画像形成システム、画像形成装置、及び、画像形成プログラム
【課題】ジョブを正確に識別し、ジョブごとの描画処理を的確に行う。
【解決手段】PC1とMFP2とを備えた画像形成システムであって、PC1は、印刷データを生成する印刷データ生成部111と、印刷データの構成情報として使用されることがない情報を、その印刷データに含まれるジョブの終端にターミネータとして付加するフィルタ部112と、このターミネータTが付加された複数のジョブからなる印刷データを送信する送信部12と、を備え、MFP2は、PC1から印刷データを受信する受信部21と、受信した印刷データからターミネータTを検知するフィルタ終端検知部221と、その終端にターミネータTが付加されたジョブを抽出するジョブ抽出手段2221と、ジョブごとに描画処理を行う描画処理手段224,227と、を備える構成としてある。
【解決手段】PC1とMFP2とを備えた画像形成システムであって、PC1は、印刷データを生成する印刷データ生成部111と、印刷データの構成情報として使用されることがない情報を、その印刷データに含まれるジョブの終端にターミネータとして付加するフィルタ部112と、このターミネータTが付加された複数のジョブからなる印刷データを送信する送信部12と、を備え、MFP2は、PC1から印刷データを受信する受信部21と、受信した印刷データからターミネータTを検知するフィルタ終端検知部221と、その終端にターミネータTが付加されたジョブを抽出するジョブ抽出手段2221と、ジョブごとに描画処理を行う描画処理手段224,227と、を備える構成としてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PDFなどの電子文書ファイルの画像処理を円滑に実施する画像形成システム、画像形成装置、及び、画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンターなどの画像形成装置においては、ユーザーの操作に応じ、印刷処理の取消し、停止・復帰、割り込み等をジョブごとに行うことがある。このため、画像形成装置には、印刷データをジョブごとに正確に識別することができる機能が要求される。
ジョブを識別するには、例えば、図7に示す印刷装置2aのように、受信部21aがパケット化された印刷データを受信し、パケット解釈部Pが印刷データ(パケットデータ)のヘッダや識別子を解釈してジョブの開始と終了を抽出する方法(パケット方式)がある。このようにすると、受信バッファ223aにおいて印刷データをジョブごとに格納することができるため、描画生成部224aが、ジョブごとに描画生成処理を実施することができる。そして、中間データバッファ225aにおいても、描画生成後の中間データをジョブごとに保持することができるため、印刷部23aは、中間データをジョブごとに印刷処理することができる(例えば、特許文献1参照)。
ところが、パケット方式は、断続的に送られてくる各パケットデータのヘッダや識別子を解釈して一のジョブを認識するのに対し、一般に広く普及しているPDL(Page Description Language)方式は、一又は二以上のジョブを連続的に受信するPDLにもとづき描画処理を行う方式である。
このため、従来のPDL対応装置にパケット方式を採用した場合には、ジョブを識別できたとしても描画処理そのものに不具合を生じ、この不具合を解消するために大幅な改造を要する。
【0003】
そこで、パケット方式を採用しつつ、従来のPDLにも対応可能な印刷制御装置2a’が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特許文献2に記載された印刷制御装置2a’は、図8に示すように、パケット解釈部Pを備える点においては前述の印刷装置2aと同様である。
ただし、この印刷制御装置2a’によれば、判断部222aがジョブの種類を判断し、PDLと判断した場合には、終端検知部221aが、ジョブ制御言語の情報(以下、PJL情報という。)に含まれるUEL(Universal Exit Language)を検知してPDLの先頭を識別し、また、パケットデータと判断した場合には、パケット解釈部Pが、各ヘッダを解釈してジョブを識別するようにしている。
このように、ジョブの種類ごとに処理を分けることにより、上記問題は解消することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−135820号公報
【特許文献2】特許第4401662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、ホストコンピュータ等で生成されたPDF(Portable Document Format)、XPS(XML Paper Specification)などの文書ファイル、TIFF(Tagged Image File Format)、JPEG(Joint Photographic Experts Group)などの画像データ、HTML(HyperText Markup Language)やXML(Extensible Markup Language)などのマークアップ言語を印刷データとして処理する所謂ダイレクト印刷の利用が増加している。
PDFダイレクト印刷は、データ中に含まれる相互参照表を参照しつつ描画処理(ランダムアクセス)を行うため、PDLのように読み込んだ順に描画処理を行う印刷データとは描画処理の方式が異なる。
このため、PDL等、通常の印刷データについては従来の描画処理プロセスにしたがって描画処理を行い、PDFダイレクト印刷に係るジョブについては、専用のメモリ領域に格納したうえで、そのメモリ領域に格納されたジョブに対しランダムアクセスを行うようにしている。
【0006】
しかしながら、PDFのジョブを正しく識別できない場合、係るジョブの前後にある他のジョブを一連のPDFジョブとしてみなして前記メモリ領域に格納する不具合が生ずる。
また、この不具合は、USBケーブル接続等、ローカルポート接続の場合に発生することが多い。ローカルポート接続によれば、図9(a)に示すように、ジョブがPC1から直接、連続的に配信される。図9の場合、ジョブ1→ジョブ2→ジョブ3→ジョブ4という順に配信される。このため、各ジョブ同士の間隔は十分ではなく境界が不明瞭となるからである。
この点、セッションの切れ目を利用してジョブの区別が可能なネットワーク接続の場合(図9(b)参照)や、ヘッダやPJL情報を解釈してジョブの区別が可能なパケット方式やPDL方式の場合(図9(c)、(d)参照)と異なる。
