説明

画像印刷装置および画像印刷装置の制御方法

【課題】ダイレクト印刷において、その印刷対象画像が記録されている記録媒体に対して印刷を実行する。
【解決手段】記録媒体を着脱可能に装着しうる画像記録装置にダイレクトに接続して、記録媒体に記録されている印刷対象画像データの表す画像の印刷を実行する画像印刷装置において、画像記録装置から印刷ジョブの開始要求が通知された際に、印刷媒体に関する特定の設定がなされている場合において、画像記録装置から送信されてくる印刷対象画像データの全てを取得して、画像印刷装置に備えるバッファメモリに記憶する。印刷対象画像データの全てを取得後に、記録媒体の画像記録装置からの着脱許可画面を、画像印刷装置に備える表示部に表示させ、着脱許可画面の表示後に、バッファメモリに記憶した印刷対象画像データを用いて、印刷媒体として装着された記録媒体への印刷を、画像印刷装置に備える印刷手段に開始させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルスチルカメラ(Digital Still Camera:DSC)やデジタルビデオカメラ(Digital Video Camera:DVC)等の画像記録装置と画像印刷装置としてのプリンタとをダイレクトに接続して、DVCやDSCに備えるDVD(Digital Versatile Disk)ドライブ装置やCD(Compact Disk)ドライブ装置等の記録再生デバイスに装着されているDVDやCD等の記録媒体に記録された画像の印刷を、パーソナルコンピュータ等のコンピュータを介さずに実行するダイレクト印刷の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
DSCやDVCで撮影した画像の画像データを、一旦、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と呼ぶ)に転送し、PCに転送した画像データの表す画像をプリンタで印刷するのはなく、DSCやDVCから直接プリンタに画像データを転送して、転送された画像データの表す画像をプリンタで印刷するダイレクト印刷の手法として、例えば、CIPA(Camera & Imaging Products Association)規格DC−001−2003(以下、「PictBridge」と呼ぶ)が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】White Paper of CIPA DC-001-2003 Rev.2.0 Digital Photo Solutions for Imaging Devices.[online]. Camera & Imaging Products Association, April 25, 2007. [retrieved on 2007-11-29]. Retrieved from the Internet:<URL:http://www.cipa.jp/pictbridge/documents_j/WhitePaperJ_Rev.2.0.pdf>.
【特許文献1】特開2005−20107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば、上記PictBridgeの規格に従ったダイレクト印刷の機能を有するDVCとプリンタとを接続したダイレクト印刷のシステム構成において、DVCに備えるDVDドライブ装置に装着されるDVDに記録されている画像データの表す画像を、そのDVD自身にレーベルとして印刷したい場合がある。
【0005】
しかしながら、この場合、レーベル印刷を行なう印刷媒体であるDVDに印刷対象画像の画像データが記録されているため、この印刷媒体であるDVDは記録媒体でもある。従って、印刷対象画像の画像データがプリンタに転送されて印刷が終了するまで、記録媒体でもあるDVDをDVCのDVDドライブ装置に装着しておく必要がある。一方、印刷媒体でもあるDVDにレーベル印刷を行なうためには。このDVDをプリンタに印刷媒体としてセットしなければならない。
【0006】
従って、従来のダイレクト印刷の手法では、単純には、記録媒体としてのDVDに記録されている画像を、印刷媒体でもあるDVDにレーベルとして印刷することは困難であった。
【0007】
なお、この問題は、記録媒体としてのDVDに記録されている画像を、印刷媒体でもあるDVDに印刷する場合だけでなく、画像印刷装置にダイレクトに接続する画像記録装置の記録媒体に記録されている画像を、印刷媒体でもあるその記録媒体に印刷する場合に共通する問題である。
【0008】
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決し、画像記録装置と画像印刷装置とをダイレクトに接続して印刷対象画像の印刷を実行するダイレクト印刷において、その印刷対象画像が記録されている記録媒体に対しても印刷を実行することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0010】
