画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラム
【課題】文字品質を保ちつつ情報を埋め込むことが可能な画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラムを提供することを目的としている。
【解決手段】画像データに符号化された埋め込みデータを埋め込む画像形成装置であって、前記画像データにおいて、前記埋め込みデータの埋め込み対象となる画像内部の絵柄領域と文字領域との境界を検出する境界検出手段と、前記境界に沿って前記埋め込みデータを埋め込む埋め込み処理手段と、を有する。
【解決手段】画像データに符号化された埋め込みデータを埋め込む画像形成装置であって、前記画像データにおいて、前記埋め込みデータの埋め込み対象となる画像内部の絵柄領域と文字領域との境界を検出する境界検出手段と、前記境界に沿って前記埋め込みデータを埋め込む埋め込み処理手段と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データに符号化された埋め込みデータを埋め込む画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、画像形成装置において文字や画像を印刷する際に、文字や画像の中に情報を埋め込む電子透かし等の技術が知られている。従来の画像形成装置において、文字に情報を埋め込む技術として、例えば特許文献1にはエッジ強度に応じて画素の置き換え範囲を決定し、隣接画素を相互に置換することにより電子透かし情報を埋め込むことが記載されている。また特許文献2には、K(ブラック)の色材で印刷すべきところをCMY(シアン、マゼンダ、イエロー)の色材に置き換えることで電子透かし情報を埋め込む技術が記載されている。
【0003】
図1は、従来の画像形成装置による情報の埋め込みの例を示す図である。従来の画像形成装置では、元画像の外周に情報ドットを付加して情報を埋め込んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の技術では、画像の外周に情報ドットを付加するため、特に画像が黒文字であった場合等には、文字の形状が崩れて文字品質が低下してしまう。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みてこれを解決すべくなされたものであり、文字品質を保ちつつ情報を埋め込むことが可能な画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の如き構成を採用した。
【0007】
本発明は、画像データに符号化された埋め込みデータを埋め込む画像形成装置であって、前記画像データにおいて、前記埋め込みデータの埋め込み対象となる画像内部の絵柄領域と文字領域との境界を検出する境界検出手段と、前記境界に沿って前記埋め込みデータを埋め込む埋め込み処理手段と、を有する。
【0008】
また本発明の画像形成装置において、前記埋め込み処理手段は、前記埋め込みデータに基づき前記境界を前記絵柄領域又は前記文字領域へずらす。
【0009】
また本発明の画像形成装置において、前記埋め込み処理手段は、前記境界に面する前記絵柄領域の画素の画像データを、前記境界を挟んで隣接する前記文字領域の画像データに置き換えることで、前記境界を前記文字領域へずらし、前記境界に面する前記文字領域の画素の画像データを前記境界を挟んで隣接する前記絵柄領域の画像データに置き換えることで、前記境界を前記絵柄領域へずらす。
【0010】
また本発明の画像形成装置において、前記文字領域の画像データは単色の画像データであり、前記絵柄領域の画像データは、当該画像形成装置が形成可能な全ての色を所定の割合で混合した色の画像データである。
【0011】
また本発明の画像形成装置において、前記埋め込み処理手段は、前記埋め込みデータに基づき、前記境界に面する前記文字領域の画素の画像データを、それぞれが異なる割合で混合された複数の色の画像データに置き換える。
【0012】
また本発明の画像形成装置において、前記画像データを複数のブロックに分割するブロック分割手段と、前記複数のブロックのそれぞれが埋め込みデータの埋め込みが可能なブロックか否かを判定する判定手段と、を有し、前記埋め込み処理手段は、前記判定手段により前記埋め込みが可能と判定されたブロックに前記埋め込みデータを埋め込む。
【0013】
また本発明の画像形成装置において、前記判定手段は、前記境界が前記ブロックにおいて所定の長さ以上存在する場合に、前記埋め込みデータの埋め込みが可能と判定する。
【0014】
本発明は、画像データに符号化された埋め込みデータを埋め込む画像形成装置による画像形成方法であって、前記画像データにおいて、前記埋め込みデータの埋め込み対象となる画像内部の絵柄領域と文字領域との境界を検出する境界検出手順と、前記境界に沿って前記埋め込みデータを埋め込む埋め込み処理手順と、を有する。
【0015】
本発明は、画像データに符号化された埋め込みデータを埋め込む画像形成装置において実行される画像形成プログラムであって、前記画像形成装置に、前記画像データにおいて、前記埋め込みデータの埋め込み対象となる画像内部の絵柄領域と文字領域との境界を検出する境界検出ステップと、前記境界に沿って前記埋め込みデータを埋め込む埋め込み処理ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、文字品質を保ちつつ情報を埋め込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の画像形成装置による情報の埋め込みの例を示す図である。
【図2】第一の実施形態の画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】第一の実施形態の画像処理部を説明する図である。
【図4】第一の実施形態の像域分離部を説明する図である。
【図5】第一の実施形態の像域分離部による処理を説明する図である。
【図6】墨処理部により墨処理をされたCMYKデータの例を示す図である。
【図7】第一の実施形態の画像処理部の処理を説明するフローチャートである。
【図8】第一の実施形態の画像解析部による境界の検出を説明する図である。
【図9】第一の実施形態のブロック内境界判定部による判断を説明する図である。
【図10】第一の実施形態の埋め込み処理部の処理を説明するフローチャートである。
【図11】ブロックの分割と埋め込みデータの関係を示す図である。
【図12】第一の実施形態の埋め込み処理による画像データの変化の例を示す第一の図である。
【図13】第一の実施形態の埋め込み処理による画像データの変化の例を示す第二の図である。
【図14】第二の実施形態の画像処理部を説明する図である。
【図15】第二の実施形態の埋め込み処理部の処理を説明するフローチャートである。
【図16】第二の実施形態の埋め込み処理による画像データの変化の例を示す第一の図である。
【図17】第二の実施形態の埋め込み処理による画像データの変化の例を示す第二の図である。
【図18】第三の実施形態の画像処理部を説明する図である。
【図19】第三の実施形態の埋め込み処理による画像データの変化の例を示す第一の図である。
【図20】第三の実施形態の色加工部の処理を説明する図である。
【図21】第三の実施形態の埋め込み処理による画像データの変化の例を示す第二の図である。
【図22】第三の実施形態における4Cの色の状態を説明する図である。
【図23】画像解析部230から出力される画像データに対して多ビットの埋め込みデータを埋め込む場合の埋め込み処理部の処理を説明するフローチャートである。
【図24】埋め込みデータに対応した4Cの色の状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施形態では、黒文字の外周から内側にある文字と絵柄の境界に情報を埋め込むことにより、黒文字の形状を崩すことなく文字品質を保つ。
【0019】
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第一の実施形態の画像形成装置について説明する。図2は、第一の実施形態の画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0020】
画像形成装置100は、それぞれバスBで相互に接続されているスキャン装置11、プロッタ装置12、ドライバ13、HDD(Hard disk drive)14、メモリ装置15、演算処理装置(Central Processing Unit)16、インターフェース装置17、操作パネル18で構成される。
【0021】
スキャン装置11はスキャナ、スキャナエンジン、エンジン制御部等で構成され、原稿をスキャンして文書データとするために用いられる。プロッタ装置12はプロッタ、プロッタエンジン、エンジン制御部等で構成され、文書データを印刷するために用いられる。操作パネル18は、表示機能を有するタッチパネル等で実現され、画像形成装置100を操作するための操作画面が表示される。また操作パネル18は、画像形成装置100による処理の進捗の案内画面等が表示される。
【0022】
インターフェース装置17は、モデム、LAN(Local Area Network)カードなどで構成されており、ネットワークに接続する為に用いられる。
【0023】
本発明の画像処理制御プログラムは、画像形成装置100を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。画像処理制御プログラムは例えば記録媒体19の配布やネットワークからのダウンロードなどによって提供される。画像処理制御プログラムを記録した記録媒体19は、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0024】
