説明

画像形成システム

【課題】本発明の目的は、小型化及び動作の安定化を図ることができるとともに、消費電力を抑えることができる画像形成システムを提供することにある。
【解決手段】画像形成システムは、駆動電圧を生成する電源部310及び画像形成部340を有する第1の装置300と、画像形成部340を制御する第2の装置200と、を含む。電源部310は、駆動電圧として第1の駆動電圧及び第1の駆動電圧よりも高い第2の駆動電圧を生成し、第2の装置200は、第2の駆動電圧が第2の装置200に供給されるか否かを制御する電圧供給制御部214を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の入出力機として、特開平6−233016号公報(特許文献1)に開示されたものがある。上記従来の入出力機は、スキャナ部及びプリンタ部を有し、このスキャナ部及びプリンタ部には夫々異なる電源回路より駆動用電源が供給され、さらに他の電源回路より制御用電源が供給される。
【0003】
しかしながら、上記従来の入出力機では、スキャナ部及びプリンタ部にそれぞれ電源回路を設けなければならないため、装置が大型化し、また高価になるという問題が生じていた。また、スキャナ部及びプリンタ部を有する入出力機においては、消費電力を抑えることが重要である。
【特許文献1】特開平6−233016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、小型化及び動作の安定化を図ることができるとともに、消費電力を抑えることができる画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明に係る画像形成システムは、
駆動電圧を生成する電源部及び画像形成部を有する第1の装置と、
前記画像形成部を制御する第2の装置と、
を含み、
前記電源部は、前記駆動電圧として第1の駆動電圧及び前記第1の駆動電圧よりも高い第2の駆動電圧を生成し、
前記第2の装置は、前記第2の駆動電圧が前記第2の装置に供給されるか否かを制御する電圧供給制御部を含む。
【0006】
上記構成によれば、第1及び第2の装置に供給される電源部が第1の装置に設けられているので、第1及び第2の装置のそれぞれに電源部を設けるよりも、小型かつ安価な画像形成システムを提供することができる。
【0007】
また、上記構成によれば、第2の装置が当該第2の装置に供給される第2の駆動電圧を単独制御するので、第1の装置の負荷を低減するとともに、画像形成システム全体の消費電力の大幅な低減を図ることができる。
【0008】
(2)この画像形成システムにおいて、
前記第1の装置は、前記第2の駆動電圧が前記画像形成部に供給されるか否かを制御する電圧供給制御部をさらに含んでもよい。
【0009】
上記構成によれば、第1の装置が当該第1の装置に供給される第2の駆動電圧を単独制御するので、第2の装置の負荷を低減するとともに、画像形成システム全体の消費電力の大幅な低減を図ることができる。
【0010】
(3)この画像形成システムにおいて、
前記第2の駆動電圧の前記第2の装置への供給は、前記第2の駆動電圧が前記画像形成部に供給された後に行われてもよい。
【0011】
上記構成によれば、第1の装置が駆動するタイミングと、第2の装置が駆動するタイミングをずらすことができるので、安定して画像形成システムを動作させることができる。
【0012】
(4)この画像形成システムにおいて、
前記第2の駆動電圧の前記第2の装置への供給は、前記第1の駆動電圧が前記第2の装置に供給された後に行われてもよい。
【0013】
上記構成によれば、例えば、制御用の低電圧がまず供給され、次いで駆動用の高電圧が供給されることとなる。したがって、より安定して画像形成システムを復帰させることができる。
【0014】
(5)この画像形成システムにおいて、
前記第2の駆動電圧の前記第2の装置への供給は、前記第2の装置の動作状態を確認した後に行われてもよい。
【0015】
上記構成によれば、例えば、第2の装置が動作していない場合や誤動作している場合には、第2の駆動電圧の供給を停止することができる。したがって、より安定した画像形成システムを動作させることができる。
【0016】
(6)この画像形成システムにおいて、
前記第2の装置は、画像入力部をさらに含んでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
1.画像形成システムの概要
