説明

画像形成装置、および制御構造体

【課題】複数の構造体が組み合わされて構成された画像形成装置の動作仕様に関し、画像形成装置の消費電力量に基づくユーザの選択を可能にする。
【解決手段】使用する電力量に応じて設定可能な動作仕様を電力削減量に対応付けて使用者に提示し、提示した動作仕様に関する使用者の選択を受け付け、受け付けた動作仕様に従って機能要素を制御して画像形成を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、および制御構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、性能の異なる画像形成サブシステムと仕様の異なるシート搬送サブシステムとを着脱可能な画像形成装置において、装着された画像形成サブシステム及びシート搬送サブシステムの固有情報に応じて画像形成装置の動作仕様を決定する技術が記載されている。
また、特許文献2には、給紙カセットが着脱可能な基本ユニットに作像ユニットが着脱可能に結合され、基本ユニットの制御装置により作像ユニットが作動する画像記録装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−102187号公報
【特許文献2】特開平4−118271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、画像形成装置の動作仕様に関し、画像形成装置の消費電力量に基づく動作仕様の選択を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、画像形成動作を行う機能要素を有する画像形成装置であって、使用する電力量に応じて設定可能な動作仕様を電力削減量に対応付けて提示する提示手段と、前記提示手段にて提示された前記動作仕様に関する選択を受け付ける受付手段と、前記受付手段にて受け付けた前記動作仕様に従って前記機能要素を制御して画像形成を行う制御手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記画像形成装置は、画像形成動作を行う機能要素を有する画像形成構造体と当該画像形成構造体に組み付けられて画像形成動作に関連した動作を行う構造体とから構成され、前記提示手段は、前記画像形成構造体および前記構造体で使用する電力量を削減した状態にて設定可能な動作仕様を電力削減量に対応付けて提示し、前記制御手段は、前記受付手段にて受け付けた前記動作仕様に従って前記画像形成構造体および前記構造体の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記提示手段は、前記画像形成構造体および前記構造体の種類および構成内容を認識し、認識した当該画像形成構造体および当該構造体に応じて前記電力削減量の範囲を算出し、算出した当該電力削減量の範囲内で設定可能な前記動作仕様を提示することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記提示手段は、前記画像形成構造体に設けられた定着手段に設定される色材を用紙に定着するための定着温度に基づく前記電力削減量の範囲をさらに算出し、算出した当該電力削減量の範囲をさらに用いて当該定着温度と当該画像形成構造体および前記構造体を動作させる際のプロセス速度とからなる前記動作仕様を提示することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、前記提示手段は、画像形成に使用される用紙の種類に対応させた前記動作仕様を提示することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置である。
請求項6に記載の発明は、前記画像形成構造体および前記構造体は、電源構造体に組み付けられることで電力が供給されることを特徴とする請求項2乃至5何れか1項に記載の画像形成装置である。
【0007】
請求項7に記載の発明は、画像形成動作を行う画像形成構造体と当該画像形成構造体での画像形成動作に関連した動作を行う構造体とが組み付けられる枠体と、前記枠体に組み付けられた前記画像形成構造体および前記構造体に電力を供給する電力供給手段と、前記電力供給手段から前記画像形成構造体および前記構造体に供給する電力量を削減した状態にて設定可能な動作仕様を電力削減量に対応付けて規定する規定手段と、前記規定手段にて規定された前記動作仕様に関する選択を認識し、認識した前記動作仕様に従って前記画像形成構造体および前記構造体の動作を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする制御構造体である。
【0008】
請求項8に記載の発明は、前記規定手段は、前記枠体に組み付けられた前記画像形成構造体および前記構造体の種類および構成内容を認識し、認識した当該画像形成構造体および当該構造体に応じて前記電力削減量の範囲を算出し、算出した当該電力削減量の範囲内で設定可能な前記動作仕様を規定することを特徴とする請求項7記載の制御構造体である。
請求項9に記載の発明は、前記規定手段は、前記画像形成構造体に設けられた定着手段に設定される色材を用紙に定着するための定着温度に基づく前記電力削減量の範囲をさらに算出し、算出した当該電力削減量の範囲をさらに用いて当該定着温度と当該画像形成構造体および前記構造体を動作させる際のプロセス速度とからなる前記動作仕様を規定することを特徴とする請求項8記載の制御構造体である。
請求項10に記載の発明は、前記規定手段は、画像形成に使用される用紙の種類に対応させた前記動作仕様を規定することを特徴とする請求項9記載の制御構造体である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、画像形成装置の動作仕様に関し、画像形成装置の消費電力量に基づく動作仕様の選択を可能にすることができる。
請求項2の発明によれば、構造体が組み付けられた状態の画像形成装置の動作仕様に関し、画像形成装置の消費電力に基づく動作仕様の選択を可能とすることができる。
請求項3の発明によれば、画像形成構造体および構造体の種類および構成内容に対応させた動作仕様を提示することができる。
請求項4の発明によれば、生産性および定着性能の何れか一方を優先させた動作仕様を設定することができる。
請求項5の発明によれば、使用される用紙の種類が異なっても定着性能を許容範囲内に確保することができる。
請求項6の発明によれば、電源構造体に組み付けられた画像形成装置の動作仕様に関し、画像形成装置の消費電力に基づく動作仕様の選択を可能とすることができる。
【0010】
請求項7の発明によれば、画像形成装置の動作仕様に関し、画像形成装置の消費電力量に基づく動作仕様の選択を可能にすることができる。
請求項8の発明によれば、枠体に組み付けられた画像形成構造体および構造体の種類および構成内容に対応させた動作仕様を提示することができる。
請求項9の発明によれば、生産性および定着性能の何れか一方を優先させた動作仕様を設定することができる。
請求項10の発明によれば、使用される用紙の種類が異なっても定着性能を許容範囲内に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施の形態が適用される画像形成装置の構成の一例を示した図である。
【図2】(a)、(b)は、電源ユニットと、この電源ユニットに画像形成ユニットが組み付けられた状態を説明するための図である。
【図3】画像形成ユニットの外装天面に形成された排出トレイ構造を説明するための図である。
【図4】読み取りユニットを備えていない、例えばプリンタ仕様として用いられる画像形成装置の組み付け構造を説明するための図である。
【図5】読み取りユニットを備えた、例えば複写機やファクシミリ仕様として用いられる画像形成装置の組み付け構造を説明するための図である。
【図6】電源ユニットと各構造体との接続を説明する図である。
【図7】「動作仕様テーブル」の一例を示した図である。
【図8】「動作仕様テーブル」の一例を示した図である。
【図9】「動作仕様テーブル」の一例を示した図である。
