説明

画像処理装置

【課題】複数の制御ブロックで処理ブロックを共有する構成の画像処理装置において、特に、それぞれの制御ブロックのクロックドメインが異なる場合における画像処理時間を短縮することができる画像処理装置を提供すること。
【解決手段】CPU100からの信号に基づいて生成される第1の書き込みパルスとシーケンサ200から発行される第2の書き込みパルスとの何れかを選択する切り替え回路を処理ブロック内に設ける。シーケンサ200はCPU100とは独立した任意のタイミングで第2の書き込みパルスを処理ブロックに対して発行する。第1の書き込みパルスと第2の書き込みパルスとが競合した場合に切り替え回路はまず第1の書き込みパルスを選択し、その後に第2の書き込みパルスを選択して、選択した書き込みパルスをレジスタに入力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置における処理の高速化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像データをブロック単位で処理可能になされた画像処理装置において、当該画像処理装置を制御する制御ブロックであるCPUの負荷を軽減する技術として、特許文献1の技術が提案されている。特許文献1においては、CPUとは異なる制御ブロックとして、バスを経由せずに処理ブロックにアクセス可能になされたシーケンサブロックによって、従来はCPUによって行われていたブロック単位の画像データの処理を制御するようにしている。
【0003】
ここで、このような特許文献1等の従来の画像処理装置において用いられるデータ転送のためのプロトコルの一例について説明する。なお、ここでは、CPUが処理ブロック内のレジスタにデータを書き込む際のプロトコルを例にとって説明する。
【0004】
CPUは、アクセス対象となる処理ブロック内のレジスタのアドレスを示す信号であるレジスタアドレスを発行するとともに、レジスタ書き込みを行う処理ブロックを選択するための信号であるチップセレクト信号とレジスタ書き込みを要求するための信号であるレジスタライト信号、及び書き込むべきデータを示すライトデータ信号を発行する。CPUからのチップセレクト信号及びレジスタライト信号を受けた処理ブロックは、CPUからのレジスタ書き込みがなされることを認識して書き込みパルスを生成し、この書き込みパルスに従ってライトデータ信号を設定データとしてレジスタに書き込む。なお、設定データ自体は書き込みパルスとは別信号でCPUとシーケンサの両方の設定データが処理ブロックへ入力される。実際に処理ブロックのレジスタへ書き込む設定データは、どちらの書き込みパルスを使用するかによって決定する。レジスタ書き込みが完了した後、処理ブロックは書き込み完了パルスを生成し、この書き込み完了パルスに同期したタイミングで完了通知信号をCPUに対して発行する。この完了通知信号の発行を受けてCPUはレジスタ書き込みの完了を認識する。これにより、一連のレジスタ書き込みに関する処理が完了する。
【0005】
ここで、上述した一連の処理はハンドシェークプロトコルと呼ばれるプロトコルに従ったレジスタ書き込みの例である。このようなハンドシェークプロトコルに従ったレジスタ書き込みの場合には、CPUは、レジスタライト信号を発行してから完了通知信号を受け付けるまでの期間は次のレジスタ書き込みができないようになっている。したがって、CPUから見たレジスタアクセス期間は、CPUがチップセレクト信号を発行してから完了通知信号を受け付けるまでの期間となる。
またハンドシェークプロトコル以外にも、一定のサイクル数チップセレクト信号及びレジスタライト信号の発行が必要な固定ウェイトプロトコルというプロトコルがある。この場合でもある一定の期間は次のレジスタ書き込みはできない。
【0006】
また、上述の例は、CPUと処理ブロックがともに同一のクロックドメインである(クロック周波数が同一である)ことを前提としている。近年の画像処理装置においては、CPUと処理ブロックとが同一のクロックドメインであることは殆どなく、このような場合にはCPUと処理ブロックとの間での同期をとるために、上述した一連の処理の間にクロック乗り換えと呼ばれる処理を行う必要がある。このようなクロック乗り換えを伴う場合もハンドシェークプロトコルに従った処理を行う必要がある。
【0007】
クロック乗り換えを要する場合のデータ転送のプロトコルの一例について図5を参照して説明する。上述したのと同様に、CPUはレジスタアドレスADDを発行するとともに、チップセレクト信号CS_X、レジスタライト信号WE_X、および図示しないライトデータ信号を発行する。これらの信号は何れもCPUの動作クロックCLK_CPUに同期した信号である。
【0008】
