説明

画像形成方法及び画像形成装置

【課題】印刷物の抜け、重複又は順番違いを容易に検出可能とする。
【解決手段】複数の用紙に印刷を行う際に、複数の用紙の各用紙の端部に素数コード画像82a,82b,82cを印刷する。素数コード画像82a,82b,82cは、それぞれ、紙端の延在方向(X方向)に連続する予め定められた数(2、3、5)の領域のうちいずれか一の領域を黒色、他の領域を白色で再現した画像である。素数コード画像82a,82b,82cのそれぞれにおいて、各用紙の印刷順に、黒色として再現する領域をX方向に順次シフトさせて印刷を行い、用紙束の側面に繰り返し模様を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成方法及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、POD(Print On Demand)分野におけるバリアブル印刷の普及に伴い、バリアブル印刷された印刷物の品質確保が重要課題となりつつある。バリアブル印刷では、基本的に全てのページの内容が別々となり得るため、オフセット印刷の印刷物のような目視による全品検査は非常に困難である。
【0003】
例えば、印刷物の余白領域に印刷内容を示すバーコード等の付加情報を印刷し、この付加情報をスキャンして、スキャンデータをデータベース内のデータと比較する等の検証方法が用いられている。
【0004】
また、複数のイメージ平面から構成されるフォームの印刷において、イメージ平面各々に対応するイメージ平面整合マークによって、フォーム内のイメージ平面の整合性を検証する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−160980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、付加情報をスキャンする方法は、スキャン機構と、ページ毎に異なるデータが蓄積されたデータベースとを連動させる比較的大きな規模のシステム構築が必要であり、従来、目視確認を主としてきた事業規模のユーザには、コスト的に導入が困難であった。そのため、従来通り、目視によって容易に全品検査を行う方法が望まれていた。
【0006】
本発明は上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、印刷物の抜け、重複又は順番違いを容易に検出可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数の用紙に印刷を行う際に、前記複数の用紙の各用紙の端部に設けられた領域であって紙端の延在方向に連続する予め定められた数の領域のうちいずれか一の領域を第1の色として再現し、他の領域を第2の色として再現する画像形成方法であって、前記各用紙の印刷順に、前記第1の色として再現する領域を前記紙端の延在方向に順次シフトさせた付加画像を印刷する工程を含む。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成方法において、前記予め定められた数は、素数である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成方法において、前記予め定められた数の領域は、複数の異なる数に対してそれぞれ設けられており、前記複数の異なる数にそれぞれ対応する複数の付加画像を、前記各用紙の端部の相互に異なる位置に印刷する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成方法において、前記紙端の延在方向に予め定められた幅を有する斜線形成用画像を、前記各用紙の印刷順に、前記紙端の延在方向に予め定められた長さ分シフトさせて、前記各用紙の端部の前記付加画像が印刷される位置とは異なる位置に印刷する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、複数の用紙のそれぞれに印刷画像を印刷する際に、前記複数の用紙の各用紙の端部に設けられた領域であって紙端の延在方向に連続する予め定められた数の領域のうちいずれか一の領域を第1の色として再現し、他の領域を第2の色として再現する画像形成装置であって、前記各用紙の印刷順に、前記第1の色として再現する領域を前記紙端の延在方向に順次シフトさせた付加画像を、前記印刷画像と合成する制御部と、前記合成された画像を印刷する印刷部と、を備える。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像形成装置において、前記予め定められた数は、素数である。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の画像形成装置において、前記予め定められた数の領域は、複数の異なる数に対してそれぞれ設けられており、前記制御部は、前記複数の異なる数にそれぞれ対応する複数の付加画像を、前記印刷画像の前記各用紙の端部の相互に異なる位置に合成する。