説明

画像処理装置

【課題】各ブロック画像に対して巡回型の画像処理を行い、かつ、各ブロック画像を互いに重ね合わせて画像処理を行う場合において、巡回型画像処理後の画像データに含まれるノイズを低減することが可能な画像処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】「現フィルタ処理画像記憶領域」に書き込まれた全体の合成データの外周部の状態フラグを「10」から「01」に変更するフラグ管理部12と、「前フィルタ処理画像記憶領域」からブロック画像の外周部が出力されるとき、外周部位置情報Aを出力する処理位置管理部10とを備えて画像処理装置1を構成し、外周部位置情報Aが出力され、かつ、「10」の状態フラグのとき、ノイズリダクション2から出力される合成データをフレームメモリ87に書き込ませない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1フレームの画像データの分割後の各ブロック画像に対して巡回型の画像処理を行う画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の電子的撮像装置においては、光学系により結像された被写体像を、CCD等の撮像素子により光電変換して撮像データを取得し、この撮像データに種々の画像処理を施した後に、JPEG等の圧縮方式で圧縮してメモリカード等の記録媒体に記録するのが一般的であり、該デジタルカメラ等の電子的撮像装置は、画像処理装置を兼ねたものとなっている。
【0003】
ところで、デジタルカメラや銀塩カメラを含むカメラの光学系においては、大小の差こそあれ、歪曲収差を生じるのが一般的である。この歪曲収差は、例えば、格子状の被写体を撮影すると、樽型(図8A参照)、糸巻き型(図8B参照)などとして観測される。また、現在発売されているカメラは、光学ズームを行い得る機種が多いが、こうしたズーム可能な光学系は、ワイド端からテレ端にかけてのズームレンジ内で焦点距離を変更すると、歪曲収差の状態が変化することが多い。このような現象に対し、画像処理の一部として歪補正を行う技術が、従来より開発されている。
【0004】
図8Cは、既存の画像処理装置を示す図である。
図8Cに示す画像処理装置80は、撮像素子81と、プリプロセス部82と、イメージプロセス部83と、歪補正処理部84と、JPEG圧縮部85と、CPU86と、フレームメモリ87と、記録媒体88とを備えて構成されている。
【0005】
まず、CCD等の撮像素子81は、光学系により結像された光学的な被写体像を光電変換して電気的な撮像信号を生成する。この撮像信号は、プリプロセス部82において、画素欠陥の補正やA/D変換などのプリプロセス処理が行われた後に、フレームメモリ87に記憶される。
【0006】
次に、フレームメモリ87に記憶された画像データが、読み出されて、イメージプロセス部83において、単板信号から3板信号への変換処理や、ローパスフィルタ処理、エッジ強調処理、拡大縮小処理などの各種のイメージプロセスの画像処理が行われる。
【0007】
そして、イメージプロセスの画像処理後の画像信号は、歪補正処理部84において、歪み補正処理が行われた後、JPEG圧縮部85において、JPEGの圧縮方式で圧縮され、画像ファイルとしてメモリカードなどの記録媒体88へ記録される。
【0008】
図8Cに示すように、イメージプロセス部83、歪補正処理部84、及びJPEG圧縮部85をパイプライン処理可能なように接続して、フレームメモリ87からの画像データをパイプライン処理することにより、バスの負荷を減らすようにした技術がある(例えば、特許文献1参照)。この技術により、バスの負荷を減らしながら、フレームメモリ87のメモリ容量を増やすことなく拡大縮小処理を含む画像処理をリアルタイムで行うことができる。
【0009】
さらに、フレームメモリ87に記憶されている画像データをブロック単位で所定方向に読み出すことで、パイプライン処理を行う際のバッファ量を減らす技術もある(例えば、特許文献2参照)。この技術により、低消費電力、省メモリの画像処理装置を構成するこ
とができる。
【0010】
また、デジタルカメラにはEVF(Electric View Finder)を搭載するものがある。シャッターチャンスを逃さないためにも信号処理による表示遅延が短い方が良いが、高画質確保のためのノイズ低減処理で大きい空間フィルタ処理や複雑な処理を導入すると処理時間が掛かるので、ノイズ低減効果が大きく、かつ処理時間が短いフレーム巡回フィルタの導入が一般的である。
【0011】
