説明

画像処理装置

【課題】チルト式の操作パネル部を有する胴内排紙構造の画像処理装置において、操作パネル部を傾斜させた場合でも、用紙の排出状況の確認が容易に行えるようにする。
【解決手段】画像読取部を収容する上部筐体11と、画像形成部及び給紙部を収容する下部筐体12と、上部筐体11と下部筐体12とを一方の側で上下方向に連結するとともに内側面に用紙を排出する排紙口13aを有する連結筐体13とによって装置本体1の外観が構成され、上部筐体11と下部筐体12との間に胴内排紙部15が設けられ、上部筐体11の前面に上下回動可能に操作パネル部21が設けられた構造の画像処理装置であって、操作パネル部21が連結筐体13とは反対側の上部筐体11の他方の側に寄せて設けられ、操作パネル部21と連結筐体13との間に胴内排紙部15に排出される用紙を視認できる開放空間31が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部筐体と、下部筐体と、これら上部筐体と下部筐体とを一方の側で連結する連結筐体とで装置本体の外観が構成され胴内排紙構造の画像処理装置に係り、より詳細には、上部筐体の前面に上下回動可能に操作パネル部が設けられた画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、胴内排紙構造(いわゆるインナー排紙構造)の画像処理装置において、上部筐体の前面に上下回動可能に操作パネル部を設けたものが種々提案されている(例えば、特許文献1,2等参照)。
【0003】
特許文献1には、装置本体の前面に設けられた操作パネルが、左右の水平方向に伸びる回転軸まわりに回転可能に組み付けられており、前記操作パネルの前記回転軸まわりの傾斜姿勢が、これら装置本体と操作パネルとの間に設けられた姿勢調整機構により、複数段に変更調整可能に構成された画像形成装置(画像処理装置)が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、装置本体により上下動自在に軸支された操作部と、該操作部の上下角度を変化させる調整機構とを備えた操作部角度調整装置が搭載された画像形成装置(画像処理装置)が記載されている。
【0005】
上記特許文献1,2記載の画像処理装置は、操作パネルや操作部(以下、操作パネル部という。)が上下回動可能なチルト式となっており、車椅子の人の使用を考慮したユニバーサルデザインとなっている。すなわち、車椅子の人が使用する場合には、操作パネル部が従来固定の水平位置ではパネル画面が見づらいため、操作パネル部を下方に回動(例えば、斜め45度に傾斜)させて、操作パネル部にほぼ対面した状態で各種の操作が行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−334157号公報
【特許文献2】特開2009−139434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、画像処理装置は、近年その機能も増えており、それぞれの機能に対応すべくキー数も増加する傾向にある。そのため、近年の操作パネル部は、視認性及び操作性を向上させるべく、中央部に大画面のタッチパネル式液晶表示部を備え、その横に、テンキーや電源キーといったアナログキー(メカキー)が設けられた構成となっており、大型化の傾向にある。そのため、操作パネル部が操作者の手前側に徐々に張り出す形となっている。
【0008】
特許文献1,2に記載の画像処理装置も、装置本体の正面のほぼ全長にわたる大きさの操作パネル部が設けられており、この大型の操作パネル部を、上下方向に回動させる構造となっている。
【0009】
ところで、インナー排紙構造の画像処理装置では、排紙部が上部筐体と下部筐体の間に挟まれた格好となっているため、画像処理装置の正面に立ってコピー等を行ったとき、排紙部に排出された用紙が非常に見づらい状態となっている。そのため、この排紙部の上下方向の空間距離を広くして排紙部内を見易くしたり、排紙部の内壁の色を黒色や青色等にすることで、排出された白い用紙が見易いように工夫されているものもある。しかし、それは排紙部の前方側の空間が十分に開放されている場合の話しであって、チルト式の操作パネル部では、これを下方に回動させると、操作パネル部によって排紙部の前方開放部を塞いでしまう格好となる。そのため、上記した工夫だけでは、排出された用紙の確認や取り出しが十分容易に行えるとは言えないといった問題があった。
