説明

画像形成装置、印刷再開方法及びプログラム

【課題】画像形成装置における再印刷指定において、再印刷の指定時のオペレータの操作性を高める。
【解決手段】画像形成部において正常に画像形成が完了したページに係る完了情報を検出する完了検出手段と、画像形成部においてエラーが検出された場合に制御手段に対して画像形成を再開する再開ページを指示するための再開指示手段40と、を備え、再開指示手段40は、ページ単位で画像形成を再開するか、ジョブ単位で画像形成を再開するか、を選択的に指示可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エラー発生時のオペレータによる印刷再開手順を改善した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プロダクションプリンタ分野における高速の印刷装置においては、印刷ジョブはホストコンピュータから一括してバッチ処理にて投入される場合が多く、印刷装置における印刷量は連続して数千ページを超える印刷量となることが珍しくない。
このような大量ジョブの連続実行中に用紙ジャムエラー等が発生した場合、エラー解除後の再印刷処理が非常に重要である。
エラー解除後の再印刷処理にあたっては、印刷装置が正常排紙できなかったと判断したページから再印刷を自動的に実行することが一般的である。
【0003】
しかしながら、用紙ジャムのエラー等が発生し、ジャムを起こした紙を取り除く等のエラー解除をした際に、印刷装置が正常に排紙されたと判断した用紙であっても、用紙の汚れ、折れ、斜行等のダメージを受けている場合があり、最終出力結果として使用できず、再印刷を行いたい場合がある。
それに対し、従来、ユーザによるエラー解除が行われた後に、印刷装置及びそれにネットワーク接続されているパソコン等の端末装置で、任意の再印刷開始ページを指定する技術が既に知られている。
例えば、特許文献1には、印刷装置における用紙搬送不良等のエラーから復帰・再印刷する際に、ページ毎のビットマップイメージを圧縮・蓄積し、用紙ジャム等のエラー発生時には、エラーが発生したページ付近のイメージを印刷装置に付属する表示装置に即座に解凍・表示することにより、ビジュアルに再印刷開始ページを確認し、更には再印刷ページをユーザ側から詳細に指定させる構成が開示されている。
また、特許文献2には、印刷中のページを示す情報を管理し、用紙ジャムが発生したページを識別して、次の印刷開始時にそのページの先頭から印刷するようにした構成が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の再印刷開始ページの指定方法では、印刷装置付属の表示装置や印刷装置にネットワーク接続されたパソコン等の端末装置の画面上に、印刷装置が正常に排紙されたと判断したページの次のページを、推奨する再印刷開始ページとして画像表示し、ユーザによる再開ページの確認を行い、必要に応じて、表示しているページを前後にスクロールさせることで、同一印刷ジョブ内での任意ページ指定、または、ジョブの区切りを無視することで複数ジョブに渡って再開ページを指定することを可能にし、推奨再開ページよりも再開ページを戻すことを可能にしているに過ぎなかった。
具体的に説明すると、プロダクションプリンタ分野での業務として、1印刷ジョブが数ページで構成されている印刷ジョブを大量に印刷する業務が少なくない。
【0005】
例えば、多数の顧客に対する請求書などであり、これらは、1ジョブは数ページであることが多いが、ページ数は可変であり、かつ、ジョブ数は膨大である。このような業務において、用紙ジャムが発生し、再印刷を行う場合、ジョブの途中からの再印刷ではなく、ジョブの切れ目、言い換えると当該再印刷ページを含んだ印刷ジョブの先頭からの再印刷を行うことで、出力結果の確認を容易にすることが望まれるが、複数ジョブに渡って再開ページを戻すことができないために、後で必要なジョブのみをオペレータが選択し、再度印刷指定する必要が発生したり、または、複数ジョブに渡って再開ページを戻すことが可能な場合でも、ジョブの切れ目の確認はオペレータの作業となってしまうため、判断材料が不足し、作業が煩雑になるという問題があった。
加えて、数ページで構成されたジョブの大量印刷の場合(連続紙)では、数ジョブがジャムにより再印刷を余儀なくされるケースがある。この場合、ページ単位やジョブ単位での印刷指定について、オペレータがどこから印刷すべきか判断に迷うことが予想される。
