説明

画像形成装置の代替方法およびそれに用いられる画像形成装置

【課題】専門知識を持たないユーザであっても、故障などによって使用不能になった画像形成装置を容易に別の画像形成装置に代替できる方法およびそれに適した画像形成装置を提供する。
【解決手段】ユーザは、サービスセンタから代替機である画像形成装置100Bが到着すると、故障機である画像形成装置100Aから必要な消耗品のユニットを取外し、画像形成装置100Bへそれらを装着する。続いて、ユーザは、画像形成装置100Aと画像形成装置100Bとの間をケーブルなどで接続し、故障機から代替機へのデータ引継ぎを行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、故障などによって使用不能になった画像形成装置の代替方法およびそれに用いられる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビジネスユースの画像形成装置(コピー機やプリンタなど)は、保守契約などに基づいて、サービスマンが保守を行なう形態が一般的である。このような形態では、画像形成装置の故障時などには、担当のサービスマンが現地に赴き、そこで修理や代替機の手配などを行なっていた。
【0003】
これに対して、小型のプリンタなどでは、上述のような保守契約を締結する形態に代えて、統括的に設けられたサービスセンタなどからユーザに対して必要な保守を行なう形態が採用される場合もある。このような形態では、画像形成装置が故障した場合などには、サービスセンタからユーザへ代替機が送付され、ユーザ自身が故障した画像形成装置(以下、「故障機」とも称す。)を代替機に交換する作業が行なわれる。その後、故障機は、サービスセンタへ送付され、サービスセンタで修理がなされて再度ユーザへ送付される。さらに、ユーザは、代替機と修理完了後の画像形成装置とを交換し、代替機をサービスセンタへ送り返す。
【0004】
ところで、故障した画像形成装置の状態によっては、トナーカートリッジや定着器などが正常であると判断できる場合には、サービスセンタからユーザへ送付される代替機には、このような着脱可能なユニットが装着されず、ユーザが、故障機から必要なユニットを取外して、代替機に装着して使用するような場合も想定される。
【0005】
なお、画像形成装置の故障時を考慮した先行技術として、特開2005−6222号公報(特許文献1)には、コントローラボード交換時の顧客情報の漏洩を防止した画像処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−6222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、着脱可能なユニットに対しては、その動作に応じて更新されるユニット情報(典型的には、トナーカートリッジの寿命情報など)が保存されている。これらのユニット情報は、対応のユニットにメモリが搭載されている場合には、当該ユニットのメモリに格納される。このようにメモリを搭載するユニットの場合には、故障機に装着されていたユニットを代替機へ装着したとしても、そのユニット情報は代替機へ引継がれる。
【0008】
これに対して、対応のユニットにメモリが搭載されていない場合には、当該ユニットについてのユニット情報は、画像形成装置の本体メモリに格納される。そのため、故障機に装着されていたユニットを代替機へ装着しただけでは、そのユニット情報は代替機へ引継がれない。
【0009】
また、故障機の本体メモリには、ユニット情報に加えて、他の情報(典型的には、宛先アドレスやユーザカスタマイズ情報など)も格納されており、専門知識を持たないユーザが、これらの情報を故障機から代替機へ簡単に引継ぐことはできなかった。
【0010】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、専門知識を持たないユーザであっても、故障などによって使用不能になった画像形成装置を容易に別の画像形成装置に代替できる方法およびそれに適した画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明のある局面に従えば、第1および第2の画像形成装置を用いた画像形成装置の代替方法を提供する。ここで、第1および第2の画像形成装置の各々は、ユーザからの指示を受付ける入力部と、着脱可能なユニットと、本体記憶部と、他の画像形成装置との間でデータ交換を行なうためのデータ交換手段とを含む。本代替方法は、第1の画像形成装置が、指令を受けて動作モードを通常モードに設定するステップを含む。通常モードに設定された第1の画像形成装置は、通常使用が可能である。本代替方法は、さらに、通常モードに設定されている第1の画像形成装置が、自装置に装着されているユニットの動作に応じて本体記憶部に保存されている第1のユニット情報を更新するステップと、第2の画像形成装置が、指令を受けて動作モードを代替前モードに設定するステップと、代替前モードに設定されている第2の画像形成装置が、第1の画像形成装置が故障した場合に、データ交換手段によって、第1の画像形成装置の本体記憶部に保存されている第1のユニット情報を第2のユニット情報として取得するステップと、代替前モードに設定されている第2の画像形成装置が、第2のユニット情報の取得後に、動作モードを代替中モードに設定するステップとを含む。代替中モードに設定された第2の画像形成装置は、代替機として使用可能である。本代替方法は、さらに、代替中モードに設定されている第2の画像形成装置が、自装置に装着されているユニットの動作に応じて本体記憶部に保存されている第2のユニット情報を更新するステップと、修理完了した第1の画像形成装置が、指令を受けて動作モードを修理完了モードに設定するステップと、修理完了モードに設定されている第1の画像形成装置が、データ交換手段によって、代替中モードに設定されている第2の画像形成装置の本体記憶部に保存されている第2のユニット情報を取得するステップと、修理完了モードに設定されている第1の画像形成装置が、第2のユニット情報の取得後に、動作モードを通常モードに再設定するステップと、代替中モードに設定されている第2の画像形成装置が、第2のユニット情報を第1の画像形成装置に送信後に、動作モードを返却機モードに設定するステップとを含む。返却機モードに設定された第2の画像形成装置は、使用が制限される。
【0012】
好ましくは、第1および第2のユニット情報の各々は、ユニット記憶部を含んでいるユニットについてのデータを含んでいない。第1のユニット情報を更新するステップおよび第2のユニット情報を更新するステップの各々は、自装置に搭載されているユニットがユニット記憶部を含んでいるか否かを判断するステップと、自装置に搭載されているユニットがユニット記憶部を含んでいる場合には、当該ユニットの動作に応じて、対応するユニット記憶部に保存されている第3のユニット情報を更新するステップとを含む。故障した第1の画像形成装置から第2の画像形成装置へデータ交換手段を介して送信されるデータには、第3のユニット情報は含まれない。