図1は、本発明の画像形成システムの一実施形態を示すブロック図である。画像形成システムは、外部装置であるホストコンピュータ100と、第1の装置の一例である画像形成装置300と、第2の装置の一例である画像入力装置(又は画像読取装置)200と、電源供給部の一例であるケーブル400とを備えて構成される。本実施形態の画像形成システムは、媒体に対して印字処理等を行う画像形成装置300が、画像入力装置200及びケーブル400を介して、ユーザが操作するホストコンピュータ100と接続されている。
【0019】
ホストコンピュータ100は、ユーザから受け付けた指示に基づいて、画像形成装置300及び/又は画像入力装置200に所定の処理を行わせるように、画像入力装置200に対して指示を行う。
【0020】
画像形成装置300は、例えばプリンタであり、電源部310と、第1の制御部320と、エンジン部340と、中継部330とを有して構成される。エンジン部340は、画像形成部の一例である。
【0021】
画像入力装置200は、例えばスキャナであり、第2の制御部210と、画像入力部220とを有して構成される。第2の制御部210は、ホストコンピュータ100から受け取った指示に基づいて、画像入力装置200及び画像形成装置300の動作を制御する。画像入力部220は、画像入力部220にセットされた媒体等に描かれた画像を認識し、認識した画像をデータに変換して、ホストコンピュータ100及び/又は画像形成装置300に供給する。
【0022】
電源部310は、商用電源からの交流電圧を受け、画像入力装置200及び画像形成装置300を駆動する駆動電圧を生成する。電源部310が生成した駆動電圧は、電源供給部材の一例であるケーブル400を介して画像入力装置200に供給される。
【0023】
第1の制御部320は、画像入力装置200の第2の制御部210からの指示に基づいて、エンジン部340に含まれる各構成を制御する。エンジン部340は、画像形成装置300にセットされた媒体に画像を形成するために必要な構成を有して構成されており、当該構成には、例えば、感光体駆動モータユニット、全体駆動モータユニット、2次転写ローラ離接クラッチ、中間転写ベルトクリーナ離接クラッチ、現像駆動モータユニット、ロータリー駆動モータユニット、イレーサランプユニット、オゾンファンユニット、トナーファンユニット、冷却ファン、給紙関連クラッチ、スキャナモータ等が含まれる。
【0024】
中継部330は、電源部310及び第1の制御部320と、ケーブル400とを中継する。具体的には、中継部330は、電源部310が生成した駆動電圧をケーブル400に供給し、また、第2の制御部210が生成した各種信号を第1の制御部320等に供給する。
【0025】
ケーブル400は、画像入力装置200と画像形成装置300とを接続する。ケーブル400は、画像入力装置200及び画像形成装置300に着脱可能に設けられている。また、ケーブル400は複数の信号線からなっており、各信号線は、電源部310が生成した駆動電圧を画像入力装置200に供給し、画像入力装置200から画像形成装置300に、あるいは画像形成装置300から画像入力装置200に、各種信号を供給する。
【0026】
本実施形態の画像形成システムにおいては、ケーブル400が画像入力装置200及び画像形成装置300の少なくとも一方から切り離された場合(例えば抜けた場合)、画像入力装置200には駆動電圧が供給されなくなるので、画像入力装置200はその動作を停止する。これに伴い、画像形成装置300には、第2の制御部210から指示等が供給されなくなる。
【0027】
2.画像形成システムの回路構成
次に、本実施形態に係る画像形成システムの回路構成について説明する。図2は、本実施形態の画像形成システムの回路構成の一部を示す図である。
【0028】
電源部310は、商用電源から交流電圧を受け、また、図示しない制御信号に基づき、画像入力装置200及び画像形成装置300を駆動する駆動電圧として、第1の駆動電圧(本例では+5V)及びそれよりも高い第2の駆動電圧(本例では+24V)を生成する。そして、第1及び第2の駆動電圧は、一方では第1の制御部320に供給され、他方では中継部330を介して第2の制御部210に供給される。
【0029】