このとき、従来のように、再開ページを表示しているのでは、迅速な判断ができない場合がある。
【0006】
上記の問題点を鑑みて、本発明は、複数の印刷ジョブを連続して印刷することが可能なプリンタで、用紙ジャム発生時の再印刷において、従来から準備されている印刷装置が正常排紙したと判断したページの次のページからの再印刷、および、再印刷開始ページのページ単位での指定、ジョブ単位での再印刷指定において、再印刷の指定時のオペレータの操作性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、入力された印刷ジョブに含まれるページの情報に従って、用紙に対して画像形成を行う画像形成部と、該画像形成部における画像形成を制御し、前記画像形成部において正常に画像形成が完了したページに係る完了情報を検出する制御手段と、前記画像形成部において発生したエラーを検出するエラー検出手段と、前記エラー検出手段によりエラーが検出された場合、前記制御手段に対して画像形成を再開する再開ページを指示するための再開指示手段と、を備え、前記再開指示手段は、ページ単位で画像形成を再開するか、ジョブ単位で画像形成を再開するか、を選択的に指示可能である画像形成装置を特徴とする。
本発明によれば、印刷装置で用紙ジャム等の再印刷が必要なエラーが発生した場合の再印刷処理に関わるオペレータの再開方法および再開箇所の決定の負担を軽減し、業務効率を高めることができる。
また、請求項2の発明は、当該画像形成装置の外部又は内部に設けた、情報の表示及び前記制御手段への命令の入力が可能な表示入力装置を備え、前記再開指示手段は、ページ単位で再開ページを指示するための情報と、印刷ジョブ単位で再開ページを指示するための情報と、を前記表示入力装置に表示し、前記表示入力装置により再開ページを設定させ、前記制御手段は、当該設定された再開ページから画像形成を再開するように前記画像形成部を制御する画像形成装置を特徴とする。
本発明によれば、表示入力装置に再開ページを指示するための情報を表示して、設定を行わせることで、オペレータの使い勝手を向上出来る。
【0008】
また、請求項3の発明は、前記ページ単位で再開ページを指示するための情報は、ページ単位で表示を切替可能なページ画像であり、前記印刷ジョブ単位で再開ページを指示するための情報は、ジョブ単位で表示を切り替え可能なページ画像であることを特徴とする。
本発明によれば、表示入力装置に再開ページを指示するための情報を表示して、設定を行わせることで、オペレータの使い勝手を向上出来る。
また、請求項4の発明は、前記表示入力装置は、前記画像形成装置に備えた操作パネルである請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像形成装置を特徴とする。
本発明によれば、画像形成装置に備えた操作パネルにより、簡便に印刷再開操作が可能である。
【0009】
また、請求項5の発明は、前記表示入力装置は、印刷ジョブを当該画像形成装置に入力する外部装置である請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像形成装置を特徴とする。
本発明によれば、パソコン等の外部装置から、遠隔からでも印刷再開操作が可能である。
また、請求項6の発明は、前記再開指示手段は、前記ページ単位で再開ページを指示するための情報として、前記完了情報に係るページの次のページに係る情報を初期表示する請求項1乃至5の何れか一項に記載の画像形成装置を特徴とする。
【0010】
また、請求項7の発明は、当該画像形成装置は、各ページの識別情報と、各ページが含まれる印刷ジョブの識別情報と、を関連付けて記憶し、前記再開指示手段は、ジョブ単位で再開ページを指示するための情報として、前記完了ページに係るページが含まれる印刷ジョブに係る情報を初期表示する請求項1乃至6の何れか一項に記載の画像形成装置を特徴とするを特徴とする。
また、請求項8の発明は、ブョブ単位で再開ページを指示する場合の情報は、前記印刷ジョブの名称又は/及びページ数を含む請求項1乃至7の何れか一項に記載の画像形成装置を特徴とする。
【0011】
