説明

画像形成装置、画像処理方法及び画像処理プログラム

【課題】各種のサービスに対して容易にマーキング機能を追加することのできる画像形成装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムの提供を目的とする。
【解決手段】それぞれ画像データの入力、加工、又は出力のいずれかを実行する複数のソフトウェア部品を有し、前記ソフトウェア部品の接続によって画像データに関するサービスを提供する画像形成装置であって、前記ソフトウェア部品の一つとして、前記画像データに対する埋め込み情報を表現するマーキングを生成し、前記マーキングを前記画像データに対して合成するマーキング合成手段を有することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像処理方法及び画像処理プログラムに関し、特に画像データに対するマーキングの埋め込み又は検出を実行することのできる画像形成装置、画像処理方法及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙文書の印刷の際にバーコード等のマーキングを合成したり、紙文書のコピー等の際に紙文書に付加されているマーキングを検出し、当該マーキングに応じた制御を実行したりするための機能(以下「マーキング機能」という。)が実装された画像形成装置が存在する(例えば、特許文献1)。
【0003】
他方において、近年の画像形成装置は、メモリ等の制限は厳しいものの、汎用的なコンピュータと同様にCPUを備え、上記のマーキング機能も含め、各種の機能はアプリケーションの制御によって実現されるようになっている。例えば、特許文献2に記載された画像形成装置では、各アプリケーションから共通的に利用される機能をプラットフォームとして備えており、当該プラットフォームのAPIを利用してアプリケーションを実装することができる。かかる画像形成装置によれば、共通的に利用される機能がプラットフォームとして備えられていることにより、アプリケーションごとに重複した機能の実装が回避され、アプリケーション全体の開発効率を向上させることができる。
【特許文献1】特開2005−122682号公報
【特許文献2】特許第3679349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般的に、共通的に利用されるAPIを備えたプラットフォームについては、当該プラットフォームによって提供される機能又はインタフェースの粒度が適切に設計されていないと、アプリケーションの開発効率の向上が期待以上に図れない場合がある。
【0005】
例えば、当該粒度が小さ過ぎると、単純なサービスを提供するアプリケーションであるにもかかわらず、多くのAPIの呼び出しが必要とされ、そのソースコードは複雑なものとなってしまう。
【0006】
一方、当該粒度が大き過ぎると、或るインタフェースによって提供されている機能の一部について変更を加えたサービスを提供するアプリケーションを実装したい場合、当該プラットフォーム内を修正しなければならず、開発工数の増加を招いてしまいかねない。特に、プラットフォーム内における各モジュールの依存関係が強い場合は、プラットフォームに新規機能を追加するだけでなく、既存部分の修正も必要とされる場合があり、事態はより複雑となる。
【0007】
また、既存のアプリケーションによって提供されているサービスの一部(例えば、画像の入力処理)を変更したアプリケーションを実装したい場合、当該一部以外の部分については既存のアプリケーションを呼び出すといったようなことは出来ない。したがって、改めてソースコードを記述して新たなアプリケーションを実装しなければならない。
【0008】
かかる事情は、マーキング機能についても同様である。すなわち、マーキング機能がAPIとして実装されている場合、当該APIの粒度が適切に設計されていないと、各種のアプリケーションに対するマーキング機能の組み込むための作業が煩雑なものとなってしまう。一方、或るアプリケーションのソースコード内にマーキング機能が実装されていると、他のアプリケーションにおいてもマーキング機能を実現したい場合に、当該他のアプリケーションにおいて改めてマーキング機能のソースコードを記述しなければならない。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、各種のサービスに対して容易にマーキング機能を追加することのできる画像形成装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで上記課題を解決するため、本発明は、それぞれ画像データの入力、加工、又は出力のいずれかを実行する複数のソフトウェア部品を有し、前記ソフトウェア部品の接続によって画像データに関するサービスを提供する画像形成装置であって、前記ソフトウェア部品の一つとして、前記画像データに対する埋め込み情報を表現するマーキングを生成し、前記マーキングを前記画像データに対して合成するマーキング合成手段を有することを特徴とする。
【0011】
このような画像形成装置では、各種のサービスに対して容易にマーキング機能を追加することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、各種のサービスに対して容易にマーキング機能を追加することのできる画像形成装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における複合機のハードウェア構成の一例を示す図である。ここで、複合機とは、プリンタ、コピー、スキャナ、又はFAX等の複数の機能を一台の筐体において実現する画像形成装置をいう。複合機1のハードウェアとしては、コントローラ201と、オペレーションパネル202と、ファクシミリコントロールユニット(FCU)203と、撮像部121と、印刷部122が存在する。
【0014】
コントローラ201は、CPU211、ASIC212、NB221、SB222、MEM−P231、MEM−C232、HDD(ハードディスクドライブ)233、メモリカードスロット234、NIC(ネットワークインタフェースコントローラ)241、USBデバイス242、IEEE1394デバイス243、セントロニクスデバイス244により構成される。
【0015】
CPU211は、種々の情報処理用のICである。ASIC212は、種々の画像処理用のICである。NB221は、コントローラ201のノースブリッジである。SB222は、コントローラ201のサウスブリッジである。MEM−P231は、複合機1のシステムメモリである。MEM−C232は、複合機1のローカルメモリである。HDD233は、複合機1のストレージである。メモリカードスロット234は、メモリカード235をセットするためのスロットである。NIC241は、MACアドレスによるネットワーク通信用のコントローラである。USBデバイス242は、USB規格の接続端子を提供するためのデバイスである。IEEE1394デバイス243は、IEEE1394規格の接続端子を提供するためのデバイスである。セントロニクスデバイス244は、セントロニクス仕様の接続端子を提供するためのデバイスである。オペレーションパネル202は、オペレータが複合機1に入力を行うためのハードウェア(操作部)であると共に、オペレータが複合機1から出力を得るためのハードウェア(表示部)である。