【図10−1】電源ユニットの主制御部が実行する動作仕様の設定処理の内容を示すフローチャートである。
【図10−2】電源ユニットの主制御部が実行する動作仕様の設定処理の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<画像形成装置の全体説明>
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置1の構成の一例を示した図である。図1に示す画像形成装置1は、画像形成を行う機能要素を有する画像形成構造体の一例としての画像形成ユニット10と、各構造体に電力を供給し、また各構造体に関する制御機能を有する電源構造体および制御構造体の一例としての電源ユニット30とを備えている。また、記録材である用紙を画像形成ユニット10に向けて搬送する記録材搬送構造体の一例としての用紙供給ユニット40と、画像形成後の用紙を搬送して排出する排出記録材搬送構造体の一例としての排出ユニット50とを備えている。さらに、原稿を読み取る画像読み取り構造体の一例としての読み取りユニット60を備えている。また、所謂コントロールパネルを有し使用者の操作入力を受け付ける使用者操作構造体の一例としての操作ユニット70を備えている。またさらに、用紙供給ユニット40に増設可能に設けられ用紙を供給して搬送する増設供給構造体の一例としての増設用紙供給ユニット80を備えている。これらの構造体の一例である画像形成ユニット10、電源ユニット30、用紙供給ユニット40、排出ユニット50、読み取りユニット60、操作ユニット70、増設用紙供給ユニット80は、各々が画像形成装置1の装置外観の少なくとも一部を形成している。図1に示す画像形成装置1では、後述する図2に示すように、電源ユニット30は画像形成ユニット10の底面と、図1の背面との2面で接触した状態で組み付けられている。
【0013】
これらの各ユニット(構造体)によって構成される画像形成装置1は、例えば電子写真方式を用いた所謂タンデム型のデジタルカラープリンタ、デジタルカラー複写機、ファクシミリ等として機能している。画像形成ユニット10は、その画像形成を行う機能要素として、像保持体、露光手段、帯電手段、現像手段、用紙へ画像を転写する転写手段、転写した画像を用紙へ定着させる定着手段を有している。
【0014】
<画像形成ユニットの説明>
画像形成ユニット10は、画像形成装置1に組み込まれた際、画像形成装置1の装置外観の一部を形成する。単体として独立取引の対象となり、独立取引の対象となっている外観が、組み込まれた画像形成装置1の外観の一部をそのまま構成する。
この画像形成ユニット10は、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色毎に設けられ画像形成を行う画像形成部の一例としての複数の画像形成部20(20Y,20M,20C,20K)、例えば、電源ユニット30から受信した画像データに予め定めた画像処理を施す画像処理部11、画像形成ユニット10の動作を制御する動作制御部12を備えている。また、複数の画像形成部20に対して各色毎の画像データに基づく露光処理を行う露光手段の一例としてのレーザ露光器13を備えている。各々の画像形成部20には、像保持体としての感光体ドラム21、帯電手段の一例としての帯電ロール22、現像手段の一例としての現像器23、ドラムクリーナ24を備えている。この帯電ロール22は、感光体ドラム21の表面を予め定めた電位で一様に帯電する。現像器23は、画像形成部20のそれぞれにおいて、例えば、各色トナーと磁性キャリアとからなる二成分現像剤を保持して、感光体ドラム21上に形成された静電潜像を色材の一例としての各色トナーで現像する。ドラムクリーナ24は、例えば板状部材を感光体ドラム21表面に接触させて、感光体ドラム21上に付着したトナーや紙粉等を除去する。
【0015】
また、画像形成ユニット10には、各画像形成部20それぞれに配置された感光体ドラム21を露光する露光手段の一例としてのレーザ露光器13が設けられている。レーザ露光器13は、各色毎の画像データを画像処理部11から取得し、取得した画像データに基づいて点灯制御されたレーザ光により、各画像形成部20の感光体ドラム21をそれぞれ走査露光する。さらに、各画像形成部20の感光体ドラム21と接触しながら移動して用紙を搬送する用紙搬送ベルト14が配置されている。用紙搬送ベルト14は、用紙を静電吸着するフィルム状の無端ベルトで形成されている。そして、用紙搬送ベルト14の内側であって各感光体ドラム21と対向する位置には、それぞれ転写手段の一例としての転写ロール15が配置されている。転写ロール15は、感光体ドラム21との間に転写電界を形成し、用紙上に、各画像形成部20で形成された各色トナー像を順次転写する。さらに、用紙搬送ベルト14の用紙搬送方向の下流側には、用紙上の未定着トナー像に対して熱および圧力による定着処理を施す定着手段の一例としての定着器16が設けられている。
【0016】
これらの機能要素を有する画像形成ユニット10は、画像形成ユニット10単体として交換可能に構成される。何れかの画像形成部20にて、例えば現像器23に供給されるトナーが消費されて画像が形成できなくなった場合等には、画像形成ユニット10を引き抜いて取り外し、例えば新品の画像形成ユニット10がこの画像形成ユニット10のまま組み付けられることで、画像形成ユニット10が交換される。
【0017】
そして、図1に示す例では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成部20Y,20M,20C,20Kを備えていたが、さらに所謂コーポレートカラーなどの特色を印刷するための画像形成部20を加えて5つの画像形成部20を設ける形態もある。また、黒(K)についての機能を強化するために、黒(K)のエンジンを2つ備え、全体で5つの画像形成部20を構成する形態もある。さらに、多色ではなく、単色に対応した形態とすることもある。かかる場合には、画像形成部20の数が単体(例えば、画像形成部20Kのみ)となる場合もある。そして、これらを構成する画像形成ユニット10を交換ユニットとして準備する形態もある。さらには、画像形成ユニット10として、画像処理部11および動作制御部12を有さない、または画像処理部11および動作制御部12の何れか一方だけを有している形態を採用することもできる。
なお、画像形成装置1において画像形成構造体として如何なる形態の画像形成ユニット10が組み込まれても、電源ユニット30は組み込まれた画像形成ユニット10に対応して動作する。それにより、電源ユニット30は如何なる形態の画像形成ユニット10にも共通して使用される。
【0018】
<電源ユニットの説明>
電源ユニット30は、その主たる機能を実現する機能部として、各構造体(画像形成ユニット10、用紙供給ユニット40、排出ユニット50、読み取りユニット60、操作ユニット70、増設用紙供給ユニット80)に対して電力を供給する電力供給手段の一例としての電力供給部を備えている(後段の図6参照)。電源ユニット30の外観構成については、後述する図2(a)に詳細に示している。電源ユニット30では、電力供給部が商用電源から例えば交流100Vを受け取って予め定めた電圧の電力を生成し、各構造体(各ユニット)の駆動系や動作系へ電力を供給する。そのために、例えば感光体ドラム21等の回転駆動のための低電圧電力(例えば、24V)を生成する低電圧供給部や、高電圧電力(数KV)を生成する高電圧供給部(後段図6参照)を備えている。各構造体に対しては、接続手段の一例であるコネクタ(後段図2参照)を介して電力を供給する。配線手段は、例えば、各構造体が電源ユニット30に組み付けられることで、各構造体と電源ユニット30とが電気的に接続されるように構成される。
【0019】
また、電源ユニット30は、画像形成装置1全体の動作や各構造体へ供給する電力を制御する制御手段の一例としての主制御部(後段の図6参照)を備えている。主制御部は、例えば図示しないパーソナルコンピュータ(PC)や読み取りユニット60から取得した画像データの編集や蓄積、画像形成ユニット10へ受け渡す画像データに対する画像処理も行う。尚、上述したように、画像形成ユニット10にて画像処理部11や動作制御部12を設けない場合には、画像形成ユニット10にて制限(排除)したこれらの機能は電源ユニット30に備えられることとなる。
