説明

画像処理装置

【課題】 利便性を向上できる画像処理装置を提供する。
【解決手段】 ドキュメントデータ本体と、少なくとも一つの関連データとを含むドキュメントを処理対象として、当該ドキュメントデータ本体の画像を表示するとともに、当該ドキュメントデータ本体の画像上で、関連データごとに定められた重ね合わせ位置に重ね合わせて、関連データの画像を表示する画像処理装置であって、ドキュメントの印刷指示を受けたときには、関連データの表示の有無に関わらず、ドキュメントデータ本体の印刷画像データを生成し、当該印刷画像データを印刷する画像処理装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷画像に符号画像を合成する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子的なドキュメントに対してメモやスタンプ等の関連データを付箋のように付加するための技術が開発されている。このメモを付加したドキュメントが表示、印刷される際には、ドキュメントの本体のデータ(ドキュメントデータ本体)に基づく画像に、このメモの画像を重ね合わせられ、当該重ね合わせられた結果が表示や印刷される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記従来例の技術では、メモやスタンプ等が合成されて印刷されるので、当該メモによって隠蔽されてしまったドキュメントの一部については、参照できなくなってしまい、利便性が低い。メモやスタンプ等を非表示状態にして印刷することも出来るが、その場合は元々電子ドキュメントに付加されたメモ等の内容を参照できなくなってしまい、利便性が低い。
【0004】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、ドキュメント本体の画像全体を参照可能とするとともに、関連データも再現でき、利便性を向上できる画像処理装置を提供することを、その目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、ドキュメントデータ本体と、少なくとも一つの関連データとを含むドキュメントを処理対象として、前記ドキュメントデータ本体の画像を表示するとともに、当該ドキュメントデータ本体の画像上で、関連データごとに定められた重ね合わせ位置に重ね合わせて、前記関連データの画像を表示する画像処理装置であって、前記ドキュメントの印刷指示を受けたときには、関連データの表示の有無に関わらず、前記ドキュメントのうち、ドキュメントデータ本体の印刷画像データを生成する手段と、当該印刷画像データを印刷する手段と、を含むことを特徴としている。
【0006】
ここで、前記関連データの少なくとも一つを符号化対象として、当該符号化対象となった関連データの少なくとも一部に基づいて符号画像データを生成する手段と、前記印刷画像データに、当該生成した符号画像データを合成する合成手段と、を含むこととしてもよい。
【0007】
また、上記従来例の問題点を解決するための本発明は、ドキュメントデータ本体と、少なくとも一つの関連データとを含むドキュメントを処理対象として、前記ドキュメントデータ本体の画像を表示するとともに、当該ドキュメントデータ本体の画像上で、関連データごとに定められた重ね合わせ位置に重ね合わせて、前記関連データの画像を表示する画像処理装置であって、前記ドキュメントの印刷指示を受けたときには、前記ドキュメントのうち、ドキュメントデータ本体の印刷画像データを生成する手段と、表示されている関連データについては、当該関連データの画像を、当該印刷画像データ上で関連データごとに定められた重ね合わせ位置に重ね合わせて合成する手段と、表示されていない関連データについては、当該関連データを符号化対象として、当該符号化対象となった関連データの少なくとも一部に基づいて符号画像データを生成する手段と、前記合成後の印刷画像データに、当該生成した符号画像データを合成する合成手段と、を含むことを特徴としている。
【0008】
これらの場合に、前記合成手段は、前記ドキュメントデータ本体の画像上で、前記生成した符号画像データに対応する関連データの重ね合わせ領域に対応する対応領域に、符号画像データを合成することとしてもよい。このとき、この合成手段は、前記印刷画像データ上で、前記生成した符号画像データに対応する関連データの重ね合わせ領域に対応する対応領域に、下地画像を半透明合成し、当該下地画像部分に前記生成した符号画像データを合成することとしてもよい。