【0016】
図2は、本発明の実施の形態における複合機のソフトウェア構成例を示す図である。図2に示されるソフトウェアは、例えば、MEM−C232に格納され、CPU211によって処理されることによりその機能を複合機に実行させる。
【0017】
図2に示されるように、複合機1におけるソフトウェアは、ユーザインタフェース層10、コントロール層20、アプリケーションロジック層30、デバイスサービス層40、及びデバイス制御層50等より構成される。なお、図中における各層の上下関係は、層間の呼び出し関係に基づいている。すなわち、基本的に図中において上にある層が下の層を呼び出す。
【0018】
ユーザインタフェース層10は、各種サービス(例えば、コピー、印刷、スキャン、FAX送信)の実行要求を受け付けるための機能が実装されている部分であり、例えば、通信サーバ部11及びローカルUI部12等のプログラムが含まれる。通信サーバ部11は、例えば、非図示のクライアントPC(Personal Computer)等からネットワーク経由で要求を受け付ける。ローカルUI部12は、例えば、オペレーションパネル202を介して入力される要求を受け付ける。ユーザインタフェース層10において受け付けられた要求は、コントロール層20に伝えられる。
【0019】
コントロール層20は、要求されたサービスを実現するための処理を制御するための機能が実装されている部分であり、例えば、リクエスト管理部21、機内監視部22及びプラグイン管理部23等のプログラムが含まれる。リクエスト管理部21は、例えば、オペレーションパネル202を介してその実行が要求されたサービスを実現するための処理を制御する。機内監視部22は、複合機1の内部において発生するイベント(状態の変化等)を監視し、当該イベントの検知に応じてサービスを実現するための処理を制御する。プラグイン管理部23は、アプリケーションロジック層30における各種のソフトウェア部品(プログラム)の管理を行う。当該管理としては、当該各種のソフトウェア部品のインストール又はアンインストール等が含まれる。
【0020】
アプリケーションロジック層30は、複合機1によって提供されるサービスを実現するアプリケーション又は当該アプリケーションの一部の機能を実現する部品群等が実装されている部分である。
【0021】
複合機1においてサービスを実現するアプリケーションに相当するソフトウェアは、「アクティビティ」と呼ばれる。図中では、アクティビティの一例として、コピーアクティビティ331及びプリンタアクティビティ332が示されている。各アクティティティは、アプリケーションロジック層30における一つ以上のソフトウェア部品の組み合わせ(接続)によって構成される。本実施の形態では、各ソフトウェア部品を「フィルタ」と呼ぶ。これは、複合機1のソフトウェアアーキテクチャが「パイプ&フィルタ」と呼ばれる考え方に基づくことによる。
【0022】
図3は、パイプ&フィルタの概念を説明するための図である。図3において、「F」はフィルタを示し、「P」はパイプを示す。図中に示されるように、各フィルタはパイプによって接続される。フィルタは、入力されたデータに対して変換を施し、その結果を出力する。パイプは、フィルタから出力されたデータを次のフィルタに伝達する。
【0023】
すなわち、本実施の形態における複合機1では、各サービスをドキュメント(画像データ)に対する「変換」の連続として捉える。複合機の各サービスは、ドキュメントの入力、加工、及び出力によって構成されるものとして一般化することができる。そこで「入力」、「加工」、及び「出力」を「変換」として捉え、一つの「変換」を実現するソフトウェア部品がフィルタとして構成される。入力を実現するフィルタを特に「入力フィルタ」という。また、加工を実現するフィルタを特に「加工フィルタ」という。更に、出力を実現するフィルタを特に「出力フィルタ」という。なお、各フィルタは独立しており、フィルタ間における依存関係(呼び出し関係)は基本的に存在しない。したがって、フィルタ単位で追加(インストール)又は削除(アンインストール)が可能とされている。なお、パイプは、例えば、メモリやハードディスク等の記憶領域が用いられる。
【0024】
図2では、入力フィルタとして、読取フィルタ301、保管文書読出フィルタ302、メール受信フィルタ303、FAX受信フィルタ304、PC文書受信フィルタ305、レポートフィルタ306、及びマーキング検出フィルタ307等が含まれている。
【0025】
読取フィルタ301は、スキャナによる画像データの読み取りを制御し、読み取られた画像データを出力する。保管文書読出フィルタ302は、複合機1のHDD233に保管されている文書データ(画像データ)を読み出し、読み出されたデータを出力する。メール受信フィルタ303は、電子メールを受信し、当該電子メールに含まれているデータを出力する。FAX受信フィルタ304は、FAX受信を制御し、受信されたデータを出力する。PC文書受信フィルタ305は、非図示のクライアントPCから画像データを受信し、受信された画像データを出力する。レポートフィルタ306は、複合機1の各種の設定情報や管理情報、及び各ソフトウェアコンポーネントより出力される履歴情報等を、所定の形式に整形されたレポートとして出力する。マーキング検出フィルタ307は、画像データの入力を受け付け、入力された画像データに合成(重畳)されているマーキング(マーク)を検出し、当該マーキングが表現する情報を抽出する。
【0026】
加工フィルタとしては、文書加工フィルタ311及びマーキング埋め込みフィルタ312等が含まれている。文書加工フィルタ311は、入力されたデータに所定の画像変換処理(集約、拡大、又は縮小等)を施し、出力する。マーキング埋め込みフィルタ312は、入力情報に応じたマーキング画像(マーキング(マーク)を示す画像データ)を生成し、当該マーキング画像を画像データに対して合成(重畳)することにより、画像に対して入力情報を埋め込む。
【0027】
出力フィルタとしては、印刷フィルタ321、保管文書登録フィルタ322、メール送信フィルタ323、FAX送信フィルタ324、PC文書送信フィルタ325、及びプレビューフィルタ326等が含まれている。
【0028】
印刷フィルタ321は、入力されたデータをプロッタに出力(印刷)させる。保管文書登録フィルタ322は、入力されたデータを複合機1のHDD233に保存する。メール送信フィルタ323は、入力されたデータを電子メールに添付して送信する。FAX送信フィルタ324は、入力されたデータをFAX送信する。PC文書送信フィルタ325は、入力されたデータをクライアントPCに送信する。プレビューフィルタ326は、入力されたデータを、複合機1のオペレーションパネル202にプレビュー表示させる。
【0029】