また、画像形成プログラムを記録した記録媒体19がドライバ13にセットされると、画像形成プログラムは記録媒体19からドライバ13を介してHDD14にインストールされる。ネットワークからダウンロードされた画像形成プログラムは、インターフェース装置17を介してHDD14にインストールされる。
【0025】
HDD14は、インストールされた画像形成プログラムを格納すると共に、必要なファイル、データ等を格納する。メモリ装置15は、コンピュータの起動時にHDD14から画像形成プログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置16はメモリ装置15に格納された画像形成プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0026】
次に本実施形態の画像形成装置100の有する画像処理部200について説明する。本実施形態の画像処理部200は、例えば演算処理装置16の内部に設けられていても良い。図3は、第一の実施形態の画像処理部を説明する図である。
【0027】
本実施形態の画像処理部200には、例えば画像形成装置100と接続されたコンピュータ等において作成された画像データ(RGBデータ)と、画像データに関する座標情報
と、画像データに埋め込まれる埋め込みデータが入力される。座標データと埋め込みデータとは、画像データと共にコンピュータ等から送信される。
【0028】
本実施形態の画像処理部200は、像域分離部210、ブロック分割部220、画像解析部230、ブロック内境界判定部240、色変換部250、墨処理部260、埋め込み処理部270を有する。
【0029】
像域分離部210は、入力された画像データに対して文字判定と色判定を行う。文字判定とは、画像データにおける文字領域と絵柄領域とに像域を分けるための判定であり、色判定とは有彩領域と無彩領域とに像域を分けるための判定である。像域分離部210からは、像域分離された分離データが出力される。
【0030】
分離データは、文字判定の結果と色判定の結果との二つの情報から構成される。この二つの情報を組み合わせることで、無彩の文字(黒文字)や有彩の絵柄(一般的な写真)の画像領域を抽出することが可能となる。ここで抽出された情報は後段の処理ブロックに渡され、各種画像処理で参照されても良い。なお、文字判定・色判定以外(例えば、網点判定)でも像域として判定できれば適用可能である。
【0031】
ブロック分割部220は、入力された画像データの座標情報に基づき、画像データを複数の画素からなるブロックに分割する。本実施形態のブロック分割部220は、例えば1ブロックを24×16画素に分割する。本実施形態のブロック分割部220は、ブロックに分割した後に各ブロックを識別するためのブロック番号をブロック内境界判定部240へ出力する。尚ここでは座標情報を均等割りにする構成としているが、非均等に分割することも可能である。例えば、画像データの端部のブロックは大きくし、中央部のブロックを小さくしても良い。
【0032】
画像解析部230は、ブロック分割部220により分割したブロックの画像について、像域分離された領域の境界を検出する。画像解析部230は、例えば像域分離の情報の変化点を探すことにより、境界の検出を行っても良い。
【0033】
ブロック内境界判定部240は、ブロック分割部220により分割されたブロック内において、像域分離された領域の境界がブロックの所定の位置にあるかどうかを判定する。
本実施形態のブロック内境界判定部240は、境界が所定の位置にあれば、埋め込み処理部270による埋め込みデータの埋め込みが可能なブロックであると判定する。また本実施形態の所定の位置とは、後述するブロックの中央部分を示す。また本実施形態のブロック内境界判定部240では、ブロック番号毎に所定の位置を切り替えても良い。
【0034】
色変換部250は、RGBデータをCMYデータへ色変換を行う。墨処理部260は、分離データに応じて墨生成・下色除去を行う。墨処理部260による処理により、CMYデータがCMYKデータとされる。
【0035】
埋め込み処理部270は、ブロック内境界判定部240により、埋め込みデータの埋め込みが可能であると判定されたブロックへ埋め込みデータを埋め込む。本実施形態の画像処理部200では、墨処理部260から出力されるCMYKデータに、埋め込みデータを埋め込む。具体的には埋め込み処理部270は、ブロック番号に応じた埋め込みデータを決定し、ブロック内にある像域分離の境界の画素を所定の画素と置換する。埋め込み処理部270の処理の詳細は後述する。
【0036】
本実施形態の画像形成装置100において特徴的な処理を行う部分は、埋め込み処理部270である。本実施形態では、黒文字の外周から内側にある文字と絵柄の境界に情報を埋め込む。以下に文字と絵柄の境界について説明する。
【0037】
図4は、第一の実施形態の像域分離部を説明する図である。本実施形態の像域分離部210は、エッジ判定部211、白地判定部212、色判定部213、文字判定部214を有する。エッジ判定部211は、エッジ領域または非エッジ領域を判定する。白地判定部212は、白地領域または非白地領域を判定する。色判定部213は、有彩領域または無彩領域を判定する。文字判定部214は、文字領域または絵柄領域を判定する。
【0038】
以下に図5を参照して各判定部の概要を説明する。図5は、第一の実施形態の像域分離部による処理を説明する図である。図5(A)は元画像の例であり、図5(B)はエッジ判定結果の例であり、図5(C)は白地判定結果の例であり、図5(D)は色判定結果の例を示す。
【0039】
エッジ判定部211は、オブジェクト(元画像)のエッジ部から一定の幅をエッジ領域と判定する。白地判定部212は、対象領域の周辺画素を参照して、一定量の白領域がある場合に白地と判定する。図5(A)のようなオブジェクトであれば、端部は白地と判定するが、線幅によっては内部に一部非白地が残ることもある。色判定部213は、対象領域が有彩か無彩かを判定する。文字判定部214は、エッジ判定部211と白地判定部212の判定結果が入力され、白地上のエッジを文字領域、それ以外の組み合わせを絵柄領域と判定する。色判定結果は文字判定結果とは独立で、無彩の文字は黒文字と解釈される。
【0040】
次に、本実施形態の墨処理部260の処理について説明する。図6は、墨処理部により墨処理をされたCMYKデータの例を示す図である。
【0041】
墨処理部260は、像域分離部210の有する各判定部の判定結果に応じて墨処理を行う。図6では、拡大領域60に示されるように、文字の端部領域61は無彩の文字と判定される。そして文字の内部領域62は無彩の絵柄と判定される。
【0042】
このとき、無彩の文字となっている文字の端部領域61は、文字品質を高めるためにK(ブラック)成分のみの墨率100%で下色除去(UCR,under color removal)される。また無彩の絵柄となっている文字の内部領域62は、より高濃度の黒再現を行うため、70%で下色除去される。このため文字の内部領域62は、無彩の文字とは異なり、K成分だけでなくCMY成分も加えた4Cの形で再現される。
【0043】
本実施形態の埋め込み処理部270は、図6に示す端部領域61と内部領域62との境界Sとして検出し、この境界Sに埋め込みデータを埋め込む。
【0044】
以下に図7を参照して、本実施形態の画像処理部200の処理を説明する。図7は、第一の実施形態の画像処理部の処理を説明するフローチャートである。
【0045】
本実施形態の画像処理部200において、画像データが入力されると、ブロック分割部220は、画像を所定のブロック数に分割する(ステップS71)。
【0046】
続いて画像処理部200は、像域分離部210から出力された分離データを画像解析部230により解析し、ブロック内に無彩の文字と無彩の絵柄との境界を検出する(ステップS72)。尚無彩の文字は図6の端部領域61に該当し、無彩の絵柄は図6の内部領域62に該当し、境界は図6の境界Sに該当する。
【0047】
以下に図8を参照して本実施形態の画像解析部230による境界の検出について説明する。図8は、第一の実施形態の画像解析部による境界の検出を説明する図である。図8では、白地上に黒文字(線分)が存在する場合を例としている。この場合、画像データは、白地部→文字部→白地部と推移する。
【0048】
本実施形態では、像域分離部210によるエッジ判定と白地判定結果から、白地かつエッジの場合に文字と認識される。そのため、文字の端部領域の文字判定結果がハイレベル(以下、Hレベル)となり、白地部分及び文字の内部領域の文字判定結果はローレベル(以下、Lレベル)となる。色判定については全てLレベルである。本実施形態では、文字判定結果がHレベルのとき文字と判定し、Lレベルのとき絵柄と判定する。また本実施形態の色判定結果がLレベルのとき無彩と判定する。
【0049】
この状態で文字と絵柄の境界を判定すると、文字の端部領域での白地から文字への切り替わり、文字の内部領域での文字から絵柄の切り替わり、文字の内部領域での絵柄から文字への切り替わり、文字の端部領域での文字から白地への切り替わりと4点の切り替わり点が検出される。この4点を切り替わり点検出結果とする。
【0050】
また本実施形態の画像解析部230は、画像のレベル差を求め、閾値でレベル差の大小を判定する。白地から文字への切り替わり、文字から白地への切り替わりではレベル差が大きくなるため、予め設定されたレベル差を大と判定するための閾値に基づき、レベル差を大(Hレベル)とする。文字の内部領域の切り替わりについては、レベル差を小(Lレベル)と判定する。本実施形態の画像解析部230は、画像データのチャネル毎にレベル差の大小の判定を行う。そしてその結果の論理積(OR)をレベル差検出結果とする。
【0051】
そして画像解析部230は、レベル差検出結果と、切り替わり点検出結果との論理和(AND)を取ることにより最終的な境界検出結果を得る。図8の例では、境界検出結果がHレベルのとき、境界を検出したものと判断される。すなわち本実施形態では、レベル差が大きいと判断された場合には、黒文字内における文字と絵柄の境界ではないものと判断され、境界として検出されない。