【0013】
好ましくは、本代替方法は、代替中モードに設定されている第2の画像形成装置が、故障した第1の画像形成装置が修理不能である場合に、指令を受けて動作モードを通常モードに設定するステップをさらに含む。
【0014】
この発明の別の局面に従う画像形成装置は、ユーザからの指示を受付ける入力部と、着脱可能なユニットと、装着されているユニットの動作に応じて更新されるユニット情報を保存する本体記憶部と、他の画像形成装置との間でデータ交換を行なうためのデータ交換手段と、動作モードを設定する動作モード設定手段と、設定された動作モードに応じた処理を実行する処理実行手段とを有する。動作モード設定手段は、指令を受けて、動作モードを、通常モード、代替前モード、修理完了モードのいずれかに設定する手段と、動作モードが代替前モードに設定されている場合に、データ交換手段によって、他の画像形成装置からユニット情報を取得した後に、動作モードを代替中モードに変更する手段と、動作モードが代替中モードに設定されている場合に、データ交換手段によって、本体記憶部に保存されているユニット情報を他の画像形成装置へ送信した後に、動作モードを返却機モードに変更する手段と、動作モードが修理完了モードに設定されている場合に、データ交換手段によって、本体記憶部に保存されていたユニット情報を引継いだユニット情報を、他の画像形成装置から取得した後に、動作モードを通常モードに変更する手段とを含む。処理実行手段は、動作モードが通常モードに設定されている場合に、通常使用に係る機能を提供するように動作し、動作モードが代替中モードに設定されている場合に、代替機としての機能を提供するように動作し、動作モードが代替前モード、修理完了モード、返却機モードのいずれかに設定されている場合に、制限された機能のみを提供するにように動作する。
【0015】
好ましくは、装着されているユニットがユニット記憶部を含んでいる場合には、対応するユニット情報は当該ユニット記憶部に保存され、当該ユニットの動作に応じて、当該ユニット記憶部に保存されているユニット情報が更新される。処理実行手段は、動作モードが代替中モードに設定されている場合に、ユニット記憶部に保存されているユニット情報については、動作モードを返却機モードに変更するために、他の画像形成装置へ送信する対象から除外される。
【0016】
好ましくは、動作モード設定手段は、動作モードが修理完了モードに設定されている場合に、データ交換手段によって接続される他の画像形成装置の本体記憶部にユニット情報が保存されているか否かを判断する手段と、他の画像形成装置の本体記憶部にユニット情報を保存されていないときに、当該他の画像形成装置からユニット情報を取得することなく、動作モードを通常モードに設定する手段とをさらに含む。
【0017】
好ましくは、ユニットは、トナーカートリッジを含む。ユニット情報は、トナーカートリッジについての、寿命情報、容量情報、仕向け情報、画像形成パラメータの少なくとも1つを含む。
【0018】
好ましくは、ユニットは、定着器を含む。ユニット情報は、定着器についての、寿命情報および仕向け情報の少なくとも1つを含む。
【0019】
好ましくは、ユニットは、中間転写ベルトを含む。ユニット情報は、中間転写ベルトについての、寿命情報および仕向け情報の少なくとも1つを含む。
【0020】
好ましくは、ユニット情報に加えて、ユーザ設定データが他の画像形成装置へ送信または他の画像形成装置から送信される。ユーザ設定データは、宛先アドレスおよびユーザカスタマイズ情報の少なくとも1つを含む。
【0021】
好ましくは、ユニット情報に加えて、画像形成装置の通常動作によって取得された保存データが他の画像形成装置へ送信または他の画像形成装置から送信される。
【0022】
さらに好ましくは、処理実行手段は、動作モードが代替前モードから代替中モードに変更される場合に、ユニット情報の取得先の画像形成装置を特定する識別情報を本体記憶部へ保存し、動作モードが代替中モードに設定されている場合に、代替中モードに変更された後におけるユーザ設定データまたは保存データに対する更新部分を特定可能に記憶する。動作モード設定手段は、動作モードが代替中モードに設定されている場合に、識別情報に基づいて、他の画像形成装置が先にユーザ設定データまたは保存データを引継いだ画像形成装置と同一であるか否かを判断する手段と、他の画像形成装置が先にユーザ設定データまたは保存データを引継いだ画像形成装置と同一である場合に、更新部分のみを当該他の画像形成装置へ送信する手段と、他の画像形成装置が先にユーザ設定データまたは保存データを引継いだ画像形成装置と同一でない場合に、自装置に保存しているユーザ設定データまたは保存データのすべてを当該他の画像形成装置へ送信する手段とをさらに含む。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、専門知識を持たないユーザであっても、故障などによって使用不能になった画像形成装置を容易に別の画像形成装置に代替することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施の形態に従う画像形成装置の構成を示す概略断面図である。
【図2】この発明の実施の形態に従う画像形成装置に含まれる制御部2の構造を示す概略図である。
【図3】この発明の実施の形態に従う画像形成装置におけるユニット情報の保存形態を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態に従う画像形成装置を用いた代替方法について説明するための図(その1)である。
【図5】この発明の実施の形態に従う画像形成装置を用いた代替方法について説明するための図(その2)である。
【図6】この発明の実施の形態に従う画像形成装置を用いた代替方法について説明するための図(その3)である。
【図7】この発明の実施の形態に従う画像形成装置における動作モードの遷移図である。
【図8】この発明の実施の形態に従う画像形成装置の修理完了機への転送処理について説明するための図である。
【図9】この発明の実施の形態に従う画像形成装置の通常モードにおける処理手順を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態に従う画像形成装置の代替前モードにおける処理手順を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施の形態に従う画像形成装置の代替中モードにおける処理手順を示すフローチャートである。
【図12】この発明の実施の形態に従う画像形成装置の修理完了モードにおける処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0026】
<画像形成装置の構成>
この発明の実施の形態に従う画像形成装置100は、通常使用が可能であるとともに、後述するように故障した画像形成装置の代替機としての使用も可能である。
【0027】