また、ダイレクト印刷においては、本来印刷用として加工されていない原データがそのまま用いられるため、ジョブ同士を判別するための措置が講じられていないことも原因の一つとなっていた。
この結果、図10に示すように、ローカルポート接続時において、PDFとテキストジョブが連続配信された場合には、印刷装置側ではテキストジョブをPDFとして誤認識し、描画処理が中断するなどの不具合が生じていた。
【0007】
このような問題に対し、PDLにおいて用いられるPJL情報の応用が検討された。
すなわち、PDFのジョブにPJL情報を付加する方法であり、PJL情報に含まれるUELを用いてPDFのジョブと他のジョブと区別するものである。
しかしながら、このような方法を採用しても、PDF等、バイナリデータによって構成されるデータの場合には、データ中に偶発的にUELと同じ文字列が現れることがある。
図11は、PDFのジョブと他のジョブ(この場合、テキストデータ1、2)とが連続して配信される場合の一例を示した図である。
この場合、テキストデータ1やテキストデータ2をPDFのジョブとして誤認識し、描画処理が適切に行われない可能性がある。
つまり、PJL情報を利用したとしてもジョブの区別を正確に行うことは期待できず、依然として問題の解消には至っていなかった。
【0008】
本発明は、以上のような事情に鑑みなされたものであり、ジョブを正確に識別し、ジョブごとの描画処理を的確に行うことができる画像形成システム、画像形成装置及び画像形成プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成システムは、印刷データを生成する情報処理装置と、生成された印刷データの描画処理を行う画像形成装置と、を備える。
情報処理装置は、印刷データを生成する印刷データ生成手段と、前記印刷データの構成情報として使用されることがない情報を、前記印刷データに含まれるジョブの終端に終端情報として付加する終端情報付加手段と、前記終端情報が付加された複数のジョブからなる印刷データを送信する印刷データ送信手段と、を備える。
画像形成装置は、情報処理装置から印刷データを受信する印刷データ受信手段と、受信した前記印刷データから前記終端情報を検知する終端情報検知手段と、終端に前記終端情報が付加されたジョブを抽出するジョブ抽出手段と、前記ジョブごとに描画処理を行う描画処理手段と、備える。
【0010】
また、本発明の画像形成装置は、印刷データの描画処理を行う画像形成装置であって、前記印刷データの構成情報として使用されることがない情報が、その終端に終端情報として付加された複数のジョブからなる印刷データを受信する印刷データ受信手段と、受信した前記印刷データから前記終端情報を検知する終端情報検知手段と、終端に前記終端情報が付加されたジョブを抽出するジョブ抽出手段と、前記ジョブごとに描画処理を行う描画処理手段と、を備える。
【0011】
また、本発明の画像形成プログラムは、印刷データを生成する情報処理装置のコンピュータを、印刷データを生成する印刷データ生成手段、前記印刷データの構成情報として使用されることがない情報を、前記印刷データに含まれるジョブの終端に終端情報として付加する終端情報付加手段、及び、その終端に前記終端情報が付加された複数のジョブからなる印刷データを送信する印刷データ送信手段、として機能させるとともに、生成された印刷データの描画処理を行う画像形成装置のコンピュータを、前記情報処理装置から印刷データを受信する印刷データ受信手段、受信した前記印刷データから前記終端情報を検知する終端情報検知手段、終端に前記終端情報が付加された複数のジョブを抽出するジョブ抽出手段、及び、前記ジョブごとに描画処理を行う描画処理手段、として機能させるようにしている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像形成システム、画像形成装置及び画像形成プログラムによれば、ジョブを正確に識別し、ジョブごとの描画処理を的確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態である画像形成システムの構成を示したブロック図である。
【図2】Base64によるエンコード方式を説明するための説明図である。
【図3】本実施形態に係るジョブのデータストリームを模式的に示した図である。
【図4】本実施形態のPC側における処理手順を示したフローチャートである。
【図5】本実施形態のMFP側における処理手順を示したフローチャートである。
【図6】E−mailシステムの概略図である。
【図7】従来のジョブの識別方法を説明するための第一の図である。
【図8】従来のジョブの識別方法を説明するための第二の図である。
【図9】ローカルポート接続及び各種態様におけるジョブのデータストリームを模式的に示した図である。
【図10】ジョブが連続する場合のデータストリームを説明するための説明図である。
【図11】PDFにPDLを付加した場合のデータストリームを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成システムの構成を示したブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の画像形成システムは、MFPなどの画像形成装置(以下、MFP2という)と、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置(以下、PC1という)とを備え、これらがLAN、WAN等の通信回線4を介し通信可能に接続されて構成される。
すなわち、PC1で作成され、その後、送信された印刷データを、通信回線4が媒介してMFP2送り届け、MFP2が、その印刷データにもとづき描画処理及び印刷処理を行う構成となっている。
【0015】
(PC1)
PC1は、図1に示すように、制御部11と送信部12とを備える。
制御部11は、非図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)が搭載される。ROMには、CPUに、複数のジョブを生成するとともに、各ジョブの生成にあたり、その終端に終端情報(ターミネータ)を付加するためのプログラムが格納されている。
すなわち、制御部11は、機能ブロックとして、印刷データ生成部(印刷データ生成手段)111及びフィルタ部(終端情報付加手段)212とを備え、CPUに前記プログラムを読み込ませることによって以下の処理を実行する。なお、RAMは、CPUがプログラムを実行する際の作業用メモリとして用いられる。
【0016】
