説明

画像形成装置、泡塗布装置

【課題】処理液を均一な膜厚で被記録媒体に塗布することが難しい。
【解決手段】泡にすることが可能な液体又はゲル若しくは液体及びゲルの両者である処理液201から泡210を生成し、塗布ローラ212に供給する泡生成/供給部211と、泡210を周面に担持して被記録媒体100に泡210を塗布する塗布ローラ212と、塗布ローラ212に担持する泡210の膜厚を規制する厚み規制部材214と、厚み規制部材214の下流側で塗布ローラ212に担持された泡210のうちの厚み規制部材214の後端側に回り込む不要な泡210aを加熱して消失させる加熱部材218とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置及び泡塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本発明において、液体吐出記録方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限るものではなく、吐出されるときに液体となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料なども含まれる。
【0004】
このような液体吐出方式の画像形成装置においては、色材を含むインクを液滴化して画像形成を行うために、液滴で形成されるドットがひげ状に乱れるフェザリング、異なる色のインク滴が隣接して用紙に打たれた場合に、各色が相互に混ざり合って色境界が不鮮明になるカラーブリード等の不具合が生じることがあり、更に印字後の紙上の液滴が乾くまでに時間がかかるという問題がある。
【0005】
そこで、従来から特許文献1に記載されているように印字前又は印字後に加熱手段を用いて滲み防止、印字後のインク乾燥を促進することが行われる。
【0006】
また、特許文献2に記載されているようにインクと反応して滲み防止を促す前処理液を塗布ローラで塗布したり、特許文献3に記載されているように前処理液を液体吐出ヘッドからミスト状に吐出させて塗布したりすることが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−323977号公報
【特許文献2】特開2002−137378号公報
【特許文献3】特開2005−138502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1に記載のように加熱装置を備えるのでは、装置の電力消費が大きくなるという課題がある。また、特許文献2、3に記載のように塗布ローラや液体吐出ヘッドで前処理液を塗布するのでは、塗布ムラが発生するとともに、液体を用紙上に大量に付与するためにインクと反応後の用紙の速乾性に問題があり、特に用紙がカールしたり、撓んだりし易くなることから、ジャム等が起こりやすいという課題がある。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、液体又はゲル若しくは液体及びゲルを泡にして均一な厚みで塗布できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記被記録媒体又は被記録媒体に塗布するための中間部材に対して液体及びゲルの少なくともいずれかを泡にして塗布する泡塗布手段と、を備え、
前記泡塗布手段は、
前記泡を生成する泡生成手段と、
前記泡を前記被記録媒体又は中間部材に塗布する塗布手段と、
前記泡生成手段で生成された泡を前記塗布手段に供給する泡供給手段と、
前記泡供給手段から前記塗布手段への供給位置から前記塗布手段による前記被記録媒体又は中間部材に対する塗布位置との間で、不要な前記泡を加熱して消失させる加熱手段と、を有している
構成とした。
【0011】
ここで、前記加熱手段はブレード部材である構成とできる。この場合、前記ブレード部材は前記塗布手段に対向する面を除く前記泡との接触点を含む部分で加熱する構成とできる。
【0012】
また、前記加熱手段はワイヤ部材である構成とできる。
【0013】
また、前記加熱手段は前記塗布手段のよる塗布膜厚を規制する部材である構成とできる。
【0014】
また、前記加熱手段は前記塗布手段のよる塗布膜厚を規制する部材の下流側に配置されている構成とできる。
【0015】
本発明に係る画像形成装置は、
被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記被記録媒体又は被記録媒体に塗布するための中間部材に対して液体及びゲルの少なくともいずれかを泡にして塗布する泡塗布手段と、を備え、
前記泡塗布手段は、
前記泡を生成する泡生成手段と、
前記泡を前記被記録媒体に塗布する塗布手段と、
前記塗布手段よる前記被記録媒体に対する塗布位置よりも下流側で、前記被記録媒体上に塗布された不要な前記泡を加熱して消失させる加熱手段と、を有している
構成とできる。
【0016】
本発明に係る泡塗布装置は、
被塗布部材に液体及びゲルの少なくともいずれかを泡にして塗布する泡塗布装置において、
前記泡を生成する泡生成手段と、
前記泡を前記被塗布部材に塗布する塗布手段と、
前記泡生成手段で生成された泡を前記塗布手段に供給する泡供給手段と、
前記泡供給手段から前記塗布手段への供給位置から前記塗布手段による前記被塗布部材に対する塗布位置との間で、不要な前記泡を加熱して消失させる加熱手段と、を有している
構成とできる。
【0017】
