説明

画像形成方法

【課題】 長期ランニング時に生ずる白地部分の濃度ムラや着色が低減され、白地性と迅速処理適性とが両立したハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法を提供することである。
【解決手段】 支持体上に少なくとも一層の青感性ハロゲン化銀乳剤層、緑感性ハロゲン化銀乳剤層及び赤感性ハロゲン化銀乳剤層を有し、各ハロゲン化銀乳剤層に含まれるハロゲン化銀乳剤が塩化銀含有率90モル%以上のハロゲン化銀乳剤であるハロゲン化銀カラー写真感光材料を露光して、Naイオン/Kイオンのモル比が0.8〜4.0の発色現像液を用いて30秒以下で発色現像処理する画像形成方法において、画像形成して得られた未露光部の色度が下記条件Aを満たすことを特徴とする画像形成方法。
条件A 91≦L*≦96、0.3≦a*≦1.6、−8.0≦b*≦−3.5

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成方法に関し、詳しくは長期ランニング時に生ずる白地部分の濃度ムラや着色が低減され、白地性と迅速処理適性とが両立したハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、写真処理サービス業界においては、ユーザーに対するサービス向上の一環として、また生産性向上の手段として迅速に処理できる高画質な写真感光材料が望まれている。この要望に応えるために、現在は高塩化銀乳剤を含有する写真感光材料(以下、高塩化銀プリント材料とも呼ぶ)を発色現像時間45秒で処理し、現像工程開始から乾燥工程完了までのトータル処理時間を約4分で行う迅速処理が通常行われてきた。しかしながら、他のカラー画像形成方式(例えば、静電転写方式、熱転写方式、インクジェット方式等)の画像形成の迅速性と比べれば、この高塩化銀プリント材料の迅速現像処理システムでも、まだ満足のいく迅速性とは言い難く、高塩化銀カラープリント材料の現像開始から乾燥終了までのトータル処理時間が1分を切るレベルの超迅速処理が望まれている。
【0003】
そのために、当業界では超迅速化適性の向上手段のさまざまな検討が図られてきた。例えば、超迅速処理適性の向上の手段として、高活性カプラーや発色色素の分子吸光係数の大きいカプラーの採用による有機素材塗設量の減量、特開平7−248562号や特開2004−351024号に記載の親水性バインダー塗設量の削減、現像速度の速いハロゲン化銀乳剤の採用等が検討されている。また、現像速度の最も遅いハロゲン化銀乳剤層(従来のカラープリント材料ではイエローカプラー含有層が当てはまる)を支持体から遠い側に塗設することで現像の迅速化を図る方法が知られており、例えば特開平7−239538号、特開平7−239539号に開示されている。
【0004】
しかしながら、現像処理の迅速化にはしばしば画質の低下が伴っており、超迅速化を図る際にはこれが大きな制約となっている。特に超迅速化に伴う画質の低下はハイライト部の白さ(白色度)の低下である。白色度低下の要因として、現像活性の増加に伴うカブリの増加、写真感光材料中の増感色素の一部が現像処理後の画像中に残留して起きる着色(残色と呼ばれる)による最小濃度値(Dmin)の増加、脱銀不良や写真感光材料中の残存物による画像の白地部分の着色、親水性バインダーの着色による黄色味の上昇等が挙げられる。
【0005】
これらの超迅速現像処理に伴う欠陥の解決策に関しては、当業界の精力的な検討がなされてきている。カブリや残色を抑え、かつ低濃度のDminを得る方法としては、例えば特許文献1〜3に記載の方法、画像ステインの経時増加を抑える方法としては、例えば特許文献4、5に記載の方法、残色を低減する方法としては水溶性のジアミノスチルベン系蛍光増白剤の使用や、親水性の高い増感色素の使用等、例えば特許文献6に記載の方法等が挙げられるが、長期ランニング時に生ずる白地部分の濃度ムラや着色に対しては未だ十分なものではなく、さらなる改良が望まれている。
【特許文献1】特開平6−39936号公報
【特許文献2】特開平6−59421号公報
【特許文献3】特開平6−202291号公報
【特許文献4】特開平7−140625号公報
【特許文献5】特開平5−341470号公報
【特許文献6】特開平6−329936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、長期ランニング時に生ずる白地部分の濃度ムラや着色が低減され、白地性と迅速処理適性とが両立したハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
【0008】
(請求項1)
支持体上に少なくとも一層の青感性ハロゲン化銀乳剤層、緑感性ハロゲン化銀乳剤層及び赤感性ハロゲン化銀乳剤層を有し、各ハロゲン化銀乳剤層に含まれるハロゲン化銀乳剤が塩化銀含有率90モル%以上のハロゲン化銀乳剤であるハロゲン化銀カラー写真感光材料を露光して、Naイオン/Kイオンのモル比が0.8〜4.0の発色現像液を用いて30秒以下で発色現像処理する画像形成方法において、画像形成して得られた未露光部の色度が下記条件Aを満たすことを特徴とする画像形成方法。
【0009】
条件A 91≦L*≦96、0.3≦a*≦1.6、−8.0≦b*≦−3.5
(請求項2)
前記支持体のハロゲン化銀乳剤層側に設けられた全層の親水性バインダーの総量が6.8g/m2以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、長期ランニング時に生ずる白地部分の濃度ムラや着色が低減され、白地性と迅速処理適性とが両立したハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0012】
本発明においては、発色現像処理後の未露光部(白地)の色度がCIE1976L***表色空間(以後、CIELAB表色空間と略す)上で、L*は91〜96、a*は0.3〜1.6、b*は−8.0〜−4.8であることが特徴である。L*は好ましくは92〜96、より好ましくは93〜96であり、a*は好ましくは0.5〜1.3であり、b*は好ましくは−8.0〜−5.0である。
【0013】
ここで、CIELAB表色空間の詳細は、日本写真学会・日本画像学会編「ファインイメージングとカラーハードコピー」354ページ(1999年、コロナ社刊行)に詳記されている。また、この表色空間を用いる際の3色刺激値は、蛍光性反射物体のX、Y、Z座標の3刺激値測定方法を規定したJIS Z8717記載の方法に従って求められた値である。CIELAB表色空間上の色度は、基準となる白色の色度を標準昼光の国際標準であるCIED65(6504K)に置いて測定する。従って、上記の条件Aを満たすことの検証のための測定には、CIELAB表色空間上の色度を測定できる色度測定装置を用いることができる。例えば、高速分光光度色差計CMS−1200(村上色彩技術研究所(株)製)を用いて測定できる。
【0014】
本発明でハロゲン化銀カラー写真感光材料(以下、単に感光材料ともいう)の処理方法は、露光を施した感光材料を、発色処理工程(発色現像液)に続いて、漂白工程(漂白液)、定着工程(定着液)あるいは漂白定着工程(漂白定着液)、安定化工程(安定化液)を経て、乾燥する。また、それぞれ補充用発色現像液、補充用漂白液、補充用定着液、あるいは補充用漂白定着液、補充用安定化液等を補充しながら連続的に現像処理することができる。以下に本発明で用いられる発色現像液、漂白液、漂白定着液、定着液、安定液、リンス液について説明する。
【0015】
〔発色現像液〕
本発明に係る発色現像液は、Naイオン/Kイオンのモル比が0.8〜4.0である必要がある。このモル比が0.8未満になると、KイオンがNaイオンに比べて多すぎ発色現像液中での発色現像主薬の安定性が劣化するため、結果として酸化還元電位の変動を生じやすい。本発明では、Naイオン/Kイオンのモル比を上記範囲にすることで安定性が向上することが確認された。Naイオン/Kイオンのモル比は、本発明に係る発色現像液は従来の発色現像液に比べて高いが、Kイオンの一部をNaイオンに置き換えることにより、発色現像液の処理剤の溶解度が上がり、また発色現像主薬の感光材料への拡散が早まり、濃度ムラや滲みの低減が図られるものと推定している。Naイオン/Kイオンのモル比は上記の範囲であることが必要であるが、その他のカチオンが存在しても構わない。
【0016】
本発明の画像形成方法は、30秒以下の迅速発色現像処理において特に効果を発揮する。発色現像の処理時間は30秒以下が必要であり、5〜30秒が好ましく、15〜30秒がより好ましい。
【0017】
本発明に係る発色現像液に用いられる発色現像主薬として好ましい例は、公知の芳香族第1級アミン発色現像主薬、特にp−フェニレンジアミン誘導体であり、p−パラフェニレンジアミン系発色現像主薬の好ましい具体例を以下に例示するが、本発明で用いることができる発色現像主薬はこれらに限定されない。
【0018】
1.N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
2.2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン
3.2−アミノ−5−(N−エチル−N−ラウリルアミノ)トルエン
4.4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン
5.2−メチル−4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン
6.4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−(メタンスルホンアミド)エチル)アニリン
7.N−(2−アミノ−5−ジエチルアミノフェニルエチル)メタンスルホンアミド
8.N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン
9.4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−メトキシエチルアニリン
10.4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−エトキシエチル)アニリン
11.4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メトキシエチル)アニリン
これらp−フェニレンジアミン誘導体のうち特に本発明に好ましく用いられる化合物は、4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−(メタンスルホンアミド)エチル)−アニリン(例示化合物6)及び、2−メチル−4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン(例示化合物5)である。
【0019】
また、これらのp−フェニレンジアミン誘導体は硫酸塩、塩酸塩、亜硫酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の塩であってもよい。
【0020】
p−フェニレンジアミン系発色現像主薬の添加量は、濃縮組成物であることを考慮して、本発明では0.08モル/L以上が好ましく、0.1モル/L以上がさらに好ましい。
【0021】