印刷データ生成部111は、印刷データを生成する。例えば、印刷データ生成部111は、予め取得又は生成した文字、図形、写真などのファイルデータをPDL又はPDFに変換することによってこれらを印刷データとして生成することができる。
印刷データ生成部111は、生成した印刷データをフィルタ部212に出力する。具体的には、PDFダイレクト印刷が指定されている場合には、予め取得又は生成したPDFをフィルタ部212に出力し、それ以外はPDLをフィルタ部212に出力する。
【0017】
フィルタ部112は、印刷データ生成部111から入力した印刷データを特定の文字コードにエンコードする。
本実施形態においては、Base64を用いたエンコード方式を用いる。
例えば、図2に示すように、「テスト」という文字(印刷データ)をエンコードする場合、まず、その文字をShiftJISの文字情報に変換する。この結果、「テスト」は、「83 65 83 58 83 67」といった文字情報に変換される。次いで、これらの文字情報を2進化し、次いで、2進化後のデータを6bitごとに区切り、さらに、6bitのデータごとに規定のBase64変換表(非図示)にしたがって変換する。この結果、図2に示すように、「テスト」は、「q2WDWINn」といった文字コードにエンコードされる。
【0018】
また、フィルタ部112は、印刷データの構成情報として使用されることがない情報を、ジョブの終端に付加する。
すなわち、本実施形態の場合、Base64の文字情報として使用されない情報を、終端情報(ターミネータ)として付加する。
Base64は、A〜Z、a〜z、0〜9、+、/、=をエンコードに用いる文字コードとして採用しているため、フィルタ部112は、例えば、#、%などの単一データ、又は、これら単一データを組み合わせたものをターミネータとして付加することができる。
なお、エンコード方式は、Base64に限定するものではなく、他のエンコード方式(タグドバイナリなど)を用いることができる。すなわち、変換の結果、特定の文字コードしか出現しなくなるものであればよく、特定の文字コード以外の情報をターミネータとして用いることができる。
送信部12は、ターミネータが付加されたジョブを送信する。
なお、送信すべきジョブが複数ある場合には、それぞれターミネータが付されたジョブが連続的に送信される。図3は、このように、複数のジョブを含む印刷データが送信される際のデータストリームの一例を示した図である。
【0019】
すなわち、PC1においては、図4に示すように、印刷データ生成部111によって生成された印刷データをフィルタ部112が先頭から順に読み込み、読み込んだ印刷データがジョブの終端に達するまでS12及びS13の処理を繰り返し行う(S11)。つまり、フィルタ部112は、読み込んだ印刷データがジョブの終端に達するまでは、印刷データを順次データ変換(エンコード)し(S12)、その都度、送信部12が変換後の印刷データを画像形成装置2に送信する(S13)。
印刷データの読み込みがジョブの終端に達すると、S11〜S14のループを抜け、即座に終端情報(ターミネータ)を送信する(S15)。
なお、複数のジョブがある場合、先のジョブに係るターミネータの送信が終わると、即座に、対象の印刷データについて上記S11〜S15の処理を行うことで、それぞれターミネータが付されたジョブが連続的に送信されることとなる。
【0020】
(MFP2)
MFP2は、図1に示すように、受信部(印刷データ受信手段)21、制御部22、及び、印刷部23を備える。
受信部21は、PC1から送信された印刷データを受信する。
制御部22は、非図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)が搭載され、ROMには、CPUに、受信した印刷データからターミネータを検知し、このターミネータにもとづいてジョブを識別し、係るジョブごとに印刷データの種類を判断し、印刷データの種類に応じて描画処理を行わせるためのプログラムが格納されている。
すなわち、制御部22は、機能ブロックとして、フィルタ終端検知部(終端情報検知手段)221と、判断部222と、受信バッファ223と、描画生成部224と、中間データバッファ225と、格納部226と、描画生成部227とを備え、CPUに前記プログラムを読み込ませることによって以下の処理を実行する。なお、RAMは、CPUがプログラムを実行する際の作業用メモリとして用いられる。
【0021】
フィルタ終端検知部221は、受信した印刷データの中からその印刷データの構成情報として使用されることがない情報を検知し、この情報を終端とするジョブを抽出する。
すなわち、フィルタ終端検知部221は、PC1のフィルタ部112によって付加されたターミネータを検知する。
このようにすると、印刷データの構成情報の一部を終端と誤って認識する問題は生じない。
例えば、Base64に使用されていない「%」がデータ中にあればこれをターミネータとして検知するが、この「%」に限定するものではなく、Base64として使用されていない他の情報「#」がデータ中にあればこれをターミネータとして検知する。
すなわち、「印刷データの構成情報として使用されることがない情報」を検知することで足り、固有の情報にとらわれることなく、容易にかつ精度よくターミネータを検知することができる。
【0022】
なお、ターミネータは、送り側と受け側で必ず一致する必要はない。例えば、伝送中にターミネータの一部又は全部が欠落、破損等した場合であっても、その後のデータがエンコードの際に用いる文字コード以外の情報からなるのであれば、これをターミネータとして検知することができる。
このため、自由度が高く、また、変換コストが小さいのでパフォーマンスの低下を極力抑えることができる。
【0023】
フィルタ終端検知部221は、検知したターミネータを終端とする一連のジョブを抽出する。
図5は、フィルタ終端検知部221における処理手順を示すフローチャートである。
図5に示すように、フィルタ終端検知部221は、受信部21が受信した印刷データを先頭から順に読み込み、読み込んだ印刷データからターミネータが検出されるまでS22及びS23の処理を繰り返し行う(S21)。すなわち、フィルタ終端検知部221は、読み込んだ印刷データからターミネータが検知されるまでは、印刷データを順次データ変換(デコード)し(S22)、その都度、変換後の印刷データを判断部222に出力する(S23)。
フィルタ終端検知部221は、印刷データからターミネータを検知すると、S21〜S24のループを抜け、終端を検知した旨の通知を判断部222に対して行う(S25)。
【0024】
判断部222は、受信した印刷データが特定の印刷データか否かをジョブごとに判断する。