【0009】
さらに、上記従来例の問題点を解決するための本発明は、復号側の装置であって、上述の画像処理装置によって印刷された画像データを読み取る手段と、前記読み取った画像データに含まれる前記符号画像データから、関連データを復号する手段と、当該復号した関連データの画像を、前記読み取った画像データに合成する手段と、を含み、当該合成後の画像データが提示されることを特徴としている。
【0010】
また、本発明の一態様に係る方法は、ドキュメントデータ本体と、少なくとも一つの関連データとを含むドキュメントを処理対象として、前記ドキュメントデータ本体の画像を表示するとともに、当該ドキュメントデータ本体の画像上で、前記関連データごとに定められた重ね合わせ位置に重ね合わせて、前記関連データの画像を表示する画像処理装置の制御方法であって、前記ドキュメントの印刷指示を受けたときに、関連データの表示の有無に関わらず、前記ドキュメントのうち、ドキュメントデータ本体の印刷画像データを生成して、当該印刷画像データを印刷することを特徴としている。
【0011】
さらに、本発明の別の態様に係るプログラムは、ドキュメントデータ本体と、少なくとも一つの関連データとを含むドキュメントを処理対象として、前記ドキュメントデータ本体の画像を表示するとともに、当該ドキュメントデータ本体の画像上で、前記関連データごとに定められた重ね合わせ位置に重ね合わせて、前記関連データの画像を表示する画像処理プログラムであって、前記ドキュメントの印刷指示を受けた際に、関連データの表示の有無に関わらず、前記ドキュメントのうち、ドキュメントデータ本体の印刷画像データを生成して、当該印刷画像データを印刷するようコンピュータを制御することを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る画像処理装置1は、図1に示すように、制御部11と、記憶部12と、操作部13と、表示部14と、通信部15とを含んで構成されている。また、この画像処理装置1は、ネットワークを介して画像形成装置であるプリンタ2に接続されている。
【0013】
制御部11は、CPU等で構成され、記憶部12に格納されているプログラムに従って動作し、ドキュメントの編集や表示、印刷の処理を行う。またこの制御部11は、関連データを含むドキュメントの印刷を行う際に、当該関連データの画像を合成することなく、ドキュメント本体のデータ(ドキュメントデータ本体)に基づく画像を印刷画像として生成し、当該印刷画像をプリンタ2側に送信する処理を行う。これら制御部11の具体的な処理の内容については、後に詳しく述べる。
【0014】
記憶部12は、RAMやROM等のメモリ素子のほか、ハードディスクやCD−ROM、DVD−ROM等のコンピュータ可読な記録媒体(及び当該記録媒体からデータを読みだす等の制御を行うドライバ)を含む。ここで記憶部12としてのハードディスク等には、制御部11によって実行されるプログラムが格納されている。また、この記憶部12は、制御部11の処理に必要となるデータを保持するワークメモリとしても動作する。
【0015】
操作部13は、キーボードやマウス等であり、利用者の指示操作の内容を制御部11に出力する。表示部14は、ディスプレイ等であり、制御部11から入力される指示に従って画像を表示する。通信部15は、ネットワークに接続されており、制御部11から入力される指示に従って、ネットワーク上の宛先に対してデータを送信する。また、この通信部15は、ネットワークを介して到来するデータを受信して制御部11に出力する。この通信部15は例えば、印刷対象となる画像データをプリンタ2へ送信する指示を、制御部11から受けて、当該画像データをネットワークを介してプリンタ2へと送信する。
【0016】
本実施の形態の画像処理装置1の処理の対象となるドキュメントは、文字列やグラフィックスなどを含むドキュメントの本体に係るデータ(ドキュメントデータ本体)のほかに、当該ドキュメントに関連する情報として付加された注釈(アノテーション)情報を含む。この注釈には、メモとなる文字列やグラフィックス、ハイパーリンク、音声データ、静止画像データ、動画像データなどのデータ形式のものが含まれる。なお、この注釈情報の具体的構造などについては、広く知られているので、ここではその詳細な説明を省略するが、概要は以下の通りである。
【0017】