また、請求項9の発明は、用紙に対して画像形成を行う画像形成部における画像形成を制御し、前記画像形成部において正常に画像形成が完了したページに係る完了情報を検出する制御手段と、前記画像形成部において発生したエラーを検出するエラー検出手段と、前記エラー検出手段によりエラーが検出された場合、前記制御手段に対して画像形成を再開する再開ページを指示するための再開指示手段と、を備えた画像形成装置における印刷再開方法であって、前記エラー検出手段によりエラーが検出された場合、前記再開指示手段が、ページ単位で再開ページを指示するための情報として、前記完了情報に係るページの次のページに係る情報を表示入力装置に初期表示するステップと、前記再開指示手段が、ジョブ単位で再開ページを指示するための情報として、前記完了ページに係るページが含まれる印刷ジョブに係る情報を表示入力装置に初期表示するステップと、前記制御手段が、前記表示入力装置により設定された再開ページから画像形成を再開するように前記画像形成部を制御するステップと、を含む印刷再開方法を特徴とする。
本発明によれば、印刷装置で用紙ジャム等の再印刷が必要なエラーが発生した場合の再印刷処理に関わるオペレータの再開方法および再開箇所の決定の負担を軽減し、業務効率を高めることができる。
また、請求項10の発明は、請求項9に記載の印刷再開方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、印刷装置で用紙ジャム等の再印刷が必要なエラーが発生した場合の再印刷処理に関わるオペレータの再開方法および再開箇所の決定の負担を軽減し、業務効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る印刷装置の全体構成例を示す図。
【図2】図1の印刷機構部の概略構成を示す図。
【図3】図1の印刷制御部における、リカバリ印刷処理を行うための各機能部を示したブロック図。
【図4】図2に示す印刷制御部によるリカバリ印刷処理を説明するフローチャート。
【図5】ページIDとジョブIDとの関連テーブルの例について説明する図。
【図6】用紙ジャムの発生時に表示されるリカバリ印刷方法選択画面の例を示す図。
【図7】用紙ジャムの発生時に表示されるリカバリ印刷方法選択画面の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
上記記載の本発明の特徴について、以下の図面を用いて詳細に解説する。
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷装置の全体構成例を示す図である。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る印刷装置は、印刷に用いる用紙を格納した給紙トレイ12−1〜4、図2に詳述する機構を備え、用紙に対してトナー像を形成する印刷機構部(画像形成部)15、本印刷装置、特に印刷機構部15におけるにおける印刷動作を制御する印刷制御部16、例えばタッチパネルから構成され、オペレータに情報を表示し、且つ印刷装置を操作するためのインターフェイスを提供する操作パネル17、および、印刷結果(トナー像が形成された用紙)が排紙されるスタッカ20−1〜4で構成される。
なお、図1に示したのはカット紙印刷装置の例であるが、本発明を適用する印刷装置は、給紙トレイおよびスタッカを各1個有する連続紙印刷装置であってもよい。
【0015】
図2は、図1に示す印刷機構15の概略構成例を示す図である。
図2において、画像形成装置(印刷装置)の画像形成プロセスは感光体である感光体ドラム1Y、1C、1M、1Bk上に電荷を印加して一様に帯電させる。
この帯電された表面に、図示してない露光装置からレーザを照射することにより、感光体ドラム1Y、1C、1M、1Bkの一部を露光、除電して形成された静 電潜像に、現像装置2Y、2C、2M、2Bkの現像ローラ3Y、3C、3M、3Bk上のトナーを移動させ、トナー画像とする。
カラー画像形成装置の場合に、画像形成部(感光体ドラム1Y、1C、1M、1Bkと現像装置2Y、2C、2M、2Bkとの1組)は、ブラックトナー、イエロートナー、シアントナー、マゼンタトナーの4つのトナーを図2のように並べるか又は1つの感光体ドラムに4つの現像装置を配置するなどしてトナー画像を形成する。感光体ドラム上に形成されたトナー画像は、対向した転写装置4の中間転写ベルト5上に転写される。
【0016】
中間転写ベルト5は、支持ローラと兼用する2次転写バイアスローラ6及び支持ローラ7で張架され、図示の実施の形態では反時計回りに回転可能となっている。感光体ドラム1Y、1C、1M、1Bk上にトナー像が形成されると、各色に対応して1次転写ローラ8Y、8C、8M、8Bkに電圧が印加され、感光体ドラム1Y、1C、1M、1Bk上のトナー像が中間転写ベルト5上に順次転写されていく。