なお、本発明における「泡」とは、液体がその中に空気などの気体を含んで丸くなったものであり、気体を包む液体の表面張力により形作られ、ある時間立体的形状を保持できるものをいう。このような形状保持性を有する泡としては、かさ密度0.05g/cm以下であり、泡径の分布範囲が10μm〜1mm、平均泡径が100μm以下であることが好ましい。なお、泡は単体では丸く形成されるが、複数結合すると表面張力により個々の泡の形状は多面体形状をとる。また、「ゲル」とは、分散媒に分散しているコロイド溶液や高分子化合物が相互作用の為に独立した運動性を失い、粒子が互いにつながりあい、網状又は蜂の巣の様な構造をとるようになり、固化した半固体物質を意味する。また、「延展」とは延ばして展開することという意味、「導入」とは供給手段に外部から泡を供給することという意味である。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る画像形成装置及び本発明に係る泡塗布装置によれば、泡を生成する泡生成手段と、泡を被記録媒体、中間部材又は被塗布部材に塗布する塗布手段と、塗布手段に泡を供給する泡供給手段と、塗布手段よる被記録媒体に対する塗布位置よりも下流側で、被記録媒体上に塗布された不要な泡を加熱して消失させる加熱手段とを有しているので、液体又はゲル若しくは液体及びゲルを泡にして均一な厚みで塗布できるようになる。
【0019】
本発明に係る画像形成装置によれば、泡を生成する泡生成手段と、泡を被記録媒体又は被塗布部材に塗布する塗布手段と、塗布手段よる被記録媒体に対する塗布位置よりも下流側で、被記録媒体上に塗布された不要な泡を加熱して消失させる加熱手段とを有しているので、塗布された液体又はゲル若しくは液体及びゲルを泡にして均一な厚みにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る泡塗布装置を備える画像形成装置の第1実施形態の全体構成図である。
【図2】同泡塗布装置の泡生成/供給部の一例を示す模式的説明図である。
【図3】比較例に係る泡塗布装置の説明に供する模式的斜視説明図である。
【図4】本発明に係る泡塗布装置の加熱手段の第1実施例の説明に供する模式的説明図である。
【図5】同じく加熱手段の第2実施例の説明に供する模式的説明図である。
【図6】同じく加熱手段の第3実施例の説明に供する模式的説明図である。
【図7】同じく加熱手段の第4実施例の説明に供する模式的説明図である。
【図8】同じく加熱手段の第5実施例の説明に供する模式的説明図である。
【図9】同画像形成装置の制御部の概要を説明するブロック説明図である。
【図10】同制御部による印刷処理の一例の説明に供するフロー図である。
【図11】同じく図10に続く処理の説明に供するフロー図である。
【図12】同じく図10に続く処理の説明に供するフロー図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る泡塗布装置を備える画像形成装置の第2実施形態の全体構成図である。
【図14】同画像形成装置の制御部による印刷処理の一例の説明に供するフロー図である。
【図15】同じく図14に続く処理の説明に供するフロー図である。
【図16】同じく図14に続く処理の説明に供するフロー図である。
【図17】電子写真方式の画像形成装置に適用した場合の塗布ローラと記録媒体との接触面での加圧が相対的に高い状態でのローラ塗布面と未定着樹脂微粒子が接する部分の拡大説明図である。
【図18】同じく塗布ローラと記録媒体との接触面での加圧が相対的に低い状態でのローラ塗布面と未定着樹脂微粒子が接する部分の拡大説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る泡塗布装置の第1実施形態を含む本発明に係る画像形成装置の第1実施形態について図1を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の全体構成図である。
この画像形成装置は、被記録媒体である用紙100に液滴を吐出して画像を形成する画像形成手段としての記録ヘッドユニット101と、用紙100を搬送する搬送ベルト102と、用紙100を収容する給紙トレイ103と、記録ヘッドユニット101よりも用紙搬送方向上流側で被塗布部材である用紙100に泡を塗布する本発明に係る泡塗布装置(被塗布部材に泡を塗布する装置)200とを備えている。
【0022】
記録ヘッドユニット101は、液滴を吐出する複数のノズルを用紙幅相当分の長さに配列したノズル列を有するライン型液体吐出ヘッドから構成され、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインク滴を記録ヘッド101y、101m、101c、101kを備えている。なお、シリアル型画像形成装置として記録ヘッドをキャリッジに搭載する構成ともできる。
【0023】
搬送ベルト102は、無端状ベルトであり、搬送ローラ121とテンションローラ122との間に掛け渡されて周回するように構成している。この搬送ベルト102に対する用紙100の保持は、例えば静電吸着、空気の吸引による吸着などを行う構成とすることやその他の公知の搬送手段を用いることができる。
【0024】
給紙トレイ103に収容された用紙100はピックアップローラ131で1枚ずつ分離されて給紙ローラ132及び図示しない搬送ローラ対によって搬送路135を介して搬送ベルト102上に送り込まれて保持される。
【0025】