図1は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置100の構成を示す概略断面図である。図1には、本発明に係る画像形成装置の典型例として、カラープリントが可能なタンデム式の画像形成装置100を例示する。
【0028】
図1を参照して、本実施の形態に画像形成装置100は、制御部2と、トナーカートリッジユニットTCC,TCM,TCY,TCKと、中間ベルトユニット3と、定着器ユニット4とを含む。トナーカートリッジユニットTCC,TCM,TCY,TCK、中間ベルトユニット3、および定着器ユニット4は、いずれも使用によって寿命が短くなる消耗品であり、交換などを想定して、画像形成装置100に着脱可能に構成される。
【0029】
制御部2は、後述するように、画像形成装置100全体の制御を司る。
トナーカートリッジユニットTCC,TCM,TCY,TCK、中間ベルトユニット3、および定着器ユニット4は、紙などの記録媒体12に対して、画像形成を行なうための作像部を構成する。
【0030】
トナーカートリッジユニットTCC,TCM,TCY,TCKは、それぞれ「シアン」「マゼンタ」「黄色」「黒」のトナー像を形成する。以下、トナーカートリッジユニットTCC,TCM,TCY,TCKを「トナーカートリッジユニットTC」とも総称する。
【0031】
トナーカートリッジユニットTCの各々は、トナー像を担持する感光体20と、感光体20を帯電する帯電部24と、画像パターンを露光する露光部22と、画像パターンをトナー像として現像する現像部26と、感光体20上の転写残トナーを取除く感光体クリーナ28とを含む。
【0032】
中間ベルトユニット3は、トナーカートリッジユニットTCのそれぞれの感光体20上に形成された4色のトナー像を重ねて画像形成する中間転写ベルト30と、中間転写ベルト30上に形成されたトナー像(4色合成)を記録媒体12上に転写する2次転写ローラ36,37と、中間転写ベルト30上のトナー像の濃度を検出する濃度センサ32と、中間転写ベルト30上の転写残トナーを取除く中間転写ベルトクリーナ38とを含む。
【0033】
定着器ユニット4は、中間ベルトユニット3によって記録媒体上に転写されたトナー像を定着する。より具体的には、定着器ユニット4は、記録媒体上のトナー像を加熱する加熱ローラ40と、記録媒体上のトナー像を加圧する加圧ローラ41と、加熱ローラ40の表面温度を測定する温度センサ42とを含む。
【0034】
また、画像形成装置100は、記録媒体収納部10と、搬送ガイド14と、給紙ローラ16と、タイミングローラ50,51と、排出ローラ52,53とを含む。これらは、記録媒体を搬送するための搬送部を構成する。また、記録媒体収納部10の底部には、記録媒体の残量を検出するための残量検出センサ18が設けられる。
【0035】
次に、画像形成装置100の画像形成に係る動作を説明する。記録媒体収納部10に装填された紙などの記録媒体12は、給紙ローラ16の回転によって、搬送ガイド14に沿って給紙される。そして、記録媒体12は、搬送経路に沿って搬送されて、タイミングローラ50,51まで到達すると、一旦停止される。この記録媒体12の搬送と並行して、トナーカートリッジユニットTCの各々では、画像形成されるべき画像パターンに応じたトナー像が作像され、中間転写ベルト30上では、それぞれのトナーカートリッジユニットTCで作像されたトナー像が重ね合わされる。この中間転写ベルト30上に作像されたトナー像とタイミングを一致させて、タイミングローラ50,51は、記録媒体12を2次転写ローラ36,37へ給紙する。すると、2次転写ローラ36,37によって、中間転写ベルト30上に作像されたトナー像が記録媒体12へ転写される。さらに、トナー像が転写された記録媒体12は、定着器ユニット4へ搬送され、加熱ローラ40および加圧ローラ41によって、そのトナー像が定着される。さらに、トナー像が定着された記録媒体12は、排出ローラ52,53によって排出トレイ54へ排出される。
【0036】
さらに、画像形成装置100は、内部の冷却を行なうための冷却ファン60および冷却空気を取り入れるための開口部62を含む。
【0037】
また、画像形成装置100は、ユーザからの指示を受付ける入力部に相当する操作パネル7を含む。操作パネル7には、ユーザからの指示を受付けるボタンに加えて、画像形成装置100の状態などを示す液晶パネルなどの表示部を設けてもよい。
【0038】
さらに、原稿から画像データを読取るためのスキャナや、ファクシミリの送受信を行なうファクシミリ処理部などをさらに設けてもよい。
【0039】
<制御部の構成>
図2は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置100に含まれる制御部2の構造を示す概略図である。
【0040】
図2を参照して、制御部2は、CPU(Central Processing Unit)20と、RAM(Random Access Memory)21と、ROM(Read Only Memory)22と、EEPROM(Electrical Erasable and Programmable Read Only Memory)23と、HDD(Hard Disk Drive)24と、外部通信I/F(インターフェイス:Interface)25と、NIC(Network Interface Controller)26と、内部通信I/F27−1,27−2,27−3,28とを含む。
【0041】
制御部2では、CPU20が、ROM22などに予め格納されている各種処理を実行するためのプログラムをRAM21などに展開して実行することで、画像形成装置100が制御される。RAM21は、揮発性メモリであり、ワークメモリとして使用される。より具体的には、RAM21には、実行されるプログラム自体に加えて、各種変数データが一時的に格納される。
【0042】
EEPROM23は、不揮発性メモリであり、(1)ユーザが設定するFAXアドレスやメールアドレスなどの宛先アドレス、(2)ユーザカスタマイズ情報(ユーザチョイス設定値)、(3)画像形成装置100のIPアドレスやネットワークドメイン、などを保存する。なお、ユーザカスタマイズ情報は、典型的には、画像形成装置100に設定される各種パラメータのうち、初期値(デフォルト値)から変更されたパラメータの値などを含み、たとえば、画像形成装置100がスリープモードに移行するまでの時間、各給紙カセットのサイズ、画質などが挙げられる。
【0043】
さらに、EEPROM23には、後述するように、画像形成装置100に装着されるユニット(トナーカートリッジユニットTC、中間ベルトユニット3、定着器ユニット4など)のうち、ユニット記憶部としてのメモリを持たないユニットについての、寿命情報や制御パラメータなどを含むユニット情報を保存する。なお、後述するように、メモリを搭載するユニットについては、各ユニットのメモリが自ユニットについてのユニット情報を保存する。
【0044】
