説明

画像処理装置及びプログラム

【課題】より簡易な取扱いながら、ドキュメント画像の任意の位置を拡大して出力する。
【解決手段】撮影対象となるドキュメントを載置するための書画台(1a)と、書画台(1a)の上面を撮影する撮影部1e,21,23〜28と、撮影部1e,21,23〜28で得た画像データにより、書画台(1a)上の任意の位置が指定された場合にその位置を検出し、検出した書画台(1a)上の任意の位置に対応し、撮影部1e,21,23〜28で得た画像データに加工を施して出力する制御部31とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプロジェクタ装置と接続してプレゼンテーションを行なうのに好適にな書画カメラ装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台上に載置した各種ドキュメントの画像を撮影して画像信号化し、外部接続したプロジェクタ装置等へ出力することで、ドキュメント画像を拡大して表示させることが可能な書画カメラ装置が各種製品化されている。
【0003】
この種の書画カメラ装置では、例えばカメラ部をスタンド部と着脱自在な構成とし、カメラ部単独でも携帯して使用可能とすることで、使用範囲を広げ、使い勝手に優れたものとするなど、各種の技術が考えられている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−143091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、上記特許文献1に記載された技術も含め、書画カメラ装置本来の使用環境下では、書画台上に載置したドキュメントの画像を撮影して得た画像データを出力する。その際の技術として、例えば撮影画像中のドキュメントの矩形範囲を抽出することで、書画台上に斜めに載置されたドキュメント画像を正しい向きの画像にして出力する斜め補正処理、カメラ撮影光軸に対するドキュメント画像の位置の離間により本来は矩形であるドキュメント画像が台形状に撮影されてしまうのを元の矩形画像に変形する台形補正処理、など、各種の補正処理を行なうことが考えられている。
【0006】
また、撮影系のズーム倍率を可変することでドキュメント画像の一部を拡大した画像データを出力させることも考えられるが、その場合、光学的にズーム倍率を可変するものとすれば、撮影光軸を中心とした位置のみの拡大に限られ、撮影光軸から外れたドキュメント画像の端部を拡大させることはできない。
【0007】
一方、デジタル的な画像処理によるズームの場合には、拡大位置が限定されることなく、ドキュメント画像の任意の位置を拡大させることが可能となるが、その場合には拡大する位置をユーザが何らかのキー操作により指示しなければならず、特にこの種の機器が多用されるプレゼンテーション等の環境下では操作が煩雑なものと考えられることも多い。
【0008】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、より簡易な取扱いとしながら、ドキュメント画像の任意の位置を拡大して出力することが可能な書画カメラ装置、画像処理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、撮影対象となるドキュメントを載置するための書画台と、上記書画台の上面を撮影する撮影手段と、上記撮影手段で得た画像データにより、書画台上の任意の位置が指定された場合にその位置を検出する検出手段と、上記検出手段で検出した書画台上の任意の位置に対応し、上記撮影手段で得た画像データに加工を施して出力する出力制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記検出手段は、書画台に載置されたドキュメント上の指定位置を検出し、上記出力制御手段は、上記検出手段で検出した位置に対応するドキュメント部分を拡大した画像データを作成して出力することを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、上記請求項2記載の発明において、上記書画台は、拡大した画像データの出力時に画像データの位置の移動を指示する位置移動マークが付加され、上記出力制御手段は、上記検出手段が、拡大した画像データの出力時に上記位置移動マークが指定されたことを検出した場合に、上記位置移動マークで指示される方向に対応して拡大したドキュメント部分を移動した画像データを作成して出力することを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