本発明に係る発色現像濃縮組成物に適する水溶性溶媒は、例えば、カルボン酸アミド及びウレア誘導体、例えばジメチルホルムアミド、メチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド、N,N′−ジメチルウレア、テトラメチルウレア、メタンスルホンアミド、ジメチルエチレンウレア、N−アセチルグリシン、N−バレルアミド、イソバレルアミド、N−ブチルアミド、N,N−ジメチルブチルアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)アセトアミド、N−(2−メトキシフェニル)アセトアミド、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、アセトアニリド、ベンズアミド、トルエンスルホンアミド、フタルイミド;脂肪族及び環式アルコール類、例えばイソプロパノール、tert−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、シクロヘキサンメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール;脂肪族及び環式ポリアルコール類、例えばグリコール類、ポリグリコール類、ポリワックス類、トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、1,1,1−トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット、ソルビトール;脂肪族及び環式ケトン類、例えばアセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン、tert−ブチルメチルケトン、ジイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、シクロペンタノン、アセトフェノール;脂肪族及び環式カルボン酸エステル類、例えばトリメトキシメタン、酢酸メチル、酢酸アリル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、二酢酸エチレングリコール、1−酢酸グリセロール、二酢酸グリセロール、酢酸メチルシクロヘキシル、サリチル酸メチル、サリチル酸フェニル;脂肪族及び環式ホスホン酸エステル類、例えばメチルホスホン酸ジメチルエステル、アリルホスホン酸ジエチルエステル;脂肪族及び環式オキシアルコール類、例えば4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、サリチルアルデヒド;脂肪族及び環式アルデヒド類、例えばアセトアルデヒド、プロパナール、トリメチルアセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、グルタルアルデヒド、1,2,5,6−テトラヒドロベンズアルデヒド、ベンズアルデヒド、ベンゼンプロパン、テレフタルアルデヒド;脂肪族及び環式オキシム類、例えばブタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム;脂肪族及び環式アミン類(第一級、第二級または第三級)、例えばエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジプロピルアミン、ピロリジン、モルホリン、2−アミノ−ピリミジン;脂肪族及び環式ポリアミン類(第一級、第二級または第三級)、例えばエチレンジアミン、1−アミノ−2−ジエチルアミノエタン、メチル−ビス(2−メチルアミノエチル)−アミン、ペルメチルジエチレントリアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−ベンゼンジアミン;脂肪族及び環式ヒドロキシアミン類、例えばエタノールアミン、2−メチルエチルアミン、2−メチルアミノエタノール、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)−エタノール、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1−ピペリジンエタノール、2−アミノフェノール、バルビツール酸、2−(4−アミノフェノキシ)−エタノール、5−アミノ−1−ナフトールである。
【0022】
本発明に用いられる発色現像液においては、発色現像主薬の酸化による消失を減じるため、保恒剤を含有することが好ましい。代表的な保恒剤としては、ヒドロキシルアミン誘導体が挙げられる。本発明で用いることのできるヒドロキシルアミン誘導体としては、硫酸ヒドロキシルアミン、塩酸ヒドロキシルアミン等のヒドロキシルアミン塩の他、例えば、特開平1−97953号、同1−186939号、同1−186940号、同1−187557号公報等に記載されているヒドロキシルアミン誘導体を用いることができる。
【0023】
また、保恒剤として亜硫酸塩を使用することも好ましく、その濃度は、0〜0.1mol/Lが好ましい。本発明で用いることのできる亜硫酸塩としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム等を挙げることができる。
【0024】
発色現像液には、上記説明した保恒剤の他に、下記に示す保恒剤の使用を制限するものではない。ヒドロキサム酸類、ヒドラジド類、フェノール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、糖類、モノアミン類、ジアミン類、ポリアミン類、四級アンモニウム塩類、ニトロキシラジカル類、アルコール類、オキシム類、ジアミド化合物類、縮環式アミン類等を挙げることができる。これらは、特開昭63−4235号、同63−30845号、同63−21647号、同63−44655号、同63−53551号、同63−43140号、同63−56654号、同63−58346号、同63−43138号、同63−146041号、同63−44657号、同63−44656号、米国特許第3,615,503号、同2,494,903号、特開昭52−143020号、特公昭4830496号等の各公報または明細書に開示されている。
【0025】
その他、特開昭57−44148号及び同57−53749号公報に記載の各種金属類、特開昭59−180588号公報に記載のサリチル酸類、トリエタノールアミンやトリイソパノールアミンの如き特開昭54−3532号公報に記載のアルカノールアミン類、米国特許第3,746,544号明細書等に記載の芳香族ポリヒドロキシ化合物等を必要に応じて含有してもよい。
【0026】
本発明に用いられる発色現像液のpHは9.0〜13.5であることが好ましく、さらに好ましく9.5〜12.0であり、そのpH値を維持できるようにアルカリ剤、緩衝剤及び必要によっては酸を含ませることができる。
【0027】
発色現像処理液を調整したときに、上記pHを保持する観点からは、下記に示す緩衝剤を用いるのが好ましい。緩衝剤としては、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシル塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロバンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロキンアミノメタン塩、リシン塩等を用いることができる。特に炭酸塩、リン酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩は、pH10.0以上の高pH領域での緩衝能に優れ、発色現像液に添加しても写真性能面への悪影響(カプリ等)がなく、安価であるといった観点から好ましい緩衝剤である。
【0028】
上記緩衝剤の例示化合物としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)等を挙げることができる。しかしながら本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
【0029】
これら緩衝剤は、発色現像液1リットル当たり0.01〜2モルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5モルである。
【0030】
本発明に用いられる発色現像液には、その他の成分として、例えばカルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤や、安定性向上剤でもある各種キレート剤を添加することもできる。例えば、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンスルホン酸、トランスシロヘキサシジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロバン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N′−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。これらのキレート剤は必要に応じて2種以上併用してもよい。また、これらのキレート剤の量は、発色現像液処理中の金属イオンを封鎖するのに充分な量であればよい。例えば、1リットル当り0.l〜10g程度になるように添加する。
【0031】
本発明に用いられる発色現像液には、必要により任意の現像促進剤を添加することもできる。現像促進剤としては、特公昭37−16088号、同37−5987号、同38−7826号、同44−12380号、同45−9019号及び米国特許第3,813,247号等の各公報または明細書に表されるネオエーテル系化合物、特開昭52−49829号及び同50−15554号公報に表されるp−フェニレンジアミン系化合物、特開昭50−137726号、特公昭44−30074号、特開昭56−156826号及び同52−43429号公報等に表される4級アンモニウム塩類、米国特許第2,494,903号、同3,128,182号、同4,230,796号、同3,253,919号、特公昭41−11431号、米国特許第2,482,546号、同2,596,926号及び同3,582,346号等の各公報または明細書に記載のアミン系化合物、特公昭37−16088号、同42−25201号、米国特許第3,128,183号、特公昭41−11431号、同42−23883号及び米国特許第3,532,501号等の各公報または明細書に表されるポリアルキレンオキサイド、その他1−フェニル−3−ビラゾリトン類またはイミダゾール類を必要に応じて添加することができる。それらの濃度は、発色現像液1リットル当たり0.001〜0.2モルが好ましく、より好ましくは0.01〜0.05モルである。
【0032】
発色現像液には、必要に応じて、ハロゲンイオンのほかに、任意のカブリ防止剤を添加できる。有機カブリ防止剤としては、例えばベンゾトリアゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾール、2−チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、インダゾール、ヒドロキシアザインドリジン、アデニンの如き含窒素ヘテロ環化合物を代表例として挙げられる。
【0033】
また、本発明に用いられる発色現像液には、必要に応じて、蛍光増白剤を使用することができる。蛍光増白剤としては、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物が好ましい。ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、公知もしくは市販のジアミノスチルベン系増自剤を用いることができる。公知のビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては、例えば、特開平6−329936号、同7−140625号、同10−140849号等の公報に記載の化合物が好ましい。市販の化合物としては、例えば、「染色ノート」第9版(色染社),165〜168頁に記載されており、その中に記載されている化合物の中でも、Blankophor BSU liq.及びHakkol BRKが好ましい。
【0034】
また、その他のビス(トリアジニルアミノ)スチルベンスルホン酸化合物としては特開2001−281823号公報の段落番号〔0038〕〜同〔0049〕に記載の化合物I−1〜I−48及び特開2001−281823号公報の段落番号〔0050〕〜同〔0052〕に記載の化合物II−1〜II−16を挙げることもできる。上記した蛍光増白剤の添加量としては、発色現像液1リットル当たり0.1ミリモル〜0.1モルが好ましい。
【0035】
発色現像液中に臭素イオンが含まれる場合は、1.0×10-3モル/リットル以下であることが好ましい。発色現像液では、塩素イオンを3.5×10-2〜1.5×10-1モル/リットル含有することが好ましいが、塩素イオンは、通常現像の副生成物として現像液に放出されるので補充液には添加不要のこともある。
【0036】
また、本発明において、発色現像の処理温度は30〜55℃が好ましく、より好ましくは35〜55℃であり、より好ましくは38〜45℃である。発色現像の処理時間は、前述のように30秒以下が必要であり、5〜30秒が好ましく、より好ましくは、15〜3秒である。補充量は少ない方が好ましいが、感光材料1m2当たり15〜600mlが適当であり、好ましくは15〜120ml、特に好ましくは30〜60mlである。なお、本発明でいう発色現像時間とは、感光材料が発色現像液中に入ってから次の処理工程(例えば漂白定着液)に入るまでの時間をいう。自動現像機等で処理される場合には、感光材料が発色現像液中に浸漬されている時間(いわゆる液中時間)と、感光材料が発色現像液を離れ、次の処理工程に向けて液外を搬送される時間(いわゆるクロスオーバータイム)との両者の合計を発色現像時間という。また、クロスオーバータイムは10秒以下が好ましく、より好ましくは5秒以下である。
【0037】
〔漂白液、漂白定着液、定着液〕
本発明において、漂白液あるいは漂白定着液において用いられる漂白剤としては、いかなる漂白剤も用いることができるが、特に鉄(III)の有機錯塩(例えば、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、エチレンジアミンジコハク酸等のアミノポリカルボン酸類、アミノポリホスホン酸、ホスホノカルボン酸及び有機ホスホン酸等の錯塩)もしくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸等の有機酸;過硫酸塩;過酸化水素等が好ましい。