すなわち、注釈情報には、表示や印刷される画像の元となる提示対象部分データAと、印刷画像には直接含まれない非提示対象部分データBとが含まれる(図2)。ここで非提示対象部分データBは、例えば注釈情報が生成された日時や、注釈情報を生成した利用者を特定する情報、注釈情報の画像を重ね合わせて合成する領域(合成領域)を特定する情報などである。なお、合成領域を特定する情報は、例えばドキュメント上のページを特定する情報や、当該特定されたページ内での合成領域を表す座標(合成領域を矩形で特定する場合は、その矩形の対角線上の2つの頂点座標)情報を含む。
【0018】
制御部11は、こうしたドキュメントの編集、表示、印刷の処理を行う。具体的に制御部11は、注釈情報が関連づけられているドキュメントを表示する場合、図3に示すように、注釈X1からX4をドキュメント本体Pの画像に重ね合わせて表示する。これによって、あたかも付箋が貼付けられているかのように注釈情報が表示される。ここで注釈情報には、非提示対象部分データの一つとして注釈情報の提示対象部分を表示するか、非表示とするかを決定する表示設定情報を含み、制御部11は、当該表示設定情報を参照して、表示すると設定されている注釈情報の提示対象部分を表示する(合成する)。また、表示設定情報が、表示しないと設定されている注釈情報の提示対象部分は表示しない(合成しない)。
【0019】
ここで制御部11が、利用者からドキュメントの印刷指示を受けた際の処理の内容について説明する。制御部11は、ドキュメント本体Pのみの画像データを生成して、これをそのまま通信部15に出力し、プリンタ2に送信させる。これにより、注釈情報が表示されているか否かに関わらず、すべての注釈情報を非表示に設定したときの画像が印刷される。
【0020】
また本実施の形態では、関連データとしての注釈情報を再現できるよう、注釈情報に基づく符号画像データを生成して、符号画像データをドキュメント本体Pの画像データに合成し、当該合成後の画像データを通信部15に出力し、プリンタ2に送信させるようにしてもよい。ここで、符号化データの埋め込みは次のようにして行われる。まず、抽出された注釈情報の符号化処理を行う。この符号化処理は既知の誤り訂正符号を用いて行われる。次に、ドキュメント本体Pの画像データの背景全面に、所定の下地色をつける。ここで、下地色は、画質を大きく損ねることがないように、例えば低濃度の色(例えば淡いグレイ)とするとよい。
【0021】
次に、ドキュメント本体の画像データのうち、符号画像を合成すべき領域の部分画像データを取得する。次に、特開2002−135556号公報に示されている手法を用いて、取得した部分画像データへ、符号化された注釈情報を埋め込み、符号画像データを生成する。生成された符号画像データは、元になった部分画像データの画像内容が判読できるようにして符号化データが埋め込まれている。この生成した符号画像データを、ドキュメント本体の画像データ上の符号画像を合成すべき所定の領域に合成する。
【0022】
[合成先]
この符号画像データを合成する領域(合成先)は、ドキュメント本体Pの全体、あるいは予め定められた位置とすることとしてもよい。この場合には、符号画像データとして、注釈情報の合成領域の情報(画像データ上の領域を定める座標情報)を含めてもよい。この合成領域の情報は、符号画像データを復号したときに、復号によって再現した注釈情報の画像の合成領域を決定するために用いることができる。
【0023】
さらに元の注釈情報の合成領域に対応する領域(対応領域)に、符号画像データを合成しておけば、合成領域の情報は必ずしも必要でない。この場合、当該符号画像データの合成されている位置に基づいて、復号によって再現した注釈情報のドキュメント本体Pの画像上の合成領域を決定すればよい。
【0024】
なお、この場合において制御部11は、複数の合成領域が重複する領域がないかを調べる。合成領域同士が重複する例としては、例えば複数の注釈情報の画像が重なり合っている場合のほか、図4に示すように、斜めに引かれた矢印の画像に係る注釈情報が複数ある場合に、それらの合成領域を矩形(図4破線)で特定すると、注釈情報の画像自体は重なり合わなくとも合成領域同士が重なり合うことになる。
【0025】
そこで制御部11は、まずすべての合成領域を符号画像データの合成先候補とし、次に、各合成領域の座標情報を参照して、互いに重なり合う合成領域がある場合は、その一方(例えば面積の小さい方)を、符号画像データの合成先候補から除外する。
【0026】
[符号化対象データ]