、上記請求項2記載の発明において、上記書画台は、拡大した画像データの出力時に画像データの拡大解除を指示する拡大解除マークが付加され、上記出力制御手段は、上記検出手段が、拡大した画像データの出力時に上記拡大解除マークが指定されたことを検出した場合に、上記ドキュメント部分の拡大を解除してドキュメント全体を含む画像データを作成して出力することを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記検出手段は、レーザ光の照射位置を検出することを特徴とすることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、撮影対象となるドキュメントを載置するための書画台と、上記書画台の上面を撮影する撮影部、及び上記撮影部での撮影により取得した画像データを出力する出力部を備えた書画カメラ装置の画像処理方法であって、上記撮影部で得た画像データにより、書画台上の任意の位置が指定された場合にその位置を検出する検出工程と、上記検出工程で検出した書画台上の任意の位置に対応し、上記撮影部で得た画像データに加工を施して上記出力部より出力させる出力制御工程とを有したことを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、撮影対象となるドキュメントを載置するための書画台と、上記書画台の上面を撮影する撮影部、及び上記撮影部での撮影により取得した画像データを出力する出力部を備えた書画カメラ装置に内蔵されたコンピュータが実行するプログラムであって、上記撮影部で得た画像データにより、書画台上の任意の位置が指定された場合にその位置を検出する検出ステップと、上記検出ステップで検出した書画台上の任意の位置に対応し、上記撮影部で得た画像データに加工を施して上記出力部より出力させる出力制御ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、プレゼンテーション等で一般的に使用するレーザポインタなどを用いた書画台上の位置指定に基づいて、指定された位置を即時拡大することが可能となるため、より簡易な取扱いとしながら、ドキュメント画像の任意の位置を拡大して出力することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る書画カメラ装置をプロジェクタ装置と接続した投影システムの構成を示す図。
【図2】同実施形態に係る書画カメラ装置の書画台の構成を示す平面図。
【図3】同実施形態に係る書画カメラ装置の機能回路構成を示すブロック図。
【図4】同実施形態に係るプロジェクタ装置の機能回路構成を示すブロック図。
【図5】同実施形態に係る書画カメラ装置側でドキュメント画像取得時に実行する処理内容を示すフローチャート。
【図6】同実施形態に係る書画台上のドキュメント画像をポイントした状態とそれに対応して変更される投影内容とを例示する図。
【図7】同実施形態に係る書画台上のドキュメント画像をポイントした状態とそれに対応して変更される投影内容とを例示する図。
【図8】同実施形態に係る書画台上のドキュメント画像をポイントした状態とそれに対応して変更される投影内容とを例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明を書画カメラ装置に適用した場合の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る書画カメラ装置1をプロジェクタ装置2と接続したプレゼンテーションシステムの外観構成を示すものである。同図に示す如く、書画カメラ装置1とプロジェクタ装置2とは、例えばUSBケーブル3で接続される。書画カメラ装置1は、書画台1a、スタンド部1b、及びカメラ部1cを組み合わせて構成される。
【0019】
書画台1aは、例えばヒンジを介して接続された3枚の折りたたみ式の薄板状部材(合成樹脂板)からなり、その中央の合成樹脂板の端部からスタンド部1bが直立する。スタンド部1bの上部には回動アーム部1dが延在され、この回動アーム部1dの先端にカメラ部1cが上記書画台1aと平行となるように回動自在に配置される。
【0020】
カメラ部1cは、図示する如く撮影レンズ1eが下方に向けて配置され、書画台1a上に載置された各種ドキュメントの画像を書画台1aを含めて撮影することとなる。その撮影により取得された画像データが、適宜加工された後に上記USBケーブル3を介してプロジェクタ装置2へ出力され、プロジェクタ装置2で投影出力される。
【0021】