【0052】
図7に戻って、ステップS72においてブロック内に境界が検出されない場合、後述するステップS75へ進む。ステップS72においてブロック内に境界が検出された場合、画像解析部230は、ブロック内における境界の位置を示す境界データをブロック内境界判定部240へ渡す。
【0053】
ブロック内境界判定部240は、境界データに基づき境界がブロック内の所定の位置にあるか否かを判断する(ステップS73)。以下に図9を参照してブロック内境界判定部240による判断について説明する。図9は、第一の実施形態のブロック内境界判定部による判断を説明する図である。
【0054】
本実施形態におけるブロック内の所定の位置とは、ブロックの中央部分に予め設定された領域Mである。本実施形態のブロック内境界判定部240は、境界が領域M内に一定の長さで存在するか否かを判断する。
【0055】
本実施形態のブロック内境界判定部240は、境界が領域Mに一定の長さで存在した場合に、埋め込みデータの埋め込みが可能と判断する。尚本実施形態では、例えば24×16ピクセルのブロックに対し、境界の長さが主走査方向に12画素、副走査方向に8画素存在していれば、埋め込みデータの埋め込みが可能と判断しても良い。
【0056】
ステップS73において境界が所定の位置にないと判断された場合、後述するステップS75へ進む。
【0057】
ステップS73において境界が所定の位置にあると判断された場合、ブロック内境界判定部240は、埋め込みデータの埋め込み可能を示す有効境界判定データを埋め込み処理部270へ渡す。
【0058】
埋め込み処理部270は、有効境界判定データを受けて、埋め込みデータの埋め込み処理を行う(ステップS74)。埋め込み処理部270の処理の詳細は後述する。
【0059】
続いて画像処理部200は、ステップS72からステップS74の処理を全てのブロックについて行ったか否かを判断する(ステップS75)。ステップS75において全てのブロックについて処理を行ったと判断された場合、画像処理部200は処理を終了する。ステップS75において全てのブロックについて処理を行っていないと判断された場合、画像処理部200はステップS72へ戻る。
【0060】
以下に図10を参照して本実施形態の埋め込み処理部270の処理を説明する。図10は、第一の実施形態の埋め込み処理部の処理を説明するフローチャートである。
【0061】
本実施形態の埋め込み処理部270は、文字の内部領域の絵柄と文字の境界を探す(ステップS101)。続いて埋め込み処理部270は、ブロック分割部220において付与されたブロック番号に基づき埋め込むビットを特定する(ステップS102)。以下に図11を参照して埋め込むビットの特定について説明する。図11は、ブロックの分割と埋め込みデータの関係を示す図である。
【0062】
本実施形態では、分割された全てのブロックに対して埋め込みデータの埋め込みが可能とは限らない。例えばブロック内に埋め込み可能な黒文字が存在しない場合には、埋め込みデータを埋め込むことができない。このため同一の埋め込みデータが埋め込まれたブロックが複数ある方が好ましく、特にこの複数のブロックが画像全体に配置されることが望ましい。よって本実施形態では、画像を分割した際のブロックの1ラインを埋め込みデータの1ビット目を符号化するために使用した。
【0063】
本実施形態では、図11に示すように、ブロックの1ラインにつき1ビットの埋め込みデータを符号化する。例えばブロックの第1ラインの全てのブロックは、埋め込みデータの第1ビットの符号化に使用され、ブロックの第Kライン中の全てのブロックは第Kビットの符号化に使用される。
【0064】
続いて埋め込み処理部270は、ブロックに割り当てられた埋め込みデータが0か1かを判断する(ステップS102)。ステップS112において、埋め込みデータが0の場合、埋め込み処理部270は境界の絵柄側の画素を単色Kで置き換える(ステップS103)。ステップS112において埋め込みデータが1の場合、埋め込み処理部270は境界の文字側の画素を4Cで置き換える(ステップS104)。尚本実施形態の4Cとは、CMYKの4色を所定の割合で混合した色である。
【0065】
以下に図12、13を参照して本実施形態の埋め込み処理部270による埋め込み処理をさらに説明する。図12は、第一の実施形態の埋め込み処理による画像データの変化の例を示す第一の図である。図12(A)は埋め込み処理前の境界の状態を示しており、図12(B)は埋め込みデータが0の場合の境界の状態を示しており、図12(C)は埋め込みデータが1の場合の境界の状態を示している。
【0066】
本実施形態では、各ブロックに割り当てられた埋め込みデータが0であれば、図12(B)に示すように、無彩の絵柄と無彩の文字の境界Sが絵柄側にずらされる。すなわち、ブロック内で無彩の絵柄と文字の境界Sの絵柄側の画素を、境界Sを挟んで逆の文字の墨率のデータに置き換える。これにより、ブロック内の無彩の絵柄と文字の境界Sが絵柄側にずらされる。
【0067】
また埋め込みデータが1である場合には、図12(C)に示すように、無彩の絵柄と文字の境界Sを文字側にずらす。すなわち、ブロック内で無彩の絵柄と無彩の文字の境界Sの文字側の画素を、境界Sを挟んで逆の絵柄の墨率のデータに置き換える。これにより、ブロック内の無彩の絵柄と文字の境界が文字側にずらされる。尚墨率とは、下色除去処理をする際にCMYをKで置き換える割合を示す。したがって墨率100%のデータとは、K色単色のデータである。
【0068】
図13は、第一の実施形態の埋め込み処理による画像データの変化の例を示す第二の図である。図13では、図6に示す黒文字に埋め込みデータを埋め込んだ場合を示している。本実施形態では、ブロック毎に埋め込み処理を行うと、図13に示すように境界Sの形状が変化する。
【0069】
このように本実施形態では、元画像の外周に埋め込みデータを埋め込むのではなく、元画像の外周から内側にある文字と絵柄の境界に情報を埋め込む。したがって本実施形態によれば、埋め込み処理により元画像の形状が崩れることがなく、画像品質を維持できる。
【0070】
また本実施形態の埋め込み処理が施された画像から埋め込みデータを検出する場合、画像内の文字と絵柄の境界を走査すれば、容易に埋め込みデータを検出することができる。よって埋め込みデータの検出にかかる処理の負担を軽減させることができる。
【0071】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態は、埋め込みデータを埋め込む対象が画像データではなく分離データである点のみ第一の実施形態と相違する。よって以下の本発明の第二の実施形態では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0072】
図14は、第二の実施形態の画像処理部を説明する図である。
【0073】
本実施形態の画像処理部200Aは、210、ブロック分割部220、画像解析部230、ブロック内境界判定部240、色変換部250、墨処理部260、埋め込み処理部270Aを有する。
【0074】
本実施形態の埋め込み処理部270Aは、像域分離部210から出力される分離データに対して埋め込みデータの埋め込みを行う。
【0075】
図15は、第二の実施形態の埋め込み処理部の処理を説明するフローチャートである。図15のステップS151とステップS152の処理は、図11のステップS111とステップS112の処理と同様であるから説明を省略する。
【0076】
ステップS152において埋め込みデータが0であった場合、埋め込み処理部270Aは、分離データの無彩の絵柄と文字の境界を絵柄側にずらし、境界の絵柄側の分離データを文字へ置き換える(ステップS1513)。ステップS152において埋め込みデータが1であった場合、埋め込み処理部270Aは、分離データの無彩の絵柄と文字の境界を文字側にずらし、境界の文字側の分離データを絵柄に置き換える(ステップS154)。
【0077】
像域分離部210は、入力された画像データを文字領域と絵柄領域(文字判定)、有彩領域と無彩領域(色判定)に像域を分けるための判定を行うものである。すなわち、出力される分離データとは文字判定結果と色判定結果の二つの情報から構成される。この二つの情報を組み合わせることで、無彩の文字(黒文字)や有彩の絵柄(一般的な写真)の画像領域を抽出することが可能となる。
【0078】
以下に図16、17を参照して本実施形態の埋め込み処理部270Aによる埋め込み処理をさらに説明する。図16は、第二の実施形態の埋め込み処理による画像データの変化の例を示す第一の図である。図16(A)は埋め込み処理前の境界の状態を示しており、図16(B)は埋め込みデータが0の場合の境界の状態を示しており、図16(C)は埋め込みデータが1の場合の境界の状態を示している。
【0079】
本実施形態では、各ブロックに割り当てられた埋め込みデータが0であれば、図16(B)に示すように、無彩の絵柄と無彩の文字の境界S1が絵柄側にずらされる。すなわち、ブロック内で無彩の絵柄と文字の境界S1の絵柄側の画素の分離データを、境界S1を挟んで文字と判定される分離データに置き換える。また埋め込みデータが1である場合には、図16(C)に示すように、無彩の絵柄と文字の境界S1を文字側にずらす。すなわち、ブロック内で無彩の絵柄と無彩の文字の境界S1の文字側の画素の分離データを、境界S1を挟んで絵柄と判定される分離データに置き換える。
【0080】
図17は、第二の実施形態の埋め込み処理による画像データの変化の例を示す第二の図である。図17(A)は埋め込みデータの埋め込み前の画像データの例を示し、図17(B)は埋め込みデータの埋め込み後の画像データの例を示している。
【0081】
本実施形態では、ブロック毎に埋め込み処理を行うと、図17(B)に示すように境界S1の形状が変化する。
【0082】
このように本実施形態では、第一の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0083】