符号化対象データは、注釈情報に含まれる非提示対象部分データの少なくとも一部を符号化対象データとしてもよい。例えば、印刷される注釈情報(表示すると設定されている注釈情報)ごとに、その非提示対象部分データを抽出する。そして抽出した非提示対象部分データに基づいて符号画像データを生成し、抽出元の注釈情報の表示画像(提示対象部分データの画像データ)に合成する。これによると、各注釈情報の画像に、当該注釈情報の非提示対象部分データに関連する符号が合成される。
【0027】
なお、符号画像データの生成においては、必ずしも単一の符号化方式を採用しなければならないものではない。すなわち、文字列のデータと、画像のデータとは互いに異なる符号化方式によって符号化を行ってもよい。具体的に本実施の形態では、記憶部12に予め、データの種別と符号化方式を特定する情報とを関連づけたテーブル(図5)を記憶させておき、制御部11が、符号化対象データの種別を調べ、上記テーブルを参照して当該種別に関連づけられている情報から、当該符号化対象データの符号化方式を特定する。そして当該符号化対象データを当該特定した符号化方式で特定する。このとき、符号化対象データが、複数の種別のデータ要素を含む場合は、各データ要素ごとに異なる符号化方法を採用してもよい。この場合、符号化方法をキーとしてデータ要素の配列順序を並べ替えてから符号化を行い、符号画像データを生成することとしてもよい。このように互いに異なる符号化方法に関連づけられた、複数の種別のデータ要素を含んでなる符号化対象データについては、それぞれの符号化方法に対応して複数の符号画像データが生成されることとなる。そして、これら複数の符号画像データが注釈情報の画像に合成される。
【0028】
また、符号化対象データには、符号画像データに基づいて当該符号化対象データが復号されたときの、復号側における処理を規定する情報を含んでもよい。例えば、符号化対象データが画像データの場合、当該画像データの表示のために起動するアプリケーションを規定する情報を含んでもよい。この情報は、具体的には、データ種別を特定する情報や、起動するアプリケーションの種別を特定する情報などを含んで構成される。
【0029】
[印刷の対象としない関連データの選択]
さらにここまでの説明では、ドキュメントに関連づけられているすべての注釈情報の画像を印刷の対象とせず、ドキュメント本体のデータに基づく画像のみを印刷の対象とする例について述べたが、本実施の形態の画像処理装置は、これに限られるものではない。
【0030】
すなわち、制御部11は、印刷の対象としない注釈情報を所定の選択ルールに従って選択することとしてもよい。ここで選択ルールは、例えば表示設定情報が非表示とする旨を表しているものを選択するルールであってもよい。また、利用者が指定した注釈情報を選択するとのルールであってもよい。このほか、ドキュメントに含まれる文字やグラフィックなどの画像を隠蔽するもの(ドキュメントに含まれるオブジェクトのいずれかと、注釈情報の合成領域とが重なり合っているとの条件で判断できる)を選択するルールであってもよい。
【0031】
さらに注釈情報の合成領域は、ドキュメントの表示領域から突出していてもよい。つまり注釈情報は、ドキュメントの表示領域(印刷用紙の大きさを表す矩形)外にはみ出しているように表示されてもよい(図6)。この場合に、上記選択ルールは、ドキュメントの表示領域から突出している注釈情報を選択するとのルールであってもよい。このほか、注釈情報内に含まれる情報(注釈情報の種別の情報、注釈情報の合成領域の情報、注釈情報が合成されているページの情報など)に基づいて選択するルールであってもよい。
【0032】
さらに選択ルールは、これらの組み合せであってもよい。例えば表示設定情報が非表示であるか、又はドキュメントに含まれる文字やグラフィックなどの画像を隠蔽するものを、印刷の対象としない注釈情報として選択することとしてもよい。
【0033】
このように印刷の対象としない注釈情報を選択する場合、印刷の対象となっている注釈情報については、従来と同様に、ドキュメント本体の画像データに、当該印刷の対象となった注釈情報の画像を合成し、当該合成後の画像を印刷するようにしてもよい。
【0034】
さらに、上記選択ルールに従って選択した、印刷の対象としない注釈情報を符号化の対象として、当該符号化の対象となった注釈情報の少なくとも一部(例えば提示対象部分など)に基づいて符号画像を生成してもよい。制御部11は、当該生成した符号画像を、上記印刷の対象となった注釈情報の画像を合成した後の画像に、さらに合成して印刷する。
【0035】