具体的には、判断部222は、ジョブ抽出手段2221とジョブ判別手段2222とを備え、フィルタ終端検知部221から終端検知の通知を受けると、ジョブ抽出手段2221が、その通知を受けるまでに保持していた印刷データを一連のジョブと識別し、ジョブ判別手段2222が、ジョブがPDFかPDLかを判断する。
例えば、図3の場合、ジョブ抽出手段2221が、印刷データの先頭から最初のターミネータTに至るまでの印刷データを一番目のジョブJと識別し、ジョブ判別手段2222が、そのジョブJがテキストデータであると判断する。また、最初のターミネータTから二番目のターミネータTに至るまでの印刷データが二番目のジョブJとして識別され、係るジョブJがPDFであることが判断される。また、二番目のターミネータTから三番目のターミネータTに至るまでの印刷データが三番目のジョブJとして識別され、係るジョブJがテキストデータであることが判断される。
【0025】
判断部222は、ジョブがPDLであると判断した場合には、受信バッファ223にこのジョブを格納する。受信バッファ223に格納されたPDLのジョブは、描画生成部224によって描画処理が行われ、中間データとして中間データバッファ225に格納され、所定のタイミングで印刷部23に出力される。
一方、判断部222は、ジョブがPDFであると判断した場合には、格納部226にPDFを格納する。PDFのジョブ全体が格納部226に格納されると、描画生成部227がPDFの構成情報である相互参照表を参照し、相互参照表の記述にしたがいランダムアクセスを行う。ランダムアクセスによる描画処理後の中間データは中間データバッファ225に格納され、所定のタイミングで印刷部23に出力される。
印刷部23は、非図示の転写ドラム等からなる印刷エンジンを備え、中間データバッファ225からの中間データにもとづく描画データを転写ドラムに現像し、これを印刷用紙等に転写することによって印字処理が行われる。
【0026】
このように、本実施形態のMFP2、または、MFP2とPC1とを組み合わせてなる画像形成システムにおいては、ジョブのターミネータとして印刷データの構成情報として使用されることがない情報を用いるようにしている。
このようにすると、ターミネータを誤って検知することなく、素早く、容易にジョブを識別することができるようになる。
このため、印刷データを構成するジョブごとにその種類を判断して適切な描画処理を行うことが可能となる。
【0027】
以上、本発明の画像形成装置について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明にかかる画像形成装置は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、図6に示すように、E−mailの本文や添付ファイル(電子文書、画像ファイル、テキストデータ等)を印刷するうえで、メールサーバー上にあるこれらのデータにアクセスしてダウンロードしながら印刷を行うE−mailプリントに適用することができる。
すなわち、E−mailプリントを行う場合において、対象のファイルが複数である場合には、ファイル同士が切れ目無くダウンロードされるが、本実施形態の画像形成装置を用いることによってダウンロードした各ファイルを分離し、ファイルごとに的確な印刷処理を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、プリンター装置又はプリント機能を備えた複合機に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 PC(情報処理装置)
11 制御部
111 印刷データ生成部(印刷データ生成手段)
112 フィルタ部(終端情報付加手段)
12 送信部(印刷データ送信手段)
2 MFP(画像形成装置)
21 受信部(印刷データ受信手段)
22 制御部
221 フィルタ終端検知部(終端情報検知手段)
222 判断部
2221 ジョブ抽出手段
2222 ジョブ判別手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、PDFなどの電子文書ファイルの画像処理を円滑に実施する画像形成システム、画像形成装置、及び、画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンターなどの画像形成装置においては、ユーザーの操作に応じ、印刷処理の取消し、停止・復帰、割り込み等をジョブごとに行うことがある。このため、画像形成装置には、印刷データをジョブごとに正確に識別することができる機能が要求される。
ジョブを識別するには、例えば、図7に示す印刷装置2aのように、受信部21aがパケット化された印刷データを受信し、パケット解釈部Pが印刷データ(パケットデータ)のヘッダや識別子を解釈してジョブの開始と終了を抽出する方法(パケット方式)がある。このようにすると、受信バッファ223aにおいて印刷データをジョブごとに格納することができるため、描画生成部224aが、ジョブごとに描画生成処理を実施することができる。そして、中間データバッファ225aにおいても、描画生成後の中間データをジョブごとに保持することができるため、印刷部23aは、中間データをジョブごとに印刷処理することができる(例えば、特許文献1参照)。
ところが、パケット方式は、断続的に送られてくる各パケットデータのヘッダや識別子を解釈して一のジョブを認識するのに対し、一般に広く普及しているPDL(Page Description Language)方式は、一又は二以上のジョブを連続的に受信するPDLにもとづき描画処理を行う方式である。
このため、従来のPDL対応装置にパケット方式を採用した場合には、ジョブを識別できたとしても描画処理そのものに不具合を生じ、この不具合を解消するために大幅な改造を要する。
【0003】
そこで、パケット方式を採用しつつ、従来のPDLにも対応可能な印刷制御装置2a’が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特許文献2に記載された印刷制御装置2a’は、図8に示すように、パケット解釈部Pを備える点においては前述の印刷装置2aと同様である。
ただし、この印刷制御装置2a’によれば、判断部222aがジョブの種類を判断し、PDLと判断した場合には、終端検知部221aが、ジョブ制御言語の情報(以下、PJL情報という。)に含まれるUEL(Universal Exit Language)を検知してPDLの先頭を識別し、また、パケットデータと判断した場合には、パケット解釈部Pが、各ヘッダを解釈してジョブを識別するようにしている。
