説明

画像取得装置

【課題】被検査媒体を、受光センサアレイの下側を通過する際に基準面に沿って固定することによって、ばたつきの発生を防止する。
【解決手段】画像取得装置は、受光センサアレイ11を含む受光部13と、受光センサアレイの受光面11aと正対する搬送面17aを有する搬送板17とを具えている。そして、受光センサアレイは、複数の受光センサ19が、搬送板の搬送面上を搬送される被検査媒体15の搬送方向に対して、垂直方向にアレイ状に配列されて構成されており、かつ光源21から出射され被検査媒体から反射された光を受光する。また、受光部は、この受光部下を通過する被検査媒体を搬送面上に移動可能な圧力で密着させる抑制機構23を具えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、受光センサを用いて被検査媒体からの光情報を得ることによって、この被検査媒体の画像を取得する画像取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来周知の通り、受光センサを用いて被検査媒体の画像を取得する画像取得装置は、例えば紙幣、証券、小切手等の紙葉類の真偽を判別する判別装置等として使用される。すなわち、画像取得装置は、光源から紙幣等の被検査媒体に対して光を出射する。そして、この光が被検査媒体から反射された反射光、または被検査媒体を透過した透過光を受光センサで受光することによって被検査媒体の画像を取得し、この得られた画像と、予め用意された基準の画像とを比較することによって、当該被検査媒体の判別がなされる。
【0003】
このような画像取得装置において、被検査媒体は、水平に設定された基準面に沿って一定速度で搬送される。そして、被検査媒体は、この被検査媒体の搬送方向に垂直な方向に、かつ基準面に対して平行にアレイ状に受光センサが複数配列されて構成されている受光センサアレイの下側を通過する。また、各受光センサの各受光面は上述した基準面と正対している。
【0004】
受光センサアレイは、この受光センサアレイの下側、すなわち各受光面と正対する領域に存在する被検査媒体からの反射光または透過光を受光する。そして、一定の速度で搬送される被検査媒体が受光センサアレイの下側を通過する際に、被検査媒体からの反射光または透過光を一定の時間毎に検出信号として出力する。これによって得られた各時間における検出信号から全体的な被検査媒体の画像が得られる。
【0005】
このような画像取得装置において、被検査媒体を搬送する手段としてローラを用いる技術が周知である(例えば、特許文献1)。画像取得装置は、上下方向、すなわち上述した基準面に対して垂直方向から、この基準面を挟み込む2つで一対のローラを、複数対具えている。そして、これらローラは、被検査媒体を挟み込んだ状態で搬送することによって、この被検査媒体を基準面に沿って搬送させる。そして、これらローラを、搬送される被検査媒体が受光センサアレイの下側を通過する前後において、この被検査媒体の受光センサの配列方向における両端部を挟み込むように配置する。そのために、ローラを、受光センサアレイの搬送方向における前後にそれぞれ複数対ずつ配置する。これによって、被検査媒体は、受光センサアレイの下側を通過する際に、基準面に沿って固定した状態で搬送される。
【0006】
ところで、画像取得装置の構造によっては、ローラを上述した配置、すなわち受光センサアレイの搬送方向における前後に設けることができない場合がある。その場合には、例えば、基準面に沿った搬送面を有する搬送板を設け、この搬送面上に被検査媒体を載置して搬送することによって、被検査媒体を基準面に沿った状態で受光センサアレイの下側を通過させる。
【特許文献1】特開2000−172898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、受光センサアレイの搬送方向における前後において、搬送板によって被検査媒体の基準面への固定を図る場合には、ローラによって固定を図る場合とは異なり、上下方向から挟み込んで被検査媒体を基準面に固定できないため、被検査媒体が基準面上で部分的に浮く、皺が生じるなどの所謂ばたつきが発生する恐れがある。このようなばたつきが発生すると、受光センサアレイを構成する各受光センサ、及びこれらに各々対応する被検査媒体の各領域間の各離間距離に互いに差が生じる。その結果、取得した画像にムラの発生等の問題が生じ、例えば上述した判別装置として画像取得装置を使用する場合には、判別性能の低下に繋がる。
【0008】