図9は、図8Cに示す画像処理装置80において、イメージプロセス部83と歪補正処理部84との間に巡回型のノイズリダクション89を設けたものを示している。
図10は、一般的な巡回型のノイズリダクション89を示す図である。図10に示すノイズリダクション89は、イメージプロセス部83から出力される各画素のデータに対して1−K倍する乗算器90と、フレームメモリ87から出力される各画素のデータに対してK倍する乗算器91と、乗算器90、91からそれぞれ出力される各画素のデータを加算し歪補正処理部84及びフレームメモリ87にそれぞれ出力する加算器92とを備え、フレーム間の相関が低い画素(つまりノイズが重畳)において、フレーム間の相関を利用したフィルタ処理特性でランダム雑音を除去できるものである(例えば、特許文献3参照)。また、図11に示すように、3×3画素程度の小さなウィンドウサイズの2次元空間フィルタ93、94をさらに備えるノイズリダクション89では、さらに処理時間が掛からず、大きなノイズ低減効果が得られる。
【0012】
図12は、歪補正処理部84における歪補正処理を説明するための図である。なお、歪補正処理前の光学歪みのあるブロック画像A1、B1を補正して、本来のブロック画像A2、B2に変換するものとする。
【0013】
まず、本来のブロック画像A2、B2のそれぞれの頂点を、例えば、特開2004−362069号公報の数1〜数4の変換式によりブロック画像A1、B2のそれぞれの頂点に変換する。
【0014】
次に、ブロック画像A1、B1が収まる正方形のブロック画像A3、B3を設定する。
そして、歪補正処理時、歪補正処理部84内のバッファに格納されたブロック画像A3、B3からブロック画像A1、B1が読み出される。このとき、ブロック画像A3、B3が互いに重なり合う部分のブロック画像Cが2度読み出される。
【0015】
このように、歪み補正量は大きいほど、読出し時のブロック画像のサイズは大きくなる。また、ブロック画像の中心部と外周部とでは歪補正量が異なるので、歪補正処理後のブロック画像のサイズを一定にする場合、読出し時のブロック画像のサイズを可変量にしておく必要がある。また、ノイズリダクション89は、ブロック画像A1、B1の単位でフィルタ処理を行う必要がある。
【0016】
図13は、図11に示す2次元空間フィルタ93を示す図である。なお、2次元空間フィルタ94は、2次元空間フィルタ93と同様の構成であるため説明を省略する。また、図13に示す2次元空間フィルタ93は、図14Aに示すような3×3画素のウィンドウの周辺画素を用いてその周辺画素の中心にある注目画素を演算するものとする。
【0017】
図13に示す2次元空間フィルタ93は、ラインメモリ(LM)95、96と、9つのフリップフロップ(FF)97と、データコピー部98と、加算器99とを備えて構成されている。
【0018】
ラインメモリ95、96は、それぞれ、2次元空間フィルタ93に順次入力される画素
を保持する。
フリップフロップ97は、2次元空間フィルタ93に順次入力される画素と、ラインメモリ95から出力される画素と、ラインメモリ96から出力される画素とを保持する。
【0019】
データコピー部98は、フリップフロップ97から出力される各画素において、加算器99の演算に必要な全ての画素が揃っている場合、フリップフロップ97から出力される各画素をそのまま加算器99に出力し、フリップフロップ97から出力される各画素において、加算器99の演算に必要な全ての画素が揃っていない場合、フリップフロップ97から出力される各画素を使って、揃ってない画素を供給して加算器99に出力する。例えば、図14Bに示すブロック画像において、ブロック画像の外周部である鎖線が通る各画素については演算に必要な周辺画素がすべて揃わない。そこで、データコピー部98では、例えば、図14Cに示すように、鎖線が通る各画素の内側のそれぞれの画素を、鎖線を基準として線対称又は点対称で外側へそれぞれコピーする。このように周辺画素を供給する処理を、以下、画素拡張処理という。
【0020】
加算器99は、データコピー部98から出力される各画素を加算することにより注目画素を求める。このように周辺画素などにより注目画素を求める処理を、以下、フィルタ演算処理という。
【特許文献1】特開2000−311241号公報
【特許文献2】特開2000−312327号公報