中間転写ベルト5の内側には上述の支持ローラを兼ねる2次転写バイアスローラ6を配置しており、この2次転写バイアスローラ6に中間転写ベルト5を挟んで対向して2次転写ユニット9が配置されている。
【0017】
2次転写部の上流には、転写紙搬送装置の一部であるレジストローラ対10が配置されている。このレジストローラ対10は図1に示す給紙トレイ12−1〜4の何れかからから搬送された転写紙をいったん止めて保持し、この転写紙を転写タイミング、すなわち、転写動作の準備が終わるまで待機させる。
レジストローラ対10は中間転写ベルト5上へのトナー画像に合わせた転写タイミングで駆動し、2次転写ユニット9と中間転写ベルト5で形成されたトナー画像は2次転写ユニット9を通過し、転写紙に転写される。
転写装置の下流には、搬送装置を兼ねた定着装置11が配置されている。この定着装置11においてトナー画像を熱及び圧力で定着された転写紙は図示してない排紙ローラを通ってスタッカ20−1〜4の何れかに排出される。
【0018】
図3は、図1における印刷制御部16における、リカバリ印刷処理を行うための各機能部を示したブロック図である。
印刷制御部16は、ネットワークに接続されたパソコン等のホスト装置50から印刷ジョブを受信して、ジョブ単位でジョブデータ記憶領域34に格納すると共に、ジョブに固有のジョブID(識別情報)を付与するデータ受信部30と、ジョブデータ記憶領域34からジョブ単位の印刷データを取り出し、ページ単位のビットマップデータを作成し、ページ単位でページデータ記憶領域35に格納すると共に、各ページに固有のページID(識別情報)を付与する展開部31と、次に印刷出力すべきページデータの情報を出力制御部33に指示するページ管理部32と、ページデータ記憶領域35から順次ページ単位のビットマップデータを読み出し、印刷機構部15に対して印刷を指示する出力制御部(制御手段)33と、を備えている。
なお、各ページIDは、それぞれが属する印刷ジョブのジョブIDと関連付けされる。
【0019】
また、出力制御部33は、印刷機構部15において、ページの印刷が完了して排紙がなされると、排紙完了済ページなどの排紙完了情報を印刷機構部15から受信する。
さらに、印刷制御部16は、操作パネル17の表示を制御する操作パネル制御部37と、印刷機構部15において用紙ジャム等のエラーが発生した場合に出力されるエラー発生情報を受信することで、印刷機構部15における用紙ジャム等のエラーを検出するエラー検出部(エラー検出手段)38と、印刷中にエラー検出部38によりエラーが検出された場合に、排紙完了済ページなどの排紙完了情報に基づいて、再印刷開始ページのページIDを選択して再印刷制御部40に通知する再印刷ページ判定部39と、操作パネル制御部37に対して操作パネル17上に再印刷開始ページの情報をページデータ記憶領域35から取得・表示させ、リカバリ印刷を出力制御部33に指示する再印刷制御部(再開指示手段)40と、を備えている。
【0020】
オペレータは、操作パネル17上に表示された再印刷開始ページ情報を基に再印刷を開始したいページを選択することで、再印刷制御部40へ再印刷開始ページを指示することができる。
なお、操作パネル17に表示される再印刷開始ページ情報については、図5、図6を用いて、後に詳述する。
【0021】
再印刷制御部40は、操作パネル17により指示された再印刷開始ページの情報に基づいて再印刷開始ページIDを選択し、出力制御部33へ印刷指示を発行し、出力制御部33はページデータ記憶領域35から該当するページのビットマップデータを取り出し、印刷機構部15へ印刷指示を行う。
なお、以上の説明において、各制御部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)など集積回路を用いてハードウェアによって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)によって実行されるソフトウェアによって実装してもよい。この場合、印刷制御部16は、印刷装置の制御のためのプログラムを実行するCPUと、該プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、CPUによる実行のためにプログラム及びデータを展開するための作業領域となるRAM(Random Access Memory)を少なくとも備える。