【0038】
これらのうち、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、エチレンジアミンジコハク酸、メチルイミノ二酢酸の鉄(III)錯塩が漂白力が高いことから好ましい。これらの第二鉄イオン錯塩は錯塩の形で使用してもよいし、第二鉄塩、例えば硫酸第二鉄、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、燐酸第二鉄等とアミノポリカルボン酸、アミノポリホスホン酸、ホスホノカルボン酸等のキレート剤とを用いて溶液中で第二鉄イオン錯塩を形成させてもよい。また、キレート剤を第二鉄イオン錯塩を形成する以上に過剰に用いてもよい。鉄錯体のなかでもアミノポリカルボン酸鉄錯体が好ましく、その添加量は0.01〜1.0モル/リットルが好ましく、より好ましくは0.05〜0.50モル/リットルである。
【0039】
漂白液あるいは漂白定着液には、漂白促進剤として種々の化合物を用いることができる。例えば、リサーチディスクロージヤー17129号(1978年7月号)に記載のメルカプト基またはジスルフイド結合を有する化合物や、チオ尿素系化合物、あるいは沃素、臭素イオン等のハロゲン化物が漂白力に優れる点で好ましい。
【0040】
その他、漂白液あるいは漂白定着液には、臭化物(例えば、臭化カリウム)または塩化物(例えば、塩化カリウム)または沃化物(例えば、沃化アンモニウム)等の再ハロゲン化剤を含むことができる。必要に応じ硼砂、メタ硼酸ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、グリコール酸等のpH緩衝能を有する一種類以上の無機酸、有機酸及びこれらのアルカリ金属またはアンモニウム塩または、硝酸アンモニウム、グアニジン等の腐蝕防止剤等を添加することができる。
【0041】
定着液あるいは漂白定着液に使用される定着剤は、公知の定着剤、即ちチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム等のチオ硫酸塩;チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウム等のチオシアン酸塩;エチレンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオール等のチオエーテル化合物及びチオ尿素類等の水溶性のハロゲン化銀溶解剤であり、これらを一種あるいは二種以上混合して使用することができる。本発明においては、チオ硫酸特にチオ硫酸アンモニウム塩の使用が好ましい。1リットル当たりの定着剤の量は、0.1〜5.0モルが好ましく、さらに好ましくは0.3〜2.0モルの範囲である。漂白定着液または定着液のpH領域は、3〜10が好ましく、さらには5〜9が特に好ましい。
【0042】
また、漂白液、定着液、漂白定着液には、その他各種の蛍光増白剤や消泡剤あるいは界面活性剤、ポリビニルピロリドン、メタノール等の有機溶媒を含有させることができる。
【0043】
漂白液、定着液、漂白定着液は、保恒剤として亜硫酸塩、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム等等の添加が一般的であるが、その他、アスコルビン酸や、カルボニル重亜硫酸付加物、あるいは、カルボニル化合物等を添加してもよい。
【0044】
さらには緩衝剤、蛍光増白剤、キレート剤、消泡剤、防カビ剤等を必要に応じて添加してもよい。また、漂白液、定着液、漂白定着液のアンモニウムカチオン濃度は作業性の点からは全カチオンに対して50mol%以下であること好ましいが、処理性の点からはアンモニウムカチオン濃度が50mol%以上であること好ましい。
【0045】
また、漂白定着工程に要する時間は90秒以下であることが好ましく、より好ましくは45秒以下である。ここでいう漂白定着工程に要する時間とは、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば後続するリンスまたは安定化液へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含むものとする。クロスオーバータイムは10秒以下が好ましく、より好ましくは5秒以下である。また。漂白定着液の温度は20〜70℃が好ましく、望ましくは25〜50℃である。また、漂白定着液の補充量は200ml/m2以下が好ましく、より好ましくは20〜100ml/m2である。
【0046】
漂白処理液の補充量は、200ml/m2以下が好ましく、より好ましくは50〜200ml/m2である。また、漂白工程の処理時間の合計は、15〜90秒であることが好ましい。ここでいう漂白工程に要する時間とは、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば後続するリンスまたは安定化液へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含むものとする。クロスオーバータイムは10秒以下が好ましく、より好ましくは5秒以下である。また、処理温度は25〜50℃であることが好ましい。定着処理液の補充量は、600ml/m2以下が好ましく、より好ましくは20〜500ml/m2である。また、定着工程の処理時間の合計は、15秒〜90秒であることが好ましい。ここでいう定着工程に要する時間とは、該工程が複数槽を有する場合は、第1槽に感光材料が浸漬してから最終槽を出るまでの時間を指し、1槽の場合は、例えば後続するリンスまたは安定化液へ感光材料が浸漬するまでの時間を指し、その間のクロスオーバータイムを含むものとする。クロスオーバータイムは10秒以下が好ましく、より好ましくは5秒以下である。また、処理温度は25〜50℃であることが好ましい。
【0047】
〔リンス、安定化液〕
次に、リンスまたは安定化工程及びそこで用いる処理液について説明する。
【0048】
安定化工程で用いるリンスまたは安定化液には、キレート剤(エチレンジアミン4酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等)、緩衝剤(炭酸カリウム、硼酸塩、酢酸塩、リン酸塩等)、防黴剤(ディアサイド702(米国ディアボーン社製)、p−クロロ−m−クレゾール、ベンゾイソチアゾリン−3−オン等)、蛍光増白剤(トリアジニルスチルベン系化合物等)、酸化防止剤(アスコルビン酸塩等)、水溶性金属塩(亜鉛塩、マグネシウム塩等)等、通常安定液に含有せしめる成分を適宜用いることができる。
【0049】
さらにリンスまたは安定化液には、液保存性の点からp−トルエンスルフィン酸、m−カルボキシベンゼンスルフィン酸等のアリ−ルスルフィン酸等を含有させてもよく、亜硫酸塩、重亜硫酸塩またはメタ重亜硫酸塩も含有させることが好ましい。亜硫酸イオンを放出するものであれば、有機物、無機物いかなるものでもよいが、好ましくは無機塩である。好ましい具体的化合物としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム等が挙げられる。これらの塩は安定液中に少なくとも1×10-3モル/L以上になるような量が添加されることが好ましく、さらに好ましくは5×10-3〜5×10-2モル/Lになるようなに添加されることである。
【0050】
安定化工程の好ましいpHは4〜10が好ましく、さらに好ましくは5〜8である。
【0051】
安定化工程の温度は、処理する感光材料の用途・特性等で種々設定し得るが、一般には15〜45℃が好ましく、より好ましくは20〜40℃である。時間は任意に設定できるが短い方が処理時間の低減の見地から望ましい。好ましくは5秒〜1分45秒、さらに好ましくは10秒〜1分であるが、安定化処理工程に要する時間が8〜26秒であることが好ましい。
【0052】
補充量は、少ない方がランニングコスト、排出量減、取扱い性等の観点で好ましい。
【0053】
具体的な好ましい補充量は、感光材料の単位面積当たり前浴からの持込み量の0.5〜50倍が好ましく、より好ましくは3〜40倍である。または感光材料1m2当たり1リットル以下が好ましく、より好ましくは500ml以下である。また補充は連続的に行っても間欠的に行ってもよい。
【0054】
本発明に係る処理方法においては、安定化液を用いた安定化工程の構成としては、1槽で構成されていても、あるいは2層以上で構成されていてもよいが、好ましくは2槽以上で構成された多段向流方式を用いることが好ましい。
【0055】
多段向流方式とは、複数に分割された安定化槽において、感光材料の搬送方向の下流から上流にかけて安定化液が多段の各分割安定化槽にオーバーフローしながら感光材料の搬送路に沿って流れ、安定化処理がなされる方式である。
【0056】
現像処理装置としては、処理槽に配置されたローラーに感光材料を挟んで搬送するローラートランスポートタイプであっても、ベルトに感光材料を固定して搬送するエンドレスベルト方式であってもよいが、本発明の目的効果をいかんなく発揮する観点から、シート状に断裁した感光材料を、ローラーに挟んで搬送するローラートランスポートタイプであ留ことが好ましい。
【0057】
また、処理槽としては、処理槽をスリット状に形成して、この処理槽に処理液を供給すると共に感光材料を搬送する方式や処理液を噴霧状にするスプレー方式、処理液を含浸させた担体との接触によるウエッブ方式、粘性処理液による方式等も用いることができる。大量に処理する場合には、自動現像機を用いてランニング処理されるのが通常だが、この際、補充液の補充量は少ない程好ましく、環境適性等より最も好ましい処理形態は、補充方法として錠剤の形態で処理剤を添加することであり、公開技法94−16935号に記載の方法が最も好ましい。
【0058】
〔感光材料〕
本発明に用いられる感光材料について述べる。
【0059】
本発明に用いられる感光材料は、支持体上に少なくとも一層の青感性ハロゲン化銀乳剤層、緑感性ハロゲン化銀乳剤層及び赤感性ハロゲン化銀乳剤層を有し、各ハロゲン化銀乳剤層に含まれるハロゲン化銀乳剤が塩化銀含有率90モル%以上のハロゲン化銀乳剤であることが特徴である。
【0060】
塩化銀含有率は90モル%以上であることが必要であり、93モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることがさらに好ましい。臭化銀含有率は、0.1〜10モル%であることが好ましく、0.5〜8モル%であることがより好ましく、2〜8モル%であることがさらに好ましい。沃化銀含有率は、0.0〜2モル%であることが好ましく、0.0〜1モル%であることがさらに好ましい。
【0061】
本発明においては、臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤も好ましく用いられ、この場合、高濃度に臭化銀を含有する部分は、ハロゲン化銀乳剤粒子にエピタキシー接合していても、いわゆるコア・シェル乳剤であってもよいし、完全な層を形成せず単に部分的に組成の異なる領域が存在するだけであってもよい。また、組成は連続的に変化してもよいし不連続に変化してもよいが、ハロゲン化銀粒子が最外シェルの少なくとも一部に臭化銀局在相を有することが好ましく、頂点近傍に臭化銀局在相を有することがさらに好ましい。
【0062】
本発明において臭化銀局在相とは、ハロゲン化銀粒子の平均臭化銀含有率の2倍以上の臭化銀含有率の臭化銀を含むハロゲン化銀相であり、ハロゲン化銀粒子の平均臭化銀含有率の3倍以上の臭化銀含有率の臭化銀を含むことが好ましく、5倍以上の臭化銀含有率臭化銀を含むことが好ましい。
【0063】
臭化銀局在相中には後記の8族金属化合物を含有することが好ましい。この場合用いられる8族金属化合物はイリジウム錯体であることが好ましい。
【0064】
本発明においては、粒子内部に少なくとも1つの沃化銀局在相を有するハロゲン化銀粒子も好ましく用いることができる。本発明において粒子内部とは、ハロゲン化銀粒子において粒子表面を除いたハロゲン化銀相をいう。本発明において沃化銀局在相とは、ハロゲン化銀粒子の平均沃化銀含有率の2倍以上の沃化銀含有率の沃化銀を含むハロゲン化銀相であり、ハロゲン化銀粒子の平均沃化銀含有率の3倍以上の沃化銀含有率の沃化銀を含むことが好ましく、5倍以上の沃化銀含有率の沃化銀を含むことが好ましい。本発明において上記沃化銀局在相の位置は粒子中心からハロゲン化銀体積で60%以上外側に存在することが好ましく、70%以上外側であることがさらに好ましく、80%以上外側であることが最も好ましい。
【0065】