[適用例1]
記録媒体を着脱可能に装着しうる画像記録装置にダイレクトに接続して、前記記録媒体に記録されている印刷対象画像データの表す画像の印刷を実行する画像印刷装置であって、
表示部と、
前記表示部への表示を実行するユーザインタフェースと、
印刷実行手段と、
前記画像記録装置から通知された印刷ジョブの開始要求に基づいて、前記画像記録装置に対して前記印刷対象画像データの送信を要求して、前記画像記録装置から送信されてくる前記印刷対象画像データを取得し、前記印刷実行手段に前記印刷対象画像データの表す画像の印刷を実行させる印刷制御手段と、
を備え、
前記印刷制御手段は、
前記画像記録装置から前記印刷ジョブの開始要求が通知された際に、印刷媒体に関する特定の設定がなされている場合において、前記画像記録装置から送信されてくる前記印刷対象画像データの全てを取得して、前記画像印刷装置に備えるバッファメモリに記憶し、
前記ユーザインタフェースは、
前記印刷対象画像データの全てを取得後に、前記記録媒体の前記画像記録装置からの着脱許可画面を、前記表示部に表示させ、
前記印刷制御手段は、
前記着脱許可画面の表示後に、前記バッファメモリに記憶した前記印刷対象画像データを用いて、前記印刷媒体として装着された前記記録媒体への印刷を前記印刷手段に開始させる、
ことを特徴とする画像印刷装置。
【0011】
適用例1の画像印刷装置によれば、印刷対象画像が記録されている記録媒体に対しても印刷を実行することが可能となる。
【0012】
なお、「画像記録装置にダイレクトに接続」とは、コンピュータ等の機器を中継せずに、画像記録装置とがぞう印刷装置との間で、有線あるいは無線の通信規格に従って、直接通信が実行される状態を意味している。
【0013】
[適用例2]
適用例1記載の画像印刷装置であって、
前記特定の設定は、前記印刷媒体の種別として前記画像記録装置から通知される特定の印刷媒体の設定であることを特徴とする画像印刷装置。
【0014】
適用例2の画像印刷装置によれば、印刷媒体の種別として特定の印刷特定の印刷媒体の設定がなされていた場合に、印刷対象画像が記録されている記録媒体に対して印刷を実行することが可能となる。
【0015】
[適用例3]
適用例1記載の画像印刷装置であって、
前記特定の設定は、前記ユーザインタフェースを介してあらかじめ設定される、前記画像記録装置に装着された記録媒体を前記印刷媒体とするための設定であることを特徴とする画像印刷装置。
【0016】
適用例3の画像印刷装置によれば、前記ユーザインタフェースを介してあらかじめ設定される、画像記録装置に装着された記録媒体を印刷媒体とするための設定がなされていた場合に、印刷対象画像が記録されている記録媒体に対して印刷を実行することが可能となる。
【0017】
[適用例4]
適用例1記載の画像印刷装置であって、
前記特定の設定は、前記ユーザインタフェースを介してあらかじめ設定される、前記画像記録装置に装着された記録媒体を前記印刷媒体とするための設定、かつ、前記印刷媒体の種別として前記画像記録装置から通知される特定の印刷媒体の設定であることを特徴とする画像印刷装置。
【0018】
適用例4記載の画像印刷装置によれば、ユーザインタフェースを介してあらかじめ設定される、画像記録装置に装着された記録媒体を印刷媒体とするための設定がなされており、かつ、印刷媒体の種別として特定の印刷特定の印刷媒体の設定がなされていた場合に、印刷対象画像が記録されている記録媒体に対して印刷を実行することが可能となる。
【0019】
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれかに記載の画像印刷装置であって、
前記印刷制御手段は、前記印刷ジョブの開始メッセージが通知された際に、前記特定の設定に基づいて、前記ユーザインタフェースに対して、ユーザが前記印刷対象画像データの取得の開始を指示するための画面を表示させ、前記開始の指示に基づいて、前記画像記録装置に対して前記印刷対象画像データの送信を要求することを特徴とする画像印刷装置。
【0020】
適用例5の画像印刷装置によれば、印刷対象画像データの取得の開始をユーザの指示に基づいて実行することが可能となる。
【0021】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、画像印刷装置や画像印刷装置の制御方法、画像印刷方法、それらの方法や装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.ダイレクト印刷システム:
B.レーベル印刷動作:
C.変形例:
【0023】
A.ダイレクト印刷システム:
図1は、本発明の一実施例としての画像印刷装置を適用したダイレクト印刷システムの概略構成を示す説明図である。このダイレクト印刷システムは、画像記録装置としてのDVC100と、画像印刷装置としてのプリンタ200とが、USBケーブル300で接続された構成を有している。