このように、ジョブの種類ごとに処理を分けることにより、上記問題は解消することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−135820号公報
【特許文献2】特許第4401662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、ホストコンピュータ等で生成されたPDF(Portable Document Format)、XPS(XML Paper Specification)などの文書ファイル、TIFF(Tagged Image File Format)、JPEG(Joint Photographic Experts Group)などの画像データ、HTML(HyperText Markup Language)やXML(Extensible Markup Language)などのマークアップ言語を印刷データとして処理する所謂ダイレクト印刷の利用が増加している。
PDFダイレクト印刷は、データ中に含まれる相互参照表を参照しつつ描画処理(ランダムアクセス)を行うため、PDLのように読み込んだ順に描画処理を行う印刷データとは描画処理の方式が異なる。
このため、PDL等、通常の印刷データについては従来の描画処理プロセスにしたがって描画処理を行い、PDFダイレクト印刷に係るジョブについては、専用のメモリ領域に格納したうえで、そのメモリ領域に格納されたジョブに対しランダムアクセスを行うようにしている。
【0006】
しかしながら、PDFのジョブを正しく識別できない場合、係るジョブの前後にある他のジョブを一連のPDFジョブとしてみなして前記メモリ領域に格納する不具合が生ずる。
また、この不具合は、USBケーブル接続等、ローカルポート接続の場合に発生することが多い。ローカルポート接続によれば、図9(a)に示すように、ジョブがPC1から直接、連続的に配信される。図9の場合、ジョブ1→ジョブ2→ジョブ3→ジョブ4という順に配信される。このため、各ジョブ同士の間隔は十分ではなく境界が不明瞭となるからである。
この点、セッションの切れ目を利用してジョブの区別が可能なネットワーク接続の場合(図9(b)参照)や、ヘッダやPJL情報を解釈してジョブの区別が可能なパケット方式やPDL方式の場合(図9(c)、(d)参照)と異なる。
また、ダイレクト印刷においては、本来印刷用として加工されていない原データがそのまま用いられるため、ジョブ同士を判別するための措置が講じられていないことも原因の一つとなっていた。
この結果、図10に示すように、ローカルポート接続時において、PDFとテキストジョブが連続配信された場合には、印刷装置側ではテキストジョブをPDFとして誤認識し、描画処理が中断するなどの不具合が生じていた。
【0007】
このような問題に対し、PDLにおいて用いられるPJL情報の応用が検討された。
すなわち、PDFのジョブにPJL情報を付加する方法であり、PJL情報に含まれるUELを用いてPDFのジョブと他のジョブと区別するものである。
しかしながら、このような方法を採用しても、PDF等、バイナリデータによって構成されるデータの場合には、データ中に偶発的にUELと同じ文字列が現れることがある。
図11は、PDFのジョブと他のジョブ(この場合、テキストデータ1、2)とが連続して配信される場合の一例を示した図である。
この場合、テキストデータ1やテキストデータ2をPDFのジョブとして誤認識し、描画処理が適切に行われない可能性がある。
つまり、PJL情報を利用したとしてもジョブの区別を正確に行うことは期待できず、依然として問題の解消には至っていなかった。
【0008】
本発明は、以上のような事情に鑑みなされたものであり、ジョブを正確に識別し、ジョブごとの描画処理を的確に行うことができる画像形成システム、画像形成装置及び画像形成プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成システムは、印刷データを生成する情報処理装置と、生成された印刷データの描画処理を行う画像形成装置と、を備える。
情報処理装置は、印刷データを生成する印刷データ生成手段と、前記印刷データの構成情報として使用されることがない情報を、前記印刷データに含まれるジョブの終端に終端情報として付加する終端情報付加手段と、前記終端情報が付加された複数のジョブからなる印刷データを送信する印刷データ送信手段と、を備える。
画像形成装置は、情報処理装置から印刷データを受信する印刷データ受信手段と、受信した前記印刷データから前記終端情報を検知する終端情報検知手段と、終端に前記終端情報が付加されたジョブを抽出するジョブ抽出手段と、前記ジョブごとに描画処理を行う描画処理手段と、備える。
【0010】
また、本発明の画像形成装置は、印刷データの描画処理を行う画像形成装置であって、前記印刷データの構成情報として使用されることがない情報が、その終端に終端情報として付加された複数のジョブからなる印刷データを受信する印刷データ受信手段と、受信した前記印刷データから前記終端情報を検知する終端情報検知手段と、終端に前記終端情報が付加されたジョブを抽出するジョブ抽出手段と、前記ジョブごとに描画処理を行う描画処理手段と、を備える。
【0011】
また、本発明の画像形成プログラムは、印刷データを生成する情報処理装置のコンピュータを、印刷データを生成する印刷データ生成手段、前記印刷データの構成情報として使用されることがない情報を、前記印刷データに含まれるジョブの終端に終端情報として付加する終端情報付加手段、及び、その終端に前記終端情報が付加された複数のジョブからなる印刷データを送信する印刷データ送信手段、として機能させるとともに、生成された印刷データの描画処理を行う画像形成装置のコンピュータを、前記情報処理装置から印刷データを受信する印刷データ受信手段、受信した前記印刷データから前記終端情報を検知する終端情報検知手段、終端に前記終端情報が付加された複数のジョブを抽出するジョブ抽出手段、及び、前記ジョブごとに描画処理を行う描画処理手段、として機能させるようにしている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像形成システム、画像形成装置及び画像形成プログラムによれば、ジョブを正確に識別し、ジョブごとの描画処理を的確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態である画像形成システムの構成を示したブロック図である。
【図2】Base64によるエンコード方式を説明するための説明図である。