そして、搬送ベルト102で搬送される被塗布部材としての被記録媒体100に対して、泡塗布装置200で泡210が塗布され、用紙100に塗布された泡210は速乾して、ヘッドユニット101から各色の液滴が吐出されて画像が形成され、その後図示しない排紙トレイに排出される。
【0026】
一方、泡塗布装置200は、泡にすることが可能な液体又はゲル若しくは液体及びゲル(以下、これらを「処理液」又は「セット剤」と総称する。)201を収容した容器202と、この容器202から処理液201を圧送するポンプ203と、ポンプ203で供給路204を介して供給された処理液201から泡210を生成する泡生成手段及び生成した泡を延展して塗布ローラ212に供給する泡供給手段を兼ねた泡生成/供給部211と、この泡生成/供給部211の供給口から泡210が供給され、泡210を周面に担持して、被記録媒体100に泡210を塗布する塗布手段としての塗布ローラ212とを備えている。
【0027】
また、塗布ローラ212に担持された泡210の膜厚(塗布膜厚)を規制する厚さ規制手段である板状ブレード部材からなる厚さ規制部材214と、塗布後に塗布ローラ212周面に残っている泡210を除去するクリーニング部材215と、厚さ規制部材214の下流側に配置され、不要な泡を加熱して消失させる加熱手段としての加熱部材218とを備えている。
【0028】
ここで、泡になり得る処理液201は、用紙100の表面に塗布することで用紙100の表面を改質する改質材である。例えば、液体201は、予め用紙100(前述したように材質としての紙に限定されない。)にムラなく塗布しておくことで、インクの水分を速やかに用紙100に浸透させると共に色成分を増粘させ、更には乾燥も早めることによって滲み(フェザリング、ブリーディング等)や裏抜けを防止し、生産性(単位時間当たりの画像出力枚数)をあげることを可能にする定着剤(セット剤)である。
【0029】
この処理液201は、組成的には、例えば界面活性剤(アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれか、若しくはこれらを2種類以上混合させたもの)に対して、水分の浸透を促進するセルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース等)とタルク微粉体の様な基剤を加えた溶液等を挙げることができる。更に微粒子を含有することもできる。
【0030】
この処理液201から泡210を生成する泡生成/供給部211は、例えば、図2に示すように、ポンプ203によって処理液201が泡生成/供給経路220の端部に送液され、この泡生成/供給経路220の端部に配設された多孔質部材221に対し、所定のタイミングで、気体供給手段222から、例えばファンとダクトで気体(空気)が送り込まれることにより、この泡生成/供給経路220内にある処理液201から泡210が生成される。そして、更に気体供給手段222から気体が送り込まれる間は、泡生成/供給路220内に生成される泡210が堆積していき、結果として、この泡生成/供給路220内を搬送されて、塗布ローラ212に供給される。
【0031】
処理液201は、泡210を充分に生成できるだけの量が容器201からポンプ203によって供給路204を介して泡生成/供給部211に送り込まれて補給される。
【0032】
ここで、泡210としては、気泡含有量が、かさ密度として概ね0.01g/cm〜0.1g/cm程度の範囲内であるものが好ましい。
【0033】
また、「泡」は液体ではなく半固体となり、流動性等において固体に近い物性を示すものである。つまり、泡210は処理液201から生成されるものであるが、生成された「泡」自体は「液体」や「ゲル」ではない。
【0034】
このように、用紙100の表面に泡210を塗布することによって、空気を大量に含むことで微量塗布が可能となって、塗布の均一化を図れ、速乾性が向上し、滲み、裏写り、濃度ムラ等のない良質な画像を出力することができる。
【0035】
つまり、処理液を泡にして塗布することで、液体やミスト状の処理液と比べて、次のような利点(効果)がある。
(1)泡は空気を大量に含む為、微量塗布が可能である。
(2)泡は固体に近いため、塗布してから削りとる等で塗布膜厚を容易に調整することができ、又、塗布手段から紙への塗布時に塗布手段からの剥離性が良いため、均一塗布が可能である。
(3)泡は紙の繊維に水分が浸透しにくいため、紙にシワやカールが発生しにくい。
【0036】
さらに、このように被記録媒体の処理剤として「泡」のものを用いることは、液体の処理剤に比べて特に高速での記録、処理時に格別の効果を有する。例えば、連帳機のように、連続紙に高速で印刷を行う場合、処理剤の塗布も記録動作に追いつくためにローラ等を高速に回転させて塗布を行う必要がある。
【0037】
このような記録が毎分100m程度を超えるスピードになると、ローラの高速回転により発生する遠心力もきわめて大きくなり、液体の処理剤では、処理剤がローラ表面から引き離され飛散してしまい、被記録媒体に塗布される量が著しく低下してしまうという不具合がある。液体の処理剤を使用してこのような不具合を解決するためには、液体の粘度を上げてローラ表面から飛散しにくくすることも考えられるが、このような高粘度液体は薄膜で塗布することが困難になり、しかも給液、排液動作の負荷が大きくなって搬送用のポンプの大型化や装置の複雑化を招くことになる。
【0038】