【0010】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、操作パネル部がチルト式となっているインナー排紙構造の画像処理装置において、操作パネル部を傾斜させた状態においても、用紙の排出状況の確認や用紙の取り出しを容易に行うことのできる画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の画像処理装置は、画像読取部を収容する上部筐体と、画像形成部及び給紙部を収容する下部筐体と、前記上部筐体と前記下部筐体とを一方の側で上下方向に連結するとともに内側面に用紙を排出する排紙口を有する連結筐体とによって装置本体の外観が構成され、前記上部筐体と前記下部筐体との間に、前記排紙口から排出された用紙を蓄積し取り出すために前方側が開放された空間である排紙部が設けられ、前記上部筐体の前面に上下回動可能に操作パネル部が設けられた構造の画像処理装置であって、前記操作パネル部が前記連結筐体とは反対側の前記上部筐体の他方の側に寄せて設けられ、前記操作パネル部と前記連結筐体との間に前記排紙部に排出される用紙を視認できる開放空間が設けられていることを特徴としている。
【0012】
本発明の画像処理装置によれば、操作パネル部と連結筐体との間に、排紙部に排出される用紙を視認できる開放空間が確保されているので、チルト式の操作パネル部が下方に回動された状態であっても、装置本体の正面に対峙している操作者は、この開放空間を通じて、排紙部への用紙の排出状況を容易に視認することが可能となる。
【0013】
また、本発明の画像処理装置は、前記排紙部の用紙積載面が前記排紙口側に向かって下る傾斜面に形成され、前記開放空間は、前記用紙積載面の傾斜下端部の用紙整合基準位置を視認可能に設けられた構成としている。
【0014】
このような構成とすれば、装置本体の正面に対峙している操作者は、開放空間から用紙整合基準位置を視認できるので、排紙部に排出された用紙を容易に確認することができる。この場合、排出された用紙は必ず用紙整合基準位置で整合されるため、用紙サイズに係わらず、排出された用紙を確実に視認することができる。
【0015】
また、本発明の画像処理装置によれば、前記開放空間の横幅は、前記装置本体の正面に対峙している操作者が前記排紙部に手を入れて用紙を取り出すことができる幅に形成された構成としている。
【0016】
このような構成とすれば、排紙部に排出された用紙を視認できるだけでなく、その用紙の取り出しも開放空間から行うことができるので、例えば操作パネル部が下方側に回動されていて、排紙部を塞ぐような状態であっても、開放空間だけは常に開放状態であるため、排紙部から用紙を容易に取り出すことができる。
【0017】
また、本発明の画像処理装置は、平面視長方形状に形成された前記操作パネル部の一方の側の側面が、前側端部から前記上部筐体の前面側である後側端部に向けて前記開放空間に向かう第1傾斜面に形成された構成としている。より具体的には、前記装置本体の正面に対峙している操作者が、前記操作パネル部の前記第1傾斜面に沿って前記排紙部を視認できるように形成された構成としている。
【0018】
このような構成とすれば、第1傾斜面が視線を誘導する案内板的な役割を果たすので、操作者の視線を自然に開放空間に向かわせることができる。これにより、操作者は、排紙部への用紙の排出状況を自然と視認することになり、用紙の取り忘れなども無くすことができる。また、この第1傾斜面が用紙を取り出すために手を差し入れるときの案内板的な役割も果たすため、手を排紙部に差し入れても操作パネル部が邪魔になることはない。
【0019】
また、本発明の画像処理装置によれば、前記連結筐体の正面は、外側の縁部から前記開放空間側の縁部に向けて前記排紙部内に向かう第2傾斜面に形成された構成としている。
【0020】
このような構成とすれば、第2傾斜面が視線を誘導する案内板的な役目を果たし、操作者の視線を自然に開放空間に向かわせることができる。これにより、操作者は、排紙部への用紙の排出状況を自然と視認することになり、用紙の取り忘れなども無くすことができる。
【0021】
また、本発明の画像処理装置によれば、前記開放空間を構成する前記上部筐体の前面下部に、前記排紙部に向かって傾斜する第3傾斜面が形成された構成としている。
【0022】