【0020】
さらに、電源ユニット30は、画像形成ユニット10の各機構部材を駆動する駆動モータなどの駆動源を備えている。即ち、画像形成ユニット10には各種駆動源は備えられていない。そして、電源ユニット30に画像形成ユニット10が組み付けられることで、電源ユニット30の駆動源と画像形成ユニット10の各機構部材とが機械的に連結される。例えば、各感光体ドラム21や各感光体ドラム21周りの機構部材に合わせ、ボールジョイントなどの機構を用いた継手であるカップリングを用いて電源ユニット30の駆動源と連結する。また用紙搬送ベルト14、用紙搬送のための各種搬送ロールなどの駆動位置に合わせ、個々に、または幾つかの機構を集約させてカップリングを用いて電源ユニット30の駆動源と連結する。このようにして、画像形成ユニット10に例えば駆動源が備えられないことから、交換可能な画像形成ユニット10の構成部品の数が低減される。
【0021】
さらに、本実施の形態において、電源ユニット30は、画像形成装置1の装置外観の一部を形成している。また、電源ユニット30は、用紙供給ユニット40、排出ユニット50、読み取りユニット60を組み付ける際の基準構造体となる。また、画像形成ユニット10を組み付ける際の基準構造体とすることができる。後述するように、図1に示す操作ユニット70は読み取りユニット60に取り付けられているが、例えば読み取りユニット60を備えない場合には、電源ユニット30に操作ユニット70が取り付けられる(後段図4参照)。尚、電源ユニット30の更なる構成例については、後段の図2の説明の中でも詳述する。
【0022】
<用紙供給ユニットの説明>
用紙供給ユニット40は、画像形成ユニット10に向けて用紙を搬送する。図1に示す例では、電源ユニット30の外側底面に接触し、画像形成ユニット10の一側から画像形成ユニット10に向けて用紙を搬送する。用紙供給ユニット40は、この給紙と捌きと搬送のための各種ロール類等を備えている。そして、用紙供給ユニット40は、画像形成装置1として組み込まれた際に、画像形成装置1の装置外観の一部を形成するとともに、図1に示すように、画像形成ユニット10の少なくとも一方の側面に接触し、画像形成ユニット10のこの一方の側面を覆うように配置される。但し、必要な機構部分だけを構成するのであれば、この一方の側面の全面を覆わず、例えば略中央部程度までの高さ等、一部だけに接触させることもできる。用紙供給ユニット40は、記録材である用紙を収容する用紙収容部41と、この用紙収容部41から繰り出された用紙を画像形成ユニット10に向けて搬送するための搬送路42とが設けられている。画像形成ユニット10が画像形成装置1に組み込まれた際、搬送路42から連続する用紙供給ユニット40の用紙排出口は、画像形成ユニット10の用紙受入口と位置合わせがなされ、搬送のための経路が連結される。
【0023】
<排出ユニットの説明>
排出ユニット50は、画像形成ユニット10にて画像が形成された用紙を受け入れ、排出口55に向けて用紙を搬送する。排出ユニット50は、画像形成装置1として組み込まれた際に、画像形成装置1の装置外観の一部を形成するとともに、図1に示すように、画像形成ユニット10の他方(用紙供給ユニット40側を一方とした場合)の側面に接触し、画像形成ユニット10のこの他方の側面を覆うように配置される。即ち、画像形成ユニット10の他方の側面にて下方から上方に延びる筐体構造を有している。この排出ユニット50は、画像形成ユニット10にて画像が形成された用紙を搬送する搬送路51と、この搬送路51に設けられて用紙を搬送する複数組の搬送ロール52が設けられている。また、画像形成ユニット10にて画像が印刷された用紙を排出する排出口55と、この排出口55から用紙を勢いよく排出するための排出ロール53とが設けられている。本実施の形態では、画像形成ユニット10の筐体構造の上方(天面)が、排出された用紙を積載する排出トレイとなっている。
【0024】
<読み取りユニットの説明>
読み取りユニット60は、例えばシート材などの原稿に存在する画像を読み取る画像読み取り装置として機能する。読み取りユニット60は、画像形成装置1に組み込まれた際に、画像形成装置1の装置外観の一部を形成する。この読み取りユニット60が増設されるシステム構成では、読み取りユニット60の一部に操作ユニット70が取り付けられる。読み取りユニット60として、シート状の原稿を搬送する原稿搬送装置を備える構成を備えることができる。また、本などの厚みのある原稿を平面上のガラス(プラテンガラス)に置き、読み取り部やランプ、ミラーなどを走査させるスキャン構造を採用したり、このスキャン構造を備えず、シート原稿移動型だけの読み取り装置とした構成を採用することもできる。読み取りユニット60は、例えば、支持部材61を介して電源ユニット30に支持されて固定され、また、排出ユニット50にも支持される。そして、画像形成ユニット10の天面に設けられた排出トレイ部の空間を保ち、ユーザ(使用者)の手が入るなど、その操作性を阻害しない位置に配置される。また、画像形成ユニット10の交換作業などを行う際にも、ユーザ(使用者)が画像形成ユニット10の天面を持って作業することができる位置に配置されている。
【0025】
<操作ユニットの説明>
操作ユニット70は、画像形成装置1に組み込まれた際に、画像形成装置1の装置外観の一部を形成する。読み取りユニット60が画像形成装置1に組み込まれる装置構成の場合には、読み取りユニット60に取り付けられ、または埋め込まれる。読み取りユニット60が組み込まれない装置構成の場合には、例えば、電源ユニット30に組み込まれる。
【0026】
<増設用紙供給ユニットの説明>
増設用紙供給ユニット80は、画像形成装置1に組み込まれた際、画像形成装置1の装置外観の一部を形成する。図1に示す例では、用紙供給ユニット40の底面に接触し、画像形成装置1の底面と、その底面に続く画像形成装置1の側面の装置外観を形成している。この増設用紙供給ユニット80は、記録材である用紙を収容する用紙収容部81と、この用紙収容部81から繰り出された用紙を用紙供給ユニット40に向けて搬送するための搬送路82とが設けられている。また増設用紙供給ユニット80は、この給紙と捌きと搬送のための各種ロール類等を備えている。用紙供給ユニット40には、増設用紙供給ユニット80から供給される用紙を受け入れる用紙受入口と、この用紙を搬送するためのスリット状の搬送経路が設けられている。用紙収容部81から繰り出された用紙は、搬送路82と、用紙供給ユニット40のスリット状の搬送経路、搬送路42を経由し、画像形成ユニット10に向けて供給される。
【0027】
<各構造体に共通した構成の説明>
また、各構造体(画像形成ユニット10、用紙供給ユニット40、排出ユニット50、読み取りユニット60、操作ユニット70、増設用紙供給ユニット80)は、電源ユニット30との間で電力および電気信号の伝送経路を形成する接続手段を備えている。さらに、各構造体は、各構造体それぞれに関する各種情報(例えば、構造体の種類、構造体における設定や構成等に関する情報)を記憶する記憶手段を備えている。そして、各構造体が電源ユニット30に組み込まれた際に、各構造体と電源ユニット30とは接続手段により電気的に接続され、電源ユニット30からの電力および相互間での電気信号の伝送が可能となる。またそれにより、各構造体に備えられた記憶手段は、電源ユニット30に備えられた主制御部と接続される。それによって、主制御部は各構造体の記憶手段から各構造体それぞれに関する各種情報を取得して、各構造体の動作を制御するに際しての動作パラメータを設定する。また、主制御部は各構造体に供給する電力量を調整する。
なお、記憶手段は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ等で構成される。
【0028】
<各構造体の外観構成と組み立て例の説明>
次に、各構造体の組み立て構成について説明する。
図2(a)、(b)は、電源ユニット30と、この電源ユニット30に画像形成ユニット10が組み付けられた状態を説明するための図である。図2(a)は電源ユニット30の外観を示し、図2(b)は電源ユニット30に画像形成ユニット10が組み付けられた状態を示している。