そこで、この発明の目的は、ローラを受光センサアレイの搬送方向における前後に設けることができない構造であっても、被検査媒体を、受光センサアレイの下側を通過する際に基準面に沿って固定することによって、ばたつきの発生を防止できる画像取得装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的の達成を図るため、この発明によれば、画像取得装置は以下の特徴を有している。
【0010】
すなわち、この発明による画像取得装置は、受光センサアレイを含む受光部と、受光センサアレイの受光面と正対する搬送面を有する搬送板とを具えている。そして、受光センサアレイは、複数の受光センサが、搬送板の搬送面上を搬送される被検査媒体の搬送方向に対して、垂直方向にアレイ状に配列されて構成されており、かつ光源から出射され被検査媒体から反射された光を受光する。また、受光部は、この受光部下を通過する被検査媒体を搬送面上に移動可能な圧力で密着させる抑制機構を具えている。
【発明の効果】
【0011】
この発明による画像取得装置では、受光センサアレイを含む受光部が抑制機構を具えている。そして、この抑制機構によって、受光部下を通過する被検査媒体を搬送面上に移動可能な圧力で密着させる。そのため、受光部下において被検査媒体は、抑制機構及び搬送板によって上下方向、すなわち搬送面に対して垂直方向から、搬送面に沿って固定された状態で搬送される。従って、この発明による画像取得装置では、受光センサアレイの搬送方向における前後にローラを設けることができない場合においても、上述したばたつきの発生を防止することができ、その結果、取得した画像にムラが生じるのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態に係る画像取得装置について説明する。なお、各図は、この発明が理解できる程度に、各構成要素の形状、大きさ、及び配置関係を概略的に示してあるに過ぎない。従って、この発明の構成は、何ら図示の構成例にのみ限定されるものではない。
【0013】
〈第1の実施の形態〉
第1の実施の形態では、円または楕円のリングの形態の線状体で構成された抑制機構を具える画像取得装置について説明する。
【0014】
図1(A)及び(B)は、この発明の第1の実施の形態による画像取得装置の要部を概略的に表した図である。そして、図1(B)は、図1(A)に示すI−I線に沿って切り取った断面を矢印方向から見た断面図である。
【0015】
第1の実施の形態による画像取得装置は、受光センサアレイ11を含む受光部13と、光源21と、被検査媒体15を載置して搬送する搬送板17とを具えている。
【0016】
この第1の実施の形態による画像取得装置は、水平に設定された基準面に沿って搬送される例えば紙幣、小切手、証券等の平板状の被検査媒体15の被検査面15aの画像を取得するために利用される。そこで、第1の実施の形態では、被検査媒体15が載置される搬送板17の搬送面17aを、基準面と一致させて設けることによって、被検査媒体15をこの基準面に沿って水平に搬送する。なお、被検査媒体15の搬送方向を図1(A)及び(B)中に矢印で示す。
【0017】
また、被検査媒体15は、例えば周知のローラ等の搬送手段によって搬送される。図1(A)による構成例の場合には、例えば紙面の右側に、図示しないローラを設け、このローラによって、被検査媒体15の一部を上下方向、すなわち被検査面15aに垂直な方向から挟み込んで搬送する。
【0018】
受光部13は、後述する光源21から出射され、被検査媒体15から反射された光を受光するための受光センサアレイ11を具えている。
【0019】
受光センサアレイ11は、被検査媒体15の搬送方向に対して垂直方向に、かつ基準面、すなわち搬送面17aに対して平行にアレイ状に受光センサ19が複数配列されて構成されている。なお、図1(A)及び(B)では、5つの受光センサ19a、19b、19c、19d、及び19eをアレイ状に配列した構成例を示している。
【0020】
また、受光センサアレイ11は、この受光センサアレイ11の受光面11a、すなわち受光センサアレイ11を構成する各受光センサ19の各受光面19aa、19ba、19ca、19da、及び19ea(以下、単に各受光面19aa〜19eaと称することもある)が、搬送面17aに正対して配置されている。
【0021】
