画像形成装置、印刷方法及び印刷プログラム
【課題】1ジョブ内の連続する印刷ページや複数ジョブ間にまたがる印刷ページにおいて、連続する前後の印字ページを印字情報の欠落なく1のページに収めて印刷出力するとともに、出力用紙の節約度をより向上させる画像形成装置等を提供する。
【解決手段】本発明に係る画像形成装置は、印刷データに基づき該複数ページ分のページ画像を生成するページ画像生成手段と、印刷データが既に印字された領域である既印字領域をページ順に抽出する領域抽出手段と、空白ページ画像において空白印字領域を判定する領域判定手段と、空白ページ画像において空白印字領域内に既印字領域を印字方向に沿ってページ順に合成することによりページ画像を再生成するページ画像再生成手段と、再生成されたページ画像を前記用紙上に転写し印刷する印刷手段とを有する。
【解決手段】本発明に係る画像形成装置は、印刷データに基づき該複数ページ分のページ画像を生成するページ画像生成手段と、印刷データが既に印字された領域である既印字領域をページ順に抽出する領域抽出手段と、空白ページ画像において空白印字領域を判定する領域判定手段と、空白ページ画像において空白印字領域内に既印字領域を印字方向に沿ってページ順に合成することによりページ画像を再生成するページ画像再生成手段と、再生成されたページ画像を前記用紙上に転写し印刷する印刷手段とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、印刷方法及び印刷プログラムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置において、用紙を節約して印刷しようとするいくつかの技術が知られている。文書データの印刷を行う場合、通常、印刷対象となる文書データが入力されると、各文書の印刷原稿のレイアウトは、文書データ自体で作成されているオリジナルのレイアウトそのままに印刷される。
【0003】
しかしながら、印刷原稿のレイアウトによっては、ページの例えば上部部分のみに印字箇所が存在し、下部の大部分が白紙領域であるというページもある。そこでこの白紙領域を有効利用すべく、例えば特許文献1には、用紙中の印刷部分の比率を高め、用紙資源を効率的に利用する目的で、次のページが前のページの下方に収まる場合、前のページに詰め込んで印刷するという技術が開示されている。
【0004】
また1ページにより多くの印字情報を印刷すべく、例えば特許文献2、3には、複数の所望の文書データを所望の形態で確実に連続的に印刷できるようにする目的で、複数ジョブ印刷で、ジョブ間での両面や集約印刷を可能にする技術、また複数ジョブ印刷で、上記に加え、一連のジョブ間に別のジョブが割り込まないようにする技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載される技術においては、次のページの印字部分自体は文書データで作成されているレイアウトを崩さず保持するので、適用可能な場面としては、その次のページのレイアウト全体が前のページの白紙領域に丸々収まる場合に限られる。よって次のページの印字部分が例えば1ページ全体相当分ある場合などは、前のページの白紙領域には収まらず、印刷ページは別々に分かれてしまうので、この場合、出力用紙の節約を実現することができない。
【0006】
また特許文献2、3に記載される技術においても同様で、文書データで作成されているレイアウトを崩さずにひとつの印刷ページに収めようとするので、前ジョブの最終印字ページの空き領域(白紙領域)に、次ジョブの先頭ページ全体が収まらない場合は、印刷ページは別々に分かれてしまうので、この場合、出力用紙の節約を実現することができない。
【0007】
このように、従来の技術では、各ページのレイアウトはそのまま保持しながら各ページの印字情報を1の印刷ページに合成することが前提となっており、1ジョブのページ間の場合で前のページの白紙領域に次のページ印字部分が収まらないとき、またもしくは複数ジョブのページ間の場合で前ジョブの最終ページに次ジョブの先頭ページが収まらないときには、1のページに合成することはできず、出力用紙の節約を実現することができなかった。
【0008】
そこで本発明では上記のような問題に鑑みて、1ジョブ内の連続する印刷ページや複数ジョブ間にまたがる印刷ページにおいて、連続する前後の印字ページを印字情報の欠落なく1のページに収めて印刷出力するとともに、出力用紙の節約度をより向上させた画像形成装置、印刷方法及び印刷プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、複数ページからなる印刷データを用紙に印刷する画像形成装置であって、前記印刷データに基づき、該複数ページ分のページ画像を生成するページ画像生成手段と、前記ページ画像から、印刷データが既に印字された領域である既印字領域をページ順に抽出する領域抽出手段と、ページ画像再生成に用いられる空白ページ画像において、前記既印字領域を除いた空白印字領域を判定する領域判定手段と、前記空白ページ画像において、前記領域判定手段により判定された空白印字領域内に、前記領域抽出手段により抽出された既印字領域を、印字方向に沿って前記ページ順に合成することにより、ページ画像を再生成するページ画像再生成手段と、前記ページ画像再生成手段により再生成されたページ画像を前記用紙上に転写し印刷する印刷手段と、を有し、前記ページ画像再生成手段は、前記空白ページ画像における空白印字領域内に前記既印字領域を包含して合成できないときは、該既印字領域を該空白印字領域内に包含可能な第1既印字領域と残る第2既印字領域とに分割し、該空白印字領域内に該第1既印字領域を合成し、前記ページ画像再生成手段は、前記空白ページ画像において空白印字領域が判定されないときは、新たに生成した空白ページ画像において、前記第2既印字領域を含む既印字領域を、印字方向に沿って前記ページ順に合成することを特徴とする。
【0010】
また上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、複数ページからなる印刷データを用紙に印刷する画像形成装置における印刷方法であって、前記印刷データに基づき、該複数ページ分のページ画像を生成するページ画像生成手順と、前記ページ画像から、印刷データが既に印字された領域である既印字領域をページ順に抽出する領域抽出手順と、ページ画像再生成に用いられる空白ページ画像において、前記既印字領域を除いた空白印字領域を判定する領域判定手順と、前記空白ページ画像において、前記領域判定手順により判定された空白印字領域内に、前記領域抽出手順により抽出された既印字領域を、印字方向に沿って前記ページ順に合成することにより、ページ画像を再生成するページ画像再生成手順と、前記ページ画像再生成手順により再生成されたページ画像を前記用紙上に転写し印刷する印刷手順と、を有し、前記ページ画像再生成手順は、前記空白ページ画像における空白印字領域内に前記既印字領域を包含して合成できないときは、該既印字領域を該空白印字領域内に包含可能な第1既印字領域と残る第2既印字領域とに分割し、該空白印字領域内に該第1既印字領域を合成し、前記ページ画像再生成手順は、前記空白ページ画像において空白印字領域が判定されないときは、新たに生成した空白ページ画像において、前記第2既印字領域を含む既印字領域を、印字方向に沿って前記ページ順に合成することを特徴とする。
【0011】
また上記課題を解決するため、本発明に係る印刷プログラムは、前記印刷方法をコンピュータに実行させるための印刷プログラムである。
【0012】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、1ジョブ内の連続する印刷ページや複数ジョブ間にまたがる印刷ページにおいて、連続する前後の印字ページを印字情報の欠落なく1のページに収めて印刷出力するとともに、出力用紙の節約度をより向上させた画像形成装置、印刷方法及び印刷プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来例に係る印刷例を示す。
【図2】本実施形態に係る印刷例を示す。
【図3】本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成の一例を示す。
【図4】本実施形態に係る画像形成装置1の一実施形態の主要機能を示す機能ブロック図である。
【図5】各領域の説明図を示す。
【図6】本実施形態に係る用紙節約印刷処理を説明するフローチャートを示す。
【図7】操作パネル11の画面例を示す。
【図8】印刷データの一例を示す。
【図9】印刷データに基づくページ画像の一例を示す。
【図10】既印字領域の一例を示す。
【図11】空白ページ画像の一例(その1)を示す。
【図12】既印字領域の合成例(その1)を示す。
【図13】空白ページ画像の一例(その2)を示す。
【図14】既印字領域の合成例(その2)を示す。
【図15】空白ページ画像の一例(その3)を示す。
【図16】既印字領域の合成例(その3)を示す。
【図17】既印字領域の合成例(その4)を示す。
【図18】空白ページ画像の一例(その4)を示す。
【図19】既印字領域の合成例(その5)を示す。
【図20】空白ページ画像の一例(その5)を示す。
【図21】既印字領域の合成例(その6)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を各実施形態において図面を用いて説明する。
【0016】
[概要]