【0029】
図2(a)に示すように、電源ユニット30は、枠体として、内側縦面30a、内側底面30b、天面30c、一方側面(右側面)30d、他方側面(左側面)30e、外側底面30f、一方面(前面)30g、他方面(後面)30hを有し、その筐体構造に、連結される各構造体との連結機構を備えている。より詳しくは、電源ユニット30の内側縦面30aに、画像形成ユニット10に向けて駆動力を伝達する駆動伝達機構31と、画像形成ユニット10との電力および電気信号の伝送経路を形成する接続手段の一例としてのコネクタ37とを備えている。また、内側底面30bに、装着される画像形成ユニット10の機械的結合を行うラッチ構造33を有し、一方面(前面)30gに、ラッチ構造33の解除を行うラッチ解除機構としてのラッチボタン34を有している。また、内側底面30bには、画像形成ユニット10を滑り移動(スライド)させながら画像形成装置1に組み込むためのレール機構などの滑り移動構造機構38が設けられている。
【0030】
電源ユニット30の天面30cには、読み取りユニット60または操作ユニット70との電力および電気信号の伝達を行う接続部35を有している。図2(a)では、この接続部35に、操作ユニット70が組み込まれている。さらに、電源ユニット30の一方側面(右側面)30dには用紙供給ユニット40との電力および電気信号の伝達を行うコネクタ36が設けられ、他方側面(左側面)30eには排出ユニット50との電力および電気信号の伝達を行うコネクタ39が設けられている。
【0031】
図2(b)に示すように、画像形成ユニット10は電源ユニット30と結合し、画像形成装置1に装着される。画像形成ユニット10は、底面に、電源ユニット30の滑り移動構造機構38に対応して設けられ画像形成ユニット10の滑り移動(スライド)を可能とするレール機構である移動機構19が設けられている。また、画像形成ユニット10の底面に、電源ユニット30のラッチ構造33に対応して設けられ、滑り移動(スライド)するラッチ凹部25を有している。このラッチ凹部25は、画像形成ユニット10のラッチ構造33を用いた位置決め固定を行う。
【0032】
また、画像形成ユニット10は、その筐体の一側面(一側面)に、用紙供給ユニット40の用紙排出口に対峙し用紙排出口の位置に対応して設けられ用紙供給ユニット40からの用紙を受け入れる用紙受入口17を有している。また、画像形成ユニット10は、その筐体の他方の側面(他側面)に、排出ユニット50の用紙受入口に対峙し用紙受入口の位置に対応して設けられ排出ユニット50に向けて用紙を排出する用紙排出口18を有している。さらに、画像形成ユニット10は、組み付け方向(矢印S方向)に滑り移動(スライド)し電源ユニット30に組み付けられた際、電源ユニット30の内側縦面30aに対峙する側(裏面側)に、電源ユニット30の駆動伝達機構31と連結する伝達機構26と、電源ユニット30のコネクタ37と連結する接続手段の一例としてのコネクタ27とを有している。
【0033】
図3は、画像形成ユニット10の外装天面に形成された排出トレイ構造を説明するための図である。画像形成ユニット10の外装天面には、図1にて説明した排出ユニット50の排出口55から排出される用紙の排出方向と同方向に、リブ28が設けられている。また、外装天面の中央部、または、画像形成ユニット10を持ち上げたときに画像形成ユニット10の傾きが組み付け作業に支障とならない位置(例えば重心箇所)に、持ち上げ部の一例としての取っ手29が形成されている。この取っ手29は、排出される用紙の搬送に支障とならないように、例えば外装天面の凹部として形成される。この取っ手29は、外装天面の曲面形状を利用し、使用者(ユーザ)の指を引っかけるための引っ掛け部29aが形成されている。尚、取っ手29の構成としては、収納可能な飛び出し形状とし、画像形成ユニット10の挿入・取り出し作業時には筐体から突出させ、用紙排出時には突出した部位を収納するような構造とすることもできる。
【0034】
<プリンタ仕様の組み付け構造>
図4は、読み取りユニット60を備えていない、例えばプリンタ仕様として用いられる画像形成装置1の組み付け構造を説明するための図である。図4に示すように、電源ユニット30、用紙供給ユニット40、および排出ユニット50が組み付けられており、この状態では画像形成ユニット10は組み付けられていない。そして、電源ユニット30、用紙供給ユニット40、および排出ユニット50が組み付けられている状態で、画像形成ユニット10を図の組み付け方向(矢印S方向)に滑り移動(スライド)させることで、画像形成ユニット10を画像形成装置1に組み付けることが可能である。
【0035】
用紙供給ユニット40の組み付けについて説明する。
図2(a)に示した電源ユニット30の一方側面(右側面)30dに用紙供給ユニット40の内側縦面40a(図4参照)が接触し、また、電源ユニット30の外側底面30f(図2(a)参照)に用紙供給ユニット40の内側底面(図示せず)が接触する状態で、用紙供給ユニット40を電源ユニット30に組み付ける。両者の固定には、例えばネジやラッチ機構(図示せず)を用いることができる。また、用紙供給ユニット40の組み付けに際し、電源ユニット30のコネクタ36(図2(a)参照)に用紙供給ユニット40のコネクタ45(図4参照)が連結し、電源ユニット30から用紙供給ユニット40に対して、電力の供給と、これらの間の電気信号の伝達が可能となる。尚、用紙供給ユニット40は、図4に示す画像形成装置1の例では、画像形成装置1の一方側面、前面(画像形成ユニット10の組み込み方向)の一部、この前面とは反対面となる背面の一部、上面の一部、および底面の装置外観を形成している。
【0036】
排出ユニット50の組み付けについて説明する。
図2(a)に示した電源ユニット30の他方側面(左側面)30eおよび天面30cの一部に排出ユニット50の内側縦面50a(図4参照)が接触する状態で、排出ユニット50が電源ユニット30に組み付けられる。固定には、例えばネジやラッチ機構(図示せず)を用いることができる。また、排出ユニット50の組み付けに際し、電源ユニット30のコネクタ39(図2(a)参照)に排出ユニット50のコネクタ56(図4参照)が連結し、電源ユニット30から排出ユニット50に対して、電力の供給と、これらの間の電気信号の伝達が可能となる。尚、排出ユニット50は、図4に示す画像形成装置1の例では、画像形成装置1の他方側面、前面(画像形成ユニット10の組み込み方向)の一部、この前面とは反対面となる背面の一部、および上面の一部の装置外観を形成している。
【0037】
図4に示すように読み取りユニット60が組み付けられない態様では、操作ユニット70は、電源ユニット30の接続部35に挿入されて用いられる。図5にて説明する読み取りユニット60が組み付けられる態様では、操作ユニット70が電源ユニット30から取り外され、接続部35に読み取りユニット60の一部である支持部材61が挿入されて、電源ユニット30と読み取りユニット60との電力および電気信号の伝達が行われる。
【0038】
上記のようにして電源ユニット30、用紙供給ユニット40、および排出ユニット50が組み付けられた状態にて、それらの構造体によって形成される空間に(図4参照)、画像形成ユニット10が組み付けられる。画像形成ユニット10は、取っ手29(図3参照)によって持ち上げられ、電源ユニット30の滑り移動構造機構38(図2参照)に案内されて、使用者(ユーザ)が画像形成ユニット10の前面10aを押すことで、この空間に挿入される。挿入により組み付け位置まで到達すると、図2に示すように、電源ユニット30のラッチ構造33が画像形成ユニット10のラッチ凹部25に嵌めこまれ、ラッチ動作によって画像形成ユニット10が固定される。
【0039】