図2は、上記書画台1aのみを抽出して示す平面図である。上述した如く折りたたみ式の書画台1aを展開した状態で、ユーザは任意のドキュメント用紙をこの書画台1a上に載置することで、上記カメラ部1cによりドキュメント用紙を含んだ書画台1a上の全域を撮影し、その画像データを適宜補正して書画カメラ装置1と接続した外部機器、例えば上記プロジェクタ装置2へ出力することができる。
【0022】
図示する如く書画台1aの上下左右各端部には、リターンマークRMが付加配設される。これらスクロールマークSMa〜SMdは、各方向へのスクロール方向を示す三角形を配したものとなっている。
【0023】
加えて、書画台1aの右下端部には、リターンマークRMが付加配設される。このリターンマークRMは、左方向の矢印とアルファベット「R」を配したものとなっている。
【0024】
上記スクロールマークSMa〜SMd及びリターンマークRMはいずれも、樹脂製の書画台1a上に透明地の粘着シールを貼付して構成しても良いし、あるいは凹凸を有するものとして樹脂製の書画台1aをモールド製造する際に一体的に凹部がパターン形成された後、凹部に塗料が塗布されるものとしてもよい。
【0025】
次に書画カメラ装置1の概略機能構成について図3を用いて説明する。
図3は、同実施の形態に係る書画カメラ装置1全体の電子回路の概念構成を示すものである。
図中、モータ(M)21の駆動により、カメラ部1cの下面側に取付けられた撮影レンズ1e中の一部のレンズ、具体的にはズームレンズ及びフォーカスレンズの位置が適宜移動される。この撮影レンズ1eの撮影光軸後方の結像位置に、図示しないメカニカルシャッタを介して、固体撮像素子であるCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)23が配置される。
【0026】
CCD23は、タイミング信号発生器(TG)24、CCDドライバ(Dv.)25によって走査駆動され、一定周期毎に結像した光像に対応する光電変換出力を1画面分出力する。
【0027】
この光電変換出力は、サンプルホールド(S/H)回路26において、アナログ値の信号の状態でRGBの各原色成分毎にその時点に設定されているISO感度に応じてAGC(自動ゲイン調整)された後にサンプルホールドされ、A/D変換器27に送られる。
【0028】
A/D変換器27では、アナログの画像データをデジタルデータに変換し、カラープロセス回路28へ出力する。
【0029】
カラープロセス回路28は、デジタルの画像データに対して画素補間処理及びγ補正処理を含むカラープロセス処理を行ない、マトリックス変換によりデジタル値の輝度色差系の画像データYUVを生成した後にバッファコントローラ29に出力する。
【0030】
バッファコントローラ29は、カラープロセス回路28の出力する画像データYUVを、同じくカラープロセス回路28からの複合同期信号、メモリ書込みイネーブル信号、及びクロック信号を用いて一度バッファコントローラ29内部に書込んだ後、バッファメモリとして使用されるDRAM30にDMA転送を行なう。
【0031】
このDRAM30は、上記撮影により得た画像データを保持する領域と、後述する外部出力する画像データを保持する領域の少なくとも2枚分の画像データを保持するだけの記憶容量を有するものとする。
【0032】
制御部31は、CPUで構成され、ワークメモリとして使用されるメインメモリ32、動作プログラムやデータ等を固定的に記憶した不揮発性メモリでなるプログラムメモリ33とシステムバスSB1を介して接続されるもので、プログラムメモリ33から必要なプログラム等を読出し、該メインメモリ32に適宜必要なプログラムやデータを一時的に展開して書込みながら、この書画カメラ装置1全体の制御動作を司る。
【0033】
しかして制御部31は、上記画像データのDRAM30へのDMA転送終了後に、この画像データをバッファコントローラ29を介してDRAM30より読出し、表示制御部34を介してVRAM35に書込む。
【0034】
表示制御部34は、上記画像データをVRAM35より定期的に読出して表示部36に出力する。
【0035】
この表示部36は、バックライト付きのカラー液晶パネルとその駆動回路とで構成される。この表示部36は、上記カメラ部1cの上面側に配置され、この書画カメラ装置1を外部機器に接続していない状態でも撮影内容を視認できるビューファインダとして機能するもので、表示制御部34からの画像データ等に基づいた表示を行なうことで、その時点で上記CCD23から取込んでいる画像等をリアルタイムにモニタ表示する。
【0036】