上記沃化銀局在相における好ましい形態の一つは、ハロゲン化銀粒子内部において該沃化銀局在相が層状に存在する(以下沃化銀局在層ともいう)ことであり、該沃化銀局在層を2層以上導入することも好ましく、その場合は、主層を上記の条件で導入し最大ヨウ化物濃度未満である層(以下副層)の少なくとも一つを主層よりもさらに粒子表面近くに導入することが好ましい。主層及び副層のヨウ化物濃度は目的に応じて任意に選択することができる。潜像安定性の観点からは、主層は可能な限り高濃度が好ましく、副層は主層よりも低濃度であることが好ましい。本発明において、沃化銀局在相の他の好ましい形態はハロゲン化銀粒子の頂点近傍や稜線近傍に該沃化銀局在相が存在することであり、上記沃化銀局在層と併用することも好ましい。
【0066】
本発明におけるハロゲン化銀乳剤が、臭化銀及び/または沃化銀を含有する場合においては、ハロゲン化銀粒子の臭化銀含有率及び/または沃化銀含有率の粒子間変動係数がそれぞれ30%未満であることが好ましく、20%未満であることがより好ましい。なお臭化銀含有率の粒子間変動係数の下限は0.01%である。
【0067】
ハロゲン化銀粒子の上記臭化銀含有率及び沃化銀含有率は、EPMA法(Electron Probe Micro Analyzer法)により求めることができる。具体的には、ハロゲン化銀粒子を互いに接触しないようによく分散させた試料を作製し、液体窒素で−100℃以下に冷却しながら電子ビームを照射し、個々のハロゲン化銀粒子から放射される銀、臭素及び沃素の特性X線強度を求めることにより、個々のハロゲン化銀粒子の臭化銀含有率及び沃化銀含有率が決定できる。
【0068】
上記方法により、個々のハロゲン化銀粒子について求めたハロゲン化銀粒子の臭化銀含有率及び沃化銀含有率を300個以上のハロゲン化銀粒子について求め、平均したものをそれぞれ平均臭化銀含有率及び沃化銀含有率とし、ハロゲン化銀粒子の臭化銀含有率及び沃化銀含有率の粒子間変動係数は、下記計算式により求めるものとする。
【0069】
臭化銀含有率の粒子間変動係数=(ハロゲン化銀粒子の臭化銀含有率の標準偏差)/(平均臭化銀含有率)×100(%)
沃化銀含有率の粒子間変動係数=(ハロゲン化銀粒子の沃化銀含有率の標準偏差)/(平均沃化銀含有率)×100(%)
本発明においては、粒子内部に転位線を有するハロゲン化銀粒子を用いることも好ましい。
【0070】
本発明において、ハロゲン化銀粒子に臭化銀あるいは沃化銀を含有させるには、種々の臭化物あるいは沃化物を使用することができる。例えば、臭化カリウム水溶液や沃化カリウムのような臭化物塩や沃化物塩の水溶液を用いる方法、特開平2−68538号等に開示されている臭化銀や沃化銀を含むハロゲン化銀微粒子あるいはハロゲン化物イオン放出剤を用いる方法等を任意に用いることができる。本発明におけるハロゲン化銀粒子中の沃化銀含有率や臭化銀含有率及び沃化銀局在相や臭化銀局在層あるいは転位線の導入等は、これら添加物の濃度及び量等で任意に調整することができる。
【0071】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤を得るには、重金属イオンを含有させるのが有利である。このような目的に用いることのできる重金属イオンとしては、鉄、イリジウム、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト等の第8〜10族金属や、カドミウム、亜鉛、水銀等の第12族遷移金属や、鉛、レニウム、モリブデン、タングステン、ガリウム、クロムの各イオンを挙げることができる。
【0072】
本発明においては、ハロゲン化銀粒子が8族金属錯体を1種類以上含有することが好ましく、水配位子及び/または有機配位子を1つ以上有する8族金属錯体錯体の1種類以上を含有することがさらに好ましい。
【0073】
本発明において用いられる8族金属錯体は、鉄、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト、白金の金属錯体であることが好ましい。金属錯体は、6配位錯体、5配位錯体、4配位錯体、2配位錯体等を用いることができるが、6配位錯体、4配位錯体が好ましい。上記水配位子及び/または有機配位子を1つ以上有する8族金属錯体はイリジウムの金属錯体であることがより好ましい。
【0074】
8族金属錯体を構成する配位子は、カルボニル配位子、フルミネート配位子、チオシアネート配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子、シアノ配位子、水配位子、ハロゲン配位子、あるいはアンモニア、水酸化物、亜硝酸、亜硫酸、過酸化物の配位子及び有機配位子等、任意のものを用いることができるが、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子、シアノ配位子、水配位子、ハロゲン配位子及び有機配位子から選ばれる1つ以上の配位子を含有することが好ましい。
【0075】
有機配位子とは、1つ以上のH−C、C−CあるいはC−N−H結合を含み、金属イオンに配位可能な化合物をいう。本発明に用いられる有機配位子は、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピラン、ピリダジン、イミダゾール、チアゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ピラゾール、フラン、フラザン、オキサゾール、イソオキサゾール、チオフェン、フェナントロリン、ビピリジン、エチレンジアミンから選ばれる化合物、イオン、あるいはこれらの化合物に置換基を導入した化合物であることが好ましい。
【0076】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤においては、下記一般式(A)で表される8族金属錯体も好ましく用いることができる。
【0077】
一般式(A) Rn[MXm6-m
式中、Mは周期表8族元素から選択される金属を表し、鉄、コバルト、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、白金であり、鉄、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウムであることがより好ましい。Rはアルカリ金属を表し好ましくはセシウム、ナトリウムまたはカリウムである。mは0〜6、nは0〜4の整数を表す。X及びYは配位子を表し、カルボニル配位子、フルミネート配位子、チオシアネート配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子、シアノ配位子、ハロゲン配位子、あるいはアンモニア、水酸化物、亜硝酸、亜硫酸、過酸化物の配位子を表す。
【0078】
これらの金属イオンは、塩や、錯塩の形でハロゲン化銀乳剤に添加することができる。金属イオンが錯体を形成する場合、カウンターカチオンはカリウムイオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン等、任意のものを用いることができる。また、金属錯体が陽イオンである場合に、対陰イオンとして、硝酸イオン、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン等、当業界で公知のものを用いることができる。
【0079】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤に重金属イオンを含有させるためには、重金属化合物をハロゲン化銀粒子の形成前、ハロゲン化銀粒子の形成中、ハロゲン化銀粒子の形成後の物理熟成中の各工程の任意の場所で添加すればよい。前述の条件を満たすハロゲン化銀乳剤を得るには、重金属化合物をハロゲン化物塩と一緒に溶解して粒子形成工程の全体或いは一部にわたって連続的に添加することができる。
【0080】
前記重金属イオンをハロゲン化銀乳剤中に添加するときの量はハロゲン化銀1モル当り1×10-9〜1×10-2モルが好ましく、1×10-8〜5×10-5モルがより好ましい。
【0081】
本発明に係るハロゲン化銀粒子の形状は任意のものを用いることができるが、好ましい一つの例は、(100)面を結晶表面として有する立方体である。また、米国特許第4,183,756号、同第4,225,666号、特開昭55−26589号、特公昭55−42737号や、ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィック・サイエンス(J.Photogr.Sci.)21巻,39頁(1973年)等の文献に記載された方法等により、八面体、十四面体、二十四面体、十二面体等の形状を有する粒子を作り、これを用いることもできる。さらに、正常晶以外の双晶面を有する粒子や平板状粒子を用いてもよい。
【0082】
本発明に係るハロゲン化銀粒子は、単一の形状からなる粒子が好ましく用いられるが、単分散のハロゲン化銀乳剤を二種以上同一層に添加することもできる。
【0083】
本発明に係るハロゲン化銀粒子の粒径は、特に制限はないが、迅速処理性及び感度等、他の写真性能等を考慮すると好ましくは0.1〜5.0μm、さらに好ましくは0.2〜3.0μmの範囲である。特に立方体粒子を用いる場合は、好ましくは、0.1〜1.2μm、さらに好ましくは、0.15〜1.0μmの範囲である。
【0084】
本発明に係るハロゲン化銀粒子の粒径の分布は、好ましくは変動係数が0.22以下、さらに好ましくは0.15以下、より好ましくは0.10以下の単分散ハロゲン化銀粒子である。ここで変動係数は、粒径分布の広さを表す係数であり、次式によって定義される。
【0085】
変動係数=S/R
式中、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。
【0086】
ここでいう粒径とは、球状のハロゲン化銀粒子の場合はその直径、また、立方体や球状以外の形状の粒子の場合は、その投影像を同面積の円像に換算したときの直径を表す。
【0087】
ハロゲン化銀乳剤の調製装置、方法としては、当業界において公知の種々の方法を用いることができる。
【0088】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、酸性法、中性法、アンモニア法の何れで得られたものであってもよい。該粒子は一時に成長させたものであってもよいし、種粒子を作った後で成長させてもよい。種粒子を作る方法と成長させる方法は同じであっても、異なってもよい。
【0089】
また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物塩を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合法、それらの組合せ等、いずれでもよいが、同時混合法で得られたものが好ましい。さらに同時混合法の一形式として特開昭54−48521号等に記載されているpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
【0090】
また、特開昭57−92523号、同57−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を供給する装置、ドイツ公開特許第2,921,164号等に記載された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を連続的に濃度変化して添加する装置、特公昭56−501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行なう装置等を用いてもよい。
【0091】
さらに必要で有ればチオエーテル等のハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。また、メルカプト基を有する化合物、含窒素ヘテロ環化合物または増感色素のような化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、または、粒子形成終了の後に添加して用いてもよい。
【0092】
本発明に係るハロゲン化銀写真乳剤は、粒子形成後に脱塩を行うことが好ましい。脱塩は、例えば、リサーチ・ディスクロージャー誌17643号II項の方法により行うことができる。さらに詳しくは、沈殿生成物あるいは物理熟成後の乳剤から不要な可溶性塩類を除去するためには、ゼラチンをゲル化させて行うヌーデル水洗法を用いてもよく、また無機塩類、アニオン性界面活性剤、アニオン性ポリマー(例えば、ポリスチレンスルホン酸)を用いることができるが、ゼラチン誘導体及び化学修飾ゼラチン(例えば、アシル化ゼラチン、カルバモイル化ゼラチン)を利用した沈殿法または、膜分離を利用した限外濾過脱塩であることが好ましい。