図1は、従来例に係る印刷例を示す。「印刷データ」は、画像形成装置に蓄積されていたり、印刷クライアントからネットワークを介し受信した例えば文書データである。「ページ画像」は、画像形成装置が印刷データに基づき印刷用の画像として生成(展開)したページ画像である。文書データが例えば4P(頁)で構成されている場合、文書データに対しページ画像も1対1で生成されるので、ページ画像もまた4P分生成される。「印刷用紙」は、画像形成装置によりページ画像の像が用紙上に転写され印刷された印刷済み用紙である。
【0017】
図に示されるように、文書データの印刷を行う場合、通常、印刷対象となる文書データが入力されると、各文書の印刷原稿のレイアウトは、文書データ自体で作成されているオリジナルのレイアウトそのままに印刷される。その結果、計4枚の印刷用紙が使用される。
【0018】
図2は、本実施形態に係る印刷例を示す。「印刷データ」の1つ目のジョブの1枚目(doc1 1P)を参照すると、印刷原稿のレイアウト上、そのページの上部部分のみに印字箇所が存在し、下部の大部分が白紙領域である。そこで本実施形態に係る画像形成装置においては、この白紙領域を有効利用すべく、次のページに印字すべき印刷データを前へ詰めて(繰り上げて)、ページ画像を生成してゆく。また「印刷データ」の3つ目のジョブの1枚目(doc3 1/2P)ついても、前ページに白紙領域があれば印刷方向に対して前詰めしてゆく。このとき前ページに白紙領域に収まりきらない場合には、その画像を分割し、分割画像がそれぞれページ画像の1枚目と2枚目を跨ぐように生成される。その結果、計2枚の印刷用紙が使用される(印刷用紙2枚の節約)。
【0019】
本実施形態に係る画像形成装置においては、前詰めが可能な空白領域が少しでもあれば、文書データで作成されているレイアウトを崩してでも、印字すべき印刷データを前へ詰めてページ画像を生成してゆくので、その結果、より少ない印刷用紙の使用枚数で印刷を行うことが可能となっている。例えば、個人用の一時的な内容確認用の印刷出力として文書データの印刷を行うような場合、必ずしも文書データ自体で作成されているオリジナルのレイアウトそのままに印刷される必要はないとするならば、少なくとも所望の印字情報の担保の上、より高い用紙節約の効果を得ることができる。以下詳しく説明する。
【0020】
[システム構成]
(ハードウェア)
はじめに、本実施形態に係る画像形成装置(Multifunction Peripheral)のハードウェア構成について説明する。図3は、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成の一例を示す。本実施形態に係る画像形成装置1は、操作パネル11と、記憶メディアI/F12と、コントローラ13と、データ通信I/F14と、スキャナ15と、プロッタ16と、HDD(Hard Disk Drive)17とから構成され、それぞれ相互に接続されている。
【0021】
操作パネル11は、入力装置11aと表示装置11bとを有しており、入力装置11aは、ハードキーなどで構成され、装置本体に各操作信号を入力するのに用いられる。また、表示装置11bは、ディスプレイなどで構成され、例えば画像形成動作に関する各種情報を表示する。データ通信I/F14は、インタフェース装置14aを有しており、画像形成装置をネットワークやファックスなどのデータ伝送路に接続するインタフェース14である。HDD17は、画像形成装置で取り扱われる受信文書データや読み取り画像データ、各アプリケーションにより利用されるデータなど、各種データを格納している。また、HDD17は、これらの各種データを、所定のファイルシステムやDB(Data Base)により管理している。
【0022】
HDD17に格納される各種データの中には、記録媒体12bから入力されるデータを含む。記録媒体12bは、記憶メディアI/F12が有するドライブ装置12aにセットされ各種データが記録媒体12bからドライブ装置12aを介してHDD17に格納される。
【0023】
コントローラ13は、ROM(Read Only Memory)13a、RAM(Random Access Memory)13b、及びCPU(Central Processing Unit)13cとを有しており、ROM13aは、画像形成装置が起動されるときに実行されるプログラムや各種データを格納している。また、RAM13bは、ROM13aやHDD17から読み出された各種プログラムやデータを一時保持する。更に、CPU13cは、RAM13bが一時保持しているプログラムを実行する。コントローラ13は、例えば、データ通信I/F14を介して印刷データ(文書データ)を受信した場合に、ROM13aからRAM13b上に読み出された、PDL(Page Description Language)を解釈可能なプログラム(PDLパーサ)をCPU13cにより実行し、印刷データを解釈してビットマップイメージ(ページ画像)を生成する。
【0024】
スキャナ15は、画像読取装置15aを有しており、読み取り面に配置された原稿を光学的に読み取り画像データを生成する。プロッタ16は、印刷装置16aを有しており、例えば、電子写真プロセス方式によってビットマップイメージを記録紙に印刷する。
【0025】
このように、本実施形態に係る画像形成装置1は、上記ハードウェア構成により、コピー、スキャナ、プリント、ファクシミリなど画像形成に係る基本的な機能を実現している。
【0026】
(機能ブロック)
図4は、本実施形態に係る画像形成装置1の一実施形態の主要機能を示す機能ブロック図である。画像形成装置1は、主要な機能として、通信部101、蓄積部102、ページ画像生成部103、領域抽出部104、領域判定部105、ページ画像再生成部106、印刷部107を含み構成される。
【0027】
通信部101は、ネットワークと接続され、外部装置との通信を行う通信部である。例えば通信部101は、印刷クライアント(例えばユーザPC)のプリンタドライバから印刷データ(印刷ジョブ)を受信することができる。
【0028】
蓄積部102は、印刷データを蓄積する記憶手段である。蓄積部102は、印刷データとして例えば、通信部101を介し印刷クライアントから受信したものや、画像形成装置1のスキャナで読み取られた文書データ、またもしくはFAXで受信された文書データ等々を蓄積することができる。そして例えば、操作パネル11には蓄積されている印刷データ、文書データが一覧表示されるので、ユーザの印刷指示により選択された印刷データ、文書データが印刷データとして、ページ画像生成部103に送られる。
【0029】
ページ画像生成部103は、ユーザの印刷指示により通信部101や蓄積部102から印刷データを取得すると、その印刷データに基づきページ画像を生成する。上述の如くページ画像は、画像形成装置1が印刷データに基づき画像として生成(展開)したページ画像であり、文書データが例えば4Pで構成されている場合、文書データに対しページ画像も1対1で生成されるので、ページ画像もまた4P分生成される。
【0030】
領域抽出部104は、ページ画像から、印刷データが既に印字された領域である既印字領域(既印字画像領域ともいえる)をページ順に抽出する。ここで抽出された既印字領域は、用紙節約印刷時に用いられる空白ページ画像に対し順次合成される。この点詳細は後述する。
【0031】
領域判定部105は、空白ページ画像の有効印字領域の中から、既印字領域を除いた空白印字領域を判定する。同ページ内にさらに印字が可能なスペースがあるか否かを判断するためである。ここで領域について説明すべく、図5を参照する。図に示されるように、ページ画像の例えば上下左右の一部領域(端隅)は印字不可の領域も存在するので、有効印字領域とは、ページ画像全体領域からこの印字不可の領域を除いた領域であり、要するに印字が有効な領域である。また既印字領域とは、有効印字領域のうち、データが既に印字された領域(画像領域)である。また空白印字領域は、有効印字領域のうち、既印字領域を除いた領域である。領域判定部104は、ページ画像の有効印字領域の中から、既印字領域を除いた空白印字領域を判定することにより、同ページ内にさらに印字が可能なスペースがあるか否かを判断する。
【0032】
ページ画像再生成部106は、用紙節約印刷時に用いられる空白ページ画像において、領域判定部105により判定された空白印字領域内に、領域抽出部104により抽出された既印字領域を、印字方向に沿ってページ順に合成することにより、印刷用のページ画像を再生成する。また、ページ画像再生成部106は空白ページ画像に対し既印字領域をページ順に合成してゆくが、空白印字領域内に既印字領域が収まりきらない場合には、その既印字領域を該空白印字領域内に包含可能な第1既印字領域と残る第2既印字領域とに分割し該空白印字領域内には包含可能な第1既印字領域を合成する。そしてまた空白ページ画像においてこれ以上空白印字領域が存在しないと判定されたときには、新たに生成した次の空白ページ画像において、既印字領域(第2既印字領域を含む)をページ順に合成する。この点もまた詳細は後述する。
【0033】
印刷部107は、再生成されたページ画像を印刷用紙上に転写し印刷する。この結果、ページ画像の像が用紙上に転写・定着され印刷された印刷済み用紙が画像形成装置から排紙される。
【0034】
以上これら各機能部は、実際にはCPU13cが実行する画像処理プログラムによりコンピュータに実現させるものである。
【0035】
[情報処理]
図6は、本実施形態に係る用紙節約印刷処理を説明するフローチャートを示す。適宜、図面を参照しながら以下説明する。
【0036】
S1:画像形成装置1は、「節約印刷」の指示の有無を判定する。なお、通常の「印刷」の指示である場合には、従来の通り通常に印刷データが印刷されればよい(例えば図1参照)。
【0037】
図7は、操作パネル11の画面例を示す。上述の如く蓄積部102は、印刷データとして例えば、通信部101を介し印刷クライアントから受信したものや、画像形成装置のスキャナで読み取られた文書データ、またもしくはFAXで受信された文書データ等々を蓄積している。そして画像形成装置1の操作パネル11には蓄積されている印刷データ、文書データが一覧表示されるので、ユーザが印刷したい文書を選択の上、「節約印刷」ボタンを押下すると、選択された文書が印刷データとして、ページ画像生成部103に送られる。ここでは図に示されるように、ユーザID「SUZUKI」により文書名「doc1」、「doc2」、「doc3」が選択され、「節約印刷」ボタンが押下されたものとする。
【0038】
S2:ページ画像生成部103は、ユーザの印刷指示により通信部101や蓄積部102から印刷データが送られてくるので、この印刷データを取得する。ここでは文書名「doc1」、「doc2」、「doc3」からなる3ジョブ分の印刷データが送られてくることになる。
【0039】
図8は、印刷データの一例を示す。ここで各印刷データは、図に示される印字データをそれぞれ有し、文書名「doc1」は1P(頁)、「doc2」は1P、「doc3」は2Pの印刷データからなるものであるとする。
【0040】
S3:ページ画像生成部103は、印刷データに基づきページ画像を生成する。上述の如くページ画像は、画像形成装置が印刷データに基づき画像として生成(展開)したページ画像である。
【0041】
図9は、印刷データに基づくページ画像の一例を示す。ここで、印刷データは、「doc1」は1P(頁)、「doc2」は1P、「doc3」は2Pの文書データからなるので、それぞれの印刷データに対しページ画像も1対1で生成された結果、ページ画像もまた4P分生成される。
【0042】
S4:領域抽出部104は、ページ画像生成部103により生成されたページ画像から、既印字領域(印刷データが既に印字された領域)をページ順に抽出する。ここで、既印字領域の具体的な抽出技術は従来技術等によればよい。
【0043】
図10は、既印字領域の一例を示す。ここでは各ページ画像から、既に印字された画像領域が抽出されていることが分かる。また抽出されたそれぞれの既印字領域には、ページ順に従って付番した番号1、2、3−1、3−2を付す。番号の1は1つ目のジョブ、番号の2は2つ目のジョブ、番号の3は3つ目のジョブであって、3−1は3つ目のジョブの1P目、3−2は3つ目のジョブの2P目というように意味付けて付番しておく。
【0044】
S5:ページ画像再生成部106は、用紙節約印刷時に空白ページ画像を用いることから、この空白ページ画像がメモリ上、存在するか否かを判定する。
【0045】
S6:上述S1〜4の流れにおいて、ここではまだ空白ページ画像は不存在(未生成)であるので、メモリ(例えばRAM13b)上、全領域が空白である空白ページ画像を生成する。
【0046】
図11は、空白ページ画像の一例(その1)を示す。図に示されるように、この時点においての空白ページ画像Aは、全領域が空白となっている。
【0047】
S7:領域判定部105は、現在メモリ上の空白ページ画像Aの有効印字領域の中から、既印字領域を除いた空白印字領域を判定する。同ページ内に印字が可能なスペースがあるか否かを判断するためである。空白印字領域の具体的な判定技術は従来技術等によればよい。ここで図11を参照すれば、現在メモリ上の空白ページ画像Aでは、有効印字領域内の全領域が空白印字領域であるので、本空白ページ画像Aからは空白印字領域が判定される。
【0048】
なおここでいう空白印字領域の判定とは、空白ページ画像上においての、空白印字領域の有無は勿論のこと、空白印字領域の有る場合には、その空白印字領域の領域サイズ、領域位置等を含み判定するものである。
【0049】
S8:ページ画像再生成部106は、現在メモリ上の空白ページ画像Aにおいて、S7で判定された空白印字領域内に、S4で抽出された既印字領域を、印字方向に沿ってページ順に合成することにより、ページ画像を再生成する。
【0050】
図12は、既印字領域の合成例(その1)を示す。図に示されるように、この時点においてページ順序が早い番号1の既印字領域が、空白ページ画像の既印字領域に合成(挿入)される。
【0051】
S9:ページ画像再生成部106は、S8で空白印字領域内に既印字領域は収まったかどうかを判定する。空白印字領域に対し既印字領域の方が大きい場合、空白印字領域内に収まりきらない場合があるからである。ここでは図12の通り空白印字領域内に既印字領域は収まっているので、S10へ進む。
【0052】
S10:未合成の既印字領域が残っているか否かを判定する。未合成の既印字領域とは、ここでは例えば図12を参照すれば、番号1の既印字領域が合成済みの既印字領域であるのに対し、番号2、3−1、3−2の既印字領域が未合成の既印字領域である。よってこの場合、S7へ進む。
【0053】
再S7:領域判定部105は、現在メモリ上の空白ページ画像Aの有効印字領域の中から、既印字領域を除いた空白印字領域を判定する。
【0054】
図13は、空白ページ画像の一例(その2)を示す。図に示されるように、この時点においての空白ページ画像Aは、番号1の既印字領域を除く領域において空白印字領域が判定される。よって再びS8へ進む。
【0055】
再S8:ページ画像再生成部106は、現在メモリ上の空白ページ画像Aにおいて、再S7で判定された空白印字領域内に、S4で抽出された既印字領域を、印字方向に沿ってページ順に合成することにより、ページ画像を再生成する。なおこのとき、ページ画像間の既印字領域の区切りを識別しやすいように、ページの区切りを示す識別子を挿入しておくとよい。
【0056】
図14は、既印字領域の合成例(その2)を示す。図に示されるように、この時点において今度はページ順序が早い番号2の既印字領域が、空白ページ画像Aの既印字領域に合成(挿入)される。なおまた、ページ画像間の既印字領域の区切りを識別しやすいよう、ページの区切りを示す識別子(例えば[doc1 End]等)が挿入されていることが分かる。ここで、上述の付番ルールに基づけば、その番号から文書データが切り替わっていることを認識し、識別子を挿入できる。
【0057】
再S9:ページ画像再生成部106は、再S8で空白印字領域内に既印字領域は収まったかどうかを判定する。ここでは図14の通り空白印字領域内に既印字領域は収まっているので、S10へ進む。
【0058】
再S10:未合成の既印字領域が残っているか否かを判定する。未合成の既印字領域とは、ここでは例えば図14を参照すれば、番号3−1、3−2の既印字領域が未合成の既印字領域である。よってこの場合、S7へ進む。
【0059】
再S7:領域判定部105は、現在メモリ上の空白ページ画像Aの有効印字領域の中から、既印字領域を除いた空白印字領域を判定する。
【0060】
図15は、空白ページ画像の一例(その3)を示す。図に示されるように、この時点においての空白ページ画像Aは、番号1及び番号2の既印字領域を除く領域において空白印字領域が判定される。よって再びS8へ進む。
【0061】
再S8:ページ画像再生成部106は、現在メモリ上の空白ページ画像Aにおいて、再S7で判定された空白印字領域内に、S4で抽出された既印字領域を、印字方向に沿ってページ順に合成することにより、ページ画像を再生成する。
【0062】
図16は、既印字領域の合成例(その3)を示す。図に示されるように、この時点において今度はページ順序が早い番号3−1の既印字領域が、空白ページ画像Aの既印字領域に合成(挿入)される。なおまた上述と同様に、ページ画像間の既印字領域の区切りを識別しやすいよう、ページの区切りを示す識別子(例えば[doc2 End]等)が挿入されていることが分かる。
【0063】
再S9:ページ画像再生成部106は、再S8で空白印字領域内に既印字領域は収まったかどうかを判定する。ここでは図16の通り空白印字領域内に既印字領域は収まっていないので、S11へ進む。
【0064】
S11:ページ画像再生成部106は、空白印字領域内に既印字領域は収まっていない場合には、その既印字領域の分割を行う。その既印字領域を空白印字領域内に包含可能な第1既印字領域と残る第2既印字領域とに分割し、その空白印字領域内には包含可能な第1既印字領域を合成する。
【0065】
図17は、既印字領域の合成例(その4)を示す。図に示されるように、番号3−1の既印字領域が分割され、空白印字領域内に包含可能な第1既印字領域のみが、空白ページ画像Aの空白印字領域内に合成される。なお残る第2既印字領域については、未合成の既印字領域であるので、図の通り番号3−1−2(3−1を分割した2つ目)を付番したまま残しておく。
【0066】
再S10:未合成の既印字領域が残っているか否かを判定する。未合成の既印字領域とは、ここでは例えば図17を参照すれば、番号3−1−2、4の既印字領域が未合成の既印字領域である。よってこの場合、S7へ進む。
【0067】
再S7:領域判定部105は、現在メモリ上の空白ページ画像Aの有効印字領域の中から、既印字領域を除いた空白印字領域を判定する。
【0068】
図18は、空白ページ画像の一例(その4)を示す。図に示されるように、この時点においての空白ページ画像Aは、番号1、番号2及び番号3−1−1(3−1を分割した1つ目)の既印字領域を除く領域は存在せず、よって空白印字領域はなしと判定される。よってS12へ進む。
【0069】
S12:印刷部107は、現在メモリ上のこの空白ページ画像Aを印刷用紙上に転写し印刷する。この結果、ページ画像の像が用紙上に転写・定着され印刷された印刷済み用紙(1P目)が画像形成装置から排紙される(図2参照)。またこのとき併せて、メモリ上からこの空白ページ画像Aは削除しておく。
【0070】
S再6:S12で、メモリ上の空白ページ画像Aが印刷されたことにより、現在メモリ上には空白ページ画像は存在しないので、メモリ上、全領域が空白である新たな空白ページ画像Bを生成する(図11の空白ページ画像Aと同様のもの)。その後S7へ進む。
【0071】
再S7:領域判定部105は、現在メモリ上の空白ページ画像Bの有効印字領域の中から、既印字領域を除いた空白印字領域を判定する。現在メモリ上の空白ページ画像Bでは、有効印字領域内の全領域が空白印字領域であるので、本空白ページ画像Bからは空白印字領域が判定される。
【0072】
再S8:ページ画像再生成部106は、現在メモリ上の空白ページ画像Bにおいて、再S7で判定された空白印字領域内に、S4で抽出された既印字領域を、印字方向に沿ってページ順に合成することにより、ページ画像を再生成する。
【0073】
図19は、既印字領域の合成例(その5)を示す。図に示されるように、この時点において今度はページ順序が早い番号3−1−2の既印字領域が、空白ページ画像の既印字領域に合成(挿入)される。なおこの場合、ページ画像間の既印字領域の区切りではないので、ページの区切りを示す識別子は挿入されない。上述の付番ルールに基づけば、その番号から文書データが切り替わっていないこと、分割領域の合成であることを認識できる。
【0074】
再S9:ページ画像再生成部106は、再S8で空白印字領域内に既印字領域は収まったかどうかを判定する。ここでは図19の通り空白印字領域内に既印字領域は収まっているので、S10へ進む。
【0075】
再S10:未合成の既印字領域が残っているか否かを判定する。未合成の既印字領域とは、ここでは例えば図19を参照すれば、番号3−2の既印字領域が未合成の既印字領域である。よってこの場合、S7へ進む。
【0076】
再S7:領域判定部105は、現在メモリ上の空白ページ画像Bの有効印字領域の中から、既印字領域を除いた空白印字領域を判定する。
【0077】
図20は、空白ページ画像の一例(その5)を示す。図に示されるように、この時点においての空白ページ画像Bは、番号3−1−2の既印字領域(一部)を除く領域において空白印字領域が判定される。よって再びS8へ進む。
【0078】
再S8:ページ画像再生成部106は、現在メモリ上の空白ページ画像Bにおいて、再S7で判定された空白印字領域内に、S4で抽出された既印字領域を、印字方向に沿ってページ順に合成することにより、ページ画像を再生成する。
【0079】
図21は、既印字領域の合成例(その6)を示す。図に示されるように、この時点において今度はページ順序が早い番号3−2の既印字領域が、空白ページ画像の既印字領域に合成(挿入)される。なおこのとき、ページ画像間の既印字領域の区切りを識別しやすいように、ページの区切りを示す識別子を挿入しておく。但しここでは同一文書である「doc3」内のページの区切りであることに注意する(例えば[doc3 End]とはならない)。上述の付番ルールに基づけば、その番号から同一文書内の既印字領域の合成であることを認識できる。
【0080】
再S9:ページ画像再生成部106は、再S8で空白印字領域内に既印字領域は収まったかどうかを判定する。ここでは図21の通り空白印字領域内に既印字領域は収まっているので、S10へ進む。
【0081】
再S10:未合成の既印字領域が残っているか否かを判定する。未合成の既印字領域とは、ここでは例えば図21を参照すれば、未合成の既印字領域は残っていない(存在しない)。よってこの場合、S13へ進む。
【0082】
S13:印刷部107は、現在メモリ上のこの空白ページ画像Bを印刷用紙上に転写し印刷する。この結果、ページ画像の像が用紙上に転写・定着され印刷された印刷済み用紙(2P目)が画像形成装置から排紙される(図2参照)。またこのとき併せて、メモリ上からこの空白ページ画像は削除しておく。なおS13では最後のページ画像(ここでは2P目)が印刷されるステップであるので、ページ画像再生成部106が印刷前に最後のページの区切りを示す識別子(例えば[doc3 End]等)を挿入しておくとよい。
【0083】
[総括]
以上のように本実施形態に係る画像形成装置1は、印字可能な空白領域(空白スペース)があれば、後続する印刷データをその空白領域に詰めて印字するようにする。また前詰めが可能な空白領域が少しでもあれば、文書データで作成されているレイアウトを崩してでも、印字すべき印刷データを前へ詰めてページ画像を生成してゆくので、その結果、従来のものと比べ、より少ない印刷用紙の使用枚数で印刷を行うことが可能である。
【0084】
例えば、個人用の一時的な内容確認用の印刷出力として文書データの印刷を行うような場合、必ずしも文書データ自体で作成されているオリジナルのレイアウトそのままに印刷される必要はない。このような場合、本実施形態に係る画像形成装置1によれば、少なくとも所望の印字情報の担保の上、より高い用紙節約の効果を得ることが可能となる。
【0085】
即ち本実施形態によれば、1ジョブ内の連続する印刷ページや複数ジョブ間にまたがる印刷ページにおいて、連続する前後の印字ページを印字情報の欠落なく1のページに収めて印刷出力するとともに、出力用紙の節約度をより向上させた画像形成装置等を提供することが可能となる。なお、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 画像形成装置
11 操作部(操作パネル)
11a 入力装置
11b 表示装置
12 記憶メディアI/F
12a ドライブ装置
12b 記録媒体
13 コントローラ(部)
13a ROM
13b RAM
13c CPU
14 データ通信I/F
14a インタフェース装置
15 スキャナ
15a 画像読取装置
16 プロッタ
16a 印刷装置
17 HDD
101 通信部
102 蓄積部
103 ページ画像生成部
104 領域抽出部
105 領域判定部
106 ページ画像再生成部
107 印刷部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【特許文献1】特開2000−318230号公報
【特許文献2】特開2004−005646号公報
【特許文献3】特開平11−179993号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、印刷方法及び印刷プログラムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置において、用紙を節約して印刷しようとするいくつかの技術が知られている。文書データの印刷を行う場合、通常、印刷対象となる文書データが入力されると、各文書の印刷原稿のレイアウトは、文書データ自体で作成されているオリジナルのレイアウトそのままに印刷される。
【0003】
しかしながら、印刷原稿のレイアウトによっては、ページの例えば上部部分のみに印字箇所が存在し、下部の大部分が白紙領域であるというページもある。そこでこの白紙領域を有効利用すべく、例えば特許文献1には、用紙中の印刷部分の比率を高め、用紙資源を効率的に利用する目的で、次のページが前のページの下方に収まる場合、前のページに詰め込んで印刷するという技術が開示されている。
【0004】
また1ページにより多くの印字情報を印刷すべく、例えば特許文献2、3には、複数の所望の文書データを所望の形態で確実に連続的に印刷できるようにする目的で、複数ジョブ印刷で、ジョブ間での両面や集約印刷を可能にする技術、また複数ジョブ印刷で、上記に加え、一連のジョブ間に別のジョブが割り込まないようにする技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載される技術においては、次のページの印字部分自体は文書データで作成されているレイアウトを崩さず保持するので、適用可能な場面としては、その次のページのレイアウト全体が前のページの白紙領域に丸々収まる場合に限られる。よって次のページの印字部分が例えば1ページ全体相当分ある場合などは、前のページの白紙領域には収まらず、印刷ページは別々に分かれてしまうので、この場合、出力用紙の節約を実現することができない。
【0006】
また特許文献2、3に記載される技術においても同様で、文書データで作成されているレイアウトを崩さずにひとつの印刷ページに収めようとするので、前ジョブの最終印字ページの空き領域(白紙領域)に、次ジョブの先頭ページ全体が収まらない場合は、印刷ページは別々に分かれてしまうので、この場合、出力用紙の節約を実現することができない。
【0007】
このように、従来の技術では、各ページのレイアウトはそのまま保持しながら各ページの印字情報を1の印刷ページに合成することが前提となっており、1ジョブのページ間の場合で前のページの白紙領域に次のページ印字部分が収まらないとき、またもしくは複数ジョブのページ間の場合で前ジョブの最終ページに次ジョブの先頭ページが収まらないときには、1のページに合成することはできず、出力用紙の節約を実現することができなかった。
【0008】
そこで本発明では上記のような問題に鑑みて、1ジョブ内の連続する印刷ページや複数ジョブ間にまたがる印刷ページにおいて、連続する前後の印字ページを印字情報の欠落なく1のページに収めて印刷出力するとともに、出力用紙の節約度をより向上させた画像形成装置、印刷方法及び印刷プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、複数ページからなる印刷データを用紙に印刷する画像形成装置であって、前記印刷データに基づき、該複数ページ分のページ画像を生成するページ画像生成手段と、前記ページ画像から、印刷データが既に印字された領域である既印字領域をページ順に抽出する領域抽出手段と、ページ画像再生成に用いられる空白ページ画像において、前記既印字領域を除いた空白印字領域を判定する領域判定手段と、前記空白ページ画像において、前記領域判定手段により判定された空白印字領域内に、前記領域抽出手段により抽出された既印字領域を、印字方向に沿って前記ページ順に合成することにより、ページ画像を再生成するページ画像再生成手段と、前記ページ画像再生成手段により再生成されたページ画像を前記用紙上に転写し印刷する印刷手段と、を有し、前記ページ画像再生成手段は、前記空白ページ画像における空白印字領域内に前記既印字領域を包含して合成できないときは、該既印字領域を該空白印字領域内に包含可能な第1既印字領域と残る第2既印字領域とに分割し、該空白印字領域内に該第1既印字領域を合成し、前記ページ画像再生成手段は、前記空白ページ画像において空白印字領域が判定されないときは、新たに生成した空白ページ画像において、前記第2既印字領域を含む既印字領域を、印字方向に沿って前記ページ順に合成することを特徴とする。
【0010】
また上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、複数ページからなる印刷データを用紙に印刷する画像形成装置における印刷方法であって、前記印刷データに基づき、該複数ページ分のページ画像を生成するページ画像生成手順と、前記ページ画像から、印刷データが既に印字された領域である既印字領域をページ順に抽出する領域抽出手順と、ページ画像再生成に用いられる空白ページ画像において、前記既印字領域を除いた空白印字領域を判定する領域判定手順と、前記空白ページ画像において、前記領域判定手順により判定された空白印字領域内に、前記領域抽出手順により抽出された既印字領域を、印字方向に沿って前記ページ順に合成することにより、ページ画像を再生成するページ画像再生成手順と、前記ページ画像再生成手順により再生成されたページ画像を前記用紙上に転写し印刷する印刷手順と、を有し、前記ページ画像再生成手順は、前記空白ページ画像における空白印字領域内に前記既印字領域を包含して合成できないときは、該既印字領域を該空白印字領域内に包含可能な第1既印字領域と残る第2既印字領域とに分割し、該空白印字領域内に該第1既印字領域を合成し、前記ページ画像再生成手順は、前記空白ページ画像において空白印字領域が判定されないときは、新たに生成した空白ページ画像において、前記第2既印字領域を含む既印字領域を、印字方向に沿って前記ページ順に合成することを特徴とする。
【0011】
また上記課題を解決するため、本発明に係る印刷プログラムは、前記印刷方法をコンピュータに実行させるための印刷プログラムである。
【0012】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、1ジョブ内の連続する印刷ページや複数ジョブ間にまたがる印刷ページにおいて、連続する前後の印字ページを印字情報の欠落なく1のページに収めて印刷出力するとともに、出力用紙の節約度をより向上させた画像形成装置、印刷方法及び印刷プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来例に係る印刷例を示す。
【図2】本実施形態に係る印刷例を示す。
【図3】本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成の一例を示す。
【図4】本実施形態に係る画像形成装置1の一実施形態の主要機能を示す機能ブロック図である。
【図5】各領域の説明図を示す。
【図6】本実施形態に係る用紙節約印刷処理を説明するフローチャートを示す。
【図7】操作パネル11の画面例を示す。
【図8】印刷データの一例を示す。
【図9】印刷データに基づくページ画像の一例を示す。
【図10】既印字領域の一例を示す。
【図11】空白ページ画像の一例(その1)を示す。
【図12】既印字領域の合成例(その1)を示す。
【図13】空白ページ画像の一例(その2)を示す。
【図14】既印字領域の合成例(その2)を示す。
【図15】空白ページ画像の一例(その3)を示す。
【図16】既印字領域の合成例(その3)を示す。
【図17】既印字領域の合成例(その4)を示す。
【図18】空白ページ画像の一例(その4)を示す。
【図19】既印字領域の合成例(その5)を示す。
【図20】空白ページ画像の一例(その5)を示す。
【図21】既印字領域の合成例(その6)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を各実施形態において図面を用いて説明する。
【0016】
[概要]
図1は、従来例に係る印刷例を示す。「印刷データ」は、画像形成装置に蓄積されていたり、印刷クライアントからネットワークを介し受信した例えば文書データである。「ページ画像」は、画像形成装置が印刷データに基づき印刷用の画像として生成(展開)したページ画像である。文書データが例えば4P(頁)で構成されている場合、文書データに対しページ画像も1対1で生成されるので、ページ画像もまた4P分生成される。「印刷用紙」は、画像形成装置によりページ画像の像が用紙上に転写され印刷された印刷済み用紙である。
【0017】
図に示されるように、文書データの印刷を行う場合、通常、印刷対象となる文書データが入力されると、各文書の印刷原稿のレイアウトは、文書データ自体で作成されているオリジナルのレイアウトそのままに印刷される。その結果、計4枚の印刷用紙が使用される。
【0018】
図2は、本実施形態に係る印刷例を示す。「印刷データ」の1つ目のジョブの1枚目(doc1 1P)を参照すると、印刷原稿のレイアウト上、そのページの上部部分のみに印字箇所が存在し、下部の大部分が白紙領域である。そこで本実施形態に係る画像形成装置においては、この白紙領域を有効利用すべく、次のページに印字すべき印刷データを前へ詰めて(繰り上げて)、ページ画像を生成してゆく。また「印刷データ」の3つ目のジョブの1枚目(doc3 1/2P)ついても、前ページに白紙領域があれば印刷方向に対して前詰めしてゆく。このとき前ページに白紙領域に収まりきらない場合には、その画像を分割し、分割画像がそれぞれページ画像の1枚目と2枚目を跨ぐように生成される。その結果、計2枚の印刷用紙が使用される(印刷用紙2枚の節約)。
【0019】
本実施形態に係る画像形成装置においては、前詰めが可能な空白領域が少しでもあれば、文書データで作成されているレイアウトを崩してでも、印字すべき印刷データを前へ詰めてページ画像を生成してゆくので、その結果、より少ない印刷用紙の使用枚数で印刷を行うことが可能となっている。例えば、個人用の一時的な内容確認用の印刷出力として文書データの印刷を行うような場合、必ずしも文書データ自体で作成されているオリジナルのレイアウトそのままに印刷される必要はないとするならば、少なくとも所望の印字情報の担保の上、より高い用紙節約の効果を得ることができる。以下詳しく説明する。
【0020】
[システム構成]
(ハードウェア)
はじめに、本実施形態に係る画像形成装置(Multifunction Peripheral)のハードウェア構成について説明する。図3は、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成の一例を示す。本実施形態に係る画像形成装置1は、操作パネル11と、記憶メディアI/F12と、コントローラ13と、データ通信I/F14と、スキャナ15と、プロッタ16と、HDD(Hard Disk Drive)17とから構成され、それぞれ相互に接続されている。
【0021】
操作パネル11は、入力装置11aと表示装置11bとを有しており、入力装置11aは、ハードキーなどで構成され、装置本体に各操作信号を入力するのに用いられる。また、表示装置11bは、ディスプレイなどで構成され、例えば画像形成動作に関する各種情報を表示する。データ通信I/F14は、インタフェース装置14aを有しており、画像形成装置をネットワークやファックスなどのデータ伝送路に接続するインタフェース14である。HDD17は、画像形成装置で取り扱われる受信文書データや読み取り画像データ、各アプリケーションにより利用されるデータなど、各種データを格納している。また、HDD17は、これらの各種データを、所定のファイルシステムやDB(Data Base)により管理している。
【0022】
HDD17に格納される各種データの中には、記録媒体12bから入力されるデータを含む。記録媒体12bは、記憶メディアI/F12が有するドライブ装置12aにセットされ各種データが記録媒体12bからドライブ装置12aを介してHDD17に格納される。
【0023】
コントローラ13は、ROM(Read Only Memory)13a、RAM(Random Access Memory)13b、及びCPU(Central Processing Unit)13cとを有しており、ROM13aは、画像形成装置が起動されるときに実行されるプログラムや各種データを格納している。また、RAM13bは、ROM13aやHDD17から読み出された各種プログラムやデータを一時保持する。更に、CPU13cは、RAM13bが一時保持しているプログラムを実行する。コントローラ13は、例えば、データ通信I/F14を介して印刷データ(文書データ)を受信した場合に、ROM13aからRAM13b上に読み出された、PDL(Page Description Language)を解釈可能なプログラム(PDLパーサ)をCPU13cにより実行し、印刷データを解釈してビットマップイメージ(ページ画像)を生成する。
【0024】
スキャナ15は、画像読取装置15aを有しており、読み取り面に配置された原稿を光学的に読み取り画像データを生成する。プロッタ16は、印刷装置16aを有しており、例えば、電子写真プロセス方式によってビットマップイメージを記録紙に印刷する。
【0025】
このように、本実施形態に係る画像形成装置1は、上記ハードウェア構成により、コピー、スキャナ、プリント、ファクシミリなど画像形成に係る基本的な機能を実現している。
【0026】
(機能ブロック)
図4は、本実施形態に係る画像形成装置1の一実施形態の主要機能を示す機能ブロック図である。画像形成装置1は、主要な機能として、通信部101、蓄積部102、ページ画像生成部103、領域抽出部104、領域判定部105、ページ画像再生成部106、印刷部107を含み構成される。
【0027】
通信部101は、ネットワークと接続され、外部装置との通信を行う通信部である。例えば通信部101は、印刷クライアント(例えばユーザPC)のプリンタドライバから印刷データ(印刷ジョブ)を受信することができる。
【0028】
蓄積部102は、印刷データを蓄積する記憶手段である。蓄積部102は、印刷データとして例えば、通信部101を介し印刷クライアントから受信したものや、画像形成装置1のスキャナで読み取られた文書データ、またもしくはFAXで受信された文書データ等々を蓄積することができる。そして例えば、操作パネル11には蓄積されている印刷データ、文書データが一覧表示されるので、ユーザの印刷指示により選択された印刷データ、文書データが印刷データとして、ページ画像生成部103に送られる。
【0029】
ページ画像生成部103は、ユーザの印刷指示により通信部101や蓄積部102から印刷データを取得すると、その印刷データに基づきページ画像を生成する。上述の如くページ画像は、画像形成装置1が印刷データに基づき画像として生成(展開)したページ画像であり、文書データが例えば4Pで構成されている場合、文書データに対しページ画像も1対1で生成されるので、ページ画像もまた4P分生成される。
【0030】
領域抽出部104は、ページ画像から、印刷データが既に印字された領域である既印字領域(既印字画像領域ともいえる)をページ順に抽出する。ここで抽出された既印字領域は、用紙節約印刷時に用いられる空白ページ画像に対し順次合成される。この点詳細は後述する。
【0031】
領域判定部105は、空白ページ画像の有効印字領域の中から、既印字領域を除いた空白印字領域を判定する。同ページ内にさらに印字が可能なスペースがあるか否かを判断するためである。ここで領域について説明すべく、図5を参照する。図に示されるように、ページ画像の例えば上下左右の一部領域(端隅)は印字不可の領域も存在するので、有効印字領域とは、ページ画像全体領域からこの印字不可の領域を除いた領域であり、要するに印字が有効な領域である。また既印字領域とは、有効印字領域のうち、データが既に印字された領域(画像領域)である。また空白印字領域は、有効印字領域のうち、既印字領域を除いた領域である。領域判定部104は、ページ画像の有効印字領域の中から、既印字領域を除いた空白印字領域を判定することにより、同ページ内にさらに印字が可能なスペースがあるか否かを判断する。
【0032】
ページ画像再生成部106は、用紙節約印刷時に用いられる空白ページ画像において、領域判定部105により判定された空白印字領域内に、領域抽出部104により抽出された既印字領域を、印字方向に沿ってページ順に合成することにより、印刷用のページ画像を再生成する。また、ページ画像再生成部106は空白ページ画像に対し既印字領域をページ順に合成してゆくが、空白印字領域内に既印字領域が収まりきらない場合には、その既印字領域を該空白印字領域内に包含可能な第1既印字領域と残る第2既印字領域とに分割し該空白印字領域内には包含可能な第1既印字領域を合成する。そしてまた空白ページ画像においてこれ以上空白印字領域が存在しないと判定されたときには、新たに生成した次の空白ページ画像において、既印字領域(第2既印字領域を含む)をページ順に合成する。この点もまた詳細は後述する。
【0033】
印刷部107は、再生成されたページ画像を印刷用紙上に転写し印刷する。この結果、ページ画像の像が用紙上に転写・定着され印刷された印刷済み用紙が画像形成装置から排紙される。
【0034】
以上これら各機能部は、実際にはCPU13cが実行する画像処理プログラムによりコンピュータに実現させるものである。
【0035】
[情報処理]
図6は、本実施形態に係る用紙節約印刷処理を説明するフローチャートを示す。適宜、図面を参照しながら以下説明する。
【0036】
S1:画像形成装置1は、「節約印刷」の指示の有無を判定する。なお、通常の「印刷」の指示である場合には、従来の通り通常に印刷データが印刷されればよい(例えば図1参照)。
【0037】
図7は、操作パネル11の画面例を示す。上述の如く蓄積部102は、印刷データとして例えば、通信部101を介し印刷クライアントから受信したものや、画像形成装置のスキャナで読み取られた文書データ、またもしくはFAXで受信された文書データ等々を蓄積している。そして画像形成装置1の操作パネル11には蓄積されている印刷データ、文書データが一覧表示されるので、ユーザが印刷したい文書を選択の上、「節約印刷」ボタンを押下すると、選択された文書が印刷データとして、ページ画像生成部103に送られる。ここでは図に示されるように、ユーザID「SUZUKI」により文書名「doc1」、「doc2」、「doc3」が選択され、「節約印刷」ボタンが押下されたものとする。
【0038】
S2:ページ画像生成部103は、ユーザの印刷指示により通信部101や蓄積部102から印刷データが送られてくるので、この印刷データを取得する。ここでは文書名「doc1」、「doc2」、「doc3」からなる3ジョブ分の印刷データが送られてくることになる。
【0039】
図8は、印刷データの一例を示す。ここで各印刷データは、図に示される印字データをそれぞれ有し、文書名「doc1」は1P(頁)、「doc2」は1P、「doc3」は2Pの印刷データからなるものであるとする。
【0040】
S3:ページ画像生成部103は、印刷データに基づきページ画像を生成する。上述の如くページ画像は、画像形成装置が印刷データに基づき画像として生成(展開)したページ画像である。
【0041】
図9は、印刷データに基づくページ画像の一例を示す。ここで、印刷データは、「doc1」は1P(頁)、「doc2」は1P、「doc3」は2Pの文書データからなるので、それぞれの印刷データに対しページ画像も1対1で生成された結果、ページ画像もまた4P分生成される。
【0042】
S4:領域抽出部104は、ページ画像生成部103により生成されたページ画像から、既印字領域(印刷データが既に印字された領域)をページ順に抽出する。ここで、既印字領域の具体的な抽出技術は従来技術等によればよい。
【0043】
図10は、既印字領域の一例を示す。ここでは各ページ画像から、既に印字された画像領域が抽出されていることが分かる。また抽出されたそれぞれの既印字領域には、ページ順に従って付番した番号1、2、3−1、3−2を付す。番号の1は1つ目のジョブ、番号の2は2つ目のジョブ、番号の3は3つ目のジョブであって、3−1は3つ目のジョブの1P目、3−2は3つ目のジョブの2P目というように意味付けて付番しておく。
【0044】
S5:ページ画像再生成部106は、用紙節約印刷時に空白ページ画像を用いることから、この空白ページ画像がメモリ上、存在するか否かを判定する。
【0045】
S6:上述S1〜4の流れにおいて、ここではまだ空白ページ画像は不存在(未生成)であるので、メモリ(例えばRAM13b)上、全領域が空白である空白ページ画像を生成する。
【0046】
図11は、空白ページ画像の一例(その1)を示す。図に示されるように、この時点においての空白ページ画像Aは、全領域が空白となっている。
【0047】
S7:領域判定部105は、現在メモリ上の空白ページ画像Aの有効印字領域の中から、既印字領域を除いた空白印字領域を判定する。同ページ内に印字が可能なスペースがあるか否かを判断するためである。空白印字領域の具体的な判定技術は従来技術等によればよい。ここで図11を参照すれば、現在メモリ上の空白ページ画像Aでは、有効印字領域内の全領域が空白印字領域であるので、本空白ページ画像Aからは空白印字領域が判定される。
【0048】
なおここでいう空白印字領域の判定とは、空白ページ画像上においての、空白印字領域の有無は勿論のこと、空白印字領域の有る場合には、その空白印字領域の領域サイズ、領域位置等を含み判定するものである。
【0049】
S8:ページ画像再生成部106は、現在メモリ上の空白ページ画像Aにおいて、S7で判定された空白印字領域内に、S4で抽出された既印字領域を、印字方向に沿ってページ順に合成することにより、ページ画像を再生成する。
【0050】
図12は、既印字領域の合成例(その1)を示す。図に示されるように、この時点においてページ順序が早い番号1の既印字領域が、空白ページ画像の既印字領域に合成(挿入)される。
【0051】
S9:ページ画像再生成部106は、S8で空白印字領域内に既印字領域は収まったかどうかを判定する。空白印字領域に対し既印字領域の方が大きい場合、空白印字領域内に収まりきらない場合があるからである。ここでは図12の通り空白印字領域内に既印字領域は収まっているので、S10へ進む。
【0052】
S10:未合成の既印字領域が残っているか否かを判定する。未合成の既印字領域とは、ここでは例えば図12を参照すれば、番号1の既印字領域が合成済みの既印字領域であるのに対し、番号2、3−1、3−2の既印字領域が未合成の既印字領域である。よってこの場合、S7へ進む。
【0053】
再S7:領域判定部105は、現在メモリ上の空白ページ画像Aの有効印字領域の中から、既印字領域を除いた空白印字領域を判定する。
【0054】
図13は、空白ページ画像の一例(その2)を示す。図に示されるように、この時点においての空白ページ画像Aは、番号1の既印字領域を除く領域において空白印字領域が判定される。よって再びS8へ進む。
【0055】
再S8:ページ画像再生成部106は、現在メモリ上の空白ページ画像Aにおいて、再S7で判定された空白印字領域内に、S4で抽出された既印字領域を、印字方向に沿ってページ順に合成することにより、ページ画像を再生成する。なおこのとき、ページ画像間の既印字領域の区切りを識別しやすいように、ページの区切りを示す識別子を挿入しておくとよい。
【0056】
図14は、既印字領域の合成例(その2)を示す。図に示されるように、この時点において今度はページ順序が早い番号2の既印字領域が、空白ページ画像Aの既印字領域に合成(挿入)される。なおまた、ページ画像間の既印字領域の区切りを識別しやすいよう、ページの区切りを示す識別子(例えば[doc1 End]等)が挿入されていることが分かる。ここで、上述の付番ルールに基づけば、その番号から文書データが切り替わっていることを認識し、識別子を挿入できる。
【0057】
再S9:ページ画像再生成部106は、再S8で空白印字領域内に既印字領域は収まったかどうかを判定する。ここでは図14の通り空白印字領域内に既印字領域は収まっているので、S10へ進む。
【0058】
再S10:未合成の既印字領域が残っているか否かを判定する。未合成の既印字領域とは、ここでは例えば図14を参照すれば、番号3−1、3−2の既印字領域が未合成の既印字領域である。よってこの場合、S7へ進む。
【0059】
再S7:領域判定部105は、現在メモリ上の空白ページ画像Aの有効印字領域の中から、既印字領域を除いた空白印字領域を判定する。
【0060】
図15は、空白ページ画像の一例(その3)を示す。図に示されるように、この時点においての空白ページ画像Aは、番号1及び番号2の既印字領域を除く領域において空白印字領域が判定される。よって再びS8へ進む。
【0061】
再S8:ページ画像再生成部106は、現在メモリ上の空白ページ画像Aにおいて、再S7で判定された空白印字領域内に、S4で抽出された既印字領域を、印字方向に沿ってページ順に合成することにより、ページ画像を再生成する。
【0062】
図16は、既印字領域の合成例(その3)を示す。図に示されるように、この時点において今度はページ順序が早い番号3−1の既印字領域が、空白ページ画像Aの既印字領域に合成(挿入)される。なおまた上述と同様に、ページ画像間の既印字領域の区切りを識別しやすいよう、ページの区切りを示す識別子(例えば[doc2 End]等)が挿入されていることが分かる。
【0063】
再S9:ページ画像再生成部106は、再S8で空白印字領域内に既印字領域は収まったかどうかを判定する。ここでは図16の通り空白印字領域内に既印字領域は収まっていないので、S11へ進む。
【0064】
S11:ページ画像再生成部106は、空白印字領域内に既印字領域は収まっていない場合には、その既印字領域の分割を行う。その既印字領域を空白印字領域内に包含可能な第1既印字領域と残る第2既印字領域とに分割し、その空白印字領域内には包含可能な第1既印字領域を合成する。
【0065】
図17は、既印字領域の合成例(その4)を示す。図に示されるように、番号3−1の既印字領域が分割され、空白印字領域内に包含可能な第1既印字領域のみが、空白ページ画像Aの空白印字領域内に合成される。なお残る第2既印字領域については、未合成の既印字領域であるので、図の通り番号3−1−2(3−1を分割した2つ目)を付番したまま残しておく。
【0066】
再S10:未合成の既印字領域が残っているか否かを判定する。未合成の既印字領域とは、ここでは例えば図17を参照すれば、番号3−1−2、4の既印字領域が未合成の既印字領域である。よってこの場合、S7へ進む。
【0067】
再S7:領域判定部105は、現在メモリ上の空白ページ画像Aの有効印字領域の中から、既印字領域を除いた空白印字領域を判定する。
【0068】
図18は、空白ページ画像の一例(その4)を示す。図に示されるように、この時点においての空白ページ画像Aは、番号1、番号2及び番号3−1−1(3−1を分割した1つ目)の既印字領域を除く領域は存在せず、よって空白印字領域はなしと判定される。よってS12へ進む。
【0069】
S12:印刷部107は、現在メモリ上のこの空白ページ画像Aを印刷用紙上に転写し印刷する。この結果、ページ画像の像が用紙上に転写・定着され印刷された印刷済み用紙(1P目)が画像形成装置から排紙される(図2参照)。またこのとき併せて、メモリ上からこの空白ページ画像Aは削除しておく。
【0070】
S再6:S12で、メモリ上の空白ページ画像Aが印刷されたことにより、現在メモリ上には空白ページ画像は存在しないので、メモリ上、全領域が空白である新たな空白ページ画像Bを生成する(図11の空白ページ画像Aと同様のもの)。その後S7へ進む。
【0071】
再S7:領域判定部105は、現在メモリ上の空白ページ画像Bの有効印字領域の中から、既印字領域を除いた空白印字領域を判定する。現在メモリ上の空白ページ画像Bでは、有効印字領域内の全領域が空白印字領域であるので、本空白ページ画像Bからは空白印字領域が判定される。
【0072】
再S8:ページ画像再生成部106は、現在メモリ上の空白ページ画像Bにおいて、再S7で判定された空白印字領域内に、S4で抽出された既印字領域を、印字方向に沿ってページ順に合成することにより、ページ画像を再生成する。
【0073】
図19は、既印字領域の合成例(その5)を示す。図に示されるように、この時点において今度はページ順序が早い番号3−1−2の既印字領域が、空白ページ画像の既印字領域に合成(挿入)される。なおこの場合、ページ画像間の既印字領域の区切りではないので、ページの区切りを示す識別子は挿入されない。上述の付番ルールに基づけば、その番号から文書データが切り替わっていないこと、分割領域の合成であることを認識できる。
【0074】
再S9:ページ画像再生成部106は、再S8で空白印字領域内に既印字領域は収まったかどうかを判定する。ここでは図19の通り空白印字領域内に既印字領域は収まっているので、S10へ進む。
【0075】
再S10:未合成の既印字領域が残っているか否かを判定する。未合成の既印字領域とは、ここでは例えば図19を参照すれば、番号3−2の既印字領域が未合成の既印字領域である。よってこの場合、S7へ進む。
【0076】
再S7:領域判定部105は、現在メモリ上の空白ページ画像Bの有効印字領域の中から、既印字領域を除いた空白印字領域を判定する。
【0077】
図20は、空白ページ画像の一例(その5)を示す。図に示されるように、この時点においての空白ページ画像Bは、番号3−1−2の既印字領域(一部)を除く領域において空白印字領域が判定される。よって再びS8へ進む。
【0078】
再S8:ページ画像再生成部106は、現在メモリ上の空白ページ画像Bにおいて、再S7で判定された空白印字領域内に、S4で抽出された既印字領域を、印字方向に沿ってページ順に合成することにより、ページ画像を再生成する。
【0079】
図21は、既印字領域の合成例(その6)を示す。図に示されるように、この時点において今度はページ順序が早い番号3−2の既印字領域が、空白ページ画像の既印字領域に合成(挿入)される。なおこのとき、ページ画像間の既印字領域の区切りを識別しやすいように、ページの区切りを示す識別子を挿入しておく。但しここでは同一文書である「doc3」内のページの区切りであることに注意する(例えば[doc3 End]とはならない)。上述の付番ルールに基づけば、その番号から同一文書内の既印字領域の合成であることを認識できる。
【0080】
再S9:ページ画像再生成部106は、再S8で空白印字領域内に既印字領域は収まったかどうかを判定する。ここでは図21の通り空白印字領域内に既印字領域は収まっているので、S10へ進む。
【0081】
再S10:未合成の既印字領域が残っているか否かを判定する。未合成の既印字領域とは、ここでは例えば図21を参照すれば、未合成の既印字領域は残っていない(存在しない)。よってこの場合、S13へ進む。
【0082】
S13:印刷部107は、現在メモリ上のこの空白ページ画像Bを印刷用紙上に転写し印刷する。この結果、ページ画像の像が用紙上に転写・定着され印刷された印刷済み用紙(2P目)が画像形成装置から排紙される(図2参照)。またこのとき併せて、メモリ上からこの空白ページ画像は削除しておく。なおS13では最後のページ画像(ここでは2P目)が印刷されるステップであるので、ページ画像再生成部106が印刷前に最後のページの区切りを示す識別子(例えば[doc3 End]等)を挿入しておくとよい。
【0083】
[総括]
以上のように本実施形態に係る画像形成装置1は、印字可能な空白領域(空白スペース)があれば、後続する印刷データをその空白領域に詰めて印字するようにする。また前詰めが可能な空白領域が少しでもあれば、文書データで作成されているレイアウトを崩してでも、印字すべき印刷データを前へ詰めてページ画像を生成してゆくので、その結果、従来のものと比べ、より少ない印刷用紙の使用枚数で印刷を行うことが可能である。
【0084】
例えば、個人用の一時的な内容確認用の印刷出力として文書データの印刷を行うような場合、必ずしも文書データ自体で作成されているオリジナルのレイアウトそのままに印刷される必要はない。このような場合、本実施形態に係る画像形成装置1によれば、少なくとも所望の印字情報の担保の上、より高い用紙節約の効果を得ることが可能となる。
【0085】
即ち本実施形態によれば、1ジョブ内の連続する印刷ページや複数ジョブ間にまたがる印刷ページにおいて、連続する前後の印字ページを印字情報の欠落なく1のページに収めて印刷出力するとともに、出力用紙の節約度をより向上させた画像形成装置等を提供することが可能となる。なお、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 画像形成装置
11 操作部(操作パネル)
11a 入力装置
11b 表示装置
12 記憶メディアI/F
12a ドライブ装置
12b 記録媒体
13 コントローラ(部)
13a ROM
13b RAM
13c CPU
14 データ通信I/F
14a インタフェース装置
15 スキャナ
15a 画像読取装置
16 プロッタ
16a 印刷装置
17 HDD
101 通信部
102 蓄積部
103 ページ画像生成部
104 領域抽出部
105 領域判定部
106 ページ画像再生成部
107 印刷部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【特許文献1】特開2000−318230号公報
【特許文献2】特開2004−005646号公報
【特許文献3】特開平11−179993号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数ページからなる印刷データを用紙に印刷する画像形成装置であって、
前記印刷データに基づき、該複数ページ分のページ画像を生成するページ画像生成手段と、
前記ページ画像から、印刷データが既に印字された領域である既印字領域をページ順に抽出する領域抽出手段と、
ページ画像再生成に用いられる空白ページ画像において、前記既印字領域を除いた空白印字領域を判定する領域判定手段と、
前記空白ページ画像において、前記領域判定手段により判定された空白印字領域内に、前記領域抽出手段により抽出された既印字領域を、印字方向に沿って前記ページ順に合成することにより、ページ画像を再生成するページ画像再生成手段と、
前記ページ画像再生成手段により再生成されたページ画像を前記用紙上に転写し印刷する印刷手段と、
を有し、
前記ページ画像再生成手段は、前記空白ページ画像における空白印字領域内に前記既印字領域を包含して合成できないときは、該既印字領域を該空白印字領域内に包含可能な第1既印字領域と残る第2既印字領域とに分割し、該空白印字領域内に該第1既印字領域を合成し、
前記ページ画像再生成手段は、前記空白ページ画像において空白印字領域が判定されないときは、新たに生成した空白ページ画像において、前記第2既印字領域を含む既印字領域を、印字方向に沿って前記ページ順に合成すること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ページ画像再生成手段は、前記第1のページ画像において、ページの異なる既印字領域を印字方向に沿って前記ページ順に合成するときは、前ページの既印字領域との間に、ページの区切りを示す識別子を挿入すること、
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数ページからなる印刷データは、1の印刷ジョブにより印刷指示された1の印刷データ、又は複数の印刷ジョブにより印刷指示された複数の印刷データであること、
を特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
複数ページからなる印刷データを用紙に印刷する画像形成装置における印刷方法であって、
前記印刷データに基づき、該複数ページ分のページ画像を生成するページ画像生成手順と、
前記ページ画像から、印刷データが既に印字された領域である既印字領域をページ順に抽出する領域抽出手順と、
ページ画像再生成に用いられる空白ページ画像において、前記既印字領域を除いた空白印字領域を判定する領域判定手順と、
前記空白ページ画像において、前記領域判定手順により判定された空白印字領域内に、前記領域抽出手順により抽出された既印字領域を、印字方向に沿って前記ページ順に合成することにより、ページ画像を再生成するページ画像再生成手順と、
前記ページ画像再生成手順により再生成されたページ画像を前記用紙上に転写し印刷する印刷手順と、
を有し、
前記ページ画像再生成手順は、前記空白ページ画像における空白印字領域内に前記既印字領域を包含して合成できないときは、該既印字領域を該空白印字領域内に包含可能な第1既印字領域と残る第2既印字領域とに分割し、該空白印字領域内に該第1既印字領域を合成し、
前記ページ画像再生成手順は、前記空白ページ画像において空白印字領域が判定されないときは、新たに生成した空白ページ画像において、前記第2既印字領域を含む既印字領域を、印字方向に沿って前記ページ順に合成すること、
を特徴とする印刷方法。
【請求項5】
請求項4記載の印刷方法をコンピュータに実行させるための印刷プログラム。
【請求項1】
複数ページからなる印刷データを用紙に印刷する画像形成装置であって、
前記印刷データに基づき、該複数ページ分のページ画像を生成するページ画像生成手段と、
前記ページ画像から、印刷データが既に印字された領域である既印字領域をページ順に抽出する領域抽出手段と、
ページ画像再生成に用いられる空白ページ画像において、前記既印字領域を除いた空白印字領域を判定する領域判定手段と、
前記空白ページ画像において、前記領域判定手段により判定された空白印字領域内に、前記領域抽出手段により抽出された既印字領域を、印字方向に沿って前記ページ順に合成することにより、ページ画像を再生成するページ画像再生成手段と、
前記ページ画像再生成手段により再生成されたページ画像を前記用紙上に転写し印刷する印刷手段と、
を有し、
前記ページ画像再生成手段は、前記空白ページ画像における空白印字領域内に前記既印字領域を包含して合成できないときは、該既印字領域を該空白印字領域内に包含可能な第1既印字領域と残る第2既印字領域とに分割し、該空白印字領域内に該第1既印字領域を合成し、
前記ページ画像再生成手段は、前記空白ページ画像において空白印字領域が判定されないときは、新たに生成した空白ページ画像において、前記第2既印字領域を含む既印字領域を、印字方向に沿って前記ページ順に合成すること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ページ画像再生成手段は、前記第1のページ画像において、ページの異なる既印字領域を印字方向に沿って前記ページ順に合成するときは、前ページの既印字領域との間に、ページの区切りを示す識別子を挿入すること、
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数ページからなる印刷データは、1の印刷ジョブにより印刷指示された1の印刷データ、又は複数の印刷ジョブにより印刷指示された複数の印刷データであること、
を特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
複数ページからなる印刷データを用紙に印刷する画像形成装置における印刷方法であって、
前記印刷データに基づき、該複数ページ分のページ画像を生成するページ画像生成手順と、
前記ページ画像から、印刷データが既に印字された領域である既印字領域をページ順に抽出する領域抽出手順と、
ページ画像再生成に用いられる空白ページ画像において、前記既印字領域を除いた空白印字領域を判定する領域判定手順と、
前記空白ページ画像において、前記領域判定手順により判定された空白印字領域内に、前記領域抽出手順により抽出された既印字領域を、印字方向に沿って前記ページ順に合成することにより、ページ画像を再生成するページ画像再生成手順と、
前記ページ画像再生成手順により再生成されたページ画像を前記用紙上に転写し印刷する印刷手順と、
を有し、
前記ページ画像再生成手順は、前記空白ページ画像における空白印字領域内に前記既印字領域を包含して合成できないときは、該既印字領域を該空白印字領域内に包含可能な第1既印字領域と残る第2既印字領域とに分割し、該空白印字領域内に該第1既印字領域を合成し、
前記ページ画像再生成手順は、前記空白ページ画像において空白印字領域が判定されないときは、新たに生成した空白ページ画像において、前記第2既印字領域を含む既印字領域を、印字方向に沿って前記ページ順に合成すること、
を特徴とする印刷方法。
【請求項5】
請求項4記載の印刷方法をコンピュータに実行させるための印刷プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−82135(P2013−82135A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223846(P2011−223846)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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