【0024】
DVC100は、種々の画面を表示する表示パネル102や、ユーザの入力手段としてのタッチパネル104を備える。なお、入力手段としては、その他、種々の操作ボタンを有する操作部も備えるが、図示は省略されている。また、DVC100は、PictBridgeの規格に従ったダイレクト印刷を実行するための機能ブロックとして、DVC−PTB部110と、USBデバイス制御部120と、ユーザインタフェース130と、DVDデバイス(DVDドライブ装置)140と、PTBデータメモリ150と、バッファメモリ160と、を備える。
【0025】
プリンタ200も、DVC100と同様に、種々の画面を表示する表示パネル202や、入力手段としてのタッチパネル204および種々の操作ボタンを有する操作部206を備える。また、プリンタ200は、DVC100と同様に、PictBridgeの規格に従ったダイレクト印刷を実行するための機能ブロックとして、PRT−PTB部210と、USBホスト制御部220と、ユーザインタフェース230と、プリントデバイス240と、PTBデータメモリ250と、バッファメモリ260と、を備える。
【0026】
DVC100のUSBデバイス制御部120とプリンタ200のUSBホスト制御部220は、DVC100のUSBコネクタ122、USBケーブル300、および、プリンタ200のUSBコネクタ222を介して、互いに接続される。そして、USBデバイス制御部120とUSBホスト制御部220との間では、USB(Universal Serial Bus)の規格に従った通信が実行される。
【0027】
DVC100のDVC−PTB部110とプリンタ200のPRT−PTB部210は、DVC100のUSBデバイス制御部120、コネクタ122、プリンタ200のコネクタ222、および、USBホスト制御部220を介して、互いに接続される。そして、DVC−PTB部110とPRT−PTB部210との間では、PictBridgeの規格に従った通信が実行されることにより、印刷対象画像データがDVC100からプリンタ200に転送されて、ダイレクト印刷が実行される。すなわち、PictBridgeの規格に従って実行されるダイレクト印刷において、DVC−PTB部110はDVC100側がPictBridgeの規格に従って動作するように制御し、PRT−PTB210はプリンタ200側がPictBridgeの規格に従って動作するように制御する。
【0028】
なお、DVC−PTB部110は、主に、PRT−PTB部210のプリントサーバ212に対して印刷対象画像の印刷を要求するプリントクライアント112、および、PRT−PTB部210のストレージクライアント214からの要求に応じて印刷対象画像データを送信するストレージサーバ114として機能する。また、PRT−PTB部210は、主に、DVC−PTB部110のプリントクライアント112からの印刷の要求に応じて、ダイレクト印刷動作を実行するプリントサーバ212、および、DVC−PTB110のストレージサーバ114に対して印刷対象画像データの送信を要求するストレージクライアント214として機能する。
【0029】
DVC100のユーザインタフェース130は、DVC100の動作に応じた画面を表示パネル102に表示するための制御や、ユーザによるタッチパネル104や操作部からの入力動作を制御する。
【0030】
DVC100のDVDデバイス140は、図示しない装着部に装着した記録媒体としてのDVDへの画像データの記録や、装着した記録媒体としてのDVDに記録されている画像データの読み出しを実行する記録再生装置である。
【0031】
DVC100のPTBデータメモリ150は、DVC−PTB部110でPictBridgeの規格に従ってサポートするコマンドや動作条件に関するデータを記憶するメモリである。また、バッファメモリ160は、DVDデバイス140によって読み出された画像データ等の種々のデータを一時記憶するメモリである。
【0032】
プリンタ200のユーザインタフェース230は、プリンタ200の動作に応じた画面を表示パネル202に表示するための制御や、ユーザによるタッチパネル204や操作部206からの入力動作を制御する。
【0033】
プリンタ200のプリントデバイス240は、実際に印刷を実行する印刷装置である。
【0034】
プリンタ200のPTBデータメモリ250は、PRT−PTB部210でPictBridgeの規格に従ってサポートするコマンドや動作条件に関するデータを記憶するメモリである。また、バッファメモリ260は、DVC100から送信される印刷対象画像データ等の種々のデータを一時記憶するメモリである。
【0035】