【0093】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤の製造において用いられる分散媒は、ハロゲン化銀粒子に対する保護コロイド性を有する化合物を任意に用いることができる。本発明で好ましく用いることができる分散媒には、ゼラチンや親水性コロイド等があり、ゼラチンとしては、通常分子量10万程度のアルカリ処理ゼラチンや酸処理ゼラチン、或いは酸化処理したゼラチンや酵素処理ゼラチン等を好ましく用いることができる。ハロゲン化銀粒子の核生成時のゼラチンの平均分子量は1万〜7万であることがが好ましく、1万〜5万であることがさらに好ましい。また、核生成時にメチオニン含有量が少ないゼラチンを用いることも好ましく、分散媒単位質量(グラム)当たりのメチオニン含有量としては50μモル以下が好ましく、20μモル以下がより好ましい。親水性コロイドとしては、例えば、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼインのような蛋白質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル類の如きセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体のような糖誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾールのような単一あるいは共重合体の如き多種の合成親水性高分子物質等を用いることができる。
【0094】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、金化合物を用いる増感法、カルコゲン増感剤を用いる増感法を組み合わせて用いることができる。
【0095】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤に適用するカルコゲン増感剤としては、イオウ増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤等を用いることができるが、イオウ増感剤及び/またはセレン増感剤が好ましい。
【0096】
イオウ増感剤としては、1,3−ジフェニルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、1−エチル−3−(2−チアゾリル)チオ尿素等のチオ尿素誘導体、ローダニン誘導体、ジチカルバミン酸類、ポリスルフィド有機化合物、チオ硫酸塩、硫黄単体等が好ましい。なお、硫黄単体としては、斜方晶系に属するα−硫黄が好ましい。その他、米国特許第1,574,944号、同第2,410,689号、同第2,278,947号、同第2,728,668号、同第3,501,313号、同第3,656,955号等の各明細書、西独出願公開(OLS)1,422,869号、特開昭56−24937号、同55−45016号等に記載されている硫黄増感剤を用いることができる。
【0097】
セレン増感剤としては、特に水溶液中で硝酸銀と反応して銀セレニドの沈殿を形成しうる不安定セレン化合物が好ましく用いられる。例えば、米国特許第1,574,944号、同第1,602,592号、同第1,623,499号、特開昭60−150046号、特開平4−25832号、同4−109240号、同4−147250号等に記載されている。有用なセレン増感剤としては、コロイドセレン金属、イソセレノシアネート類(例えば、アリルイソセレノシアネート等)、セレノ尿素類(例えば、N,N−ジメチルセレノ尿素、N,N,N′−トリエチルセレノ尿素、N,N,N′−トリメチル−N′−ヘプタフルオロセレノ尿素、N,N,N′−トリメチル−N′−ヘプタフルオロプロピルカルボニルセレノ尿素、N,N,N′−トリメチル−N′−4−ニトロフェニルカルボニルセレノ尿素等)、セレノケトン類(例えば、セレノアセトン、セレノアセトフェノン等)、セレノアミド(例えば、セレノアセトアミド、N,N−ジメチルセレノベンズアミド等)、セレノカルボン酸類及びセレノエステル類(例えば、2−セレノプロピオン酸、メチル−3−セレノブチレート等)、セレノフォスフェート類(例えば、トリ−p−トリセレノフォスフェート等)、セレニド類(例えば、ジメチルセレニド、トリフェニルフォスフィンセレニド、ペンタフルオロフェニル−ジフェニルフォスフィンセレニド、トリフリルフォスフィンセレニド、トリピリジルフォスフィンセレニド等)が挙げられる。特に好ましいセレン増感剤はセレノ尿素、セレノアミド類、セレニド類である。
【0098】
本発明において、さらにリサーチ・ディスクロージャー誌307巻307105号等に記載されている金、白金、パラジウム、イリジウム等の貴金属塩を用いることが好ましく、中でも特に金増感剤を併用することが好ましい。有用な金増感剤としては、塩化金酸、チオ硫酸金、チオシアン酸金等の他に、米国特許第2,597,856号、同第5,049,485号、特公昭44−15748号、特開平1−147537号、同4−70650号等に開示されている有機金化合物、あるいは硫化金、硫化金銀等が挙げられる。また金錯塩を用いた増感法を行う場合には、補助剤として、チオ硫酸塩、チオシアン酸塩、チオエーテル等の金のリガンドを併用することが好ましく、特に、チオシアン酸塩を用いるのが好ましい。
【0099】
本発明に係る上記各種の化学増感剤や後記抑制剤、酸化剤等においては、特開2001−318443号、同2003−29472号、同2004−37554号、同2004−4144号、同2004−4446号、同2004−4452号、同2004−4456号、同2004−4458号、同2004−4656号、同2004−4672号、同2003−307803号、同2003−287841号、同2003−287842号、同2003−233146号、同2003−172990号、同2003−172991号、同2003−113193号、同2003−113194号、同2003−114489号、同2002−372765号、同2002−296721号、同2002−278011号、同2002−268169号、同2002−244241号、同2002−250982号、同2002−258427号、同2002−268168号、同2002−268170号、同2000−193942号、同2001−75214号、同2001−75215号、同2001−75216号、同2001−75217号、同2001−75218号、同2001−100352号、同2004−70363号、同2004−67695号、同2002−131858号、同2001−166412号等の公報、欧州特許第1,094,360号明細書、同第1,388,752号明細書、米国特許第6,686,143号明細書、同第6,322,961号明細書等に記載の化合物及びその使用技術も好ましく用いることができる。
【0100】
上記カルコゲン増感剤及び金増感剤の添加量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、使用する化合物の種類、熟成条件によって一様ではないが、通常はハロゲン化銀1モル当たり1×10-9〜1×10-5モルであることが好ましい。さらに好ましくは1×10-8モル〜1×10-4モルである。前記の各種増感剤の添加方法は、用いる増感剤の性質に応じて、水またはメタノール等の有機溶媒の単独または混合溶媒に溶解して添加する方法でも、あるいはゼラチン溶液と予め混合して添加する方法でも、特開平4−140739号に開示されている方法、すなわち有機溶媒可溶性の重合体との混合溶液の乳化分散物の形態で添加する方法でもよい。
【0101】
本発明においては、還元増感法を用いてもよく、リサーチ・ディスクロージャー誌307巻307105号や特開平7−78685号等に記載されている還元性化合物を用いることもできる。
【0102】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤には、感光材料の調製工程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的で公知のカブリ防止剤、酸化剤、抑制剤、安定剤等を用いることができる。こうした目的に用いることのできる好ましい化合物の例として、特開平2−146036号公報7ページ下欄に記載された一般式(II)で表される化合物を挙げることができ、さらに好ましい具体的な化合物としては、同公報の8ページに記載の(IIa−1)〜(IIa−8)、(IIb−1)〜(IIb−7)の化合物や、1−(3−メトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール等の化合物、特開平8−6201記載の一般式(S)化合物、チオスルフォン酸化合物、ジスルフィド化合物、ポリスルフィド化合物等が好ましく、特開2004−240182、同2004−226434、同2004−145202等に記載の化合物を好ましく用いることができる。
【0103】
これらの化合物は、その目的に応じて、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製工程、化学増感工程、化学増感工程の終了時、塗布液調製工程等の工程で添加される。これらの化合物の好ましい添加量は、ハロゲン化銀1モル当り1×10-8〜1×10-1モル、さらに好ましくは1×10-7〜1×10-2モルである。これら化合物の添加には、当業界で写真乳剤あるいは塗布液、調製液等に添加剤を加える場合に通常用いられる方法を適用できる。例えば、水溶性の化合物である場合は、適当な濃度の水溶液とし、水に不溶または難溶性の化合物の場合は、水と混合しうる任意の有機溶媒、例えば、アルコール類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類等の写真特性に悪影響を与えない溶媒に溶解し、溶液として添加することができる。
【0104】
本発明に係る感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることができるが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−252840号公報30頁に記載のAI−1〜11の染料及び特開平6−37706号公報記載の染料が好ましく用いられ、赤外線吸収染料としては、特開平1−280750号公報2頁左下欄に記載の一般式(I)、(II)、(III)で表される化合物が好ましい分光特性を有し、ハロゲン化銀写真乳剤の写真特性への影響もなく、また残色による汚染もなく好ましい。好ましい化合物の具体例として、同公報3頁左下欄〜5頁左下欄に挙げられた例示化合物(1)〜(45)を挙げることができる。
【0105】
これらの染料を添加する量として、鮮鋭性を改良する目的には感光材料の未処理試料の680nmにおける分光反射濃度が0.7〜3.0にする量が好ましくさらには0.8〜3.0にすることがより好ましい。
【0106】
本発明に係る感光材料中に、蛍光増白剤を添加することが白地性を改良でき好ましい。好ましく用いられる化合物としては、特開平2−232652号公報記載の一般式(II)で示される化合物が挙げられる。
【0107】
本発明に係る感光材料には、イエローカプラー、マゼンタカプラー、シアンカプラーに組み合わせて400〜900nmの波長域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む層を有する。ハロゲン化銀乳剤は一種または、二種以上の増感色素を組み合わせて含有する。
【0108】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤に用いる分光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いることができるが、青感光性増感色素としては、特開平3−251840号公報28頁に記載のBS−1〜BS−8を単独でまたは組み合わせて好ましく用いることができる。緑感光性増感色素としては、同公報28頁に記載のGS−1〜GS−5が好ましく用いられる。赤感光性増感色素としては同公報29頁に記載のRS−1〜RS−8が好ましく用いられる。また、半導体レーザを用いる等して赤外光により画像露光を行う場合には、赤外感光性増感色素を用いる必要があるが、赤外感光性増感色素としては、特開平4−285950号公報6〜8頁に記載のIRS−1〜IRS11の色素が好ましく用いられる。また、これらの赤外、赤、緑、青感光性増感色素に特開平4−285950号公報8〜9頁に記載の強色増感剤SS−1〜SS−9や特開平5−66515号公報15〜17頁に記載の化合物S−1〜S−17を組み合わせて用いるのが好ましい。
【0109】
これらの増感色素の添加時期としては、ハロゲン化銀粒子形成から塗布液調製までの任意の時期でよい。
【0110】
増感色素の添加方法としては、メタノール、エタノール、フッ素化アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水混和性有機溶媒や水に溶解して溶液として添加してもよいし、固体分散物として添加してもよい。
【0111】