HDD24は、不揮発性の磁気メモリであり、各種保存データなどを蓄積する。典型的に、HDD24は、プリントした画像データや、コピーもしくはスキャンした画像データなどを格納可能な、いわゆるBOXとして機能する。さらに、HDD24を一種の共用ディスクとして用いる場合には、ネットワーク接続されたパーソナルコンピュータ(PC)からユーザ操作によって送信された各種データが保存される。このように、HDD24には、画像形成装置100の通常動作によって取得される保存データが逐次保存される。
【0045】
主として、EEPROM23およびHDD24が、本発明に係る本体記憶部に相当する。
【0046】
外部通信I/F25は、典型的には公衆電話回線やISDNなどであり、画像形成装置100が接続されるネットワークとは異なる場所に配置された装置や外部のサービスセンタなどとの間で通信を行なう。
【0047】
NIC26は、典型的にはイーサネット(登録商標)、USB(Universal Serial Bus)、RS−232Cなどのシリアル通信といった汎用的な通信プロトコルをサポートし、パーソナルコンピュータや他の画像形成装置との間のデータ交換(データ引継ぎ)を行なうためのデータ交換手段に相当する。より具体的には、パーソナルコンピュータからのプリント指示およびプリント対象の画像データは、NIC26を介してCPU20へ送信される。また、後述するように、故障機と代替機との交換時には、ユーザが両者のNIC26をケーブルなどで接続した上で、両者の間でデータの引継ぎを行なう。
【0048】
内部通信I/F27−1,27−2,27−3(以下、「内部通信I/F27」とも総称する。)は、典型的にはシリアル通信をサポートし、画像形成装置100に装着されるそれぞれにユニットとの間で内部的な通信を行なう。図2に示す例では、内部通信I/F27−1がトナーカートリッジユニットTCとの間で通信を行ない、内部通信I/F27−2が中間ベルトユニット3との間で通信を行ない、内部通信I/F27−3が定着器ユニット4との間で通信を行なうものとする。なお、後述するように、内部通信I/F27−1,27−2,27−3は、接続先のユニットに搭載されている不揮発性のメモリTCa,3a,4aに対して、ユニット情報の書込、ならびに書込まれているユニット情報の更新および読出などを行なう。ところで、ユニット記憶部としてのメモリを搭載していないユニットが画像形成装置100に装着される場合もあり、そのような場合には、内部通信I/F27は、接続先のユニットとの間で通信を行なうことができない。
【0049】
内部通信I/F28は、操作パネル7と接続され、操作パネル7に対するユーザ操作に応じた信号を受信して、CPU20へ伝送するとともに、CPU20からの命令に従って、操作パネル7に必要な信号を送信する。
【0050】
<ユニット情報>
次に、トナーカートリッジユニットTC、中間ベルトユニット3、定着器ユニット4についてのユニット情報の内容について説明する。
(1)トナーカートリッジユニットTC
トナーカートリッジユニットTCについてのユニット情報は、トナー像に関する情報と、感光体20に関する情報とを含む。
【0051】
(i)トナー像に関する情報
・寿命情報:容量、印字イメージカウンタ、印字消費量カウンタ
・制御パラメータ:付着量調整パラメータ、レーザ光量パラメータ
上述の寿命情報は、画像形成装置100においてプリント動作(画像形成処理)が実行される毎にその内容が更新(カウント)される。また、上述の制御パラメータは、プリント処理の前処理として実行される画像安定化処理の結果に基づいて、決定される。そのため、制御パラメータの内容は、画像安定化処理が実行される毎に更新される。
【0052】
(ii)感光体に関する情報
・寿命情報:寿命仕様(印字可能枚数)、感光体イメージカウンタ、感光体駆動時間
・制御パラメータ:現像バイアス
上述の寿命情報は、画像形成装置100においてプリント動作(画像形成処理)が実行される毎にその内容が更新(カウント)される。また、上述の制御パラメータは、プリント処理の前処理として実行される画像安定化処理の結果に基づいて、決定される。そのため、制御パラメータの内容は、画像安定化処理が実行される毎に更新される。
【0053】
なお、本実施の形態に従うトナーカートリッジユニットTCは、感光体を一体的に含む構成について例示したが、トナーユニットと感光体ユニットを別体のユニットとして着脱可能に構成してもよい。
(2)中間ベルトユニット3
中間ベルトユニット3についてのユニット情報は、以下のような情報を含む。
【0054】
・寿命情報:寿命仕様(印字可能枚数)、中間ベルトイメージカウンタ、中間ベルト駆動時間
・制御パラメータ:トナ一濃度センサの調整値
上述の寿命情報は、画像形成装置100においてプリント動作(画像形成処理)が実行される毎にその内容が更新(カウント)される。また、上述の制御パラメータは、プリント処理の前処理として実行される画像安定化処理の結果に基づいて、決定される。そのため、制御パラメータの内容は、画像安定化処理が実行される毎に更新される。
(3)定着器ユニット4
定着器ユニット4についてのユニット情報は、以下のような情報を含む。
【0055】
・寿命情報:寿命仕様(印字可能枚数)、定着器イメージカウンタ、定着器駆動時間
・制御パラメータ:電源仕向け(50Hzまたは60Hz)、端部サーミスタ有無設定、定着サーミスタ種別
上述の寿命情報は、画像形成装置100においてプリント動作(画像形成処理)が実行される毎にその内容が更新(カウント)される。また、上述の制御パラメータは、初期設定などの結果に基づいて、決定される。
【0056】
<ユニット情報の保存先>
上述したように、画像形成装置100に装着されるユニット(トナーカートリッジユニットTC、中間ベルトユニット3、定着器ユニット4など)には、不揮発性のメモリが搭載されている場合と、それぞれのユニットのコストダウンのために不揮発性のメモリが省略されている場合がある。たとえば、製品購入時に同梱されるユニットには、コストダウンのため不揮発性のメモリを搭載しないものが用いられる。このような場合には、各ユニットのユニット情報は、画像形成装置100の本体記憶部であるEEPROM23に保存しておく必要がある。
【0057】
図3は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置100におけるユニット情報の保存形態を示す図である。図3(a)は、メモリを搭載しないトナーカートリッジユニットTCの場合を示し、図3(b)は、メモリを搭載するトナーカートリッジユニットTCの場合を示す。
【0058】
図3(a)に示すように、不揮発性のメモリを搭載しないトナーカートリッジユニットTCでは、ユニット情報INFが画像形成装置100のEEPROM23に保存される。なお、このとき、制御部2とトナーカートリッジユニットTCとの間の通信も行なわれない。これに対して、図3(b)に示すように、不揮発性のメモリを搭載するトナーカートリッジユニットTCでは、ユニット情報INFがトナーカートリッジユニットTC内のメモリTCaに保存される。このメモリTCaに保存されるユニット情報INFは、内部通信I/F27を介して、トナーカートリッジユニットTCの動作に応じて更新される。
【0059】