これに対して、処理液から生成した「泡」は、搬送時は通常の低粘度液体であり、搬送負荷が少ない上に、ローラ上では発泡させた状態で半固体の性質を示すため、ローラの高速回転にも追随して飛散することがない。また、被記録媒体への薄膜塗布に有利であることは前述のとおりである。さらに、塗布後の残泡はヒータの加熱等で消泡することで容易に低粘度液体として再回収でき、液体の処理剤塗布の高速塗布における問題点をすべて解決することができる。
【0039】
このような泡塗布の長所は、処理液の種類に依存せず、同様な効果が得られる。なお、処理液は紙粉を抑える効果を持つことが好ましく、また、用紙の地肌色を変える効果があっても良い。
【0040】
ところで、被記録媒体又は被記録媒体に塗布するための中間部材などの被塗布部材に対し、泡を均一量塗布するためには、塗布手段である塗布ローラ212の周面に泡210を均一な厚み(膜厚)で担持する必要がある。そこで、上述したように、塗布ローラ212に対向する厚さ規制部材214で膜厚規制を行っているが、上述したような泡210は粘性があるために、塗布ローラ212に対向する厚さ規制部材214の最近傍点で膜厚規制されず、厚さ規制部材214の塗布ローラ212と対向しない面まで回り込んでしまい、厚さ規制部材214による規制位置を通過した後に泡210の厚みが塗布ローラ212上で変化して均一な塗布を行うことができない場合が生じる。
【0041】
この点について図3の比較例を参照して具体的に説明する。
泡生成/供給部211から塗布ローラ212に供給された泡210は、泡塗布ローラ212の回転により搬送されるが、そのままでは塗布膜厚が厚く(Δtだけ厚くなる)、かつ、不均一であるため、厚さ規制部材214によって塗布膜厚を薄くする。しかしながら、実際は泡210が自身の粘性で厚さ規制部材214の下流背面側に引っ張られてしまい(泡210aで示すように回り込み)、厚さ規制部材214と塗布ローラ212間のギャップよりも厚く、不均一になり、膜厚ムラが生じてしまう。
【0042】
そこで、本発明では泡供給手段から塗布手段への供給位置から塗布手段による被記録媒体又は中間部材に対する塗布位置との間で、不要な泡を加熱して消失させる加熱手段を設けて、塗布する泡の膜厚の均一化を図るようにしている。
【0043】
先ず、加熱手段の第1実施例について図4を参照して説明する。
ここでは、特に塗布ローラ212の回転方向で厚さ規制部材214の下流側で塗布ローラ212から用紙100へ泡210を塗布する位置(領域)より上流側に、加熱手段として断面くさび形状の加熱部材218を設けている。
【0044】
これにより、厚さ規制部材214の後端に引っ張られた泡210aは、加熱された加熱部材218の熱によって破裂して消失するので、加熱部材218と塗布ローラ212との間の距離に応じた所定の膜厚に調整され、塗布膜厚ムラが解消される。
【0045】
この場合、加熱部材218は塗布ローラ212上の泡塗布面(周面)に対して接近して所定の膜厚に対応した位置(近接位置)とこの近接位置から後退した位置(退避位置)との間で移動(直進、回転)可能に配置しておき、所定のタイミングで近接させるようにし、あるいは、所定のタイミングで加熱するようにすることで、泡塗布膜厚の均一化を実施するタイミングのみ不要な泡210aを消失させるようにすることが好ましい。また、泡210に対する加熱部材218の接触部は平面形状であるよりも鋭角形状(本実施例の形状)であることが好ましい。
【0046】
また、加熱部材(加熱手段)218の加熱時の温度は150℃以上にすることが好ましく、この温度以上であれば、加熱部材218と泡210の接触部における泡210の破裂が瞬時に起こり、泡切れが良くなることで、泡の均一化がより円滑に行なわれる。特に、泡塗布膜厚や泡の搬送速度を考慮すると、150℃〜400℃が最適温度である。
【0047】
このように、膜厚規制手段と加熱手段と別個に設けて、かつ、加熱手段を膜厚規制手段よりも下流側で用紙に対する塗布位置よりも上流側に設けることで、より精度良く泡塗布膜厚及び膜厚均一化を行なえるので、環境変化や紙種等に応じてセット剤効果を調節して種々の状況における画像品質向上と安定化を図ることができる。
【0048】
この場合、泡を消す消泡のための加熱手段の消費電力は、インクを乾燥するための定着手段の消費電力に比べて非常に少なくて済み(1/10以下程度になる)、泡を塗付するこの画像形成装置では加熱定着を行う特許文献1のような画像形成装置に比べて消費電力が低減する。
【0049】
次に、加熱手段の第2実施例について図5を参照して説明する。
ここでは、厚み規制手段(膜厚規制手段)と加熱手段とを兼ねたブレード部材234を配置している。これにより、ブレード部材234によって不要な泡を加熱して消失させながら泡210の厚みを規制することができ、ブレード部材234の後端側に引っ張られることがなくなり、所定の膜厚に調整できて塗布膜厚ムラを解消できる。
【0050】
また、特に加熱手段としてブレード状部材を使用することで、安定した熱量による確実な泡均一化を実現でき、より確実に画像品質向上と安定化が可能になる。さらに、膜厚規制手段と加熱手段とを兼用することで、構成が簡単になる。
【0051】
次に、加熱手段の第3実施例について図6を参照して説明する。
この例は、厚み規制手段と加熱手段とを兼用しつつ、厚み規制手段を部分的に加熱手段と兼用する構成としている。つまり、厚み規制手段としてのブレード部材234は、塗布ローラ212上の泡210との接触点よりも泡搬送方向に対して上流側の対向する面234bは加熱手段とせずに、塗布ローラ212に対向する面234cを含み、塗布ローラ212上の泡210との接触点よりも泡搬送方向に対して下流側の部分234aを加熱手段としている。