【0022】
図4は、図3に示す印刷制御部によるリカバリ印刷処理を説明するフローチャートである。
図3、図4を用いて、本発明に特徴的なリカバリ印刷処理の流れを説明する。
データ受信部30は、ネットワークなどで接続された外部のホスト装置50から印刷ジョブを受信(ステップS11)すると、そのジョブに固有のジョブIDを割り当て(ステップS12)、プリンタ内部(ジョブデータ記憶領域34)に蓄積する(ステップS13)。
このジョブIDは、プリンタ内部での処理に使用するIDであり、一般的に印刷装置は、外部のホスト装置からの受信順に印刷を実行するものであるため、受信順に昇順に割り当てられることが望ましい。
しかしながら、印刷優先度を認識して印刷順序を受信順序以外の方法で決定する機能を持つ印刷装置においては、受信順IDと印刷順IDを別個に割り当て、印刷順IDを使用してリカバリ印刷のジョブ順序を決定しても良い。
次に、展開部31は、ジョブデータ記憶領域に蓄積された印刷ジョブを読み出し(ステップS14)、ページ単位のビットマップイメージに展開し(ステップS15)、展開したビットマップイメージ単位にページIDを割り当てる(ステップS16)。割り当てられたページIDは、全て該当するジョブIDとも関連付けられ(ステップS17)、ページデータ記憶領域35に格納(ステップS18)される。
【0023】
図5は、ジョブIDとページIDを関連づけたテーブルを示す図である。
上記したようにページIDは、ページ単位で割り当てられ、複数のジョブに渡って連番で付与されるものとする。
例えば、印刷装置の電源ON後、1から連続した自然数を割り当てるものとする。これにより、ジョブの切れ目に依存することなくページ単位での認識が可能であり、リカバリ印刷開始ページの指定を複数のジョブにまたがって選択することが可能となる。
【0024】
一方、ジョブIDは、ジョブ単位で割り当てられ、連番、例えば、印刷装置の電源ON後、1から連続した自然数を割り当てるものとする。
図5に示すテーブルにおいて、例えば、ページID=32(符号50)が指定された場合、該当するジョブIDが10(符号51)であり、また、ジョブID=10のジョブの先頭ページのIDが31(符号52)であることが認識可能である。
これにより、ページID=32(符号50)のページを含むジョブの先頭からリカバリ印刷をする場合、ページID=31(符号52)からリカバリ印刷すれば良いことを判断することができる。
なお、このテーブルは、ページデータ記憶領域35に格納されることが望ましいが、ジョブデータ記憶領域34に格納されても、これらの記憶領域とは別に設けられた専用の記憶領域に格納されてもよい。
【0025】
図4に戻り、出力制御部33は、ページデータ記憶領域35に格納されたビットマップイメージを読み出し(ステップS19)、印刷機構部15に対して印刷指示を行い印刷実行(ステップS20)する。これにより、1ページ分の印刷が完了する。
ここで、印刷機構部15(図3)において用紙ジャム等のエラーが発生していなければ(ステップS21でNO)、印刷ジョブが終了する(ステップS22でYes)までビットマップイメージの読み出し(ステップS19)と印刷実行(ステップS20)とを繰り返す。
ジョブ全体の印刷を完了すると、(ステップS22でYes)、出力制御部33は、ページデータ記憶領域35に蓄積したビットマップイメージを削除し(ステップS23)、ページIDとジョブIDの関連テーブルからIDを削除し(ステップS24)、印刷処理を完了する。
【0026】
次に、印刷ジョブの実行中に、印刷機構部15において用紙ジャム等のエラーが発生しており、印刷機構部15からのエラー発生情報をエラー検出部38が受信した場合(ステップS21でYes)を説明する。
ここで、エラー時再印刷指定が無い場合(ステップS25でNo)、再印刷は不要である。従って、用紙ジャムの修復作業が完了していれば(ステップS33でYes)、出力制御部33は、直ちにページデータ記憶領域35から次のページのビットマップイメージを読み出し(ステップS19)、用紙ジャム等のエラーが無かった場合と同じ処理を実行する(ステップS20〜24)。
エラー時再印刷指定がある場合(ステップS25でYes)、再印刷ページ判定部39は、排紙完了ページに関するID情報を取得し(ステップS26)、ジョブ単位の再印刷指定の有無を確認する(ステップS27)。