【図3】本実施形態に係るジョブのデータストリームを模式的に示した図である。
【図4】本実施形態のPC側における処理手順を示したフローチャートである。
【図5】本実施形態のMFP側における処理手順を示したフローチャートである。
【図6】E−mailシステムの概略図である。
【図7】従来のジョブの識別方法を説明するための第一の図である。
【図8】従来のジョブの識別方法を説明するための第二の図である。
【図9】ローカルポート接続及び各種態様におけるジョブのデータストリームを模式的に示した図である。
【図10】ジョブが連続する場合のデータストリームを説明するための説明図である。
【図11】PDFにPDLを付加した場合のデータストリームを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成システムの構成を示したブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の画像形成システムは、MFPなどの画像形成装置(以下、MFP2という)と、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置(以下、PC1という)とを備え、これらがLAN、WAN等の通信回線4を介し通信可能に接続されて構成される。
すなわち、PC1で作成され、その後、送信された印刷データを、通信回線4が媒介してMFP2送り届け、MFP2が、その印刷データにもとづき描画処理及び印刷処理を行う構成となっている。
【0015】
(PC1)
PC1は、図1に示すように、制御部11と送信部12とを備える。
制御部11は、非図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)が搭載される。ROMには、CPUに、複数のジョブを生成するとともに、各ジョブの生成にあたり、その終端に終端情報(ターミネータ)を付加するためのプログラムが格納されている。
すなわち、制御部11は、機能ブロックとして、印刷データ生成部(印刷データ生成手段)111及びフィルタ部(終端情報付加手段)212とを備え、CPUに前記プログラムを読み込ませることによって以下の処理を実行する。なお、RAMは、CPUがプログラムを実行する際の作業用メモリとして用いられる。
【0016】
印刷データ生成部111は、印刷データを生成する。例えば、印刷データ生成部111は、予め取得又は生成した文字、図形、写真などのファイルデータをPDL又はPDFに変換することによってこれらを印刷データとして生成することができる。
印刷データ生成部111は、生成した印刷データをフィルタ部212に出力する。具体的には、PDFダイレクト印刷が指定されている場合には、予め取得又は生成したPDFをフィルタ部212に出力し、それ以外はPDLをフィルタ部212に出力する。
【0017】
フィルタ部112は、印刷データ生成部111から入力した印刷データを特定の文字コードにエンコードする。
本実施形態においては、Base64を用いたエンコード方式を用いる。
例えば、図2に示すように、「テスト」という文字(印刷データ)をエンコードする場合、まず、その文字をShiftJISの文字情報に変換する。この結果、「テスト」は、「83 65 83 58 83 67」といった文字情報に変換される。次いで、これらの文字情報を2進化し、次いで、2進化後のデータを6bitごとに区切り、さらに、6bitのデータごとに規定のBase64変換表(非図示)にしたがって変換する。この結果、図2に示すように、「テスト」は、「q2WDWINn」といった文字コードにエンコードされる。
【0018】
また、フィルタ部112は、印刷データの構成情報として使用されることがない情報を、ジョブの終端に付加する。
すなわち、本実施形態の場合、Base64の文字情報として使用されない情報を、終端情報(ターミネータ)として付加する。
Base64は、A〜Z、a〜z、0〜9、+、/、=をエンコードに用いる文字コードとして採用しているため、フィルタ部112は、例えば、#、%などの単一データ、又は、これら単一データを組み合わせたものをターミネータとして付加することができる。
なお、エンコード方式は、Base64に限定するものではなく、他のエンコード方式(タグドバイナリなど)を用いることができる。すなわち、変換の結果、特定の文字コードしか出現しなくなるものであればよく、特定の文字コード以外の情報をターミネータとして用いることができる。
送信部12は、ターミネータが付加されたジョブを送信する。
なお、送信すべきジョブが複数ある場合には、それぞれターミネータが付されたジョブが連続的に送信される。図3は、このように、複数のジョブを含む印刷データが送信される際のデータストリームの一例を示した図である。
【0019】
すなわち、PC1においては、図4に示すように、印刷データ生成部111によって生成された印刷データをフィルタ部112が先頭から順に読み込み、読み込んだ印刷データがジョブの終端に達するまでS12及びS13の処理を繰り返し行う(S11)。つまり、フィルタ部112は、読み込んだ印刷データがジョブの終端に達するまでは、印刷データを順次データ変換(エンコード)し(S12)、その都度、送信部12が変換後の印刷データを画像形成装置2に送信する(S13)。
印刷データの読み込みがジョブの終端に達すると、S11〜S14のループを抜け、即座に終端情報(ターミネータ)を送信する(S15)。
なお、複数のジョブがある場合、先のジョブに係るターミネータの送信が終わると、即座に、対象の印刷データについて上記S11〜S15の処理を行うことで、それぞれターミネータが付されたジョブが連続的に送信されることとなる。
【0020】
(MFP2)
MFP2は、図1に示すように、受信部(印刷データ受信手段)21、制御部22、及び、印刷部23を備える。
受信部21は、PC1から送信された印刷データを受信する。
制御部22は、非図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)が搭載され、ROMには、CPUに、受信した印刷データからターミネータを検知し、このターミネータにもとづいてジョブを識別し、係るジョブごとに印刷データの種類を判断し、印刷データの種類に応じて描画処理を行わせるためのプログラムが格納されている。
すなわち、制御部22は、機能ブロックとして、フィルタ終端検知部(終端情報検知手段)221と、判断部222と、受信バッファ223と、描画生成部224と、中間データバッファ225と、格納部226と、描画生成部227とを備え、CPUに前記プログラムを読み込ませることによって以下の処理を実行する。なお、RAMは、CPUがプログラムを実行する際の作業用メモリとして用いられる。