<全体手順>
上述したように、小型のプリンタなどの故障時にサービスマンが修理に赴かない画像形成装置では、サービスセンタなどからユーザへ代替機が送付され、ユーザ自身が故障機を代替機に交換して使用を継続する。その後、故障機は、サービスセンタへ送付され、サービスセンタで修理がなされて再度ユーザへ送付される。さらに、ユーザは、代替機と修理完了後の画像形成装置とを交換し、代替機をサービスセンタへ送り返す。
【0060】
故障機の状態によっては、トナーカートリッジや定着器などが正常であると判断できる場合には、サービスセンタからユーザへ送付される代替機には、このようなトナーカートリッジや定着器などのユニットが装着されず、ユーザが、故障機から必要なユニットを取外して、代替機に装着して使用する。
【0061】
たとえば、給紙機構の故障で給紙できないような場合には、トナーカートリッジユニットTC、中間ベルトユニット3、定着器ユニット4などは、当該故障に関係ないため、代替機には、これらのユニットが装着されずにユーザのもとへ送付され、ユーザが故障機からこれらのユニットを取外して代替機に装着することになる。
【0062】
上述したように、不揮発性のメモリを搭載するユニットが故障機から代替機へ装着し直される場合には、そのメモリに保存されているユニット情報も同時に引継がれるので問題はない。一方、不揮発性のメモリを搭載しないユニットが故障機から代替機へ装着し直される場合には、そのユニット情報は、故障機のEEPROM23に保存されているため、そのままでは、代替機へ引継がれない。
【0063】
このように、ユニット情報が代替機へ引継がれないと、それぞれのユニットの寿命が正しく管理されなかったり、それぞれのユニットの特性に合わせて調整されたパラメータとはことなったパラメータで動作することになるため、正しい制御ができないという問題が生じ得る。
【0064】
また、故障機のEEPROM23に保存されている宛先アドレスやユーザカスタマイズ情報など、および故障機のHDD24に保存されている各種保存データなどは、そのままでは、代替機へ引継がれない。そのため、ユーザの使い勝手が悪くなるという問題が生じ得る。
【0065】
そこで、本実施の形態に従う画像形成装置100では、後述するような代替方法の提供に適した構成を採用する。以下、図4〜図6を参照して、本実施の形態に従う画像形成装置100Aおよび100Bを用いた代替方法について説明する。
【0066】
前提として、画像形成装置100Aが通常に使用されているものとする。このとき、画像形成装置100Aは、出荷前などに所定の操作を行なうことで、動作モードが「通常モード」に設定されており、この通常モードでは、搭載された機能に制限が設けられることなく、すべての機能の通常使用が可能である。また、通常モードに設定されてる画像形成装置100Aは、自装置に装着されているユニットの動作に応じて、EEPROM23または各ユニットに搭載されているメモリに保存されているユニット情報を更新する。
【0067】
上述のように、本実施の形態に従う画像形成装置100は、設定された動作モードに応じた処理を実行する処理実行手段を含む。
【0068】
(故障発生)
まず、画像形成装置100Aに何らかの故障が発生したものとする(図4の(1)故障発生)。この故障発生に伴って、画像形成装置100Aは、その動作モードを自動的に「故障機モード」に変更する。
【0069】
(代替機送付)
ユーザがサービスセンタに連絡をとり、サービスセンタから代替機として画像形成装置100Bがユーザの元へ送付されたものとする(図4の(2)代替機送付)。このとき、画像形成装置100Bは、サービスセンタからの出荷前に、所定の操作を行なうことで、動作モードが「代替前モード」に設定されているものとする。また、サービスセンタからの出荷段階において、画像形成装置100Bには、故障に関係ないと判断されるユニットは装着されていないものとする。
【0070】
この代替前モードでは、搭載された機能の使用が制限されている。より具体的には、代替前モードに設定された画像形成装置100Bでは、通常のプリント処理は実行できない。このとき、パーソナルコンピュータなどからのプリント指令についても受付けられない。また、この代替前モードでは、操作パネル7に対する通常のパネル操作も行なうことができず、故障機からのデータ引継ぎに係る機能だけが操作可能である。さらに、故障機からのデータ引継ぎに係る機能に、故障機から代替機へのデータ引継ぎの手順書のプリント処理を含めてもよい。すなわち、通常のプリント処理は許可されないが、データ引継ぎの手順書のプリントについては、許可するようにしてもよい。
【0071】
(故障機と代替機との交換)
ユーザは、サービスセンタから代替機である画像形成装置100Bが到着すると、故障機である画像形成装置100Aから必要な消耗品のユニットを取外し(図4の(3)消耗品取外し)、画像形成装置100Bへそれらを装着する(図4の(4)消耗品装着)。
【0072】
続いて、ユーザは、画像形成装置100Aと画像形成装置100Bとの間をケーブルなどで接続し、故障機から代替機へのデータ引継ぎを行なう(図4の(5)データ引継ぎ)。
【0073】
より具体的な手順の一例としては、故障機と代替機との間の接続後、ユーザが代替機の操作パネルを操作して、データ引継ぎを指示する。すると、代替機は、自装置に装着されているそれぞれのユニット(トナーカートリッジユニットTC、中間ベルトユニット3、定着器ユニット4など)にメモリが搭載されているか否かを判断する。そして、メモリが搭載されているユニットについては、当該ユニットに搭載されているメモリから、格納されているユニット情報(寿命情報や制御パラメータなど)を、制御部2のRAM21などに読出す。これにより、自装置に装着されているユニットのうち、メモリが搭載されているものを特定することができる。一方、メモリが搭載されていないユニットについては、故障機に保存されている当該ユニットに係るユニット情報(寿命情報や制御パラメータなど)をケーブルを介して取得する。このとき、故障機から代替機へは、ユニット情報に加えて、宛先アドレスおよびユーザカスタマイズ情報、ならびに保存データなどが転送される。なお、さらに、代替機では、故障機を特定する識別情報(典型的には、各画像形成装置にユニークに割り当てられたシリアル番号など)が取得され保存される。
【0074】
以上のような一連の処理が完了すると、代替機である画像形成装置100Bは、自身の動作モードを「代替前モード」から「代替中モード」に変更する。これにより、画像形成装置100Bは、代替機としての機能を提供するように動作する(図4の(6)代替機運用開始)。
【0075】
また、ユーザは、故障機である画像形成装置100Aをサービスセンタへ送付する。
(代替中の動作)
代替中モードでは、代替機として使用可能であり、通常のプリント処理が可能である。この代替中モードでは、ユニット情報、宛先アドレスおよびユーザカスタマイズ情報、ならびに保存データなどが更新(変更や追加など)されたら、故障機から引継いだ内容からの差分として管理する。すなわち、故障機から取得した宛先アドレスおよびユーザカスタマイズ情報、ならびに保存データに対する更新部分を特定可能に記憶する。