(第三の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第三の実施形態について説明する。本発明の第三の実施形態は、多ビットの埋め込みデータを分離データに埋め込む点が第二の実施形態と相違する。よって以下の本発明の第三の実施形態では、第二の実施形態との相違点についてのみ説明し、第二の実施形態と同様の機能構成を有するものには第二の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0084】
図18は、第三の実施形態の画像処理部を説明する図である。
【0085】
本実施形態の画像処理部200Bは、210、ブロック分割部220、画像解析部230、ブロック内境界判定部240、色変換部250、墨処理部260、埋め込み処理部270B、色加工部280を有する。本実施形態の埋め込み処理部270Bは、多ビットの埋め込みデータを分離データへ埋め込む。本実施形態の色加工部280は、墨処理部260によりCMYK化されたデータに対して色の加工を行う。
【0086】
以下に本実施形態において2ビットの埋め込みデータを埋め込む場合を説明する。
【0087】
図19は、第三の実施形態の埋め込み処理による画像データの変化の例を示す第一の図である。図19(A)は埋め込み処理前の境界の状態を示しており、図19(B)は埋め込みデータが0の場合の境界の状態を示しており、図19(C)は埋め込みデータが1、2、3の何れかの場合の境界の状態を示している。
【0088】
本実施形態の埋め込み処理部270Bは、ブロックに割り当てられた埋め込みデータが0であった場合、図19(B)に示すように分離データの無彩の絵柄と無彩の文字の境界S2を絵柄側にずらす。また埋め込みデータが1、2、3の何れ一つである場合、図19(C)に示すように、分離データの無彩の絵柄と無彩の文字の境界S2を文字側にずらす。
【0089】
墨処理部260により分離データに墨処理が施されると、本実施形態の色加工部280は、4Cとなった画像データを分離データに応じて絵柄部のみ加工する。
【0090】
図20は、第三の実施形態の色加工部の処理を説明する図である。本実施形態では、像域分離部210において無彩の絵柄と判定された領域が墨処理部260で4Cの画像データとされる。
【0091】
本実施形態の色加工部280は、分離データに基づき、境界S2を文字側にずらすことにより形成された領域Hの色である4Cの色を、R寄りの色、G寄りの色、B寄りの色に加工する。すなわち本実施形態の色加工部280は、埋め込みデータに基づき、領域Hを形成する4CにおけるCMYKの4色の混合の割合を変化させる。
【0092】
図20の例では、例えば埋め込みデータが1の場合、領域HはR寄りの4Cのデータに加工される。また例えば埋め込みデータが2の場合、領域HはG寄りの4Cのデータに加工される。また例えば埋め込みデータが3の場合、領域HはB寄りの4Cのデータに加工される。
【0093】
図21は、第三の実施形態の埋め込み処理による画像データの変化の例を示す第二の図である。図21では、境界S2を文字側にずらした際に生じる領域Hの画像データに絵柄の墨率を適用するだけでなく、わずかに色のバランスを崩すことにより、2ビットの情報を埋め込むことができる。
【0094】
図22は、第三の実施形態における4Cの色の状態を説明する図である。本実施形態では、絵柄に埋め込む4Cの画像データをa*b*平面においてわずかにRGBそれぞれに色付かせることにより、3つの状態を実現する。そして文字の単色Kと合わせて4つの状態とすることで、2ビットの埋め込みデータを埋め込むことが可能となる。
【0095】
尚本実施形態では、像域分離部210から出力される分離データに埋め込みデータを埋め込む場合について説明したが、画像解析部230から出力される画像データに対して多ビットの埋め込みデータを埋め込むこともできる。
【0096】
図23は、画像データに対して多ビットの埋め込みデータを埋め込む場合の埋め込み処理部の処理を説明するフローチャートである。図23では、2ビットの埋め込みデータを分離データに埋め込む場合を示している。
【0097】
本実施形態の埋め込み処理部270は、文字の内部領域の絵柄と文字の境界を探す(ステップS231)。続いて埋め込み処理部270は、ブロックに割り当てられた埋め込みデータが0、1、2、3の何れかを判断する(ステップS232)。ステップS232において、埋め込みデータが0の場合、埋め込み処理部270は境界の絵柄側の画素を単色Kで置き換える(ステップS233)。
【0098】
ステップS232において、埋め込みデータが1の場合、埋め込み処理部270は境界の絵柄側の画素をR寄りの4Cで置き換える(ステップS234)。ステップS232において、埋め込みデータが2の場合、埋め込み処理部270は境界の絵柄側の画素をG寄りの4Cで置き換える(ステップS235)。ステップS232において、埋め込みデータが3の場合、埋め込み処理部270は境界の絵柄側の画素をB寄りの4Cで置き換える(ステップS236)。
【0099】
以上の処理により、多ビットの埋め込みデータを画像データに埋め込むことができる。
【0100】
また本実施形態では、埋め込みデータが2ビットの場合を説明したが、3ビット以上の埋め込みデータであっても良い。その場合埋め込みデータを埋め込む際のCMYKの4色の混合の割合をさらに細かくしたり、a*b*平面の色相角を非均等に分割しても良い。また、彩度軸方向に分割を行っても良い。
【0101】
図24は、埋め込みデータに対応した4Cの色の状態を説明する図である。図24では、a*b*平面の色相角と彩度軸を非均等に分割して作り出した6つの状態と中央の低彩度部の色相角で分割しない一つの状態が示されている。図24の例では、7つの状態から7色のCMYKデータが再現されるため、この7色と単色Kを含む8色を用いて3ビットの埋め込みデータを画像データに埋め込むことができる。
【0102】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0103】
100 画像形成装置
200、200A、200B 画像処理部
210 像域分離部
220 ブロック分割部
230 画像解析部
240 ブロック内境界判定部
250 色変換部
260 墨処理部
270、270A、270B 埋め込み処理部
280 色加工部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0104】
【特許文献1】特開2010−074387号公報
【特許文献2】特開2003−136828号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データに符号化された埋め込みデータを埋め込む画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、画像形成装置において文字や画像を印刷する際に、文字や画像の中に情報を埋め込む電子透かし等の技術が知られている。従来の画像形成装置において、文字に情報を埋め込む技術として、例えば特許文献1にはエッジ強度に応じて画素の置き換え範囲を決定し、隣接画素を相互に置換することにより電子透かし情報を埋め込むことが記載されている。また特許文献2には、K(ブラック)の色材で印刷すべきところをCMY(シアン、マゼンダ、イエロー)の色材に置き換えることで電子透かし情報を埋め込む技術が記載されている。
【0003】
図1は、従来の画像形成装置による情報の埋め込みの例を示す図である。従来の画像形成装置では、元画像の外周に情報ドットを付加して情報を埋め込んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の技術では、画像の外周に情報ドットを付加するため、特に画像が黒文字であった場合等には、文字の形状が崩れて文字品質が低下してしまう。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みてこれを解決すべくなされたものであり、文字品質を保ちつつ情報を埋め込むことが可能な画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の如き構成を採用した。
【0007】
本発明は、画像データに符号化された埋め込みデータを埋め込む画像形成装置であって、前記画像データにおいて、前記埋め込みデータの埋め込み対象となる画像内部の絵柄領域と文字領域との境界を検出する境界検出手段と、前記境界に沿って前記埋め込みデータを埋め込む埋め込み処理手段と、を有する。
【0008】
また本発明の画像形成装置において、前記埋め込み処理手段は、前記埋め込みデータに基づき前記境界を前記絵柄領域又は前記文字領域へずらす。
【0009】
また本発明の画像形成装置において、前記埋め込み処理手段は、前記境界に面する前記絵柄領域の画素の画像データを、前記境界を挟んで隣接する前記文字領域の画像データに置き換えることで、前記境界を前記文字領域へずらし、前記境界に面する前記文字領域の画素の画像データを前記境界を挟んで隣接する前記絵柄領域の画像データに置き換えることで、前記境界を前記絵柄領域へずらす。
【0010】
また本発明の画像形成装置において、前記文字領域の画像データは単色の画像データであり、前記絵柄領域の画像データは、当該画像形成装置が形成可能な全ての色を所定の割合で混合した色の画像データである。
【0011】
また本発明の画像形成装置において、前記埋め込み処理手段は、前記埋め込みデータに基づき、前記境界に面する前記文字領域の画素の画像データを、それぞれが異なる割合で混合された複数の色の画像データに置き換える。
【0012】
また本発明の画像形成装置において、前記画像データを複数のブロックに分割するブロック分割手段と、前記複数のブロックのそれぞれが埋め込みデータの埋め込みが可能なブロックか否かを判定する判定手段と、を有し、前記埋め込み処理手段は、前記判定手段により前記埋め込みが可能と判定されたブロックに前記埋め込みデータを埋め込む。