【0052】
これにより、ブレード部材234と塗布ローラ212上の泡210の接触点よりも泡搬送方向に対して上流側は加熱部分234aによる熱の影響を受けることなく、塗布ローラ212上の泡210を接触点で泡切れ良く、ブレード部材234の裏面への泡の回り込みを防止できるため、第2実施形態に比べて、より均一に膜厚規制できるようになり、塗布膜厚ムラを解消できる。
【0053】
次に、加熱手段の第4実施例について図7を参照して説明する。
ここでは、加熱手段として前述した第1実施例の加熱部材218に代えてワイヤ部材238を使用している。ワイヤ部材238とすることで、容積が少ないため、加熱に必要な熱量が少なくて済み、より低消費電力で泡の均一塗布を実現することができる。
【0054】
次に、加熱手段の第5実施例について図8を参照して説明する。
ここでは、前記第1実施例と同様に先端部が楔形状の加熱部材218を、支軸240を支点として揺動可能に配置し、加熱部材218を矢示方向に揺動させる駆動手段(ソレノイドなど)241を備えている。
【0055】
これにより、加熱部材218は塗布ローラ212上の泡塗布面(周面)に対して接近して所定の膜厚に対応した位置(近接位置:実線図示の位置)とこの近接位置から後退した位置(退避位置:仮想線図示の位置)との間で移動(直進、回転)可能となり、泡塗布膜厚の均一化を実施するタイミングのみ不要な泡210aを消失させるようにすることができる。
【0056】
次に、上記画像形成装置の制御部の概要について図9のブロック説明図を参照して説明する。
この制御部は、本画像形成装置のシステム制御を行うCPU801と、CPU801が実行するプログラムなどの情報を格納するROM802と、ワーキングエリアとして使用するRAM803と、オペレータが各種設定等を行うため操作表示部804と、紙サイズ検知やジャム検知等を行う各種センサ805と、各種モータ等806と、各種センサ805及び各種モータ等806への出力制御信号を行うI/O807と、画像読取り装置(スキャナ)808を制御する読取り制御部809と、プロッタ部(印字機構部)810を制御する印字制御部811と、電話回線とのI/F制御を行う網制御装置812の制御も含めて、各種ファクシミリ通信制御を行う通信制御部813と、泡塗布装置200の制御を行う泡塗布制御部814等を備えている。
【0057】
ここで、各種センサ805には、処理液201が容器202内にあるか否か検知する液体エンド検知手段、加熱部材218(ここでは、前記第5実施例を用いている。)の周囲温度を検知する温度センサを含み、また、各種モータ806には、ポンプ203、塗布ローラ212、供給量/供給領域調整手段、厚み規制手段214、搬送ローラ121、給紙ローラ132及びピックアップローラ131などを回転させるモータ、加熱手段218を泡に接触する位置と退避する位置との間で揺動させるソレノイド241などを含む。
【0058】
次に、この画像形成装置における印刷処理の一例について図10ないし図12に示すフロー図を参照して説明する。
図10を参照して、パーソナルコンピュータによるプリント命令、操作表示部804からのオペレーション等による画像出力要求を受信すると、処理液(セット剤)塗布機能が有効に設定されているか否かを判別する。そして、処理液塗布機能が有効設定であるときには、泡生成/供給部211の泡生成/供給経路220内に所定量以上の処理液201が入っているか否かを判別する。
【0059】
このとき、泡生成/供給部211の泡生成/供給経路220内に所定量以上の処理液201が入っていなければ(ニアエンドであれば)、ポンプ203を駆動して容器202から処理液201を泡生成/供給部211の泡生成/供給経路220内に補給した後、また、所定量以上の処理液201が入っていれば、そのまま、所定のタイミングで泡生成/供給部211の多孔質部材221に対して気体供給手段222によって気体を送り込んで泡210の生成を開始する。この気体供給手段222の駆動タイミングで泡210が自身の堆積力により塗布ローラ212に対する供給口から塗布されるので、塗布の開始/停止を制御できる。
【0060】
そして、加熱部材218の温度を温度センサで検出し、検出した加熱部材218の温度が予め定めた所定の温度(例えば前述したように150℃以上)か否かを判別する。このとき、加熱部材218の温度が所定の温度以上でなければ、加熱部材218をヒータ等の加熱手段を用いて加熱して、所定の温度以上にする。
【0061】
ここで、加熱部材218の温度が所定の温度以上になれば、図11に示す処理に移行して、塗布ローラ212、搬送ローラ121(搬送ベルト102)を駆動する。
【0062】
一方、泡生成/供給部211から塗布ローラ212に対して泡210の塗布を開始する。そして、加熱部材218を塗布ローラ212上の泡210に対して接触可能な位置に移動させる。これにより、塗布ローラ212上に塗布された泡210は厚さ規制部材214で膜厚調整された後に、加熱部材218によって不要な泡210aが消失されるので、均一な厚みで泡210が塗布ローラ212に担持された状態で塗布位置に移動する。このように画像形成時にだけ加熱手段218による泡の消失作用を発揮させることで無駄な電力消費を抑えることができる。
【0063】
