説明

画像形成装置、及び、画像形成方法

【課題】 メタルインクを用いてメタリック画像の印刷を行う際に、見る角度に応じた良好な光沢感や質感を有する画像を形成する。
【解決手段】 (A)インクを噴出するヘッド部と、(B)前記ヘッド部から金属粒子を含有するメタルインクを媒体に噴出させてメタリック画像を形成させる制御部であって、形成後の前記メタリック画像をユーザーが見る際の、ユーザーの視線と前記画像とのなす角度を表す情報に基づいて、前記媒体の単位面積当たりに噴出させる前記メタルインクの量を変更する制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及び、画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから液体を噴出して媒体上にインク滴(ドット)を着弾させることで記録を行う画像形成装置が知られている。このような画像形成装置では、一般的なカラーインク(例えばKCMYの各色インク)の他に、顔料としてアルミニウム微粒子等の金属粒子を含むメタルインクを用いて印刷が行われることがある。
【0003】
メタルインクを用いたメタリック印刷では、該メタルインク中に含有される金属粒子の量の大小によって印刷物の金属光沢と色調とのバランスが変化するために、所望の色調で良好な金属光沢を有するメタリック印刷を実現することは難しかった。
【0004】
これに対して、金属粒子としてアルミニウム粉を含有するメタルインクを用いたメタリック印刷を行う場合に、メタリック画像の形状が略網目状になるように印刷を行う方法がある。そして、その網目の大きさを変えることで、印刷物(画像)中に含まれるアルミニウム粉の量をコントロールして、金属光沢の調整を行う印刷方法が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−78204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の印刷方法によれば、高画質で良好な金属光沢を有するメタリック画像を印刷することができる。このような、メタリック画像は、ビルの外壁広告や電車内の中吊り広告等、高い位置に掲示されることがある。そして、高所に設置されたメタリック画像をユーザーが斜め下側から見上げるような場合には、見る角度によって網目の大きさが異なって見えるため、メタリック画像の光沢感や質感にムラが生じているように見える。
【0007】
本発明では、メタルインクを用いてメタリック画像の印刷を行う際に、見る角度に応じた良好な光沢感や質感を有する画像を形成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための主たる発明は、(A)インクを噴出するヘッド部と、(B)前記ヘッド部から金属粒子を含有するメタルインクを媒体に噴出させてメタリック画像を形成させる制御部であって、形成後の前記メタリック画像をユーザーが見る際の、ユーザーの視線と前記画像とのなす角度を表す情報に基づいて、前記媒体の単位面積当たりに噴出させる前記メタルインクの量を変更する制御部と、を備える画像形成装置である。
【0009】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】プリンター1の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図2Aは、プリンター1の構成を表した鳥瞰図である。図2Bは、プリンター1の構成を説明する側面図である。
【図3】ヘッドの構造を説明するための断面図である。
【図4】ヘッドに設けられたノズルNzの説明図である。
【図5】図5Aはドット間引き前のメタリック画像の原画像を表す図である。図5Bは、メタリック画像でドットを縞状に間引いた場合に印刷される画像パターンの例を示す図である。図5Cは、メタリック画像が格子状になるようにドットを間引いた場合に印刷される画像パターンの例を示す図である。図5Dは、メタリック画像が市松模様状になるようにドットを間引いた場合に印刷される画像パターンの例を示す図である。
【図6】図6Aは、観察対象の画像とその画像を見る際の視点との関係(視線の角度が垂直の場合)を表す図である。図6Bは、実際に視覚に写る画像の様子を表したものである。
【図7】図7Aは、観察対象の画像とその画像を見る際の視点との関係(視線の角度が斜めの場合)を表す図である。図7Bは、実際に視覚に写る画像の様子を表したものである。
【図8】第1実施形態におけるメタリック画像の画像処理のフローを表す図である。
【図9】図9A及び図9Bは、解像度変換の概念を説明する図である。
【図10】第1実施形態におけるドット間引き処理のフローを表す図である。
【図11】視点情報の設定について説明する図である。
【図12】図12Aは、図7Aと同じ視点の条件に基づいて、ドット間引きの幅を変更した場合のメタリック画像の例を表す図である。図12Bは、当該視点からその変更後のメタリック画像を実際に見た場合に視認される画像の様子を表す図である。
【図13】図13Aは、図7Aと同じ視点の条件に基づいて、ドット間引きの間隔を変更した場合の例を表す図である。図13Bは、当該視点から変更後のメタリック画像を実際に見た場合に視認される画像の様子を表す図である。
【図14】第2実施形態で印刷対象となる画像の概念図を表す図である。
【図15】第2実施形態におけるドット間引き処理のフローを表す図である。
【図16】図16A〜図16Cは、第2実施形態において間引き画素を縞状に特定する方法を説明する図である。
【図17】第2実施形態におけるカラー画像の画像処理のフローを表す図である。
【図18】第3実施形態におけるドット間引き処理のフローを表す図である。
【図19】プリンター2の全体構成を示すブロック図である。
【図20】図20Aはプリンター2の構成を表した鳥瞰図であり、図20Bはプリンター2の構成を説明する側面図である。
【図21】図21A〜図21Cは、インクドットの形状の変化の様子について説明する図である。
【図22】第4実施形態におけるドット間引き処理のフローを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0012】
(A)インクを噴出するヘッド部と、(B)前記ヘッド部から金属粒子を含有するメタルインクを媒体に噴出させてメタリック画像を形成させる制御部であって、形成後の前記メタリック画像をユーザーが見る際の、ユーザーの視線と前記画像とのなす角度を表す情報に基づいて、前記媒体の単位面積当たりに噴出させる前記メタルインクの量を変更する制御部と、を備える画像形成装置。
このような画像形成装置によれば、メタルインクを用いてメタリック画像の印刷を行う際に、見る角度に応じた良好な光沢感や質感を有する画像を形成することができる。
【0013】
かかる画像形成装置であって、前記制御部は、前記角度が小さいほど、前記媒体と前記視線との交差する領域において単位面積当たりに噴出される前記メタルインクの量を少なくすることが望ましい。
このような画像形成装置によれば、メタリック画像を斜めの角度から見るときに生じる金属光沢のムラが目立ちにくい画像を形成することができる。
【0014】
かかる画像形成装置であって、前記制御部は、前記メタリック画像を表すメタリック画像データから、前記メタリック画像を構成する画素のうち所定の画素のデータを間引くことで、前記媒体の単位面積当たりに噴出される前記メタルインクの量を少なくすることが望ましい。
このような画像形成装置によれば、画素データを間引く際に間引きパターンを変更することによって、様々な画像を形成し、当該画像を見る角度に応じた良好な光沢感や質感を有する画像を形成することができる。
【0015】
かかる画像形成装置であって、前記メタリック画像が縞状になるように前記画素のデータが間引かれる場合に、前記制御部は、前記角度が小さいほど、前記メタリック画像の縞部分の幅が細くなるように、または、前記メタリック画像の縞と縞との間隔が広くなるように、前記画素のデータを間引く量を変更することが望ましい。
このような画像形成装置によれば、縞の線幅、または、縞の間隔を調整することで、簡単に光沢ムラを目立ちにくくすることができる。
【0016】
かかる画像形成装置であって、前記制御部は、カラー画像を表すカラー画像データにしたがって、前記ヘッド部からカラーインクを前記媒体に噴出させてカラー画像を形成し、前記カラー画像と前記メタリック画像とが重複部分を有する場合、前記カラー画像データのうち前記カラーインクを噴出させる画素と、前記メタリック画像データのうち前記メタルインクを噴出させる画素と、が互いに重複しないようにすることが望ましい。
このような画像形成装置によれば、メタリック画像とカラー画像とを同時に形成することによって、メタリックカラーの印刷を行う場合でも、全体の印刷速度を向上させることができる。
【0017】
かかる画像形成装置であって、前記制御部は、前記カラー画像を構成する画素の階調値の平均が、所定の基準階調値よりも大きい場合には、前記重複部分に噴出させる前記メタルインクの量を多くすることが望ましい。
このような画像形成装置によれば、メタリック画像とカラー画像とが重複して形成される領域において、カラー画像の色の濃さに応じて、安定した色調のメタリック画像を形成することができる。
【0018】
かかる画像形成装置であって、前記制御部は、前記メタリック画像が所定の大きさ以上の幅を有するように、前記ヘッド部から前記メタルインクを媒体に噴出させることが望ましい。
このような画像形成装置によれば、確実に金属光沢を有するようなメタリック画像を形成することができる。
【0019】
また、金属粒子を含有するメタルインクをヘッド部から媒体に噴出して、メタリック画像を形成することと、前記メタリック画像をユーザーが見る際の、ユーザーの視線と前記画像とのなす角度を表す情報に基づいて、前記媒体の単位面積当たりに噴出する前記メタルインクの量を変更することと、を有する画像形成方法が明らかとなる。
【0020】
===画像形成装置の基本的構成===
発明を実施するための画像形成装置の形態として、インクジェットプリンター(プリンター1)を例に挙げて説明する。
【0021】
<プリンター1の構成>
図1は、プリンター1の全体構成を示すブロック図である。図2Aは、本実施形態のプリンター1の構成を説明する図である。図2Bは、本実施形態のプリンター1の構成を説明する側面図である。