以上説明したDVC100およびプリンタ200では、DVC−PTB部110とPRT−PTB部210との間で、PictBridgeの規格に従った通信が実行されることにより、DVC100のDVDデバイス140に装着されている記録媒体としてのDVDに記録されている印刷対象画像データが、DVC100からプリンタ200に転送されて、印刷対象画像のダイレクト印刷が実行される。本発明の特徴は、画像印刷装置としてのプリンタ200のPRT−PTB部210が以下で説明するように動作することにより、印刷対象画像が記録されている記録媒体としてのDVDを、印刷媒体としてレーベル印刷を実行することが可能となる点にある。そこで、以下では、レーベル印刷動作について説明する。
【0036】
B.レーベル印刷動作:
図2,3は、ダイレクト印刷によるレーベル印刷の動作手順を示す説明図である。なお、以下で説明する動作を開始する前提として、あらかじめ、USBケーブル300がDVC100のコネクタ122およびプリンタ200のコネクタ222に接続されることにより、DVC100のUSBデバイス制御部120およびプリンタ200のUSBホスト制御部220では、この接続を検知してUSBの規格に従った通信を実行するための種々の準備処理が実行される。また、この検知をトリガとして、DVC100のDVC−PTB部110およびプリンタ200のPRT−PTB部では、互いの機器がPictBridgeの規格に対応する機器であるか否かのネゴシエーションや、互いの機器が対応するサービスのネゴシエーション等、通常の準備処理は実行されているものとする。
【0037】
まず、ステップ[1]において、DVC100のユーザインタフェース(UI)130は、ユーザインタフェース画面として、ダイレクト印刷のための設定画面を、表示パネル102に表示する。
【0038】
図3は、ダイレクト印刷のための設定画面を示す説明図である。この印刷設定画面400には、印刷対象画像のプレビュー表示欄410、印刷対象画像選択ボタン412、用紙(印刷媒体)設定欄420、印刷枚数設定欄430、印刷開始ボタン450、および、終了ボタン460が表示されている。
【0039】
ユーザは、ステップ[2]において、印刷設定画面400の各設定欄420,430の選択タブ422,432を適宜押して、所望の用紙、印刷枚数を選択設定することができる。また、印刷対象画像選択ボタン412を押してプレビュー表示欄410に表示される画像を参照しながら、印刷対象画像を選択設定することができる。また、印刷開始ボタン450を押して、ダイレクト印刷の処理を開始することができる。なお、図の例では、用紙として「8cmのCD/DVD」が選択設定され、印刷枚数として「1枚」が選択設定されている場合を示している。
【0040】
印刷開始ボタン450が押されてユーザによる印刷開始指示がなれた場合には、DVC100のDVC−PTB部110のプリントクライアント112によってダイレクト印刷の処理が開始される。
【0041】
まず、ステップ[3]では、プリントクライアント112は、プリンタ200のPR−PTB部210のプリントサーバ212に対して、PictBridgeの規格で定義されているアクション「DPS_StartJob」を用いたリクエストメッセージを送信することにより、印刷ジョブの開始を要求する。なお、図示は省略するが、印刷ジョブの開始を要求するリクエストメッセージには、用紙(印刷媒体)、印刷枚数、印刷対象画像を特定するための情報等、印刷ジョブの実行に必要な種々の情報が含まれている。
【0042】
印刷ジョブの開始要求を受け取ったプリントサーバ212は、ステップ[4]において、プリントデバイス240による印刷が可能である場合には、印刷可能である旨の情報(図中には「OK」で示す)を含むレスポンスメッセージを、DVC100のプリントクライアント112に対して応答する。
【0043】
そして、PRT−PTB部210のストレージクライアント214は、ステップ[5]において、PictBridgeの規格で定義されているアクション「DPS_GetPartialFile」を用いたリクエストメッセージを、DVC−PTB部110のストレージサーバ114に対して送信することにより、印刷対象画像データを複数の部分に分割した部分単位での取得を要求する。
【0044】
この時、ストレージサーバ114は、ステップ[6]において、DVDデバイス140を介して、DVDデバイス140に装着されている記録媒体としてのDVDから印刷対象画像データの一部分を読み出し、一時的にバッファメモリ160に記憶する。また、ストレージサーバ114は、ステップ[7]において、バッファメモリ160に一時的に記憶される一部分の印刷対象画像データをレスポンスメッセージに含めて、ストレージクライアント214に対して送信する。
【0045】
ストレージクライアント214は、ステップ[8]において、ストレージサーバ114から受信した一部分の印刷対象画像データを、バッファメモリ260に記憶する。
【0046】
ここで、印刷対象画像データを受信すると、従来のダイレクト印刷の処理では、プリントサーバ212は、バッファメモリ260に記憶した印刷画像データに基づいてプリントデバイス240による印刷を開始する。しかしながら、上述したように、用紙(印刷媒体)の設定が、例えば、DVC100の記録媒体であるDVDのように、記録媒体自身に印刷が可能な記録媒体を用紙(印刷媒体)とするような設定、本例では、8cmのCD/DVD、となっている場合には、プリントサーバ212は、ステップ[9]において、印刷動作の開始を一時停止し、全ての印刷対象画像データを取得するまで待機状態となる。