ここで、第1の実施の形態による画像取得装置では、被検査媒体15の全部、または検査すべき一部の領域が、受光センサアレイ11の下側、すなわち各受光センサ19の各受光面19aa〜19eaが正対する領域20(以下、単に正対領域20とも称する)を通過するように、被検査媒体15を搬送する。なお、図1(A)及び(B)の構成例では、受光センサ19aの受光面19aaは正対領域20aと、受光センサ19bの受光面19baは正対領域20bと、受光センサ19cの受光面19caは正対領域20cと、受光センサ19dの受光面19daは正対領域20dと、受光センサ19eの受光面19eaは正対領域20eと、それぞれ正対している。また、図1(A)及び(B)では、被検査媒体15の一部の領域から光情報を得る場合、すなわち被検査媒体15の一部の領域が正対領域20を通過する場合の構成例を示している。
【0022】
そして、受光センサアレイ11は、被検査媒体15が受光センサアレイ11の下側を通過する際に、各受光センサ19の各受光面19aa〜19eaの正対領域20に存在する被検査媒体15からの反射光を受光し、光情報を得る。そして、一定速度で被検査媒体15を搬送し、受光センサアレイ11によって、一定時間毎に、各時点における受光面19aa〜19eaの各正対領域20に存在する被検査媒体15からの光情報を取得する。これによって、受光センサアレイ11の下側を通過する被検査媒体15の画像を取得する。なお、第1の実施の形態による画像取得装置では、受光センサアレイ11から得られた光情報を、例えば、周知の受光回路及びA/Dコンバータを介してMPU(マイクロプロセッサユニット)とメモリとを含むデータ処理装置(図示せず)に接続することによって、画像を取得する。受光回路及びA/Dコンバータは、受光センサアレイ11が受光した光情報を受光回路で増幅して、A/Dコンバータでデジタルデータに変換し、データ処理装置に入力する。また、データ処理装置は、デジタルデータとして入力された光情報を画像処理し、この画像処理されたデータを保存する。
【0023】
光源21は、例えば、LED、蛍光灯、その他の従来周知の発光素子であって、ビーム状の出射光を出射するように構成されている。第1の実施の形態による画像取得装置では、この光源21によって、搬送される被検査媒体15の被検査面15aに対して光を照射する。
【0024】
光源21は、光を被検査媒体15に対して出射しでき、かつこの出射光が被検査媒体15によって、受光センサアレイ11によって受光可能な角度で反射されることができれば、画像取得装置への配設個所と、配設個数は設計に応じて任意適切に決めることができる。なお、図1(A)及び(B)の構成例では、受光センサ19の配列方向に沿って複数配置し、受光部13の受光センサ19の配列方向に沿った、搬送方向における後方側の側面13bに隣接させて配置している。
【0025】
さらに、第1の実施の形態では、受光部13は、抑制機構23を具えている。
【0026】
抑制機構23は、搬送される被検査媒体15が受光部13下を通過する際に、この被検査媒体15を搬送面17a上に移動可能な圧力で密着させる目的で設けられている。これによって、第1の実施の形態では、被検査媒体15は、抑制機構23及び搬送板17によって上下方向、すなわち搬送面に対して垂直方向から、設定された基準面、すなわち搬送面17aに沿って固定された状態で、受光センサアレイ11の下側、すなわち各受光センサ19の各受光面19aa〜19eaの正対領域20を通過する。
【0027】
この密着の目的を達成するために、この第1の実施の形態では、抑制機構23を、2つの、円または楕円のリングの形態の線状体25で構成している。なお、図1(A)及び(B)の構成例では、抑制機構23を構成する線状体を、楕円のリング形態とした場合について示している。
【0028】
第1の実施の形態では、抑制機構23として用いる線状体25は、例えばピアノ線、金属線等を材料として構成されている。そして、このリングの形態の線状体25を設けることによって、受光部13下を通過する被検査媒体15に対して、搬送面17aに垂直な方向に被検査媒体15の被検査面15a側から圧力が加わる。その結果、受光部13下を通過する被検査媒体15は、受光部13下において、抑制機構23と被検査面15aとによって挟み込まれるため、上述したばたつきが生じることなく受光センサアレイ11の下側を通過する。
【0029】
また、抑制機構23は、受光センサアレイ11が取得する光情報の妨げとならないように、受光センサアレイ11の受光面11a、すなわち各受光センサ19の各受光面19aa〜19eaに受光される光の光路外で、受光部13と接続されている。そのために、抑制機構23は、受光部13の受光センサアレイ11が設けられている外の部分に接続されている。
【0030】