CPUからのチップセレクト信号CS_X及びレジスタライト信号WE_Xを受けた処理ブロックは、CPUの動作クロックCLK_CPUに同期した書き込みパルスcpu_wginを生成する。そして、処理ブロックは、書き込みパルスcpu_wginから処理ブロックの動作クロックCLK_BL Kに同期した書き込みパルスwginを生成し、この書き込みパルスwginに従ってライトデータをレジスタに書き込む。そして、レジスタ書き込みが完了した後、処理ブロックは、動作クロックCLK_BLKに同期した書き込み完了パルスwg_validを生成し、さらに書き込み完了パルスwg_validからCPUの動作クロックCLK_CPUに同期した書き込み完了パルスcpu_validを生成する。そして、処理ブロックは、書き込み完了パルスcpu_validに同期して完了通知信号WAITをCPUに対して発行する。これにより、CPUによるレジスタ書き込みが完了する。このような一連の処理により、CPUと処理ブロックのクロックドメインが異なる場合でもCPUと処理ブロックとの間で正しく同期を取りつつ、レジスタ書き込みを行うことが可能である。
【0009】
上述した一連の処理においても、CPUは、レジスタライト信号を発行してから完了通知信号を受け付けるまでの期間は次のレジスタ書き込みができないようになっている。したがって、図5の場合においても、CPUから見たレジスタアクセス期間は、CPUがチップセレクト信号CS_Xを発行してから完了通知信号WAITを受け付けるまでの期間となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−78608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1において提案されているようなCPUとシーケンサとで処理ブロックを共有する構成の画像処理装置において、CPUとシーケンサとの間でレジスタ書き込みの処理が競合しないように、通常、シーケンサは、CPUから見たレジスタアクセス期間以外の期間(図5に示す非レジスタアクセス時間)で処理ブロック内のレジスタにデータの書き込みを行う。したがって、ハンドシェークプロトコル、固定ウェイトプロトコルどちらの場合でも、CPUのレジスタアクセスが完了するまではシーケンサのレジスタアクセスは待たされることになる。特に、CPUと処理ブロックのクロックドメインが異なる場合において、クロック乗り換えの期間分だけシーケンサの待ち時間が長くなり、全体としての画像処理時間が長くなりやすい。
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、複数の制御ブロックで処理ブロックを共有する構成の画像処理装置において、一方の制御ブロックのレジスタアクセスに時間がかかる場合(特に、それぞれの制御ブロックのクロックドメインが異なる場合)における画像処理時間を短縮することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様の画像処理装置は、入力された書き込みパルスに従って設定データが書き込まれるレジスタを有し、該レジスタに書き込まれた設定データに基づいて所定の処理を実行する処理ブロックと、第1の書き込みパルスを前記レジスタに入力するための書き込み要求信号を発行する第1の制御ブロックと、前記第1の制御ブロックとは独立した任意のタイミングで、前記第1の書き込みパルスとは異なる第2の書き込みパルスを発行する第2の制御ブロックとを具備し、前記処理ブロックは、前記第1の制御ブロックからの書き込み要求信号に応じて前記第1の書き込みパルスを生成する書き込みパルス生成回路と、前記第1の書き込みパルスと前記第2の書き込みパルスの何れか一方を選択して前記レジスタに入力する切り替え回路とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の制御ブロックで処理ブロックを共有する構成の画像処理装置において、一方の制御ブロックのレジスタアクセスに時間がかかる場合(特に、それぞれの制御ブロックのクロックドメインが異なる場合)における画像処理時間を短縮することができる画像処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像処理装置の一例の構成を示す図である。
【図2】切り替え回路の構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態における画像処理装置のレジスタ書き込みの際の処理の流れについて示すタイミングチャートである。
【図4】本発明の一実施形態における画像処理装置の効果について示す図である。
【図5】従来の画像処理装置におけるレジスタ書き込みの際の処理の流れについて示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置の一例の構成を示す図である。図1に示す画像処理装置は、CPU100と、シーケンサ200と、CPUバス300と、処理ブロック400、500、600とを有している。
【0017】
第1の制御ブロックとしての機能を有するCPU100は、CPUバス300に接続されており、クロックCLK_CPUに同期して、シーケンサ200と、処理ブロック400、500、600の動作を制御する。このCPU100は、シーケンサ200の動作を開始させるべくCPUバス300を介してシーケンサ200に対して開始トリガを入力する制御や、処理ブロック400、500、600の動作条件等を示す設定データを設定する制御等を行う。