【特許文献3】特開2006−135653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、データコピー部98において、供給される画素はあくまで仮の周辺画素であるため、本来の正しい値ではない。そのため、上述のように、ノイズリダクション89から出力される画像データのブロック画像が何回も巡回され、かつ、ノイズリダクション89の後段の歪補正処理部84において、隣り合うブロック画像同士を互いに重ね合わせる必要がある場合、仮の周辺画素により求められた注目画素により周辺画素のみにより求められた正しい注目画素が上書きされてしまい、ノイズリダクション89から出力される画像データにノイズが発生してしまうおそれがある。
【0022】
そこで、1フレームの画像データを複数のブロック画像に分割せずにノイズリダクション89においてノイズ低減処理を行うことが考えられるが、この場合は、ノイズリダクション89とフレームメモリ87との間などに大きな記憶容量のバッファが必要になるという問題がある。
【0023】
また、ノイズリダクション89内に2次元空間フィルタ93、94を備えないことが考えられるが、ノイズリダクション89におけるノイズ低減効果が低下し、画面に含まれるノイズが多くなるという問題がある。
【0024】
そこで、本発明では、1フレームの画像データの分割後の各ブロック画像に対して巡回型画像処理部が画像処理を行い、かつ、その巡回型画像処理部の後段の画像処理部において各ブロック画像の一部を互いに重ね合わせて画像処理を行う場合において、巡回型画像処理部から出力される画像データに含まれるノイズを低減することが可能な画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記の課題を解決するために本発明では、以下のような構成を採用した。
すなわち、本発明の画像処理装置は、1フレームの画像データを順次出力する画像出力
手段と、2次元空間フィルタを備える巡回型画像処理手段と、第1及び第2の記憶領域を備える記憶手段と、前記画像出力手段から出力される1フレームの画像データを前記第1の記憶領域に書き込む第1の書込み制御手段と、前記第1の記憶領域に書き込まれた1フレームの画像データを複数のブロック画像に分割してそれらブロック画像を順次読み出し前記巡回型画像処理手段に出力する第1の読出し制御手段と、前記巡回型画像処理手段から順次出力される画像データを前記第2の記憶領域に書き込む第2の書込み制御手段と、前記第2の記憶領域に書き込まれた全体の画像データのうちの外周部の画像データに対応する状態フラグのみを、前記2次元空間フィルタで画素拡張処理が行われずに得られた画像データであることを示す第1の状態フラグから前記2次元空間フィルタで画素拡張処理が行われて得られた画像データであることを示す第2の状態フラグに変更するフラグ管理手段と、前記第2の記憶領域に書き込まれた1フレーム前の全体の画像データを複数のブロック画像に分割してそれらブロック画像を順次読み出し前記巡回型画像処理手段に出力する第2の読出し制御手段と、前記第2の読出し制御手段により前記第2の記憶領域からブロック画像の外周部の画像データが読み出されるとき、その外周部の位置を示す外周部位置情報を出力する処理位置管理手段とを備え、前記第2の書込み制御手段は、前記処理位置管理手段から外周部位置情報が出力され、かつ、前記第2の読出し制御手段により前記第2の記憶領域から読み出された画像データに対応する状態フラグが前記第1の状態フラグであるとき、前記巡回型画像処理手段から出力される画像データを前記第2の記憶領域に書き込ませない。
【0026】
また、前記状態フラグは、前記記憶手段の全体のバス幅のうち、前記画像データにより使用されるバス幅以外の余りのバス幅を使用してもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、フレーム画像の分割後の各ブロック画像に対して巡回型の2次元空間フィルタの処理を行う場合において、その2次元空間フィルタの後段の画像処理部の結果にノイズが含まれないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態の画像処理装置を示す図である。なお、図9に示す構成と同じ構成には同じ符号を付している。
【0029】
図1に示す画像処理装置1は、例えば、デジタルカメラなどの撮像装置に搭載される画像処理装置であって、撮像素子81と、プリプロセス部82と、イメージプロセス部83と、歪補正処理部84と、JPEG圧縮部85と、CPU86と、フレームメモリ87と、記録媒体88と、巡回型画像処理部としてのノイズリダクション2とを備えて構成されている。
【0030】
図2は、ノイズリダクション2を示す図である。なお、図11に示す構成と同じ構成には同じ符号を付している。