【0047】
このとき、プリンタ200のユーザインタフェース230は、ステップ[10]において、表示パネル202に、図5に示すような印刷準備中であることをユーザに通知する画面(印刷準備中画面)500を表示する。
【0048】
また、プリントサーバ212は、ステップ[11]において、PictBridgeの規格で定義されているアクション「DPS_NotifyDeviceStatus」を用いたリクエストメッセージを送信することにより、「印刷中」である旨をプリントクライアント112に通知する。ただし、実際には、印刷は実行されていない。なお、このアクション「DPS_NotifyDeviceStatus」は、プリントデバイス240のステータスの変化を通知するためのアクションである。
【0049】
上記「印刷中」の通知を受け取ったプリントクライアント112は、ステップ[12]において、その通知を受け取った旨のレスポンスメッセージ(「OK」)をプリントサーバ212に対して応答する。また、このとき、DVC100のユーザインタフェース130は、ステップ[13]において、表示パネル102に、図6に示すような印刷中であることをユーザに通知する画面(印刷中画面)600を表示する。
【0050】
ストレージクライアント214は、さらに、ステップ[14]において、PictBridgeの規格で定義されているアクション「DPS_GetPartialFile」を用いたリクエストメッセージをストレージサーバ114に対して送信することにより、印刷対象画像データの部分単位の取得をストレージサーバ114に対して要求する。
【0051】
このとき、ストレージサーバ114は、ステップ[15]において、DVDデバイス140に装着されているDVDから印刷対象画像データを順に読み出し、一時的にバッファメモリ160に記憶する。そして、ステップ[16]において、バッファメモリ160に記憶された部分単位の印刷対象画像データを、レスポンスメッセージに含めてストレージクライアント214に対して送信する。
【0052】
ストレージクライアント214は、ステップ[17]において、ストレージサーバ114から受信した部分単位の画像データを、バッファメモリ260に記憶する。
【0053】
そして、ストレージクライアント214が印刷対象画像データの全てを取得するまで、ストレージクライアント214とストレージサーバ114との間では、上記ステップ[14]〜ステップ「17」までの処理が繰り返される。
【0054】
全ての印刷対象画像データの取得が終了した場合、プリントサーバ212は、ステップ[18]において、アクション「DPS_NotifyDeviceStatus」を用いたリクエストメッセージを送信することにより、プリントデバイス240が印刷可能であり、アイドル(実行待ち)中である旨をプリントクライアント112に通知する。
【0055】
プリントクライアント112がステップ[18]による通知を受けとった場合には、ステップ[19]において、この通知を受け取った旨のレスポンスメッセージ(「OK」)をプリントサーバ212に対して応答し、ダイレクト印刷処理を終了する。また、このとき、ユーザインタフェース130は、ステップ[20]において、ステップ[1]と同様に、ユーザインタフェース画面として、ダイレクト印刷のための設定画面を、表示パネル102に表示する。
【0056】
プリントサーバ212がステップ[19]による応答を受け取った場合には、ステップ[21]において、ユーザインタフェース230は、
図7に示すように、記録媒体を取り出してプリンタにセットすることを促す画面(記録媒体取出し許可画面)700を表示する。このとき、ユーザは、DVDデバイス140に装着されているDVD(記録媒体)を着脱し、プリンタ200に印刷媒体としてセットすることができる。
【0057】
そして、ステップ[22]において、ユーザが、図7に示した印刷実行ボタン710を押すことにより、印刷実行を指示すると、プリントサーバ212は、印刷ジョブを再開し、ステップ「23」において、バッファメモリ260に記憶されている印刷対処画像データを読み出し、ステップ[24]において、読み出した印刷対象画像データをプリントデバイス240に対して印刷データとして受け渡す。
【0058】
印刷データを受け取ったプリントデバイス240は、印刷媒体としてセットされているDVDに対して、印刷データとして受け取った印刷対象画像データの表す画像の印刷を実行する。
【0059】