本発明に係る感光材料に用いられるカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得る如何なる化合物をも用いることができるが、特に代表的なカプラーとしては、波長域350〜500nmに分光吸収極大波長を有するイエロー色素形成カプラー、波長域500〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタ色素形成カプラー、波長域600〜750nmに分光吸収極大波長を有するシアン色素形成カプラーとして知られているものが挙げられる。
【0112】
本発明に係る感光材料に好ましく用いることのできるシアン色素形成カプラーとしては、特開平4−114154号公報5頁左下欄に記載の一般式(C−I)、(C−II)で表されるカプラーを挙げることができる。具体的な化合物は、同公報5頁右下欄〜6頁左下欄にCC−1〜CC−9として記載されているものを挙げることができる。
【0113】
本発明に係る感光材料に好ましく用いることのできるマゼンタ色素形成カプラーとしては、特開平4−114154号公報4頁右上欄に記載の一般式(M−I)、(M−II)で表されるカプラーを挙げることができる。具体的な化合物は、同公報4頁左下欄〜5頁右上欄にMC−1〜MC−11として記載されているものを挙げることができる。上記マゼンタ色素形成カプラーの内より好ましいのは、同号公報4頁右上欄に記載の一般式(M−I)で表されるカプラーであり、その内、上記一般式(M−I)のRMが3級アルキル基であるカプラーが耐光性に優れ特に好ましい。同公報5頁上欄に記載されている MC−8〜MC−11は青から紫、赤に到る色の再現に優れ、さらにディテールの描写力にも優れており好ましい。
【0114】
上記一般式(M−I)で表される好ましいカプラーの例としては、特開昭63−253943号公報の5〜9頁に記載の例示化合物1〜64、特開平2−100048号公報の5頁〜6頁に記載の例示化合物M−1〜M−29、特開平7−175186号公報の5頁〜12頁に記載の例示化合物(1)〜(36)、特開平7−219170号公報の14頁〜22頁に記載の例示化合物M−1〜M−33、特開平8−304972号公報の5頁〜9頁に記載の例示化合物M−1〜M−16、特開平10−207024号公報の5頁〜10頁に記載の例示化合物M−1〜M−26、特開平10−207025号公報の5頁〜22頁に記載の例示化合物M−1〜M−36、米国特許第5,576,150号明細書の3頁〜6頁に記載の例示化合物M−1〜M−24、米国特許第5,609,996号明細書の3頁〜9頁に記載の例示化合物M−1〜M−48、米国特許第5,667,952号明細書の3頁〜5頁に記載の例示化合物M−1〜M−23、米国特許第5,698,386号明細書の3頁〜6頁に記載の例示化合物M−1〜M−26等を挙げることができる。
【0115】
好ましく用いることのできるイエロー色素形成カプラーとしては、特開平4−114154号公報3頁右上欄に記載の一般式(Y−I)で表されるカプラーを挙げることができる。具体的な化合物は、同公報3頁左下欄以降にYC−1〜YC−9として記載されているものを挙げることができる。中でも一般式[Y−1]のRY1がアルコキシ基であるカプラー、または特開平6−67388号公報記載の一般式[I]で示されるカプラーは好ましい色調の黄色を再現でき好ましい。このうち特に好ましい化合物例として特開平4−114154号公報明細書4頁左上欄に記載されているYC−8、YC−9及び特開平6−67388号公報13〜14頁に記載のNo(1)〜(47)で示される化合物を挙げることができる。さらに最も好ましい化合物は特開平4−81847号公報明細書1頁及び11〜17頁に記載の一般式[Y−1]で示される化合物である。
【0116】
本発明に係る感光材料に用いられるカプラーやその他の有機化合物を添加するのに水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液等の親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または分散と同時に、低沸点有機溶媒を除去する工程を入れてもよい。
【0117】
カプラーを溶解して分散するために用いることのできる高沸点有機溶媒としては、ジオクチルフタレート、ジ−i−デシルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等の燐酸エステル類、が好ましく用いられる。また高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0であることが好ましい。また2種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
【0118】
また、高沸点有機溶媒を用いる方法に代えて、または高沸点有機溶媒と併用して、水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマー化合物を、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒に溶解し、ゼラチン水溶液等の親水性バインダー中に界面活性剤を用いて種々の分散手段により乳化分散する方法をとることもできる。この時用いられる水不溶性で有機溶媒可溶性のポリマーとしては、ポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)等を挙げることができる。
【0119】
写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には特開昭64−26854号公報記載のA−1〜A−11が挙げられる。またアルキル基にフッ素原子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。これらの分散液は、通常、ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に添加されるが、分散後塗布液に添加される迄の時間、及び塗布液に添加後塗布迄の時間は短い方がよく各々10時間以内が好ましく、3時間以内、20分以内がより好ましい。
【0120】
上記各カプラーには、形成された色素画像の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤を併用することが好ましい。特に好ましい化合物としては、特開平2−66541号公報明細書3頁記載の一般式[I]及び[II]で示されるフェニルエーテル系化合物、特開平3−1741503号公報記載の一般式[IIIB]で示されるフェノール系化合物、特開平64−90445号公報記載の一般式[A]で示されるアミン系化合物、特開昭62−182741号公報記載の一般式[XII]、[XIII]、[XIV]、[XV]で示される金属錯体が特にマゼンタ色素用として好ましい。また、特開平1−196049号公報記載の一般式[I]で示される化合物及び特開平5−11417号公報記載の一般式[II]で示される化合物が特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
【0121】
発色色素の吸収波長をシフトさせる目的で、特開平4−114154号公報9頁左下欄に記載の化合物(d−11)、同10頁左下欄に記載の化合物(A′−1)等の化合物を用いることができる。また、これ以外にも米国特許第4,774,187号明細書に記載の蛍光色素放出化合物を用いることもできる。
【0122】
本発明に係る感光材料には、現像主薬酸化体と反応する化合物を感光層と感光層の間の層に添加して色濁りを防止したりまたハロゲン化銀乳剤層に添加してカブリ等を改良することが好ましい。このための化合物としてはハイドロキノン誘導体が好ましく、さらに好ましくは2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は特開平4−133056号公報記載の一般式[II]で示される化合物であり、同号13〜14頁に記載の化合物II−1〜II−14及び17頁記載の化合物−1が挙げられる。
【0123】
本発明に係る感光材料には、紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり、色素画像の耐光性を改良することが好ましい。好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物として特開平1−250944号公報記載の一般式[III−3]で示される化合物、特開昭64−66646号公報記載の一般式[III]で示される化合物、特開昭63−187240号公報記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号公報記載の一般式[I]で示される化合物、特開平5−165144号公報記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
【0124】
本発明に係る感光材料のハロゲン化銀乳剤層、あるいは中間層や保護層等の非感光性層に用いられる親水性バインダーは、その優れた性質からほとんどゼラチンからなっているが、必要に応じて、フタル化ゼラチンの如きゼラチン誘導体、アクリル系ポリマー等の他の高分子がゼラチンと結合し分散されているゼラチングラフトポリマー、カゼインの如きゼラチン以外のタンパク質、ポリサッカライドのごとき糖誘導体、ヒドロキシエチルセルロースの如きセルロース誘導体、ビニルピロリドン、アクリル酸及びその塩、メタクリル酸及びその塩、ビニルスルホン酸及びそれらの塩、スルホプロピルアクリレート及びその塩、ジエチルアミノエチルメタクリレートの塩酸塩等単一あるいは共重合体の親水性合成高分子物質等の親水性コロイドをゼラチンと併せて用いることができる。
【0125】
本発明の感光材料に用いられるゼラチンは石灰処理ゼラチンであっても、酸処理ゼラチンであってもよく、また牛骨、牛皮、豚皮等のいずれを原料として製造されたゼラチンでもよいが、好ましくは牛骨、豚皮を原料とした石灰処理あるいは酸処理ゼラチンである。ゼラチン中のカルシウム含有量は100ppm以下が好ましく、50ppm以下がより好ましく、30ppm以下がさらに好ましい。また、ゼラチン中の亜鉛、銅、マンガン、鉄等の重金属の含有量は10ppm以下が好ましく、5ppm以下がより好ましく、3ppm以下がさらに好ましい。
【0126】
本発明に係る感光材料においては、ハロゲン化銀乳剤層側に設けられる全層の親水性バインダー量は6.8g/m2以下が好ましく、総塗設ゼラチン量は3〜6g/m2であることが好ましく、3〜5g/m2であることがさらに好ましい。また、超迅速処理した場合でも、現像進行性、及び定着漂白性、残色を満足するために、構成層全体の膜厚が3〜7.5μmであることが好ましく、さらに3〜6.5μmであることが好ましい。乾燥膜厚の評価方法は、乾燥膜剥離前後の膜厚の変化、あるいは断面の光学顕微鏡や電子顕微鏡での観察により測定することができる。本発明において、現像進行性と乾燥速度を上げることを両立するために、膨潤膜厚が8〜19μmであることが好ましく、さらに9〜18μmであることが好ましい。膨潤膜厚の測定としては、35℃の水溶液中に乾燥した感光材料を浸し、膨潤して十分平衡に達した状態で打点方法にて測定することができる。本発明における塗布銀量は0.3〜0.6g/m2である。
【0127】
これらバインダーの硬膜剤としては、ビニルスルホン型硬膜剤、クロロトリアジン型硬膜剤、カルボキシル基活性型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましい。特開昭61−249054号、同61−245153号記載の化合物を使用することが好ましい。また、写真性能や画像保存性に悪影響する黴や細菌の繁殖を防ぐため、コロイド層中に特開平3−157646号記載のような防腐剤及び抗黴剤を添加することが好ましい。
【0128】
また感光材料または処理後の試料の表面の物性を改良するため、保護層に特開平6−118543号公報や特開平2−73250号公報に記載の滑り剤やマット剤を添加することが好ましい。また感光材料の皮膜pHは4.0〜7.0が好ましく、4.0〜6.5がより好ましい。
【0129】
本発明に係る感光材料においては、青感性ハロゲン化銀乳剤層、緑感性ハロゲン化銀乳剤層及び赤感性ハロゲン化銀乳剤層をそれぞれ少なくとも1層有していればよいが、必要に応じて複数のハロゲン化銀乳剤層でユニットを形成してもよい。
【0130】
本発明に係る感光材料に用いる反射支持体としては、どのような材質を用いてもよく、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートで被覆した紙、天然パルプや合成パルプからなる紙支持体、塩化ビニルシート、白色顔料を含有してもよいポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート支持体、バライタ紙等を用いることができる。なかでも、原紙の両面に耐水性樹脂被覆層を有する反射支持体が好ましい。耐水性樹脂としてはポリエチレンやポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリマーが好ましい。