【0018】
第2の制御ブロックとしての機能を有するシーケンサ200は、CPUバス300に接続されており、CPU100からの開始トリガを受けて動作を開始し、CPU100とは独立して処理ブロック400、500、600の動作を制御する。このシーケンサ200は、処理ブロック400、500、600の動作条件等を示す設定データを設定するための第2の書き込みパルスseq_wginを処理ブロック400、500、600に対して発行する制御等を行う。
【0019】
本実施形態において、シーケンサ200のクロックドメインはCPU100のクロックドメインとは異なっている。即ち、本実施形態におけるシーケンサ200はCPU100とは異なる周波数を有するクロックCLK_BLKに同期して動作する。また、CPU100はCPUバス300を介して処理ブロック400、500、600の制御を行うのに対し、シーケンサ200はCPUバス300を介さずに処理ブロック400、500、600の制御を行う。
【0020】
CPUバス300は、CPU100、シーケンサ200、処理ブロック400、500、600の間でデータ転送を行うためのデータ転送路である。
【0021】
処理ブロック400、500、600は、それぞれ、CPU100又はシーケンサ200によって設定された設定データに従って所定の処理を行う。本実施形態において、処理ブロック400、500、600のクロックドメインはシーケンサ200と同一である。即ち、本実施形態における処理ブロック400、500、600は何れもクロックCLK_BLKに同期して動作する。なお、処理ブロック400、500、600において行われる所定の処理は特に限定されるものでない。また、処理ブロック400、500、600はそれぞれ異なる処理を行うものであっても、同一の処理を行うものであっても良い。
【0022】
図1に示す処理ブロック400は、レジスタ401と、書き込みパルス生成回路402と、切り替え回路403と、書き込み完了パルス生成回路404とを有している。同様に、処理ブロック500は、レジスタ501と、書き込みパルス生成回路502と、切り替え回路503と、書き込み完了パルス生成回路504とを有し、処理ブロック600は、レジスタ601と、書き込みパルス生成回路602と、切り替え回路603と、書き込み完了パルス生成回路604とを有している。
【0023】
なお、図1における処理ブロック400、500、600は、所定の処理を実行する回路部分の図示を省略している。この所定の処理を実行する回路部分はそれぞれの処理ブロックの処理の内容に応じて適宜設けられるものである。図1に示すように、所定の処理を実行する回路部分以外の構成は処理ブロック400、500、600で同一の構成となる。したがって、以後は処理ブロック400の構成について説明する。
【0024】
レジスタ401には、CPU100又はシーケンサ200により、処理ブロック400における所定の処理に必要な設定データが書き込まれる。このレジスタ401は、n個のレジスタ1、…、レジスタnを有し、クロックCLK_BLKに同期して切り替え回路403から入力される書き込みパルスblk_wginに従って設定データが書き込まれる。なお、設定データ自体は書き込みパルスとは別信号で、CPUとシーケンサの両方の設定データが処理ブロックへ入力される。実際に処理ブロックのレジスタへ書き込む設定データは、どちらの書き込みパルスを使用するかによって決定する。図1の例では、レジスタ401、501、601は個別にシーケンサ200に接続されており、シーケンサ200はレジスタ401、501、601のそれぞれに対して個別に設定データを書き込むことが可能である。レジスタ401、501、601を共通の信号線を介してシーケンサ200に接続するようにすれば、シーケンサ200によってレジスタ401、501、601に一括して設定データを書き込むことも可能である。
【0025】
書き込みパルス生成回路402は、CPU100から発行されるレジスタ書き込み要求信号に応じて第1の書き込みパルスを生成する。ここで、CPU100において発行されるレジスタ書き込み要求信号は、レジスタ書き込みを行う処理ブロックを選択するための信号であるチップセレクト信号CS_Xとレジスタ書き込みを要求するための信号であるレジスタライト信号WE_Xとを含むものである。
【0026】