このような構成とすれば、第3傾斜面が視線を誘導する案内板的な役目を果たし、操作者の視線を自然に開放空間に向かわせることができる。これにより、操作者は、排紙部への用紙の排出状況を自然と視認することになり、用紙の取り忘れなども無くすことができる。
【0023】
すなわち、本発明の画像処理装置によれば、開放空間を構成する3辺が第1傾斜面と第2傾斜面と第3傾斜面とで構成されており、装置本体の正面に対峙している操作者から見れば、その全ての面が開放空間に向かうように傾斜しているため、操作者の視線が自ずと開放空間に誘導されるようになっている。これにより、排紙部に排出される用紙の視認性や、その後の操作性(取り出しの容易性)を向上させることができる。
【0024】
また、本発明の画像処理装置によれば、前記操作パネル部は、タッチパネルを搭載した表示部からなるキーレスパネルとなっている。すなわち、従来、タッチパネル式表示部の横に配置されていたテンキーや電源キーといったアナログキーを無くしたキーレスパネルとなっている。従って、アナログキーを無くした分、操作パネル部を小型化(特に、横幅を小さく)することができ、その結果、操作パネル部と連結筐体との間に十分な幅の開放空間を確保することが可能となっている。
【発明の効果】
【0025】
本発明の画像処理装置は、操作パネル部と連結筐体との間に、排紙部に排出される用紙を視認できる開放空間が確保されているので、チルト式の操作パネル部が下方に回動された状態であっても、操作者は、この開放空間を通じて、排紙部への用紙の排出状況を容易に視認することができる。従って、用紙の取り出しが容易となり、また、取り忘れも防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置の全体斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像処理装置の上部を拡大して示す斜視図である。
【図3A】操作パネル部が水平配置された状態における画像処理装置の側面図である。
【図3B】操作パネル部が水平配置された状態における画像処理装置の正面図である。
【図4A】操作パネル部が手前側に傾斜配置された状態における画像処理装置の側面図である。
【図4B】操作パネル部が手前側に傾斜配置された状態における画像処理装置の正面図である。
【図5】操作パネル部の周辺部分を拡大して示す平面図である。
【図6】図3BのA−A線に沿う筐体部分の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係る画像処理装置の全体斜視図、図2は、本発明の実施形態に係る画像処理装置の上部を拡大して示す斜視図、図3Aは、操作パネル部が水平配置された状態における画像処理装置の側面図、図3Bは、操作パネル部が水平配置された状態における画像処理装置の正面図、図4Aは、操作パネル部が手前側に傾斜配置された状態における画像処理装置の側面図、図4Bは、操作パネル部が手前側に傾斜配置された状態における画像処理装置の正面図、図5は、操作パネル部の周辺部分を拡大して示す平面図、図6は、図3BのA−A線に沿う筐体部分の概略断面図である。
【0029】
本実施形態の画像処理装置100は、装置本体1と自動原稿処理装置2とによって構成され、装置本体1は、正面から見てコの字型に形成された胴内排紙構造となっている。
【0030】
装置本体1は、図示は省略しているが、内部に、露光ユニットからなるスキャナ部、現像器、感光体ドラム、クリーナユニット、帯電器、中間転写ベルトユニット、定着ユニット等からなる画像形成部、給紙カセット、用紙搬送路からなる給紙部等を備えて構成されている。
【0031】
この装置本体1は、本体上部に配置されるスキャナ部を収容する上部筐体11と、スキャナ部の下部に配置される画像形成部及び給紙部を収容する下部筐体12と、上部筐体11と下部筐体12とを一方の側(本実施形態では正面から見て右側)で上下方向に連結するとともに内側面に用紙を排出する胴内排紙口13a(図2等参照)を有する連結筐体13とによって外観が構成されており、上部筐体11と下部筐体12との間に、胴内排紙口13aから排出された用紙を蓄積し取り出すために前方側が開放された空間である胴内排紙部15が設けられている。連結筐体13には、画像形成部を構成する定着ユニットの他、インナーフィニッシャーを備えている場合にはこのインナーフィニッシャーも収容されている。
【0032】