なお、アプリケーション層30における新たなアクティビティの追加は、フィルタの接続によって実現することができる。また、当該新たなアクティビティに適したフィルタが存在しない場合は、当該フィルタを新たにインストールし、当該フィルタを他のフィルタと接続することで新たなアクティビティの追加を実現することができる。また、既存のアクティビティに対する機能の追加は、当該機能に対応するフィルタを当該既存のアクティビティを構成するフィルタに接続することによって実現することができる。
【0030】
図2に戻る。デバイスサービス層40は、アプリケーションロジック層30における各フィルタから共通に利用される下位機能が実装されている部分であり、例えば、画像パイプ41及びデータ管理部42等が含まれる。画像パイプ41は、上述したパイプの機能を実現する。すなわち、或るフィルタからの出力データを次のフィルタに伝達する。データ管理部42は、例えば、ユーザ情報が登録されたデータベースや、文書又は画像データ等が蓄積されるデータベース等の他、上記の管理情報、設定情報又は履歴情報等の管理を行う。
【0031】
なお、アプリケーションロジック層30は、アクティビティ若しくはフィルタの追加又は削除等の変更が可能な部分であるのに対し、デバイスサービス層40は、少なくともコンポーネントの削除は制限される固定的な部分である。
【0032】
デバイス制御層50は、デバイス(ハードウェア)を制御するドライバと呼ばれるプログラムモジュール群が実装されている部分であり、例えば、スキャナ制御部51、プロッタ制御部52、ストレージ制御部53、FCU制御部54、及びネットワーク制御部55等が含まれる。各制御部は、当該制御部の名前に付けられているデバイスを制御する。
【0033】
図2に示されるようなアーキテクチャに基づいて提供される各種の機能のうち、本実施の形態では主にマーキング機能について説明する。マーキング機能は、画像データに対してマーキングを埋め込む機能(マーキング埋め込み機能)と、画像データよりマーキングを検出し、当該マーキングが表現するデータを抽出する機能(マーキング検出機能)とから構成される。まず、マーキング埋め込み機能について説明する。
【0034】
マーキング埋め込み機能は、例えば、プリンタアクティビティ332において利用される。プリンタアクティビティ332は、実現する機能に応じてフィルタ構成について以下のようなバリエーションがある。図4は、プリンタアクティビティのフィルタ構成のバリエーションを示す図である。
【0035】
例えば、PC文書の印刷を実現する場合、プリンタアクティビティ332は、PC文書受信フィルタ305、文書加工フィルタ311、及び印刷フィルタ321より構成される。この場合、プリンタアクティビティ332は、PC文書受信フィルタ305によってPCより画像データを受信し、文書加工フィルタ311によって、受信された画像データに対して各種の変換を実行し、印刷フィルタ321によって、変換が施された画像データを印刷する。
【0036】
また、PC文書の保管を実現する場合、プリンタアクティビティ332は、PC受信フィルタ305、文書加工フィルタ311、及び保管文書登録フィルタ322より構成される。この場合、プリンタアクティビティ332は、PC文書受信フィルタ305によってPCより画像データを受信し、文書加工フィルタ311によって受信された画像データに対して各種の変換を実行し、印刷フィルタ321によって、変換が施された画像データをHDD233に保存する。
【0037】
また、保管文書の印刷を実現する場合、プリンタアクティビティ332は、保管文書読出フィルタ302、文書加工フィルタ311、及び印刷フィルタ321より構成される。この場合、プリンタアクティビティ332は、保管文書読出フィルタ302によってHDD233より画像データを読み出し、文書加工フィルタ311によって、読み出された画像データに対して各種の変換を実行し、印刷フィルタ321によって、変換が施された画像データを印刷する。
【0038】
斯かるプリンタアクティビティ332において、加工フィルタとしてマーキング埋め込みフィルタ312が組み込まれることによりマーキング埋め込み機能が実現される。マーキング埋め込みフィルタ312の組み込み方としては、以下のいずれでもよい。
【0039】
図5は、マーキング埋め込みフィルタの組み込み方式を説明するための図である。図5において、(A)は、マーキング埋め込みフィルタ312が文書加工フィルタ311を継承している例である。すなわち、マーキング埋め込みフィルタ312は、文書加工フィルタ311の性質(機能)をも有する。したがって、PC文書受信フィルタ305、マーキング埋め込みフィルタ312、及び印刷フィルタ321の接続によって、PC文書の印刷機能に対してマーキング埋め込み機能を組み込む(追加する)ことができる。
【0040】
(B)は、マーキング埋め込みフィルタ312と文書加工フィルタ311とはそれぞれ独立している例である。この場合、PC文書受信フィルタ305、文書加工フィルタ311、マーキング埋め込みフィルタ312、及び印刷フィルタ321の接続によって、PC文書の印刷機能に対してマーキング埋め込み機能を組み込むことができる。
【0041】
なお、(A)と(B)のいずれの場合も、最終的な出力結果は同じである。すなわち、画像データにマーキングが合成された結果が印刷される。
【0042】
マーキング埋め込みフィルタ312について説明する。図6は、マーキング埋め込みフィルタの構成例を示す図である。図6に示されるように、マーキング埋め込みフィルタ312は、マーキング埋め込みラッパモジュール43を呼び出すことでその機能を実現する。マーキング埋め込みラッパモジュール43は、マーキングの種別と、マーキングとして埋め込むデータ(以下「埋め込みデータ」という。)と、マーキングの埋め込み対象となる画像データとを入力情報とする。マーキング埋め込みラッパモジュール43は、埋め込みデータを所定の形式のデータ(以下「埋め込み形式データ」という。)に変換し、埋め込み形式データに基づいてマーキング画像を生成する。更に、マーキング埋め込みラッパモジュール43は、生成されたマーキング画像を画像データに合成し、当該画像データを出力する。
【0043】
埋め込みデータとしては、マーキングが表現可能な情報量の許容範囲内で様々なものが対象とされ得る。例えば、紙文書ID、改竄検知情報、機密設定情報、保管文書へのリンク情報、出力条件、機器調整値、宛先情報、トレース情報等が埋め込みデータとして入力される。紙文書IDとは、印刷された紙文書を一意に識別するIDである。改竄検知情報とは、例えば、印刷された紙文書の改竄を検出するための情報である。機密設定情報とは、印刷された紙文書の機密レベルを示す情報である。保管文書へのリンク情報は、印刷された紙文書と、電子的に保管されている画像データとのリンク情報である。出力条件とは、印刷された紙文書をコピーする場合の出力条件である。機器調整値は、機器を調整するためのパラメータ値である。宛先情報は、印刷された紙文書の配布先のメールアドレス等である。トレース情報は、印刷された紙文書の流通経路を識別するための情報である。
【0044】
また、埋め込みデータを表現するマーキングの種別は、所定のものに限定されない。例えば、バーコード(DataMatrix、QR、PDF417、EAN8、EAN13、Code39、Code128、Codabar、Int2Of5、Code2Of5等)、不正コピーのガード等に利用される地紋、印刷文書に対して記載内容とは別に任意の情報を埋め込むことが可能な各種のコード等を用いてもよい。また、画像のエッジ部分の加工を使用して、印刷文書に対して記載内容とは別に任意の情報を埋め込みようにしてもよい。