ジョブ単位のリカバリ印刷指定がある場合(ステップS27でYes)、図5に示したID関連テーブルを参照して該当ページIDを含むジョブIDを取得し(ステップS28)、ジョブIDからジョブの先頭ページID検索し、印刷再開ページIDに設定する(ステップS29)。
【0027】
この情報を基に、再印刷制御部40は、操作パネル制御部37に、設定された印刷再開ページIDに対応するビットマップイメージに関する情報を、操作パネル17上に表示させ(ステップS30)、オペレータに提示する。
オペレータにより、印刷再開ページの変更がなされた場合は(ステップS31でYes)、再度、操作パネル制御部37から入力される変更後のページIDに対応するビットマップイメージに関する情報を表示する(ステップS30)。
印刷再開ページの変更が無く(ステップS31でNo)オペレータによる印刷再開指示があった場合は(ステップS32でYes)、用紙ジャム修復完了を確認し(ステップS32)、用紙ジャムの修復完了が確認されれば(ステップS32でYes)、再印刷制御部40は、出力制御部33に、印刷再開ページIDに基づく再印刷を指示する。
【0028】
出力制御部33は、印刷再開ページIDに対応するビットマップイメージをページデータ記憶領域35から読み出し(ステップS19)、ジョブの印刷が完了するまで印刷を実行し(ステップS20〜24)、次のジョブの印刷処理に移行する。
印刷再開指示が無ければ(ステップS32でNo)、再印刷制御部40は、再開指示があるまで、再開予定ページに関する情報を操作パネル17に表示(ステップS30)したままオペレータの指示を待つ。
用紙ジャム修復作業が未完了の状態の場合(ステップS33でNo)も同様に、再印刷制御部40は、再開予定ページに関する情報を操作パネル17に表示(ステップS30)して、オペレータの指示を待つ。
尚、印刷再開するページIDに関する情報の表示先を操作パネル17としているが、印刷装置とネットワーク接続しているホスト装置50としてのPC上に、例えば、印刷装置のWEBページとして表示してもよい。
このようにすれば、印刷装置から離れた場所でも操作が可能となる。また、操作パネルの仕様に依存しない構成が可能となる。
なお、ページ単位のリカバリ印刷をする場合と、ジョブ単位のリカバリ印刷をする場合の両方のケースでの、リカバリ再開ページに関する情報を操作パネル17に並列に表示してもよい。
更には、ID関連テーブルを基に、各ジョブのジョブ名称やページ数などのジョブ情報を表示し、再印刷するジョブの選択画面を操作パネル17に表示してもよい。
このようにすることで、印刷装置で用紙ジャム等の再印刷が必要なエラーが発生した場合の再印刷処理に関わるオペレータの選択肢を増やすことができる。また、画像形成装置が有する操作パネルに選択画面を表示することで、オペレータにとっても使い勝手がよい。
【0029】
図6は、用紙ジャムの発生時に操作パネル17に表示されるリカバリ印刷方法選択画面の一例を示す図である。
図7は、図6において拡大表示ボタンが選択された結果として表示される画面例を示す図である。
なお、リカバリ印刷方法選択画面の表示は、図2に示した操作パネル制御部37によって制御される。
操作パネル17において、図中左上位置の「再印刷ページを選択してください」等のメッセージを表示するメッセージエリア61、右上位置には、はオペレータが再印刷ページの変更をしたが、元の状態に戻したい場合に使用する「初期値」ボタン62、画面中段から下には、再印刷方法を選択する「ページ単位再印刷」選択ボタン63−1および「ジョブ単位再印刷」選択ボタン63−2を表示する。
なお、これら、「ページ単位再印刷」選択ボタン63−1および「ジョブ単位再印刷」選択ボタン63−2は、互いに排他的であり、この図においては、選択されたモードはキーが反転(網掛け)表示されている。
さらに、「ページ単位再印刷」選択ボタン63−1の下方には、再開ページの画像表示領域64、再開ページを1ページ単位で前のページに戻すための「前ページ」ボタン65、同様に1ページ後のページにスキップするための「後ページ」ボタン66、再開ページの画像表示領域64に表示されているページを拡大表示するための「拡大表示」ボタン67、再開ページの画像表示領域64に表示されているページのページID表示領域68、および、ジョブID表示領域69を表示する。
【0030】