図2に示すノイズリダクション2は、乗算器90、91と、加算器92と、2次元空間フィルタ93、94と、読出し制御部3、4と、書込み制御部5、6と、セレクタ7と、データ分離部8と、データ合成部9と、処理位置管理部10と、フラグ情報設定部11と、フラグ管理部12とを備えて構成されている。
【0031】
フレームメモリ87は、「オリジナル画像記憶領域」と、「現フィルタ処理画像記憶領域」と、「前フィルタ処理画像記憶領域」とを備えているものとする。
データ合成部9は、セレクタ7により選択される画像データと、フラグ情報設定部11から出力される状態フラグとを合成する。データ合成部9により合成された合成データは
、書込み制御部5による書込み制御に基づいて、はじめに「現フィルタ処理画像記憶領域」に書き込まれ、1フレーム分の合成データが「現フィルタ処理画像記憶領域」に書き込まれると、「現フィルタ処理画像記憶領域」が「前フィルタ処理画像記憶領域」に、「前フィルタ処理画像記憶領域」が「現フィルタ処理画像記憶領域」に変更され、次の1フレーム分の合成データが「現フィルタ処理画像記憶領域」に書き込まれる。
【0032】
処理位置管理部10は、「前フィルタ処理画像記憶領域」から読み出される合成データの位置がブロック画像の外周部(例えば、図14Bに示すブロック画像において鎖線が通る各画素)の位置であることを示す外周部位置情報A、又は、「前フィルタ処理画像記憶領域」から読み出される合成データの位置が外周部以外(例えば、図14Bに示すブロック画像において斜線部分の画素)の位置であることを示す内部位置情報Bを出力する。
【0033】
図3A及び図3Bは、それぞれ、合成データの一例を示す図である。
図3Aに示す合成データは、1画素分の画像データ1とその画像データ1に対応する状態フラグとから構成されており、図3Bに示す合成データは、複数の画像データ1、2とそれら画像データ1、2にそれぞれ対応する複数の状態フラグ1、2とから構成されている。状態フラグの種類には、「00」、「01」、「10」がある。「00」は、対応する画像データがまだノイズリダクション2により処理されていない未処理データであることを示す。「01」は、対応する画像データがノイズリダクション2において画素拡張処理により得られた画素と周辺画素とでフィルタ演算処理が行われた非正規処理データであることを示す。「10」は、対応する画像データがノイズリダクション2において画素拡張処理が行われずに周辺画素のみでフィルタ演算処理が行われた正規処理データであることを示す。また、通常、フレームメモリ87のバス幅は8の倍数である。一方、画素データは14ビット程度である。フレームメモリ87のバス幅が16ビットの場合、2ビットの余りが生じる。この余ったビットに状態フラグを割り当てることにより、フレームメモリ87の使用量を増加させないようにすることができる。
【0034】
図4は、電源投入後にノイズリダクション2により処理される1フレーム目の画像データの流れ(破線)を示す図である。また、図5A〜図5Dは、1フレーム目の合成データがフレームメモリ87に書き込まれていく様子を示す図である。
【0035】
まず、図5Aに示すように、イメージプロセス部83から出力される1フレーム目の画像データがラスタスキャン順にフレームメモリ87の「オリジナル画像記憶領域」に書き込まれる。このとき、フレームメモリ87の「現フィルタ処理画像記憶領域」には、フラグ管理部12から出力される未処理データを意味する「00」の状態フラグを有する合成データ(画像データ+状態フラグ「00」)がすべて書き込まれる。
【0036】
次に、図5Bの四角線に示すように、「オリジナル画像記憶領域」に書き込まれた画像データが読出し制御部3によりブロック画像単位で読み出される。このときのブロック画像のサイズは、歪補正処理部84の歪補正処理で必要なブロック画像(例えば、図12に示すブロック画像A3、B3)のサイズとする。
【0037】
次に、図4に示すように、フレームメモリ87から読み出された画像データがセレクタ7により選択され、その画像データが歪補正処理部84及びデータ合成部9にそれぞれ出力される。このとき、フラグ情報設定部11からデータ合成部9に正規処理データを意味する「10」の状態フラグが出力され、データ合成部9において、画像データと状態フラグ「10」とが合成される。
【0038】
次に、図5Bに示すように、データ合成部9から出力される合成データ(画像データ+状態フラグ「10」)が書込み制御部5により、隣り合うブロック画像同士が一部(例え