【0076】
(修理返却)
サービスセンタにて故障機の修理が完了すると、サービスセンタから故障機であった画像形成装置100Aがユーザの元へ返送される(図5の(11)修理完了)。このとき、画像形成装置100Aは、サービスセンタからの出荷前に、所定の操作を行なうことで、動作モードが「修理完了モード」に設定されている。また、画像形成装置100Aにおけるユニットの装着状態は、ユーザからサービスセンタへ送付されたときと同じ状態とされる。そのため、サービスセンタから返送される画像形成装置100Aには、故障に関係ないと判断されていたユニットは装着されていない。
【0077】
この修理完了モードでは、搭載された機能の使用が制限されている。より具体的には、修理完了モードに設定された画像形成装置100Aでは、通常のプリント処理は実行できない。このとき、パーソナルコンピュータなどからのプリント指令についても受付けられない。また、このモードの画像形成装置100Aでは、操作パネル7に対する通常のパネル操作も行なうことができず、代替機からのデータ引継ぎに係る機能だけが操作可能である。さらに、代替機からのデータ引継ぎに係る機能に、代替機から修理完了機へのデータ引継ぎの手順書のプリント処理を含めてもよい。すなわち、通常のプリント処理は許可されないが、データ引継ぎの手順書のプリントについては、許可するようにしてもよい。
【0078】
(代替機と修理完了機との交換)
ユーザは、サービスセンタから修理完了機である画像形成装置100Aが到着すると、代替機である画像形成装置100Bから必要な消耗品のユニットを取外し(図5の(12)消耗品取外し)、画像形成装置100Aへそれらを再装着する(図5の(13)消耗品再装着)。
【0079】
続いて、ユーザは、画像形成装置100Bと画像形成装置100Aとの間をケーブルなどで接続し、代替機から修理完了機へのデータ引継ぎを行なう(図5の(14)データ引継ぎ)。
【0080】
より具体的な手順の一例としては、代替機と修理完了機との間の接続後、ユーザが修理完了機の操作パネルを操作して、データ引継ぎを指示する。すると、修理完了機は、接続先の代替機に故障機から引継いだユニット情報が保存されているか否かを判断する。故障機から引継いだユニット情報が代替機に保存されている場合には、該当のユニット情報をケーブルを介して取得する。一方、故障機から引継いだユニット情報が代替機に保存されていない場合には、ユニット情報の取得を行なわない。
【0081】
続いて、代替機は、代替前モードから代替中モードへ変更する際に、故障機から取得した識別情報(シリアル番号)に基づいて、接続先の修理完了機が先に宛先アドレス、ユーザカスタマイズ情報、および保存データなどを引継いだ画像形成装置と同一であるか否かを判断する。すなわち、代替機は、接続先の修理完了機から識別情報を取得し、その値が保存している識別情報と一致するか否かを判断する。そして、両者が一致すれば、先にデータを引継いだ画像形成装置と同一機であると判断される。
【0082】
先にデータを引継いだ画像形成装置と同一機であると判断した場合には、代替機は、宛先アドレス、ユーザカスタマイズ情報、および保存データに対する更新部分のみを接続先の修理完了機へ転送する。すなわち、修理完了機と故障機とは同じ機械であるので、データ引継ぎ時からの差分データのみを転送するだけで、最新の状態に復元することができるとともに、転送時間を短縮することもできる。
【0083】
一方、先にデータを引継いだ画像形成装置と同一機ではないと判断した場合には、代替機は、自装置に保存している宛先アドレス、ユーザカスタマイズ情報、および保存データのすべてを接続先の修理完了機へ転送する。すなわち、修理完了機には、データ引継ぎ先の故障機に保存されていたデータが存在しないので、すべてのデータを転送して、最新の状態に復元する。
【0084】
以上のような一連の処理が完了すると、修理完了機である画像形成装置100Aは、自身の動作モードを「修理完了モード」から「通常モード」に変更する。また、代替機である画像形成装置100Bは、自身の動作モードを「代替中モード」から「返却機モード」に変更する。これにより、画像形成装置100Aは通常機として運用が再開される(図5の(15)運用再開)とともに、画像形成装置100Bは、サービスセンタへ返却される(図5の(16)代替機返送)。この返却機モードでは、通常のプリント処理は許可されず、操作パネルに代替機からのデータ引継ぎが完了したことが表示される程度である。
【0085】
(故障機が修理不能の場合)
サービスセンタにて、ユーザから送付された故障機が修理不能であると判断された場合には、サービスセンタからユーザに対して、修理が不能であることの通知がなされる(図6の(21)修理不能通知)。続いて、サービスセンタから代替機である画像形成装置100Bに対して、公衆電話回線などを介して、代替中モードが解除され、画像形成装置100Bの動作モードは「代替中モード」から「通常モード」に変更される(図6の(22)解除操作)。これにより、画像形成装置100Bは通常機として運用が開始される(図6の(22)通常機として運用開始)。
【0086】
なお、サービスセンタからの指示に従ってユーザが操作パネルに対して隠しコマンドを実行することで、代替中モードを解除して、通常モードに変更できるようにしてもよい。
【0087】
<モード遷移>
上述の動作モードの遷移について、図7を参照して説明する。
【0088】
図7を参照して、まず、初期設定などによって、動作モードは通常モードST1に設定される。すなわち、指令を受けて動作モードを通常モードST1に設定される。この通常モードST1において、何らかの故障が発生すると、動作モードは故障機モードST2へ遷移する。この故障機モードST2は、サービスセンタにおいて修理がなされることが想定されており、修理完了後には、隠しコマンドを入力する特権設定によって、動作モードは修理完了モードST3へ遷移する。すなわち、指令を受けて動作モードを修理完了モードに設定される。さらに、修理完了モードST3において、代替中モードの他の画像形成装置からのデータ引継ぎ操作が行なわれると、動作モードは通常モードST1へ遷移する。
【0089】
一方、通常モードST1では、サービスセンタなどにおいて、隠しコマンドを入力する特権設定によって、動作モードは代替前モードST4へ遷移する。すなわち、指令を受けて動作モードを代替前モードST4に設定される。この代替前モードST4において、故障機からデータ引継ぎ操作が完了すると、動作モードは代替中モードST5へ遷移する。さらに、代替中モードST5において、サービスセンタなどからの解除操作によって、動作モードは通常モードST1へ遷移する。一方、代替中モードST5において、修理完了モードST3の他の画像形成装置へのデータ引継ぎ操作が行なわれると、動作モードは返却機モードST6へ遷移する。
【0090】