【0013】
また本発明の画像形成装置において、前記判定手段は、前記境界が前記ブロックにおいて所定の長さ以上存在する場合に、前記埋め込みデータの埋め込みが可能と判定する。
【0014】
本発明は、画像データに符号化された埋め込みデータを埋め込む画像形成装置による画像形成方法であって、前記画像データにおいて、前記埋め込みデータの埋め込み対象となる画像内部の絵柄領域と文字領域との境界を検出する境界検出手順と、前記境界に沿って前記埋め込みデータを埋め込む埋め込み処理手順と、を有する。
【0015】
本発明は、画像データに符号化された埋め込みデータを埋め込む画像形成装置において実行される画像形成プログラムであって、前記画像形成装置に、前記画像データにおいて、前記埋め込みデータの埋め込み対象となる画像内部の絵柄領域と文字領域との境界を検出する境界検出ステップと、前記境界に沿って前記埋め込みデータを埋め込む埋め込み処理ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、文字品質を保ちつつ情報を埋め込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の画像形成装置による情報の埋め込みの例を示す図である。
【図2】第一の実施形態の画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】第一の実施形態の画像処理部を説明する図である。
【図4】第一の実施形態の像域分離部を説明する図である。
【図5】第一の実施形態の像域分離部による処理を説明する図である。
【図6】墨処理部により墨処理をされたCMYKデータの例を示す図である。
【図7】第一の実施形態の画像処理部の処理を説明するフローチャートである。
【図8】第一の実施形態の画像解析部による境界の検出を説明する図である。
【図9】第一の実施形態のブロック内境界判定部による判断を説明する図である。
【図10】第一の実施形態の埋め込み処理部の処理を説明するフローチャートである。
【図11】ブロックの分割と埋め込みデータの関係を示す図である。
【図12】第一の実施形態の埋め込み処理による画像データの変化の例を示す第一の図である。
【図13】第一の実施形態の埋め込み処理による画像データの変化の例を示す第二の図である。
【図14】第二の実施形態の画像処理部を説明する図である。
【図15】第二の実施形態の埋め込み処理部の処理を説明するフローチャートである。
【図16】第二の実施形態の埋め込み処理による画像データの変化の例を示す第一の図である。
【図17】第二の実施形態の埋め込み処理による画像データの変化の例を示す第二の図である。
【図18】第三の実施形態の画像処理部を説明する図である。
【図19】第三の実施形態の埋め込み処理による画像データの変化の例を示す第一の図である。
【図20】第三の実施形態の色加工部の処理を説明する図である。
【図21】第三の実施形態の埋め込み処理による画像データの変化の例を示す第二の図である。
【図22】第三の実施形態における4Cの色の状態を説明する図である。
【図23】画像解析部230から出力される画像データに対して多ビットの埋め込みデータを埋め込む場合の埋め込み処理部の処理を説明するフローチャートである。
【図24】埋め込みデータに対応した4Cの色の状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施形態では、黒文字の外周から内側にある文字と絵柄の境界に情報を埋め込むことにより、黒文字の形状を崩すことなく文字品質を保つ。
【0019】
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第一の実施形態の画像形成装置について説明する。図2は、第一の実施形態の画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0020】
画像形成装置100は、それぞれバスBで相互に接続されているスキャン装置11、プロッタ装置12、ドライバ13、HDD(Hard disk drive)14、メモリ装置15、演算処理装置(Central Processing Unit)16、インターフェース装置17、操作パネル18で構成される。
【0021】
スキャン装置11はスキャナ、スキャナエンジン、エンジン制御部等で構成され、原稿をスキャンして文書データとするために用いられる。プロッタ装置12はプロッタ、プロッタエンジン、エンジン制御部等で構成され、文書データを印刷するために用いられる。操作パネル18は、表示機能を有するタッチパネル等で実現され、画像形成装置100を操作するための操作画面が表示される。また操作パネル18は、画像形成装置100による処理の進捗の案内画面等が表示される。
【0022】
インターフェース装置17は、モデム、LAN(Local Area Network)カードなどで構成されており、ネットワークに接続する為に用いられる。
【0023】
本発明の画像処理制御プログラムは、画像形成装置100を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。画像処理制御プログラムは例えば記録媒体19の配布やネットワークからのダウンロードなどによって提供される。画像処理制御プログラムを記録した記録媒体19は、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0024】
また、画像形成プログラムを記録した記録媒体19がドライバ13にセットされると、画像形成プログラムは記録媒体19からドライバ13を介してHDD14にインストールされる。ネットワークからダウンロードされた画像形成プログラムは、インターフェース装置17を介してHDD14にインストールされる。
【0025】
HDD14は、インストールされた画像形成プログラムを格納すると共に、必要なファイル、データ等を格納する。メモリ装置15は、コンピュータの起動時にHDD14から画像形成プログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置16はメモリ装置15に格納された画像形成プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0026】
次に本実施形態の画像形成装置100の有する画像処理部200について説明する。本実施形態の画像処理部200は、例えば演算処理装置16の内部に設けられていても良い。図3は、第一の実施形態の画像処理部を説明する図である。
【0027】
本実施形態の画像処理部200には、例えば画像形成装置100と接続されたコンピュータ等において作成された画像データ(RGBデータ)と、画像データに関する座標情報
と、画像データに埋め込まれる埋め込みデータが入力される。座標データと埋め込みデータとは、画像データと共にコンピュータ等から送信される。
【0028】
本実施形態の画像処理部200は、像域分離部210、ブロック分割部220、画像解析部230、ブロック内境界判定部240、色変換部250、墨処理部260、埋め込み処理部270を有する。
【0029】
像域分離部210は、入力された画像データに対して文字判定と色判定を行う。文字判定とは、画像データにおける文字領域と絵柄領域とに像域を分けるための判定であり、色判定とは有彩領域と無彩領域とに像域を分けるための判定である。像域分離部210からは、像域分離された分離データが出力される。
【0030】
分離データは、文字判定の結果と色判定の結果との二つの情報から構成される。この二つの情報を組み合わせることで、無彩の文字(黒文字)や有彩の絵柄(一般的な写真)の画像領域を抽出することが可能となる。ここで抽出された情報は後段の処理ブロックに渡され、各種画像処理で参照されても良い。なお、文字判定・色判定以外(例えば、網点判定)でも像域として判定できれば適用可能である。
【0031】
ブロック分割部220は、入力された画像データの座標情報に基づき、画像データを複数の画素からなるブロックに分割する。本実施形態のブロック分割部220は、例えば1ブロックを24×16画素に分割する。本実施形態のブロック分割部220は、ブロックに分割した後に各ブロックを識別するためのブロック番号をブロック内境界判定部240へ出力する。尚ここでは座標情報を均等割りにする構成としているが、非均等に分割することも可能である。例えば、画像データの端部のブロックは大きくし、中央部のブロックを小さくしても良い。
【0032】
画像解析部230は、ブロック分割部220により分割したブロックの画像について、像域分離された領域の境界を検出する。画像解析部230は、例えば像域分離の情報の変化点を探すことにより、境界の検出を行っても良い。
【0033】
ブロック内境界判定部240は、ブロック分割部220により分割されたブロック内において、像域分離された領域の境界がブロックの所定の位置にあるかどうかを判定する。
本実施形態のブロック内境界判定部240は、境界が所定の位置にあれば、埋め込み処理部270による埋め込みデータの埋め込みが可能なブロックであると判定する。また本実施形態の所定の位置とは、後述するブロックの中央部分を示す。また本実施形態のブロック内境界判定部240では、ブロック番号毎に所定の位置を切り替えても良い。
【0034】
色変換部250は、RGBデータをCMYデータへ色変換を行う。墨処理部260は、分離データに応じて墨生成・下色除去を行う。墨処理部260による処理により、CMYデータがCMYKデータとされる。
【0035】
埋め込み処理部270は、ブロック内境界判定部240により、埋め込みデータの埋め込みが可能であると判定されたブロックへ埋め込みデータを埋め込む。本実施形態の画像処理部200では、墨処理部260から出力されるCMYKデータに、埋め込みデータを埋め込む。具体的には埋め込み処理部270は、ブロック番号に応じた埋め込みデータを決定し、ブロック内にある像域分離の境界の画素を所定の画素と置換する。埋め込み処理部270の処理の詳細は後述する。
【0036】
本実施形態の画像形成装置100において特徴的な処理を行う部分は、埋め込み処理部270である。本実施形態では、黒文字の外周から内側にある文字と絵柄の境界に情報を埋め込む。以下に文字と絵柄の境界について説明する。
【0037】
図4は、第一の実施形態の像域分離部を説明する図である。本実施形態の像域分離部210は、エッジ判定部211、白地判定部212、色判定部213、文字判定部214を有する。エッジ判定部211は、エッジ領域または非エッジ領域を判定する。白地判定部212は、白地領域または非白地領域を判定する。色判定部213は、有彩領域または無彩領域を判定する。文字判定部214は、文字領域または絵柄領域を判定する。
【0038】
以下に図5を参照して各判定部の概要を説明する。図5は、第一の実施形態の像域分離部による処理を説明する図である。図5(A)は元画像の例であり、図5(B)はエッジ判定結果の例であり、図5(C)は白地判定結果の例であり、図5(D)は色判定結果の例を示す。
【0039】
エッジ判定部211は、オブジェクト(元画像)のエッジ部から一定の幅をエッジ領域と判定する。白地判定部212は、対象領域の周辺画素を参照して、一定量の白領域がある場合に白地と判定する。図5(A)のようなオブジェクトであれば、端部は白地と判定するが、線幅によっては内部に一部非白地が残ることもある。色判定部213は、対象領域が有彩か無彩かを判定する。文字判定部214は、エッジ判定部211と白地判定部212の判定結果が入力され、白地上のエッジを文字領域、それ以外の組み合わせを絵柄領域と判定する。色判定結果は文字判定結果とは独立で、無彩の文字は黒文字と解釈される。
【0040】
次に、本実施形態の墨処理部260の処理について説明する。図6は、墨処理部により墨処理をされたCMYKデータの例を示す図である。
【0041】
墨処理部260は、像域分離部210の有する各判定部の判定結果に応じて墨処理を行う。図6では、拡大領域60に示されるように、文字の端部領域61は無彩の文字と判定される。そして文字の内部領域62は無彩の絵柄と判定される。
【0042】
このとき、無彩の文字となっている文字の端部領域61は、文字品質を高めるためにK(ブラック)成分のみの墨率100%で下色除去(UCR,under color removal)される。また無彩の絵柄となっている文字の内部領域62は、より高濃度の黒再現を行うため、70%で下色除去される。このため文字の内部領域62は、無彩の文字とは異なり、K成分だけでなくCMY成分も加えた4Cの形で再現される。
【0043】
本実施形態の埋め込み処理部270は、図6に示す端部領域61と内部領域62との境界Sとして検出し、この境界Sに埋め込みデータを埋め込む。
【0044】
以下に図7を参照して、本実施形態の画像処理部200の処理を説明する。図7は、第一の実施形態の画像処理部の処理を説明するフローチャートである。
【0045】
本実施形態の画像処理部200において、画像データが入力されると、ブロック分割部220は、画像を所定のブロック数に分割する(ステップS71)。
【0046】
続いて画像処理部200は、像域分離部210から出力された分離データを画像解析部230により解析し、ブロック内に無彩の文字と無彩の絵柄との境界を検出する(ステップS72)。尚無彩の文字は図6の端部領域61に該当し、無彩の絵柄は図6の内部領域62に該当し、境界は図6の境界Sに該当する。
【0047】
以下に図8を参照して本実施形態の画像解析部230による境界の検出について説明する。図8は、第一の実施形態の画像解析部による境界の検出を説明する図である。図8では、白地上に黒文字(線分)が存在する場合を例としている。この場合、画像データは、白地部→文字部→白地部と推移する。
【0048】
本実施形態では、像域分離部210によるエッジ判定と白地判定結果から、白地かつエッジの場合に文字と認識される。そのため、文字の端部領域の文字判定結果がハイレベル(以下、Hレベル)となり、白地部分及び文字の内部領域の文字判定結果はローレベル(以下、Lレベル)となる。色判定については全てLレベルである。本実施形態では、文字判定結果がHレベルのとき文字と判定し、Lレベルのとき絵柄と判定する。また本実施形態の色判定結果がLレベルのとき無彩と判定する。
【0049】
この状態で文字と絵柄の境界を判定すると、文字の端部領域での白地から文字への切り替わり、文字の内部領域での文字から絵柄の切り替わり、文字の内部領域での絵柄から文字への切り替わり、文字の端部領域での文字から白地への切り替わりと4点の切り替わり点が検出される。この4点を切り替わり点検出結果とする。
【0050】
また本実施形態の画像解析部230は、画像のレベル差を求め、閾値でレベル差の大小を判定する。白地から文字への切り替わり、文字から白地への切り替わりではレベル差が大きくなるため、予め設定されたレベル差を大と判定するための閾値に基づき、レベル差を大(Hレベル)とする。文字の内部領域の切り替わりについては、レベル差を小(Lレベル)と判定する。本実施形態の画像解析部230は、画像データのチャネル毎にレベル差の大小の判定を行う。そしてその結果の論理積(OR)をレベル差検出結果とする。
【0051】
そして画像解析部230は、レベル差検出結果と、切り替わり点検出結果との論理和(AND)を取ることにより最終的な境界検出結果を得る。図8の例では、境界検出結果がHレベルのとき、境界を検出したものと判断される。すなわち本実施形態では、レベル差が大きいと判断された場合には、黒文字内における文字と絵柄の境界ではないものと判断され、境界として検出されない。
【0052】
図7に戻って、ステップS72においてブロック内に境界が検出されない場合、後述するステップS75へ進む。ステップS72においてブロック内に境界が検出された場合、画像解析部230は、ブロック内における境界の位置を示す境界データをブロック内境界判定部240へ渡す。
【0053】
ブロック内境界判定部240は、境界データに基づき境界がブロック内の所定の位置にあるか否かを判断する(ステップS73)。以下に図9を参照してブロック内境界判定部240による判断について説明する。図9は、第一の実施形態のブロック内境界判定部による判断を説明する図である。
【0054】
本実施形態におけるブロック内の所定の位置とは、ブロックの中央部分に予め設定された領域Mである。本実施形態のブロック内境界判定部240は、境界が領域M内に一定の長さで存在するか否かを判断する。
【0055】
本実施形態のブロック内境界判定部240は、境界が領域Mに一定の長さで存在した場合に、埋め込みデータの埋め込みが可能と判断する。尚本実施形態では、例えば24×16ピクセルのブロックに対し、境界の長さが主走査方向に12画素、副走査方向に8画素存在していれば、埋め込みデータの埋め込みが可能と判断しても良い。
【0056】
ステップS73において境界が所定の位置にないと判断された場合、後述するステップS75へ進む。
【0057】
ステップS73において境界が所定の位置にあると判断された場合、ブロック内境界判定部240は、埋め込みデータの埋め込み可能を示す有効境界判定データを埋め込み処理部270へ渡す。
【0058】
埋め込み処理部270は、有効境界判定データを受けて、埋め込みデータの埋め込み処理を行う(ステップS74)。埋め込み処理部270の処理の詳細は後述する。
【0059】
続いて画像処理部200は、ステップS72からステップS74の処理を全てのブロックについて行ったか否かを判断する(ステップS75)。ステップS75において全てのブロックについて処理を行ったと判断された場合、画像処理部200は処理を終了する。ステップS75において全てのブロックについて処理を行っていないと判断された場合、画像処理部200はステップS72へ戻る。
【0060】
以下に図10を参照して本実施形態の埋め込み処理部270の処理を説明する。図10は、第一の実施形態の埋め込み処理部の処理を説明するフローチャートである。
【0061】
本実施形態の埋め込み処理部270は、文字の内部領域の絵柄と文字の境界を探す(ステップS101)。続いて埋め込み処理部270は、ブロック分割部220において付与されたブロック番号に基づき埋め込むビットを特定する(ステップS102)。以下に図11を参照して埋め込むビットの特定について説明する。図11は、ブロックの分割と埋め込みデータの関係を示す図である。
【0062】
本実施形態では、分割された全てのブロックに対して埋め込みデータの埋め込みが可能とは限らない。例えばブロック内に埋め込み可能な黒文字が存在しない場合には、埋め込みデータを埋め込むことができない。このため同一の埋め込みデータが埋め込まれたブロックが複数ある方が好ましく、特にこの複数のブロックが画像全体に配置されることが望ましい。よって本実施形態では、画像を分割した際のブロックの1ラインを埋め込みデータの1ビット目を符号化するために使用した。
【0063】
本実施形態では、図11に示すように、ブロックの1ラインにつき1ビットの埋め込みデータを符号化する。例えばブロックの第1ラインの全てのブロックは、埋め込みデータの第1ビットの符号化に使用され、ブロックの第Kライン中の全てのブロックは第Kビットの符号化に使用される。
【0064】
続いて埋め込み処理部270は、ブロックに割り当てられた埋め込みデータが0か1かを判断する(ステップS102)。ステップS112において、埋め込みデータが0の場合、埋め込み処理部270は境界の絵柄側の画素を単色Kで置き換える(ステップS103)。ステップS112において埋め込みデータが1の場合、埋め込み処理部270は境界の文字側の画素を4Cで置き換える(ステップS104)。尚本実施形態の4Cとは、CMYKの4色を所定の割合で混合した色である。
【0065】
以下に図12、13を参照して本実施形態の埋め込み処理部270による埋め込み処理をさらに説明する。図12は、第一の実施形態の埋め込み処理による画像データの変化の例を示す第一の図である。図12(A)は埋め込み処理前の境界の状態を示しており、図12(B)は埋め込みデータが0の場合の境界の状態を示しており、図12(C)は埋め込みデータが1の場合の境界の状態を示している。
【0066】
本実施形態では、各ブロックに割り当てられた埋め込みデータが0であれば、図12(B)に示すように、無彩の絵柄と無彩の文字の境界Sが絵柄側にずらされる。すなわち、ブロック内で無彩の絵柄と文字の境界Sの絵柄側の画素を、境界Sを挟んで逆の文字の墨率のデータに置き換える。これにより、ブロック内の無彩の絵柄と文字の境界Sが絵柄側にずらされる。
【0067】
また埋め込みデータが1である場合には、図12(C)に示すように、無彩の絵柄と文字の境界Sを文字側にずらす。すなわち、ブロック内で無彩の絵柄と無彩の文字の境界Sの文字側の画素を、境界Sを挟んで逆の絵柄の墨率のデータに置き換える。これにより、ブロック内の無彩の絵柄と文字の境界が文字側にずらされる。尚墨率とは、下色除去処理をする際にCMYをKで置き換える割合を示す。したがって墨率100%のデータとは、K色単色のデータである。
【0068】
図13は、第一の実施形態の埋め込み処理による画像データの変化の例を示す第二の図である。図13では、図6に示す黒文字に埋め込みデータを埋め込んだ場合を示している。本実施形態では、ブロック毎に埋め込み処理を行うと、図13に示すように境界Sの形状が変化する。
【0069】
このように本実施形態では、元画像の外周に埋め込みデータを埋め込むのではなく、元画像の外周から内側にある文字と絵柄の境界に情報を埋め込む。したがって本実施形態によれば、埋め込み処理により元画像の形状が崩れることがなく、画像品質を維持できる。
【0070】
また本実施形態の埋め込み処理が施された画像から埋め込みデータを検出する場合、画像内の文字と絵柄の境界を走査すれば、容易に埋め込みデータを検出することができる。よって埋め込みデータの検出にかかる処理の負担を軽減させることができる。
【0071】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態は、埋め込みデータを埋め込む対象が画像データではなく分離データである点のみ第一の実施形態と相違する。よって以下の本発明の第二の実施形態では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0072】
図14は、第二の実施形態の画像処理部を説明する図である。
【0073】
本実施形態の画像処理部200Aは、210、ブロック分割部220、画像解析部230、ブロック内境界判定部240、色変換部250、墨処理部260、埋め込み処理部270Aを有する。
【0074】
本実施形態の埋め込み処理部270Aは、像域分離部210から出力される分離データに対して埋め込みデータの埋め込みを行う。
【0075】
図15は、第二の実施形態の埋め込み処理部の処理を説明するフローチャートである。図15のステップS151とステップS152の処理は、図11のステップS111とステップS112の処理と同様であるから説明を省略する。
【0076】
ステップS152において埋め込みデータが0であった場合、埋め込み処理部270Aは、分離データの無彩の絵柄と文字の境界を絵柄側にずらし、境界の絵柄側の分離データを文字へ置き換える(ステップS1513)。ステップS152において埋め込みデータが1であった場合、埋め込み処理部270Aは、分離データの無彩の絵柄と文字の境界を文字側にずらし、境界の文字側の分離データを絵柄に置き換える(ステップS154)。
【0077】
像域分離部210は、入力された画像データを文字領域と絵柄領域(文字判定)、有彩領域と無彩領域(色判定)に像域を分けるための判定を行うものである。すなわち、出力される分離データとは文字判定結果と色判定結果の二つの情報から構成される。この二つの情報を組み合わせることで、無彩の文字(黒文字)や有彩の絵柄(一般的な写真)の画像領域を抽出することが可能となる。
【0078】
以下に図16、17を参照して本実施形態の埋め込み処理部270Aによる埋め込み処理をさらに説明する。図16は、第二の実施形態の埋め込み処理による画像データの変化の例を示す第一の図である。図16(A)は埋め込み処理前の境界の状態を示しており、図16(B)は埋め込みデータが0の場合の境界の状態を示しており、図16(C)は埋め込みデータが1の場合の境界の状態を示している。
【0079】
本実施形態では、各ブロックに割り当てられた埋め込みデータが0であれば、図16(B)に示すように、無彩の絵柄と無彩の文字の境界S1が絵柄側にずらされる。すなわち、ブロック内で無彩の絵柄と文字の境界S1の絵柄側の画素の分離データを、境界S1を挟んで文字と判定される分離データに置き換える。また埋め込みデータが1である場合には、図16(C)に示すように、無彩の絵柄と文字の境界S1を文字側にずらす。すなわち、ブロック内で無彩の絵柄と無彩の文字の境界S1の文字側の画素の分離データを、境界S1を挟んで絵柄と判定される分離データに置き換える。
【0080】
図17は、第二の実施形態の埋め込み処理による画像データの変化の例を示す第二の図である。図17(A)は埋め込みデータの埋め込み前の画像データの例を示し、図17(B)は埋め込みデータの埋め込み後の画像データの例を示している。
【0081】
本実施形態では、ブロック毎に埋め込み処理を行うと、図17(B)に示すように境界S1の形状が変化する。
【0082】
このように本実施形態では、第一の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0083】
(第三の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第三の実施形態について説明する。本発明の第三の実施形態は、多ビットの埋め込みデータを分離データに埋め込む点が第二の実施形態と相違する。よって以下の本発明の第三の実施形態では、第二の実施形態との相違点についてのみ説明し、第二の実施形態と同様の機能構成を有するものには第二の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0084】
図18は、第三の実施形態の画像処理部を説明する図である。
【0085】
本実施形態の画像処理部200Bは、210、ブロック分割部220、画像解析部230、ブロック内境界判定部240、色変換部250、墨処理部260、埋め込み処理部270B、色加工部280を有する。本実施形態の埋め込み処理部270Bは、多ビットの埋め込みデータを分離データへ埋め込む。本実施形態の色加工部280は、墨処理部260によりCMYK化されたデータに対して色の加工を行う。
【0086】
以下に本実施形態において2ビットの埋め込みデータを埋め込む場合を説明する。
【0087】
図19は、第三の実施形態の埋め込み処理による画像データの変化の例を示す第一の図である。図19(A)は埋め込み処理前の境界の状態を示しており、図19(B)は埋め込みデータが0の場合の境界の状態を示しており、図19(C)は埋め込みデータが1、2、3の何れかの場合の境界の状態を示している。
【0088】
本実施形態の埋め込み処理部270Bは、ブロックに割り当てられた埋め込みデータが0であった場合、図19(B)に示すように分離データの無彩の絵柄と無彩の文字の境界S2を絵柄側にずらす。また埋め込みデータが1、2、3の何れ一つである場合、図19(C)に示すように、分離データの無彩の絵柄と無彩の文字の境界S2を文字側にずらす。
【0089】
墨処理部260により分離データに墨処理が施されると、本実施形態の色加工部280は、4Cとなった画像データを分離データに応じて絵柄部のみ加工する。
【0090】
図20は、第三の実施形態の色加工部の処理を説明する図である。本実施形態では、像域分離部210において無彩の絵柄と判定された領域が墨処理部260で4Cの画像データとされる。
【0091】
本実施形態の色加工部280は、分離データに基づき、境界S2を文字側にずらすことにより形成された領域Hの色である4Cの色を、R寄りの色、G寄りの色、B寄りの色に加工する。すなわち本実施形態の色加工部280は、埋め込みデータに基づき、領域Hを形成する4CにおけるCMYKの4色の混合の割合を変化させる。
【0092】
図20の例では、例えば埋め込みデータが1の場合、領域HはR寄りの4Cのデータに加工される。また例えば埋め込みデータが2の場合、領域HはG寄りの4Cのデータに加工される。また例えば埋め込みデータが3の場合、領域HはB寄りの4Cのデータに加工される。
【0093】
図21は、第三の実施形態の埋め込み処理による画像データの変化の例を示す第二の図である。図21では、境界S2を文字側にずらした際に生じる領域Hの画像データに絵柄の墨率を適用するだけでなく、わずかに色のバランスを崩すことにより、2ビットの情報を埋め込むことができる。
【0094】
図22は、第三の実施形態における4Cの色の状態を説明する図である。本実施形態では、絵柄に埋め込む4Cの画像データをa*b*平面においてわずかにRGBそれぞれに色付かせることにより、3つの状態を実現する。そして文字の単色Kと合わせて4つの状態とすることで、2ビットの埋め込みデータを埋め込むことが可能となる。
【0095】
尚本実施形態では、像域分離部210から出力される分離データに埋め込みデータを埋め込む場合について説明したが、画像解析部230から出力される画像データに対して多ビットの埋め込みデータを埋め込むこともできる。
【0096】
図23は、画像データに対して多ビットの埋め込みデータを埋め込む場合の埋め込み処理部の処理を説明するフローチャートである。図23では、2ビットの埋め込みデータを分離データに埋め込む場合を示している。
【0097】