ば、図12に示すブロック画像C)互いに重なり合うように「現フィルタ処理画像記憶領域」に書き込まれていく。このとき、合成データ(画像データ+状態フラグ「10」)は、ブロック画像単位でラスタスキャン順に「現フィルタ処理画像記憶領域」に書き込まれていく。また、「前フィルタ処理画像記憶領域」にはまだ合成データが書き込まれていないので読出し制御部4による読出し制御は行われない。
【0039】
次に、図5Cに示すように、「現フィルタ処理画像記憶領域」に1フレーム分の画像データが書き込まれると、イメージプロセス部83から出力される2フレーム目の画像データが「オリジナル画像記憶領域」に上書きされるまでのブランキング期間において、フラグ管理部12は、図5Dに示すように、「現フィルタ処理画像記憶領域」に書き込まれた画像データ全体の外周部の各合成データ(画像データ+状態フラグ「10」)のそれぞれの状態フラグ「10」を全て非正規処理データを意味する「01」に変更する。なお、「現フィルタ処理画像記憶領域」に書き込まれた画像データ全体の外周部の各合成データ(画像データ+状態フラグ「01」)のそれぞれの位置は、フラグ管理部12やCPU86において、特開2004−362069号公報の数1〜数4の変換式により、歪補正処理部84で歪補正処理が行われる前のブロック画像(例えば、図12のブロック画像A1、B1)を求め、そのブロック画像を含む正方形のブロック画像(例えば、図12のブロック画像A3、B3)の外周部の各画素のそれぞれの位置を計算してもよい。また、「現フィルタ処理画像記憶領域」に書き込まれた画像データ全体の外周部の各合成データ(画像データ+状態フラグ「01」)のそれぞれの位置を、予め各ズーム倍率毎の歪み補正係数に応じて求めておきROMなどに記憶させておいてもよい。
【0040】
そして、イメージプロセス部83から出力される2フレーム目の画像データが「オリジナル画像記憶領域」に全て書き込まれると、「現フィルタ処理画像記憶領域」が「前フィルタ処理画像記憶領域」に、「前フィルタ処理画像記憶領域」が「現フィルタ処理画像記憶領域」に変更される。
【0041】
図6は、ノイズリダクション2により処理される2フレーム目の画像データの流れを示す図である。また、図7A〜図7Cは、2フレーム目の合成データがフレームメモリ87に書き込まれていく様子を示す図である。
【0042】
まず、図7Aに示すように、イメージプロセス部83から出力される2フレーム目の画像データがラスタスキャン順にフレームメモリ87の「オリジナル画像記憶領域」に書き込まれる。このとき、フレームメモリ87の「現フィルタ処理画像記憶領域」には、フラグ管理部12から出力される「00」の状態フラグを有する合成データ(画像データ+状態フラグ「00」)がすべて書き込まれる。
【0043】
次に、図6及び図7Bに示すように、「オリジナル画像記憶領域」に書き込まれた画像データが読出し制御部3によりブロック画像単位で読み出されるとともに、「前フィルタ処理画像記憶領域」に書き込まれた合成データが読出し制御部4によりブロック画像単位で読み出され、その合成データがデータ分離部8により画像データと状態フラグとに分離される。「オリジナル画像記憶領域」から読み出された画像データは、処理位置管理部10から外周部位置情報Aが出力されているとき、2次元空間フィルタ93において画素拡張処理により得られた画素と周辺画素とでフィルタ演算処理が行われた後、乗算器90において1−K倍されて加算器92に出力され、処理位置管理部10から内部位置情報Bが出力されているとき、2次元空間フィルタ93において周辺画素のみでフィルタ演算処理が行われた後、乗算器90において1−K倍されて加算器92に出力される。また、データ分離部8により分離された画像データは、処理位置管理部10から外周部位置情報Aが出力されているとき、2次元空間フィルタ94において画素拡張処理により得られた画素と周辺画素とでフィルタ演算処理が行われた後、乗算器91においてK倍されて加算器9
2に出力され、処理位置管理部10から内部位置情報Bが出力されているとき、2次元空間フィルタ94において周辺画素のみでフィルタ演算処理が行われた後、乗算器91においてK倍されて加算器92に出力される。加算器92は、乗算器90、91からそれぞれ出力される画像データを加算して出力する。
【0044】
次に、図6に示すように、加算器92から読み出された画像データがセレクタ7により選択され、その画像データがデータ合成部9に出力される。このとき、データ分離部8により分離された状態フラグがデータ合成部9に出力され、データ合成部9において、画像データと状態フラグとが合成される。
【0045】