上述のように、本実施の形態に従う画像形成装置100は、動作モードを設定する動作モード設定手段を含む。そして、この動作モード設定手段は、(1)指令を受けて、動作モードを、通常モード、代替前モード、修理完了モードのいずれかに設定する手段と、(2)動作モードが代替前モードに設定されている場合に、データ交換手段によって、他の画像形成装置からユニット情報を取得した後に、動作モードを代替中モードに変更する手段と、(3)動作モードが代替中モードに設定されている場合に、データ交換手段によって、本体記憶部に保存されているユニット情報を他の画像形成装置へ送信した後に、動作モードを返却機モードに変更する手段と、(4)動作モードが修理完了モードに設定されている場合に、データ交換手段によって、本体記憶部に保存されていたユニット情報を引継いだユニット情報を、他の画像形成装置から取得した後に、動作モードを通常モードに変更する手段とを含む。
【0091】
また、処理実行手段を実現するCPU20は、動作モードが通常モードに設定されている場合に、通常使用に係る機能を提供するように動作し、動作モードが代替中モードに設定されている場合に、代替機としての機能を提供するように動作し、動作モードが代替前モード、修理完了モード、返却機モードのいずれかに設定されている場合に、制限された機能のみを提供するにように動作する。
【0092】
<差分転送>
代替機から修理完了機へのデータ引継ぎ処理において、宛先アドレス、ユーザカスタマイズ情報、および保存データに対する更新部分のみを接続先の修理完了機へ転送する処理について、図8を参照して説明する。
【0093】
図8(a)には、代替機が故障機から引継いだ直後のユーザカスタマイズ情報の一例を示す。図8(a)に示すように、このユーザカスタマイズ情報は、設定される項目と、その設定されている値とが対応付けて記憶されており、さらに、各項目には、更新フラグをセットする領域が設けられる。この更新フラグは、代替中モードへの変更後におけるユーザ設定データおよび保存データに対する更新部分を特定可能に記憶するためのフラグであり、代替機が故障機から引継いだユーザカスタマイズ情報に対して、何らかの項目が変更されると、当該項目に対応する更新フラグに「1」がセットされる。
【0094】
図8(b)に示す例では、「解像度」の項目について、その値が「300dpi」から「600dpi」に変更された例を示す。図8(b)に示すように、このとき、「解像度」の項目に対応する更新フラグが「1」にセットされる。
【0095】
そして、代替機から修理完了機へのデータ引継ぎの際に、接続先の修理完了機が先に宛先アドレス、ユーザカスタマイズ情報、および保存データなどを引継いだ画像形成装置と同一であると判断された場合には、当該更新フラグに「1」がセットされた項目およびその値のみが修理完了機へ転送される。すなわち、図8(b)に示す例では、「解像度」の項目および「600dpi」の値のみが転送される。
【0096】
一方、同一でないと判断された場合には、すべての項目およびその値が転送される。
図8には、ユーザカスタマイズ情報の例を示すが、宛先アドレスおよび保存データについても同様である。
【0097】
<処理フロー>
次に、図9〜図12を参照して、各モードにおける画像形成装置の処理の内容について説明する。
【0098】
(通常モード)
図9は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置100の通常モードにおける処理手順を示すフローチャートである。なお、図9に示す各ステップは、典型的には、制御部2のCPU20がプログラムを実行することで実現される。
【0099】
図9を参照して、CPU20は、操作パネル7などを介してユーザからの指示が与えられたか否かを判断する(ステップS100)。ユーザからの指示が与えられていなければ(ステップS100においてNOの場合)、処理はステップS124へ進む。
【0100】
一方、ユーザからの指示が与えられていれば(ステップS100においてYESの場合)、CPU20は、与えられた指示がプリント指令であるか否かを判断する(ステップS102)。与えられた指示がプリント指令である場合(ステップS102においてYESの場合)には、CPU20は、作像部および搬送部に対して、所定の内部コマンドを与えて、プリント処理を実行する(ステップS104)。続いて、CPU20は、プリント動作の実行に伴って、関連するユニット情報を更新する(ステップS106)。より具体的には、CPU20は、メモリを搭載しているユニットについては、当該ユニット内のメモリに保存されているユニット情報を更新する。また、CPU20は、メモリを搭載していないユニットについては、EEPROM23に保存されている対応するユニット情報を更新する。
【0101】
すなわち、通常モードに設定されている画像形成装置が、自装置に装着されているユニットの動作に応じて本体記憶部であるEEPROM23に保存されているユニット情報を更新する。ここで、本体記憶部であるEEPROM23に保存されているユニット情報は、ユニット記憶部であるメモリを含んでいるユニットについてのデータを含んでいない。そのため、自装置に搭載されているユニットがメモリを含んでいるか否かを判断し、自装置に搭載されているユニットがメモリを含んでいる場合には、当該ユニットの動作に応じて、対応するユニット内のメモリに保存されているユニット情報を更新する。
【0102】
これらの処理の後、ステップS124へ進む。
一方、与えられた指示がプリント指令でない場合(ステップS102においてNOの場合)には、CPU20は、与えられた指示が宛先アドレスの変更指令であるか否かを判断する(ステップS108)。与えられた指示が宛先アドレスの変更指令である場合(ステップS108においてYESの場合)には、CPU20は、与えられた指示に従って、EEPROM23に保存されている宛先アドレス(FAXアドレスやメールアドレスなど)の内容を更新(追加、変更、削除など)する(ステップS110)。そして、処理はステップS124へ進む。
【0103】
一方、与えられた指示が宛先アドレスの変更指令でない場合(ステップS108においてNOの場合)には、CPU20は、与えられた指示がユーザカスタマイズ情報の変更指令であるか否かを判断する(ステップS112)。与えられた指示がユーザカスタマイズ情報の変更指令である場合(ステップS112においてYESの場合)には、CPU20は、与えられた指示に従って、EEPROM23に保存されているユーザカスタマイズ情報の内容を更新(追加、変更、削除など)する(ステップS114)。そして、処理はステップS124へ進む。
【0104】
一方、与えられた指示がユーザカスタマイズ情報の変更指令でない場合(ステップS112においてNOの場合)には、CPU20は、与えられた指示が保存データの変更指令であるか否かを判断する(ステップS116)。与えられた指示が保存データの変更指令である場合(ステップS116においてYESの場合)には、CPU20は、与えられた指示に従って、HDD24に保存されている保存データを更新(追加、変更、削除など)する(ステップS118)。そして、処理はステップS124へ進む。