【0021】
フィルタ終端検知部221は、受信した印刷データの中からその印刷データの構成情報として使用されることがない情報を検知し、この情報を終端とするジョブを抽出する。
すなわち、フィルタ終端検知部221は、PC1のフィルタ部112によって付加されたターミネータを検知する。
このようにすると、印刷データの構成情報の一部を終端と誤って認識する問題は生じない。
例えば、Base64に使用されていない「%」がデータ中にあればこれをターミネータとして検知するが、この「%」に限定するものではなく、Base64として使用されていない他の情報「#」がデータ中にあればこれをターミネータとして検知する。
すなわち、「印刷データの構成情報として使用されることがない情報」を検知することで足り、固有の情報にとらわれることなく、容易にかつ精度よくターミネータを検知することができる。
【0022】
なお、ターミネータは、送り側と受け側で必ず一致する必要はない。例えば、伝送中にターミネータの一部又は全部が欠落、破損等した場合であっても、その後のデータがエンコードの際に用いる文字コード以外の情報からなるのであれば、これをターミネータとして検知することができる。
このため、自由度が高く、また、変換コストが小さいのでパフォーマンスの低下を極力抑えることができる。
【0023】
フィルタ終端検知部221は、検知したターミネータを終端とする一連のジョブを抽出する。
図5は、フィルタ終端検知部221における処理手順を示すフローチャートである。
図5に示すように、フィルタ終端検知部221は、受信部21が受信した印刷データを先頭から順に読み込み、読み込んだ印刷データからターミネータが検出されるまでS22及びS23の処理を繰り返し行う(S21)。すなわち、フィルタ終端検知部221は、読み込んだ印刷データからターミネータが検知されるまでは、印刷データを順次データ変換(デコード)し(S22)、その都度、変換後の印刷データを判断部222に出力する(S23)。
フィルタ終端検知部221は、印刷データからターミネータを検知すると、S21〜S24のループを抜け、終端を検知した旨の通知を判断部222に対して行う(S25)。
【0024】
判断部222は、受信した印刷データが特定の印刷データか否かをジョブごとに判断する。
具体的には、判断部222は、ジョブ抽出手段2221とジョブ判別手段2222とを備え、フィルタ終端検知部221から終端検知の通知を受けると、ジョブ抽出手段2221が、その通知を受けるまでに保持していた印刷データを一連のジョブと識別し、ジョブ判別手段2222が、ジョブがPDFかPDLかを判断する。
例えば、図3の場合、ジョブ抽出手段2221が、印刷データの先頭から最初のターミネータTに至るまでの印刷データを一番目のジョブJと識別し、ジョブ判別手段2222が、そのジョブJがテキストデータであると判断する。また、最初のターミネータTから二番目のターミネータTに至るまでの印刷データが二番目のジョブJとして識別され、係るジョブJがPDFであることが判断される。また、二番目のターミネータTから三番目のターミネータTに至るまでの印刷データが三番目のジョブJとして識別され、係るジョブJがテキストデータであることが判断される。
【0025】
判断部222は、ジョブがPDLであると判断した場合には、受信バッファ223にこのジョブを格納する。受信バッファ223に格納されたPDLのジョブは、描画生成部224によって描画処理が行われ、中間データとして中間データバッファ225に格納され、所定のタイミングで印刷部23に出力される。
一方、判断部222は、ジョブがPDFであると判断した場合には、格納部226にPDFを格納する。PDFのジョブ全体が格納部226に格納されると、描画生成部227がPDFの構成情報である相互参照表を参照し、相互参照表の記述にしたがいランダムアクセスを行う。ランダムアクセスによる描画処理後の中間データは中間データバッファ225に格納され、所定のタイミングで印刷部23に出力される。
印刷部23は、非図示の転写ドラム等からなる印刷エンジンを備え、中間データバッファ225からの中間データにもとづく描画データを転写ドラムに現像し、これを印刷用紙等に転写することによって印字処理が行われる。
【0026】
このように、本実施形態のMFP2、または、MFP2とPC1とを組み合わせてなる画像形成システムにおいては、ジョブのターミネータとして印刷データの構成情報として使用されることがない情報を用いるようにしている。
このようにすると、ターミネータを誤って検知することなく、素早く、容易にジョブを識別することができるようになる。
このため、印刷データを構成するジョブごとにその種類を判断して適切な描画処理を行うことが可能となる。
【0027】
以上、本発明の画像形成装置について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明にかかる画像形成装置は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、図6に示すように、E−mailの本文や添付ファイル(電子文書、画像ファイル、テキストデータ等)を印刷するうえで、メールサーバー上にあるこれらのデータにアクセスしてダウンロードしながら印刷を行うE−mailプリントに適用することができる。
すなわち、E−mailプリントを行う場合において、対象のファイルが複数である場合には、ファイル同士が切れ目無くダウンロードされるが、本実施形態の画像形成装置を用いることによってダウンロードした各ファイルを分離し、ファイルごとに的確な印刷処理を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、プリンター装置又はプリント機能を備えた複合機に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 PC(情報処理装置)
11 制御部
111 印刷データ生成部(印刷データ生成手段)
112 フィルタ部(終端情報付加手段)
12 送信部(印刷データ送信手段)
2 MFP(画像形成装置)
21 受信部(印刷データ受信手段)
22 制御部
221 フィルタ終端検知部(終端情報検知手段)
222 判断部
2221 ジョブ抽出手段
2222 ジョブ判別手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データを生成する情報処理装置と、生成された印刷データの描画処理を行う画像形成装置と、を備えた画像形成システムであって、