一方で、制御部31は、DRAM30に保持される出力用の画像データをバッファコントローラ29により読出させ、USBインタフェース(I/F)37へ出力する。USBインタフェース37は、USB2.0規格に則って外部機器の間で画像データを含む各種データの送受を行なうもので、上記USBケーブル3を介して画像データをアイソクロナス転送により外部機器へ出力する。
【0037】
なお、上記USBケーブル3は電源ケーブルを兼ねており、USBケーブル3を構成する複数の線中で、USB規格で規定されている電力線が電源制御部38と接続される。電源制御部38は、USBケーブル3から供給される直流5.0[V]の電力を元に各種電圧、例えば1.5[V]、3.3[V]の電力を生成し、他の各回路に必要な動作電圧を印加する。
【0038】
また、上記システムバスSB1にはさらに、補助光駆動部39、画像処理部40、及びメモリカード41が接続される。
補助光駆動部39は、制御部31の制御の下に、複数の高輝度白色LED42を同時に発光駆動し、書画台11上に載置されたドキュメント用紙を照明する。
【0039】
画像処理部40は、後述する画像認識処理、斜め補正処理等の画像処理を行なう他、制御部31の制御に基づいてDRAM30に保持される画像データを所定の規格、例えばJPEG(Joint Photograph coding Experts Group)に則ってデータ圧縮する。
【0040】
メモリカード41は、この書画カメラ装置1のカメラ部1cに着脱自在に装着されるもので、上記画像処理部40でデータ圧縮された画像データ等を記録する。
【0041】
なお、書画カメラ装置1のカメラ部1及びスタンド部1bに設けられる各種キースイッチを含んでキー入力部43が構成され、このキー入力部43でのキー操作信号が直接制御部31へ送出されるもので、制御部31はこのキー入力部43からのキー操作信号に応じた制御動作を実行する。
【0042】
なお、上記プロジェクタ装置2の概略機能構成についても図4を用いて説明しておく。
図4は、同実施の形態に係る書画カメラ装置1全体の電子回路の概念構成を示すものである。同図で、51は入出力コネクタ部であり、例えばピンジャック(RCA)タイプのビデオ入力端子、RGB入力端子、及びUSB端子からなる。
【0043】
入出力コネクタ部51より入力される各種規格の画像信号は、入出力インタフェース(I/F)52、システムバスSB2を介して画像変換部53で投影に適した所定のフォーマットの画像信号に統一された後に、投影駆動部54へ送られる。
【0044】
この際、OSD(On Screen Display)用の各種キャラクタやポインタ等の記号も必要に応じて画像信号上に重畳加工された状態で投影駆動部54へ送られる。
【0045】
投影駆動部54は、送られてきた画像信号をビデオRAM55に展開して記憶させた上で、このビデオRAM55の記憶内容からビデオ信号を生成する。投影駆動部54は、このビデオ信号のフレームレート、例えば60[フレーム/秒]と色成分の分割数、及び表示階調数を乗算した、より高速な時分割駆動により、空間的光変調素子(SOM)であるマイクロミラー素子56を表示駆動する。
【0046】
一方、リフレクタ57内に配置された、例えば超高圧水銀灯を用いた光源ランプ58が高輝度の白色光を出射する。光源ランプ58の出射した白色光は、カラーホイール59を介して時分割で原色に着色され、インテグレータ60で輝度分布が均一な光束とされた後にミラー61で全反射して上記マイクロミラー素子56に照射される。
【0047】
そして、マイクロミラー素子56での反射光で光像が形成され、形成された光像が光学レンズユニット62を介して、投影対象となるここでは図示しないスクリーンに投影表示される。
【0048】
光学レンズユニット62は、マイクロミラー素子56で形成された光像を拡大してスクリーン等の対象に投影するものであり、合焦位置及びズーム位置(投影画角)を任意に可変できるものとする。
【0049】
すなわち、光学レンズユニット62中の図示しないフォーカスレンズ及びズームレンズは共に光軸方向に沿って前後に移動することで制御されるもので、それらレンズはステッピングモータ(M)63の回動駆動により移動する。
【0050】
なお、上記カラーホイール59の終端部に対向するようにマーカセンサ64が近接配置され、このマーカセンサ64がカラーホイール59に設けられた図示しないマーカの通過を検出して検出信号を上記投影駆動部54へ送出する。
【0051】
投影駆動部54は、マーカセンサ64からの検出信号によりマイクロミラー素子56での駆動タイミングを調整する。
【0052】