【0131】
反射支持体に用いられる白色顔料としては、無機及び/または有機の白色顔料を用いることができ、好ましくは無機の白色顔料が用いられる。例えば硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等があげられる。白色顔料は好ましくは硫酸バリウム、酸化チタンである。
【0132】
反射支持体の表面の耐水性樹脂層中に含有される白色顔料の量は、鮮鋭性を改良する上で13質量%以上が好ましく、さらには15質量%が好ましい。
【0133】
本発明に係る紙支持体の耐水性樹脂層中の白色顔料の分散度は、特開平2−28640号公報に記載の方法で測定することができる。この方法で測定したときに、白色顔料の分散度が前記公報に記載の変動係数として0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。
【0134】
また反射支持体の中心面平均粗さ(SRa)の値が0.15μm以下、さらには0.12μm以下である方が光沢性がよいという効果が得られより好ましい。また反射支持体の白色顔料含有耐水性樹脂中や塗布された親水性コロイド層中に処理後の白地部の分光反射濃度バランスを調整し白色性を改良するため群青、油溶性染料等の微量の青味付剤や赤味付剤を添加することが好ましい。
【0135】
本発明に係る感光材料は、必要に応じて支持体表面にコロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施した後、直接または下塗層(支持体表面の接着性、帯電防止性、寸度安定性、耐摩擦性、硬さ、ハレーション防止性、摩擦特性及び/またはその他の特性を向上するための1または2以上の下塗層)を介して塗布されていてもよい。
【0136】
ハロゲン化銀乳剤を用いた感光材料の塗布に際して、塗布性を向上させるために増粘剤を用いてもよい。塗布法としては2種以上の層を同時に塗布することのできるエクストルージョンコーティング及びカーテンコーティングが特に有用である。塗布装置としては、スライドコーター、カーテンコーターあるいは押し出しコーター等を用いることができる。
【実施例】
【0137】
本発明を実施例に基づき説明するが、本発明の実施態様はこれに限定されない。なお、特に断りない限り、実施例中の「%」は「質量%」を表す。
【0138】
実施例1
〔感光材料の作製〕
(ハロゲン化銀乳剤(B−1)の調製)
40℃に保温した両イオン交換処理オセインゼラチン(カルシウム含有量10ppm)2%ゼラチン水溶液1.5リットルを、特開昭62−160128号に記載の混合撹拌装置を用いて激しく撹拌しながら、ダブルジェット法を用いて、下記(A1液)及び(B1液)を、pAg=7.3、pH=3.0に制御しつつ17分かけて同時添加した。続いて、下記(A2液)及び(B2液)を、pAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ90分かけて同時添加した。さらに、下記(A3液)及び(B3液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ15分かけて同時添加した。この時、pAgの制御は特開昭59−45437号に記載の方法により行い、これらpHの制御及び調整は硫酸または水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。
【0139】
(A1液)
塩化ナトリウム 3.42g
臭化カリウム 0.021g
水を加えて200mlに仕上げた。
【0140】
(A2液)
塩化ナトリウム 72.0g
2[IrCl6] 4.8×10-9モル/モルAgX
2[IrBr6] 3.2×10-9モル/モルAgX
2[IrCl5(H2O)] 2.9×10-7モル/モルAgX
2[IrCl5(チアゾール)] 1.6×10-8モル/モルAgX
4Fe(CN)6 8.0×10-6モル/モルAgX
臭化カリウム 0.44g
水を加えて420mlに仕上げた。
【0141】
(A3液)
塩化ナトリウム 30.7g
臭化カリウム 0.63g
水を加えて180mlに仕上げた。
【0142】
(B1液)
硝酸銀 10g
水を加えて200mlに仕上げた。
【0143】
(B2液)
硝酸銀 210g
水を加えて420mlに仕上げた。
【0144】
(B3液)
硝酸銀 90g
水を加えて180mlに仕上げた。
【0145】
添加終了後、特開平5−72658号に記載の方法を用いアミノ基をフェニルカルバモイル化した化学修飾ゼラチン(修飾率95%)30gを含む15%水溶液を添加して脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して、平均粒径0.59μmのハロゲン化銀乳剤(B−1)を調製した。
【0146】
(ハロゲン化銀乳剤(BB−1)の調製)
前記ハロゲン化銀乳剤(B−1)の調製において、(A2液)中のK2[IrCl6]、K2[IrBr6]、K2[IrCl5(H2O)]、K2[IrCl5(チアゾール)]及びK4Fe(CN)6の量を、各々2.5倍に変更し、かつ(A1液)、(A2液)、(A3液)、(B1液)、(B2液)、(B3液)の添加時間を適宜変更した以外は同様にして、平均粒径が0.55μmのハロゲン化銀乳剤(BB−1)を調製した。
【0147】
(ハロゲン化銀乳剤(G−1)の調製)
前記ハロゲン化銀乳剤(B−1)の調製において、(A2液)中のK2[IrCl6]、K2[IrBr6]、K2[IrCl5(H2O)]、K2[IrCl5(チアゾール)]及びK4Fe(CN)6の量を、各々2.0倍に変更し、かつ(A1液)、(A2液)、(A3液)、(B1液)、(B2液)、(B3液)の添加時間を適宜変更した以外は同様にして、平均粒径が0.55μmのハロゲン化銀乳剤(G−1)を調製した。
【0148】
(ハロゲン化銀乳剤(GG−1)の調製)
前記ハロゲン化銀乳剤(B−1)の調製において、(A2液)中のK2[IrCl6]、K2[IrBr6]、K2[IrCl5(H2O)]、K2[IrCl5(チアゾール)]及びK4Fe(CN)6の量を、各々3.8倍に変更し、かつ(A1液)、(A2液)、(A3液)、(B1液)、(B2液)、(B3液)の添加時間を適宜変更した以外は同様にして、平均粒径が0.43μmのハロゲン化銀乳剤(GG−1)を調製した。
【0149】
(ハロゲン化銀乳剤(R−1)の調製)
前記ハロゲン化銀乳剤(B−1)の調製において、(A2液)中のK2[IrCl6]、K2[IrBr6]、K2[IrCl5(H2O)]、K2[IrCl5(チアゾール)]及びK4Fe(CN)6の量を、各々4.5倍に変更し、かつ(A1液)、(A2液)、(A3液)、(B1液)、(B2液)、(B3液)の添加時間を適宜変更した以外は同様にして、平均粒径が0.43μmのハロゲン化銀乳剤(R−1)を調製した。
【0150】
(ハロゲン化銀乳剤(RR−1)の調製)
前記ハロゲン化銀乳剤(B−1)の調製において、(A2液)中のK2[IrCl6]、K2[IrBr6]、K2[IrCl5(H2O)]、K2[IrCl5(チアゾール)]及びK4Fe(CN)6の量を、各々8.0倍に変更し、かつ(A1液)、(A2液)、(A3液)、(B1液)、(B2液)、(B3液)の添加時間を適宜変更した以外は同様にして、平均粒径が0.40μmのハロゲン化銀乳剤(RR−1)を調製した。
【0151】
以上のようにして調製した各ハロゲン化銀乳剤は、ハロゲン化銀粒子個数で99%以上を立方体ハロゲン化銀粒子が占めていた。
【0152】
(青感性ハロゲン化銀乳剤(B−1a)の調製)
前記調製したハロゲン化銀乳剤(B−1)に対し、60℃、pH5.8、pAg7.5にて下記増感色素BS−1及びBS−2を添加し、引き続きチオ硫酸ナトリウム、トリフリルホスフィンセレニド及び塩化金酸を順次添加し、分光増感及び化学増感を施した。化学増感剤の添加後、最適に熟成した後、化合物(S−1)、(S−2)、(S−3)を順次添加し、熟成を停止させ、青感性ハロゲン化銀乳剤(B−1a)を得た。
【0153】
チオ硫酸ナトリウム 3.9×10-6モル/モルAgX
トリフリルホスフィンセレニド 2.6×10-6モル/モルAgX
塩化金酸 1.9×10-5モル/モルAgX
化合物(S−1) 2.0×10-4モル/モルAgX
化合物(S−2) 2.0×10-4モル/モルAgX
化合物(S−3) 2.0×10-4モル/モルAgX
増感色素:BS−1 5.2×10-4モル/モルAgX
増感色素:BS−2 1.3×10-4モル/モルAgX
(青感性ハロゲン化銀乳剤(BB−1a)の調製)
前記青感性ハロゲン化銀乳剤(B−1a)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(B−1)に代えて、前記調製したハロゲン化銀乳剤(BB−1)に変更し、かつチオ硫酸ナトリウム、トリフリルフォスフィンセレニド、塩化金酸、増感色素(GS−1)、(GS−1)の添加量を、ハロゲン化銀粒子の平均粒径が0.59μmから0.55μmに変更となることに伴うハロゲン化銀粒子表面積の増加を考慮し、単位表面積当たりの添加量が同じとなるよう、各々変更すること以外は同様にして、青感性ハロゲン化銀乳剤(BB−1a)を調製した。
【0154】
(緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−1a)の調製)
前記ハロゲン化銀乳剤(G−1)に対し、60℃、pH5.8、pAg7.5にて下記増感色素(GS−1)を添加し、引き続きチオ硫酸ナトリウム、トリフリルホスフィンセレニド及び塩化金酸を順次添加し、分光増感及び化学増感を施した。化学増感剤の添加後、最適に熟成した後、化合物(S−1)を添加し、熟成を停止させ、緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−1a)を得た。
【0155】
増感色素:GS−1 5.3×10-4モル/モルAgX
チオ硫酸ナトリウム 3.3×10-6モル/モルAgX
トリフリルホスフィンセレニド 2.2×10-6モル/モルAgX
塩化金酸 1.5×10-5モル/モルAgX
化合物(S−1) 1.5×10-4モル/モルAgX
(緑感性ハロゲン化銀乳剤(GG−1a)の調製)
上記緑感性ハロゲン化銀乳剤(G−1a)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(G−1)に代えて、前記調製したハロゲン化銀乳剤(GG−1)に変更し、かつチオ硫酸ナトリウム、トリフリルフォスフィンセレニド、塩化金酸、増感色素(GS−1)の添加量を、ハロゲン化銀粒子の平均粒径が0.55μmから0.43μmに変更となることに伴うハロゲン化銀粒子表面積の増加を考慮し、単位表面積当たりの添加量が同じとなるよう、各々変更すること以外は同様にして、緑感性ハロゲン化銀乳剤(GG−1a)を調製した。
【0156】
(赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−1a)の調製)
前記ハロゲン化銀乳剤(R−1)に対し、60℃、pH5.0、pAg7.1にて下記増感色素(RS−1)及び(RS−2)を添加し、引き続きチオ硫酸ナトリウム、トリフリルホスフィンセレニド及び塩化金酸を順次添加し、分光増感及び化学増感を施した。化学増感剤の添加後、最適に熟成した後、化合物(S−1)を添加し、熟成を停止させ、赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−1a)を調製した。
【0157】
チオ硫酸ナトリウム 7.2×10-6モル/モルAgX
トリフリルホスフィンセレニド 4.8×10-6モル/モルAgX
塩化金酸 1.5×10-5モル/モルAgX
化合物(S−1) 1.2×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−1 1.0×10-4モル/モルAgX
増感色素:RS−2 1.0×10-4モル/モルAgX
(赤感性ハロゲン化銀乳剤(RR−1a)の調製)
上記赤感性ハロゲン化銀乳剤(R−1a)の調製において、ハロゲン化銀乳剤(R−1)に代えて、前記調製したハロゲン化銀乳剤(RR−1)を用い、かつチオ硫酸ナトリウム、トリフリルフォスフィンセレニド、塩化金酸、増感色素(RS−1)及び増感色素(RS−2)の添加量をハロゲン化銀粒子の平均粒径が0.43μmから0.40μmに変更となることに伴うハロゲン化銀粒子表面積の増加を考慮し、単位表面積当たりの添加量が同じとなるよう、各々の添加量を変更した以外は同様にして、赤感性ハロゲン化銀乳剤(RR−1a)を調製した。
【0158】
なお、各赤感光性ハロゲン化銀乳剤の調製では、調製終了時にSS−1を2.0×10-3モル/モルAgX添加した。
【0159】
【化1】