ここで、チップセレクト信号CS_Xとレジスタライト信号WE_Xは何れもクロックCLK_CPUに同期した信号であり、これらの信号に応じて生成される書き込みパルスもクロックCLK_CPUに同期したものとなる。これに対し、レジスタ401はクロックCLK_CPUとは異なるクロックCLK_BLKに同期して書き込み動作を行う。したがって、書き込みパルス生成回路402は、チップセレクト信号CS_Xとレジスタライト信号WE_XとからクロックCLK_CPUに同期した書き込みパルスcpu_wginを生成し、さらにこの書き込みパルスcpu_wginからクロックCLK_BLKに同期した書き込みパルスwginを生成し、この書き込みパルスwginを第1の書き込みパルスとして切り替え回路403に入力する。このようなクロック乗り換えを行うことにより、CPU100と処理ブロック400とでクロックドメインが異なっていてもレジスタ書き込みを行うことが可能である。なお、シーケンサ200はクロックCLK_BLKに同期して動作するので、書き込みパルス生成回路402によるクロック乗り換えは必要ない。
【0027】
切り替え回路403は、CPU100からのチップセレクト信号CS_Xとレジスタライト信号WE_Xとに基づいて生成された第1の書き込みパルスwginとシーケンサ200から入力された第2の書き込みパルスseq_wginの何れかを選択し、選択した書き込みパルスに基づいて第3の書き込みパルスblk_wginを生成してレジスタ401の現在の書き込み対象のレジスタに設定データを書き込む。本実施形態における切り替え回路403は、第1の書き込みパルスwginと第2の書き込みパルスseq_wginの何れか一方のみが入力された場合には、入力されたほうの書き込みパルスに基づく第3の書き込みパルスblk_wginに従って、レジスタ401の現在の書き込み対象のレジスタに選択された書き込みパルスに対応した設定データを書き込む。一方、第1の書き込みパルスwginと第2の書き込みパルスseq_wginの両方が同時に入力された場合に、切り替え回路403は、まず、第1の書き込みパルスwginに基づく第3の書き込みパルスblk_wginを生成してレジスタ401の現在の書き込み対象のレジスタにCPU100からの設定データを書き込んだ後、第2の書き込みパルスseq_wginに基づく第3の書き込みパルスblk_wginを生成してレジスタ401の現在の書き込み対象のレジスタにシーケンサ200からの設定データを書き込む。
【0028】
図2は、切り替え回路403の一例としての構成を示す図である。図2に示す切り替え回路403は、フリップフロップ(FF)4031、4032と、セレクタ4033と、論理和回路4034とを有している。
【0029】
FF4031は、セット端子Setとリセット端子Rstとを有している。セット端子Setには書き込みパルス生成回路402で生成された第1の書き込みパルスwginが入力される。また、リセット端子Rstには書き込み完了パルス生成回路404において生成される書き込み完了パルスwg_valid(詳細は後述する)が入力される。このFF4031は、クロックCLK_BLKに同期して第1の書き込みパルスwginの取り込みを行うとともに、それまで保持していた第1の書き込みパルスwginを信号wgin_dlyとして出力する。即ち、信号wgin_dlyは第1の書き込みパルスwginに対して1クロック遅れた信号となる。また、FF4031は、書き込み完了パルスwg_validが入力されることにより、それまで保持していた値をリセットする。
【0030】
FF4032は、クロックCLK_BLKに同期して第2の書き込みパルスseq_wginの取り込みを行うとともに、それまで保持していた第2の書き込みパルスseq_wginを信号seq_wgin_dlyとして出力する。即ち、信号seq_wgin_dlyは第2の書き込みパルスseq_wginに対して1クロック遅れた信号となる。
【0031】
セレクタ4033は、第2の書き込みパルスseq_wginと信号seq_wgin_dlyが入力され、信号wgin_dlyの値に応じて何れかを出力する。即ち、セレクタ4033は、信号wgin_dlyがローレベルである、即ち第1の書き込みパルスwginが入力されていない間は第2の書き込みパルスseq_wginを出力し、信号wgin_dlyがハイレベルとなったときに信号seq_wgin_dlyを出力する。
【0032】
論理和回路4034は、第1の書き込みパルスwginとセレクタ4033の出力の何れかが入力された場合に第3の書き込みパルスblk_wginを出力する。
【0033】
書き込み完了パルス生成回路404は、第1の書き込みパルスwginの入力を受けて書き込み完了パルスを生成し、この書き込み完了パルスからCPU100がレジスタ書き込みの完了を認識するための信号である完了通知信号を発行する。
【0034】
ここで、第1の書き込みパルスwginはクロックCLK_BLKに同期した信号であり、これに応じて生成される書き込み完了パルスもクロックCLK_BLKに同期したものとなる。したがって、完了通知信号をクロックCLK_CPUに同期した信号とするために、書き込み完了パルス生成回路404は、第1の書き込みパルスwginからクロックCLK_BLKに同期した書き込み完了パルスwg_validを生成し、この書き込み完了パルスwg_validからクロックCLK_CPUに同期した書き込み完了パルスcpu_validを生成する。そして、書き込み完了パルス生成回路404は、書き込み完了パルスcpu_validからクロックCLK_CPUに同期した完了通知信号WAITをCPU100に対して発行する。