詳しくは、電源部310が生成する駆動電圧のうち、第2の駆動電圧(+24V)は、画像形成装置300の第1の電圧供給制御部322に基づいて、第1の制御部320(最終的にはエンジン部340)へ供給されるか否かが制御される。具体的には、電源部310と第1の制御部320の間にはFET324が設けられており、FET324は、第2の駆動電圧が供給されるようソースが電源部310に接続され、ドレインが第1の制御部320に接続され、かつゲートが第1の電圧供給制御部322に接続されている。そして、FET324は、第1の電圧供給制御部322から供給される電圧に基づいてゲートがオン・オフし、第2の駆動電圧が第1の制御部320に供給されるか否かが制御される。なお、第1の電圧供給制御部322は、図2に示すように第1の制御部320の一部として設けられていてもよいし、あるいは第1の制御部320とは別個に設けられていてもよい。また、FET324は、図2に示すように第1の制御部320とは別個に設けられていてもよいし、あるいは第1の制御部320の一部として設けられていてもよい。なお、FET324は、図2に示す例ではpチャネル型MOSトランジスタである。
【0030】
中継部330は、FET332,334と、複数の信号線336と、ヒューズ337,338,339と、信号バッファ360と、コネクタ380と、を含む。FET332,334は、図2に示す例ではpチャネル型MOSトランジスタである。
【0031】
画像入力装置200の第2の制御部210は、ケーブル400が着脱可能なコネクタ212を有して構成されており、ケーブル400及びコネクタ212を介して、中継部330と、各種信号や駆動電圧の受け渡しを行う。
【0032】
電源部310が生成する第1の駆動電圧(+5V)は、ケーブル400の着脱状態に基づいて、第2の制御部210へ供給されるか否かが制御される。具体的には、電源部310と第2の制御部210の間にはFET334が設けられており、FET334は、第1の駆動電圧が供給されるようソースが電源部310に接続され、ドレインがコネクタ380に接続され、かつゲートが信号線PSS1に接続されている。信号線PSS1は、+5Vにプルアップされてコネクタ380に接続されており、ケーブル400及びコネクタ212を介して画像入力装置200において接地されている。すなわち、信号線PSS1は、ケーブル400がコネクタ380,212の双方に接続されている場合には接地されてその電圧が0Vとなり、また、ケーブル400がコネクタ380,212の少なくとも一方から切り離されている場合にはその電圧が+5Vとなる。したがって、FET334は、ケーブル400がコネクタ380,212の双方に接続されている場合にはゲート電圧が0V(L論理)となりオンし、その結果、第1の駆動電圧が中継部330及びケーブル400を介して第2の制御部210(画像入力装置200)に供給される。一方、ケーブル400がコネクタ380,212の少なくとも一方から切り離されている場合にはゲート電圧が+5V(H論理)となりオフし、その結果、コネクタ380、ケーブル400及び第2の制御部210(画像入力装置200)には駆動電圧は供給されなくなる。
【0033】
図2に示す例では、FET334のドレインは、一方ではヒューズ339を介して第1の駆動電圧を供給できるよう第2の制御部210に接続され、他方では降圧部370及びヒューズ338を介して降圧後の駆動電圧(本例では+3.3V)を供給できるよう第2の制御部210に接続されている。当該+3.3Vは、ケーブル400がコネクタ380,212の双方に接続されている場合、ケーブル400を介して第2の制御部210(画像入力装置200)に供給される。なお、図2に示す例では降圧部370は、中継部330(画像形成装置300)側に設けられているが、変形例として第2の制御部210(画像入力装置200)側に設けられていてもよい。
【0034】
電源部310が生成する第2の駆動電圧(+24V)は、ケーブル400の着脱状態、及び画像入力装置200に設けられる第2の電圧供給制御部214に基づいて、第2の制御部210へ供給されるか否かが制御される。具体的には、電源部310と第2の制御部210の間にはFET332が設けられており、FET332は、第2の駆動電圧が供給されるようソースが電源部310に接続され、ドレインがヒューズ337を介してコネクタ380に接続され、かつゲートがケーブル400を介して第2の電圧供給制御部214に接続されている。信号線PSS2は、+5Vにプルアップされてコネクタ380に接続されており、ケーブル400及びコネクタ212を介して第2の制御部210に接続されている。そして、FET332は、ケーブル400がコネクタ380,212の双方に接続されている場合に、第2の電圧供給制御部214から供給される電圧に基づいてゲートがオン・オフされ、第2の駆動電圧が第2の制御部210に供給されるか否かが制御されている。一方、ケーブル400がコネクタ380,212の少なくとも一方から切り離されている場合にはゲート電圧が+24V(H論理)となりオフし、その結果、コネクタ380、ケーブル400及び第2の制御部210(画像入力装置200)には駆動電圧が供給されなくなる。なお、第2の電圧供給制御部214は、図2に示すように第2の制御部210の一部として設けられていてもよいし、あるいは第2の制御部210とは別個に設けられていてもよい。