以上説明したように、プリンタ200では、用紙(印刷媒体)の設定が、例えば、DVC100の記録媒体であるDVDのように、記録媒体自身に印刷が可能な記録媒体を用紙(印刷媒体)とするような設定、上記実施例では、8cmのCD/DVD、となっている場合には、印刷動作の開始を一時停止し、DVC100から送信されてくる印刷対象画像データの全てをバッファメモリ260に記憶するため、印刷媒体でもある記録媒体としてのDVDをDVDデバイス140から着脱して、プリンタ200に印刷媒体としてセットすることができる。これにより、印刷対象画像データが記録されている記録媒体としてのDVDを、印刷媒体としてレーベル印刷を実行することが可能となる。また、本実施例のプリンタ200は、PictBridgeの規格に従った従来のダイレクト印刷に対応するDVCであっても、プリンタ200に接続して、このDVCに装着されている記録媒体に記録されている印刷対象画像データの表す画像を、その記録媒体を印刷媒体とするようなレーベル印刷を実行することが可能である。
【0060】
C.変形例:
なお、本発明は上記した実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。
【0061】
上記実施例では、用紙(印刷媒体)の設定が、例えば、DVC100の記録媒体であるDVDのように、記録媒体自身に印刷が可能な記録媒体を用紙(印刷媒体)とするような設定、上記実施例では、8cmのCD/DVD、となっている場合には、印刷動作の開始を一時停止し、DVC100から送信されてくる印刷対象画像データの全てをバッファメモリ260に記憶する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、プリンタ200のユーザインタフェース230を介して、ユーザが、あらかじめ、DVCに装着された記録媒体を印刷媒体とする印刷を実行するための設定を選択設定している場合に、用紙(印刷媒体)の設定に関係なく印刷動作の開始を一時停止し、DVC100から送信されてくる印刷対象画像データの全てをバッファメモリ260に記憶する動作が実行されるようにしてもよい。また、DVC100に装着された記録媒体を印刷媒体とする印刷を実行するための設定が選択設定がなされており、かつ、記録媒体自身に印刷が可能な記録媒体を用紙(印刷媒体)とするような設定がなされている場合に、印刷動作の開始を一時停止し、DVC100から送信されてくる印刷対象画像データの全てをバッファメモリ260に記憶する動作が実行されるようにしてもよい。
【0062】
上記実施例では、ユーザが図7に示した印刷実行ボタン710を押すことにより、バッファメモリ260に記憶された印刷対象画像データを用いて印刷が実行される場合を例に説明したが、例えば、印刷媒体としての記録媒体がセットされたことに基づいて、印刷が実行されるようにしてもよい。
【0063】
上記実施例では、画像印刷装置としてのプリンタに接続する画像記録装置としてDVCを例に説明したが、これに限定されるものではなく、DVDレコーダ等のDVDを記録媒体として装着できる画像記録装置であれば、適用可能である。
【0064】
また、上記実施例では、従来のDVDを記録媒体としかつ印刷媒体とする場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、BD(Blue-ray Disk)やHD−DVDなどの次世代DVDやCD等、着脱可能な種々の可搬型の記録媒体としてもよい。すなわち、印刷対象画像データが記録可能な媒体であり、かつ、その媒体自身が印刷可能なものであればよく、その媒体を記録媒体として装着できる画像記録装置として適用可能である。
【0065】
また、上記実施例では、DVC100とプリンタ200との間をUSBケーブル300で接続し、DVC100とプリンタ200との間でUSBの規格に従った通信が実行される場合を例に説明したが、有線接続、無線接続を問わず種々の規格に従った通信が実行される場合においても、適用可能である。
【0066】
また、上記実施例では、ダイレクト印刷を実現するために、PictBridgeの規格を適用した印刷システムを例に説明しているが、これに限定されるものではなく、その他のダイレクト印刷を実現するための規格を適用した印刷システムにおいても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施例としての画像印刷装置を適用したダイレクト印刷システムの概略構成を示す説明図である。
【図2】ダイレクト印刷によるレーベル印刷の動作手順を示す説明図である。
【図3】ダイレクト印刷によるレーベル印刷の動作手順を示す説明図である。
【図4】ダイレクト印刷のための設定画面を示す説明図である。
【図5】印刷準備中画面の例を示す説明図である。
【図6】印刷中画面の例を示す説明図である。
【図7】記録媒体取り出し許可画面の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0068】
100…DVC(デジタルビデオカメラ)
102…表示パネル
104…タッチパネル
112…プリントクライアント
114…ストレージサーバ
120…USBデバイス制御部
122…コネクタ
130…ユーザインタフェース
140…DVDデバイス(DVDドライブ装置)
150…PTBデータメモリ
