説明

画像処理装置及び画像処理方法

【課題】 フレームの間引き処理を行う場合に、メモリへの書き込み処理の処理負荷を低減させること。
【解決手段】 同期信号制御部103は、カメラモジュール106からの1フレームの画像データに対して出力される一つの垂直同期信号を、複数フレームの画像データに対して一つの垂直同期信号になるように変換する。メモリアクセス部104は、同期信号制御部103から出力される垂直同期信号に基づき、複数フレームの画像データの内の1フレームの画像データをメモリ105に書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラモジュールとカメラモジュールからの画像データを受ける画像処理装置とのインターフェースとしては、同期インターフェースと呼ばれるものが広く知られている。同期インターフェースでは、カメラモジュールが、画像処理装置に対して所定のクロックに同期して画像データを送信するようになっている。通常、同期インターフェースでは、クロックと画像データの他に、垂直同期信号(以下「VSYNC」と記載する)、水平同期信号(以下「HSYNC」と記載する)などの信号を有する。
【0003】
VSYNCとは、1フレーム(1画面)分の画像データ送信区間を示す信号であり、同様に、HSYNCとは、1フレームにおける1ライン分の画像データ送信区間を示す信号である。また、単位時間当たりにカメラモジュールが出力するフレーム数をフレームレートと呼ぶ。
【0004】
カメラモジュールが出力する画像データのフレームレートが、画像データの受け側である画像処理装置にとって所望の値ではない場合、画像処理装置においてフレームを間引く処理が行われる。
【0005】
例えば、フレームの間引き処理と画素の間引き処理を併用することにより、フレームレートおよび画像データサイズの適応的な制御を可能としている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平10−66074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の装置においては、フレームの間引き処理を行う場合、カメラモジュールが出力する全てのフレームを一旦メモリに保持する必要があり、メモリへの書き込み処理においては、間引き処理を行う場合でも間引き処理を行わない場合と同じ処理負荷がかかるというという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、フレームの間引き処理を行う場合に、メモリへの書き込み処理の処理負荷を低減させることができる画像処理装置及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像処理装置は、カメラモジュールからの1フレームの画像データに対して出力される一つの垂直同期信号を、複数フレームの画像データに対して一つの垂直同期信号になるように変換する制御信号変換手段と、前記制御信号変換手段から出力される垂直同期信号に基づき、前記複数フレームの画像データの内の1フレームの画像データをメモリに書き込むためのメモリアクセス手段と、を具備する構成を採る。
【0009】
本発明の画像処理方法は、カメラモジュールからの1フレームの画像データに対して出力される一つの垂直同期信号を、複数フレームの画像データに対して一つの垂直同期信号になるように変換する第1工程と、前記変換された垂直同期信号に基づき、前記複数フレームの画像データの内の1フレームの画像データをメモリに書き込む第2工程と、を具備するようにした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フレームの間引き処理を行う場合に、メモリへの書き込み処理の処理負荷を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて具体的に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態における画像処理装置101の構成を示すブロック図である。
【0013】
本発明の画像処理装置101は、CPU102と、同期信号制御部(制御信号変換手段)103と、メモリアクセス部104と、メモリ105とから構成されている。
【0014】
CPU102は、同期信号制御部103に対しては同期信号制御部制御信号により、また、メモリアクセス部104に対してはメモリアクセス部制御信号により、また、カメラモジュール106に対してはカメラ制御信号により制御を行う。
【0015】
同期信号制御部103は、カメラモジュール106からの同期信号および画像データ信号を所定のフレーム数毎に書き換え、メモリアクセス部104に対して書換え後同期信号および書換え後データ信号を出力する。
【0016】
メモリアクセス部104は、同期信号制御部103からの書換え後同期信号及び書換え後データ信号に基づき、それぞれメモリ制御信号及びデータ信号を生成し、このメモリ制御信号及びデータ信号をメモリ105に出力して、メモリ105への画像データの書き込みを行う。また、CPU102に対して、状態通知信号により動作状態を通知する。
【0017】
カメラモジュール106は、同期信号及び画像データである画像データ信号を画像処理装置101に対して出力する。
【0018】
図2は、カメラモジュール106から画像処理装置101へ画像データを転送する場合のインターフェースであるクロック同期インターフェースのタイミングチャートである。図中のデータ信号は、カメラモジュール106の画像データ信号を示し、クロック、VSYNC及びHSYNCは、カメラモジュール106から出力される同期信号を示している。
【0019】
クロック同期インターフェースでは、クロックに同期して画像データを転送するが、VSYNCがハイ状態の期間に、図示しないLCDに表示する1フレーム(1画面)分のデータを転送する。また、VSYNCがハイ状態の期間において、1フレームのライン数分だけHSYNCがハイ状態となる。そして、HSYNCがハイの期間に1ラインサイズ分の画像データの転送を行う。
【0020】
図3及び図4は、本発明の一実施形態におけるカメラモジュール106の出力及び同期信号制御部103の出力を、それぞれ示したものである。
【0021】
図3におけるデータは、図1におけるカメラモジュール106の画像データ信号を示し、クロック、VSYNC及びHSYNCは、図1におけるカメラモジュール106の同期信号を示している。