また、印刷の対象として合成した注釈情報の画像には、当該注釈情報のうち非提示対象部分の少なくとも一部を符号化対象データとして得た符号画像データを合成してもよい。
【0036】
本実施の形態によると、図7(a)に示すように、注釈情報が関連づけられているドキュメントを印刷すると、当該注釈情報が非表示となった状態での印刷結果が得られるようになる(図7(b))。ここで、各注釈情報が合成されていた位置に対応する位置には、各注釈情報に関する符号画像データが合成されている(図7(b)の破線領域内)。ここで図7(b)に示した破線は実際には印刷されるものではなく、ここでの説明のために記載したものである。
【0037】
なお、この場合において、注釈情報に関する符号画像データの合成を容易にするため、制御部11は次のような処理を行ってもよい。
【0038】
すなわち、制御部11はまず、符号画像データに対応する注釈情報の合成領域に対応する位置に、下地画像を半透明合成し、当該下地画像部分に、符号画像データを合成するのである。ここで下地画像は、符号画像データの合成の対象となる領域を塗潰す図形でよい。この場合、当該塗潰しに用いる色は、予め定められた色としてもよいし、当該合成の対象となる領域内のドキュメントの画像の画素値に基づいて定めてもよい。具体的に、制御部11は、符号画像データの合成の対象となる領域を決定すると、当該領域内に含まれるドキュメントの画像の画素値の出現頻度を調べ、出現頻度の最も高い値(最頻値)を取得する。そして、当該最頻値が表す色の色相を参照して、当該色相の値に対して、色空間上で補色となる色相の値を決定する。また、彩度、明度については予め定めた値(比較的低彩度となるもので肉眼により視認しにくい彩度、明度を選択しておく)に決定して、当該決定された色相、彩度、明度の値からなる色の値(補色値)を定める。そして制御部11は、当該補色値で塗潰した図形を、上記合成の対象となる領域に半透明合成する。ここで半透明合成とは、合成前の画素値aと、合成の対象となる画素値(この場合は補色値b)を所定割合で合成する処理や、あるいは合成前の画素値aの明度が補色値bよりも明るい場合に、当該画素の画素値を補色値bに置き換えるなどの処理である。
【0039】
このように比較的低彩度の下地画像を配してから符号画像データを合成することにより、紙面の色(一般のビジネス文書などでは白色)に対して合成した場合に比べ、当該符号画像データが肉眼によって視認されにくくなり、印刷結果の視認性を維持できる。
【0040】
[復号側装置]
次に、本発明の実施の形態に係る復号側装置について説明する。本実施の形態の復号側装置は、図8に示すように、制御部21と、記憶部22と、操作部23と、表示部24と、スキャナ部25とを含んで構成されている。
【0041】
ここで制御部21は、CPU等で構成され、記憶部22に格納されているプログラムに従って動作し、スキャナ部25で読み取られた画像データを取得して表示する処理や、当該画像データに含まれる符号画像データを復号する処理などを行う。これら制御部21の具体的な処理の内容については、後に詳しく述べる。
【0042】
記憶部22は、RAMやROM等のメモリ素子のほか、ハードディスクやCD−ROM、DVD−ROM等のコンピュータ可読な記録媒体(及び当該記録媒体からデータを読みだす等の制御を行うドライバ)を含む。ここで記憶部22としてのハードディスク等には、制御部21によって実行されるプログラムが格納されている。また、この記憶部22は、制御部21の処理に必要となるデータを保持するワークメモリとしても動作する。
【0043】
操作部23は、キーボードやマウス等であり、利用者の指示操作の内容を制御部21に出力する。表示部24は、ディスプレイ等であり、制御部21から入力される指示に従って画像を表示する。スキャナ部25は、用紙上に形成された画像を光学的に読み取って、画像データとして制御部21に出力するものである。
【0044】
ここで制御部21の動作について説明する。具体的にここでは、本実施の形態の画像処理装置1によって生成され、プリンタ2によって印刷された印刷物(図7(b)に示したように、符号画像データが合成されているもの)を読み取ったときの処理について説明する。
【0045】
制御部21は、スキャナ部25から読み取りによって得られた画像データの入力を受けて、記憶部22に格納する。制御部21は、当該画像データ(ドキュメント本体の画像データ)を表示部24に表示する。また制御部21は、利用者から注釈情報を再現するべき旨の指示を受けると、記憶部22に格納した画像データに含まれる符号画像データの領域を特定し、当該特定した領域に内包されている符号画像データから関連データである注釈情報に関係する情報を復号する。