160…バッファメモリ
200…プリンタ
202…表示パネル
204…タッチパネル
206…操作部
210…PRT−PTB部
212…プリントサーバ
214…ストレージクライアント
220…USBホスト制御部
222…コネクタ
230…ユーザインタフェース
240…プリントデバイス
250…PTBデータメモリ
260…バッファメモリ
400…印刷設定画面
410…プレビュー表示欄
412…印刷対象画像選択ボタン
420…用紙(印刷媒体)設定欄
430…印刷枚数設定欄
422,432…選択タブ
500…印刷中準備中画面
600…印刷中画面
700…記録媒体取り出し許可画面
710…印刷実行ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を着脱可能に装着しうる画像記録装置にダイレクトに接続して、前記記録媒体に記録されている印刷対象画像データの表す画像の印刷を実行する画像印刷装置であって、
表示部と、
前記表示部への表示を実行するユーザインタフェースと、
印刷実行手段と、
前記画像記録装置から通知された印刷ジョブの開始要求に基づいて、前記画像記録装置に対して前記印刷対象画像データの送信を要求して、前記画像記録装置から送信されてくる前記印刷対象画像データを取得し、前記印刷実行手段に前記印刷対象画像データの表す画像の印刷を実行させる印刷制御手段と、
を備え、
前記印刷制御手段は、
前記画像記録装置から前記印刷ジョブの開始要求が通知された際に、印刷媒体に関する特定の設定がなされている場合において、前記画像記録装置から送信されてくる前記印刷対象画像データの全てを取得して、前記画像印刷装置に備えるバッファメモリに記憶し、
前記ユーザインタフェースは、
前記印刷対象画像データの全てを取得後に、前記記録媒体の前記画像記録装置からの着脱許可画面を、前記表示部に表示させ、
前記印刷制御手段は、
前記着脱許可画面の表示後に、前記バッファメモリに記憶した前記印刷対象画像データを用いて、前記印刷媒体として装着された前記記録媒体への印刷を前記印刷手段に開始させる、
ことを特徴とする画像印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像印刷装置であって、
前記特定の設定は、前記印刷媒体の種別として前記画像記録装置から通知される特定の印刷媒体の設定であることを特徴とする画像印刷装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像印刷装置であって、
前記特定の設定は、前記ユーザインタフェースを介してあらかじめ設定される、前記画像記録装置に装着された記録媒体を前記印刷媒体とするための設定であることを特徴とする画像印刷装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像印刷装置であって、
前記特定の設定は、前記ユーザインタフェースを介してあらかじめ設定される、前記画像記録装置に装着された記録媒体を前記印刷媒体とするための設定、かつ、前記印刷媒体の種別として前記画像記録装置から通知される特定の印刷媒体の設定であることを特徴とする画像印刷装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像印刷装置であって、
前記印刷制御手段は、前記印刷ジョブの開始メッセージが通知された際に、前記特定の設定に基づいて、前記ユーザインタフェースに対して、ユーザが前記印刷対象画像データの取得の開始を指示するための画面を表示させ、前記開始の指示に基づいて、前記画像記録装置に対して前記印刷対象画像データの送信を要求することを特徴とする画像印刷装置。
【請求項6】
記録媒体を着脱可能に装着しうる画像記録装置にダイレクトに接続し、前記記録媒体に記録されている印刷対象画像データの表す画像の印刷を実行する画像印刷装置の制御方法であって、
前記画像記録装置から印刷ジョブの開始要求が通知された際に、印刷媒体に関する特定の設定がなされている場合において、前記画像記録装置から送信されてくる前記印刷対象画像データの全てを取得して、前記画像印刷装置に備えるバッファメモリに記憶し、
前記印刷対象画像データの全てを取得後に、前記記録媒体の前記画像記録装置からの着脱許可画面を、前記画像印刷装置に備える表示部に表示させ、
前記着脱許可画面の表示後に、前記バッファメモリに記憶した前記印刷対象画像データを用いて、印刷媒体として装着された前記記録媒体への印刷を、前記画像印刷装置に備える印刷手段に開始させる、
ことを特徴とする画像印刷装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−188522(P2009−188522A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−24039(P2008−24039)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】