【0035】
信号バッファ360は、複数の信号線336及び複数のスイッチSWを有して構成される。スイッチSWは、オフ時において、それに接続された配線がハイインピーダンスとなるようなスイッチである。複数のスイッチSWは、信号線PSSの電圧に応じて制御される。具体的には、複数のスイッチSWは、信号線PSSの電圧が+5V(H論理)のときにオフし、当該電圧が0V(L論理)のときにオンするように構成されている。すなわち、複数の信号線336は、ケーブル400がコネクタ380,212の少なくとも一方から切り離されている場合、ハイインピーダンスとなる一方、ケーブル400がコネクタ380,212の双方に接続されている場合、ケーブル400を介して第2の制御部210に接続される。
【0036】
図2に示す例では、第1及び第2の電圧供給制御部322,214の間には、専用線372が設けられている。これにより、第1及び第2の電圧供給制御部322,214の制御を相互に同期させることができる。例えば、第1の電圧供給制御部322がFET324をオンした後、当該オン状態を示す信号を第1の電圧供給制御部322から専用線372を介して第2の電圧供給制御部214に送り、その信号を確認した後に、第2の電圧供給制御部214がFET332をオンすることが可能になる。そのため、例えば、第2の駆動電圧がエンジン部340に供給されるタイミングと、第2の駆動電圧が画像入力装置200に供給されるタイミングを意図的にずらすことができる。したがって、画像形成装置300及び画像入力装置200の両者の起動するタイミングが一致するのを避けることができ、安定して画像形成システムを動作させることができる。
【0037】
なお、本実施形態の画像形成システムにおいては、第2の駆動電圧(+24V)は主に画像形成システムを構成するメカを駆動する駆動用電源として用いられており、第1の駆動電圧(+5V)及びその他の駆動電圧(+3.3V)は主にメカを制御する構成を駆動する制御用電源として用いられている。
【0038】
また、上述した構成では、FET324,332,334がpチャネル型MOSトランジスタの例を示したが、nチャネル型MOSトランジスタを適用することもできる。その場合には、FETのオン・オフにおいてはH論理及びL論理が逆になるように制御すればよい。さらに、FET324,332,334はスイッチ素子の一例であり、オン・オフ動作を切り替えることができればFETに限定されるものではない。
【0039】
3.画像形成システムの動作
次に、本実施形態の画像形成システムの動作の一例を説明する。図3は、ケーブルが切り離された場合の画像形成システムの動作を説明するフローチャートであり、図4は、ケーブルが接続された場合の画像形成システムの動作を説明するフローチャートである。
【0040】
(3−1)図2及び図3に示すように、ケーブル400がコネクタ380,212の双方に接続されている場合(S102,NO)、すなわち画像入力装置200及び画像形成装置300が相互に接続されている場合には、画像形成装置300は画像入力装置200に電源を供給可能な状態にあり、また、それらは相互に通信可能な状態にある。
【0041】
具体的には、この場合、信号線PSS1はケーブル400を介して画像入力装置200において接地されており、これによりFET334はオンするので、電源部310が生成した第1の駆動電圧(+5V)はケーブル400を介して画像入力装置200に供給される。また、降圧部370により降圧された+3.3Vもケーブル400を介して画像入力装置200に供給される。また、信号線PSS1が接地されることによりスイッチSWがオンし、複数の信号線336が第2の制御部210に接続される。これにより、画像入力装置200及び画像形成装置300は、指示及び諸データの受け渡し等の通信を行うことができる。さらに、第2の電圧供給制御部214がFET332をオン(すなわちゲートにL論理を入力)している場合には、電源部310が生成した第2の駆動電圧(+24V)もケーブル400を介して画像入力装置200に供給される。