そして、第1の実施の形態では、このような受光面11aに受光される光の光路外で、かつ良好なバランス、すなわち、受被検査媒体15の光センサアレイ11の下側を通過する領域の全面においてばたつきを抑制できるバランスで、被検査媒体15を搬送板17上に押さえるために、2つのリングの形態の線状体25を、受光部13の受光センサ19の配列方向における両端部において、この受光部13をそれぞれリング内に通した状態で、抑制機構23を設けるのが好ましい。なお、この第1の実施の形態では、光源21を受光部13に、受光センサ19の配列方向に沿った、搬送方向における後方側の側面13bで隣接させ、かつ受光センサ19の配列方向に沿って複数配置している。その場合には、抑制機構23を、光源21も含めて受光部13の両端をリング内に通した状態で設けるのが好ましい。そして、当然のことながら、その場合には、抑制機構23を、各受光面19aa〜19eaに受光される反射光の光路外であって、かつ光源21から出射される出射光の光路外に配置するのが好ましい。
【0031】
また、抑制機構23は、例えば周知の接着材、はんだ等を用いて受光部13に接続されている。
【0032】
ここで、この第1の実施の形態では、抑制機構23によって被検査媒体15を搬送面17a上に移動可能に、すなわち搬送を妨げることなく密着させるために、抑制機構23が被検査媒体15を押さえる圧力を好適に設定する必要がある。そのために、この第1の実施の形態では、線状体25の被検査媒体15との接触部25a、及び搬送面17a間の離間距離W1を変化させつつ、各離間距離W1において被検査媒体15を実際に搬送するテストを行う。このテストから、被検査媒体15が搬送面17aに密着し、かつ抑制機構23によって搬送が滞ることなく受光部13下を通過できるような離間距離W1を実験的に決定する。そして、このように実験的に決定された離間距離W1を以って、被検査媒体15として想定される例えば紙幣、証券、小切手等の厚みや質量に応じた、抑制機構23の被検査媒体15を押さえる圧力を設定する。
【0033】
この第1の実施の形態による画像取得装置では、受光センサアレイ11を含む受光部13が2つのリングの形態の線状体25で構成された抑制機構23を具えている。そして、この抑制機構23によって、受光部13下を通過する被検査媒体15を搬送面17a上に移動可能な圧力で密着させる。そのため、受光部13下において被検査媒体15は、抑制機構23及び搬送板17によって上下方向、すなわち搬送面17aに対して垂直方向から、設定された基準面、すなわち搬送面17aに沿って固定された状態で搬送される。従って、この第1の実施の形態による画像取得装置では、受光センサアレイ11の搬送方向における前後に、ローラを設けることができない場合においても、抑制機構23によって、上述したばたつきの発生を防止することができ、その結果、取得した画像にムラが生じるのを防ぐことができる。
【0034】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、J字形の線状体で構成された抑制機構を具える画像取得装置について説明する。
【0035】
この第2の実施の形態による画像取得装置が、上述した第1の実施の形態による画像取得装置と相違するのは、抑制機構が複数のJ字形の線状体で構成されている点である。その他の構成要素及び作用効果は、上述した第1の実施の形態と同様であるので、共通する構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0036】
図2(A)及び(B)は、この発明の第2の実施の形態による画像取得装置の要部を概略的に表した図である。そして、図2(B)は、図2(A)に示すII−II線に沿って切り取った断面を矢印方向から見た断面図である。
【0037】
第2の実施の形態による画像取得装置では、受光部13は、抑制機構27を具えている。抑制機構27は、上述した第1の実施の形態に係る抑制機構23と同様に、搬送される被検査媒体15が受光部13下を通過する際に、この被検査媒体15を搬送面17a上に移動可能な圧力で密着させる目的で設けられている。これによって、第2の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同様に、被検査媒体15は、抑制機構23及び搬送板17によって上下方向、すなわち搬送面に対して垂直方向から、設定された基準面、すなわち搬送面17aに沿って固定された状態で、受光センサアレイ11の下側、すなわち各受光センサ19の各受光面19aa〜19eaの正対領域20を通過する。
【0038】
この密着の目的を達成するために、この第2の実施の形態では、抑制機構27を、複数の、接続部29a及びこの接続部29aから延在した湾曲部29bからなるJ字形の線状体29で構成している。
【0039】