次に、図6及び図7Bに示すように、データ合成部9から出力される合成データが書込み制御部5により、隣り合うブロック画像同士が一部(例えば、図12に示すブロック画像C)互いに重なり合うように「現フィルタ処理画像記憶領域」に書き込まれていく。このとき、書込み制御部5は、処理位置管理部10から外周部位置情報Aが出力され、かつ、データ分離部8により分離された状態フラグが正規処理データを意味する「10」であるとき、データ合成部9から出力される合成データ(画像データ(非正規処理データ)+状態フラグ「10」)により「現フィルタ処理画像記憶領域」の合成データ(画像データ(正規処理データ)+状態フラグ「10」)が上書きされないように、データ合成部9から出力される合成データ(画像データ(非正規処理データ)+状態フラグ「10」)を「現フィルタ処理画像記憶領域」に書き込ませない。また、書込み制御部5は、処理位置管理部10から外周部位置情報Aが出力され、かつ、データ分離部8により分離された状態フラグが非正規処理データを意味する「01」であるとき、データ合成部9から出力される合成データ(画像データ(非正規処理データ)+状態フラグ「01」)により「現フィルタ処理画像記憶領域」の画像データ(画像データ(非正規処理データ)+状態フラグ「01」)が上書きされるように、データ合成部9から出力される合成データ(画像データ(非正規処理データ)+状態フラグ「01」)を「現フィルタ処理画像記憶領域」に書き込ませる。また、書込み制御部5は、処理位置管理部10から内部位置情報Bが出力され、かつ、データ分離部8により分離された状態フラグが正規処理データを意味する「10」であるとき、データ合成部9から出力される合成データ(画像データ(正規処理データ)+状態フラグ「10」)により「現フィルタ処理画像記憶領域」の画像データ(画像データ(正規処理データ)+状態フラグ「10」)が上書きされるように、データ合成部9から出力される合成データ(画像データ(正規処理データ)+状態フラグ「10」)を「現フィルタ処理画像記憶領域」に書き込ませる。これにより、「現フィルタ処理画像記憶領域」にすでに書き込まれた合成データ(画像データ(正規処理データ)+状態フラグ「10」)が次のブロック画像における合成データ(画像データ(非正規処理データ)+状態フラグ「10」)により上書きされない。
【0046】
そして、データ合成部9から出力される2フレーム目の合成データが「現フィルタ処理画像記憶領域」に全て書き込まれると、「現フィルタ処理画像領域」が「前フィルタ処理画像記憶領域」に、「前フィルタ処理画像記憶領域」が「現フィルタ処理画像記憶領域」に変更される。
【0047】
ノイズリダクション2により処理される3フレーム目以降の画像データの流れは、図6に示す画像データの流れと同様である。
本実施形態の画像処理装置1によれば、「現フィルタ処理画像記憶領域」にすでに書き込まれた合成データ(画像データ(正規処理データ)+状態フラグ「10」)が次のブロック画像における合成データ(画像データ(非正規処理データ)+状態フラグ「10」)により上書きされないため、ノイズリダクション2から出力される良好な画質の画像データだけが得られるようになる。
【0048】
なお、上記実施形態では、1フレーム目と2フレーム目以降とでデータ合成部9に出力される画像データをセレクタ7により切り替える構成であるが、セレクタ7を省略し乗算器90のKなどを変更することにより、1フレーム目と2フレーム目以降とでデータ合成部9に出力される画像データを切り替えるように構成してもよい。例えば、加算器92からデータ合成部9に1フレーム目の画像データが出力される際、2次元空間フィルタ93の入出力が同じ、及び、乗算器90のKがゼロになるように設定する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態の画像処理装置を示す図である。
【図2】本実施形態の巡回型のノイズリダクションを示す図である。
【図3A】合成データの一例を示す図である。
【図3B】合成データの一例を示す図である。
【図4】本実施形態の巡回型のノイズリダクションにより処理される1フレーム目の画像データの流れを示す図である。
【図5A】1フレーム目の合成データがフレームメモリに書き込まれていく様子(その1)を示す図である。
【図5B】1フレーム目の合成データがフレームメモリに書き込まれていく様子(その2)を示す図である。
【図5C】1フレーム目の合成データがフレームメモリに書き込まれていく様子(その3)を示す図である。
【図5D】1フレーム目の合成データがフレームメモリに書き込まれていく様子(その4)を示す図である。