【0042】
図2及び図3に示すように、ケーブル400がコネクタ380,212の少なくとも一方から切り離された場合(S102,YES)、すなわち画像入力装置200及び画像形成装置300が相互に切り離された場合には、画像形成装置300は画像入力装置200に電源を供給するのを停止し、また、それらの相互の通信は切断される。
【0043】
具体的には、この場合、信号線PSS1は、ケーブル400を介して接地されていた状態から、ケーブル400が切り離されることにより+5Vにプルアップされる。信号線PSS1の電圧が+5Vになると、FET334はゲート電圧が+5V(H論理)となりオフする(S104)。これにより、コネクタ380には第1の駆動電圧(+5V)及び降圧後の電圧(+3.3V)は供給されなくなる。また、信号線PSS2も同様に、ケーブル400が切り離されることにより+5Vにプルアップされ、FET332はゲート電圧が+5V(H論理)となりオフし(S104)、コネクタ380には第2の駆動電圧(+24V)も供給されなくなる。したがって、ショート等により画像形成装置300の各構成が破壊されるのを防ぐことができる。
【0044】
また、信号線PSS1の電圧が+5V(H論理)になると、信号バッファ360のスイッチSWがオフし(S106)、複数の信号線336による画像入力装置200及び画像形成装置300の相互の通信は切断される。
【0045】
また、ケーブル400がコネクタ380,212の少なくとも一方から切り離されると、第1の電圧供給制御部322がFET324をオフし、第2の駆動電圧(+24V)の第1の制御部320(又はエンジン部340)に対する供給を停止する(S108)。FET324のオン・オフは、例えば、第1及び第2の電圧供給制御部322,214の相互の接続状態(例えば専用線372の接続状態)に基づいて制御してもよい。第2の駆動電圧(+24V)の供給が停止すると、第1の制御部320はその動作を停止し(S110)、エンジン部340の動作も停止する。あるいは、第2の駆動電圧(+24V)の供給が停止することにより、第1の制御部320が省エネモードに移行してもよい(S110)。第1の制御部320が省エネモードになる場合にも、エンジン部340の動作は停止する。
【0046】
以上のことから、ケーブル400がコネクタ380,212の少なくとも一方から切り離された場合においては、電源部310は第2の駆動電圧(+24V)の供給を停止し、第1の駆動電圧(+5V)を第1の制御部320に供給する。これにより、画像形成システムのショート等による破壊を防止することができる。
【0047】
(3−2)次に、図4を参照し、ケーブル400がコネクタ380,212の双方に接続されて、画像形成システムが復帰する動作について説明する。なお、ここでは画像形成システムが画像入力装置200及び画像形成装置300の双方が通常モードで動作する場合を説明する。
【0048】
ここで、通常モードとは、画像形成システムを構成するメカ及び当該メカを制御する制御回路の双方を動作させる場合をいい、これに対して、省エネモードとは、画像形成システムを構成するメカを制御する制御回路のみを動作させる場合をいう。
【0049】
まず、ケーブル400がコネクタ380,212の双方に接続されると(S122,YES)、信号線PSS1はケーブル400を介して接地され、その電圧が0Vとなる。信号線PSS1の電圧が0Vになると、FET334はゲート電圧が0V(L論理)となりオンし、第1の駆動電圧(+5V)がケーブル400を介して第2の制御部210に供給される(S124)。それとともに、降圧部370により降圧された後の電圧(+3.3V)もケーブル400を介して第2の制御部210に供給される。
【0050】
また、信号線PSS1が0Vになると、信号バッファ360のスイッチSWがオンする(S126)。これにより、複数の信号線336が第1及び第2の制御部320,210間を接続し、画像入力装置200及び画像形成装置300の間において指示及び諸データの受け渡し等の通信が可能となる。
【0051】
一方、第1の電圧供給制御部322は、FET324をオンし、第2の駆動電圧(+24V)が第1の制御部320(又はエンジン部340)に供給される(S128)。第2の駆動電圧の第1の制御部320への供給は、上述した第1の駆動電圧の第2の制御部210への供給とほぼ同時に行ってもよいし、その前後いずれかに行ってもよい。
【0052】