第2の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同様に、抑制機構27として用いるJ字形の線状体29は、例えばピアノ線、金属線等を材料として構成されている。そして、このJ字形の線状体29を設けることによって、受光部13下を通過する被検査媒体15に対して、搬送面17aに垂直な方向に被検査媒体15の被検査面15a側から圧力が加わる。その結果、受光部13下を通過する被検査媒体15は、受光部13下において、抑制機構27と被検査面15aとによって挟み込まれるため、上述したばたつきが生じることなく受光センサアレイ11の下側を通過する。
【0040】
また、抑制機構27は、上述した第1の実施の形態と同様に、受光センサアレイ11が取得する光情報の妨げとならないように、受光センサアレイ11の受光面11a、すなわち各受光センサ19の各受光面19aa〜19eaに受光される光の光路外で、受光部13と接続されている。そのために、抑制機構27は、J字形の線状体29の接続部29aにおいて受光部13の、搬送面17aに垂直な、受光センサ19の配列方向に沿った側面13aまたは13bと接続されている。そして、被検査媒体15とさせ、この被検査媒体15を押さえるために設けられている湾曲部29bが、各受光センサ19の各受光面19aa〜19eaに受光される光の光路外に存在するように配置されている。
【0041】
そして、第2の実施の形態では、このような受光面11aに受光される光の光路外で、かつ良好なバランス、すなわち、被検査媒体15の受光センサアレイ11の下側を通過する領域の全面においてばたつきを抑制できるバランスで、被検査媒体15を搬送板17上に押さえるために、複数の線状体29によって、受光部13を、搬送面17aに垂直な、受光センサ19の配列方向に沿った両側面13a及び13bから挟んで配置するのが好ましい。なお、図2(A)及び(B)では、抑制機構27を、受光部13の受光センサ19の配列方向における両端部、及び中心部の3個所において、それぞれ2つの線状体29で受光部13を両側面13a及び13bから挟んで配置した構成例を示している。
【0042】
また、この第2の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同様に、光源21を受光部13に、受光センサ19の配列方向に沿った、搬送方向における後方側の面13bで隣接させ、かつ受光センサ19の配列方向に沿って複数配置している。その場合には、抑制機構27を、光源21を隔てて受光部13の両側面13a及び13bから挟んで設けるのが好ましい。そして、当然のことながら、その場合には、抑制機構27を、各受光面19aa〜19eaに受光される反射光の光路外であって、かつ光源23から出射される出射光の光路外に配置するのが好ましい。
【0043】
また、抑制機構27は、上述した第1の実施の形態と同様に、例えば周知の接着材、はんだ等を用いて受光部13に接続されている。
【0044】
そして、第2の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同様に、抑制機構27によって被検査媒体15を搬送面17a上に移動可能に、すなわち搬送を妨げることなく密着させるために、線状体29の被検査媒体15との接触部29cと搬送面17aとの離間距離W2を変化させつつ、各離間距離W2において被検査媒体15を実際に搬送するテストを行う。このテストから、被検査媒体15が搬送面17aに密着し、かつ抑制機構27によって搬送が滞ることなく受光部13下を通過できるような離間距離W2を実験的に決定する。そして、このように実験的に決定された離間距離W2を以って、被検査媒体15として想定される例えば紙幣、証券、小切手等の厚みや質量に応じた、抑制機構27の被検査媒体15を押さえる圧力を設定する。
【0045】
第2の実施の形態による画像取得装置では、J字形の線状体29を抑制機構27として用いている。そのため、抑制機構としてリングの形態の線状体を用いる第1の実施の形態とは異なり、J字形の湾曲部29bを各受光面19aa〜19eaに受光される光の光路から外して配置することによって、抑制機構27全体をこの光路外に配置させることができる。従って、第2の実施の形態による画像取得装置では、抑制機構27を接続する個所が、受光部13の、受光センサ19の配列方向における両端部のみに限定されない。従って、第2の実施の形態では、抑制機構27として、被検査媒体15の厚みや質量、及び検査すべき領域の面積に応じた好適な個数の線状体29を、受光センサ19の配列方向に沿った両側面13a及び13bの好適な個所に接続することができる。その結果、第2の実施の形態による画像取得装置では、上述したばたつきを防止するに当たり、第1の実施の形態による画像取得装置と比して、より良好な配置のバランスで被検査媒体15を押さえることができる。