【0035】
図1に示した画像処理装置の動作について図3を参照して説明する。なお、図3はCPU100によるレジスタ書き込みのプロトコルにハンドシェークプロトコルを用いた場合の例を示している。
【0036】
図3に示すように、本実施形態におけるシーケンサ200は、CPU100の動作とは独立した任意のタイミングで処理ブロック400、500、600へのレジスタ書き込みを行うべく、第2の書き込みパルスseq_wginを発行する。例えば処理ブロック400、500、600の順でレジスタ書き込みを行う場合、シーケンサ200からの第2の書き込みパルスseq_wginはまず処理ブロック400の切り替え回路403に入力される。このとき、切り替え回路403において第2の書き込みパルスseq_wginに基づく第3の書き込みパルスblk_wginが生成され、この第3の書き込みパルスblk_wginに従ってレジスタ401の現在の書き込み対象のレジスタにシーケンサ200からの設定データが書き込まれる。レジスタ401への第3の書き込みパルスblk_wginに従った設定データの書き込み後、シーケンサ200からの第2の書き込みパルスseq_wginは処理ブロック500の切り替え回路503に入力され、レジスタ501への第3の書き込みパルスblk_wginに従った設定データの書き込み後、シーケンサ200からの第2の書き込みパルスseq_wginは処理ブロック600の切り替え回路603に入力される。
【0037】
一方、CPU100が何れかの処理ブロック(例えば処理ブロック600とする)のレジスタへの書き込みを行う場合、CPU100において、レジスタ601内の書き込み対象のレジスタのアドレスを示すレジスタアドレスADDが発行される。その後、処理ブロック400、500、600に対して処理ブロック600を選択する旨を示すチップセレクト信号CS_Xとレジスタライト信号WE_X、及び書き込むべきデータを示すライトデータ信号が発行される。処理ブロック400、500、600の書き込みパルス生成回路402、502、602では、チップセレクト信号CS_Xとレジスタライト信号WE_Xに基づいて書き込みパルスcpu_wginが生成され、この書き込みパルスcpu_wginから第1の書き込みパルスwginが生成される。このとき、切り替え回路403、503、603において第1の書き込みパルスwginと第2の書き込みパルスseq_wginとが入力される可能性がある。この場合、第1の書き込みパルスwginに基づく第3の書き込みパルスblk_wginが生成され、この第3の書き込みパルスblk_wginに従ってレジスタ601内のCPU100による書き込み対象のレジスタにCPU100からの設定データが書き込まれる。そして、第1の書き込みパルスwginに基づく第3の書き込みパルスblk_wginが生成された1クロック後に、第2の書き込みパルスseq_wginに基づく第3の書き込みパルスblk_wginが生成され、この第3の書き込みパルスblk_wginに従ってシーケンサ200による現在のレジスタ書き込みの対象となっている処理ブロック内のレジスタにシーケンサ200からの設定データが書き込まれる。このようにして、CPU100とシーケンサ200との間のレジスタ書き込みの競合が防止される。
【0038】
第1の書き込みパルスwginに基づく第3の書き込みパルスblk_wginがレジスタ601に書き込まれた後、書き込み完了パルス生成回路604において書き込み完了パルスwg_validが生成され、この書き込み完了パルスwg_validに基づいて書き込み完了パルスcpu_validが生成される。そして、書き込み完了パルス生成回路604において、書き込み完了パルスcpu_validに基づいて完了通知信号WAITが発行され、この完了通知信号WAITがCPU100に入力されることでCPU100はレジスタ書き込みの完了を認識する。
【0039】
以上説明した図3のようなプロトコルに従ってレジスタの書き込みを行うことにより、シーケンサ200は、CPU100が実際にレジスタ書き込みを行っているタイミングである第1の書き込みパルスwginが生成されてから書き込み完了パルスwg_validが生成されるまでの期間を除いてレジスタ書き込みを行うことが可能である。即ち、本実施形態では、書き込みパルスcpu_wginから第1の書き込みパルスwginを生成する間のクロック乗り換え期間と書き込み完了パルスwg_validから書き込み完了パルスcpu_validを生成する間のクロック乗り換え期間の間にシーケンサ200によるレジスタ書き込みを行えるようにすることで、シーケンサ200の処理時間を短縮することが可能である。また、クロック乗り換え期間中においてもシーケンサ200によるレジスタ書き込みを行えるようにすることで、CPU100によるレジスタ書き込みとシーケンサ200によるレジスタ書き込みとが競合する可能性がある。しかしながら、本実施形態では、CPU100からの書き込みパルスとシーケンサ200からの書き込みパルスとが競合した場合には、切り替え替え回路によってCPU100によるレジスタ書き込みの直後(1クロック後)にシーケンサ200からの書き込みパルスを有効とすることが可能である。したがって、シーケンサ200の処理時間が大幅に延びることはない。