そして、第2の電圧供給制御部214は、信号線PSS2の電圧を0V(L論理)にしてFET332をオンし、第2の駆動電圧(+24V)をケーブル400を介して第2の制御部210に供給する(S130)。
【0053】
図4に示す例では、第2の駆動電圧(+24V)の第2の制御部210への供給は、第2の駆動電圧が第1の制御部320に供給された後に行われる。例えば、ケーブル400がコネクタ380,212の双方に接続された時点から第2の駆動電圧(+24V)が供給されるまでの時間を、第1及び第2の電圧供給制御部322,214のそれぞれにおいて異なるようにあらかじめ設定しておいてもよい。あるいは、第1及び第2の電圧供給制御部322,214の間を通信可能な専用線372により、電圧供給のタイミングをずらすよう意図的に制御してもよい。これによれば、画像形成装置300が駆動するタイミングと、画像入力装置200が駆動するタイミングをずらすことができるので、安定して画像形成システムを動作させることができる。
【0054】
さらに、図4に示す例では、第2の駆動電圧(+24V)の第2の制御部210への供給は、第1の駆動電圧(+5V)が第2の制御部210に供給された後に行われる。例えば、第2の電圧供給制御部214において、ケーブル400がコネクタ380,212の双方に接続され、かつ第1の駆動電圧(+5V)が第2の制御部210に供給されてから一定時間後にFET332をオンしてもよい。これによれば、第2の制御部210には、まず制御用の低電圧が供給され、次いで駆動用の高電圧が供給されることとなる。したがって、より安定して画像形成システムを復帰させることができる。
【0055】
なお、第2の駆動電圧(+24V)の第2の制御部210への供給は、画像入力装置200(例えば第2の制御部210)の動作状態を確認した(例えば正常動作を確認した)後に行ってもよい。これによれば、画像入力装置200が動作していない場合や誤動作している場合には第2の駆動電圧(+24V)の供給を停止することができる。
【0056】
以上のことから、ケーブル400がコネクタ380,212の双方に接続された場合においては、第1及び第2の駆動電圧を画像形成装置300及び画像入力装置200に安定して供給することができる。
【0057】
(3−3)次に、ケーブル400がコネクタ380,212の双方に接続されている状態における画像入力装置200及び画像形成装置300の動作を説明する。
【0058】
画像入力装置200及び画像形成装置300が省エネモードである場合、第1の駆動電圧(+5V)は、一方では第1の制御部320に供給され、他方ではFET334、ケーブル400を介して第2の制御部210に供給される。なお、信号線PSS1はケーブル400の接続により接地されてスイッチSWをオンし、複数の信号線336により画像入力装置200及び画像形成装置300の相互の通信が可能となっている。
【0059】
まず、画像形成装置300が省エネモードから通常モードに復帰する場合には、第1の電圧供給制御部322がFET324をオンし、第2の駆動電圧(+24V)を第1の制御部320に供給する。この場合、必要があれば、第1の電圧供給制御部322は専用線372を介して第2の電圧供給制御部214と通信してもよい。例えば、第2の電圧供給制御部214がFET332をオフしていることを確認した後に、第1の電圧供給制御部322がFET324をオンしてもよい。
【0060】
また、画像入力装置200が省エネモードから通常モードに復帰する場合には、第2の電圧供給制御部214がFET334をオンし、第2の駆動電圧(+24V)を第2の制御部210に供給する。この場合、必要があれば、第2の電圧供給制御部214は専用線372を介して第1の電圧供給制御部322と通信してもよい。例えば、画像形成装置300も同時に通常モードに復帰する場合には、第1の電圧供給制御部322がFETをオンし、それから所定時間が経過した後に第2の電圧供給制御部214がFET332をオンしてもよい。
【0061】
なお、第2の電圧供給制御部214は、画像入力装置200(例えば第2の制御部210)の動作状態を確認した(例えば正常動作を確認した)後に、第2の駆動電圧(+24V)の供給を行ってもよい。これによれば、画像入力装置200が動作していない場合や誤動作している場合には第2の駆動電圧(+24V)の供給を停止することができる。
【0062】
また、画像形成装置300が通常モードから省エネモードに移行する場合には、第1の電圧供給制御部322はFET324をオフする。これにより、第2の駆動電圧(+24V)の第1の制御部320に対する供給を停止する。したがって、第1の制御部320には、電源部310から第1の駆動電圧(+5V)のみが供給され、エンジン部340を含むメカの動作を停止しつつ、当該メカを制御する制御回路のみを動作させることができる。