【図6】本実施形態の巡回型のノイズリダクションにより処理される2フレーム目の画像データの流れを示す図である。
【図7A】2フレーム目の合成データがフレームメモリに書き込まれていく様子(その1)を示す図である。
【図7B】2フレーム目の合成データがフレームメモリに書き込まれていく様子(その2)を示す図である。
【図7C】2フレーム目の合成データがフレームメモリに書き込まれていく様子(その3)を示す図である。
【図8A】歪曲収差により格子状の被写体が樽型に観測される様子を示す図である。
【図8B】歪曲収差により格子状の被写体が糸巻き型に観測される様子を示す図である。
【図8C】既存の画像処理装置を示す図である。
【図9】既存の画像処理装置を示す図である。
【図10】一般的な巡回型のノイズリダクションを示す図である。
【図11】2次元空間フィルタを備える巡回型のノイズリダクションを示す図である。
【図12】歪補正処理部における歪補正処理を説明するための図である。
【図13】図11に示す2次元空間フィルタを示す図である。
【図14A】3×3画素のウィンドウを示す図である。
【図14B】ブロック画像を示す図である。
【図14C】画素拡張処理の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 画像処理装置
2 ノイズリダクション
3、4 読出し制御部
5、6 書込み制御部
7 セレクタ
8 データ分離部
9 データ合成部
10 処理位置管理部
11 フラグ情報設定部
12 フラグ管理部
80 画像処理装置
81 撮像素子
82 プリプロセス部
83 イメージプロセス部
84 歪補正処理部
85 JPEG圧縮部
86 CPU
87 フレームメモリ
88 記録媒体
89 ノイズリダクション
90、91 乗算器
92 加算器
93、94 2次元空間フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1フレームの画像データを順次出力する画像出力手段と、
2次元空間フィルタを備える巡回型画像処理手段と、
第1及び第2の記憶領域を備える記憶手段と、
前記画像出力手段から出力される1フレームの画像データを前記第1の記憶領域に書き込む第1の書込み制御手段と、
前記第1の記憶領域に書き込まれた1フレームの画像データを複数のブロック画像に分割してそれらブロック画像を順次読み出し前記巡回型画像処理手段に出力する第1の読出し制御手段と、
前記巡回型画像処理手段から順次出力される画像データを前記第2の記憶領域に書き込む第2の書込み制御手段と、
前記第2の記憶領域に書き込まれた全体の画像データのうちの外周部の画像データに対応する状態フラグのみを、前記2次元空間フィルタで画素拡張処理が行われずに得られた画像データであることを示す第1の状態フラグから前記2次元空間フィルタで画素拡張処理が行われて得られた画像データであることを示す第2の状態フラグに変更するフラグ管理手段と、
前記第2の記憶領域に書き込まれた1フレーム前の全体の画像データを複数のブロック画像に分割してそれらブロック画像を順次読み出し前記巡回型画像処理手段に出力する第2の読出し制御手段と、
前記第2の読出し制御手段により前記第2の記憶領域からブロック画像の外周部の画像データが読み出されるとき、その外周部の位置を示す外周部位置情報を出力する処理位置管理手段と、
を備え、
前記第2の書込み制御手段は、前記処理位置管理手段から外周部位置情報が出力され、かつ、前記第2の読出し制御手段により前記第2の記憶領域から読み出された画像データに対応する状態フラグが前記第1の状態フラグであるとき、前記巡回型画像処理手段から出力される画像データを前記第2の記憶領域に書き込ませない
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記状態フラグは、前記記憶手段の全体のバス幅のうち、前記画像データにより使用されるバス幅以外の余りのバス幅を使用する
ことを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図3A】
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【図3B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図2】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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