【0046】
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態では、抑制機構として、受光センサアレイの受光面を覆うカバーを具える画像取得装置について説明する。
【0047】
この第3の実施の形態による画像取得装置が、上述した第1及び第2の実施の形態による画像取得装置と相違するのは、抑制機構が受光センサアレイの受光面を覆うカバーである点である。その他の構成要素及び作用効果は、上述した第1及び第2の実施の形態と同様であるので、共通する構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0048】
図3(A)及び(B)は、この発明の第3の実施の形態による画像取得装置の要部を概略的に表した図である。そして、図3(B)は、図3(A)に示すIII−III線に沿って切り取った断面を矢印方向から見た断面図である。
【0049】
第3の実施の形態による画像取得装置では、受光部13は、抑制機構31を具えている。抑制機構31は、上述した第1の実施の形態に係る抑制機構23、及び第2の実施の形態に係る抑制機構27と同様に、搬送される被検査媒体15が受光部13下を通過する際に、この被検査媒体15を搬送面17a上に移動可能な圧力で密着させる目的で設けられている。これによって、第3の実施の形態では、上述した第1及び第2の実施の形態と同様に、被検査媒体15は、抑制機構31及び搬送板17によって上下方向、すなわち搬送面に対して垂直方向から、設定された基準面、すなわち搬送面17aに沿って固定された状態で、受光センサアレイ11の下側、すなわち各受光センサ19の各受光面19aa〜19eaの正対領域20を通過する。
【0050】
この密着の目的を達成するために、この第3の実施の形態では、抑制機構31は、搬送方向に沿った切り口が半円形、半楕円形、または搬送面17aに近づくにつれて先細となる形状のカバーであり、受光センサアレイ11の受光面11aを覆って設けられている。なお、図3(A)及び(B)の構成例では、抑制機構31を、搬送方向に沿った切り口が半楕円形のカバーとした場合について示している。
【0051】
第3の実施の形態では、この抑制機構31としてのカバーを設けることによって、受光部13下を通過する被検査媒体15に対して、搬送面17aに垂直な方向に被検査媒体15の被検査面15a側から圧力が加わる。その結果、受光部13下を通過する被検査媒体15は、受光部13下において、抑制機構31と被検査面15aとによって挟み込まれるため、上述したばたつきが生じることなく受光センサアレイ11の下側を通過する。
【0052】
また、第3の実施の形態では、上述した第1及び第2の実施の形態と同様に、受光センサアレイ11が取得する光情報の妨げとならないように、抑制機構31として用いるカバーを、被検査媒体15からの反射光が透過可能な材質、すなわち透光性の材質で形成されている。第3の実施の形態では、透光性のガラス、プラスチック、その他設計に応じた好適な材質でカバーを形成する。
【0053】
そして、第3の実施の形態では、良好なバランス、すなわち、受被検査媒体15の光センサアレイ11の下側を通過する領域の全面においてばたつきを抑制できるバランスで、被検査媒体15を搬送板17上に押さえるために、受光部13に、受光センサアレイ11の受光面11aを全面的に覆うカバーを、抑制機構31として設けるのが好ましい。なお、被検査媒体15の質量、厚み、及び検査すべき領域の面積に応じて、抑制機構31として、部分的に受光面11aを覆う複数のカバーを、受光センサ19の配列方向に沿って互いに離間させて設けても良い。なお、図3(A)及び(B)では、受光部13に受光センサアレイ11の受光面11aを全面的に覆うカバーを、抑制機構31として設けた場合の構成例を示している。
【0054】
また、抑制機構31は、上述した第1及び第2の実施の形態と同様に、例えば周知の接着材、はんだ等を用いて受光部13に接続されている。
【0055】
そして、第3の実施の形態では、上述した第1及び第2の実施の形態と同様に、抑制機構31によって被検査媒体15を搬送面17a上に移動可能に、すなわち搬送を妨げることなく密着させるために、抑制機構31としてのカバーの被検査媒体15との接触部31aと搬送面17aとの離間距離W3を変化させつつ、各離間距離W3において被検査媒体15を実際に搬送するテストを行う。このテストから、被検査媒体15が搬送面17aに密着し、かつ抑制機構31によって搬送が滞ることなく受光部13下を通過できるような離間距離W3を実験的に決定する。そして、このように実験的に決定された離間距離W3を以って、被検査媒体15として想定される例えば紙幣、証券、小切手等の厚みや質量に応じた、抑制機構31の被検査媒体15を押さえる圧力を設定する。