この画像形成ユニット10の組み付けによって、図4に示す画像形成ユニット10の裏面10bが電源ユニット30の内側縦面30aに接触し固定される。それにより、裏面10bに設けられて電源ユニット30との電力および電気信号の伝送経路を形成する接続手段の一例としてのコネクタ27が電源ユニット30のコネクタ37と連結する。また、一方側面10cが用紙供給ユニット40の内側縦面40aに接触して固定される。さらに、画像形成ユニット10の他方側面10dと天面10eの一部とが排出ユニット50の内側縦面50aに接触し、底面10fが電源ユニット30の内側底面30bに接触して固定される。このように、画像形成ユニット10は、組み付けられた際、図4の例では5面方向、即ち、少なくとも3面方向にて接触していることとなる。図2(b)に示すように2面方向では固定状態が安定的ではないのに対し、図4の形態では、少なくとも3面方向の安定的な固定状態を維持している。
【0040】
また、画像形成ユニット10が組み付けられた際、画像形成ユニット10の用紙受入口17は用紙供給ユニット40の用紙排出口44と対峙する。また、画像形成ユニット10の用紙排出口18は排出ユニット50の用紙受入口54に対峙する。このようにして、用紙供給ユニット40から画像形成ユニット10、および画像形成ユニット10から排出ユニット50への用紙搬送路が形成される。
尚、画像形成ユニット10の前面10aは、画像形成装置1の装置外観の一部である前面部分を形成する。
【0041】
尚、画像形成装置1に組み込まれた画像形成ユニット10を取り出す際には、ラッチボタン34を押し、画像形成ユニット10のラッチ凹部25からラッチ構造33を解除する。このラッチ構造33を解除した状態で画像形成ユニット10を矢印S方向とは反対方向に引き抜くことで、画像形成ユニット10を取り出すことが可能となる。
【0042】
<スキャナ付き仕様の組み付け構造>
図5は、読み取りユニット60を備えた、例えば複写機やファクシミリ仕様として用いられる画像形成装置1の組み付け構造を説明するための図である。図5に示す画像形成装置1では、図4にて示した画像形成装置1と同様に、電源ユニット30に、用紙供給ユニット40、排出ユニット50が組み付けられ、この電源ユニット30と排出ユニット50の上部に読み取りユニット60が組み付けられている。このとき、図4に示した電源ユニット30の接続部35から操作ユニット70が取り外され、この接続部35に支持部材61の一部が取り付けられる。この支持部61は読み取りユニット60を支える構造物としての機能に加え、電源ユニット30からの電力供給と、電源ユニット30との電気信号の伝達を可能としている。操作ユニット70は、読み取りユニット60の一部に設けられる。
【0043】
画像形成ユニット10の組み付けについては、図4にて説明したものと同様であるが、図4のプリンタ仕様に対してさらに読み取りユニット60が組み付けられた状態にて画像形成ユニット10の組み付けが可能である。即ち、電源ユニット30、用紙供給ユニット40、排出ユニット50、および読み取りユニット60が組み付けられた状態にて、画像形成ユニット10を画像形成装置1に組み付けることが可能である。そして、この態様においても、組み付けられた画像形成ユニット10は、構造体である電源ユニット30、用紙供給ユニット40、および排出ユニット50により、少なくとも3面方向にて接触し、安定状態が保たれた組み付けが実現されている。
【0044】
<電源ユニットと各構造体との間の電力および電気信号の伝送に関する説明>
次に、電源ユニット30と各構造体との間の電力および電気信号(制御信号)の伝送について説明する。
図6は、電源ユニット30と各構造体との接続を説明する図である。本実施の形態では、各構造体(画像形成ユニット10、用紙供給ユニット40、排出ユニット50、読み取りユニット60、操作ユニット70、増設用紙供給ユニット80)が組み付けられる場合には、電源ユニット30との間で電力および電気信号(制御信号)の伝送経路を形成する接続手段が相互に結合される。例えば、図6に示したように、電源ユニット30と画像形成ユニット10との間では、電源ユニット30側のコネクタ37と画像形成ユニット10側のコネクタ27とが結合され、電力(図中実線)および制御信号(図中破線)の伝送経路が形成される。また、電源ユニット30と用紙供給ユニット40との間では、電源ユニット30側のコネクタ36と用紙供給ユニット40側のコネクタ45とが結合され、電力および制御信号の伝送経路が形成される。また、電源ユニット30と排出ユニット50との間では、電源ユニット30側のコネクタ39と排出ユニット50側のコネクタ56とが結合され、電力および制御信号の伝送経路が形成される。その他、電源ユニット30と読み取りユニット60との間、電源ユニット30と操作ユニット70との間、および電源ユニット30と増設用紙供給ユニット80との間においても、同様である。
【0045】
それにより、電源ユニット30の主制御部300は、制御手段の一例であって、各構造体の動作を制御する。また、各構造体の記憶手段(ROM)から各構造体に関する各種情報(例えば、後段の「ユニットID」)を取得する。さらには、パーソナルコンピュータ(PC)や読み取りユニット60から取得した画像データに関する画像処理(情報処理)を行う。また、主制御部300による制御の下で、電源ユニット30の電力供給部350から各構造体に電力が供給される。
主制御部300は、図6に示すように、動作制御や情報処理を実行する際の演算処理を行うCPU301、CPU301の作業用メモリ等として用いられるRAM302、CPU301により実行されるプログラム等にて用いられる設定値やテーブル等のデータが格納されるROM303、書き換え可能で電源供給が途絶えた場合にもデータを保持できる、電池によりバックアップされたフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ(NVM)304を備えている。
主制御部300のCPU301は、電源ユニット30内に設けられた外部記憶部(不図示)からオペレーティングシステムやアプリケーションソフト等の各種プログラムをRAM302に読み込み、電力供給部350から各構造体に供給する電力の制御、各構造体の機能を実現させるための各種処理、または各構造体に対する動作制御や情報処理等を実行する。
【0046】
なお、このオペレーティングシステムやアプリケーションソフト等の各種プログラムに関するその他の提供形態としては、予めROM303に格納された状態にて提供され、RAM302にロードされる形態がある。さらに、EEPROM等の書き換え可能なROM303を備えている場合には、主制御部300のCPU301がセッティングされた後に、プログラムだけがROM303にインストールされ、RAM302にロードされる形態がある。また、インターネット等のネットワークを介して主制御部300にプログラムが伝送され、主制御部300のROM303にインストールされて、RAM302にロードされる形態がある。さらにまた、DVD−ROMやフラッシュメモリ等の外部記録媒体からRAM302にロードされる形態がある。
【0047】
<構造体に対する動作制御に関する説明>
次に、電源ユニット30に設けられた主制御部300が行う各構造体に対する動作制御について説明する。
ユーザが画像形成装置1に対して求める画像形成能力(印刷能力)に関しては、ユーザが印刷物を必要とする目的や画像品質に対するユーザの要求等によって異なる。例えば、直ちに印刷物を必要とするユーザは、画像形成装置1が有する最大限の画像形成能力(例えば、最大のプロセス速度での画像形成処理)を必要とすると想定される。その場合に、画像品質は若干低下しても、仕上がりまでの時間を優先したいと考える場合や、高い画像品質の印刷物を短時間で仕上げたいと考える場合もある。その一方で、例えば、印刷物を直ちに必要としないため仕上がりまでに時間がかかってもよいと考えるユーザは、画像形成装置1が有する最大限の画像形成能力は必要しないから、消費電力量の削減を優先したいと考える場合も想定できる。その場合に、画像品質は若干低下してもよいと考える場合や、画像品質に関しては低下させなくないと考える場合もある。
そこで、本実施の形態の画像形成装置1では、画像形成装置1での消費電力量を削減した動作仕様をユーザが選択できるように構成している。すなわち、本実施の形態においては、電力削減量に応じて設定可能な動作仕様をユーザに提示し、動作仕様に関するユーザの選択を受け付ける。そして、ユーザが選択した電力削減量に応じた動作仕様を画像形成装置1に設定するように構成している。