また、同様に、「ジョブ単位再印刷」選択ボタン63−2の下方には、再開ページの画像表示領域71、再開ページを1ジョブ単位で前のジョブに戻すための「前ジョブ」ボタン72、同様に1ジョブ後のジョブにスキップするための「後ジョブ」ボタン73、再開ページの画像表示領域71に表示されているページを拡大表示するための「拡大表示」ボタン74、再開ページの画像表示領域71に表示されているページのページID表示領域75、および、ジョブID表示領域76を表示する。
なお、画面左下方の「ジョブ内ページ番号」表示領域70には、ページ単位再印刷モードにおける再開ページの画像表示領域64に表示されているページのジョブ内でのページ番号が表示される。この情報は、ジョブ単位再印刷モードでは常に先頭ページが表示されており、意味を持たないため、表示されない。
また、画面右下には、再開ページを確定するための「OK」ボタン77が配置される。
いずれのモードが選択されている場合でも、「拡大表示」ボタン67、74が選択されると、図7に例示した子画面が表示される。
【0031】
ここでは、選択されているモード側の再開ページの画像表示領域64、71に表示されている画像を拡大して、画像表示領域80に表示する。
ページ画像の全てを画面上に一度に表示できない場合は、上下スクロールバー81、および、左右スクロールバー82にて画像を移動(拡大)表示することもできる。
更には、「前ページ」ボタン83および「後ページ」84ボタンにて表示画像のページを変更できる。
なお、図6は、ページ単位再印刷側の「拡大表示」67ボタンが選択された場合を示しており、ジョブ単位再印刷側の「拡大表示」ボタン74が選択された場合は、「前ページ」83および「後ページ」ボタン84は、それぞれ、「前ジョブ」および「後ジョブ」ボタンに置き換えられる。
【0032】
「ページ全体表示」および「印刷画像表示」ラジオボタン85は、排他的な選択項目であり、「ページ全体表示」が選択されている場合は、画像表示領域80にページ全体が表示されるよう調整したサイズの画像を表示し、「印刷画像表示」が選択されている場合は、当該印刷装置で設定されている解像度で画像を表示する。
画面下方には、画像表示領域80に表示されているページのページID表示領域86、および、ジョブID表示領域87を表示する。
画面右下部には、「拡大表示解除」ボタン88を表示し、このボタンが選択されると、親画面である図6の表示に戻る。
この時、図7で例示した画面で設定された再開ページまたは再開ジョブの情報は、図6の表示に反映される。
【0033】
このように、プロダクションプリンタを使用した印刷業務として少なからず存在する数ページで構成されたジョブの大量連続印刷時に、用紙ジャム等のエラーが発生し、再印刷を実行する場合、ページ単位の再印刷表示とジョブ単位の再印刷表示の両方を同じパネルに表示させたため、ジョブの切れ目を意識することなくジョブ単位又はページ単位の再印刷指定を容易に行うことができる。
従って、印刷装置で用紙ジャム等の再印刷が必要なエラーが発生した場合の再印刷処理に関わるオペレータの選択肢を増やすとともに、再開箇所の決定の負担を軽減し、業務効率を高めることができる。
【0034】
本発明の印刷装置では、再印刷処理における印刷再開ページ指定時に、印刷装置が正常排紙完了したと判断したページの次のページを推奨する印刷再開ページとして選択することも可能であるが、当該ページが属する印刷ジョブの先頭から印刷再開することも選択できる。
【符号の説明】
【0035】
1 感光体ドラム、2 現像装置、3 現像ローラ、4 転写装置、5 中間転写ベルト、6 次転写バイアスローラ、7 支持ローラ、8 1次転写ローラ、9 2次転写ユニット、10 レジストローラ対、11 定着装置、12 給紙トレイ、15 印刷機構部、16 印刷制御部、17 操作パネル、20 スタッカ、30 データ受信部、31 展開部、32 ページ管理部、33 出力制御部、34 ジョブデータ記憶領域、35 ページデータ記憶領域、37 操作パネル制御部、38 エラー検出部、39 再印刷ページ判定部、40 再印刷制御部、40 再開指示手段、50 ホスト装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0036】
【特許文献1】特開2002−137458公報
【特許文献2】特開平2−150375号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された印刷ジョブに含まれるページの情報に従って、用紙に対して画像形成を行う画像形成部と、