また、上記光源ランプ58の点灯駆動、上記カラーホイール59用のモータ(M)65の回転駆動、及び上記ステッピングモータ63の回動駆動をいずれも投影光処理部66が実行する。
【0053】
上記各回路の動作すべてをCPU67が制御する。このCPU67は、動作プログラムや各種定型データ等を記憶した不揮発性メモリでなるプログラムメモリ68、RAMでなるメインメモリ69を用いてこのプロジェクタ装置2内の制御動作を実行する。
【0054】
上記CPU67にはさらに、上記システムバスSB2を介してキースイッチ部70、インジケータ部71、及び音声処理部72が接続される。
【0055】
キースイッチ部70は、電源キー、モード切換キー、キャンセルキー、フォーカスキー、ズームキー、カーソル(「↑」「↓」「←」「→」)キー、エンターキー等からなる。
【0056】
これらキースイッチ部70の各キーを用いてユーザが任意の操作を行なうと、そのキー操作に応じた操作信号がCPU67へ入力され、CPU67はキースイッチ部70からの入力に応じて制御動作を実行する。
【0057】
インジケータ部71は、例えば複数個のLEDで構成され、各種動作状態等を点灯色と点滅パターンの組合せにより表示する。
【0058】
音声処理部72は、PCM音源等の音源回路を備え、投影動作時に与えられる音声データをアナログ化し、このプロジェクタ装置2の本体ケーシングの例えば背面に設けられるスピーカ73を駆動して拡声放音させ、あるいは必要によりビープ音等を発生させる。
【0059】
次に上記実施形態の動作について説明する。
以下に示す動作は、いずれも制御部31がプログラムメモリ33に記憶された動作プログラムを読出して実行することにより制御される。
【0060】
書画カメラ装置1では、書画台1a上を常時撮影してその画像データを上記バッファメモリであるDRAM30に保持する。制御部31は、このDRAM30に保持している、撮影により得た画像データ中から、画像処理部40により書画台1aに載置されているドキュメント画像の矩形領域を抽出させ、抽出した当該矩形領域の画像データを同じくDRAM30に出力用の画像データとして保持させた上でUSBインタフェース37よりプロジェクタ装置2に向けて出力させる。
【0061】
このとき平行して制御部31が画像処理部40を用いて実行する、DRAM30に保持した撮影により得た画像データに対する処理の内容を図5で示す。
図5では、その当初に画像データ中の書画台1aの範囲内でレーザ光によるポイント部分があるか否かを、画像データ全体を走査して著しく輝度レベルが高いスポット領域部分があるか否かにより判断する(ステップS101)。
【0062】
これは、この書画カメラ装置1及びプロジェクタ装置2のユーザが書画台1a上に載置されたドキュメント用紙DP、またはドキュメント用紙DPを外れた書画台1a上の上記スクロールマークSMa〜SMd、リターンマークRMをレーザポインタLPによりポイント指示しているか否かを判断するためのものである。
【0063】
ここでレーザ光によるポイント部分がないと判断した場合には、再びこのステップS101の処理に戻り、以後繰返してこのステップS101の処理を実行することで、レーザ光によるポイントがなされるのを待機する。
【0064】
しかして、レーザ光によるポイント部分があった場合、ステップS101でこれを判断し、次にそのポイント部分の位置が書画台1a上に載置されたドキュメント用紙DPの矩形範囲内であるか否かを判断する(ステップS102)。
【0065】
ここで、レーザ光によるポイント部分の位置が書画台1a上に載置されたドキュメント用紙DPの矩形範囲内ではなく、同範囲外であると判断した場合には、続いてポイント部分の位置が4つのスクロールマークSMa〜SMdのいずれかであるか否かを判断する(ステップS103)。
【0066】
ここで、レーザ光によるポイント部分の位置がスクロールマークSMa〜SMdのいずれでもないと判断すると、続いてポイント部分の位置がリターンマークRMであるか否かを判断する(ステップS104)。
【0067】
こうして、レーザ光によるポイントの位置がドキュメント用紙DPの矩形範囲内、スクロールマークSMa〜SMd、及びリターンマークRMのいずれであるかを順次判断していくもので、そのいずれでもないと判断した場合には、そのレーザ光によるポイントは無効であるものとして特に何の処理も行なわずに、再び上記ステップS101からの処理に戻って、次にレーザ光によるポイントがあるまで待機する。
【0068】
しかして、レーザ光によるポイントの位置がドキュメント用紙DPの矩形範囲内であった場合、上記ステップS102でこれを判断し、ポイントされた位置を中心として所定倍率での拡大画像データを作成する(ステップS105)。