【0048】
ところで、本実施の形態の画像形成装置1では、電源ユニット30に組み付けられる構造体が、画像形成ユニット10、用紙供給ユニット40、および排出ユニット50を除き、任意に選択される。また、画像形成ユニット10、用紙供給ユニット40、および排出ユニット50に関しても、その構成内容が異なる形態のものを選択することができる。それにより、電源ユニット30に組み付けられる構造体の種類や構成内容の相違、さらには画像形成装置1にて実行される動作の内容(機能)等、さらには各構造体に対して電力供給部350が有する電力供給能力により、画像形成装置1にて削減できる電力量は異なるものとなる。
【0049】
そのため、電源ユニット30の主制御部300は、電源ユニット30に組み付けられた各構造体の記憶手段(ROM)から、各構造体に割り当てられた識別情報(以下、「ユニットID」)を取得する(上記図6参照)。それによって、主制御部300は、電源ユニット30に組み付けられた各構造体の種類および構成内容(画像形成装置1の組み付け構造)を認識する。なお、各構造体それぞれに割り当てられるユニットIDは、例えば、画像形成ユニット10が4個の画像形成部20Y,20M,20C,20Kを有するものと、1個の画像形成部20Kを有するものとにそれぞれ別個のユニットIDが割り当てられている。
そして、主制御部300は、各構造体(画像形成ユニット10、用紙供給ユニット40、排出ユニット50、読み取りユニット60、操作ユニット70、増設用紙供給ユニット80)のユニットIDと、ユニットIDによって特定される構造体の種類および構成内容とが一意に対応付けられたテーブル(以下、「ユニット情報テーブル」)を、例えばNVM304に予め記憶している。それにより、主制御部300は、各構造体から取得したユニットIDとユニット情報テーブルとに基づいて、電源ユニット30に組み付けられた各構造体の種類および構成内容(画像形成装置1の組み付け構造)を認識する。
【0050】
さらに、主制御部300は、画像形成装置1の組み付け構造によって設定される画像形成装置1の機能(動作内容)を認識する。例えば、読み取りユニット60を備えていないプリンタ仕様として用いられる画像形成装置1(上記図4参照)に関しては、画像形成装置1の機能として、画像形成命令(以下、「印刷ジョブ」)に関するプリント機能を認識する。一方、読み取りユニット60を備えた複写機仕様として用いられる画像形成装置1(上記図5参照)に関しては、画像形成装置1の機能として、印刷ジョブに関するプリント機能と、読み取りユニット60にて原稿から読み取られた読取画像に関する複写機能とを認識する。
そして、主制御部300は、画像形成装置1が有する各機能それぞれに関して、画像形成ユニット10の定着器16(定着手段)に供給する電力量を除き、画像形成装置1を動作させるために最低限必要となる電力量(下限電力量)を算出する。
【0051】
続いて、主制御部300は、画像形成ユニット10の定着器16に割り当てることができる電力量の範囲を算出する。
画像形成装置1において電力を主に消費する構成部は、用紙上にトナーを定着する際に発熱源となる画像形成ユニット10の定着器16(定着手段)である。このような定着器16では、一般に、充分な定着性能が得られるような定着温度が設定される。ところが、定着器16においては、充分な定着性能が得られる定着温度(以下、「高定着性温度」)に設定しなければ、用紙上にトナーを全く定着することができないというものではなく、充分ではないが一応の定着性能が得られる温度範囲が存在する。そのため、定着器16において、一応の定着性能が得られる温度範囲の下限の定着温度(以下、「低定着性温度」)まで許容することとすれば、ユーザが要求する定着性能に応じて「高定着性温度」から「低定着性温度」までの範囲内で任意に定着温度を設定することにより、画像形成装置1での消費電力は削減できる。
この場合に、同一の定着温度であっても使用される用紙の用紙種(例えば、坪量の大小)によって定着性能に差異は生じる。それにより、使用される用紙種によって「高定着性温度」および「低定着性温度」はそれぞれ異なる。そのため、用紙種に応じて定着器16に割当て可能な電力量の範囲は異なることから、画像形成装置1での使用が予定されている用紙種毎に定着器16に割当て可能な電力量の範囲を算出する。
【0052】
具体的には、主制御部300は、ユニットIDに基づいて認識した画像形成装置1の組み付け構造に応じて、各構造体を動作させるために最低限必要となる電力量(下限電力量)を算出する。例えば、感光体ドラム21等の回転駆動のための電力や、各機構部材を駆動する駆動モータ等への駆動電力等といった画像形成装置1の機能を実行するために最低限必要となる電力量が、下限電力量として算出される。
また、主制御部300は、定着器16の定着温度として設定する用紙種毎の「低定着性温度」から、定着器16に供給する必要のある電力量の下限値を用紙種毎に算出する。すなわち、定着温度を「低定着性温度」よりも低く設定した場合には、許容できる範囲での定着性能が得られない。そのために、定着器16への供給電力量には、「低定着性温度」に基づく下限値を設けておく必要がある。なお、用紙種毎の「低定着性温度」は例えばNVM304に予め記憶しておき、主制御部300がNVM304から用紙種毎の「低定着性温度」を読み出すことにより、用紙種毎の「低定着性温度」を取得する。
【0053】
そして、主制御部300は、電力供給部350が有する電力供給能力、各構造体を動作させるために必要な下限電力量、および定着器16に供給する必要のある供給電力量の下限値を用いて、使用される用紙種毎に定着器16に割当て可能な電力量を算出する。
すなわち、「電力供給部350の電力供給能力−各構造体を動作させるために必要な下限電力量」が、「電力供給部350から定着器16に供給可能な電力量」となる。そして、算出した「電力供給部350から定着器16に供給可能な電力量」に関して「定着器16に供給する必要のある電力量に関する用紙種毎の下限値」を設定することにより、定着器16に割当て可能な電力量の範囲が決定できる。それにより、定着器16に割り当て可能な電力量の上限値と下限値とが定まる。これによって、定着器16に割り当て可能な電力量の上限値から下限値までの電力量の範囲に応じて、画像形成装置1にて削減可能な電力量(電力削減量)の範囲が決定できる。
例えば、定着器16に割り当て可能な電力量の上限値を定着器16に供給するとした場合には、電力削減量は0となる。また、定着器16に割り当て可能な電力量の下限値を定着器16に供給するとした場合には、電力削減量は最大(電力削減量=上限値−下限値)となる。したがって、画像形成装置1での電力削減量の範囲は、0〜「上限値−下限値」で規定される。
【0054】
引き続いて、主制御部300は、画像形成装置1にて削減可能な電力量の範囲内で、電力削減量に応じて設定可能な動作仕様を規定する。
定着器16に供給する電力量を低減し、定着温度を下がれば、画像形成装置1での消費電力量は削減されるが、上記したように定着性能は低下する。ところが、定着性能に関してプロセス速度と定着温度との間には、相互に相関的な関係が存在する。すなわち、定着器16から用紙に供給される単位面積当たりの熱量は、プロセス速度を遅くすることによって増加し、速くすることによって減少する。そのため、定着器16に設定する定着温度を一定とした場合には、プロセス速度を低く設定することにより定着性能は高まる。そこで、本実施の形態の画像形成装置1では、このようなプロセス速度と定着温度との間の相関的な関係を用いて、電力削減量に応じた動作仕様を規定する。
【0055】
例えば、電力を削減するために定着温度を低く設定する場合には、それに対応させてプロセス速度を低く設定する。それにより、定着性能をある程度維持しながら画像形成装置1の消費電力量を削減する動作仕様が設定される。ただし、その場合には、プロセス速度を低く設定することになるため、印刷物における生産性の低下は容認する必要が生じる。
