーンの距離に応じて、スクリーンに表示される画像の大きさは変化するが、上記した技術により、寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示することができる。なお、等身大で表示する場合には、最初に、プロジェクタとスクリーンの距離を調整するか、または、拡大/縮小率決定部148により設定する拡大率をキャリブレーションにより調整すればよい。この調整は、スクリーンに投影された画像の寸法を測定し、その測定寸法と、寸法データで指定される寸法とを等しくすることで行われる。寸法の測定は、手動で行われてもよく、またはスクリーンに投影された画像の実寸法をカメラなどで撮影して測定することで行われてもよい。たとえば拡大/縮小率決定部148が拡大率をリニアに変更し、カメラで測定した測定寸法と寸法データで指定する寸法とが等しくなる拡大率を、基準拡大率として利用することで、表示画像生成部152が、スクリーン上で対象物画像を等身大で表示することが可能となる。
【符号の説明】
【0090】
1・・・画像処理システム、10・・・画像処理装置、12・・・表示装置、20・・・入力装置、50・・・ハードディスクドライブ、60・・・メインメモリ、100・・・制御部、120・・・入力信号処理部、122・・・要求取得部、124・・・モード指定受付部、130・・・ディスプレイ解像度導出部、132・・・ディスプレイサイズ保持部、134・・・ディスプレイ解像度保持部、140・・・表示画像処理部、142・・・モード設定部、144・・・画像ファイル取得部、146・・・画像切取部、148・・・拡大/縮小率決定部、150・・・画像サイズ調整部、152・・・表示画像生成部、154・・・通知部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示部に表示する画像処理装置であって、
複数の対象物の画像データと、各対象物の寸法データとを保持する記憶装置と、
対象物画像を表示部に表示する表示画像処理部と、を備え、
前記表示画像処理部は、
対象物画像を寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示する所定比表示モードを設定するモード設定部と、
対象物画像が表示部上において寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示されるように、表示画像の拡大率または縮小率を決定する決定部と、
画像を拡大または縮小する画像サイズ調整部と、
対象物画像を含む表示画像を生成する表示画像生成部とを有し、
前記画像サイズ調整部は、所定比表示モードにおいて、前記表示画像生成部により時間的に連続して生成される表示画像に含まれる対象物画像、または前記表示画像生成部により生成される1つの表示画像に含まれる複数の対象物画像を、各対象物の寸法データで指定されるサイズに対して所定比となるサイズに拡大または縮小することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記表示画像生成部は、第1表示画像を生成し、次に第2表示画像を生成する際に、第1表示画像に含まれる対象物画像の表示部上の位置に、第2表示画像に含まれる対象物画像を合わせることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記表示画像生成部が、拡大した対象物画像の全体が表示部に表示できないことを判定したとき、所定のメッセージを表示部に表示する通知部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記表示画像生成部は、表示部に余白領域が生じることを判定すると、画像ファイル取得部に別の画像ファイルを取得することを指示し、余白領域に別の対象物画像を表示することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記寸法データは、対象物の実寸法を指定することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
対象物画像を寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示する所定比表示モードを設定するステップと、
対象物画像が表示部上において寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示されるように、表示画像の拡大率または縮小率を決定するステップと、
画像を拡大または縮小するステップと、
対象物画像を含む表示画像を生成するステップとを備え、
画像を拡大または縮小するステップは、所定比表示モードにおいて、表示画像生成ステップにより時間的に連続して生成される表示画像に含まれる対象物画像、または表示画像生成ステップにより生成される1つの表示画像に含まれる複数の対象物画像を、各対象物の寸法データで指定されるサイズに対して所定比となるサイズに拡大または縮小することを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
コンピュータに、
対象物画像を寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示する所定比表示モードを設定する機能と、
対象物画像が表示部上において寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示されるように、表示画像の拡大率または縮小率を決定する機能と、
画像を拡大または縮小する機能と、
対象物画像を含む表示画像を生成する機能とを備え、
画像を拡大または縮小する機能は、所定比表示モードにおいて、表示画像生成機能により時間的に連続して生成される表示画像に含まれる対象物画像、または表示画像生成機能により生成される1つの表示画像に含まれる複数の対象物画像を、各対象物の寸法データで指定されるサイズに対して所定比となるサイズに拡大または縮小する、ことを実現させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
画像を表示部に表示する画像処理装置であって、
複数の対象物の画像データと、各対象物の寸法データとを保持する記憶装置と、
対象物画像を表示部に表示する表示画像処理部と、を備え、
前記表示画像処理部は、
対象物画像を寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示する所定比表示モードを設定するモード設定部と、
対象物画像が表示部上において寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示されるように、表示画像の拡大率または縮小率を決定する決定部と、
画像を拡大または縮小する画像サイズ調整部と、
対象物画像を含む表示画像を生成する表示画像生成部とを有し、
前記画像サイズ調整部は、所定比表示モードにおいて、前記表示画像生成部により時間的に連続して生成される表示画像に含まれる対象物画像、または前記表示画像生成部により生成される1つの表示画像に含まれる複数の対象物画像を、各対象物の寸法データで指定されるサイズに対して所定比となるサイズに拡大または縮小することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記表示画像生成部は、第1表示画像を生成し、次に第2表示画像を生成する際に、第1表示画像に含まれる対象物画像の表示部上の位置に、第2表示画像に含まれる対象物画像を合わせることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記表示画像生成部が、拡大した対象物画像の全体が表示部に表示できないことを判定したとき、所定のメッセージを表示部に表示する通知部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記表示画像生成部は、表示部に余白領域が生じることを判定すると、画像ファイル取得部に別の画像ファイルを取得することを指示し、余白領域に別の対象物画像を表示することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記寸法データは、対象物の実寸法を指定することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
対象物画像を寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示する所定比表示モードを設定するステップと、
対象物画像が表示部上において寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示されるように、表示画像の拡大率または縮小率を決定するステップと、
画像を拡大または縮小するステップと、
対象物画像を含む表示画像を生成するステップとを備え、
画像を拡大または縮小するステップは、所定比表示モードにおいて、表示画像生成ステップにより時間的に連続して生成される表示画像に含まれる対象物画像、または表示画像生成ステップにより生成される1つの表示画像に含まれる複数の対象物画像を、各対象物の寸法データで指定されるサイズに対して所定比となるサイズに拡大または縮小することを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
コンピュータに、
対象物画像を寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示する所定比表示モードを設定する機能と、
対象物画像が表示部上において寸法データで指定されるサイズに対して所定比で表示されるように、表示画像の拡大率または縮小率を決定する機能と、
画像を拡大または縮小する機能と、
対象物画像を含む表示画像を生成する機能とを備え、
画像を拡大または縮小する機能は、所定比表示モードにおいて、表示画像生成機能により時間的に連続して生成される表示画像に含まれる対象物画像、または表示画像生成機能により生成される1つの表示画像に含まれる複数の対象物画像を、各対象物の寸法データで指定されるサイズに対して所定比となるサイズに拡大または縮小する、ことを実現させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−190265(P2012−190265A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53311(P2011−53311)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】
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