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項5〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記制御部は、さらに、前記紙端の延在方向に予め定められた幅を有する斜線形成用画像を、前記各用紙の印刷順に、前記紙端の延在方向に予め定められた長さ分シフトさせて、前記印刷画像の前記各用紙の端部の前記付加画像が印刷される位置とは異なる位置に合成する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、2、5、6に記載の発明によれば、各用紙の印刷順に、第1の色として再現する領域を紙端の延在方向に順次シフトさせるので、印刷ミスがあった場合には付加画像によって形成される模様に乱れが生じ、印刷物の抜け、重複又は順番違いが容易に検出可能となる。
【0016】
請求項3、7に記載の発明によれば、複数の異なる数にそれぞれ対応する複数の付加画像を印刷するので、個々の付加画像では検出することができない枚数の抜け、重複又は順番違いについても容易に検出可能となる。
【0017】
請求項4、8に記載の発明によれば、印刷ミスがあった場合に斜線形成用画像によって形成される斜線に乱れが生じ、印刷物の抜け、重複又は順番違いが容易に検出可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に、本発明の実施の形態における画像形成装置100の機能的構成を示す。
図1に示すように、画像形成装置100は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、記憶部40、通信部50、印刷部60を備え、各部はバス70により接続されて構成されている。
【0019】
画像形成装置100は、複数の用紙の各用紙について、印刷画像81(図2〜図6参照)と検品用画像とを合成して印刷出力する。検品用画像とは、印刷物に抜け、重複又は順番違いがないか等、印刷物の検品を行う際に用いる画像をいう。
【0020】
CPU10は、通信部50により受信した指示信号に応じて、ROM30に格納されている各種処理プログラムを読み出し、当該プログラムとの協働により、画像形成装置100の各部の処理動作を統括的に制御する。
【0021】
具体的に、CPU10は、ROM30に格納されている主制御プログラム31との協働により、画像形成装置100において実行される処理動作を統括的に制御する。
【0022】
CPU10は、ROM30に格納されているRIP(Raster Image Processor)処理プログラム32との協働により、印刷画像81をラスタデータに展開するラスタライズ処理を行う。ラスタライズ処理により生成されたラスタデータは、RAM20のラスタデータ格納部21に格納される。
【0023】
CPU10は、ROM30に格納されている検品用画像データ生成プログラム33との協働により、検品用画像の画像データ(以下、「検品用画像データ」という。)を生成する検品用画像データ生成処理(図10参照)を行う。検品用画像データ生成処理において生成された検品用画像データは、RAM20の検品用画像データ格納部22に格納される。
【0024】
CPU10は、ROM30に格納されている合成処理プログラム34との協働により、合成すべき画像のラスタデータ同士を合成する。具体的には、CPU10は、印刷画像81のラスタデータと検品用画像データとを合成する。
【0025】
RAM20は、CPU10により実行される各種処理プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。RAM20は、ラスタデータ格納部21、検品用画像データ格納部22を有する。
【0026】
ROM30には、CPU10により実行される主制御プログラム31、RIP処理プログラム32、検品用画像データ生成プログラム33、合成処理プログラム34等の各種処理プログラムやデータ等が格納されている。
【0027】
記憶部40は、各種データを記憶するハードディスク等の記憶装置である。
【0028】
通信部50は、LAN(Local Area Network)等のネットワークに接続し、外部機器とデータ通信を行うための機能部である。
【0029】
印刷部60は、用紙上に電子写真方式の画像形成を行うものであり、感光ドラム、感光ドラムの帯電を行う帯電部、画像データに基づいて感光ドラム表面を露光する露光部、感光ドラムにトナーを付着させる現像部、感光ドラム上に形成されたトナー像を用紙に転写する転写部、用紙上に形成されたトナー像を定着させる定着部から構成される。なお、印刷部60は、インクジェット方式、熱転写方式等であってもよい。