【0040】
図4は、従来の技術による処理と本実施形態の技術による処理とを比較して示した図である。例えば従来の技術では、CPU100から処理ブロック600へのレジスタ書き込みが連続して実施されている場合に、シーケンサ200は、図4(a)に示すように、CPU100による処理ブロック600へのレジスタ書き込みが完了するまで(最後の書き込みレジスタに対する完了通知信号WAITが発行されるまで)、処理ブロック500及び600のレジスタ書き込みを行うことはできない。
【0041】
これに対し、本実施形態の技術では、CPU100から処理ブロック600へのレジスタ書き込みが連続して実施されていても、図4(b)に示すように、シーケンサ200は、CPU100からの処理ブロックへの書き込みパルスwginが発生している時以外は処理ブロック500及び600のレジスタ書き込みが可能である。
【0042】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。例えば上述の実施形態はCPU100と処理ブロック400〜600が異なるクロックドメインである例を示している。しかしながら、これらが同一のクロックドメインであっても良い。また、上述の実施形態はCPU100によるレジスタ書き込みのプロトコルにハンドシェークプロトコルを用いた場合の例を示している。しかしながら、上述した実施形態はCPU100が所定の固定期間毎にレジスタ書き込み可能となるような固定ウェイトプロトコルの場合であっても適用可能である。
【0043】
さらに、上記した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、上述したような課題を解決でき、上述したような効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0044】
100…CPU、200…シーケンサ、300…CPUバス、400,500,600…処理ブロック、401,501,601…レジスタ、402,502,602…書き込みパルス生成回路、403,503,603…切り替え回路、404,504,604…書き込み完了パルス生成回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された書き込みパルスに従って設定データが書き込まれるレジスタを有し、該レジスタに書き込まれた設定データに基づいて所定の処理を実行する処理ブロックと、
第1の書き込みパルスを前記レジスタに入力するための書き込み要求信号を発行する第1の制御ブロックと、
前記第1の制御ブロックとは独立した任意のタイミングで、前記第1の書き込みパルスとは異なる第2の書き込みパルスを発行する第2の制御ブロックと、
を具備し、
前記処理ブロックは、
前記第1の制御ブロックからの書き込み要求信号に応じて前記第1の書き込みパルスを生成する書き込みパルス生成回路と、
前記第1の書き込みパルスと前記第2の書き込みパルスの何れか一方を選択して前記レジスタに入力する切り替え回路と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記切り替え回路は、前記第1の書き込みパルスと前記第2の書き込みパルスの何れか一方のみが入力された場合には前記第1の書き込みパルスと前記第2の書き込みパルスとの入力されたほうを選択して前記レジスタに入力し、前記第1の書き込みパルスと前記第2の書き込みパルスとが同時に入力された場合には前記第1の書き込みパルスを選択して前記レジスタに入力することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第2の制御ブロックは、前記第1の制御ブロックとは異なり且つ前記処理ブロックと同一のクロックドメインで前記第2の書き込みパルスを発行することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記処理ブロックと、前記第1の制御ブロックと、前記第2の制御ブロックとは共通のバスに接続され、前記第1の制御ブロックは前記バスを介して前記処理ブロックに書き込み要求信号を発行し、前記第2の制御ブロックは前記バスを介さずに前記処理ブロックに第2の書き込みパルスを発行することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−28732(P2011−28732A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137744(P2010−137744)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】