また、上部筐体11の1段凹んだ前面11aには、平面視略長方形状に形成された操作パネル部21が、上下回動可能な状態で設けられている。なお、操作パネル部21を上下回動させるチルト式の構造(回動機構及び姿勢調整機構)については、すでに種々の機構構造が提案されており、本発明においてもこれらの周知構造を適用することが可能であるため、ここでは、機構構造についての説明を省略する。因みに、本出願人においても、操作パネル部を上下回動させる回動機構及び姿勢調整機構についての出願を行っている(特願2010−100462号参照)。
【0033】
また、上部筐体11の上部には、原稿が載置される透明ガラスからなる原稿載置台(図示省略)が設けられ、この原稿載置台の上に自動原稿処理装置2が取り付けられている。自動原稿処理装置2は、原稿載置トレイ2aに載置された原稿を原稿載置台の原稿読取位置に自動で搬送する装置である。また、自動原稿処理装置2は矢印M方向に回動自在に構成され、原稿載置台の上を開放することにより原稿を手置きで置くことができるようになっている。
【0034】
この画像処理装置100は、原稿載置台に原稿を置く場合、胴内排紙部15の排紙トレイ15aから用紙を取り出す場合、及び、給紙部に用紙を補給する場合に、これらの作業を装置本体1の正面側から行うことが可能なフロントアクセスタイプとなっている。また、下部筐体12の上部正面には前扉16が設けられ、連結筐体13が配置されている右側面にも上下4箇所に横扉17a〜17dが設けられている。また、前扉12の下に給紙部の各給紙用カセット19a〜19dが手前側に引き出し可能に配置されている。そして、前扉16を開けることにより、トナーの補給、感光体の交換、定着器や帯電器の修理や交換などのメンテナンスを行うことが可能となっている。また、詰まった用紙を用紙搬送路から除去する場合には、横扉17a〜17dも必要に応じて開くようになっている。ただし、排紙トレイ15aを胴内排紙部15に配置する以外、上部筐体11、下部筐体12及び連結筐体13に配置される各構成部材は一例であり、この配置構成に限定されるものではない。
【0035】
このような構成において、操作パネル部21は連結筐体13とは反対側である上部筐体11の他方の側(本実施形態では正面から見て左側)に寄せて設けられており、操作パネル部21と連結筐体13との間に、胴内排紙部15に排出される用紙を視認できる開放空間(図1、図3B及び図4B中に斜線を付して示す)31が設けられている。
【0036】
ここで、本実施形態では、操作パネル部21は、テンキーや電源キーといった従来のアナログキーを無くしたキーレスパネルとなっている。すなわち、操作パネル部21はタッチパネル(キーパッド)式液晶表示部で構成されている。従って、アナログキーを無くした分、操作パネル部21を小型化(特に、横幅を小さく)することができ、その結果、操作パネル部21と連結筐体13との間に十分な幅の開放空間31を確保することが可能となっている。
【0037】
このように、操作パネル部21と連結筐体13との間に、胴内排紙部15に排出される用紙を視認できる開放空間31を確保することで、チルト式の操作パネル部21が下方に回動された状態(図4A及び図4Bに示す状態)であっても、装置本体1の正面に対峙している操作者は、この開放空間31を通じて胴内排紙部15を視認し、胴内排紙部15への用紙の排出状況を容易に確認することが可能となる。すなわち、従来は若干姿勢を低くする等して、胴内排紙部15内を視認することで用紙の排出状況を確認していたが、本実施形態の画像処理装置100によれば、開放空間31があることで、このような低い姿勢を取ることもなく、立ったままの状態でも十分に胴内排紙部15に排出される用紙の確認を行うことが可能となる。
【0038】
また、胴内排紙部15の用紙積載面である排紙トレイ15aは、連結筐体13の胴内排紙口13a側に向かって下る傾斜面に形成されており、開放空間31は、この排紙トレイ15aの傾斜下端部の用紙整合基準位置(すなわち、連結筐体13の内側面に相当)15b(図2、図3B及び図4B参照)を視認可能に設けられている。
【0039】
このような構成とすれば、装置本体1の正面に対峙している操作者は、開放空間31から用紙整合基準位置15bを視認できるので、胴内排紙部15内を覗き込むといった仕種をしなくても、排紙トレイ15a上に排出された用紙を確認することができる。この場合、排出された用紙の端部は、用紙整合基準位置15bで整合されるため、用紙サイズに係わらず、排出された用紙を確実に視認することができる。つまり、葉書サイズやA5サイズといった小さなサイズの用紙であっても、用紙整合基準位置15bが視認できることで、用紙の存在を確実に確認することが可能となる。