【0046】
制御部21は、当該復号した情報を、表示部24に表示する。制御部21は、当該復号して得た注釈情報に関連する情報に基づいて生成した画像を、ドキュメント本体の画像データに合成して表示してもよい。このとき、当該合成の位置は、復号した情報に合成領域を表す情報が含まれていれば当該位置としてもよいし、予め定めた所定の位置としてもよい。また、復号した符号画像データの領域を合成領域として、ドキュメント本体の画像データ上の当該合成領域に、復号して得た注釈情報に関連する情報に基づいて生成した画像を合成してもよい。
【0047】
これにより、例えば符号画像データから注釈情報の少なくとも提示対象部分が復号可能で、かつ、合成領域が取得可能な場合には、図7(b)に示した画像から、図7(a)に示したような元の注釈情報を含むドキュメントが再現できる。
【0048】
また、制御部21は、利用者から入力される指示により各注釈情報を合成領域に合成して表示するか、あるいは合成をせずに非表示とするかを定めてもよい。このようにすることで、印刷前のドキュメントデータにおけるのと同様に、注釈情報を付箋のように扱うことができるようになる。
【0049】
[変形例]
ここまでの説明において、画像処理装置1の制御部11は、例えばPDFのドキュメントなど、関連データを含むドキュメントを編集、表示等するアプリケーションの処理において、関連データに関する符号画像データを生成して合成する処理を行っていたが、当該処理の実行態様は、これに限られない。
【0050】
例えばドキュメント本体の画像データの入力を受けたプリンタドライバの処理として実行してもよい。すなわち制御部11が当該画像データをプリンタ2にて印刷させるための指示データとして、PDL(Page Description Language)によって記述したデータを生成した後、当該PDLによって記述されたデータに符号画像データを合成する指示を追記してもよい。
【0051】
また、プリンタドライバの処理として、制御部11がラスタ画像データを生成して、当該ラスタ画像データをプリンタ2に対して送信し、プリンタ2が当該ラスタ画像データをそのまま印刷する場合は次のようにしてもよい。すなわち、制御部11は、生成したラスタ画像データのうち、符号画像データを合成する領域に相当する部分のラスタ画像を取り出し、符号画像データを合成した後に、当該合成後のラスタ画像を、上記取り出した位置に上書して合成する。
【0052】
これらの方法によっても、符号画像データを合成した画像データを生成することができる。なお、制御部11は、例えばプリンタ2の種類やプリンタドライバの設定に基づいて符号画像データを合成するか否かを決定してもよい。例えば、白黒二値で印刷するよう設定されている場合、符号画像データの合成は困難となるので、その場合には、符号画像データを合成しないよう制御することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の構成例を表すブロック図である。
【図2】関連データの構造の例を表す説明図である。
【図3】関連データが付加されたドキュメントの表示例を表す説明図である。
【図4】合成領域が重複する例を表す説明図である。
【図5】データ種別と符号化方式とを関連付けるテーブルの例を表す説明図である。
【図6】ドキュメントの表示領域外にはみ出して表示される関連データの例を表す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の動作例を表す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る復号側装置の構成ブロック図である。
【符号の説明】
【0054】
1 画像処理装置、2 プリンタ、11,21 制御部、12,22 記憶部、13,23 操作部、14,24 表示部、15 通信部、25 スキャナ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドキュメントデータ本体と、少なくとも一つの関連データとを含むドキュメントを処理対象として、前記ドキュメントデータ本体の画像を表示するとともに、当該ドキュメントデータ本体の画像上で、関連データごとに定められた重ね合わせ位置に重ね合わせて、前記関連データの画像を表示する画像処理装置であって、
前記ドキュメントの印刷指示を受けたときには、関連データの表示の有無に関わらず、前記ドキュメントのうち、ドキュメントデータ本体の印刷画像データを生成する手段と、
当該印刷画像データを印刷する手段と、
を含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記関連データの少なくとも一つを符号化対象として、当該符号化対象となった関連データの少なくとも一部に基づいて符号画像データを生成する手段と、
前記印刷画像データに、当該生成した符号画像データを合成する合成手段と、
を含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
ドキュメントデータ本体と、少なくとも一つの関連データとを含むドキュメントを処理対象として、前記ドキュメントデータ本体の画像を表示するとともに、当該ドキュメントデータ本体の画像上で、関連データごとに定められた重ね合わせ位置に重ね合わせて、前記関連データの画像を表示する画像処理装置であって、
前記ドキュメントの印刷指示を受けたときには、前記ドキュメントのうち、ドキュメントデータ本体の印刷画像データを生成する手段と、
表示されている関連データについては、当該関連データの画像を、当該印刷画像データ上で関連データごとに定められた重ね合わせ位置に重ね合わせて合成する手段と、
表示されていない関連データについては、当該関連データを符号化対象として、当該符号化対象となった関連データの少なくとも一部に基づいて符号画像データを生成する手段と、
前記合成後の印刷画像データに、当該生成した符号画像データを合成する合成手段と、
を含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の画像処理装置であって、
前記合成手段は、前記ドキュメントデータ本体の画像上で、前記生成した符号画像データに対応する関連データの重ね合わせ領域に対応する対応領域に、符号画像データを合成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像処理装置であって、
前記合成手段は、前記印刷画像データ上で、前記生成した符号画像データに対応する関連データの重ね合わせ領域に対応する対応領域に、下地画像を半透明合成し、当該下地画像部分に前記生成した符号画像データを合成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一項に記載の画像処理装置によって印刷された画像データを読み取る手段と、
前記読み取った画像データに含まれる前記符号画像データから、関連データを復号する手段と、
当該復号した関連データの画像を、前記読み取った画像データに合成する手段と、
を含み、
当該合成後の画像データが提示されることを特徴とする復号側装置。
【請求項7】
ドキュメントデータ本体と、少なくとも一つの関連データとを含むドキュメントを処理対象として、前記ドキュメントデータ本体の画像を表示するとともに、当該ドキュメントデータ本体の画像上で、前記関連データごとに定められた重ね合わせ位置に重ね合わせて、前記関連データの画像を表示する画像処理方法であって、
前記ドキュメントの印刷指示を受けたときに、関連データの表示の有無に関わらず、前記ドキュメントのうち、ドキュメントデータ本体の印刷画像データを生成して、当該印刷画像データを印刷することを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
ドキュメントデータ本体と、少なくとも一つの関連データとを含むドキュメントを処理対象として、前記ドキュメントデータ本体の画像を表示するとともに、当該ドキュメントデータ本体の画像上で、前記関連データごとに定められた重ね合わせ位置に重ね合わせて、前記関連データの画像を表示する画像処理プログラムであって、
前記ドキュメントの印刷指示を受けた際に、関連データの表示の有無に関わらず、前記ドキュメントのうち、ドキュメントデータ本体の印刷画像データを生成して、当該印刷画像データを印刷するようコンピュータを制御することを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−33754(P2006−33754A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213558(P2004−213558)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】