【0069】
図6(A)は、書画台1a上に載置されたドキュメント用紙DPの矩形範囲内を、レーザポインタLPによりポイントしている状態を例示している。同図(A)では、ドキュメント用紙DPの中央よりやや下方の位置P1をレーザポインタLPにてポイントしており、当該位置P1を中心として所定の倍率、例えば4倍に拡大した画像データを作成する。
【0070】
そして、この作成した拡大画像データを用いてDRAM30の出力用画像データを書換えた後(ステップS106)、上記ステップS101からの処理に戻ることで、プロジェクタ装置2では拡大した画像の投影が実行される。
図6(B)は、上記図6(A)でのポイント位置P1を中心とした拡大画像をスクリーンSC上に投影している状態を例示するものである。
【0071】
また、レーザ光によるポイントの位置が4つのスクロールマークSMa〜SMdのいずれかであった場合、上記ステップS103でこれを判断する。
【0072】
この場合、スクロールマークSMa〜SMdはいずれも拡大画像を表示している場合にのみその指示が有効であるものとし、まずその時点で拡大画像データを出力中であることを確認した後に(ステップS107)、ポイントされた位置のスクロールマークSMa〜SMdの方向に基づいて隣接した範囲での拡大画像データを作成する(ステップS108)。
【0073】
図7(A)は、上記図6(B)で説明した拡大画像の出力状態から、書画台1aの上方向へのスクロールを示すスクロールマークSMaをレーザポインタLPによりポイントしている状態を例示している。この図7(A)では、スクロールマークSMaに該当する位置P2をレーザポインタLPにてポイントしており、上記ステップS105で作成した拡大画像データに隣接する上側の拡大画像データを作成する。
【0074】
そして、この作成した拡大画像データを用いてDRAM30の出力用画像データを書換えた後(ステップS109)、上記ステップS101からの処理に戻ることで、プロジェクタ装置2では上側にスクロールした拡大した画像の投影が実行される。
図7(B)は、上記図7(A)でのスクロールマークSMa上のポイント位置P2をポイントしたことにより、上記図6(B)に示した拡大画像を上側にスクロールした投影状態を例示するものである。
【0075】
また、レーザ光によるポイントの位置がリターンマークRMであった場合、上記ステップS104でこれを判断する。
【0076】
この場合、リターンマークRMは拡大画像を表示している場合にのみその指示が有効であるものとし、まずその時点で拡大画像データを出力中であることを確認した後に(ステップS110)、書画台1a上に載置されたドキュメント用紙DPの矩形領域全面の画像データを作成する(ステップS111)。
【0077】
図8(A)は、上記図6(B)または図7(B)で説明した拡大画像の出力状態から、リターンマークRMをレーザポインタLPによりポイントしている状態を例示している。この図8(A)では、リターンマークRMに該当する位置P3をレーザポインタLPにてポイントしているため、元のドキュメント用紙DPの矩形領域全面に渡った画像データを再度作成する。
【0078】
そして、この作成した画像データを用いてDRAM30の出力用画像データを書換えた後(ステップS112)、上記ステップS101からの処理に戻ることで、プロジェクタ装置2では元のドキュメント用紙DP全面に渡った画像の投影状態に復帰する。
図8(B)は、上記図8(A)でのリターンマークRM上のポイント位置P3をポイントしたことにより、元のドキュメント用紙DPの矩形領域全面に渡った画像の投影状態に復帰した様子を例示するものである。
【0079】
このように本実施形態によれば、書画台1a上で位置指定に基づき、指定された位置に対応した所定の処理を施して画像データを出力するものとしたため、ユーザにとってはより簡易で直感的な理解し易い取扱いとしながら、ドキュメントの画像を適宜加工して出力することが可能となる。
【0080】
特に上記実施形態では、書画台1a上に載置したドキュメント用紙DPの範囲内の任意の位置を指定することにより、当該位置を中心とした拡大画像を即時作成して出力するものとした。これにより、例えばこの書画カメラ装置1のユーザがプレゼンテーションを行なっている場合に、レーザポインタLPを用いて書画台1a上に載置したドキュメント用紙DP内の強調したい部分近傍をポイントすることで、即時当該部分の画像がプロジェクタ装置2により拡大して投影させるなど、ユーザにとっての使い勝手をより向上することができる。