【0040】
また、開放空間31の横幅W1は、装置本体1の正面に対峙している操作者が、排紙部15に手を入れて排紙トレイ15aから用紙を取り出すことができる程度の幅に形成されている。この横幅W1は、広ければ広い程よいが、操作パネル部21の横幅や装置本体1の横幅等を考慮すると、例えば10〜15cm程度の幅に形成されているのがよい。
【0041】
このような構成とすれば、胴内排紙部15の排紙トレイ15a上に排出された用紙を視認できるだけでなく、その用紙の取り出しも開放空間31から容易に行うことができるので、例えば操作パネル部21が下方側に回動されていて、胴内排紙部15の一部を塞ぐような状態(図4A及び図4Bに示す状態)であっても、開放空間31だけは常に開放状態であるため、この開放空間31から手を差し入れて、胴内排紙部15の排紙トレイ15a上に積載された用紙を容易に取り出すことができる。
【0042】
また、本実施形態では、操作パネル部21の一方の側(図1,図2,図3B,図4Bでは右側)の側面22を、前側端部22aから上部筐体11の1段前に突き出た前面11b側である後側端部22bに向けて開放空間31に向かう第1傾斜面に形成している。より具体的には、装置本体1の正面に対峙している操作者が、操作パネル部21の第1傾斜面(側面)22に沿って開放空間31(すなわち、胴内排紙部15)を視認できるように、その傾斜角度θ1(図5参照)が設定されている。すなわち、装置本体1の正面に対峙している操作者が、その立ち位置の姿勢で開放空間31を見たとき、第1傾斜面22が僅かに見える傾斜角度に設定されている。
【0043】
このような構成とすれば、第1傾斜面22が視線を誘導する案内板的な役割を果たすため、装置本体1の正面に対峙している操作者の視線(図5中に破線で示す)を、自然に開放空間31の方に向かわせることができる。これにより、操作者は、胴内排紙部15の排紙トレイ15a上への用紙の排出状況を自然と視認することになり、用紙の取り忘れなども無くすことができる。また、この第1傾斜面22が用紙を取り出すために手を差し入れるときの案内板的な役割も果たすため、手を胴内排紙部15に差し入れるときに操作パネル部21が邪魔になることはない。すなわち、操作者は、第1傾斜面22に沿って手を差し入れればよい。
【0044】
また、本実施形態では、連結筐体13の正面13bも、外側の縁部13b1から開放空間31側の縁部13b2に向けて、胴内排紙部15内に向かう第2傾斜面(傾斜角度θ2)に形成している。
【0045】
このような構成とすれば、第2傾斜面13bが視線を誘導する案内板的な役目を果たすため、装置本体1の正面に対峙している操作者の視線を、自然に開放空間31の方に向かわせることができる。これにより、操作者は、胴内排紙部15の排紙トレイ15a上への用紙の排出状況を自然と視認することになり、用紙の取り忘れなども無くすことができる。
【0046】
また、本実施形態では、開放空間31を構成する上部筐体11の1段前へ突き出た前面11bの下部にも、胴内排紙部15に向かって傾斜する第3傾斜面11cを形成している。より具体的には、装置本体1の正面に対峙している操作者が、操作パネル部21の第3傾斜面11cに沿って開放空間31(すなわち、胴内排紙部15)を視認できるように、その傾斜角度θ3(図6参照)が決定されている。すなわち、装置本体1の正面に対峙している操作者が、その立ち位置の姿勢で開放空間31を見たとき、第3傾斜面11cが僅かに見える傾斜角度に設定されている。
【0047】
このような構成とすれば、第3傾斜面11cが視線を誘導する案内板的な役目を果たすため、装置本体1の正面に対峙している操作者の視線を、自然に開放空間31の方に向かわせることができる。これにより、操作者は、胴内排紙部15の排紙トレイ15a上への用紙の排出状況を自然と視認することになり、用紙の取り忘れなども無くすことができる。
【0048】
