説明

画像形成システム

【課題】
複数筐体からなる画像形成システムにおいて、画像形成装置と給紙装置と排紙装置等の接続時の高さ調整が容易に行え、且つ安定した印字品質と安定した用紙搬送が得られる画像形成システムを提供する。
【解決手段】
給紙装置と排紙装置、排紙装置等の筐体下部に設けた高さ調節部材の下側に摺動面を内在する摺動部材を設け、前記摺動部材の摺動面摩擦係数を前記摺動部材と設置面の摩擦係数よりも小として水平方向の変位を吸収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は別筐体からなる画像形成装置、給紙装置、排紙装置等を一体に接続して構成する画像形成システムの筐体間の位置調整構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、別筐体からなる画像形成装置と給紙装置や排紙装置等を接続して、連続した用紙搬送処理パスを形成する画像形成システムでは、一方の装置に設けた位置決めピンと他方の装置に設けた鉛直方向の長穴を係合させることにより装置間の接触面及び筐体設置面(床面)と平行な水平方向の位置決めをした後、装置下部に具備した高さ調節部材を上下調節して各装置間の高さ方向(鉛直方向)の調整をして接続し、あるいは、特許文献1に記載されるように、給紙装置の一端を画像形成装置に固着し、他端下部のネジ脚部(床面接触座115)を調節して給紙装置の高さ方向の調節を行なうことが一般的である。
【0003】
【特許文献1】特公昭62−18454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の方式では装置間の水平方向位置が位置決めピンと接地した高さ調節部材により拘束された状態で個々の高さ調節部材を上下させ縦方向の位置調整を行う。このため上下させない固定側の高さ調節部材を支点として装置筐体が回動し、前記位置決めピンと前記長穴の係合部に水平方向分力が発生する。前記水平方向分力は固定側装置を水平方向に移動させる方向に働き、装置重量が大きい場合は装置筐体の変形をもたらす。筐体がわずかでも変形すると高精度を要求される光学系、現像系、搬送系等の筐体内部部品の位置決めに誤差を生じ、印字品質不良や用紙走行不良の原因となる。
【0005】
本発明の目的は、上記問題点を回避し、高さ調節部材が接地した状態で装置間の高さ方向の調整を行った場合にも装置筐体の変形を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、画像形成装置に接続される給紙装置や排紙装置の筐体下部に設けられた高さ調節部材の下側に摺動部材を配置し、高さ調節部材が接地した状態で前記給紙装置や前記排紙装置等の筐体が設置面に対して平行に移動可能にすることにより達成される。
【0007】
本発明の請求項1は、各々別筐体で形成された画像形成装置と、印字用紙を画像形成装置に供給する給紙装置と、前記画像形成装置で印刷後排出された用紙を収納する排紙装置とを備え、前記画像形成装置と給紙装置と排紙装置の各々の筐体下部に高さ調節部材を備え、互いに一体に接続されて用紙を搬送する各筐体の各々に設けた位置決め部材を有する画像形成システムにおいて、前記画像形成装置と給紙装置と排紙装置の少なくとも一つの筐体下部に設けた高さ調節部材の下側に摺動部材を設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項2は、前記画像形成装置に接続される給紙装置と排紙装置の筐体下部の高さ調節部材の下側に摺動部材を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項3は、前記摺動部材は摺動面を内部に設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項4は、前記摺動部材の摺動面摩擦係数を前記摺動部材と前記高さ調節部材の接触面の摩擦係数及び、前記摺動部材と設置面の摩擦係数よりも小としたことを特徴とする。
【0011】
請求項5は前記摺動部材の摺動方向を設置平面上で各装置筐体の接続面に平行な方向のみとして構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上述べた如く本発明によれば、各装置の筐体の水平方向移動を可能とし、筐体を変形させずに画像形成システムを構成する画像形成装置、給紙装置、排紙装置等の各筐体の高さ調整を容易に行うことができ、安定した印字品質と安定した用紙搬送を有する画像形成システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施形態は、各筐体間の水平方向位置基決めを行なう位置決め部材に加え各筐体の設置面に対する水平方向の微小移動を許容吸収する摺動部材を高さ調節部材下部に設ける。
【実施例1】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
図1はカット紙画像形成システムの正面図、図2は底面図である。図3、4、5は位置決め部材の概略図である。図1に記載する画像形成装置1と排紙装置6の設置方法を例に本発明の実施例を説明する。はじめに画像形成装置1を画像形成装置1下部に設けたジャッキアップネジ10からなる高さ調節部材を下方に伸ばして設置面(床面)に固定する。
【0015】