【0030】
図2に、検品用画像として素数コード画像82を用いた場合の例を示す。この場合、CPU10は、複数の用紙のそれぞれに印刷画像81を印刷する際に、印刷画像81と素数コード画像82とを合成する。図2に示す例では、素数コード画像82は、素数グループ「2」に対応する素数コード画像82a、素数グループ「3」に対応する素数コード画像82b、素数グループ「5」に対応する素数コード画像82cを含む。素数コード画像82a,82b,82cは、それぞれ、複数の用紙の各用紙の端部に設けられた領域であって紙端の延在方向(図2に示すX方向)に連続する予め定められた数(本実施の形態では素数の「2」、「3」、「5」)の領域のうちいずれか一の領域を黒色、他の領域を白色で再現した画像であって、印刷画像81に合成される付加画像である。例えば、素数コード画像82bは、X方向に連続する3つの領域からなり、3つの領域うちのいずれか一の領域が黒色で再現され、他の領域が白色で再現される。
【0031】
図3に、素数コード画像82a,82b,82cが印刷された複数の用紙を印刷順にZ方向に重ねた場合の例を示す。素数コード画像82a,82b,82cは、それぞれの素数グループにおいて、各用紙の印刷順に、黒色として再現する領域が紙端の延在方向(図3に示すX方向)に順次シフトしている。
【0032】
図4に、検品用画像として斜線形成用画像83を用いた場合の例を示す。この場合、CPU10は、複数の用紙のそれぞれに印刷画像81を印刷する際に、印刷画像81と斜線形成用画像83とを合成する。斜線形成用画像83は、紙端の延在方向(図4に示すX方向)に予め定められた幅(斜線幅f)を有する画像である。
【0033】
図5に、斜線形成用画像83が印刷された複数の用紙を印刷順にZ方向に重ねた場合の例を示す。図5に示すように、斜線形成用画像83は、複数の用紙を印刷順に重ねた場合に、用紙束の側面に斜線を形成する。
【0034】
図6に、検品用画像として素数コード画像82及び斜線形成用画像83を用い、印刷後の用紙を印刷順にZ方向に重ねた場合の例を示す。この場合、CPU10は、複数の用紙のそれぞれに印刷画像81を印刷する際に、印刷画像81と素数コード画像82及び斜線形成用画像83とを合成する。
【0035】
画像形成装置100は、ネットワークを経由して通信部50により印刷ジョブを受信し、印刷部60により印刷出力する。印刷ジョブは、通常ジョブとコード生成ジョブとを含む。
【0036】
通常ジョブは、各ページの印刷画像81のデータであり、PJL(Printer Job Language)データ及びPDL(Page Description Language)データを含む。
【0037】
コード生成ジョブは、検品用画像データを生成するために必要な情報であり、検品用画像の種類を含む。検品用画像の種類は、「素数コード画像」、「斜線形成用画像」、又は、「素数コード画像及び斜線形成用画像」のいずれかを示す情報である。
【0038】
検品用画像の種類が「素数コード画像」又は「素数コード画像及び斜線形成用画像」である場合には、コード生成ジョブは、さらに、素数グループの最大値N、素数コード描画起点x0、素数コード印刷長d、素数コード印刷幅eの情報を含む。素数グループの最大値Nは、2、3、5、7、・・・と続く素数のうち、どの素数グループについてまで素数コード画像82を生成するかを示す情報である。
【0039】
図7は、図3に示す素数コード画像82a,82b,82cが印刷された用紙束の側面を示す図である。素数コード描画起点x0は、素数コード画像82a,82b,82cを生成する際のX方向の描画起点である。素数コード印刷長dは、素数コード画像82a,82b,82cの各領域のX方向の長さである。素数コード印刷幅eは、図2に示すように、素数コード画像82a,82b,82cの各領域のY方向の幅である。また、各素数グループ内の各領域を識別するために、図7に示すように、X方向に「0」から順に番号を振った素数インデックスを用いる。
【0040】
例えば、素数グループ「2」の素数インデックス「0」に対応する領域は、1ページ目から順に白色、黒色、白色、黒色、・・・で再現される。また、素数グループ「2」の素数インデックス「1」に対応する領域は、1ページ目から順に黒色、白色、黒色、白色、・・・で再現される。すなわち、素数グループ「2」の各領域は、2枚中1枚が黒色として再現される。
【0041】
素数グループ「3」の素数インデックス「0」に対応する領域は、1ページ目から順に白色、白色、黒色、白色、白色、黒色、・・・で再現される。また、素数グループ「3」の素数インデックス「1」に対応する領域は、1ページ目から順に黒色、白色、白色、黒色、白色、白色、・・・で再現される。また、素数グループ「3」の素数インデックス「2」に対応する領域は、1ページ目から順に白色、黒色、白色、白色、黒色、白色、・・・で再現される。すなわち、素数グループ「3」の各領域は、3枚中1枚が黒色として再現される。