【0022】
また、図4におけるデータは、図1における同期信号制御部103の書換え後データ信号を示し、クロック、VSYNC及びHSYNCは、図1における同期信号制御部103の出力である書換え後同期信号を示している。図3の301及び302は、それぞれ1フレーム分の画像データを示している。
【0023】
このように構成した画像処理装置101において、同期信号制御部103は、カメラモジュール106の出力であるVSYNCの立ち上がりエッジ303を検出し、この値を書換え後同期信号として出力する。次に、VSYNCの立ち下がりエッジ304を検出すると、この値は書換え後同期信号には反映しない。更に、VSYNCの立ち上がりエッジ305を検出するが、この値も書換え後同期信号に反映しない。そして、VSYNCの立ち下がりエッジ306を検出した時、この値を書換え後同期信号として出力する。
【0024】
このように連続する2フレーム分のVSYNCに対して変換処理を行うことにより、VSYNCの立ち上がりエッジ303が、同期信号制御部103の出力のVSYNCの立ち上がり407として出力され、また、VSYNCの立ち下がりエッジ306が同期信号制御部103の出力のVSYNCの立ち下がりエッジ408として出力されるため、同期信号制御部103が出力するVSYNCの周期は、カメラモジュール106が出力するVSYNCの周期の1/2となる。
【0025】
カメラモジュール106の出力のうち、VSYNC以外の出力は、そのまま同期信号制御部103の書換え後同期信号および書換え後データ信号として出力される。
【0026】
図5は、本発明の画像処理装置101の制御手順を示したものである。
【0027】
カメラモジュール106からの画像データを取り込む手順としては、まず、CPU102が、カメラモジュール106に対して、画像データの出力開始の設定を行う処理であるカメラモジュール設定を行う(ステップST501)。次に、CPU102は、メモリアクセス部104に対して、画像データのサイズ指定および画像データの取り込み開始の設定の処理であるメモリアクセス部104設定を行う(ステップST502)。メモリアクセス部104では、VSYNCの立ち上がりエッジを検出(ステップST503)した後VSYNCをハイにし、1フレーム分の画像データの取り込みを開始してメモリ105への書き込みを開始する(ステップST504)。メモリアクセス部104は、同期信号制御部103の書換え後同期信号及び書換え後データ信号に従い、1フレーム分の画像データをメモリ105に書きこむことにより、メモリ105への書き込みを完了する(ステップST505)。ここで、メモリ105へ書き込むデータサイズは、1フレーム分の画像データと設定したため、カメラモジュール106からの画像データにおいて、図3及び図4の1フレーム分の画像データ302は、メモリ105へは書き込まれないことになる。
【0028】
メモリアクセス部104は、1フレーム分の画像データをメモリ105へ書きこみ終わると、CPU102に対して状態通知信号により1フレーム分の画像データの取り込み終了を通知する。CPU102は、画像データの取り込みを継続するか否かを判断し(ステップST506)、画像データの取り込みを停止する場合は停止処理を行い、引き続き画像データの取り込みを行う場合は、VSYNCの立ち下がりエッジ306を検出し、VSYNCをローにした後、ステップST503へ戻る。
【0029】
このように、本実施の形態によれば、カメラモジュール106から出力される2フレーム分の同期信号を同期信号制御部103が、1つの書換え後同期信号に変換することにより、メモリアクセス部104がメモリ105へ書き込む画像データは、カメラモジュール106が出力する画像データを1フレームずつ間引いたものとなり、カメラモジュール106からの画像データ全てを取り込まずにフレームレートを1/2とする画像データの取り込みが可能となる。
【0030】
なお、本実施形態では、フレームレートを1/2とする場合を示したが、フレームレートを1/n(nは1以上の整数)とする場合も同様である。この場合、図3に示したカメラモジュール106からの同期信号を、同期信号制御部103がnフレーム単位で書き換えを行えばよい。
【0031】
また、本実施の形態では、1フレーム目の画像データをメモリ105に書き込むように構成したが、2フレーム目の画像データをメモリ105に書き込むように構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、特に、フレームの間引き処理を行う場合において、メモリへの書き込み処理の処理負荷を低減させる画像処理装置に用いるのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図
【図2】クロック同期インターフェースのタイミングチャート
【図3】カメラモジュール出力のタイミングチャート
【図4】同期信号制御部出力のタイミングチャート
【図5】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の制御手順を示すフロー図
【符号の説明】
【0034】
101 画像処理装置
102 CPU
103 同期信号制御部
104 メモリアクセス部
105 メモリ
106 カメラモジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラモジュールからの1フレームの画像データに対して出力される一つの垂直同期信号を、複数フレームの画像データに対して一つの垂直同期信号になるように変換する制御信号変換手段と、
前記制御信号変換手段から出力される垂直同期信号に基づき、前記複数フレームの画像データの内の1フレームの画像データをメモリに書き込むためのメモリアクセス手段と、
を具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
カメラモジュールからの1フレームの画像データに対して出力される一つの垂直同期信号を、複数フレームの画像データに対して一つの垂直同期信号になるように変換する第1工程と、
前記変換された垂直同期信号に基づき、前記複数フレームの画像データの内の1フレームの画像データをメモリに書き込む第2工程と、
を具備することを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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