また、プロセス速度を維持しながら定着温度を低くする設定も選択肢として加えておく。それにより、生産性を維持しながら画像形成装置1の消費電力量を削減する動作仕様が設定される。ただし、その場合には、定着性能が低下することになるため、印刷物の品質(画像品質)の低下は容認する必要が生じる。
【0056】
このように、本実施の形態の画像形成装置1では、同一の電力削減量に関して、定着性能は維持されるが生産性は低下する動作仕様と、生産性は維持されるが定着性能は低下する動作仕様との双方を規定する。
そして、主制御部300のNVM304において、画像形成装置1にて削減可能な電力量(電力削減量)の範囲内で、各電力削減量毎に、定着性能は維持されるが生産性は低下する動作仕様と、生産性は維持されるが定着性能は低下する動作仕様とを用紙種毎の「動作仕様テーブル」として記憶させる。
それにより、本実施の形態の画像形成装置1においては、ユーザが消費電力量の削減を所望する場合には、生産性および定着性能の何れか一方を優先させた動作仕様を、消費電力量の削減量に基づいてユーザが選択することとなる。
【0057】
具体的には、ユーザが操作ユニット70から用紙種を選択した場合には、主制御部300は、ユーザが選択した用紙種に関して、消費電力量の削減量と動作仕様(プロセス速度および定着温度)との関係を表す「動作仕様テーブル」をNVM304から読み出す。そして、読み出した「動作仕様テーブル」を操作ユニット70に表示する。さらには、操作ユニット70を介してユーザに対し動作仕様の選択を指示する。それにより、ユーザが操作ユニット70を介して動作仕様を選択した場合には、主制御部300は、ユーザが選択した動作仕様にて電源ユニット30に組み付けられた各構造体に動作させるように制御する。
【0058】
ここで、主制御部300は、動作仕様を電力削減量に対応付けて規定する規定手段としても機能する。また、主制御部300および操作ユニット70は、動作仕様を電力削減量に対応付けてユーザ(使用者)に提示する提示手段として機能する。また、操作ユニット70は、動作仕様に関する使用者の選択を受け付ける受付手段として機能する。
【0059】
ここで図7〜図9は、NVM304に記憶される「動作仕様テーブル」の一例を示した図である。図7〜図9は、画像形成装置1の組み付け構造がプリンタ仕様の画像形成装置1(上記図4参照)であり、画像形成装置1が有するプリント機能に関する「動作仕様テーブル」を示したものであるとする。なお、画像形成装置1の組み付け構造が複写機仕様の画像形成装置1(上記図5参照)であり、画像形成装置1の機能としてプリント機能と複写機能とを有する場合には、プリント機能に関する「動作仕様テーブル」と複写機能に関する「動作仕様テーブル」とがNVM304に記憶されることとなる。
【0060】
まず、図7は、画像形成装置1にて標準紙として使用される用紙種である用紙A(例えば、坪量82g/m)に関する「動作仕様テーブル」の一例を示した図である。
図7に示したように、用紙Aでは、充分な定着性能が得られる「高定着性温度」が175℃(ハッチング部分)であり、一応の定着性能が得られる温度範囲の下限である「低定着性温度」が150℃(ハッチング部分)である。それにより、上記した「定着器16に割り当て可能な電力量」から、画像形成装置1にて削減可能な電力量は、例えば5〜30Wであることが算出されている。
【0061】
そのため、図7の「動作仕様テーブル」では、電力削減量を5〜30Wの範囲において5Wステップで設定し、各電力削減量(右欄)毎に、定着性能が優先される温度(「高」)および生産性が優先される温度(「低」)とプロセス速度(生産性(ppm))とを組み合わせた動作仕様を規定している。例えば、電力削減量が10Wでは、プロセス速度40mm/sと定着温度170℃とを組み合わせた動作仕様と、プロセス速度35mm/sと定着温度170℃とを組み合わせた動作仕様とを規定している。プロセス速度40mm/sと定着温度170℃との組み合わせは、生産性が優先され定着性能が低下する動作仕様である。また、プロセス速度35mm/sと定着温度170℃とを組み合わせは、定着性能が優先され生産性が低下する動作仕様である。
また、例えば、プロセス速度40mm/sでは、定着性能が優先される温度として175℃、電力削減量が優先される温度として170℃を規定している。それにより、定着性能と電力削減との何れかを優先させる選択も行われる。
【0062】
図7に示した「動作仕様テーブル」は、ユーザが操作ユニット70から用紙種(ここでは、「用紙A」)を選択した場合に、操作ユニット70にてユーザに提示される。それにより、ユーザが操作ユニット70から動作仕様としてプロセス速度および定着温度の組み合わせの何れかを選択した場合には、主制御部300は、ユーザが選択したプロセス速度および定着温度の組み合わせにて電源ユニット30に組み付けられた各構造体を動作させることとなる。
この場合に、操作ユニット70に液晶タッチパネルを配置し、液晶タッチパネルに「動作仕様テーブル」を表示させる。そして、液晶タッチパネルに表示された「動作仕様テーブル」の中から、ユーザが所望の動作仕様が表示された領域を押さえることで、動作仕様が選択されるように構成してもよい。
【0063】
次の図8は、画像形成装置1にて使用される用紙種である薄紙としての用紙B(例えば、坪量70g/m)に関する「動作仕様テーブル」の一例を示した図である。
図8に示したように、用紙Bでは、充分な定着性能が得られる「高定着性温度」が170℃(ハッチング部分)であり、一応の定着性能が得られる温度範囲の下限である「低定着性温度」が145℃(ハッチング部分)である。それにより、上記した「定着器16に割り当て可能な電力量」から、画像形成装置1にて削減可能な電力量は、例えば10〜35Wであることが算出されている。
そのため、図8の「動作仕様テーブル」では、用紙Bに関し、電力削減量を10〜35Wの範囲において5Wステップで設定し、各電力削減量(右欄)毎に、定着性能が優先される温度(「高」)および生産性が優先される温度(「低」)とプロセス速度(生産性(ppm))とを組み合わせた動作仕様を規定している。
【0064】
次の図9は、画像形成装置1にて使用される用紙種である厚紙としての用紙C(例えば、坪量105g/m)に関する「動作仕様テーブル」の一例を示した図である。
図9に示したように、用紙Cでは、充分な定着性能が得られる「高定着性温度」が180℃(ハッチング部分)であり、一応の定着性能が得られる温度範囲の下限である「低定着性温度」が155℃(ハッチング部分)である。それにより、上記した「定着器16に割り当て可能な電力量」から、画像形成装置1にて削減可能な電力量は、例えば0〜25Wであることが算出されている。
そのため、図9の「動作仕様テーブル」では、用紙Cに関し、電力削減量を0〜25Wの範囲において5Wステップで設定し、各電力削減量(右欄)毎に、定着性能が優先される温度(「高」)および生産性が優先される温度(「低」)とプロセス速度(生産性(ppm))とを組み合わせた動作仕様を規定している。
【0065】
ところで、本実施の形態では、NVM304に記憶される「動作仕様テーブル」は、電源ユニット30に組み付けられた各構造体による構成される画像形成装置1の組み付け構造に応じて、主制御部300が作成する構成について示した。この場合には、主制御部300は、例えば、各構造体が電源ユニット30に組み付けられた時点で「動作仕様テーブル」を作成し、NVM304に記憶する。
また、このような構成の他に、例えば、電源ユニット30に組み付けられる各構造体の組み合わせを予め想定しておき、画像形成装置1におけるすべての組み付け構造に関して用紙種毎の「動作仕様テーブル」を予め求めておく。そして、予め求めておいたすべての組み付け構造に関する用紙種毎の「動作仕様テーブル」を前もってNVM304に記憶しておいてもよい。
【0066】
<主制御部による動作仕様の設定処理に関する説明>
次の図10−1および図10−2は、電源ユニット30の主制御部300が実行する動作仕様の設定処理の内容を示すフローチャートである。