【0042】
素数グループ「5」の素数インデックス「0」に対応する領域は、1ページ目から順に白色、白色、白色、白色、黒色、・・・で再現される。また、素数グループ「5」の素数インデックス「1」に対応する領域は、1ページ目から順に黒色、白色、白色、白色、白色、・・・で再現される。また、素数グループ「5」の素数インデックス「2」に対応する領域は、1ページ目から順に白色、黒色、白色、白色、白色、・・・で再現される。また、素数グループ「5」の素数インデックス「3」に対応する領域は、1ページ目から順に白色、白色、黒色、白色、白色、・・・で再現される。また、素数グループ「5」の素数インデックス「4」に対応する領域は、1ページ目から順に白色、白色、白色、黒色、白色、・・・で再現される。すなわち、素数グループ「5」の各領域は、5枚中1枚が黒色として再現される。
【0043】
検品用画像の種類が「斜線形成用画像」又は「素数コード画像及び斜線形成用画像」である場合には、コード生成ジョブは、さらに、斜線描画有効範囲の情報を含み、斜線毎に起点x1、斜線幅f、印刷幅g、1枚毎のシフト量pの情報を含む。
【0044】
図8(a)は、斜線形成用画像83が印刷された用紙束の側面を示す図である。斜線描画有効範囲とは、斜線形成用画像83が印刷されるべきX方向の範囲である。図8(a)に示す例では、v1からv2までが斜線描画有効範囲である。起点x1は、斜線形成用画像83の1ページ目のX方向の描画起点である。なお、起点x1は、用紙の範囲外であってもよい。斜線幅fは、斜線形成用画像83のX方向(紙端の延在方向)の幅であり、予め定められている。印刷幅gは、図4に示すように、斜線形成用画像83のY方向の幅である。シフト量pは、用紙1枚毎に斜線形成用画像83の位置をX方向にシフトさせる長さであり、予め定められている。
【0045】
各ページについて、式(1)及び(2)により、斜線形成用画像83の開始位置tと終了位置uが求められる。
開始位置t=(ページ番号k−1)×シフト量p+起点x1 (1)
終了位置u=開始位置t+斜線幅f (2)
【0046】
CPU10は、開始位置t、終了位置u及び印刷幅gに基づいて、図8(b)に示すようなビットマップを生成する。
【0047】
次に、動作を説明する。
図9は、画像形成装置100において実行される印刷処理を示すフローチャートである。印刷処理は、CPU10と、ROM30に記憶されているプログラム(主制御プログラム31、RIP処理プログラム32、検品用画像データ生成プログラム33、合成処理プログラム34)との協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0048】
まず、画像形成装置100の通信部50により、ネットワークを介して印刷ジョブが受信されると(ステップS1)、CPU10により、印刷ジョブの通常ジョブに含まれるPJLデータが解析される(ステップS2)。
【0049】
次に、CPU10により、PDLデータが解析され、ラスタライズ処理が行われて、各ページの印刷画像81のラスタデータが生成される(ステップS3)。ラスタライズ処理により生成された印刷画像81のラスタデータは、CPU10により、RAM20のラスタデータ格納部21に保存される(ステップS4)。
【0050】
次に、CPU10により、ページカウンタが0に設定され(ステップS5)、検品用画像データ生成処理が行われる(ステップS6)。
【0051】
ここで、図10を参照して、検品用画像データ生成処理を説明する。
まず、CPU10により、印刷ジョブに含まれるコード生成ジョブが参照され、生成される検品用画像の種類が「素数コード画像」であるか、「斜線形成用画像」であるか、又は、「素数コード画像及び斜線形成用画像」であるかが判断される(ステップS11)。
【0052】
検品用画像の種類が「素数コード画像」である場合には(ステップS11;素数コード画像)、CPU10により、素数コード画像生成処理が行われる(ステップS12)。
【0053】
図11に、素数コード画像生成処理のフローチャートを示す。
まず、CPU10により、ページカウンタに1が加算され(ステップS21)、処理対象が素数グループ「2」に設定される(ステップS22)。そして、CPU10により、素数コード画像82のラスタデータを生成するための素数コード描画ビットマップが初期化され(ステップS23)、素数コード描画位置が素数コード描画起点x0に設定される(ステップS24)。
【0054】
次に、CPU10により、素数インデックスが0に設定される(ステップS25)。
【0055】