本実施形態の埋め込み処理部270は、文字の内部領域の絵柄と文字の境界を探す(ステップS231)。続いて埋め込み処理部270は、ブロックに割り当てられた埋め込みデータが0、1、2、3の何れかを判断する(ステップS232)。ステップS232において、埋め込みデータが0の場合、埋め込み処理部270は境界の絵柄側の画素を単色Kで置き換える(ステップS233)。
【0098】
ステップS232において、埋め込みデータが1の場合、埋め込み処理部270は境界の絵柄側の画素をR寄りの4Cで置き換える(ステップS234)。ステップS232において、埋め込みデータが2の場合、埋め込み処理部270は境界の絵柄側の画素をG寄りの4Cで置き換える(ステップS235)。ステップS232において、埋め込みデータが3の場合、埋め込み処理部270は境界の絵柄側の画素をB寄りの4Cで置き換える(ステップS236)。
【0099】
以上の処理により、多ビットの埋め込みデータを画像データに埋め込むことができる。
【0100】
また本実施形態では、埋め込みデータが2ビットの場合を説明したが、3ビット以上の埋め込みデータであっても良い。その場合埋め込みデータを埋め込む際のCMYKの4色の混合の割合をさらに細かくしたり、a*b*平面の色相角を非均等に分割しても良い。また、彩度軸方向に分割を行っても良い。
【0101】
図24は、埋め込みデータに対応した4Cの色の状態を説明する図である。図24では、a*b*平面の色相角と彩度軸を非均等に分割して作り出した6つの状態と中央の低彩度部の色相角で分割しない一つの状態が示されている。図24の例では、7つの状態から7色のCMYKデータが再現されるため、この7色と単色Kを含む8色を用いて3ビットの埋め込みデータを画像データに埋め込むことができる。
【0102】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0103】
100 画像形成装置
200、200A、200B 画像処理部
210 像域分離部
220 ブロック分割部
230 画像解析部
240 ブロック内境界判定部
250 色変換部
260 墨処理部
270、270A、270B 埋め込み処理部
280 色加工部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0104】
【特許文献1】特開2010−074387号公報
【特許文献2】特開2003−136828号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに符号化された埋め込みデータを埋め込む画像形成装置であって、
前記画像データにおいて、前記埋め込みデータの埋め込み対象となる画像内部の絵柄領域と文字領域との境界を検出する境界検出手段と、
前記境界に沿って前記埋め込みデータを埋め込む埋め込み処理手段と、を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記埋め込み処理手段は、
前記埋め込みデータに基づき前記境界を前記絵柄領域又は前記文字領域へずらす請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記埋め込み処理手段は、
前記境界に面する前記絵柄領域の画素の画像データを、前記境界を挟んで隣接する前記文字領域の画像データに置き換えることで、前記境界を前記文字領域へずらし、
前記境界に面する前記文字領域の画素の画像データを前記境界を挟んで隣接する前記絵柄領域の画像データに置き換えることで、前記境界を前記絵柄領域へずらす請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記文字領域の画像データは単色の画像データであり、
前記絵柄領域の画像データは、当該画像形成装置が形成可能な全ての色を所定の割合で混合した色の画像データである請求項2又は3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記埋め込み処理手段は、
前記埋め込みデータに基づき、
前記境界に面する前記文字領域の画素の画像データを、それぞれが異なる割合で混合された複数の色の画像データに置き換える請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像データを複数のブロックに分割するブロック分割手段と、
前記複数のブロックのそれぞれが埋め込みデータの埋め込みが可能なブロックか否かを判定する判定手段と、を有し、
前記埋め込み処理手段は、
前記判定手段により前記埋め込みが可能と判定されたブロックに前記埋め込みデータの埋め込む請求項1ないし5の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記判定手段は、
前記境界が前記ブロックにおいて所定の長さ以上存在する場合に、前記埋め込みデータの埋め込みが可能と判定する請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像データに符号化された埋め込みデータを埋め込む画像形成装置による画像形成方法であって、
前記画像データにおいて、前記埋め込みデータの埋め込み対象となる画像内部の絵柄領域と文字領域との境界を検出する境界検出手順と、
前記境界に沿って前記埋め込みデータを埋め込む埋め込み処理手順と、を有する画像形成方法。
【請求項9】
画像データに符号化された埋め込みデータを埋め込む画像形成装置において実行される画像形成プログラムであって、
前記画像形成装置に、
前記画像データにおいて、前記埋め込みデータの埋め込み対象となる画像内部の絵柄領域と文字領域との境界を検出する境界検出ステップと、
前記境界に沿って前記埋め込みデータを埋め込む埋め込み処理ステップと、を実行させる画像形成プログラム。
【請求項1】
画像データに符号化された埋め込みデータを埋め込む画像形成装置であって、
前記画像データにおいて、前記埋め込みデータの埋め込み対象となる画像内部の絵柄領域と文字領域との境界を検出する境界検出手段と、
前記境界に沿って前記埋め込みデータを埋め込む埋め込み処理手段と、を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記埋め込み処理手段は、
前記埋め込みデータに基づき前記境界を前記絵柄領域又は前記文字領域へずらす請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記埋め込み処理手段は、
前記境界に面する前記絵柄領域の画素の画像データを、前記境界を挟んで隣接する前記文字領域の画像データに置き換えることで、前記境界を前記文字領域へずらし、
前記境界に面する前記文字領域の画素の画像データを前記境界を挟んで隣接する前記絵柄領域の画像データに置き換えることで、前記境界を前記絵柄領域へずらす請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記文字領域の画像データは単色の画像データであり、
前記絵柄領域の画像データは、当該画像形成装置が形成可能な全ての色を所定の割合で混合した色の画像データである請求項2又は3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記埋め込み処理手段は、
前記埋め込みデータに基づき、
前記境界に面する前記文字領域の画素の画像データを、それぞれが異なる割合で混合された複数の色の画像データに置き換える請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像データを複数のブロックに分割するブロック分割手段と、
前記複数のブロックのそれぞれが埋め込みデータの埋め込みが可能なブロックか否かを判定する判定手段と、を有し、
前記埋め込み処理手段は、
前記判定手段により前記埋め込みが可能と判定されたブロックに前記埋め込みデータの埋め込む請求項1ないし5の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記判定手段は、
前記境界が前記ブロックにおいて所定の長さ以上存在する場合に、前記埋め込みデータの埋め込みが可能と判定する請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像データに符号化された埋め込みデータを埋め込む画像形成装置による画像形成方法であって、
前記画像データにおいて、前記埋め込みデータの埋め込み対象となる画像内部の絵柄領域と文字領域との境界を検出する境界検出手順と、
前記境界に沿って前記埋め込みデータを埋め込む埋め込み処理手順と、を有する画像形成方法。
【請求項9】
画像データに符号化された埋め込みデータを埋め込む画像形成装置において実行される画像形成プログラムであって、
前記画像形成装置に、
前記画像データにおいて、前記埋め込みデータの埋め込み対象となる画像内部の絵柄領域と文字領域との境界を検出する境界検出ステップと、
前記境界に沿って前記埋め込みデータを埋め込む埋め込み処理ステップと、を実行させる画像形成プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図14】
【図15】
【図16】
【図18】
【図19】
【図20】
【図22】
【図23】
【図24】
【図6】
【図12】
【図13】
【図17】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図14】
【図15】
【図16】
【図18】
【図19】
【図20】
【図22】
【図23】
【図24】
【図6】
【図12】
【図13】
【図17】
【図21】
【公開番号】特開2012−151618(P2012−151618A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8207(P2011−8207)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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