そして、泡210を用紙100の印字領域に過不足なく転写できるタイミングでピックアップローラ131、給紙ローラ132を駆動し、給紙トレイ103から用紙100を搬送ベルト102上へ搬送して、搬送ベルト102上にて用紙100に対して塗布ローラ212により泡210を塗布する。泡210が塗布された用紙100の先端が記録ヘッドユニット101に到達したら、印字領域データに応じた所定のタイミングで記録ヘッドユニット101からインクを吐出して用紙100への印字を行なう。
【0064】
一方で、泡生成/供給部211は印字領域分の塗布ローラ212への泡供給が終了したら、印字が終了している用紙100を排紙部へ搬送すると共に、画像出力命令による印字すべき用紙が終了枚数(印字枚数)に達するまで、気体供給手段222を制御することにより、用紙100への泡塗布及び印字、排紙を繰り返し行う。
【0065】
そして、印字枚数に達すると、気体供給手段222の駆動を停止することで泡生成/供給部211による泡生成及び供給を停止する。さらに、加熱部材218の加熱と泡接触位置からの離間(退避)を行なった後、ピックアップローラ131、給紙ローラ132を停止して用紙の給紙を停止し、塗布ローラ212のクリーニングが確実に終了する所定の時間後に、搬送ローラ121(搬送ベルト102)、塗布ローラ212の駆動動作を停止し、動作が完了する。
【0066】
一方、図10において、例えば特別な被記録媒体を使用することで処理液の泡210を塗布する必要がない場合などには処理液塗布機能が無効に設定されるので、処理液塗布機能が有効設定でなければ、図12に示す処理に移行して、塗布ローラ212、搬送ベルト102の駆動を行い、給紙部からの被記録媒体100の給紙を行って、被記録媒体100に対するヘッドユニット101による印字を行った後排紙を行い、更に印字枚数に達したときには、ピックアップローラ131、給紙ローラ132の動作を停止し、所定時間経過後、搬送ベルト102、塗布ローラ212の動作を停止する。
【0067】
ここで、塗布ローラ212をも回転させるのは、塗布ローラ212と紙搬送ベルト102のギャップは最大で紙厚+泡210の膜厚以下であり、特に押圧塗布を行う場合には紙厚以下であるので、塗布ローラ212を駆動して被記録媒体100の搬送が阻害されないようにするためである。
【0068】
次に、本発明に係る泡塗布装置の第2実施形態を含む本発明に係る画像形成装置の第2実施形態について図13を参照して説明する。なお、図13は同画像形成装置の全体構成図である。
この画像形成装置における泡塗布装置700は、泡生成手段と泡塗布手段とを兼ねた泡生成/塗布部711で泡生成を行いながら直接被記録媒体である用紙100に泡を塗布する。なお、泡生成/塗布部711の泡生成は前述した第1実施形態の泡生成/供給部211と同様にして行っている。
【0069】
そして、この泡生成/塗布部711による泡塗布位置よりも用紙搬送方向下流側に用紙100上の不要な泡を加熱して消失させる加熱部材712を配置している。この加熱部材712は前記第1実施形態における第5実施例に係る加熱部材218と同様に駆動手段によって近接位置と退避位置との間で移動可能に配置されている。さらに、この加熱部材712の下流側に加圧ローラ713を配置し、厚みが均一化された泡を加圧して用紙100上に定着させている。なお、加圧ローラ713に付着した残存泡はクリーニング部材714で除去する。
【0070】
次に、この画像形成装置における印刷処理の一例について図14ないし図16に示すフロー図を参照して説明する。
図16を参照して、パーソナルコンピュータによるプリント命令、操作表示部804からのオペレーション等による画像出力要求を受信すると、処理液(セット剤)塗布機能が有効に設定されているか否かを判別する。そして、処理液塗布機能が有効設定であるときには、泡生成/塗布部711の泡生成/供給経路220内に所定量以上の処理液201が入っているか否かを判別する。
【0071】
このとき、泡生成/塗布部711の泡生成/供給経路220内に所定量以上の処理液201が入っていなければ(ニアエンドであれば)、ポンプ203を駆動して容器202から処理液201を泡生成/塗布部711の泡生成/供給経路220内に補給した後、また、所定量以上の処理液201が入っていれば、そのまま、所定のタイミングで泡生成/塗布部711の多孔質部材221に対して気体供給手段222によって気体を送り込んで泡の生成を開始する。この気体供給手段222の駆動タイミングで泡が自身の堆積力により用紙100に対する供給口から塗布されるので、塗布の開始/停止を制御できる。
【0072】
そして、加熱部材712の温度を温度センサで検出し、検出した加熱部材712の温度が予め定めた所定の温度(例えば前述したように150℃以上)か否かを判別する。このとき、加熱部材712の温度が所定の温度以上でなければ、加熱部材712をヒータ等の加熱手段を用いて加熱して、所定の温度以上にする。
【0073】
ここで、加熱部材218の温度が所定の温度以上になれば、図15に示す処理に移行して、所定のタイミングでピックアップローラ131、給紙ローラ132、搬送ローラ121(搬送ベルト102)、加圧ローラ713を駆動して、搬送ベルト102に用紙100を給紙搬送する。
【0074】
その後、所定のタイミングで泡生成/塗布部711から搬送ベルト102上の用紙100上に泡の塗布を開始する。そして、加熱部材712を用紙100上の泡に対して接触可能な位置に移動させる。これにより、用紙100上に塗布された泡は加熱部材712によって不要な泡が消失されるので、均一な厚みで塗布された状態になる。
【0075】
この泡が塗布された用紙100の先端が記録ヘッドユニット101に到達したら、印字領域データに応じた所定のタイミングで記録ヘッドユニット101からインクを吐出して用紙100への印字を行なう。
【0076】
一方で、泡生成/供給部211は印字領域分の塗布ローラ212への泡供給が終了したら、印字が終了している用紙100を排紙部へ搬送すると共に、画像出力命令による印字すべき用紙が終了枚数(印字枚数)に達するまで、気体供給手段222を制御することにより、用紙100への泡塗布及び印字、排紙を繰り返し行う。
【0077】
そして、印字枚数に達すると、気体供給手段222の駆動(気体の送り込み)を停止することで泡生成/塗布部711による泡生成及び塗布を停止する。その後、ピックアップローラ131、給紙ローラ132を停止して用紙の給紙を停止する。さらに、加熱部材712の加熱と泡接触位置からの離間(退避)を行なった後、加圧ローラ713のクリーニングが確実に終了する所定の時間後に、搬送ローラ121(搬送ベルト102)、加圧ローラ713の駆動動作を停止し、動作が完了する。
【0078】
一方、図14において、例えば特別な被記録媒体を使用することで処理液の泡を塗布する必要がない場合などには処理液塗布機能が無効に設定されるので、処理液塗布機能が有効設定でなければ、図16に示す処理に移行して、加圧ローラ713、搬送ベルト102の駆動を行い、給紙部からの被記録媒体100の給紙を行って、被記録媒体100に対するヘッドユニット101による印字を行った後排紙を行い、更に印字枚数に達したときには、ピックアップローラ131、給紙ローラ132の動作を停止し、所定時間経過後、搬送ベルト102、加圧ローラ713の動作を停止する。
【0079】
なお、上記各実施形態では泡塗布装置が画像形成前の用紙に対して泡を塗布する構成で説明しているが、記録ヘッドユニットの下流側に泡塗布装置を配置し、画像形成が行われた用紙上に泡を塗布する構成とすることもできる。また、上記実施形態では、泡にすることが可能な液体から泡を生成して塗布する例で説明しているが、本発明を、泡にすることが可能なゲルから泡を生成して被塗布部材に塗布する装置、この装置を備える画像形成装置にも適用することができる。
【0080】
また、本発明に係る泡塗布装置は、例えば電子写真方式の画像形成装置にも適用することができる。例えば、紙等の媒体上のトナー等の樹脂を含有する微粒子を乱すことなく、かつ当該樹脂微粒子を付着した媒体に定着液を泡化(以下「定着泡」という)して塗布することにより、塗布後には素早く樹脂微粒子の媒体への定着が行われ、更に媒体に残油感が発生しない定着方法及び定着装置、並びに画像形成方法及び画像形成装置にも適用できる。
【0081】
そこで、電子写真方式の画像形成装置に適用した場合の例について図17及び図18を参照して説明する。なお、図17及び図18はローラ塗布手段においてローラ塗布面と未定着樹脂微粒子が接する部分の拡大説明図であり、図17は塗布ローラと記録媒体との接触面での加圧が相対的に高い場合、図18は同加圧が相対的に低い場合である。また、塗布ローラ1011の回転方向及び被塗布部材としての記録媒体1010の移動方向はいずれも図中の矢印方向とする。
【0082】
まず、塗布ローラ1011と記録媒体1010との接触面での加圧が高い場合、図17(a)に示す例では、塗布ローラ1011の塗布面で定着泡1012は気泡1013の単層構造となっていることから、気泡自身が表面張力により塗布ローラ1011の塗布面に付着しやすく、記録媒体1010上の樹脂微粒子(未定着トナー)1015の層へ定着泡1012が不均一にしか塗布されず、樹脂微粒子1015が気泡1013に吸着して塗布ローラ1011の塗布面にオフセットしてしまう。
【0083】
一方、図17(b)に示すように、塗布ローラ1011の塗布面で定着泡1012が複数層の気泡層構造である場合、凹凸を有する未定着トナー1015の面への気泡の埋め込みが可能となり、定着泡1012は気泡1013の層間で分離しやすくなり、トナー層に均一に塗布可能となり、トナーオフセットを極めて生じにくくすることができる。
【0084】
したがって、塗布ローラ1011と記録媒体1010との接触面での加圧が高い場合、塗布ローラ1011に未定着トナー1015がオフセットしないようにするためには、予め生成する気泡の平均的な大きさを測定しておき、気泡層が複数層となるように、塗布ローラ1011上の定着泡層の膜厚を気泡層の複数層分の厚みになるように制御すれば、塗布ローラ1011上には必ず複数層の気泡層からなる定着泡層が形成され、トナーオフセットの防止が可能となる。
【0085】
また、塗布ローラ1011と記録媒体1010との接触面での加圧が低い場合、図18(a)に示すように、塗布ローラ1011の塗布面で定着泡1012は気泡1013の単層構造となっているため、凹凸を有する未定着トナー1015の面への気泡が付着しやすくなり、塗布ローラ1011の面から気泡層が剥離し、定着泡1012は未定着トナー1015に塗布される。
【0086】
一方、図18(b)に示すように、塗布ローラ1011の塗布面で定着泡1012が複数層の気泡層構造である場合、気泡1013どうしの結合が強いため、気泡1013は塗布ローラ1011側に残りやすく、逆に未定着トナー1015が気泡1013に付着して、結果として塗布ローラ1011の面に未定着トナー1015がオフセットする。
【0087】
したがって、塗布ローラ1011と記録媒体1010との接触面での加圧が低い場合、予め気泡の平均的な大きさを測定しておき、塗布ローラ面で単層の気泡層構造の定着泡となるように定着泡層厚みを制御すれば、塗布ローラ上には単層の気泡層構造の定着泡膜が形成され、高加圧力条件でトナーオフセットを防止できる。また、塗布ローラ1011に未定着トナー1015がオフセットしないようにするためには、塗布ローラ1011上の気泡層が厚すぎると塗布ローラ1011と記録媒体1010との接触部に気泡層の流動が生じ、トナー粒子がその流れに沿って移動してしまし、画像が流れる不具合が発生するので、流動性が生じない範囲に定着泡層の膜厚を制御することが好ましい。
【0088】
このように、定着泡に含有される気泡の大きさ、加圧力に応じて、定着泡層の膜厚を制御することで、塗布ローラのような接触塗布手段へのトナーオフセットや画像流れを防止し、極めて微小の塗布による定着を可能とすることができる。
【0089】
すなわち、樹脂微粒子の少なくとも一部を溶解又は膨潤させて樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を用い、接触塗布手段にて媒体上の当該樹脂微粒子に定着液を塗布することで当該樹脂微粒子を媒体に定着する方法であり、当該定着液を該媒体上の当該樹脂微粒子表面に付与するときに、当該微粒子に定着液が接する塗布で、当該定着液が気泡を含有した泡状形態とし、更に当該定着泡層の膜厚を加圧力に応じて制御することにより、塗布ローラのような接触塗布手段へのトナーオフセットや画像流れを防止し、極めて微小の塗布による定着を可能とすることができる。また、樹脂微粒子として、電子写真技術に用いるトナー微粒子に対する効果が高く、この樹脂微粒子の層厚に応じて定着泡層の膜厚を制御することでオフセットや画像流れを防止できる。
【符号の説明】
【0090】
100…被記録媒体(用紙)
101…記録ヘッドユニット
102…搬送ベルト
103…給紙トレイ
200…泡塗布装置
201…処理液(泡になる液体又はゲル若しくは液体及びゲル)
211…泡生成/供給部
212…塗布ローラ
214…厚み規制部材(膜厚規制手段)
218…加熱部材
238…ブレード部材(加熱手段兼用膜厚規制手段)
700…泡塗布装置
711…泡生成/塗布部
712…加熱部材
713…加圧ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記被記録媒体又は被記録媒体に塗布するための中間部材に対して液体及びゲルの少なくともいずれかを泡にして塗布する泡塗布手段と、を備え、
前記泡塗布手段は、
前記泡を生成する泡生成手段と、
前記泡を前記被記録媒体又は中間部材に塗布する塗布手段と、
前記泡生成手段で生成された泡を前記塗布手段に供給する泡供給手段と、
前記泡供給手段から前記塗布手段への供給位置から前記塗布手段による前記被記録媒体又は中間部材に対する塗布位置との間で、不要な前記泡を加熱して消失させる加熱手段と、を有している
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記加熱手段はブレード部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、前記ブレード部材は前記塗布手段に対向する面を除く前記泡との接触点を含む部分で加熱することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記加熱手段はワイヤ部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記加熱手段は前記塗布手段のよる塗布膜厚を規制する部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記加熱手段は前記塗布手段のよる塗布膜厚を規制する部材の下流側に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記被記録媒体又は被記録媒体に塗布するための中間部材に対して液体及びゲルの少なくともいずれかを泡にして塗布する泡塗布手段と、を備え、
前記泡塗布手段は、
前記泡を生成する泡生成手段と、
前記泡を前記被記録媒体に塗布する塗布手段と、
前記塗布手段よる前記被記録媒体に対する塗布位置よりも下流側で、前記被記録媒体上に塗布された不要な前記泡を加熱して消失させる加熱手段と、を有している
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
被塗布部材に液体及びゲルの少なくともいずれかを泡にして塗布する泡塗布装置において、
前記泡を生成する泡生成手段と、
前記泡を前記被塗布部材に塗布する塗布手段と、
前記泡生成手段で生成された泡を前記塗布手段に供給する泡供給手段と、
前記泡供給手段から前記塗布手段への供給位置から前記塗布手段による前記被塗布部材に対する塗布位置との間で、不要な前記泡を加熱して消失させる加熱手段と、を有している
ことを特徴とする泡塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−298138(P2009−298138A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85062(P2009−85062)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】