次に、CPU10により、ページカウンタの値を素数グループの値で割った余りが素数インデックスの値と等しいか否かが判断される(ステップS26)。ページカウンタの値を素数グループの値で割った余りが素数インデックスの値と等しくない場合には(ステップS26;NO)、CPU10により、処理対象の素数グループの処理対象の素数インデックスに対応する領域の色が白色に設定される(ステップS27)。一方、ページカウンタの値を素数グループの値で割った余りが素数インデックスの値と等しい場合には(ステップS26;YES)、CPU10により、処理対象の素数グループの処理対象の素数インデックスに対応する領域の色が黒色に設定される(ステップS28)。
【0056】
ステップS27又はステップS28の後、CPU10により、素数コード描画位置、素数コード印刷長d、素数コード印刷幅eに基づいて、設定された色で対象領域のビットマップが生成され、素数コード描画ビットマップに合成される(ステップS29)。
【0057】
次に、CPU10により、素数コード描画位置がX方向に素数コード印刷長d分ずらされ(ステップS30)、素数インデックスに1が加算される(ステップS31)。
【0058】
次に、CPU10により、素数インデックスの値が処理対象の素数グループの値と等しいか否かが判断される(ステップS32)。素数インデックスの値が処理対象の素数グループの値と等しくない場合には(ステップS32;NO)、ステップS26に戻り、ステップS26〜ステップS32の処理が繰り返される。
【0059】
ステップS32において、素数インデックスの値が処理対象の素数グループの値と等しい場合には(ステップS32;YES)、CPU10により、全ての素数グループ分(素数グループの最大値Nまで)処理が終了したか否かが判断される(ステップS33)。未処理の素数グループが存在する場合には(ステップS33;NO)、CPU10により、処理対象が次の素数グループに設定され(ステップS34)、ステップS25に戻り、次の素数グループに対して処理が繰り返される。
【0060】
ステップS33において、全ての素数グループ分処理が終了した場合には(ステップS33;YES)、素数コード画像生成処理が終了する。
【0061】
図10に示すステップS11において、検品用画像の種類が「斜線形成用画像」である場合には(ステップS11;斜線形成用画像)、CPU10により、斜線形成用画像生成処理が行われる(ステップS13)。
【0062】
図12に、斜線形成用画像生成処理のフローチャートを示す。ここでは、斜線形成用画像83により用紙束の側面に形成される斜線を斜線1、斜線2、・・・、と区別する。
まず、CPU10により、ページカウンタに1が加算され(ステップS41)、処理対象が斜線1に設定される(ステップS42)。そして、CPU10により、斜線形成用画像83のラスタデータを生成するための斜線描画ビットマップが初期化される(ステップS43)。
【0063】
次に、CPU10により、式(1)及び(2)に従って、ページカウンタの値(ページ番号k)、処理対象の斜線の起点x1、シフト量p、斜線幅fに基づいて、処理対象ページの斜線の位置(開始位置t、終了位置u)が計算される(ステップS44)。次に、CPU10により、計算された斜線の位置が斜線描画有効範囲内(v1からv2まで)であるか否かが判断される(ステップS45)。斜線の位置が斜線描画有効範囲内である場合には(ステップS45;YES)、斜線の位置(開始位置t、終了位置u)及び印刷幅gに基づいて、処理対象の斜線画像のビットマップが生成され、斜線描画ビットマップに合成される(ステップS46)。
【0064】
ステップS46、又は、斜線の位置が斜線描画有効範囲内でない場合には(ステップS45;NO)、CPU10により、全ての斜線分処理が終了したか否かが判断される(ステップS47)。未処理の斜線が存在する場合には(ステップS47;NO)、CPU10により、処理対象が次の斜線に設定され(ステップS48)、ステップS44に戻り、次の斜線に対して処理が繰り返される。。
【0065】
ステップS47において、全ての斜線分処理が終了した場合には(ステップS47;YES)、斜線形成用画像生成処理が終了する。
【0066】
図10に示すステップS11において、検品用画像の種類が「素数コード画像及び斜線形成用画像」である場合には(ステップS11;素数コード画像及び斜線形成用画像)、まず、CPU10により、素数コード画像生成処理が行われる(ステップS14)。素数コード画像生成処理については、図11に示した処理と同様である。
【0067】
次に、CPU10により、ページカウンタから1減算され(ステップS15)、斜線形成用画像生成処理が行われる(ステップS16)。斜線形成用画像生成処理については、図12に示した処理と同様である。
【0068】
このように、素数コード描画ビットマップ及び/又は斜線描画ビットマップが、検品用画像データとして生成される。
【0069】