前記情報処理装置は、
印刷データを生成する印刷データ生成手段と、
前記印刷データの構成情報として使用されることがない情報を、前記印刷データに含まれるジョブの終端に終端情報として付加する終端情報付加手段と、
前記終端情報が付加された複数のジョブからなる印刷データを送信する印刷データ送信手段と、を備え、
前記画像形成装置は、
前記情報処理装置から印刷データを受信する印刷データ受信手段と、
受信した前記印刷データから前記終端情報を検知する終端情報検知手段と、
終端に前記終端情報が付加されたジョブを抽出するジョブ抽出手段と、
前記ジョブごとに描画処理を行う描画処理手段と、を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
印刷データの描画処理を行う画像形成装置であって、
前記印刷データの構成情報として使用されることがない情報が、その終端に終端情報として付加された複数のジョブからなる印刷データを受信する印刷データ受信手段と、
受信した前記印刷データから前記終端情報を検知する終端情報検知手段と、
終端に前記終端情報が付加されたジョブを抽出するジョブ抽出手段と、
前記ジョブごとに描画処理を行う描画処理手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記抽出されたジョブが特定の印刷データに係るジョブか否かを判断するジョブ判別手段を備え、
前記描画処理手段は、前記特定の印刷データに係るジョブとそれ以外のジョブに分けて描画処理を行う請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷データ受信手段は、
一定の文字コードによって変換された印刷データに含まれる複数のジョブの終端に、前記文字コード以外の情報が前記終端情報として付加された印刷データを受信し、
前記終端情報検知手段は、
受信した前記印刷データから前記終端情報を検知し、
前記ジョブ抽出手段は、
終端に前記終端情報が付加されたジョブを抽出する請求項2又は3記載の画像形成装置。
【請求項5】
印刷データを生成する情報処理装置のコンピュータを、
印刷データを生成する印刷データ生成手段、
前記印刷データの構成情報として使用されることがない情報を、前記印刷データに含まれるジョブの終端に終端情報として付加する終端情報付加手段、及び
終端に前記終端情報が付加された複数のジョブからなる印刷データを送信する印刷データ送信手段、として機能させるとともに、
生成された印刷データの描画処理を行う画像形成装置のコンピュータを、
前記情報処理装置から印刷データを受信する印刷データ受信手段、
受信した前記印刷データから前記終端情報を検知する終端情報検知手段、
その終端に前記終端情報が付加された複数のジョブを抽出するジョブ抽出手段、及び
前記ジョブごとに描画処理を行う描画処理手段、として機能させるための画像形成プログラム。
【請求項1】
印刷データを生成する情報処理装置と、生成された印刷データの描画処理を行う画像形成装置と、を備えた画像形成システムであって、
前記情報処理装置は、
印刷データを生成する印刷データ生成手段と、
前記印刷データの構成情報として使用されることがない情報を、前記印刷データに含まれるジョブの終端に終端情報として付加する終端情報付加手段と、
前記終端情報が付加された複数のジョブからなる印刷データを送信する印刷データ送信手段と、を備え、
前記画像形成装置は、
前記情報処理装置から印刷データを受信する印刷データ受信手段と、
受信した前記印刷データから前記終端情報を検知する終端情報検知手段と、
終端に前記終端情報が付加されたジョブを抽出するジョブ抽出手段と、
前記ジョブごとに描画処理を行う描画処理手段と、を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
印刷データの描画処理を行う画像形成装置であって、
前記印刷データの構成情報として使用されることがない情報が、その終端に終端情報として付加された複数のジョブからなる印刷データを受信する印刷データ受信手段と、
受信した前記印刷データから前記終端情報を検知する終端情報検知手段と、
終端に前記終端情報が付加されたジョブを抽出するジョブ抽出手段と、
前記ジョブごとに描画処理を行う描画処理手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記抽出されたジョブが特定の印刷データに係るジョブか否かを判断するジョブ判別手段を備え、
前記描画処理手段は、前記特定の印刷データに係るジョブとそれ以外のジョブに分けて描画処理を行う請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷データ受信手段は、
一定の文字コードによって変換された印刷データに含まれる複数のジョブの終端に、前記文字コード以外の情報が前記終端情報として付加された印刷データを受信し、
前記終端情報検知手段は、
受信した前記印刷データから前記終端情報を検知し、
前記ジョブ抽出手段は、
終端に前記終端情報が付加されたジョブを抽出する請求項2又は3記載の画像形成装置。
【請求項5】
印刷データを生成する情報処理装置のコンピュータを、
印刷データを生成する印刷データ生成手段、
前記印刷データの構成情報として使用されることがない情報を、前記印刷データに含まれるジョブの終端に終端情報として付加する終端情報付加手段、及び
終端に前記終端情報が付加された複数のジョブからなる印刷データを送信する印刷データ送信手段、として機能させるとともに、
生成された印刷データの描画処理を行う画像形成装置のコンピュータを、
前記情報処理装置から印刷データを受信する印刷データ受信手段、
受信した前記印刷データから前記終端情報を検知する終端情報検知手段、
その終端に前記終端情報が付加された複数のジョブを抽出するジョブ抽出手段、及び
前記ジョブごとに描画処理を行う描画処理手段、として機能させるための画像形成プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−3965(P2013−3965A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136367(P2011−136367)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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