【0081】
また上記実施形態では、書画台1aの上下左右各端部にスクロールマークSMa〜SMdを設け、ドキュメント用紙DPを外れた位置にあるこれらスクロールマークSMa〜SMdを選択的に指定することにより、上記拡大画像に隣接する拡大画像を変わって出力させる、疑似的なスクロールを簡易に実行できるものとしたので、上記ドキュメント用紙DP中の任意位置を拡大する機能と組み合わせて、ユーザにとっての使い勝手をより向上することができる。
【0082】
さらに上記実施形態では、書画台1aの一端部にリターンマークRMを設け、ドキュメント用紙DPを外れた位置にあるこのリターンマークRMを指定することにより、上記拡大画像の表示状態を即時解除して元のドキュメント用紙DPの矩形領域全面の画像データを出力するものとしたので、上記ドキュメント用紙DP中の任意位置を拡大する機能と組み合わせて、ユーザにとっての使い勝手をより向上することができる。
【0083】
なお、上記実施形態では、書画台1aの任意の位置をレーザポインタLPによりポイントし、そのポイント位置を書画台1aを撮影した画像データ中を走査することで書画台1aでの位置指定を行なうものとした。これにより、プレゼンテーション等できわめて一般的に使用されるレーザポインタを有効な位置指定手段としても活用することができると共に、画像データ中からポイント位置を検出する方法として、周囲の画像データと比較して著しく輝度レベルの高いスポット光領域を画像データを走査する過程で検出することができるため、きわめて容易且つ正確な位置検出を行なうことができる。
【0084】
しかしながら、本発明は書画台上の位置指定をする手段としてレーザ光によるスポット位置の指定を行なうものに限ることなく、例えば先端が鮮鋭な指示棒やペン類等の指示部材、あるいは手指での位置指定をドキュメント用紙DPあるいは書画台1a上で行なうことで、撮影により得た画像データの時系列上の変化により画像処理によって上記支持部材あるいは手指の先端部分を検出することで位置検出を行なうものとしてもよいし、または書画台1a全面を感圧タブレットで構成し、該感圧タブレット上に載置したドキュメント用紙あるいは載置していない部位の押圧操作を位置検出するものとしてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、画像の拡大を所定の倍率で行なうものとして説明したが、一律に拡大倍率を設定してしまうのではなく、実用頻度の高い倍率情報をいくつか保持しておいてそれらのうちのいずれかをユーザが選択できるものとしてもよいし、あるいは、位置指定手段であるレーザポインタで1箇所をポイントした場合には第1の倍率、例えば2倍、円を描くようにポイントした場合には第2の倍率、例えば4倍、というようにポイントの仕方によって倍率を異ならせるものとしてもよい。
【0086】
さらに、上記実施形態で用いたスクロールマークSMa〜SMdやリターンマークRMとは別に、拡大倍率のアップ/ダウンを指示するようなマークを書画台1a上に付加し、そのマークが指示された場合には段階的に拡大倍率を増加/減少させるものとしてもよい。
【0087】
さらに、上記実施形態では拡大画像を表示している場合に、ポイントされた位置のスクロールマークSMa〜SMdの方向に基づいて隣接した範囲での拡大画像データを作成するようにしたが、スクロールマークSMa〜SMdがなくても、ドキュメント用紙DPの上下左右の部分などスクロールしたい方向の部分をレーザポインタでポイントすることでスクロールするようにしてもよい。
【0088】
その他、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施形態で実行される機能は可能な限り適宜組合わせて実施しても良い。上述した実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件により適宜の組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0089】