ステップS12、ステップS13又はステップS16の処理の後、図9に示すように、CPU10により、検品用画像データ生成処理において生成された検品用画像データが検品用画像データ格納部22に保存される(ステップS7)。
【0070】
次に、CPU10により、ステップS4で保存されたページカウンタの値に該当する印刷画像81のラスタデータとステップS7で保存された検品用画像データとが合成される(ステップS8)。検品用画像の種類が「素数コード画像」である場合には、素数コード画像82a,82b,82cのラスタデータ(素数コード描画ビットマップ)が印刷画像81のラスタデータの各用紙の端部の相互に異なる位置に合成される。また、検品用画像の種類が「斜線形成用画像」である場合には、斜線形成用画像83のラスタデータ(斜線描画ビットマップ)が印刷画像81のラスタデータの各用紙の端部に合成される。また、検品用画像の種類が「素数コード画像及び斜線形成用画像」である場合には、素数コード画像82a,82b,82cのラスタデータ(素数コード描画ビットマップ)が印刷画像81のラスタデータの各用紙の端部の相互に異なる位置に合成され、斜線形成用画像83のラスタデータ(斜線描画ビットマップ)が印刷画像81のラスタデータの各用紙の端部のうち素数コード画像82a,82b,82cが印刷される位置とは異なる位置に合成される。そして、印刷部60により、合成された画像のデータに基づいて印刷が行われる(ステップS9)。
【0071】
次に、CPU10により、印刷されたページが最終ページであるか否かが判断され(ステップS10)、最終ページでない場合には(ステップS10;NO)、ステップS6に戻り、ステップS6〜ステップS10の処理が繰り返される。
【0072】
一方、印刷されたページが最終ページである場合には(ステップS10;YES)、印刷処理が終了する。
【0073】
図13(a)は、検品用画像として素数コード画像82a,82b,82cが印刷された複数の用紙を印刷順に重ねた用紙束の側面を示す図である。図13(a)に示すX方向及びZ方向は、それぞれ、図3に示すX方向及びZ方向に対応している。印刷物に抜け、重複又は順番違いがない場合には、図13(a)に示すように、素数グループ毎に、各用紙の印刷順に、素数コード画像82a,82b,82cの各領域のうち黒色として再現される領域がX方向に順次シフトした繰り返し模様が形成される。
【0074】
図13(b)は、素数コード画像82a,82b,82cが印刷された用紙束において、z0の位置の用紙が1ページ分抜けている場合の例である。素数コード画像82a,82b,82cにより形成される繰り返し模様に乱れが生じ、印刷ミスがあることがわかる。
【0075】
図13(c)は、素数コード画像82a,82b,82cが印刷された用紙束において、z1の位置の用紙が2ページ分抜けている場合の例である。素数コード画像82aついては、2ページ毎の繰り返し模様であるため、2ページ分の用紙が抜けた場合には模様に変化は見られないが、素数コード画像82b,82cにより形成される繰り返し模様に乱れが生じ、印刷ミスがあることがわかる。
【0076】
図14(a)は、検品用画像として斜線形成用画像83が印刷された複数の用紙を印刷順に重ねた用紙束の側面を示す図である。図14(a)に示すX方向及びZ方向は、それぞれ、図5に示すX方向及びZ方向に対応している。印刷物に抜け、重複又は順番違いがない場合には、図14(a)に示すように、斜線形成用画像83により各斜線が連続して形成される。
【0077】
図14(b)は、斜線形成用画像83が印刷された用紙束において、z2の位置の用紙が1又は複数ページ分抜けている場合の例である。z2の位置で斜線形成用画像83により形成される各斜線に乱れが生じ、印刷ミスがあることがわかる。
【0078】
以上説明したように、画像形成装置100によれば、素数グループ毎に、各用紙の印刷順に、素数コード画像82a,82b,82cの黒色として再現する領域を紙端の延在方向に順次シフトさせるので、印刷ミスがあった場合には素数コード画像82a,82b,82cによって形成される模様に乱れが生じ、印刷物の抜け、重複又は順番違いが容易に検出可能となる。
【0079】
また、複数の異なる数「2」、「3」、「5」にそれぞれ対応する複数の素数コード画像82a,82b,82cを印刷するので、個々の付加画像(素数コード画像82aのみ、素数コード画像82bのみ、又は、素数コード画像82cのみ)では検出することができない枚数の抜け、重複又は順番違いについても容易に検出可能となる。
【0080】
例えば、素数グループ「2」に対応する素数コード画像82aにより用紙束の側面に形成される模様では、用紙1枚分の抜けを検出することはできるが、用紙2枚分の抜けを検出することはできない。また、素数グループ「3」に対応する素数コード画像82bにより用紙束の側面に形成される模様では、用紙1枚又は2枚分の抜けを検出することはできるが、用紙3枚分の抜けを検出することはできない。また、素数グループ「5」に対応する素数コード画像82cにより用紙束の側面に形成される模様では、用紙1〜4枚分の抜けを検出することはできるが、用紙5枚分の抜けを検出することはできない。ただし、用紙5枚分の抜けについては、素数コード画像82a又は素数コード画像82bにより用紙束の側面に形成される模様により、検出可能である。