次に、画像形成装置1の長穴13と排紙装置6に固定された位置決めピン8からなる位置決め部材により排紙装置6を画像形成装置1に位置決めする。尚、この状態では画像形成装置1と排紙装置6の高さ方向は調整されていないので、画像形成装置1と排紙装置6の用紙搬送路は互いに適正な位置になく、正しい用紙搬送は不可能であり画像形成システムとして作動させることはできない。
【0016】
排紙装置6下部に設けた4個のジャッキアップネジ10の下には、図6に示すように部材a,bの二層構造を持つ摺動部材11を設置する。摺動部材11の摺動面摩擦係数は、摺動部材11とジャッキアップネジ10、及び摺動部材11と設置面との摩擦係数より小である。ジャッキアップネジ10を摺動部材11を介して接地させ上下させて排紙装置6を画像形成装置1に対し適正な高さに調整する。摺動部材11の接触面の摩擦係数はジャッキアップネジ10と設置面との摩擦係数より小であるため、排紙装置6の設置面への拘束力は二層構造の摺動部材の接触面の摩擦力により決定される。
【0017】
この状態で、排紙装置6下部に設けたジャッキアップネジ10を個別に上下させた場合にも、位置決めピン8と穴13の係合部を支点に排紙装置6下部は設置面に対して水平方向移動可能であるため、位置決めピン8を中心に水平方向の位置を変化させながら高さを調整することができる。このため、位置調整中または位置調整後に画像形成装置1と排紙装置6の位置を位置決めしている位置決めピン8と穴13の係合部に過大な荷重が加わることが無く、筐体フレームの変形を防止できる。
【0018】
排紙装置6の下流に設置する排紙装置7の設置方法は前述の説明において排紙装置6を排紙装置7に置き換えることで同様の手順で行なわれる。また、画像形成装置1上流に接続される給紙装置5の設置方法も同様である。
【0019】
二重構造の摺動部材11の接触面はPOM(ポリアセタール樹脂)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン樹脂)等の低摩擦係数材料で構成すれば装置の設置面への拘束力を下げることに有効である。また、摺動部材11を三層以上の多層構造にすることで、接触面の表面粗さによる摩擦力のばらつきを緩和し、摺動部材の摺動効果の安定化を図ることが可能である。
【0020】
また、図6に示す摺動部材11は二層構造の内のジャッキアップネジ10に接触する側の部材が設置面に接触する部材の二側面を囲うように断面コ字状に構成した例を示している。この例では、摺動部材の摺動方向が設置平面上で各装置の接続面に平行な方向のみに規制されているため、ジャッキアップネジ10を上下して高さ調整をする場合にも各装置の接続面に垂直な方向に装置が離接移動しないため、調整中に接触面が離れる不具合を防止することができる。
【0021】
摺動部材はこの他にも、軸受けメタル、ボールベアリング、リニアボールベアリング等を用いることができるが、装置据付時の微小な水平方向変位を吸収できる部材から構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例を示す正面図である。
【図2】本発明の実施例を示す底面図である。
【図3】筐体1と5の位置決め部材の概略図である。
【図4】筐体1と6の位置決め部材の概略図である。
【図5】筐体6と7の位置決め部材の概略図である。
【図6】本発明の摺動部材を示す概略図である。
【符号の説明】
【0023】
1…画像形成装置、2…印写機構部、3…定着機構部、4…用紙搬送部、5…給紙装置、6…排紙装置、7…排紙装置、8…位置決めピン、10…ジャッキアップネジ、11…摺動部材、a,b…部材、12…位置決め用長穴、13…位置決め用長穴、14…位置決め用長穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
別筐体から形成された画像形成装置と、印字用紙を画像形成装置に供給する給紙装置と、前記画像形成装置で印刷後排出された用紙を収納する排紙装置とを備え、前記画像形成装置と給紙装置と排紙装置の少なくとも一つの筐体下部に高さ調節部材を備え、互いに一体に接続されて用紙を搬送する各筐体の各々に位置決め部材を有する画像形成システムにおいて、前記高さ調節部材の下側に摺動部材を設けたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記画像形成装置に接続される給紙装置と排紙装置の筐体下部に設けた高さ調節部材の下側に摺動部材を設けたことを特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記摺動部材は摺動面を内部に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記摺動部材の摺動面摩擦係数を前記摺動部材と前記高さ調節部材の接触面の摩擦係数及び、前記摺動部材と設置面の摩擦係数よりも小としたことを特徴とする請求項1、2または3記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記摺動部材の摺動方向を設置平面上で各装置筐体の接続面に平行な方向のみに制限したことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の画像形成システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate