説明

画像形成装置、画像形成方法、制御プログラム及び記録媒体

【課題】トナーパッチ画像による目標画像濃度付近の画像濃度検出精度を向上させ、所望の画像濃度を得ることができる画像形成装置、画像形成方法、制御プログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】感光体ドラム3にトナー像を形成する現像装置2と、前記トナー像の画像濃度を検出するフォトセンサ206と、フォトセンサ206で検出された検出値と現像電位との関係式を算出する演算部306と、前記関係式を記憶する記憶部302と、トナーパッチ画像濃度に基づいて目標画像濃度を得るための現像電位を設定する制御部301とを備えた画像形成装置100において、制御部301は、高濃度補正を実行する際に、直前の高濃度補正で得た現像電位に基づき感光体ドラム3上に複数のトナーパッチ画像を形成し、その画像濃度に基づいて目標画像濃度を得るための現像電位を設定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法、制御プログラム及び記録媒体に係り、特に、電子写真方式を用いて感光体に現像電位を与えてトナー像を得る静電複写機、レーザープリンタ及びファクシミリ等の画像形成装置、そして、この画像形成装置に用いられる画像形成方法、制御プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ及びファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置が知られている。電子写真方式の画像形成装置は、感光体(例えば、感光体ドラム)の表面に静電潜像を形成し、現像装置によって感光体に対してトナーを供給して前記静電潜像を現像し、現像によって感光体に形成されたトナー像を用紙等のシートに転写して、定着装置によってシートにトナー像を定着させるようになっている。
【0003】
このような画像形成装置では、装置周辺の環境条件の変化、感光体や現像剤の疲労などに起因して、画像濃度が変化することがある。
【0004】
そこで、従来技術として、感光体に与える現像バイアス(現像電位)を変化させるとともに、露光手段による感光体の表面電位の減衰特性に基づき各現像バイアスに対応させながら帯電バイアスを設定しつつ、複数のトナーパッチ画像を順次形成し、各パッチ画像の濃度に基づいて目標濃度を得るために必要な最適現像バイアスを決定するように構成したものが開示されている(特許文献1を参照)。
【0005】
このように構成することで、感光体の表面電位の減衰特性に基づき各現像バイアスに対応する帯電バイアスを設定しながら、感光体上に複数のパッチ画像を形成しているので、高濃度側および低濃度側で目標濃度を得るために必要な最適現像バイアスを正確に求めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001―350300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、画像形成装置は、近年の高精細画像化に対して、目標画像濃度をより精度良く設定し、高品位の画像をユーザーに提供する必要がある。従って、目標画像濃度への微妙な現像電位調整が必要であることから、特許文献1のような画像形成装置では、より高精細画像を得る為の画像濃度制御は十分ではなかった。
【0008】
また、従来の画像形成装置では、高濃度補正(高濃度プロセスコントロール)は濃度検知するために、いくつかのトナーパッチ画像を等間隔の現像電位で作成し、目標濃度値の現像電位を算出している。
【0009】
しかしながら、このような方法ではトナーパッチ画像の現像電位の間隔によってはトナーパッチ画像の濃度が変化するため、あまり精度の良い高濃度プロコン結果を得ることができないという問題があった。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、トナーパッチ画像による目標画像濃度付近の画像濃度検出精度を向上させ、所望の画像濃度を得ることができる画像形成装置、画像形成方法、制御プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するための本発明に係る画像形成装置、画像形成方法、制御プログラム及び記録媒体は、次の通りである。
【0012】
本発明は、現像電位が印加されて感光体にトナー像を形成する現像手段と、前記感光体上にトナーパッチ画像として形成されたトナー像の画像濃度を検出するトナー画像濃度検出手段と、前記トナー画像濃度検出手段で検出された検出値と現像電位値との関係式を算出する演算手段と、前記演算手段で算出された関係式を記憶する記憶手段と、前記トナーパッチ画像の画像濃度に基づいて目標画像濃度を得るための現像電位を設定する制御手段とを備えて、前記現像電位に基づいてトナー像を得る画像形成装置において、前記制御手段を、高濃度補正を実行する際に、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位に基づき前記感光体上に複数のトナーパッチ画像を形成し、前記複数のトナーパッチ画像の画像濃度に基づいて目標画像濃度を得るための現像電位を設定するようにすることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明は、前記複数のトナーパッチ画像を形成する現像電位を、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位付近では電位差が小さい間隔で設定することが好ましい。すなわち、前記複数のトナーパッチ画像は、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位付近おいては、電位差が小さい間隔で設定された現像電位に基づき形成される。
【0014】
また、本発明は、前記複数のトナーパッチ画像を形成する現像電位を、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位から遠ざかるに連れて電位差が大きくなる間隔で設定することが好ましい。すなわち、前記複数のトナーパッチ画像は、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位から遠ざかるに連れて、電位差が大きくなる間隔で設定された現像電位に基づき形成される。
【0015】
また、本発明は、前記トナー画像濃度検出手段で検出された検出値に基づき前記演算手段で算出された現像電位値が、予め設定された目標画像濃度を得るための現像電位付近の範囲内の値とならない時は、次回の高濃度補正が行われるまでの間隔を予め設定された間隔よりも短くすることが好ましい。
【0016】
また、本発明は、前記演算手段を、最小二乗法を用いて前記トナー画像濃度検出手段で検出された検出値と現像電位に基づき近似式を求めるものとすることが好ましい。
【0017】
また、本発明は、現像電位が印加されて感光体にトナー像を形成する現像工程と、感光体上にトナーパッチ画像として形成されたトナー像の画像濃度を検出するトナー画像濃度検出工程と、前記トナー画像濃度検出工程で検出された検出値と現像電位値との関係式を算出する演算工程と、前記演算工程で算出された関係式を記憶する記憶工程と、前記トナーパッチ画像の画像濃度に基づいて目標画像濃度を得るための現像電位を設定する制御工程とを備えて、前記現像電位に基づいてトナー像を得る画像形成装置の画像形成方法において、前記制御工程として、高濃度補正を実行する際に、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位に基づき前記感光体上に複数のトナーパッチ画像を形成する工程と、前記複数のトナーパッチ画像の画像濃度に基づいて目標画像濃度を得る現像電位を設定する工程、を有することを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明は、前記複数のトナーパッチ画像を形成する工程を、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位付近では電位差が小さい間隔で設定される現像電位に基づき行うものとすることが好ましい。
【0019】
また、本発明は、前記複数のトナーパッチ画像を形成する工程を、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位から遠ざかるに連れて電位差が大きくなる間隔で設定される現像電位に基づき行うものとすることが好ましい。
【0020】
また、本発明は、前記トナー画像濃度検出工程で検出された検出値に基づき前記演算工程で算出された現像電位値が、予め設定された目標画像濃度を得るための現像電位付近の範囲内の値とならない時は、次回の高濃度補正が行われるまでの間隔を予め設定された間隔よりも短くする工程を備えることが好ましい。
【0021】
また、本発明は、前記演算工程を、最小二乗法を用いて前記トナー画像濃度検出工程で検出された検出値と現像電位に基づき近似式を求めるものとすることが好ましい。
【0022】
また、本発明は、現像電位が印加されて感光体にトナー像を形成する現像手段と、前記感光体上にトナーパッチ画像として形成されたトナー像の画像濃度を検出するトナー画像濃度検出手段と、前記トナー画像濃度検出手段で検出された検出値と現像電位値との関係式を算出する演算手段と、前記演算手段で算出された関係式を記憶する記憶手段と、前記トナーパッチ画像の画像濃度に基づいて目標画像濃度を得るための現像電位を設定する制御手段とを備えて、前記現像電位に基づいてトナー像を得る画像形成装置を動作させる制御プログラムであって、コンピュータを、前記制御手段として、高濃度補正を実行する際に、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位に基づき前記感光体上に複数のトナーパッチ画像を形成し、前記複数のトナーパッチ画像の画像濃度に基づいて目標画像濃度を得るための現像電位を設定するように機能させることを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明は、請求項11に記載の制御プログラムが記録されてコンピュータにより読み取り可能な記録媒体とすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、現像電位が印加されて感光体にトナー像を形成する現像手段と、前記感光体上にトナーパッチ画像として形成されたトナー像の画像濃度を検出するトナー画像濃度検出手段と、前記トナー画像濃度検出手段で検出された検出値と現像電位との関係式を算出する演算手段と、前記演算手段で算出された関係式を記憶する記憶手段と、前記トナーパッチ画像の画像濃度に基づいて目標画像濃度を得るための現像電位を設定する制御手段とを備えて、前記現像電位に基づいてトナー像を得る画像形成装置において、前記制御手段を、高濃度補正を実行する際に、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位に基づき前記感光体上に複数のトナーパッチ画像を形成し、前記複数のトナーパッチ画像の画像濃度に基づいて目標画像濃度を得るための現像電位を設定するようにすることで、目標画像濃度付近の画像濃度検出精度を向上させ、最適な現像電位を得ることができるので、所望の画像濃度を簡便に得ることができる。
【0025】
また、本発明によれば、前記複数のトナーパッチ画像を形成する現像電位を、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位付近では電位差が小さい間隔で設定することで、目標画像濃度値付近のトナーパッチ画像を多く作成し、その濃度値を得ることができ、より精度の高い高濃度補正を実現できる。
【0026】
また、本発明によれば、前記複数のトナーパッチ画像を形成する現像電位を、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位から遠ざかるに連れて電位差が大きくなる間隔で設定することで、必要以上にトナーパッチ画像を作成することなく、より精度の高い高濃度補正を実現できる。
【0027】
また、本発明によれば、前記トナー画像濃度検出手段で検出された検出値に基づき前記演算手段で算出された現像電位値が、予め設定された目標画像濃度を得るための現像電位付近の範囲内の値とならない時は、次回の高濃度補正が行われるまでの間隔を予め設定された間隔よりも短くすることで、早めに高濃度補正を行うことにより短時間で最適な現像電位を得ることができる。
【0028】
また、本発明によれば、前記演算手段を、最小二乗法を用いて前記トナー画像濃度検出手段で検出された検出値と現像電位に基づき近似式を求めるものとすることで、例えば、トナー画像濃度検出手段(フォトセンサ)で検出された検出値と現像電位(現像バイアス)とを最小二乗法を用いて近似となるように、残差の二乗和を最小とするような係数を決定する方法、あるいはそのような方法によって近似を行うことで、精度良く近似式を求めることができ、高精度の画像濃度検出を行うことができる。
【0029】