【0045】
マーキング埋め込みラッパモジュール43は、デバイスサービス層40に属し、例えば、次のような構成を有する。
【0046】
図7は、マーキング埋め込みラッパモジュールの第一の構成例を示す図である。図7において、埋め込み形式データ生成モジュール433は、埋め込みデータを埋め込み形式データに変換するモジュールである。埋め込み形式データは、例えば、埋め込みデータを所定の形式に変換し、当該所定の形式を識別等するためのヘッダ情報を付加したデータをいう。埋め込みデータ及び埋め込み形式データは、マーキングの種別に依存するものではない。したがって、埋め込み形式データ生成モジュール433は、マーキングの種別の数に拘わらず一つ存在すればよい。
【0047】
マーキング生成ライブラリ432は、マーキングの種別ごとに存在する。各マーキング生成ライブラリ432は、埋め込み形式データに基づいて当該マーキング生成ライブラリ432が対応する種別のマーキング画像を生成する。
【0048】
マーキング生成ラッパモジュール431は、マーキングの種別ごとに存在するライブラリである。各マーキング生成ラッパモジュール431は、埋め込み形式データ生成モジュール433を用いて埋め込みデータを埋め込み形式データに変換し、当該埋め込み形式データのマーキング画像への変換を、当該マーキングの種別に対応するマーキング生成ライブラリ432に実行させる。マーキング生成ラッパモジュール431は、生成されたマーキング画像を画像データに合成する。
【0049】
マーキング埋め込みラッパモジュール43aは、マーキングの種別に拘わらず一つ存在する。マーキング埋め込みラッパモジュール43aには、埋め込みデータと、マーキングの種別と、埋め込み対象とされる画像データとが呼び出し側から指定される。マーキング埋め込みラッパモジュール43aは、指定されたマーキングの種別に対応するマーキング生成ラッパモジュール431を呼び出すことにより、指定された画像データへの指定されたマーキングの合成を実行する。
【0050】
また、マーキング埋め込みラッパモジュール43は、図8のように構成してもよい。図8は、マーキング埋め込みラッパモジュールの第二の構成例を示す図である。図8中、図7と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。図8は、マーキング埋め込みラッパモジュール43bが、マーキング生成ラッパモジュール431の機能をも含むように構成された例を示す。但し、マーキング埋め込みラッパモジュール43bのインタフェースは、マーキング埋め込みラッパモジュール43aと同様である。
【0051】
すなわち、マーキング埋め込みラッパモジュール43bには、埋め込みデータと、マーキングの種別と、埋め込み対象とされる画像データとが呼び出し側から指定される。マーキング埋め込みラッパモジュール43bは、埋め込み形式データ生成モジュール433を用いて埋め込みデータを埋め込み形式データに変換し、当該埋め込み形式データのマーキング画像への変換を、指定されたマーキング種別に対応するマーキング生成ライブラリ432に実行させる。マーキング埋め込みラッパモジュール43bは、生成されたマーキング画像を画像データに合成する。
【0052】
更に、マーキング埋め込みラッパモジュール43は、図9のように構成してもよい。図9は、マーキング埋め込みラッパモジュールの第三の構成例を示す図である。図9中、図7又は図8と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。図9は、図7の構成と図8の構成とを混在させた例を示す。マーキング埋め込みラッパモジュール43cは、一部の種別のマーキングについてはマーキング生成ラッパモジュール431の機能を含む。但し、マーキング埋め込みラッパモジュール43cのインタフェースは、マーキング埋め込みラッパモジュール43aと同様である。
【0053】
すなわち、マーキング埋め込みラッパモジュール43cには、埋め込みデータと、マーキングの種別と、埋め込み対象とされる画像データとが呼び出し側から指定される。マーキング埋め込みラッパモジュール43cは、指定されたマーキングの種別が所定のもの(例えば、バーコード)である場合、当該指定されたマーキングの種別に対応するマーキング生成ラッパモジュール431を呼び出すことにより、指定された画像データへの指定されたマーキングの合成を実行する。また、指定されたマーキングの種別が所定のもの(例えば、バーコード)以外のものである場合、マーキング埋め込みラッパモジュール43cは、埋め込み形式データ生成モジュール433を用いて埋め込みデータを埋め込み形式データに変換し、当該埋め込み形式データのマーキング画像への変換を、指定されたマーキング種別に対応するマーキング生成ライブラリ432に実行させる。マーキング埋め込みラッパモジュール43cは、生成されたマーキング画像を画像データに合成する。
【0054】
次に、マーキング埋め込み処理の処理手順について説明する。図10は、マーキング埋め込み処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。図10では、モジュール構成が図8に示されるものである場合について説明する。但し、図7又は図9の場合であっても基本的に処理手順は同様であり、各ステップを実行する主体(モジュール)が異なるだけである。
【0055】
マーキング埋め込みフィルタ312に画像データへのマーキングが要求されると、マーキング埋め込みフィルタ312は、マーキングの種別、画像データ、及び埋め込みデータを指定してマーキング埋め込みラッパモジュール43を呼び出す。
【0056】
マーキング埋め込みラッパモジュール43は、まず、入力値(マーキングの種別、画像データ、及び埋め込みデータ)をチェックする(S101)。例えば、未対応のマーキング種別が指定されていないか等がチェックされる。続いて、マーキング埋め込みラッパモジュール43は、埋め込みデータを検査することにより埋め込みデータのデータサイズを取得する。
【0057】
続いて、マーキング埋め込みラッパモジュール43は、埋め込みデータを指定して埋め込み形式データ生成モジュール433を呼び出す。埋め込み形式データ生成モジュール433は、埋め込みデータを埋め込み形式データに変換する(S103)。続いて、埋め込み形式データ生成モジュール433は、変換後の埋め込み形式データのうち、ヘッダ情報以外の部分を圧縮する(S104)。但し、データの圧縮は、埋め込み形式データのデータサイズが大きい場合等、必要に応じて行うようにしてもよい。
【0058】
図11は、埋め込み形式データの構造例を示す図である。図11において、埋め込み形式データは、ヘッダ情報と埋め込み形式実データとより構成されている。埋め込み形式実データは、埋め込みデータが所定の形式に変換されたものであり、必要に応じて圧縮されている。ヘッダ情報には、埋め込み形式実データの形式を識別するための情報や、埋め込み情報のデータサイズ等が格納される。