該画像形成部における画像形成を制御し、前記画像形成部において正常に画像形成が完了したページに係る完了情報を検出する制御手段と、
前記画像形成部において発生したエラーを検出するエラー検出手段と、
前記エラー検出手段によりエラーが検出された場合、前記制御手段に対して画像形成を再開する再開ページを指示するための再開指示手段と、を備え、
前記再開指示手段は、ページ単位で画像形成を再開するか、ジョブ単位で画像形成を再開するか、を選択的に指示可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
当該画像形成装置の外部又は内部に設けた、情報の表示及び前記制御手段への命令の入力が可能な表示入力装置を備え、
前記再開指示手段は、ページ単位で再開ページを指示するための情報と、印刷ジョブ単位で再開ページを指示するための情報と、を前記表示入力装置に表示し、前記表示入力装置により再開ページを設定させ、
前記制御手段は、当該設定された再開ページから画像形成を再開するように前記画像形成部を制御すること特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記ページ単位で再開ページを指示するための情報は、ページ単位で表示を切替可能なページ画像であり、前記印刷ジョブ単位で再開ページを指示するための情報は、ジョブ単位で表示を切り替え可能なページ画像であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記表示入力装置は、前記画像形成装置に備えた操作パネルであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記表示入力装置は、印刷ジョブを当該画像形成装置に入力する外部装置であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記再開指示手段は、前記ページ単位で再開ページを指示するための情報として、前記完了情報に係るページの次のページに係る情報を初期表示することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
当該画像形成装置は、各ページの識別情報と、各ページが含まれる印刷ジョブの識別情報と、を関連付けて記憶し、
前記再開指示手段は、ジョブ単位で再開ページを指示するための情報として、前記完了ページに係るページが含まれる印刷ジョブに係る情報を初期表示することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
ジョブ単位で再開ページを指示する場合の情報は、前記印刷ジョブの名称又は/及びページ数を含むことを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
用紙に対して画像形成を行う画像形成部における画像形成を制御し、前記画像形成部において正常に画像形成が完了したページに係る完了情報を検出する制御手段と、前記画像形成部において発生したエラーを検出するエラー検出手段と、前記エラー検出手段によりエラーが検出された場合、前記制御手段に対して画像形成を再開する再開ページを指示するための再開指示手段と、を備えた画像形成装置における印刷再開方法であって、
前記エラー検出手段によりエラーが検出された場合、
前記再開指示手段が、ページ単位で再開ページを指示するための情報として、前記完了情報に係るページの次のページに係る情報を表示入力装置に初期表示するステップと、
前記再開指示手段が、ジョブ単位で再開ページを指示するための情報として、前記完了ページに係るページが含まれる印刷ジョブに係る情報を表示入力装置に初期表示するステップと、
前記制御手段が、前記表示入力装置により設定された再開ページから画像形成を再開するように前記画像形成部を制御するステップと、を含むこと特徴とする印刷再開方法。
【請求項10】
請求項9に記載の印刷再開方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−192672(P2012−192672A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59105(P2011−59105)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】