【0022】
プリンター1は、紙・布・フィルム等の媒体に文字や画像を形成(印刷)する画像形成装置であり、外部装置であるコンピューター110と通信可能に接続されている。
【0023】
コンピューター110にはプリンタードライバーがインストールされている。プリンタードライバーは、表示装置にユーザーインターフェイスを表示させ、アプリケーションプログラムから出力された画像データを記録データに変換させるためのプログラムである。このプリンタードライバーは、フレキシブルディスクFDやCD−ROMなどの記録媒体(コンピューターが読み取り可能な記録媒体)に記録されている。また、プリンタードライバーはインターネットを介してコンピューター110にダウンロードすることも可能である。なお、このプログラムは、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。
【0024】
コンピューター110はプリンター1に画像を印刷させるため、印刷させる画像に応じた印刷データをプリンター1に出力する画像形成装置制御部である。
【0025】
プリンター1は、搬送ユニット20と、キャリッジユニット30と、ヘッドユニット40と、検出器群50と、コントローラー60と、を有する。コントローラー60は、画像形成装置制御部であるコンピューター110から受信した印刷データに基づいて各ユニットを制御し、媒体に画像を形成させる。プリンター1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は検出結果をコントローラー60に出力する。コントローラー60は検出器群50から出力された検出結果に基づいて各ユニットを制御する。
【0026】
<搬送ユニット20>
搬送ユニット20は、媒体(例えば紙Sなど)を所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送させるためのものである。ここで、搬送方向はキャリッジの移動方向と交差する方向である。搬送ユニット20は、給紙ローラー21と、搬送モーター22と、搬送ローラー23と、プラテン24と、排紙ローラー25とを有する(図2A及び図2B)。
【0027】
給紙ローラー21は、紙挿入口に挿入された紙Sをプリンター内に給紙するためのローラーである。搬送ローラー23は、給紙ローラー21によって給紙された紙Sを記録可能な領域まで搬送するローラーであり、搬送モーター22によって駆動される。搬送モーター22の動作はプリンター側のコントローラー60により制御される。プラテン24は、記録中の紙Sを裏側から支持する部材である。排紙ローラー25は、紙Sをプリンターの外部に排出するローラーであり、記録可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。
【0028】
<キャリッジユニット30>
キャリッジユニット30は、ヘッドユニット40が取り付けられたキャリッジ31を所定の方向(以下、移動方向ともいう)に移動(「走査」とも呼ばれる)させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモーター32(CRモーターとも言う)とを有する(図2A及び図2B)。
【0029】
キャリッジ31は、移動方向(走査方向ともいう)に往復移動可能であり、キャリッジモーター32によって駆動される。キャリッジモーター32の動作はプリンター側のコントローラー60により制御される。また、キャリッジ31は、画像を記録する液体(以下、インクとも言う)を収容するカートリッジを着脱可能に保持している。
【0030】
<ヘッドユニット40>
ヘッドユニット40は、紙Sにインクを噴出するためのものである。ヘッドユニット40は、複数のノズルを有するヘッド41を備える。このヘッド41はキャリッジ31に設けられ、キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する。そして、ヘッド41が移動方向に移動中にインクを断続的に噴出することによって、移動方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が紙に形成される。
【0031】
図3は、ヘッド41の構造を示した断面図である。ヘッド41は、ケース411と、流路ユニット412と、ピエゾ素子群PZTとを有する。ケース411はピエゾ素子群PZTを収納し、ケース411の下面に流路ユニット412が接合されている。流路ユニット412は、流路形成板412aと、弾性板412bと、ノズルプレート412cとを有する。流路形成板412aには、圧力室412dとなる溝部、ノズル連通口412eとなる貫通口、共通インク室412fとなる貫通口、インク供給路412gとなる溝部が形成されている。弾性板412bはピエゾ素子PZTの先端が接合されるアイランド部412hを有する。そして、アイランド部412hの周囲には弾性膜412iによる弾性領域が形成されている。インクカートリッジに貯留されたインクが、共通インク室412fを介して、各ノズルNzに対応した圧力室412dに供給される。ノズルプレート412cはノズルNzが形成されたプレートである。
【0032】
ピエゾ素子群PZTは、櫛歯状の複数のピエゾ素子(駆動素子)を有する。ピエゾ素子はノズルNzに対応する数分だけ設けられている。ヘッド制御部HCなどが実装された配線基板(不図示)によって、ピエゾ素子に駆動信号COMが印加されると、駆動信号COMの電位に応じてピエゾ素子は上下方向に伸縮する。ピエゾ素子PZTが伸縮すると、アイランド部412hは圧力室412d側に押されたり、反対方向に引かれたりする。このとき、アイランド部412h周辺の弾性膜412iが変形し、圧力室412d内の圧力が上昇・下降することにより、ノズルからインク滴が噴出される。
【0033】
図4は、ヘッド41の下面(ノズル面)に設けられたノズルNzの説明図である。ノズル面では、イエローインクを噴出するイエローノズル列Yと、マゼンタインクを噴出するマゼンタノズル列Mと、シアンインクを噴出するシアンノズル列Cと、ブラックインクを噴出するブラックノズル列Kからなるカラーインクノズル列と、メタルインクを噴出するメタルインクノズル列Meと、が形成されている。図4に示されるようにKCMYおよびMeの各ノズル列は、各色のインクを噴出するための噴出口であるノズルNzが搬送方向に所定間隔Dにて並ぶことにより構成されている。各ノズル列は、#1〜#180の180個のノズルNzをそれぞれ備える。なお、各ノズル列における実際のノズル数は180個には限られず、例えばノズル数が90個であったり360個であったりしてもよい。また、図4において、各ノズル列は移動方向に沿って並列に並んでいるが、搬送方向に沿って縦列に並ぶような構成とすることもできる。また、KCMY−Meの各色についてそれぞれ1列ずつのノズル列を有するのではなく、各色についてそれぞれ複数のノズル列を有するような構成であってもよい。
【0034】
<検出器群50>
検出器群50は、プリンター1の状況を監視するためのものである。検出器群50には、リニア式エンコーダー51、ロータリー式エンコーダー52、紙検出センサ53、及び光学センサ54等が含まれる(図2A及び図2B)。
【0035】
リニア式エンコーダー51は、キャリッジ31の移動方向の位置を検出する。ロータリー式エンコーダー52は、搬送ローラー23の回転量を検出する。紙検出センサ53は、給紙中の紙Sの先端の位置を検出する。光学センサ54は、キャリッジ31に取付けられている発光部及び受光部により、対向する位置の紙Sの有無を検出し、例えば、移動しながら紙の端部の位置を検出し、紙の幅を検出することができる。また、光学センサ54は、状況に応じて、紙Sの先端(搬送方向下流側の端部であり、上端ともいう)または後端(搬送方向上流側の端部であり、下端ともいう)も検出できる。
【0036】
<コントローラー60>
コントローラー60は、プリンターの制御を行うための制御ユニット(制御部)である。コントローラー60は、インターフェイス部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64とを有する(図1)。
【0037】
インターフェイス部61は、外部装置であるコンピューター110とプリンター1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンター1の全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子によって構成される。そして、CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して搬送ユニット20等の各ユニットを制御する。
【0038】
<プリンターの印刷動作>
プリンター1の印刷動作について簡単に説明する。コントローラー60は、コンピューター110からインターフェイス部61を介して印刷命令を受信し、各ユニットを制御することにより、給紙処理・ドット形成処理・搬送処理等を行う。
【0039】
給紙処理は、印刷すべき紙をプリンター内に供給し、印刷開始位置(頭出し位置とも言う)に紙を位置決めする処理である。コントローラー60は、給紙ローラー21を回転させ、印刷すべき紙を搬送ローラー23まで送る。続いて、搬送ローラー23を回転させ、給紙ローラー21から送られてきた紙を印刷開始位置に位置決めする。
【0040】
ドット形成処理は、移動方向(走査方向)に沿って移動するヘッドからインクを断続的に噴出させ、紙上にドットを形成する処理である。コントローラー60は、キャリッジ31を移動方向に移動させ、キャリッジ31が移動している間に、印刷データに基づいてヘッド41に設けられたノズル列からインクを噴出させる。噴出されたインク滴が紙上に着弾すると、紙上にドットが形成され、紙上には移動方向に沿った複数のドットからなるドットラインが形成される。
【0041】
搬送処理は、紙を搬送方向に沿ってヘッドに対して相対的に移動させる処理である。コントローラー60は、搬送ローラー23を回転させて紙を搬送方向に搬送する。この搬送処理により、ヘッド41は、先ほどのドット形成処理によって形成されたドットの位置とは異なる位置に、ドットを形成することが可能になる。
【0042】
コントローラー60は、印刷すべきデータがなくなるまで、ドット形成処理と搬送処理とを交互に繰り返し、ドットラインにより構成される画像を徐々に紙に印刷する。そして、印刷すべきデータがなくなると、排紙ローラー25を回転させてその紙を排紙する。なお、排紙を行うか否かの判断は、印刷データに含まれる排紙コマンドに基づいても良い。
次の紙に印刷を行う場合は同処理を繰り返し、行わない場合は、印刷動作を終了する。
【0043】
プリンター1の印刷動作には、移動方向(走査方向)の右側(ホームポジションとする)から左側へ移動する往路時にノズルからインク滴を噴出させ、ヘッド41が移動方向の左側から右側へ移動する復路時にはノズルからインク滴を噴出させない「単方向印刷」と、往路時及び復路時にノズルからインク滴を噴出させる「双方向印刷」とがある。本実施形態で説明する印刷方法は「単方向印刷」及び「双方向印刷」のいずれの印刷動作にも対応可能である。
【0044】
===印刷に用いられるメタルインクについて===
メタルインクは、金属粒子として銀粒子やアルミ粒子等を含有する。アルミ粒子を含むメタルインクでは、印刷面に明るい金属光沢を得ることができる。しかし、アルミ粒子は酸化しやすく、時間経過と共に印刷面が白化するおそれがある。一方、銀粒子を含有するメタルインクでは、アルミ粒子を含有するインクと比べて金属光沢の色が暗くなりやすく、コストが高いという問題があるが、酸化しにくく安定性に優れるという性質を有する。印刷時に使用するメタルインクは、印刷の用途に応じて選択することができるが、本明細書の各実施形態では銀粒子を含有するメタルインクを用いた印刷について説明する。なお、以下で説明する各実施形態の印刷方法によれば、上述の銀粒子を使用する際のコストや色の暗さ等の問題も解消することができる。
【0045】
メタルインクの溶媒としては、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水などの純水または超純水が用いられる。金属粒子の分散の妨げにならない程度であれば、水中にイオン等が存在していてもよい。また、必要に応じて、界面活性剤、多価アルコール、pH調整剤、樹脂類、色材等を含有していてもよい。
【0046】
本実施形態のインク組成物に含まれる銀粒子は、銀を主成分とする粒子である。銀粒子は、例えば、副成分として、他の金属、酸素、炭素等を含んでもよい。銀粒子における銀の純度としては、例えば、80%以上とすることができる。銀粒子は、銀と他の金属との合金であってもよい。また、インク組成物中の銀粒子は、コロイド(粒子コロイド)の状態で存在していてもよい。銀粒子がコロイド状態で分散している場合は、さらに分散性が良好となり、例えばインク組成物の保存安定性の向上に寄与することができる。
【0047】
銀粒子の粒径加積曲線における粒径d90は、50nm以上1μm以下である。ここで、粒径加積曲線とは、インク組成物等の液体に分散された銀粒子について、粒子の直径、及び当該粒子の存在数を求めることができる測定を行った結果を、統計的に処理して得られる曲線の一種である。本明細書における粒径加積曲線は、粒子の直径を横軸にとり、粒子の質量(粒子を球と見なしたときの体積、粒子の密度、及び粒子数の積)について、直径の小さい粒子から大きい粒子に向かって積算した値(積分値)を縦軸にとったものである。そして、粒径d90とは、粒径加積曲線において、縦軸を規格化(測定された粒子の総質量を1と)したときに、縦軸の値が90%(0.90)となるときの、横軸の値すなわち粒子の直径のことをいう。なお、この場合の銀粒子の直径とは、銀粒子そのものの直径であってもよいし、銀粒子がコロイド状で分散している場合には、当該粒子コロイドの直径であってもよい。
【0048】
銀粒子の粒径加積曲線は、例えば、動的光散乱法に基づく粒子径分布測定装置を使用することによって求めることができる。動的光散乱法は、分散している銀粒子にレーザー光を照射し、その散乱光を光子検出器で観測するものである。一般に分散している銀粒子は、通常ブラウン運動をしている。銀粒子の運動の速度は、粒子直径の大きな粒子ほど大きく、粒子直径の小さな粒子ほど小さい。ブラウン運動をしている銀粒子にレーザー光を照射すると、散乱光において、各銀粒子のブラウン運動に対応した揺らぎが観測される。この揺らぎを測定し、光子相関法等により自己相関関数を求め、キュムラント法及びヒストグラム法解析等を用いることで銀粒子の直径や、直径に対応した銀粒子の頻度(個数)を求めることができる。特にサブミクロンサイズの銀粒子を含む試料に対しては、動的光散乱法が適しており、動的光散乱法により比較的容易に粒径加積曲線を得ることができる。動的光散乱法に基づく粒子径分布測定装置としては、例えば、ナノトラックUPA−EX150(日機装株式会社製)、ELSZ−2、DLS−8000(以上、大塚電子株式会社製)、LB−550(株式会社堀場製作所製)等が挙げられる。
【0049】
===メタリック画像について===
メタリック画像は、ヘッド41に設けられたメタルインクノズル列から前述のメタルインクを媒体に噴出させて、多数のメタルインクドットを形成することによって形成される。通常のメタリック印刷においては、画像データで示される全ての画素についてメタルインクドットが形成される。すなわち、メタリック画像はメタルインクによるベタ塗りによって形成される。しかし、本実施形態では一部の画素でメタルインクドットを間引くことにより、媒体上に存在する金属粒子の量(メタルインクの量)を調整することで、良好な金属光沢を有するメタリック画像の印刷を実現している。
【0050】
<メタリック画像のドット間引きについて>
図5A及び図5B〜図5Dに、メタリック画像のドット間引きの例について説明する図を示す。図5Aはドット間引き前のメタリック画像の原画像を表す図である。図5Bは、図5Aのメタリック画像について縞状になるようにドットを間引いた場合に印刷される画像パターンの例である。図5Cは、図5Aのメタリック画像について格子状になるようにドットを間引いた場合に印刷される画像パターンの例である。図5Dは、図5Aのメタリック画像について市松模様状になるようにドットを間引いた場合に印刷される画像パターンの例である。なお、図5B〜図5Dでは間引きパターンがわかりやすいように、ドットの間引き幅・間隔を実際よりも大きめにして、ドットの間引きパターンを認識しやすいように描いている。
【0051】
印刷開始時点における原画像の画素データではメタリック画像を構成する領域の全画素についてドットが形成されるように指示されている。つまり、図5Aに示されるように、メタルインクによるベタ塗りで長方形の図形が形成されるようなデータに基づいて印刷が開始される。プリンタードライバーは、印刷開始の指令を受領後、該画素データで示される画素のうち、所定の画素のデータを間引くことによって、前記メタルインクを噴出させる画素及び噴出させない画素を表すメタリック印刷データを生成して、図5B〜図5Dに表されるようなドットが間引かれた状態のメタリック画像を印刷させる。なお、ドットの間引きパターンは図5B〜図5D以外のパターンであってもよい。印刷データを生成する方法については後で説明する。
【0052】
メタリック画像を印刷する際に、図5Aのように全面ベタ塗りで印刷を行うと、媒体上のメタルインク量が多くなりすぎて、該インク中に含まれる金属粒子の数が過剰となる。このような状態では、形成されたメタリック画像全体が暗く見え、良好な色調の画像を得ることが難しい。
【0053】
これに対して、図5B〜図5Dに示されるように、印刷される画像から一部のドットを間引くことによって、当該画像中に含まれる金属粒子の量を調整することで、良好な色調を有するメタリック画像を形成することができるようになる。
【0054】
一方で、メタリック画像において金属光沢を維持するためには、ある程度の量の金属粒子が媒体上に存在しなくてはならない。つまり、光を反射させて金属光沢を表現するのに必要な最低限の量のメタルインクドットが形成されている必要がある。したがって、メタリック画像からメタルインクドットを間引く際に、間引き量が多すぎると、メタルインクドット数が不足して金属光沢が不十分となり、メタリック画像の画質が悪化する。
【0055】
例えば、図5Bのようにメタリック画像が縞状になるようにドットを間引く場合、ドット間引き後のメタリック画像の縞状部分の幅が所定の幅よりも細いと十分な金属光沢を得られなくなる。具体的には、縞状部分の線幅が1mmよりも細くなると、良好な金属光沢は得られない。したがって、メタリック画像からドットを間引く際には、最低1mm角の大きさの領域(メタルインクドットが形成される範囲)を確保できるようにドットを間引く必要がある。
【0056】
===比較例===
<メタリック画像を見る角度について>
前述のようにドットが間引かれた状態のメタリック画像をユーザーが見る際に、見る角度によって画像の見え方が変化する場合がある。特に、本実施形態では、メタルインクドットが部分的に間引かれているため、画像を見る角度によってその印象が大きく変化する。そこで、全体に渡ってメタルインクドットが均一に間引かれているメタリック画像で、見る角度が違う場合に当該画像の見え方がどのように異なるかについて、比較例として説明する。
【0057】
図6及び図7に、ある画像を異なる角度から観察する場合の画像の見え方について説明する図を示す。図6、図7の場合とも、観察対象とする画像は、メタルインクドットを均一な間隔で縞状に間引いた状態のメタリック画像であり、見る角度によって縞模様の間隔の変化が認識しやすいように、視線に対して水平な縞模様(横縞模様)の画像とする。
【0058】
図6Aは、観察対象の画像とその画像を見る際の視点との関係を表し、図6Bは実際に視覚に写る画像の様子を表したものである。すなわち、画像に対して視線が垂直になるように、画像の中央付近を正面から見た場合に視認される画像の様子を表している。画像正面に対して対向する視点から見ているので、当該画像の横縞模様は視線の中心(図では画像の中央部)に対して上下対称に見え、かつ、横縞模様の間隔(縞と縞との間隔)は画像のどの位置でも同等の幅に見える。図6Aに示すように、視線と縞模様の間隔とのなす角度に大きな差が生じないからである。例えば図で画像上部のm1、画像中央部付近のm2、画像下部のm3はそれぞれ同等の角度に見える。
【0059】
したがって、正面中央から見る場合、当該観察対象の画像は図6Bに示されるように均一な縞模様を有する画像として視認される。縞の線幅や線の間隔が均一に見えるので、メタリック画像の光沢や色調も画像全体に亘って均一に見える。また、画像の輪郭は図のように長方形に見える。
【0060】
なお、説明のために、図では縞模様が認識されやすいように、大きなドット間引き間隔で図示されているが、実際のメタリック画像ではドット間引き間隔をもっと細かくする場合が多い。
【0061】
次に、図7Aは、観察対象の画像とその画像を見る際の視点との関係を表し、図7Bは実際に視覚に写る画像の様子を表したものである。すなわち、画像に対して視線が斜めになるようにして、画像の中央付近を下側から見上げるような視点から見た場合に視認される画像の様子を表している。画像を斜め下側から見ているので、当該画像の横縞模様は、画像の上側部分と下側部分とで大きく異なって見える。画像を斜め下方向から見る場合、視線と画像とのなす角度は画像の上方部に行くほど徐々に小さくなる。そのため、図7Aに示されるように、視線と縞模様の間隔とのなす角度も、画像の上側(例えば図のn1)では狭く、画像の下側(例えば図のn2)では広く認識されやすい。したがって、画像の縞模様の間隔は、画像上側程(視点から遠い程)狭くなる。
【0062】
ここで、本実施形態では光を反射するメタルインクを用いて画像が形成される。人間の目で「光」を視認する場合、光は点に見えるのではなく放射状に広がって見える(例えば、暗闇で照明の光を見る場合に生じるグレア現象など)。そのため、縞部分で反射する光も広がって見える。画像上部のように縞と縞との間隔が狭い部分(狭く見える部分)では、反射光の広がりによってその間隔が肉眼では認識されにくくなり、画像下部よりも反射光が強く見える。よって、画像の上下で金属光沢や質感が変化しているように見える。
【0063】
このことは画像が大きいほど顕著である。観察対象の画像が大きいほど、視点からの距離の差(遠近の差)も大きくなるからである。したがって、屋外のビル壁面に掲載されるような巨大広告を下から見上げる場合には、メタリック画像の光沢や質感が劣化しているように見えてしまい、問題となる。
【0064】
===第1実施形態===
第1実施形態では、メタリック画像を形成する際に、見る角度に応じて最適な光沢感や質感を有するように、メタリック印刷を行う。
【0065】
上述の比較例では画像を斜め方向から見た場合に遠近の差によって、画像の金属光沢や質感に差が生じていた。そこで、本実施形態では「画像を見る角度」の情報に応じて、メタルインクドットの間引き方を変更することで、斜め方向から見た場合でも、画像全体で金属光沢が均一に見えるようにする。なお、メタリック印刷において、カラーインク(ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色インク)によるカラー画像が同時に形成されてもよいが、本実施形態ではメタリック画像とカラー画像とは重複部分を有さずに、それぞれ別個に形成されるものとする。
【0066】
<メタリック画像形成時の注意点>
本実施形態では、画像が形成された媒体と該画像を見る際の視線との交差する領域毎に、単位面積当たりに噴出される前記メタルインクの量を少なくすることで、斜めから見た場合でも金属光沢が均一に見えるようにする。このとき、画像を斜めから見る際の視線に対して横縞状に見えるように所定のメタルインクドットを間引く。例えば、画像を上下方向の角度から見る際には、水平となるようにメタルインクドットを間引き、画像を左右方向の角度から見る際には、垂直となるようにメタルインクドットを間引く。
【0067】
メタルインクドットを縞状に間引く方法としては、間引き幅を変更する方法と、間引き間隔を変更する方法とがある。例えば、図5Bのように縞状パターンでドットを間引く場合には、メタルインクで形成される縞部分の線幅を細くすることによってメタルインク量を減らす方法と、線幅を変更せずに、縞部分の線と線との間隔を広く取ることでメタルインク量を減らす方法とがある。本実施形態では、これらのどちらにも対応できるようにしている。また、線幅を変更する際には、金属光沢維持のための最低限の大きさの領域(線幅)を確保するため、前述のように線幅の最小値を設定して印刷を行う。本実施形態では、この線幅の最小値を1mmとして説明を行なう。詳細は後で説明する。
【0068】
<メタリック画像の画像処理>
第1実施形態における具体的な画像処理の方法について説明する。一般に、メタリック印刷ではメタリック画像と共にカラー画像が形成される場合もあるが、本実施形態では、メタリック画像についての画像処理を中心に説明を行う。
【0069】
図8に、第1実施形態におけるメタリック画像の画像処理のフローを示す。本実施形態において、画像処理はS101〜S106の各工程を実行することによって行われる。各工程は、コンピューター110にインストールされたプリンタードライバーからの指令に基づいて実行される。なお、プリンタードライバーをプリンター1のコントローラー60にインストールして、プリンター1自体によって画像処理が行なわれるのであってもよい。
【0070】
プリンタードライバーは、アプリケーションプログラムからメタリック画像の原画像のデータを受け取り、プリンター1が解釈できる形式の印刷データに変換して出力する。当該印刷データは画素毎にインクを噴出させる量を表すデータ(画素データ)を含み、この印刷データに従ってプリンター1のヘッドユニット40から各画素の位置にインクドットを噴出させることによって、多数のインクドットからなる画像が形成される。
【0071】
原画像のデータを印刷データに変換する際に、プリンタードライバーは、ビットマップ変換処理、ハーフトーン処理、解像度変換処理、ラスタライズ処理、などを行う。そして、後述するドット間引き処理(S104)によって、原画像データの階調値に応じてドットの間引き率を変更しながらメタルインクドットを間引く。以下、プリンタードライバーが行う各種処理の詳細について説明する。
【0072】
印刷開始に先んじて、まずコンピューター110とプリンター1が接続され(図1参照)、プリンター1に同梱されているCD−ROMに記憶されたプリンタードライバー(若しくは、プリンター製造会社のホームページからダウンロードしたプリンタードライバー)が、コンピューター110にインストールされる。このプリンタードライバーは、図8の各処理をコンピューター110に実行させるためのコードを備えている。なお、前述のように、プリンタードライバーをプリンター1のコントローラー60にインストールすることも可能である。
【0073】
ユーザーがアプリケーションプログラム上から印刷を指示して印刷が開始されると、プリンタードライバーが呼び出され、印刷対象となる画像データ(原画像データ)をアプリケーションプログラムから受け取り(S101)、その画像データに対してビットマップ(BMP)変換処理(S102)が行なわれる。
【0074】
ビットマップ変換処理(S102)とは、テキストデータやイメージデータなどからなる画像データについて、後述の各処理を画素単位で行ないやすくするために、アプリケーションプログラムから受け取ったベクター形式の画像データをビットマップ(BMP)形式の画像データに変換する処理である。このとき、メタリック画像が形成される領域の最小単位が1mm角程度の大きさとなるように、1mm×1mmの解像度でビットマップデータが生成される。この1mm角の領域を仮画素と定義しておく。なお、解像度は正確に1mm×1mmでなくてもよく、仮画素の1画素分が1mm角と同程度の大きさの領域となるようにする。例えば、24dpi×24dpi等の大きさとしてもよい。前述のように、メタリック画像において良好な金属光沢を確保するためには、最低でも1mm角程度の大きさの領域にメタリック画像が形成される必要がある。そこで、メタルインクドットが噴出される最小単位を1mm×1mmの仮画素と設定する。これにより、少なくとも1mm以上の幅を有するメタリック画像を形成することができるようになり、形成されたそのメタリック画像は確実に金属光沢を有するようになる。
【0075】
なお、ビットマップ変換処理後の画像データは、メタリック(Me)色空間により表される階調(例えば256階調)のデータによって構成される。
【0076】
ビットマップ変換処理(S102)の後、プリンタードライバーは、ハーフトーン処理を行う(S103)。ハーフトーン処理とは、高階調数のデータを、プリンター1が形成可能な低階調数のデータに変換する処理である。ここでは、256階調のメタリック画像データが、2階調を示す1ビットデータや、4階調を示す2ビットデータに変換される。ハーフトーン処理の方法としては、ディザ法・誤差拡散法などが知られており、本実施形態もこのようなハーフトーン処理を行う。ハーフトーン処理後の画像データでは、1mm×1mmの仮画素ごとに1ビット又は2ビットのデータが対応しており、この画像データは各仮画素(1mm角の領域)におけるメタルインクドットの形成状況(ドットの有無、及び、ドットの大きさ)を示すデータになる。
【0077】
次に、プリンタードライバーは、ハーフトーン処理(S103)後の画像データについて、ドット間引き処理を行う(S104)。ドット間引き処理とは、メタリック画像を構成する多数の仮画素(1mm角の領域)について、一部のドット(ドットを形成するためのデータ)を間引くことによって、当該間引き対象となる領域にメタルインクが噴出されないようなデータを生成する処理である。すなわち、本実施形態におけるメタリック画像では、原画像データで指示されるメタルインクドットの量よりも、実際に噴出されるメタルインクの量が少なくなるようにして画像が形成される。ドットの間引き量は、画像を見る角度を表す情報(ユーザーによって設定される)に基づいて決定される。ドット間引き処理(S104)の具体的な方法については後で説明する。
【0078】
ドット間引き処理(S104)が完了した画像データについて解像度変換処理(S105)が行われる。
【0079】
解像度変換処理(S105)とは、画像データを、実際に印刷を行う際の解像度(印刷解像度)に変換する処理である。本実施形態では、ビットマップ変換処理(S102)によって24×24dpi程度の解像度のメタリック画像データが生成されている。しかし、24×24dpiの解像度で印刷を行うと、非常に目の粗い画像となってしまう。特に、カラー画像が同時に印刷される場合には、カラー画像はもっと細かい解像度(例えば720×720dpi)で印刷される。そこで、24×24dpiの解像度のメタリック画像データを実際の印刷時の解像度に変換する必要がある。例えば、実際の印刷解像度が720×720dpiに指定されている場合、24×24dpiの解像度の画像データを720×720dpiのデータに変換する。
【0080】
図9A及び図9Bに、解像度変換の概念を説明する図を示す。図9Aは24×24dpiの解像度で示される9画素分の領域の画像を表した例である。破線で分割された領域がそれぞれ1画素(仮画素)を表し、この1画素分が1mm角程度の大きさとなっている。また、薄く着色された画素は階調値1の画素を、濃く着色された画素は階調値2の画素を、未着色の画素は階調値0の画素を表すものとする。間引きデータ生成処理後のデータは図9Aで示されるような状態である。
【0081】
図9Bは図9Aで表される9画素分のデータを720×720dpiの解像度に変換した例である。24×24dpiを720×720dpiに変換した場合、1画素分の仮画素は900(=30×30)画素分の印刷画素となる。そして、仮画素の1画素分から変換された900画素分の画素データは全て同じ画素データを表す。例えば、図9A及び図9Bの左上の太線で囲まれた領域では、1画素分の領域(図9A)が解像度変換により900画素分の領域(図9B)となる。そして、変換後の900画素分の画素データは全て階調値が1となる。これにより、1mm角程度の大きさの領域に720×720dpiの解像度で階調値1の画像が印刷されることになる。
【0082】
最後に、プリンタードライバーは、ラスタライズ処理を行う(S106)。ラスタライズ処理は、画像データ上の画素データの並び順を、プリンター1に転送すべきデータ順に変更する処理である。例えば、メタルインクノズル列のノズルの並び順に応じて、画素データを並び替える。その後、プリンタードライバーは、プリンター1を制御するための制御データを画素データに付加することによって印刷データを生成し、その印刷データをプリンター1に送信する。
【0083】
プリンター1は、受信した印刷データに従って、印刷動作を行う。具体的に、プリンター1のコントローラー60は、受信した印刷データの制御データに従って搬送ユニット20などを制御して媒体を搬送しながら、印刷データの画素データに従ってヘッドユニット40を制御してヘッド41に備えられた各ノズルからメタルインクを噴出させ、媒体上に画像を形成させる。
【0084】
<ドット間引き処理(S104)の詳細>
ドット間引き処理(S104)の詳細について説明する。上述のように、本実施形態では「ユーザーの視線と媒体(画像)とのなす角度」、言い換えると、「画像を見る角度」を表す情報(以下、視点情報とも呼ぶ)に基づいて、メタリック画像を構成する仮画素ごとに一部のドットを間引く。これにより、当該仮画素ごとに噴出されるメタルインクの量を調整し、見る角度に応じて最適な金属光沢を有するメタリック画像を形成する。そのため、メタルインクドットが噴出される予定の仮画素のうち、所定の仮画素からメタルインクドットを間引くようなデータを生成する必要がある。そこで、プリンタードライバーは、印刷対象となるメタリック画像の仮画素データについて間引き対象となる仮画素の特定を行い、実際にドットを間引く処理を行う。
【0085】
以下、図5Bで示したような、間引きパターンが横縞状になる場合におけるドット間引き処理の具体的方法について説明する。図10にドット間引き処理のフローを示す。ドット間引き処理(S104)はS411〜S414の処理を順次実行することによって行なわれる。
【0086】
(S411:間引き条件の設定)
まず、ユーザーによってメタルインクドットの間引きパターンが決定される。例えば、図5B〜図5Dのような間引きパターンがあらかじめ設定されていて、ユーザーは、ユーザーインターフェイス(不図示)を介して、所望の間引きパターンを選択できるようにしておく。ここでは、縞状パターン(図5B参照)が選択されるものとする。ドットの間引き幅やドットの間引き間隔については、次行程で設定される視点情報に基づいてプリンタードライバーが自動的に調整する。なお、間引き条件の設定(S411)は印刷開始直後の段階で行われてもよい。
【0087】
(S412:視点情報の設定)
次に、「画像を見る角度」を表す情報として、ユーザーによって視点情報が設定される。本実施形態では、印刷後の画像を斜めの角度から見る場合でも、金属光沢や質感が原画像と同等に見えるようなメタリック画像を形成するために、該視点情報に応じて、ドット間引き量が変更される。なお、視点情報の設定(S412)は印刷開始直後の段階で行われてもよいし、間引き条件の設定(S411)より前に行われてもよい。
【0088】
図11に視点情報の設定について説明する図を示す。図のように画像の中心を通る平面上に視点があるものとしたとき、画像の上下方向で、視点から画像の最も近い部分(図では画像下端)をa点、視点から画像の最も遠い部分(図では画像上端)をb点、そして、視点をc点とする。また、c点とa点とを結ぶ直線(視線)と画像の印刷面とのなす角度をAとし、c点とb点とを結ぶ直線(視線)と画像の印刷面とのなす角度をBとする。
【0089】
ユーザーは、視点情報として、c点からa点までの距離及び角度A、若しくは、視点c点からb点までの距離及び角度Bを、ユーザーインターフェイス(不図示)を介して設定する。なお、ab間の距離は原画像データから算出される。図11でa点とb点とc点とからなる三角形(斜線部で示される三角形)において、2辺とその間の角度が明らかとなるので、画像を見る際の視点と画像との位置関係が特定される。設定された視点情報は次工程の間引き部分の特定(S413)で使用される。なお、視点と画像との位置関係を特定できるデータであれば上記以外のデータを視点情報として扱うことも可能である。例えば、角度A及び角度Bの2つの角度を視点情報として設定するようにしてもよいし、視点から画像中心部までの距離及び画像とのなす角度を視点情報として設定してもよい。
【0090】
(S413:間引き部分の特定)
続いて、プリンタードライバーは、メタリック画像で間引き対象となる部分(仮画素)を特定する(S413)。
間引き部分の特定は、S411で設定された間引きパターンを基準として、S412で設定された視点情報に基づいて仮画素毎にドット間引き量を調整することによって行われる。このとき、視線と画像とのなす角度が小さいほど、その領域におけるドット間引き量が多くなるように間引き部分の特定が行われる。例えば、図11の画像について縞状にドット間引きを行なう場合、a点よりもb点における角度の方が小さいので(A>B)、b点の方がドット間引き量が多くなるように調整される。具体的には、縞部分の線幅が細くなるようにしたり、隣接する縞と縞との間隔を広くしたりするように間引き画素が特定され、ドット間引き量が調整される。
【0091】
図12A及び図12Bに、視点情報に応じて縞部分の線幅を変更する場合の具体例を示す。図12Aは図7Aと同じ視点の条件に基づいて、ドットを間引く幅を変更した場合のメタリック画像の例を表す。図12Bは、当該視点からその変更後のメタリック画像を実際に見た場合に視認される画像の様子を表す。本実施形態では、視線と画像とのなす角度の大きさ(例えば図11における角度Aや角度B)と、その部分における間引き後のメタリック画像の線幅とが比例するようにドット間引き量が調整される。図12Aでは、画像下端のa点から画像の上側に行くほど視線と画像とのなす角度が小さくなるため、画像の上側の領域ほどメタリック画像の線幅も細くなるようにドット間引き部分が特定される。そして画像上端のb点では角度が最小となるので、この領域で線幅が最小となるようにドット間引き部分が多めに特定される。なお、本実施形態では画像を見上げる場合等、画像に対して視線が斜めになるような視点条件(図7A参照)のときに間引き量の調整が行われる。したがって、図6Aのように視線と画像とのなす角度が90度の場合には、線幅の調整等は不要であり、ドット間引き量の調整は行われず、S411で設定された間引き条件に従ってドットが間引かれる。
【0092】
この結果、図12Bに示されるように、実際に視認される画像は図7Bと比較して、後方(画像の上方部分)部分において画像の縞と縞との間隔が広く見える。前方部(画像の下方部)と後方部(画像の上方部)とで縞と縞との間隔の差が認識されにくくなるため、反射光が一様に見え、画像全体が均一な金属光沢を有するように見える。
【0093】
図13A及び図13Bに、視点情報に応じて縞部分の間隔を変更する場合の例を示す。図13Aは図7Aと同じ視点の条件に基づいて、ドットを間引く間隔を変更した場合のメタリック画像の例を表す。図13Bは、当該視点から変更後のメタリック画像を実際に見た場合に視認される画像の様子を表す。この場合では、視線と画像とのなす角度の大きさ(例えば図11の角度Aや角度B)と、その部分における間引き後のメタリック画像の線と線との間隔とが反比例するようにドット間引き量が調整される。図13Aでは、画像下端のa点から画像の上側に行くほど視線と画像とのなす角度が小さくなるため、画像の上側の領域ほどメタリック画像の線と線との間隔が広くなるようにドット間引き部分が特定される。そして画像上端のb点では角度が最小となるので、この領域で線の間隔が最大となるようにドット間引き部分が多めに特定される。
【0094】
この結果、図13Bに示されるように、実際に視認される画像は図7Bと比較して、後方(画像の上方部分)部分において画像の縞と縞との間隔が広く見える。図12の場合と同様に、前方部(画像の下方部)と後方部(画像の上方部)とで縞と縞との間隔の差が認識されにくくなるため、反射光が一様に見え、画像全体が均一な金属光沢を有するように見える。
【0095】
なお、S411で間引きパターンとして格子状パターン(図5C)や市松模様状パターン(図5D)を設定した場合も、上述の線状パターンと同様に画像の上方部分と下方部分(画像を見る際の遠近方向)について、線幅や間隔が変更される。
【0096】
このように、画像を見る際の視点情報に応じてメタルインクが噴出される部分の線の太さや線と線との間隔を変えることで、単位面積当たりに噴出されるメタルインク量を調整し、当該視点から見た場合に金属光沢が均一に見えるメタリック画像を形成する。ただし、前述のように、金属光沢を有する画像を形成するためには、メタリック画像部分が最低限の大きさ(上述の例では1mm角)の領域を有するようにする必要がある。したがって、図12Aのように線幅を変更する場合でも、線幅の下限値は(S102)で設定された仮画素の幅(上述の例では1mm)となることに留意する。
【0097】
(S414:特定された画素データの間引き)
(S413)で間引き対象の部分として特定された仮画素について、ハーフトーン処理後の画像データのメタルインク(Me)の階調値がゼロに変更される。これにより、Meの階調値がゼロではない仮画素列(メタルインクが噴出される仮画素列)と、Meの階調値がゼロとなる仮画素列(間引き対象として特定された仮画素列)とからなるメタリック印刷データが得られる。
【0098】
<第1実施形態の効果>
第1実施形態では、メタリック画像を見る際のユーザーの視線と画像とのなす角度を表す情報(視点情報)に基づいて単位面積当たりに噴出されるメタルインクの量を変更させる。具体的には、当該角度が小さいほどメタルインクドットを間引く量を多くすることで媒体の単位面積当たりに噴出されるメタルインクの量を少なくする。その際、メタルインクを噴出させる領域が所定の幅以上の大きさを有するようにドットが間引かれるようにする。
【0099】
これにより、画像を見る際の角度が斜めの場合であっても、金属光沢や質感のムラが見えにくい良好なメタリック画像を形成することが可能になる。また、メタルインクドットを間引くことにより、印刷に使用されるメタルインクの量を減少させることができるので、印刷コストを低く抑えることもできる。
【0100】
===第2実施形態===
第2実施形態では、メタリック印刷において、メタルインク(Me)によるメタリック画像と、カラーインク(KCMY)によるカラー画像とを同時に形成する際に、メタリック画像とカラー画像とが重複部分を有するような印刷を行う。印刷に使用するプリンターの構成は第1実施形態と同様である。
【0101】
<印刷対象画像>
図14に、第2実施形態で印刷対象となる画像の概念図を示す。本実施形態において印刷対象となる画像(原画像)は、図14の左側の図に示されるように、メタルインクによって印刷されるメタリック画像部分(円形の部分)と、カラーインクによって印刷されるカラー画像部分(長方形の部分)とを有する。そして、図の網掛け部で表される領域で両画像が重複するように構成される。なお、このカラー画像はRGB(RGBはそれぞれ、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の各色を表す)の3色で表現され、印刷時にはKCMY(KCMYはそれぞれ、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を表す)の4色のカラーインクによって印刷されるものとする。
【0102】
説明のため、原画像を、メタリック画像が形成される階層(メタルレイヤー)とカラー画像が形成される階層(カラーレイヤー)との2種類の階層に分けて考える。ここで、カラーレイヤーは、実際にはRGBの3色の画像に分けることができるが、以下では1色のカラー画像によって構成されるものとして説明する。図14の右側の図に示されるように、印刷対象となる画像(原画像)は、メタルレイヤーとカラーレイヤーとを重ね合わせることで形成される。
【0103】
カラー画像とメタリック画像とが重複する領域を有する場合、まずメタルレイヤーの印刷を先に行って、媒体上にメタリック画像を形成させる。そして、メタル画像を形成させた後、該メタル画像の上にカラーレイヤーに示されるカラー画像を重ねて印刷するという方法が一般的である。このようにして印刷を行うことで、カラー画像とメタリック画像との重複部分においてメタリックカラー(例えば、メタリックブルーやメタリックレッド等)を表現することができる。
【0104】
これに対して、本実施形態では、該重複部分において、メタルインクとカラーインクとが同じ画素に噴出されないようにして印刷を行う。つまり、媒体上に形成されるメタルインクドットとカラーインクドットとが、画素単位では重複しないような印刷を行う。
【0105】
一般的なメタリック印刷では、メタリック画像とカラー画像とが順番に形成されるので、先に形成された方の画像を十分に乾燥させてから、あらためて次の画像を形成させる必要があり、印刷完了までに要する時間が長くなっていた。しかし、本実施形態では、メタリック画像とカラー画像との重複部分において、お互いのインクドット同士が重ならないようにインクを噴出させることで、1回の印刷でメタリック画像とカラー画像とを同時に形成することができようになる。これにより、印刷に要する時間を従来よりも短くすることができる。
【0106】
<メタリック画像の画像処理>
メタリック画像の画像処理を行う際の基本的な流れは第1実施形態の図8で説明したものと同様である。ただし、本実施形態では、カラー画像とメタリック画像との重複部分(以下、重複領域とも呼ぶ)において、お互いのインクドット同士が重ならないようするために、ドット間引き処理(S104)の行程が異なる。以下、重複部分におけるドット間引き処理(S104)について、前述の実施形態と異なる部分を中心に説明を行なう。
【0107】
<重複領域におけるドット間引き処理の詳細>
前述のように、本実施形態では、メタリック画像とカラー画像との重複領域で、メタルインク(Me)とカラーインク(KCMY)とが媒体上の同じ画素に噴出されないようにすることで、メタリック画像とカラー画像との同時印刷を実現している。そのため、メタルインクドットが噴出される予定の画素ではカラーインクドットの印刷データを間引き、逆にカラーインクドットが噴出される予定の画素ではメタルインクドットの印刷データを間引く必要がある。
【0108】
図15に、第2実施形態におけるドット間引き処理の具体的な処理のフローを示す。ドット間引き処理(S104)はS421〜S425の各工程を順次実行することによって行われる。
【0109】
まず、原画像データにおいて、メタリック画像及びカラー画像の重複領域があるか否かを判断し、重複領域(重複画素)の検出が行なわれる(S421)。原画像がメタリック画像とカラー画像を含むものであったとしても、お互いに重複する領域(画素)が検出されなければ、第1実施形態と同様にメタリック画像部分のみについてドット間引き処理が行なわれる。一方、重複画素がある場合には、その領域を検出した後、メタリック画像及びカラー画像のそれぞれの画像データについて所定のドットを間引くための処理を行う。
【0110】
ここで、メタリック画像とカラー画像とが「重複」するとは、メタルレイヤーにおいてメタリック画像を示す画素(Meについて階調値がゼロではない画素)の位置と、カラーレイヤーにおいてカラー画像を示す画素(KCMYの少なくとも1色について階調値がゼロではない画素)の位置とが互いに重複する場合のことを言う。例えば、或る画素AにおいてMeの階調値が128、Yの階調値が256であれば、当該画素Aではメタリック画像とカラー画像とが重複していることになる。また、或る画素BにおいてMeの階調値が64で、KCMYの階調値がいずれも0であれば、当該画素Bではメタリック画像とカラー画像とが重複していないことになる。
【0111】
プリンタードライバーはハーフトーン処理後のメタリック画像データ及びカラー画像データから、画素毎にMeの階調値とKCMYの階調値とを比較して、メタリック画像とカラー画像との重複画素の検出を行う。重複画素が検出された場合は、該重複画素の位置情報をメモリー63に一時的に保存して、次工程である間引き条件の設定(S422)へと移行する。
【0112】
検出された重複領域のメタリック画像部分について、前述した図10のS411と同様に、ドットの間引き条件が設定される(S422)。そして、間引き条件の設定の後、前述した図10のS412と同様に、視点情報の設定が行われる(S423)。これらの処理は、印刷開始時に行われるのであってもよい。
【0113】
第2実施形態では、メタルレイヤーのメタリック画像データ、及び、カラーレイヤーのカラー画像データのそれぞれについて、間引き対象となる画素の特定を行い(S424)、実際に画素データの間引き処理を行う(425)。間引き対象となるのは(S421)で検出された重複領域を構成する画素(仮画素)のうち、所定の画素(仮画素)である。メタリック画像データについての間引き対象部分の特定は、第1実施形態と同様であり、例えば縞状パターンとしてドットを間引く場合は、視線と画像とのなす角度が小さい領域において縞部分の線幅を細くしたり、縞と縞との間隔を広くしたりする。
【0114】
加えて、本実施形態では、メタルインクとカラーインクとが同一位置の画素に重複して噴出されないような印刷データを生成するため、メタリック画像データとカラー画像データとでは異なる位置の画素を間引く必要がある。例えば、メタリック画像において、カラー画像との重複領域中の所定の位置にある仮画素Cが間引き対象として特定される場合、カラー画像において同一の位置の画素C′を間引く必要は無い。同様に、カラー画像において、メタリック画像との重複領域中の所定の位置にある画素D′が間引き対象として特定された場合、メタリック画像において同一の位置の仮画素Dを間引く必要は無い。つまり、メタリック画像若しくはカラー画像のうちのどちらか一方の画像について間引き対象となる画素を特定することができれば、他方の画像についても間引き対象となる画素を特定することができる。
【0115】
ここでは、縞状の間引きパターンの印刷データを生成する場合の例について説明する。図16A〜図16Cは、縞状に間引き画素を特定する方法を説明する図である。
【0116】
図16Aはメタリック画像の間引き対象画素を特定した図である。プリンタードライバーは、メタルレイヤーでカラー画像と重複する領域を構成する各仮画素について、図10の(S413)と同様に、視点情報で設定された「画像を見る角度」に基づいて領域毎にドット間引き量を変更しながら、間引き対象となる仮画素を特定する。その結果、図16Aに示すメタリック画像のうち、斜線で表される部分がメタリック画像の間引き対象画素として特定される。
【0117】
この後、カラーレイヤーでメタリック画像と重複する領域を構成する各画素について、メタリック画像で間引き対象として特定された仮画素(図16Aにおいて斜線部で特定された画素)以外の全ての画素が間引き対象として特定される。図16Bに示すカラー画像のうち、斜線で表される部分がカラー画像の間引き対象画素である。言い換えると、重複領域において、メタルインクが噴出される仮画素として特定された全ての部分が、カラー画像の間引き対象画素として特定される。これにより、重複領域が縞模様(メタリック画像の縞模様を反転させた模様)となるようなカラー画像データが得られる。
【0118】
そして、これらのデータを組み合わせることで、重複領域においてメタルインクドットが噴出される仮画素の位置と、カラーインクドットが噴出される画素の位置とが重ならないような画像データ(図16C)が得られる。
【0119】
メタリック画像の画像データは、この後、解像度変換処理(S105)等が行なわれ、最終的な印刷データが生成される。生成された印刷データに従って、メタルインク及びカラーインクをそれぞれ噴射させることにより、メタリック画像とカラー画像とが重複部分を有する画像が印刷される。
【0120】
<カラー画像の画像処理>
ここで、参考として、カラーレイヤーにおけるカラー画像の画像処理について、簡単に説明しておく。
図17にカラー画像の画像処理のフローを示す。画像処理はS501〜S506の各工程を実行することによって行われる。各工程は、プリンタードライバーからの指令に基づいて実行される。
【0121】
メタリック画像の画像処理(図8参照)と異なる点として、カラー画像の画像処理では、ビットマップ変換処理(S102)と印刷解像度変換処理(S105)とが、解像度変換処理(S502)として同時に行なわれ、また、色変換処理(S503)が行なわれる。以下、異なる点について説明する。
【0122】
カラー画像の画像処理では、メタリック画像の場合と異なり金属光沢を確保する必要がないため、画像の最低幅を設定しなくてよい。したがって、メタリック画像処理における(S102)の行程のように、原画像データを1mm角の解像度に変換する必要はない。その代わりに、解像度変換処理において、印刷解像度である720×720dpiの解像度に変換を行なう(S502)。
【0123】
また、RGBで構成されるカラー画像データを、KCMYのカラーインクで表現する為に、色変換処理が行なわれる(S503)。これにより、RGB色空間の画像データが、KCMY色空間の画像データに変換される。カラー画像についての色変換処理は、RGBデータの階調値とKCMYデータの階調値とを対応づけた3D−LUTに基づいて行われる。色変換処理後の画像データは、KCMY色空間により表される256階調の8ビットデータである。なお、メタルインク色(Me)の場合はKCMYの組み合わせでは表現することができず、特色として扱われるため、色変換処理は行われない(図8参照)。
【0124】
そして、ハーフトーン処理(S504)後のデータについて、一部の画素データを間引くドット間引き処理が行なわれる(S505)。ドット間引き処理は、前述のように、メタリック画像との重複部においてメタルインクが噴出される予定の画素がカラーインクの間引き対象画素として特定され、その特定された画素の階調値がゼロに変更される。
【0125】
その他の基本的な処理や流れはメタリック画像の画像処理と同様である。そして最終的に生成された印刷データに基づいてカラーインクを噴出することにより、カラー画像が形成される。
【0126】
<第2実施形態の効果>
第2実施形態では、メタリック画像とカラー画像が重複する部分を有するような重ね打ち印刷を行う場合に、カラー画像データのうちカラーインクを噴出させる画素と、メタリック画像データのうちメタルインクを噴出させる画素とが互いに重複しないようにする。すなわち、カラーインクドットとメタルインクドットとが同一の画素に噴出されないようにする。そして、メタリック印刷部では、最低幅を確保しつつ視点情報に応じてドット間引き量を調整することで、金属光沢等に関してムラが見えにくいメタリック画像の印刷を行なう。
【0127】
本実施形態の印刷方法によれば、画像を見る角度や距離に応じた良好な光沢を有するメタリック画像で、メタリックブルー等のメタリックカラーを表現することができる。そして、メタリック画像とカラー画像とが重複するような場合でも、メタリック画像の印刷とカラー画像の印刷とを同時に行うことができる。これにより、カラー画像とメタリック画像とを順番に印刷する場合よりも印刷時間を短くし、高品質なメタリック画像を印刷することができる。
【0128】
===第3実施形態===
第3実施形態では、第2実施形態と同様に「画像を見る角度」を表す情報(視点情報)に応じて最適な金属光沢となるようにカラー画像とメタリック画像とを重ねて印刷しつつ、さらにカラー画像の「色」を考慮して、メタリック画像の階調表現を変更する。
【0129】
具体的には、メタリック画像と重複する部分におけるカラー画像の色の濃さを考慮して、メタリック画像のドット間引き量を変更する。例えば、メタリック画像をシアン(C)などの濃い色に重ねて印刷する場合と、メタリック画像をイエロー(Y)などの淡い色に重ねて印刷する場合とでは、メタリック画像の色調が異なって見える。そこで、カラー画像の色の濃さ(階調値)に合わせて、メタリック画像からメタルインクドットを間引く量を変更することで噴出されるメタルインクの総量を調整し、より見やすいメタリック画像を印刷する。
【0130】
本実施形態では、ドット間引き処理(図8のS104)の工程が前述の各実施形態とは異なる。その他の工程や、使用する画像形成装置は第2実施形態と同様である。
【0131】
図18は第3実施形態におけるドット間引き処理のフローを表す図である。まず、第2実施形態で説明したのと同様に、メタリック画像とカラー画像とで重複する画素が検出される(S431)。続いて、間引き条件の設定(S432)と視点情報の設定が行なわれる(S433)。
【0132】
続いて、カラー画像の階調値と、KCMYの各色について設定された所定の基準階調値とが比較される(S434)。カラー画像の階調値は、色変換処理後のカラー画像データを用いて、カラー画像を形成する全画素の平均の階調値(以下、単にカラー階調値とも呼ぶ)を色毎に算出することにより求められる。なおカラー階調値の算出は、カラー画像のうち重複領域を形成する画素についてのみ算出する方法であってもよい。
【0133】
基準階調値はあらかじめ決められており、メモリー63に記憶されている。例えば、Cについての基準階調値は128、Yについての基準階調値は192等、色毎に設定される。これらの基準階調値の大きさは、実際の印刷結果を確認した後で、ユーザー自身がユーザーインターフェイスを介して変更できるようにしてもよい。
【0134】
プリンタードライバーは画像データからカラー階調値を算出し、メモリー63に記憶された基準階調値との比較を行う。カラー階調値が基準階調値よりも高い場合は間引き部分特定(A)の処理(S435)に進み、ドットが間引かれる(S437)。カラー階調値が基準階調値以下である場合は間引き画素部分特定(B)の処理(S436)へ進み、ドットが間引かれる(S437)。
【0135】
カラー階調値が基準階調値以下である場合、すなわちカラー画像が淡い色の場合、該カラー画像と重複して印刷されるメタリック画像は、カラー画像の影響を受けにくい。このような時は、第2実施形態の間引き部分の特定(S424)と同様の間引き部分の特定が行われる(S436)。一方、カラー階調値が基準階調値よりも高い場合、すなわちカラー画像が濃い色の場合、該カラー画像と重複して印刷されるメタリック画像は、該カラー画像の影響を受けて色調が暗く見えるおそれがある。そこで、重複部分におけるメタルインクの割合を高くしてカラー画像の影響を軽減させる。つまり、S436で特定される間引き部分よりも間引き部分を少なくすることで、単位面積当たりに噴出されるメタルインクの量を大きくし、メタリック画像の色調が暗くなることを防止する(S435)。このとき、間引き部分の調整は、例えば縞部分の線幅を変更することや、縞と縞との間隔を広くすることによって行なわれる。
【0136】
なお、(S434)において、基準階調値を段階的に複数種類定めておき、算出されたカラー階調値の大きさに応じてメタリック画像の間引き量の割合を変化させる方法としてもよい。
【0137】
<第3実施形態の効果>
第3実施形態では、メタリック画像とカラー画像が重複部分を有するような重ね打ち印刷を行う際に、カラー画像を構成する画素の階調値の平均が所定の基準階調値よりも小さい場合には、該重複部分に噴出させるメタルインクの量を少なくする。
【0138】
本実施形態の方法によれば、画像を見る角度や距離に応じた良好な光沢を有するメタリック画像を印刷することができる。さらに、画像のカラー部分の諧調値に応じてメタルインクドットの間引き量を調整することで、より見やすいメタリック画像を印刷することができる。
【0139】
===第4実施形態===
第4実施形態では、紫外線(以下、UV)等の光を照射することによって硬化する紫外線硬化型インク(以下、UVインク)を用いて、媒体に画像を印刷する。UVインクは、紫外線硬化樹脂を含むインクであり、UVの照射を受けると紫外線硬化樹脂において光重合反応が起こることにより硬化する。
【0140】
本実施形態ではプリンター2を用いて印刷を行う。プリンター2は、UVインクドットにUVを照射して硬化させるためのUV照射部70を有する。以下、前述の実施形態におけるプリンター1と異なる点について説明する。
【0141】
<プリンター2の構成>
図19は、プリンター2の全体構成を示すブロック図である。図20Aはプリンター2の構成を表した鳥瞰図であり、図20Bはプリンター2の構成を表した側面図である。
【0142】
プリンター2は、搬送ユニット20と、キャリッジユニット30と、ヘッドユニット40と、検出器群50と、コントローラー60と、照射ユニット70と、を有する。照射ユニット70及び、ユニット制御回路64以外の各構成については、プリンター1と同様である。
【0143】
<照射ユニット70>
照射ユニット70は、媒体に着弾したUVインクドットに向けてUVを照射するものである。媒体上に形成されたドットは、照射ユニット70からのUVの照射を受けることにより、硬化する。本実施形態の照射ユニット70は、照射部71a、及び71bを有する。照射部71a、及び71bは、キャリッジ31の両端外側にそれぞれ設けられている(図20A及び図20B参照)。これにより、キャリッジ31が、一端側から他端側へ、または、他端側から一端側へのいずれの方向に移動しつつ噴出したインクであっても、UVを照射することができるように構成されている。
【0144】
照射部71a、及び71bは、UV照射の光源として発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を備える。LEDの波長ピークは395nm程度のものを使用する。LEDは入力電流の大きさを制御することによって、照射エネルギーを容易に変更することが可能である。なお、十分な照射出力を有し、キャリッジ31に搭載可能であれば、LED以外の光源(例えば、メタルハライドランプ等)を用いることも可能である。
【0145】
<プリンター2の印刷動作>
プリンター2の印刷動作について簡単に説明する。コントローラー60は、プリンター1と同様の、給紙処理・ドット形成処理・搬送処理等を行い、さらにUV照射処理を行なうことでインクドットを形成する。
【0146】
本実施形態では、ドット形成処理において、ヘッド41(キャリッジ31)が移動方向を移動(走査)しながら噴出したインクドットに対して、同じ走査中に照射ユニット70からUVを照射することによって、ドットを硬化させる(UV照射処理)。すなわち、キャリッジ31が移動方向を一方側から他方側へ移動する過程において、UVインクの噴出とUV照射が行なわれる。コントローラー60は、UV照射処理におけるUV照射出力、及び、UV照射タイミングを制御することで、媒体上に着弾したインクドットの硬化状態を調整することができる。
【0147】
<UVインクドットの硬化について>
UVインクドットは着弾後、時間経過と共にその形状が変化する。図21A〜図21Cに、インクドットの形状の変化の様子について説明する図を示す。
【0148】
媒体に着弾した直後のインクドットは、理想的には図21Aのような球状のドットとなる。このときのドット径(直径)をD1とする。その後、UVインクドットは時間の経過と共に自重によって潰れながら徐々に濡れ広がり、図21Bのようなやや潰れたドーム型形状となる。このとき、ドット径はD2(D2>D1)となる。さらに時間が経過すると、図21Bよりもさらに大きく広がり、図21Cのような扁平な円盤状となる。このとき、ドット径もD3(D3>D2)と最大になる。なお、このような形状変化は時間的なものだけでなく、媒体に対する濡れ性、インク自体の表面張力の強さ、インクドットの大きさ(インク量)等にも影響される。
【0149】
UV照射によって硬化される前であれば、このように、インクドットは時間の経過と共に徐々に形状が変化し、ドット径が広がっていく。したがって、インクドットが媒体上に着弾してからUVを照射するまでのタイミングやUV照射出力を調整することによって、媒体上に形成されるUVインクドットの大きさを調整することができる。
【0150】
そこで、本実施形態では、UVインクドットの大きさを調整することで、前述の間引きパターンの形状を変更させる。図22に、第4実施形態におけるドット間引き処理のフローを表す図を示す。
【0151】
前述の各実施形態と同様に、間引き条件の設定(S441)、視点情報の設定(S442)が行なわれた後、間引き部分の特定が行われる(S443)。本実施形態においても、視線と画像とのなす角度が小さいほど、間引き量が多くなるように設定される。そして、本実施形態では、間引き処理(S445)を実行する前に、UV照射条件の調整が行われる(S444)。UV照射条件の調整は、前述のようにUVインクドットが硬化する際のドット径の変化に着目し、視線と画像とのなす角度が小さい部分(ドット間引き量が多くなる部分)では、インクドットが着弾してからUVが照射されるまでのタイミングを早くする処理である。これにより、インクドットを広がりにくくし、インクドット径を小さく保つ。すなわち、形成されるインクドットが図21Cのように広がって、間引き対象として特定された部分にまではみ出すことを抑制する。なお、UV照射タイミングを変更するのではなく、UV照射出力を変更することでドット径の調整を行う方法であってもよい。
【0152】
<第4実施形態の効果>
第4実施形態の方法によれば、UVインクを用いて、画像を見る角度の違いに応じた良好な光沢を有するメタリック画像を印刷することができる。さらに、角度等の情報に応じてUV照射条件を変更することにより、より精密なメタリック印刷が可能になる。
【0153】
===その他の実施形態===
一実施形態としてのプリンター等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0154】
<使用するインクについて>
前述の実施形態では、メタルインクとして銀粒子やアルミ粒子を含有するインクの例が説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、印刷時に金属光沢を再現できるものであれば、銅や金等の他の粒子を含有するインクを使用することも可能である。
【0155】
また、カラーインクとしてKCMYの4色のインクを使用して記録する例が説明されていたが、ライトシアン、ライトマゼンタ、ホワイト、クリア等、KCMY以外のインクを用いて記録を行ってもよい。
【0156】
<ピエゾ素子について>
前述の実施形態では、液体を噴出させるための動作を行う素子としてピエゾ素子PZTを例示したが、他の素子であってもよい。例えば、発熱素子や静電アクチュエーターを用いてもよい。
【0157】
<プリンタードライバーについて>
プリンタードライバーの処理は外部制御装置としてのコンピューター110(PC)で行ってもよいし、プリンター1で行ってもよい。なお、PCで処理を行なう場合は、プリンターとプリンタードライバーをインストールしたPCとで画像形成装置が構成される。
【0158】
<他の画像形成装置について>
前述の実施形態では、ヘッド41をキャリッジとともに移動させるタイプのプリンター1を例に挙げて説明したが、プリンターはヘッドが固定された、いわゆるラインプリンターであってもよい。
【符号の説明】
【0159】
1 プリンター
20 搬送ユニット、21 給紙ローラー、22 搬送モーター、
23 搬送ローラー、24 プラテン、25 排紙ローラー、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、32 キャリッジモーター、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、411 ケース、412 流路ユニット、
412a 流路形成板、412b 弾性板、412c ノズルプレート、
412d 圧力室、412e ノズル連通口、412f 共通インク室、
412g インク供給路、412h アイランド部、412i 弾性膜、
50 検出器群、51 リニア式エンコーダー、52 ロータリー式エンコーダー、
53 紙検出センサ、54 光学センサ、
60 コントローラー、61 インターフェイス部、62 CPU、
63 メモリー、64 ユニット制御回路、
70 照射ユニット、71a・71b 照射部、
110 コンピューター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)インクを噴出するヘッド部と、
(B)前記ヘッド部から金属粒子を含有するメタルインクを媒体に噴出させてメタリック画像を形成させる制御部であって、
形成後の前記メタリック画像をユーザーが見る際の、ユーザーの視線と前記画像とのなす角度を表す情報に基づいて、
前記媒体の単位面積当たりに噴出させる前記メタルインクの量を変更する制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、
前記角度が小さいほど、前記媒体と前記視線との交差する領域において単位面積当たりに噴出される前記メタルインクの量を少なくすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、
前記メタリック画像を表すメタリック画像データから、前記メタリック画像を構成する画素のうち所定の画素のデータを間引くことで、前記媒体の単位面積当たりに噴出される前記メタルインクの量を少なくすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置であって、
前記メタリック画像が縞状になるように前記画素のデータが間引かれる場合に、
前記制御部は、
前記角度が小さいほど、前記メタリック画像の縞部分の幅が細くなるように、または、前記メタリック画像の縞と縞との間隔が広くなるように、前記画素のデータを間引く量を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、
カラー画像を表すカラー画像データにしたがって、前記ヘッド部からカラーインクを前記媒体に噴出させてカラー画像を形成し、
前記カラー画像と前記メタリック画像とが重複部分を有する場合、
前記カラー画像データのうち前記カラーインクを噴出させる画素と、前記メタリック画像データのうち前記メタルインクを噴出させる画素と、が互いに重複しないようにすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、
前記カラー画像を構成する画素の階調値の平均が、所定の基準階調値よりも大きい場合には、前記重複部分に噴出させる前記メタルインクの量を多くすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、
前記メタリック画像が所定の大きさ以上の幅を有するように、前記ヘッド部から前記メタルインクを媒体に噴出させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
金属粒子を含有するメタルインクをヘッド部から媒体に噴出して、メタリック画像を形成することと、
前記メタリック画像をユーザーが見る際の、ユーザーの視線と前記画像とのなす角度を表す情報に基づいて、前記媒体の単位面積当たりに噴出する前記メタルインクの量を変更することと、
を有する画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図9】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−183709(P2012−183709A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47983(P2011−47983)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】