すなわち、本実施形態によれば、開放空間31を構成する3辺が第1傾斜面22と第2傾斜面13bと第3傾斜面11cとで構成されており、装置本体1の正面に対峙している操作者から見れば、その全ての面22,13b,11cが開放空間31に向かうように傾斜して見えるため、操作者の視線が自ずと開放空間31に誘導されるようになっている。これにより、胴内排紙部15の排紙トレイ15a上に排出される用紙の視認性や、その後の操作性(取り出しの容易性)を向上させることができるものである。
【0049】
なお、本実施形態においても、胴内排紙部15の内壁及び排紙トレイ15aを黒っぽい色の材料で形成しておくことで、白い用紙をより認識しやすくしている。
【0050】
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1 装置本体
2 自動原稿処理装置
11 上部筐体
11a 1段凹んだ前面
11b 1段前へ突き出た前面
11c 第3傾斜面
12 下部筐体
13 連結筐体
13a 胴内排紙口(排紙口)
13b 正面(第2傾斜面)
13b1 外側の縁部
13b2 開放空間側の縁部
15 胴内排紙部(排紙部)
15a 排紙トレイ(用紙積載面)
15b 用紙整合基準位置
16 前扉
17a〜17d 横扉
19a〜19d 給紙カセット
21 操作パネル部
22 一方の側の側面(第1傾斜面)
31 開放空間
100 画像処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取部を収容する上部筐体と、画像形成部及び給紙部を収容する下部筐体と、前記上部筐体と前記下部筐体とを一方の側で上下方向に連結するとともに内側面に用紙を排出する排紙口を有する連結筐体とによって装置本体の外観が構成され、前記上部筐体と前記下部筐体との間に、前記排紙口から排出された用紙を蓄積し取り出すために前方側が開放された空間である排紙部が設けられ、前記上部筐体の前面に上下回動可能に操作パネル部が設けられた構造の画像処理装置であって、
前記操作パネル部が前記連結筐体とは反対側の前記上部筐体の他方の側に設けられ、前記操作パネル部と前記連結筐体との間に前記排紙部に排出される用紙を視認できる開放空間が設けられていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記排紙部の用紙積載面が前記排紙口側に向かって下る傾斜面に形成され、
前記開放空間は、前記用紙積載面の傾斜下端部の用紙整合基準位置を視認可能に設けられていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記開放空間の横幅は、前記装置本体の正面に対峙している操作者が前記排紙部に手を入れて用紙を取り出すことができる幅に形成されていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の画像処理装置であって、
平面視長方形状に形成された前記操作パネル部の一方の側の側面が、前側端部から前記上部筐体の前面側である後側端部に向けて前記開放空間に向かう第1傾斜面に形成されていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像処理装置であって、
前記装置本体の正面に対峙している操作者が前記操作パネル部の前記第1傾斜面に沿って前記排紙部を視認できるように形成されていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の画像処理装置であって、
前記連結筐体の正面は、外側の縁部から前記開放空間側の縁部に向けて前記排紙部内に向かう第2傾斜面に形成されていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の画像処理装置であって、
前記開放空間を構成する前記上部筐体の前面下部には、前記排紙部に向かって傾斜する第3傾斜面が形成されていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の画像処理装置であって、
前記操作パネル部は、タッチパネルを搭載した表示部からなるキーレスパネルであることを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−42888(P2012−42888A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186507(P2010−186507)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】