1…書画カメラ装置、1a…書画台、1b…スタンド部、1c…カメラ部、1d…回動アーム部、1e…撮影レンズ、2…プロジェクタ装置、3…USBケーブル、21…モータ(M)、23…CCD、24…タイミング信号発生器(TG)、25…CCDドライバ(Dv.)、26…サンプルホールド回路(S/H)、27…A/D変換器、28…カラープロセス回路、29…バッファコントローラ、30…DRAM、31…制御部、32…メインメモリ、33…プログラムメモリ、34…表示制御部、35…VRAM、36…表示部、37…USBインタフェース(I/F)、38…電源制御部、39…補助光駆動部、40…画像処理部、41…メモリカード、42…高輝度白色LED、43…キー入力部、51…入出力コネクタ部、52…入出力インタフェース(I/F)、53…画像変換部、54…投影駆動部、55…ビデオRAM、56…マイクロミラー素子(SOM)、57…リフレクタ、58…光源ランプ、59…カラーホイール、60…インテグレータ、61…ミラー、62…光学レンズユニット、63…ステッピングモータ(M)、64…マーカセンサ、65…モータ(M)、66…投影光処理部、67…CPU、68…プログラムメモリ、69…メインメモリ、70…キースイッチ部、71…インジケータ部、72…音声処理部、73…スピーカ、DP…ドキュメント用紙、LP…レーザポインタ、P1〜P3…ポイント位置、RM…リターンマーク、SB1,SB2…システムバス、SC…スクリーン、SMa〜SMd…スクロールマーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影対象となるドキュメントを載置するための書画台と、
上記書画台の上面を撮影する撮影手段と、
上記撮影手段で得た画像データにより、書画台上の任意の位置が指定された場合にその位置を検出する検出手段と、
上記検出手段で検出した書画台上の任意の位置に対応し、上記撮影手段で得た画像データに加工を施して出力する出力制御手段と
を具備したことを特徴とする書画カメラ装置。
【請求項2】
上記検出手段は、書画台に載置されたドキュメント上の指定位置を検出し、
上記出力制御手段は、上記検出手段で検出した位置に対応するドキュメント部分を拡大した画像データを作成して出力する
ことを特徴とする請求項1記載の書画カメラ装置。
【請求項3】
上記書画台は、拡大した画像データの出力時に画像データの位置の移動を指示する位置移動マークが付加され、
上記出力制御手段は、上記検出手段が、拡大した画像データの出力時に上記位置移動マークが指定されたことを検出した場合に、上記位置移動マークで指示される方向に対応して拡大したドキュメント部分を移動した画像データを作成して出力する
ことを特徴とする請求項2記載の書画カメラ装置。
【請求項4】
上記書画台は、拡大した画像データの出力時に画像データの拡大解除を指示する拡大解除マークが付加され、
上記出力制御手段は、上記検出手段が、拡大した画像データの出力時に上記拡大解除マークが指定されたことを検出した場合に、上記ドキュメント部分の拡大を解除してドキュメント全体を含む画像データを作成して出力する
ことを特徴とする請求項2記載の書画カメラ装置。
【請求項5】
上記検出手段は、レーザ光の照射位置を検出することを特徴とすることを特徴とする請求項1記載の書画カメラ装置。
【請求項6】
撮影対象となるドキュメントを載置するための書画台と、上記書画台の上面を撮影する撮影部、及び上記撮影部での撮影により取得した画像データを出力する出力部を備えた書画カメラ装置の画像処理方法であって、
上記撮影部で得た画像データにより、書画台上の任意の位置が指定された場合にその位置を検出する検出工程と、
上記検出工程で検出した書画台上の任意の位置に対応し、上記撮影部で得た画像データに加工を施して上記出力部より出力させる出力制御工程と
を有したことを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
撮影対象となるドキュメントを載置するための書画台と、上記書画台の上面を撮影する撮影部、及び上記撮影部での撮影により取得した画像データを出力する出力部を備えた書画カメラ装置に内蔵されたコンピュータが実行するプログラムであって、
上記撮影部で得た画像データにより、書画台上の任意の位置が指定された場合にその位置を検出する検出ステップと、
上記検出ステップで検出した書画台上の任意の位置に対応し、上記撮影部で得た画像データに加工を施して上記出力部より出力させる出力制御ステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−75186(P2012−75186A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−287061(P2011−287061)
【出願日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【分割の表示】特願2007−180179(P2007−180179)の分割
【原出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】