【0059】
埋め込み形式データ生成モジュール433は、変換後の埋め込み形式データをマーキング埋め込みラッパモジュール43に返却する。
【0060】
続いて、マーキング埋め込みラッパモジュール43は、指定されたマーキングの種別に対応するマーキング生成ライブラリ432を埋め込み形式データを指定して呼び出す。マーキング生成ライブラリ432は、指定された埋め込み形式データに基づいてマーキング画像を生成し、当該マーキング画像をマーキング埋め込みラッパモジュール43に返却する(S105)。なお、マーキング画像の生成は、周知の方法を用いればよい。
【0061】
続いて、マーキング埋め込みラッパモジュール43は、必要に応じてマーキング画像の色深度を変換する(埋め込み対象の画像データに合わせる)(S106)。続いて、マーキング埋め込みラッパモジュール43は、マーキング画像を画像データに合成する(S107)。マーキング画像が合成された画像データは、マーキング埋め込みフィルタ312に返却される。
【0062】
次に、マーキング検出機能について説明する。マーキング検出機能は、例えば、コピーアクティビティ331において利用される。コピーアクティビティ331は、実現する機能に応じてフィルタ構成について以下のようなバリエーションがある。図12は、コピーアクティビティのフィルタ構成のバリエーションを示す図である。
【0063】
例えば、通常のコピーを実現する場合、コピーアクティビティ331は、読取フィルタ301、文書加工フィルタ311、及び印刷フィルタ321より構成される。この場合、コピーアクティビティ331は、読取フィルタ301によって紙文書より画像データを読み取り、文書加工フィルタ311によって、読み取られた画像データに対して各種の変換を実行し、印刷フィルタ321によって、変換が施された画像データを印刷する。
【0064】
また、コピーと文書の蓄積を実現する場合、コピーアクティビティ331は、読取フィルタ301、文書加工フィルタ311、印刷フィルタ321、及び保管文書登録フィルタ332より構成される。この場合、コピーアクティビティ331は、読取フィルタ301によって紙文書より画像データを読み取り、文書加工フィルタ311によって、読み取られた画像データに対して各種の変換を実行し、印刷フィルタ321によって、変換が施された画像データを印刷すると共に、保管文書登録フィルタ332によって、当該画像データをHDD233に保存する。
【0065】
斯かるコピーアクティビティ331において、入力フィルタとしてマーキング検出フィルタ307が組み込まれることによりマーキング検出機能が実現される。マーキング検出フィルタ307の組み込み方としては、以下のいずれでもよい。
【0066】
図13は、マーキング検出フィルタの組み込み方式を説明するための図である。図13において、(A)は、マーキング検出フィルタ307が読取フィルタ301を継承している例である。すなわち、マーキング検出フィルタ307は、読取フィルタ301の性質(機能)をも有する。したがって、マーキング検出フィルタ307、文書加工フィルタ311、及び印刷フィルタ321の接続によって、コピー機能に対してマーキング検出機能を組み込むことができる。
【0067】
(B)は、マーキング検出フィルタ307と読取フィルタ301とはそれぞれ独立している例である。この場合、読取フィルタ301、マーキング検出フィルタ307、文書加工フィルタ311、及び印刷フィルタ321の接続によって、コピー機能に対してマーキング検出機能を組み込むことができる。
【0068】
なお、(A)と(B)のいずれの場合も、最終的な出力結果は同じである。すなわち、コピー元の画像データにマーキングが合成された結果がコピー結果として出力される。
【0069】
マーキング検出フィルタ307について説明する。図14は、マーキング検出フィルタの構成例を示す図である。図14に示されるように、マーキング検出フィルタ307は、マーキング検出ラッパモジュール44を呼び出すことでその機能を実現する。マーキング検出ラッパモジュール44は、マーキングが合成されている画像データと、マーキングの種別とを入力情報とする。マーキング検出ラッパモジュール44は、マーキングが合成されている画像データよりマーキングを検出し、マーキングによって表現されているデータ(埋め込み形式データ)を解析することにより、埋め込みデータを抽出(復元)する。
【0070】
マーキング検出ラッパモジュール44が検出可能なマーキングの種別は、マーキング埋め込みラッパモジュール44に対応する。
【0071】
マーキング検出ラッパモジュール44は、デバイスサービス層40に属し、例えば、次のような構成を有する。
【0072】
図15は、マーキング検出ラッパモジュールの第一の構成例を示す図である。図15において、埋め込み形式データ解析モジュール443は、埋め込み形式データより埋め込みデータを抽出するモジュールである。埋め込み形式データ解析モジュール443は、マーキングの種別の数に拘わらず一つ存在すればよい。
【0073】
マーキング読取ライブラリ442は、マーキングの種別ごとに存在する。各マーキング読取ライブラリ442は、マーキング画像から埋め込み形式データを読み取る。
【0074】
マーキング解析ラッパモジュール441は、マーキングの種別ごとに存在するライブラリである。各マーキング解析ラッパモジュール441は、対応する種別のマーキングを画像データより検出し、検出されたマーキング画像からの埋め込み形式データの読み取り(復元)を、当該マーキングの種別に対応するマーキング読取ライブラリ442に実行させ、読み取られた埋め込み形式データからの埋め込みデータの抽出を埋め込み形式データ解析モジュール443に実行させる。
【0075】
マーキング検出ラッパモジュール44aは、マーキングの種別に拘わらず一つ存在する。マーキング検出ラッパモジュール44aには、マーキングの種別と、マーキングが合成された画像データとが呼び出し側から指定される。マーキング検出ラッパモジュール44aは、指定されたマーキングの種別に対応するマーキング解析ラッパモジュール441を呼び出すことにより、指定された画像データからの埋め込みデータの抽出を実行する。
【0076】
また、マーキング検出ラッパモジュール44は、図16のように構成してもよい。図16は、マーキング検出ラッパモジュールの第二の構成例を示す図である。図16中、図15と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。図16は、マーキング検出ラッパモジュール44bが、マーキング解析ラッパモジュール441の機能をも含むように構成された例を示す。但し、マーキング検出ラッパモジュール44bのインタフェースは、マーキング検出ラッパモジュール44aと同様である。
【0077】
すなわち、マーキング検出ラッパモジュール44bには、マーキングの種別と、マーキングが合成された画像データとが呼び出し側から指定される。マーキング検出ラッパモジュール44bは、指定された種別のマーキングを画像データより検出し、検出されたマーキング画像からの埋め込み形式データの読み取りを、当該マーキングの種別に対応するマーキング読取ライブラリ442に実行させ、読み取られた埋め込み形式データからの埋め込みデータの抽出を埋め込み形式データ解析モジュール443に実行させる。