【0081】
また、素数コード画像82a,82b,82cを構成する各領域をそれぞれ素数個分設け、素数の数の小さい順(「2」、「3」、「5」、・・・)に素数コード画像82を生成することにより、効率良く素数コード画像82を生成することができる。
【0082】
例えば、「2」に対応する素数コード画像82aのみを印刷した場合には、2枚毎に同じ模様が繰り返される。また、「2」に対応する素数コード画像82aと「3」に対応する素数コード画像82bを印刷した場合には、2と3の最小公倍数である6枚毎に同じ模様が繰り返される。また、「2」に対応する素数コード画像82aと「3」に対応する素数コード画像82bと「5」に対応する素数コード画像82cを印刷した場合には、2と3と5の最小公倍数である30枚毎に同じ模様が繰り返される。仮に、「2」に対応する素数コード画像82aと「3」に対応する素数コード画像82bと「4」に対応する素数コード画像を印刷した場合には、2と3と4の最小公倍数である12枚毎に同じ模様が繰り返されることになる。すなわち、より多い枚数の抜け、重複又は順番違いを検出可能な素数コード画像82を生成しようとする際に、「2」、「3」の次に、「4」ではなく、「5」に対応する素数コード画像82cを追加した方が効率が良いことがわかる。
【0083】
また、素数コード画像82に加えて、さらに、斜線形成用画像83を印刷することにより、印刷ミスがあった場合に斜線形成用画像83によって形成される斜線に乱れが生じ、印刷物の抜け、重複又は順番違いが容易に検出可能となる。特に、斜線形成用画像83は比較的多い枚数の抜け、重複又は順番違いを検出する際に効果的であり、素数コード画像82は比較的少ない枚数の抜け、重複又は順番違いを検出する際に効果的である。
【0084】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る画像形成装置の例であり、これに限定されるものではない。画像形成装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0085】
例えば、用紙の厚さが極端に薄い場合等、用紙の側面に形成される模様が識別できない場合には、図15に示すように、用紙束全体を曲げて模様を確認することとしてもよい。
【0086】
また、図16に、斜線形成用画像により形成される斜線模様の変形例を示す。図16に示すX方向は、斜線形成用画像が印刷される用紙の端部の紙端の延在方向であり、Z方向は、用紙の厚さ方向(印刷順に積み重ねた方向)である。図14(a)に示した例のように、一定の間隔で斜線が形成される場合には、ページが抜けた枚数と斜線の間隔とが偶然一致した場合に、異常の検出が困難となるため、図16に示すように、用紙の厚さ方向に対して様々な角度で斜線が形成されるように、斜線形成用画像を印刷することとしてもよい。
【0087】
また、上記実施の形態では、素数コード画像82a,82b,82cのそれぞれを構成する各領域のうちいずれか一の領域を黒色として再現し、他の領域を白色として再現する場合について説明したが、一の領域及び他の領域の色は相互に異なる色であれば、どの色を用いてもよい。
【0088】
また、本実施の形態では、素数グループ「2」、「3」、「5」に対応する素数コード画像82a,82b,82cを印刷する場合について説明したが、素数グループの最大値Nは任意に変更可能である。素数グループの最大値Nに対応する素数コード画像までを印刷すると、(2×3×5×7×・・・×N)枚毎に同じ模様が繰り返されることになる。
【0089】
以上の説明では、各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な媒体としてROM30を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施の形態における画像形成装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】検品用画像として素数コード画像を用いた場合の例である。
【図3】素数コード画像が印刷された複数の用紙を印刷順に重ねた場合の例である。
【図4】検品用画像として斜線形成用画像を用いた場合の例である。
【図5】斜線形成用画像が印刷された複数の用紙を印刷順に重ねた場合の例である。
【図6】検品用画像として素数コード画像及び斜線形成用画像を用い、印刷後の用紙を印刷順に重ねた場合の例である。
【図7】素数コード画像が印刷された用紙束の側面を示す図である。
【図8】(a)は、斜線形成用画像が印刷された用紙束の側面を示す図である。(b)は、各用紙に印刷される斜線形成用画像のビットマップの例である。
【図9】画像形成装置において実行される印刷処理を示すフローチャートである。
【図10】検品用画像データ生成処理を示すフローチャートである。
【図11】素数コード画像生成処理を示すフローチャートである。
【図12】斜線形成用画像生成処理のフローチャートである。
【図13】(a)は、素数コード画像が印刷された複数の用紙を印刷順に重ねた用紙束の側面を示す図である。(b)は、素数コード画像が印刷された用紙束において、用紙が1ページ分抜けている場合の例である。(c)は、素数コード画像が印刷された用紙束において、用紙が2ページ分抜けている場合の例である。
【図14】(a)は、斜線形成用画像が印刷された複数の用紙を印刷順に重ねた用紙束の側面を示す図である。(b)は、斜線形成用画像が印刷された用紙束において、用紙が1又は複数ページ分抜けている場合の例である。
【図15】用紙束全体を曲げて模様を確認する方法を説明するための図である。
【図16】斜線形成用画像により形成される斜線模様の変形例である。
【符号の説明】
【0091】
10 CPU
20 RAM
21 ラスタデータ格納部
22 検品用画像データ格納部
30 ROM
31 主制御プログラム
32 RIP処理プログラム
33 検品用画像データ生成プログラム
34 合成処理プログラム
40 記憶部
50 通信部
60 印刷部
70 バス
81 印刷画像
82 素数コード画像
82a,82b,82c 素数コード画像
83 斜線形成用画像
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の用紙に印刷を行う際に、前記複数の用紙の各用紙の端部に設けられた領域であって紙端の延在方向に連続する予め定められた数の領域のうちいずれか一の領域を第1の色として再現し、他の領域を第2の色として再現する画像形成方法であって、
前記各用紙の印刷順に、前記第1の色として再現する領域を前記紙端の延在方向に順次シフトさせた付加画像を印刷する工程を含む画像形成方法。
【請求項2】
前記予め定められた数は、素数である、
請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記予め定められた数の領域は、複数の異なる数に対してそれぞれ設けられており、
前記複数の異なる数にそれぞれ対応する複数の付加画像を、前記各用紙の端部の相互に異なる位置に印刷する、
請求項1又は2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記紙端の延在方向に予め定められた幅を有する斜線形成用画像を、前記各用紙の印刷順に、前記紙端の延在方向に予め定められた長さ分シフトさせて、前記各用紙の端部の前記付加画像が印刷される位置とは異なる位置に印刷する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項5】
複数の用紙のそれぞれに印刷画像を印刷する際に、前記複数の用紙の各用紙の端部に設けられた領域であって紙端の延在方向に連続する予め定められた数の領域のうちいずれか一の領域を第1の色として再現し、他の領域を第2の色として再現する画像形成装置であって、
前記各用紙の印刷順に、前記第1の色として再現する領域を前記紙端の延在方向に順次シフトさせた付加画像を、前記印刷画像と合成する制御部と、
前記合成された画像を印刷する印刷部と、
を備える画像形成装置。
【請求項6】
前記予め定められた数は、素数である、
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記予め定められた数の領域は、複数の異なる数に対してそれぞれ設けられており、
前記制御部は、前記複数の異なる数にそれぞれ対応する複数の付加画像を、前記印刷画像の前記各用紙の端部の相互に異なる位置に合成する、
請求項5又は6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、さらに、前記紙端の延在方向に予め定められた幅を有する斜線形成用画像を、前記各用紙の印刷順に、前記紙端の延在方向に予め定められた長さ分シフトさせて、前記印刷画像の前記各用紙の端部の前記付加画像が印刷される位置とは異なる位置に合成する、
請求項5〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−124472(P2009−124472A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296721(P2007−296721)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】