【0063】
また、画像入力装置200が通常モードから省エネモードに移行する場合には、第2の電圧供給制御部214はFET334をオフする。これにより、第2の駆動電圧(+24V)の第2の制御部210に対する供給を停止する。したがって、第2の制御部320には、電源部310から第1の駆動電圧(+5V)のみが供給され、メカ(例えばFAX送信、ネットワークスキャン等に関与するメカ)の動作を停止しつつ、当該メカを制御する制御回路のみを動作させることができる。
【0064】
以上の構成によれば、第2の駆動電圧(+24V)が画像入力装置200に供給されるか否かを、画像入力装置200そのものが制御するので、電圧供給の可否を画像入力装置200の動作状態に基づいて決めることができる。すなわち、画像入力装置200が動作していない場合や誤動作している場合には、例えば第2の駆動電圧(+24V)を供給しないようにすることができる。したがって、無制御状態での高電圧の供給を回避することができ、ショート等による破壊を少なくすることができる。さらに、画像入力装置200に供給される第2の駆動電圧(+24V)は、画像入力装置200そのものにより単独制御されるので、画像形成装置300の負荷の低減を図るとともに、画像形成システム全体の消費電力の大幅な低減を図ることができる。
【0065】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の画像形成システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成システムの回路構成の一部を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
200…画像入力装置 210…第2の制御部 212…コネクタ
214…第2の電圧供給制御部 220…画像入力部 300…画像形成装置
310…電源部 320…第1の制御部 322…第1の電圧供給制御部
330…中継部 340…エンジン部 400…ケーブル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電圧を生成する電源部及び画像形成部を有する第1の装置と、
前記画像形成部を制御する第2の装置と、
を含み、
前記電源部は、前記駆動電圧として第1の駆動電圧及び前記第1の駆動電圧よりも高い第2の駆動電圧を生成し、
前記第2の装置は、前記第2の駆動電圧が前記第2の装置に供給されるか否かを制御する電圧供給制御部を含む画像形成システム。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成システムにおいて、
前記第1の装置は、前記第2の駆動電圧が前記画像形成部に供給されるか否かを制御する電圧供給制御部をさらに含む画像形成システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の画像形成システムにおいて、
前記第2の駆動電圧の前記第2の装置への供給は、前記第2の駆動電圧が前記画像形成部に供給された後に行われる画像形成システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成システムにおいて、
前記第2の駆動電圧の前記第2の装置への供給は、前記第1の駆動電圧が前記第2の装置に供給された後に行われる画像形成システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像形成システムにおいて、
前記第2の駆動電圧の前記第2の装置への供給は、前記第2の装置の動作状態を確認した後に行われる画像形成システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像形成システムにおいて、
前記第2の装置は、画像入力部をさらに含む画像形成システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−150411(P2007−150411A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−338390(P2005−338390)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】