【0078】
更に、マーキング検出ラッパモジュール44は、図17のように構成してもよい。図17は、マーキング検出ラッパモジュールの第三の構成例を示す図である。図17中、図15又は図16と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。図17は、図15の構成と図16の構成とを混在させた例を示す。マーキング検出ラッパモジュール44cは、一部の種別のマーキングについてはマーキング解析ラッパモジュール441の機能を含む。但し、マーキング検出ラッパモジュール44cのインタフェースは、マーキング検出ラッパモジュール44aと同様である。
【0079】
すなわち、マーキング検出ラッパモジュール44cには、マーキングの種別と、マーキングが合成された画像データとが呼び出し側から指定される。マーキング検出ラッパモジュール44cは、指定されたマーキングの種別が所定のもの(例えば、バーコード)である場合、当該指定されたマーキングの種別に対応するマーキング解析ラッパモジュール441を呼び出すことにより、指定された画像データからの埋め込みデータの抽出を実行する。また、指定されたマーキングの種別が所定のもの(例えば、バーコード)以外のものである場合、マーキング検出ラッパモジュール44cは、指定された種別のマーキングを画像データより検出し、検出されたマーキング画像からの埋め込み形式データの読み取りを、当該マーキングの種別に対応するマーキング読取ライブラリ442に実行させ、読み取られた埋め込み形式データからの埋め込みデータの抽出を埋め込み形式データ解析モジュール443に実行させる。
【0080】
次に、マーキング検出処理の処理手順について説明する。図18は、マーキング検出処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。図18では、モジュール構成が図16に示されるものである場合について説明する。但し、図15又は図17の場合であっても基本的に処理手順は同様であり、各ステップを実行する主体(モジュール)が異なるだけである。
【0081】
マーキング検出フィルタ307に画像データへのマーキングが要求されると、マーキング検出フィルタ307は、マーキングの種別及びマーキングが合成された画像データを指定してマーキング検出ラッパモジュール44を呼び出す。
【0082】
マーキング検出ラッパモジュール44は、必要に応じてマーキング画像の検出に都合の良いように画像データの色深度の変換を行う(S201)。続いて、マーキング検出ラッパモジュール44は、画像データよりマーキング画像を検出する(S202)。マーキング画像の検出は、パターンマッチ等、周知の方法を用いればよい。続いて、マーキング検出ラッパモジュール44は、検出されたマーキング画像の数に応じてループ処理を実行する(S203)。
【0083】
まず、マーキング検出ラッパモジュール44は、検出されたマーキング画像中から一つのマーキング画像を指定して、当該マーキング画像(以下「カレントマーキング画像」という。)のマーキングの種別に対応するマーキング読取ライブラリ442を呼び出す。マーキング読取ライブラリ442は、カレントマーキング画像より埋め込み形式データを解読する(復元する)。マーキング読取ライブラリ442は、解読された埋め込み形式データをマーキング検出ラッパモジュール44に返却する。
【0084】
続いて、マーキング検出ラッパモジュール44は、埋め込み形式データを指定して、埋め込み形式データ解析モジュール443を呼び出す。埋め込み形式データ解析モジュール443は、指定された埋め込み形式データのヘッダ情報より、埋め込みデータのデータサイズを取得する(S205)。続いて、埋め込み形式データ解析モジュール443は、埋め込み形式データのヘッダ情報に基づいて埋め込み形式実データのデータ形式を解析し(S206)、解析されたデータ形式に基づいて、埋め込み形式実データを埋め込みデータに変換する(S207)。この際、埋め込み形式実データが圧縮されている場合は、埋め込み形式データ解析モジュール443は、埋め込み形式実データを伸張した後、埋め込みデータへの変換を(埋め込みデータの抽出)行う。抽出された埋め込みデータは、マーキング検出ラッパモジュール44に返却される。
【0085】
ステップS204からS207の処理が、検出された全てのマーキング画像に対して完了すると、マーキング検出ラッパモジュール44は、抽出された全ての埋め込みデータをマーキング検出フィルタ307に返却する。
【0086】
次に、埋め込み形式データの詳細なデータ構造の一例について説明する。上述したように、本実施の形態では、紙文書IDも埋め込みデータとされ得る。したがって、本実施の形態では、文書データの管理体系をも考慮して、埋め込み形式データの構造が設計されている。そこで、まず、本実施の形態における文書データの管理体系について説明する。
【0087】
図19は、本実施の形態における文書データの管理体系を示す図である。図19において、ドキュメントサービス510は、いわゆる文書管理システムに相当するソフトウェアである。したがって、ドキュメントサービス510においては、一つ以上の文書データ530が管理されている。なお、図中に示されているように、ドキュメントサービス510は複数存在し得る。
【0088】
リソースマネージャサービス510は、各ドキュメントサービス510の所在等を管理するシステムである。一つのリソースマネージャサービス510において複数のドキュメントサービス510が管理され得る。また、リソースマネージャサービス510は、複数存在し得る。
【0089】
以上のようなシステム構成において、各リソースマネージャサービス510は、「SRMS−UUID」と呼ばれるIDによってグローバルに一意に識別される。一方、各ドキュメントサービス510は、「DS−UUID」と呼ばれるIDによって、グローバルに一意に識別される。ドキュメントサービス510は、また、「DS−LID」と呼ばれるIDによって、当該ドキュメントサービス510が属するリソースマネージャサービス510によって一意に識別される。また、各文書データ530は、RS−LIDと呼ばれるIDによって、当該文書データ530が属するドキュメントサービス510において一意に識別される。
【0090】
図19をふまえて埋め込み形式データの構造を説明する。図20は、埋め込み形式データの詳細な構造例を示す図である。図20では、埋め込み形式データの構造として、タイプ1〜タイプ5までの5種類の例が示されている。各タイプにおいて、ヘッダ情報以外の部分が、埋め込み形式実データに相当する。
【0091】
タイプ1〜タイプ4までは、埋め込み形式実データに紙文書IDのみが含まれる。タイプ1では、SRMS−UUID、DS−UUID、及びRS−LIDの組み合わせによって紙文書IDを構成している(文書を一意に特定している)。タイプ2では、SRMS−UUID、DS−LID、及びRS−UIDの組み合わせによって紙文書IDを構成している。タイプ3では、DS−UUID及びRS−LIDの組み合わせによって紙文書IDを構成している。タイプ4では、DS−LID及びRS−LIDの組み合わせによって紙文書IDを構成している。
【0092】
なお、タイプ5は、埋め込み形式実データが、紙文書ID以外のデータ(RawData)である場合である。
【0093】
埋め込み形式実データの構造について、上記のようなバリエーションを有することにより、システムの構成状況に応じて埋め込み形式実データのデータ量を適切に削減することができる。
【0094】
一方、ヘッダ情報は、例えば、次のような構造を有する。図21は、ヘッダ情報の詳細な構造例を示す図である。図21において、ヘッダ情報は、フォーマット識別情報、ヘッダバージョン、フォーマットタイプ、優先順位、紙文書IDフラグ、埋め込みデータサイズ、及びデータ形式等の属性より構成される。
【0095】
フォーマット識別情報は、マーキングが、本実施の形態におけるマーキング埋め込み機能によって合成されたものであるか否かを識別するための情報である。例えば、他社の機器によって印刷されたマーキングを誤認識してしまうのを防止するための情報である。フォーマット識別情報の値が、所定の値であれば、処理対象となるマーキングであると識別される。
【0096】
ヘッダバージョンは、ヘッダ情報のバージョン情報である。フォーマットタイプは、図20において説明した埋め込み形式実データのフォーマット(タイプ1〜タイプ5)を識別するための情報である。優先順位は、一つの画像データから複数のマーキングが検出される場合に、いずれのマーキングから抽出される情報を優先させるかを示す情報である。例えば、この値の大小に応じて優先度が判定される。紙文書IDフラグは、埋め込み形式実データに含まれているデータが紙文書IDであるか否かを示す情報である。埋め込みデータサイズは、埋め込みデータのデータサイズを示す情報である。データ形式は、埋め込みデータが紙文書IDでない場合(RawData)の場合、そのデータ形式を示す情報である。
【0097】
なお、ヘッダ情報を構成する属性のうち、埋め込み形式実データのタイプによっては、不要なものがある。例えば、紙文書IDである場合は、データ形式は不要である。したがって、図21の表の列方向に示されているように、埋め込み形式実データのタイプに応じてヘッダ情報を構成する属性を変化させることにより、データ量の削減を図っても良い。
【0098】
上述したように、本発明の実施の形態における複合機1にでは、マーキング埋め込み機能やマーキング検出機能が、マーキング埋め込みフィルタ312又はマーキング検出フィルタ307といったフィルタによって構成されている。したがって、既存のサービスや、新たなサービスを構築する場合、これらのフィルタを組み込むことで当該サービスに対してフィルタ埋め込み機能又はフィルタ検出機能を実装することができる。よって、各種のサービスに対して容易にマーキング機能を追加することができる。
【0099】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施の形態における複合機のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における複合機のソフトウェア構成例を示す図である。
【図3】パイプ&フィルタの概念を説明するための図である。
【図4】プリンタアクティビティのフィルタ構成のバリエーションを示す図である。
【図5】マーキング埋め込みフィルタの組み込み方式を説明するための図である。
【図6】マーキング埋め込みフィルタの構成例を示す図である。
【図7】マーキング埋め込みラッパモジュールの第一の構成例を示す図である。
【図8】マーキング埋め込みラッパモジュールの第二の構成例を示す図である。
【図9】マーキング埋め込みラッパモジュールの第三の構成例を示す図である。
【図10】マーキング埋め込み処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図11】埋め込み形式データの構造例を示す図である。
【図12】コピーアクティビティのフィルタ構成のバリエーションを示す図である。
【図13】マーキング検出フィルタの組み込み方式を説明するための図である。
【図14】マーキング検出フィルタの構成例を示す図である。
【図15】マーキング検出ラッパモジュールの第一の構成例を示す図である。
【図16】マーキング検出ラッパモジュールの第二の構成例を示す図である。
【図17】マーキング検出ラッパモジュールの第三の構成例を示す図である。
【図18】マーキング検出処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図19】本実施の形態における文書データの管理体系を示す図である。
【図20】埋め込み形式データの詳細な構造例を示す図である。
【図21】ヘッダ情報の詳細な構造例を示す図である。
【符号の説明】
【0101】
1 複合機
10 ユーザインタフェース層
11 通信サーバ部
12 ローカルUI部
20 コントロール層
21 リクエスト管理部
22 機内監視部
23 プラグイン管理部
30 アプリケーションロジック層
40 デバイスサービス層
41 画像パイプ
42 データ管理部
43 マーキング埋め込みラッパモジュール43
50 デバイス制御層
51 スキャナ制御部
52 プロッタ制御部
53 ストレージ制御部
54 FCU制御部
55 ネットワーク制御部
201 コントローラ
202 オペレーションパネル
203 ファクシミリコントロールユニット
211 CPU
212 ASIC
221 NB
222 SB
231 MEM−P
232 MEM−C
233 HDD
234 メモリカードスロット
235 メモリカード
241 NIC
242 USBデバイス
243 IEEE1394デバイス
244 セントロニクスデバイス
301 読取フィルタ
302 保管文書読出フィルタ
303 メール受信フィルタ
304 FAX受信フィルタ
305 PC文書受信フィルタ
306 レポートフィルタ
307 マーキング検出フィルタ
311 文書加工フィルタ
312 マーキング埋め込みフィルタ
321 印刷フィルタ
322 保管文書登録フィルタ
323 メール送信フィルタ
324 FAX送信フィルタ
325 PC文書送信フィルタ
326 プレビューフィルタ
431 マーキング生成ラッパモジュール
432 マーキング生成ライブラリ
433 埋め込み形式生成モジュール
441 マーキング解析ラッパモジュール
442 マーキング読取ライブラリ
443 埋め込み形式データ解析モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ画像データの入力、加工、又は出力のいずれかを実行する複数のソフトウェア部品を有し、前記ソフトウェア部品の接続によって画像データに関するサービスを提供する画像形成装置であって、
前記ソフトウェア部品の一つとして、前記画像データに対する埋め込み情報を表現するマーキングを生成し、前記マーキングを前記画像データに対して合成するマーキング合成手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記埋め込み情報に基づいて前記マーキングを生成するマーキング生成手段を有し、