まず、図10−1に示すように、画像形成装置1のメインスイッチ(不図示)がオンされると(ステップ101)、電源ユニット30の主制御部300は、電源ユニット30に組み付けられた各構造体の記憶手段(ROM)から各構造体それぞれのユニットIDを取得する(ステップ102)。そして、主制御部300は、各構造体から取得したユニットIDとユニット情報テーブルとに基づいて、電源ユニット30に組み付けられた各構造体の種類および構成内容(画像形成装置1の組み付け構造)を認識する(ステップ103)。それにより、主制御部300は、上記した「動作仕様テーブル」に関する作成処理を行う(ステップ104)。
【0067】
続いて、主制御部300は、ユーザが使用する画像形成装置1の機能の指定が操作ユニット70から入力されるのを待機する(ステップ105でNo)。そして、画像形成装置1の機能(例えば、プリント機能や複写機能)の指定を受け付けると(ステップ105でYes)、次に、用紙種の指定が操作ユニット70から入力されるのを待機する(ステップ106でNo)。そして、用紙種の指定を受け付けると(ステップ106でYes)、主制御部300は、画像形成装置1での消費電力量を削減する動作仕様を設定するか否かの選択を指示する表示を操作ユニット70にて行う(ステップ107)。
【0068】
ユーザが消費電力量を削減する動作仕様を設定しないことを選択した場合には(ステップ108でNo)、主制御部300は、画像形成装置1において予め定められた動作仕様を設定する(ステップ109)。
一方、ユーザが消費電力量を削減する動作仕様を設定することを選択した場合には(ステップ108でYes)、図10−2に移り、主制御部300は、画像形成装置1の組み付け構造と、指定された画像形成装置1の機能と、選択された用紙種とから、これらに対応する「動作仕様テーブル」をNVM304から読み出す(ステップ110)。そして、読み出した「動作仕様テーブル」を操作ユニット70に表示させる(ステップ111)。そして、ユーザが所望する動作仕様の選択を指示する(ステップ112)。
それにより、主制御部300は、ユーザが「動作仕様テーブル」から動作仕様を選択するのを待機する(ステップ113でNo)。そして、ユーザが「動作仕様テーブル」から動作仕様を選択すると(ステップ113でYes)、主制御部300は、ユーザが選択した動作仕様(プロセス速度および定着温度)を画像形成装置1において設定する(ステップ114)。
【0069】
このように、本実施の形態の画像形成装置1では、ユーザは、画像形成装置1における消費電力量を削減する動作仕様の設定を選択することにより、消費電力量の削減量を判断基準として、生産性および定着性能の何れか一方を優先させた動作仕様を選択できる。
【0070】
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置1では、画像形成装置1の装置外観の一部を形成する各構造体(画像形成ユニット10、用紙供給ユニット40、排出ユニット50、読み取りユニット60、操作ユニット70、増設用紙供給ユニット80)が電源ユニット30に組み付けられて構成される。そして、電源ユニット30は、生産性および定着性能の何れか一方を優先させた、消費電力量を削減する動作仕様の選択を受け付けるように構成されている。それにより、ユーザが所望する消費電力量の削減量に応じた動作仕様での画像形成処理が行われる。
もちろん、電源ユニット30を画像形成ユニット10に内蔵させて電源供給部として機能させてもよいし、例えば、画像形成ユニット10が用紙供給ユニット40とが一体とされる等、各ユニットを完全に分離可能とする必要はない。
【符号の説明】
【0071】
1…画像形成装置、10…画像形成ユニット、30…電源ユニット、40…用紙供給ユニット、50…排出ユニット、60…読み取りユニット、70…操作ユニット、80…増設用紙供給ユニット、300…主制御部、350…電力供給部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成動作を行う機能要素を有する画像形成装置であって、
使用する電力量に応じて設定可能な動作仕様を電力削減量に対応付けて提示する提示手段と、
前記提示手段にて提示された前記動作仕様に関する選択を受け付ける受付手段と、
前記受付手段にて受け付けた前記動作仕様に従って前記機能要素を制御して画像形成を行う制御手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置は、画像形成動作を行う機能要素を有する画像形成構造体と当該画像形成構造体に組み付けられて画像形成動作に関連した動作を行う構造体とから構成され、
前記提示手段は、前記画像形成構造体および前記構造体で使用する電力量を削減した状態にて設定可能な動作仕様を電力削減量に対応付けて提示し、
前記制御手段は、前記受付手段にて受け付けた前記動作仕様に従って前記画像形成構造体および前記構造体の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記提示手段は、前記画像形成構造体および前記構造体の種類および構成内容を認識し、認識した当該画像形成構造体および当該構造体に応じて前記電力削減量の範囲を算出し、算出した当該電力削減量の範囲内で設定可能な前記動作仕様を提示することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記提示手段は、前記画像形成構造体に設けられた定着手段に設定される色材を用紙に定着するための定着温度に基づく前記電力削減量の範囲をさらに算出し、算出した当該電力削減量の範囲をさらに用いて当該定着温度と当該画像形成構造体および前記構造体を動作させる際のプロセス速度とからなる前記動作仕様を提示することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記提示手段は、画像形成に使用される用紙の種類に対応させた前記動作仕様を提示することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成構造体および前記構造体は、電源構造体に組み付けられることで電力が供給されることを特徴とする請求項2乃至5何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像形成動作を行う画像形成構造体と当該画像形成構造体での画像形成動作に関連した動作を行う構造体とが組み付けられる枠体と、
前記枠体に組み付けられた前記画像形成構造体および前記構造体に電力を供給する電力供給手段と、
前記電力供給手段から前記画像形成構造体および前記構造体に供給する電力量を削減した状態にて設定可能な動作仕様を電力削減量に対応付けて規定する規定手段と、
前記規定手段にて規定された前記動作仕様に関する選択を認識し、認識した前記動作仕様に従って前記画像形成構造体および前記構造体の動作を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする制御構造体。
【請求項8】
前記規定手段は、前記枠体に組み付けられた前記画像形成構造体および前記構造体の種類および構成内容を認識し、認識した当該画像形成構造体および当該構造体に応じて前記電力削減量の範囲を算出し、算出した当該電力削減量の範囲内で設定可能な前記動作仕様を規定することを特徴とする請求項7記載の制御構造体。
【請求項9】
前記規定手段は、前記画像形成構造体に設けられた定着手段に設定される色材を用紙に定着するための定着温度に基づく前記電力削減量の範囲をさらに算出し、算出した当該電力削減量の範囲をさらに用いて当該定着温度と当該画像形成構造体および前記構造体を動作させる際のプロセス速度とからなる前記動作仕様を規定することを特徴とする請求項8記載の制御構造体。
【請求項10】
前記規定手段は、画像形成に使用される用紙の種類に対応させた前記動作仕様を規定することを特徴とする請求項9記載の制御構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【公開番号】特開2011−65080(P2011−65080A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217613(P2009−217613)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】