【0160】
【化2】

【0161】
(感光材料1の作製)
坪量180g/m2の紙パルプの感光層塗布面に、表面処理を施したアナターゼ型酸化チタンを15質量%の含有量で分散して含む高密度溶融ポリエチレンをラミネートし、裏面には高密度ポリエチレンをラミネートした反射支持体をコロナ放電処理した後、ゼラチン下塗層を設け、さらに表1、表2に記載の構成からなる各構成層を塗設して、感光材料1を作製した。なお、表中に記載のハロゲン化銀乳剤は、銀に換算した値で示した。
【0162】
また、各層のカプラー分散液の調製には界面活性剤(SU−2)を、また各構成層の表面張力調整用の塗布助剤として、界面活性剤(SU−1)、(SU−3)を添加した。また、各層に防黴剤(F−1)を全量が0.04g/m2となるように添加した。その他に、硬膜剤(H−1)、(H−2)、染料(AI−1)、(AI−2)、(AI−3)及び添加剤−1を適宜添加した。
【0163】
感光材料1の作製に用いた各添加剤の詳細は、以下の通りである。
【0164】
Sol−1:トリクレジルホスフェート
マット剤1:SiO2(平均粒径3.0μm)
【0165】
【表1】

【0166】
【表2】

【0167】
【化3】

【0168】
【化4】

【0169】
【化5】

【0170】
【化6】

【0171】
【化7】

【0172】
(感光材料2の作製)
感光材料1の作製において、第2層(中間層)に化合物Lを0.07g/m2添加した以外は同様にして感光材料2を作製した。
【0173】
【化8】

【0174】
(感光材料3の作製)
感光材料1の作製において、各層の親水性バインダー(ゼラチン)量を0.8倍に減量した以外は同様にして感光材料3を作製した。
【0175】
〔発色現像処理〕
上記作製した感光材料1〜3について、露光はせず、下記現像処理1〜3による発色現像処理を行い、現像処理で使用した発色現像補充液の容量が発色現像タンク容量の2倍となるまで連続処理(ランニングテスト)し、この時点で得られたプリント画像を評価試料とした。
【0176】
(現像処理1)
処理温度 処理時間 タンク容量 補充量
発色現像 38.0℃ 30秒 10.2L 50ml/m2
漂白定着 38.0℃ 30秒 10.0L 37ml/m2
安定化−(1) 38.0℃ 24秒 8.0L
安定化−(2) 38.0℃ 24秒 8.3L
安定化−(3) 38.0℃ 24秒 8.6L
安定化−(4) 38.0℃ 24秒 9.0L 150ml/m2
乾燥 60〜80℃ 30秒
安定化は(4)、(3)、(2)、(1)への向流方式である。
【0177】
タンク液及び補充液について以下に示す。
【0178】
発色現像液:1L当たり
タンク液 補充液
ジエチレングリコール 10.0g 10.0g
ポリエチレングリコール(平均分子量4000) 6.0g 6.0g
p−トルエンスルホン酸 10.0g 10.0g
塩化カリウム 4.0g −
ジエチレントリアミン五酢酸 6.0g 6.0g
ビス(トリアジニルアミノ)スチルベン系蛍光増白剤
1.0g 1.0g
N,N−ビス(スルホエチル)ヒドロキシルアミン 5.0g 11.0g
水酸化リチウム − 3.5g
炭酸カリウム 14.0g 14.0g
炭酸ナトリウム 10.0g 10.0g
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン・2/3硫酸塩 6.0g 12.0g
1−オクタンスルホン酸ナトリウム 1.0g 1.0g
pH 10.00 12.10
水を加えて1Lとし、pHは水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液または硫酸により調整した。
【0179】
漂白定着液:1L当たり
タンク液 補充液
エチレンジアミン四酢酸第2鉄アンモニウム 0.20mol 0.37mol
チオ硫酸アンモニウム 0.54mol 1.0mol
亜硫酸アンモニウム 0.15mol 0.25mol
コハク酸 10.0g 18.0g
N−ラウロイルサルコシンナトリウム 1.5g 1.5g
硝酸(67%) 10.0g 16.0g
pH 6.0 4.8
水を加えて1Lとし、pHはアンモニア水または硫酸を用いて調整した。
【0180】
安定化液:1L当たり
タンク液=補充液
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸4ナトリウム 2.0g
エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム 2.0g
o−フェニルフェノール 0.1g
ビス(トリアジニルアミノ)スチルベン系蛍光増白剤 1.0g
亜硫酸ナトリウム 0.2g
ベンゼンスルフィン酸ナトリウム(例示化合物) 0.8g
1−オクタンスルホン酸ナトリウム 0.2g
pH 7.5
水を加えて1Lとし、pHはアンモニア水溶液または硫酸を用いて調整した。
【0181】
(現像処理2)
現像処理1の発色現像の処理温度を40.0℃、処理時間を22秒とした他は同様に処理した。
【0182】
(現像処理3)
現像処理2の発色現像液の炭酸ナトリウムの量を16g、炭酸カリウムの量を8gに変えた他は同様に処理した。
【0183】
〔測定及び評価〕
(色度L*、a*、b*の測定)
得られたプリント画像(白地部分)について、CIE1976に従い、L***表色空間上の色度を測定した。具体的には、反射分光測定装置(高速分光光度色差計CMS−1200、村上色彩技術研究所(株)製)を用いて各々分光反射率を測定し、算出した。
【0184】
(濃度ムラの評価)
得られたプリント画像(白地部分)について、被験者20名に1〜4の4段階評価をしてもらった。20人の平均点が高いものほど好ましい白地を有し、ムラのないきめの細かい美しいプリントであることを示す。
【0185】
これらの結果を表3に示す。
【0186】
【表3】

【0187】
感光材料と発色現像液の特性が両方とも本発明の範囲にある画像形成方法7、9で得られたプリントは、その他の画像形成方法で得られたプリントに比べ濃度ムラが低減され、白地性が優れていることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に少なくとも一層の青感性ハロゲン化銀乳剤層、緑感性ハロゲン化銀乳剤層及び赤感性ハロゲン化銀乳剤層を有し、各ハロゲン化銀乳剤層に含まれるハロゲン化銀乳剤が塩化銀含有率90モル%以上のハロゲン化銀乳剤であるハロゲン化銀カラー写真感光材料を露光して、Naイオン/Kイオンのモル比が0.8〜4.0の発色現像液を用いて30秒以下で発色現像処理する画像形成方法において、画像形成して得られた未露光部の色度が下記条件Aを満たすことを特徴とする画像形成方法。
条件A 91≦L*≦96、0.3≦a*≦1.6、−8.0≦b*≦−3.5
【請求項2】
前記支持体のハロゲン化銀乳剤層側に設けられた全層の親水性バインダーの総量が6.8g/m2以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。

【公開番号】特開2006−227257(P2006−227257A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−40331(P2005−40331)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(303050159)コニカミノルタフォトイメージング株式会社 (1,066)
【Fターム(参考)】