前記マーキング合成手段は、前記マーキング生成手段を用いて前記マーキングを生成することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記埋め込み情報を所定の形式に変換するデータ形式変換手段を有し、
前記マーキング合成手段は、前記所定の形式に変換された前記埋め込み情報を表現するマーキングを生成することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
それぞれ画像データの入力、加工、又は出力のいずれかを実行する複数のソフトウェア部品を有し、前記ソフトウェア部品の接続によって画像データに関するサービスを提供する画像形成装置であって、
前記ソフトウェア部品の一つとして、前記画像データに対して合成されているマーキングを検出し、前記マーキングによって表現されている情報を復元するマーキング検出手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記マーキングに基づいて当該マーキングによって表現されている情報を復元する情報復元手段を有し、
前記マーキング検出手段は、前記情報復元手段を用いて前記画像データに対して合成されているマーキングによって表現されている情報を復元することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記マーキングによって表現されている情報は、前記画像データに対する埋め込み情報が所定の形式に変換されたものであり、
前記マーキングによって表現されている情報から前記埋め込み情報を抽出する埋め込み情報抽出手段を有し、
前記マーキング検出手段は、前記埋め込み情報抽出手段を用いて前記画像データに対して合成されているマーキングより復元された情報より前記埋め込み情報を抽出することを特徴とする請求項4又は5記載の画像形成装置。
【請求項7】
それぞれ画像データの入力、加工、又は出力のいずれかを実行する複数のソフトウェア部品を有し、前記ソフトウェア部品の接続によって画像データに関するサービスを提供する画像形成装置が実行する画像処理方法であって、
前記ソフトウェア部品の一つが、前記画像データに対する埋め込み情報を表現するマーキングを生成し、前記マーキングを前記画像データに対して合成するマーキング合成手順を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
前記埋め込み情報に基づいて前記マーキングを生成するマーキング生成手順を有し、
前記マーキング合成手順は、前記マーキング生成手順を用いて前記マーキングを生成することを特徴とする請求項7記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記埋め込み情報を所定の形式に変換するデータ形式変換手順を有し、
前記マーキング合成手順は、前記所定の形式に変換された前記埋め込み情報を表現するマーキングを生成することを特徴とする請求項7又は8記載の画像処理方法。
【請求項10】
それぞれ画像データの入力、加工、又は出力のいずれかを実行する複数のソフトウェア部品を有し、前記ソフトウェア部品の接続によって画像データに関するサービスを提供する画像形成装置が実行する画像処理方法であって、
前記ソフトウェア部品の一つが、前記画像データに対して合成されているマーキングを検出し、前記マーキングによって表現されている情報を復元するマーキング検出手順を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
前記マーキングに基づいて当該マーキングによって表現されている情報を復元する情報復元手順を有し、
前記マーキング検出手順は、前記情報復元手順を用いて前記画像データに対して合成されているマーキングによって表現されている情報を復元することを特徴とする請求項10記載の画像処理方法。
【請求項12】
前記マーキングによって表現されている情報は、前記画像データに対する埋め込み情報が所定の形式に変換されたものであり、
前記マーキングによって表現されている情報から前記埋め込み情報を抽出する埋め込み情報抽出手順を有し、
前記マーキング検出手順は、前記埋め込み情報抽出手順を用いて前記画像データに対して合成されているマーキングより復元された情報より前記埋め込み情報を抽出することを特徴とする請求項10又は11記載の画像処理方法。
【請求項13】
それぞれ画像データの入力、加工、又は出力のいずれかを実行する複数のソフトウェア部品を有し、前記ソフトウェア部品の接続によって画像データに関するサービスを提供する画像形成装置に、
前記ソフトウェア部品の一つとして、前記画像データに対する埋め込み情報を表現するマーキングを生成し、前記マーキングを前記画像データに対して合成するマーキング合成手順を実行させるための画像処理プログラム。
【請求項14】
前記埋め込み情報に基づいて前記マーキングを生成するマーキング生成手順を有し、
前記マーキング合成手順は、前記マーキング生成手順を用いて前記マーキングを生成することを特徴とする請求項13記載の画像処理プログラム。
【請求項15】
前記埋め込み情報を所定の形式に変換するデータ形式変換手順を有し、
前記マーキング合成手順は、前記所定の形式に変換された前記埋め込み情報を表現するマーキングを生成することを特徴とする請求項13又は14記載の画像処理プログラム。
【請求項16】
それぞれ画像データの入力、加工、又は出力のいずれかを実行する複数のソフトウェア部品を有し、前記ソフトウェア部品の接続によって画像データに関するサービスを提供する画像形成装置に、
前記ソフトウェア部品の一つとして、前記画像データに対して合成されているマーキングを検出し、前記マーキングによって表現されている情報を復元するマーキング検出手順を実行させるための画像処理プログラム。
【請求項17】
前記マーキングに基づいて当該マーキングによって表現されている情報を復元する情報復元手順を有し、
前記マーキング検出手順は、前記情報復元手順を用いて前記画像データに対して合成されているマーキングによって表現されている情報を復元することを特徴とする請求項16記載の画像処理プログラム。
【請求項18】
前記マーキングによって表現されている情報は、前記画像データに対する埋め込み情報が所定の形式に変換されたものであり、
前記マーキングによって表現されている情報から前記埋め込み情報を抽出する埋め込み情報抽出手順を有し、
前記マーキング検出手順は、前記埋め込み情報抽出手順を用いて前記画像データに対して合成されているマーキングより復元された情報より前記埋め込み情報を抽出することを特徴とする請求項16又は17記載の画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−153769(P2008−153769A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−337263(P2006−337263)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】