また、本発明によれば、現像電位が印加されて感光体にトナー像を形成する現像工程と、感光体上にトナーパッチ画像として形成されたトナー像の画像濃度を検出するトナー画像濃度検出工程と、前記トナー画像濃度検出工程で検出された検出値と現像電位値との関係式を算出する演算工程と、前記演算工程で算出された関係式を記憶する記憶工程と、前記トナーパッチ画像の画像濃度に基づいて目標画像濃度を得るための現像電位を設定する制御工程とを備えて、前記現像電位に基づいてトナー像を得る画像形成装置の画像形成方法において、前記制御工程として、高濃度補正を実行する際に、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位に基づき前記感光体上に複数のトナーパッチ画像を形成する工程と、前記複数のトナーパッチ画像の画像濃度に基づいて目標画像濃度を得る現像電位を設定する工程、を有することで、目標画像濃度付近の画像濃度検出精度を向上させ、最適な現像電位を得ることができるので、所望の画像濃度を簡便に得ることができる。
【0030】
また、本発明によれば、前記複数のトナーパッチ画像を形成する工程を、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位付近では電位差が小さい間隔で設定される現像電位に基づき行うものとすることで、目標画像濃度値付近のトナーパッチ画像を多く作成し、その濃度値を得ることができ、より精度の高い高濃度補正を実現できる。
【0031】
また、本発明によれば、前記複数のトナーパッチ画像を形成する工程を、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位から遠ざかるに連れて電位差が大きくなる間隔で設定される現像電位に基づき行うものとすることで、必要以上にトナーパッチ画像を作成することなく、無駄のない高濃度補正を実現できる。
【0032】
また、本発明によれば、前記トナー画像濃度検出工程で検出された検出値に基づき前記演算工程で算出された現像電位値が、予め設定された目標画像濃度を得る現像電位付近の範囲内の値とならない時は、次回の高濃度補正が行われるまでの間隔を予め設定された間隔よりも短くする工程を備えることで、早めに高濃度補正を行うことにより短時間で最適な現像電位を得ることができる。
【0033】
また、本発明によれば、前記演算工程を、最小二乗法を用いて前記トナー画像濃度検出工程で検出された検出値と現像電位に基づき近似式を求めるものとすることで、例えば、トナー画像濃度検出工程で検出された検出値と現像電位とを最小二乗法を用いて近似となるように、残差の二乗和を最小とするような係数を決定する方法、あるいはそのような方法によって近似を行うことで、精度良く近似式を求めることができ、高精度の画像濃度検出を行うことができる。
【0034】
また、本発明によれば、現像電位が印加されて感光体にトナー像を形成する現像手段と、前記感光体上にトナーパッチ画像として形成されたトナー像の画像濃度を検出するトナー画像濃度検出手段と、前記トナー画像濃度検出手段で検出された検出値と現像電位との関係式を算出する演算手段と、前記演算手段で算出された関係式を記憶する記憶手段と、前記トナーパッチ画像の画像濃度に基づいて目標画像濃度を得るための現像電位を設定する制御手段とを備えて、前記現像電位に基づいてトナー像を得る画像形成装置を動作させる制御プログラムであって、コンピュータを、前記制御手段として、高濃度補正を実行する際に、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位に基づき前記感光体上に複数のトナーパッチ画像を形成し、前記複数のトナーパッチ画像の画像濃度に基づいて目標画像濃度を得る現像電位を設定するように機能させることで、目標画像濃度の最適値を設定制御する方法を読み取り、実行することができ、この制御方法を汎用的なものにすることができる。
【0035】
また、本発明によれば、請求項11に記載の制御プログラムが記録されてコンピュータにより読み取り可能な記録媒体とすることで、例えば、画像形成装置において、フォトセンサ等のトナー画像濃度検出手段により検出される感光体上のトナーパッチ画像の画像濃度と現像電位の関係式を求めて目標画像濃度の最適値を設定制御するプログラムを、容易に画像形成装置の制御部に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体の構成を示す説明図である。
【図2】前記画像形成装置を構成する現像装置とその周辺部の構成を示す説明図である。
【図3】前記画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】前記画像形成装置におけるトナーパッチ画像の濃度値と現像電位との関係を示す説明図である。
【図5】前記画像形成装置における高濃度補正の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は発明を実施する形態の一例であって、本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体の構成を示す説明図、図2は前記画像形成装置を構成する現像装置とその周辺部の構成を示す説明図、図3は前記画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【0038】
本実施形態は、図1〜図3に示すように、現像電位が印加されて感光体ドラム3にトナー像を形成する現像装置2と、感光体ドラム3上にトナーパッチ画像として形成されたトナー像の画像濃度を検出するフォトセンサ(トナー画像濃度検出手段)206と、フォトセンサ206で検出された検出値と現像電位との関係式を算出する演算部(演算手段)306と、演算部306で算出された関係式を記憶する記憶部(記憶手段)302と、トナーパッチ画像濃度に基づいて目標画像濃度を得るための現像電位を設定する制御部(制御手段)301とを備えて、前記現像電位によりトナー像を得る画像形成装置100において、制御部301の構成として、本発明に係る画像形成装置の制御手段の構成を採用したものである。
【0039】
まず、第1実施形態に係る画像形成装置100の全体構成について説明する。
画像形成装置100は、図1に示すように、外部から伝達された画像データに応じて、所定の用紙(例えば、記録用紙)に対して多色及び単色の画像を形成するもので、装置本体110と、自動原稿処理装置120とにより構成されている。
【0040】
装置本体110は、露光ユニット1、現像装置2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトユニット6、定着ユニット7、給紙カセット81、排紙トレイ91、トナーカートリッジ98等を有して構成されている。
【0041】
装置本体110の上部に設けられた画像読取り部90の上側には、原稿が載置される透明ガラスからなるプラテンガラス(原稿載置台)92が設けられ、そのプラテンガラス92の上側には自動原稿処理装置120が取り付けられている。
【0042】
自動原稿処理装置120は、プラテンガラス92の上に自動で原稿を搬送する。
また、自動原稿処理装置120は、矢印M方向に回動自在に構成され、プラテンガラス92の上を開放することにより原稿を手置きで置くことができるようになっている。
【0043】
画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。
従って、現像装置2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナユニット4は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローに設定され、これらによって4つの画像ステーションが構成されている。
【0044】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図1に示すようなチャージャ型の他、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器を用いても良い。
【0045】
露光ユニット1は、外部から入力した画像データまたは原稿から読み取って得られた画像データに応じて、帯電された感光体ドラム3を露光することにより、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム3の表面に形成する画像書込み装置であり、レーザ出射部及び反射ミラー等を備えたLSU(レーザスキャニングユニット)として構成される。また、露光ユニット1には、レーザビームを走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム3に導くためのレンズやミラー等の光学要素が配置されている。
【0046】
また、露光ユニット1としては、上述した構成の他に発光素子をアレイ状に並べた、例えば、ELやLED書込みヘッドを用いる手法も採用できる。
【0047】
このように構成された露光ユニット1は、帯電された感光体ドラム3を入力された画像データに応じて露光することにより、感光体ドラム3の表面に画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。
【0048】
現像装置2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を4色(Y,M,C,K)のトナーにより顕像化するものである。
【0049】
詳しくは、現像装置2は、図2に示すように、トナーが収容される現像槽201と、現像槽201内に収容されたトナーを感光体ドラム3に供給する現像スリーブ(現像ローラ)202とを備え、該現像スリーブ202によりトナーを感光体ドラム3表面に供給して、感光体ドラム3上に形成された静電潜像を可視像化(現像)するものである。
【0050】
現像槽201には、トナーを攪拌・搬送する現像剤攪拌ローラ203,204が配置されている。現像剤攪拌ローラ203,204は、現像槽201内に収容されているトナーを含む現像剤を攪拌・搬送するとともに、現像槽201外部より補給されたトナーと現像剤とを攪拌する。
【0051】
現像剤攪拌ローラ203,204により搬送されて現像スリーブ202に供給されたトナーは、ドクターブレード205によって感光体ドラム3に供給されるトナー量が規制されるようになっている。
【0052】
感光体ドラム3は、円筒状を呈し、露光ユニット1の上方に配設され、その表面がクリーナユニット4によりクリーニングされ、クリーニングされた表面が帯電器5により均一に帯電される。
【0053】
感光体ドラム3の近傍には、その外周面に近接してフォトセンサ(トナー画像濃度検出手段)206が配置されている。このフォトセンサ206は、感光体ドラム3上に形成されたトナーパッチ画像の画像濃度を検出するものである。
【0054】
クリーナユニット4は、現像・画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを除去・回収する。
【0055】
感光体ドラム3の上方に配置されている中間転写ベルトユニット6は、無端状の中間転写ベルト(無端ベルト)61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。中間転写ローラ64は、Y,M,C,Kの各色に対応して4本設けられている。
【0056】
中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、及び中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を張架して回転駆動するように構成されている。
【0057】
中間転写ベルト61は、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成され、各感光体ドラム3に接触するように設けられている。そして、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト61上に順次重ね合わせて転写することによって、中間転写ベルト61上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する機能を有している。
【0058】
感光体ドラム3から中間転写ベルト61へのトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側に接触している中間転写ローラ64によって行われる。
【0059】
各中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61に対して感光体ドラム3のトナー像を中間転写ベルト61上に転写するための転写バイアスを与えるようにされている。詳しくは、中間転写ローラ64には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。
【0060】
中間転写ローラ64は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト61に対して均一に高電圧を印加することができる。尚、第1実施形態では、転写電極としてローラ形状の中間転写ローラ64を使用しているが、それ以外にブラシなども用いることが可能である。
【0061】
上述したように、各感光体ドラム3上で各色相に応じて顕像化されたトナー像は中間転写ベルト61上に積層される。積層された画像情報としてのトナー像は、中間転写ベルト61とともに搬送されて、搬送される用紙と中間転写ベルト61との接触位置(2次転写位置,所定位置)に移動し、この接触位置に配置されている転写ローラ10によって用紙上に転写される。
【0062】
この時、中間転写ベルト61と転写ローラ10とは、所定ニップで互いに圧接されるとともに、転写ローラ10にはトナー像を用紙に転写させるための2次転写バイアスが印加される。この2次転写バイアスは、トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧である。
【0063】
さらに、前記所定ニップを定常的に得るために、2次転写位置にて中間転写ベルト61に圧接する転写ローラ10もしくは2次転写位置にて中間転写ベルト61の裏側に圧接する中間転写ベルト駆動ローラ62の何れか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラまたは発泡性樹脂ローラ等)としている。
【0064】
上述した転写工程において、感光体ドラム3に接触することにより中間転写ベルト61に付着したトナー、もしくは転写ローラ10によって用紙上に転写が行われずに中間転写ベルト61に残存したトナーは、次工程で形成されるトナー像に対してトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去・回収されるように構成されている。
【0065】
中間転写ベルトクリーニングユニット65は、中間転写ベルト61が搬送される経路上で、中間転写ベルト搬送方向において転写ローラ10より下流側で感光体ドラム3よりも上流側に設けられている。
【0066】
中間転写ベルトクリーニングユニット65には、中間転写ベルト61に接触して中間転写ベルト61の表面をクリーニングするクリーニング部材としてクリーニングブレード65aが具備されている。クリーニングブレード65aが接触する中間転写ベルト61は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ63で支持されている。
【0067】
給紙カセット81は、画像形成に使用する用紙を蓄積しておくためのトレイであり、装置本体110の露光ユニット1の下側に設けられている。また、装置本体110の外側部には、外側より用紙を供給可能な手差し給紙カセット82が設けられている。
この手差し給紙カセット82にも画像形成に使用する用紙を複数枚積載することができる。装置本体110の上方には、印刷済みの用紙をフェイスダウンで集積するための排紙トレイ91が設けられている。
【0068】
また、装置本体110には、給紙カセット81及び手差し給紙カセット82の用紙を転写ローラ10や定着ユニット7を経由させて排紙トレイ91に送るための、略垂直形状の用紙搬送路Sが設けられている。給紙カセット81乃至手差し給紙カセット82から排紙トレイ91に到る用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ11a,11b、複数の搬送ローラ12a〜12d、レジストローラ13、転写ローラ10、定着ユニット7等が配されている。
【0069】
搬送ローラ12a〜12dは、用紙の搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って設けられている。尚、搬送ローラ12bは、用紙を排紙トレイ91に排出する排紙ローラとして機能するため、排紙ローラと称する。
【0070】
ピックアップローラ11aは、給紙カセット81の端部近傍に備えられ、給紙カセット81から用紙を1枚ずつピックアップして用紙搬送路Sに供給する。
ピックアップローラ11bは、手差し給紙カセット82の端部近傍に備えられ、手差し給紙カセット82から用紙を1枚ずつピックアップして用紙搬送路Sに供給する。
【0071】
レジストローラ13は、用紙搬送路Sを搬送されている用紙を一旦保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像の先端と用紙の先端を合わせるタイミングで用紙を転写ローラ10に搬送する機能を有している。すなわち、レジストローラ13によって、搬送される用紙上の所定の位置に中間転写ベルト61上のトナー像が転写されるように整合される。
【0072】
定着ユニット7は、定着ローラ70として1対のヒートローラ71と加圧ローラ72を備えており、ヒートローラ71及び加圧ローラ72は、用紙を挟んで回転搬送するようになっている。
【0073】
ヒートローラ71及び加圧ローラ72は、対向して配置されて、ヒートローラ71と加圧ローラ72との圧接箇所には、定着ニップ部が形成されている。
【0074】
ヒートローラ71は、所定の定着温度となるように制御部(図示せず)によって温度制御される。また、ヒートローラ71は、加圧ローラ72とともにトナーを用紙に熱圧着することにより、用紙に転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、用紙に対して熱定着させる機能を有している。また、ヒートローラ71には、図1に示すように、ヒートローラ71を外部から定着するための外部定着ベルト73が設けられている。
【0075】
次に、画像形成装置100の用紙搬送路Sを詳細に説明する。
画像形成装置100には、図1に示すように、予め用紙を収納する給紙カセット81、及び手差し給紙カセット82が設けられている。これら給紙カセット81,82から用紙を給紙するために、各々ピックアップローラ11a,11bが配置され、用紙を1枚ずつ用紙搬送路Sに導くようになっている。
【0076】
各給紙カセット81,82から搬送される用紙は、用紙搬送路Sの搬送ローラ12aによってレジストローラ13まで搬送され、用紙の先端と中間転写ベルト61上の画像情報の先端を整合するタイミングで転写ローラ10に搬送され、用紙上に画像情報が書き込まれる。その後、用紙は定着ユニット7を通過することによって用紙上の未定着トナーが熱で溶融・固着され、その後に配された排紙ローラ12bを経て排紙トレイ91上に排出される。
【0077】
上述した用紙搬送路Sは、用紙に対する片面印字要求のときのものであるが、これに対して両面印字要求の時は、上述したように片面印字が終了し定着ユニット7を通過した用紙の後端が最終の排紙ローラ12bで把持されたときに、排紙ローラ12bが逆回転することによって用紙を搬送ローラ12c,12dに導く。そしてその後レジストローラ13を経て用紙裏面に印字が行われた後に用紙が排紙トレイ91に排出される。
【0078】
次に、本実施形態の画像形成装置100の制御系についてブロック図を参照して詳細に説明する。
【0079】
画像形成装置100は、図3に示すように、例えば、スキャナ、プリンタ及び周辺機器とを備えた複合機であり、電気的構成として、画像形成装置100の動作を制御する制御部(制御手段)301、記憶部302、表示部303、入力部304、ネットワーク回線を介してPC等とLAN接続等を行う通信部305、演算部306、原稿画像を読み取る読取部307、読み取った原稿画像を適正な電気信号に変換して画像データを生成する画像処理部308、生成された画像データをトナーを用いて顕像化して、転写紙に画像を形成する画像形成部309、画像形成部309で顕像化された転写紙に加熱定着して固定する定着部310、後処理装置であるフィニッシャーやソーターなどの周辺機器を制御する周辺機器制御部311とを備えている。
【0080】
制御部301には、画像形成装置100の上面に配置される操作パネル(表示部303、入力部304)を介する印刷指令、画像形成装置100内部の各所に配置される図示しない各種センサなどからの検知結果、図示しない外部機器(USBメモリ、LAN)を介して入力される画像情報、画像形成装置100内部の各装置の動作を制御するための各種設定値およびデータテーブル、及び各種制御を実行するためのプログラムなどが入力可能となっている。
【0081】
記憶部302には、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、リードオンリィメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。外部機器には、画像情報の形成または取得が可能であり、かつ画像形成装置に電気的に接続可能な電気・電子機器を使用でき、たとえば、コンピュータ、デジタルカメラなどが挙げられる。
【0082】
演算部306は、記憶部302に記憶される各種データ(印刷指令、検知結果、画像情報など)および各種制御を実施するためのプログラムを取り出し、各種検知および/または判定を行う。制御部301は、演算部306における各種判定結果、演算結果などに応じて該当装置に制御信号を送付し、動作制御を行う。
【0083】
制御部301および演算部306は、たとえば、中央処理装置(CPU、Central Processing Unit)を備えるマイクロコンピュータ、マイクロプロセッサなどによって実現される処理回路である。本発明に係る制御手段は、記憶部302、演算部306および制御部301とともに主電源を含む。この主電源は、制御手段だけでなく、画像形成装置100内部における各装置にも電力を供給する。
【0084】
本実施形態では、制御部301は、高濃度補正を実行する際に、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位に基づき感光体ドラム3上に複数のトナーパッチ画像を形成する機能と、複数のトナーパッチ画像のトナーパッチ画像濃度に基づいて目標画像濃度を得るための現像電位を設定する機能とを備えている。
【0085】
感光体ドラム3上に複数のトナーパッチ画像を形成する機能は、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位付近では電位差が小さい間隔で現像電位を設定してトナーパッチ画像を形成する機能と、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位から遠ざかるに連れて電位差が大きくなる間隔で現像電位を設定してトナーパッチ画像を形成する機能とを備えている。
【0086】
また、制御部301は、フォトセンサ206で検出された検出値に基づき演算部306で算出された現像電位が、予め設定された目標画像濃度を得るための現像電位付近の範囲内の値とならない時は、次回の高濃度補正が行われるまでの間隔を予め設定された間隔よりも短くする機能を備えている。
【0087】
また、本実施形態では、演算部306は、最小二乗法を用いてフォトセンサ206で検出された検出値と現像電位に基づき近似式を求める機能を備えている。制御部301は、この演算部306により求められた近似式によって目標画像濃度を得るための現像電位を設定する。
【0088】
次に、本実施形態の画像形成装置100による特徴的なトナーパッチ画像を用いた高濃度補正について説明する。
図4は本実施形態の画像形成装置におけるトナーパッチ画像の濃度値と現像電位との関係を示す説明図である。
【0089】
画像形成装置100は、直前の高濃度補正の結果に基づき、複数の現像電位を設定して複数のトナーパッチ画像を感光体ドラム3上に形成する。
【0090】
本実施形態では、制御部301により、図4に示すように、直前の高濃度補正の結果に基づき、目標画像濃度に近いと想定される現像電位を350Vとしたトナーパッチ画像T1とし、その現像電位付近では電位差が小さい間隔(±20V)で現像電位を330V,370Vとしたトナーパッチ画像T2,T3を形成し、トナーパッチ画像T1の現像電位から離れた位置ではさらに電位差が大きくなる間隔(±50V)で現像電位を280V,420Vとしたトナーパッチ画像T4,T5を形成するようにされている。
【0091】
トナーパッチ画像T1,T2の電位差をW2、トナーパッチ画像T1,T3の電位差をW3、トナーパッチ画像T2,T4の電位差をW4、トナーパッチ画像T3,T5の電位差をW5とすると、それぞれのトナーパッチ画像の間隔は、W2<W4,W3<W5となる。すなわち、目標画像濃度に近いと想定されるトナーパッチ画像T1の現像電位(350V)から遠ざかるにつれて電位差が大きくなっている。
【0092】
このように作成されたトナーパッチ画像T1,T2,T3,T4,T5をフォトセンサ206にて検知してそれぞれのトナーパッチ画像の画像濃度を得る。
【0093】
そして、演算部306により取得した複数(本実施形態では5つ)のトナーパッチ画像の画像濃度と現像電位との関係式を得て、トナーパッチ画像の画像濃度と現像電位の関係から目標画像濃度を得るための現像電位を算出する。
【0094】
本実施形態では、演算部306において、全測定ポイントを最小二乗近似する最小二乗法を用いて前記トナー画像濃度検出手段で検出された検出値と現像電位とに基づき近似式を求め、その近似式A(図4中の2点鎖線)により目標画像濃度を得るための現像電位を算出するようにしている。尚、その他の手法として、関係式B(図4中の1点鎖線)に示すように、各ポイントを直線的に補間する線形補間により現像電位を算出するようにしてもよい。
【0095】
以上のようなトナーパッチ画像の画像濃度と現像電位に基づく高濃度補正を予め設定された間隔で繰り返し行う。
【0096】
尚、演算部306で算出された現像電位が、予め設定された目標画像濃度を得るための現像電位付近の範囲内の値とならない時(直前の高濃度補正の結果から大きくずれている場合)は、次回の高濃度補正を早めに実施するように設定されている。
【0097】
次に、本実施形態の画像形成装置100による特徴的な高濃度補正を行う手順についてフローチャートに沿って説明する。
図5は本実施形態の画像形成装置における高濃度補正の手順を示すフローチャートである。
【0098】
画像形成装置100において、高濃度補正いわゆるプロセスコントロールを行う場合は、図5に示すように、制御部301により設定制御される。
まず、ステップS1において、高濃度補正が実施されたと判断された場合は、直前の高濃度補正の結果に基づき、複数の現像電位を設定して複数のトナーパッチ画像を感光体ドラム3上に形成する(ステップS2)。
【0099】
そして、トナー画像濃度検出手段であるフォトセンサ206により複数のトナーパッチ画像の画像濃度が検出され(ステップS3)、演算部306において、フォトセンサ206により検出された画像濃度とその現像電位に基づいて近似式が求められる(ステップS4)。
【0100】
そして、その近似式に基づき目標画像濃度を得るための現像電位が算出されて(ステップS5)、近似式より得られた現像電位の値が予め設定された目標画像濃度を得るための現像電位付近の範囲内であるか否かが判断される(ステップS6)。
【0101】
ステップS6において、近似式より得られた現像電位の値が予め設定された目標画像濃度を得るための現像電位付近の範囲内であると判断された場合は、目標とする現像電位が得られたので、高濃度補正を終了する。
【0102】
一方、ステップS6において、近似式より得られた現像電位の値が予め設定された目標画像濃度を得るための現像電位付近の範囲内にないと判断された場合は、制御部において次回の高濃度補正が行われるまでの間隔を予め設定された間隔よりも短く設定して(ステップS7)、高濃度補正を終了する。このように、次回の高濃度補正を早めに実行するようにして、短時間で最適な現像電位を得るようにしている。
【0103】
以上のように構成したので、本実施形態によれば、画像形成装置100において、制御部301により、高濃度補正を実行する際に、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位に基づき感光体ドラム3上に複数のトナーパッチ画像T1,T2,T3,T4,T5を形成し、演算部306により複数のトナーパッチ画像T1,T2,T3,T4,T5のトナーパッチ画像濃度とその現像電位に基づき近似式を求め、その近似式に基づいて目標画像濃度を得るための現像電位を設定するようにしたので、目標画像濃度付近の画像濃度検出精度を向上させ、最適な現像電位を得ることができる。これにより、所望の画像濃度を簡便に得ることができる。
【0104】
また、本実施形態によれば、目標画像濃度に近いと想定される現像電位付近では電位差が小さい間隔で複数の現像電位を設定してトナーパッチ画像を形成したので、目標画像濃度付近の画像濃度検出精度をより向上させることができる。さらに、目標画像濃度に近いと想定される現像電位から離れた位置ではさらに電位差が大きくなる間隔で複数の現像電位を設定してトナーパッチ画像を形成したので、近似式をさらに正確に算出することができる。
【0105】
さらに、本実施形態によれば、高濃度補正によって得られた現像電位の値が、予め設定された目標画像濃度を得るための現像電位付近の範囲内にない場合は、制御部301において次回の高濃度補正が行われるまでの間隔を予め設定された間隔よりも短く設定することで、短時間で精度の高い高濃度補正を実施することができる。
【0106】
尚、本実施形態では、本実施形態の画像形成装置100の制御部301や演算部306に本発明の特徴的な機能を備えるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の特徴的な機能をソフトウェアによって実現してもよい。
【0107】
すなわち、ソフトウェアは、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、前記プログラムを格納したROM(read only memory)、前記プログラムを展開するRAM(random access memory)、前記プログラム及び各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えるものに用いる。
【0108】
そして、上述した機能を実現するソフトウェアである制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、画像形成装置に供給し、それに搭載されたコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行するようにしてもよい。
【0109】
上述した記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0110】
また、画像形成装置を通信ネットワークと接続可能に構成し、前記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給するようにしてもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。
【0111】
また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。
【0112】
なお、本発明は、前記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0113】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態及びその他の例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、上述した実施形態において開示された各技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0114】
例えば、上述した実施形態では、カラー用の画像形成装置(複合機、プリンタなど)に本発明が適用されているが、トナーを用いて電子写真方式により画像形成を行うものであれば、モノクロ用の画像形成装置等のその他の画像形成装置に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0115】
1 露光ユニット
2 現像装置(現像手段)
3 感光体ドラム(感光体)
100 画像形成装置
206 フォトセンサ(トナー画像濃度検出手段)
301 制御部(制御手段)
302 記憶部(記憶手段)
306 演算部(演算手段)
308 画像処理部
309 画像形成部
T1,T2,T3,T4,T5 トナーパッチ画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像電位が印加されて感光体にトナー像を形成する現像手段と、前記感光体上にトナーパッチ画像として形成されたトナー像の画像濃度を検出するトナー画像濃度検出手段と、前記トナー画像濃度検出手段で検出された検出値と現像電位との関係式を算出する演算手段と、前記演算手段で算出された関係式を記憶する記憶手段と、前記トナーパッチ画像の画像濃度に基づいて目標画像濃度を得るための現像電位を設定する制御手段とを備えて、前記現像電位によりトナー像を得る画像形成装置において、
前記制御手段は、高濃度補正を実行する際に、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位に基づき前記感光体上に複数のトナーパッチ画像を形成し、前記複数のトナーパッチ画像の画像濃度に基づいて目標画像濃度を得るための現像電位を設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記複数のトナーパッチ画像を形成する現像電位は、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位付近では電位差が小さい間隔で設定されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数のトナーパッチ画像を形成する現像電位は、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位から遠ざかるに連れて電位差が大きくなる間隔で設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー画像濃度検出手段で検出された検出値に基づき前記演算手段で算出された現像電位が、予め設定された目標画像濃度を得るための現像電位付近の範囲内の値とならない時は、次回の高濃度補正が行われるまでの間隔を予め設定された間隔よりも短くすることを特徴とする請求項1乃至3のうちの何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記演算手段は、最小二乗法を用いて前記トナー画像濃度検出手段で検出された検出値と現像電位に基づき近似式を求めることを特徴とする請求項1乃至4のうちの何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
現像電位が印加されて感光体にトナー像を形成する現像工程と、感光体上にトナーパッチ画像として形成されたトナー像の画像濃度を検出するトナー画像濃度検出工程と、前記トナー画像濃度検出工程で検出された検出値と現像電位値との関係式を算出する演算工程と、前記演算工程で算出された関係式を記憶する記憶工程と、前記トナーパッチ画像の画像濃度に基づいて目標画像濃度を得るための現像電位を設定する制御工程とを備えて、前記現像電位に基づいてトナー像を得る画像形成装置の画像形成方法において、
前記制御工程は、高濃度補正を実行する際に、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位に基づき前記感光体上に複数のトナーパッチ画像を形成する工程と、前記複数のトナーパッチ画像の画像濃度に基づいて目標画像濃度を得るための現像電位を設定する工程、を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項7】
前記複数のトナーパッチ画像を形成する工程は、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位付近では電位差が小さい間隔で設定される現像電位に基づき行われることを特徴とする請求項6に記載の画像形成方法。
【請求項8】
前記複数のトナーパッチ画像を形成する工程は、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位から遠ざかるに連れて電位差が大きくなる間隔で設定される現像電位に基づき行われることを特徴とする請求項6または7に記載の画像形成方法。
【請求項9】
前記トナー画像濃度検出工程で検出された検出値に基づき前記演算工程で算出された現像電位が、予め設定された目標画像濃度を得るための現像電位付近の範囲内の値とならない時は、次回の高濃度補正が行われるまでの間隔を予め設定された間隔よりも短くする工程を備えることを特徴とする請求項6乃至8のうちの何れか一項に記載の画像形成方法。
【請求項10】
前記演算工程は、最小二乗法を用いて前記トナー画像濃度検出工程で検出された検出値と現像電位に基づき近似式を求めることを特徴とする請求項6乃至9のうちの何れか一項に記載の画像形成方法。
【請求項11】
現像電位が印加されて感光体にトナー像を形成する現像手段と、前記感光体上にトナーパッチ画像として形成されたトナー像の画像濃度を検出するトナー画像濃度検出手段と、前記トナー画像濃度検出手段で検出された検出値と現像電位との関係式を算出する演算手段と、前記演算手段で算出された関係式を記憶する記憶手段と、前記トナーパッチ画像濃度に基づいて目標画像濃度を得るための現像電位を設定する制御手段とを備えて、前記現像電位に基づいてトナー像を得る画像形成装置を動作させる制御プログラムであって、
コンピュータを、前記制御手段として、高濃度補正を実行する際に、直前に実行された高濃度補正により得た現像電位に基づき前記感光体上に複数のトナーパッチ画像を形成し、前記複数のトナーパッチ画像の画像濃度に基づいて目標画像濃度を得るための現像電位を設定するように機能させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項12】
請求項11に記載の制御プログラムが記録されてコンピュータにより読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−154146(P2011−154146A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14978(P2010−14978)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】