【0056】
第3の実施の形態による画像取得装置では、抑制機構31として、搬送方向に沿った切り口が半円形、半楕円形、または搬送面17aに近づくにつれて先細となる形状のカバーであり、かつ透光性の材質で形成されたカバーを具えている。そして、第3の実施の形態による画像取得装置では、この抑制機構31としてのカバーが受光部13に、受光センサアレイ11の受光面11aを覆って設けられている。
【0057】
そのため、第3の実施の形態による画像取得装置では、抑制機構31としてのカバーが受光センサアレイ11の受光面11aを全面的に覆う構成とすることによって、受光センサアレイ11の下側、各受光面19aa〜19eaの正対領域20を通過する被検査媒体15を、全面的に抑制機構31で押さえることができる。その結果、第3の実施の形態による画像取得装置では、上述したばたつきを防止するに当たり、第1及び第2の実施の形態による画像取得装置と比して、より良好な配置のバランスで被検査媒体15を押さえることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】(A)及び(B)は、この発明の第1の実施の形態による画像取得装置の要部を概略的に表した図であり、図1(B)は、図1(A)に示すI−I線に沿って切り取った断面を矢印方向から見た断面図である。
【図2】(A)及び(B)は、この発明の第2の実施の形態による画像取得装置の要部を概略的に表した図であり、図2(B)は、図2(A)に示すII−II線に沿って切り取った断面を矢印方向から見た断面図である。
【図3】(A)及び(B)は、この発明の第3の実施の形態による画像取得装置の要部を概略的に表した図であり、図3(B)は、図3(A)に示すIII−III線に沿って切り取った断面を矢印方向から見た断面図である。
【符号の説明】
【0059】
11:受光センサアレイ
13:受光部
15:被検査媒体
17:搬送板
19:受光センサ
20:正対領域
21:光源
23、27、31:抑制機構
25、29:線状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光センサアレイを含む受光部と、
前記受光センサアレイの受光面と正対する搬送面を有する搬送板と
を具え、
前記受光センサアレイは、複数の受光センサが、前記搬送板の前記搬送面上を搬送される被検査媒体の搬送方向に対して、垂直方向にアレイ状に配列されて構成されており、かつ光源から出射され前記被検査媒体から反射された光を受光し、
前記受光部は、該受光部下を通過する前記被検査媒体を前記搬送面上に移動可能な圧力で密着させる抑制機構を具えている
ことを特徴とする画像取得装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像取得装置において、
前記抑制機構は、2つの、円または楕円のリングの形態の線状体であって、
前記受光センサの配列方向における両端部で、前記受光部をそれぞれ前記リング内に通した状態で、かつ前記受光面に受光される前記光の光路外で、前記受光部と接続されている
ことを特徴とする画像取得装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像取得装置において、
前記抑制機構は、複数の、J字形の線状体であって、
前記受光部を、前記搬送面に垂直な、前記受光センサの配列方向に沿った両側面から挟み、かつ前記受光面に受光される前記光の光路外で、前記受光部と接続されている
ことを特徴とする画像取得装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像取得装置において、
前記抑制機構は、前記受光センサアレイの前記受光面を覆う、前記搬送方向に沿った切り口が半円形、半楕円形、または前記搬送面に近づくにつれて先細となる形状のカバーであって、
透光性の材質で形成されている
ことを特徴とする画像取得装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−61298(P2010−61298A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225106(P2008−225106)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】