【0105】
一方、与えられた指示が保存データの変更指令でない場合(ステップS116においてNOの場合)には、CPU20は、与えられた指示が代替前モードへの変更指令であるか否かを判断する(ステップS120)。与えられた指示が代替前モードへの変更指令である場合(ステップS120においてYESの場合)には、CPU20は、動作モードを代替前モードに変更する(ステップS122)。そして、図10に示す代替前モードにおける処理手順が実行される。
【0106】
一方、与えられた指示が代替前モードへの変更指令でない場合(ステップS120においてNOの場合)には、処理はステップS124へ進む。
【0107】
ステップS124において、CPU20は、自装置に何らかの重大な異常が発生しているか否かを判断する。自装置に何らかの重大な異常が発生している場合(ステップS124においてYESの場合)には、CPU20は、動作モードを故障モードに変更する(ステップS126)。
【0108】
一方、自装置に何らかの重大な異常も発生していない場合(ステップS124においてNOの場合)には、処理はリターンする。
【0109】
(代替前モード)
図10は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置100の代替前モードにおける処理手順を示すフローチャートである。なお、図10に示す各ステップは、典型的には、制御部2のCPU20がプログラムを実行することで実現される。
【0110】
図10を参照して、CPU20は、操作パネル7などを介してユーザからのデータ引継ぎの指示が与えられたか否かを判断する(ステップS200)。ユーザからのデータ引継ぎの指示が与えられていなければ(ステップS200においてNOの場合)、処理はリターンする。
【0111】
一方、ユーザからのデータ引継ぎの指示が与えられていれば(ステップS200においてYESの場合)、CPU20は、自装置に装着されているユニットのうち、メモリを搭載していないものが存在するか否かを判断する(ステップS202)。より具体的には、CPU20は、内部通信I/F27を介して、それぞれにユニットとの間で内部的な通信が可能であるか否かを逐次テストを行ない、その結果に基づいて、メモリを搭載していないユニットが存在するか否かを判断する。このとき、CPU20は、メモリを搭載していないユニットを特定する。そして、メモリを搭載していないものが存在する場合(ステップS202においてYESの場合)には、CPU20は、接続先の画像形成装置から、メモリを搭載していないユニットについてのユニット情報を取得し、EEPROM23に保存する(ステップS204)。そして、処理はステップS206へ進む。
【0112】
以上のように、代替前モードに設定されている画像形成装置は、通常使用されていた画像形成装置が故障した場合に、データ交換手段によって、当該通常使用されていた画像形成装置の本体記憶部であるEEPROM23に保存されているユニット情報を自身のユニット情報として取得する。
【0113】
一方、メモリを搭載していないものが存在しない場合(ステップS202においてNOの場合)には、ステップS204の処理がスキップされる。故障した画像形成装置から代替機である画像形成装置へデータ交換手段を介して送信されるデータには、メモリを搭載しているユニットに係るユニット情報は含まれない。
【0114】
続いて、CPU20は、接続先の画像形成装置から、宛先アドレスおよびユーザカスタマイズ情報を取得してEEPROM23に保存するとともに、保存データを取得してHDD24に保存する(ステップS206)。さらに、CPU20は、接続先の画像形成装置から、識別情報(シリアル番号)を取得してEEPROM23に保存する(ステップS208)。
【0115】
その後、CPU20は、動作モードを代替中モードに変更する(ステップS210)。このように、代替前モードに設定されている画像形成装置は、他の画像形成装置からユニット情報の取得後に、動作モードを代替中モードに設定する。
【0116】
(代替中モード)
図11は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置100の代替中モードにおける処理手順を示すフローチャートである。なお、図11に示す各ステップは、典型的には、制御部2のCPU20がプログラムを実行することで実現される。
【0117】
図11を参照して、CPU20は、操作パネル7などを介してユーザからの指示が与えられたか否かを判断する(ステップS300)。ユーザからの指示が与えられていなければ(ステップS300においてNOの場合)、処理はステップS320へ進む。
【0118】
一方、ユーザからの指示が与えられていれば(ステップS300においてYESの場合)、CPU20は、与えられた指示がプリント指令であるか否かを判断する(ステップS302)。与えられた指示がプリント指令である場合(ステップS302においてYESの場合)には、CPU20は、作像部および搬送部に対して、所定の内部コマンドを与えて、プリント処理を実行する(ステップS304)。続いて、CPU20は、プリント動作の実行に伴って、関連するユニット情報を更新する(ステップS306)。より具体的には、CPU20は、メモリを搭載しているユニットについては、当該ユニット内のメモリに保存されているユニット情報を更新する。また、CPU20は、メモリを搭載していないユニットについては、EEPROM23に保存されている対応するユニット情報を更新する。
【0119】
すなわち、代替中モードに設定されている画像形成装置が、自装置に装着されているユニットの動作に応じて本体記憶部であるEEPROM23に保存されているユニット情報を更新する。そして、処理はステップS320へ進む。
【0120】
一方、与えられた指示がプリント指令でない場合(ステップS302においてNOの場合)には、CPU20は、与えられた指示が宛先アドレスの変更指令であるか否かを判断する(ステップS308)。与えられた指示が宛先アドレスの変更指令である場合(ステップS308においてYESの場合)には、CPU20は、与えられた指示に従って、EEPROM23に保存されている宛先アドレス(FAXアドレスやメールアドレスなど)の内容を更新(追加、変更、削除など)するとともに、更新部分を特定するために、対応の更新フラグをセットする(ステップS310)。そして、処理はステップS320へ進む。
【0121】
一方、与えられた指示が宛先アドレスの変更指令でない場合(ステップS308においてNOの場合)には、CPU20は、与えられた指示がユーザカスタマイズ情報の変更指令であるか否かを判断する(ステップS312)。与えられた指示がユーザカスタマイズ情報の変更指令である場合(ステップS312においてYESの場合)には、CPU20は、与えられた指示に従って、EEPROM23に保存されているユーザカスタマイズ情報の内容を更新(追加、変更、削除など)するとともに、更新部分を特定するために、対応の更新フラグをセットする(ステップS314)。そして、処理はステップS320へ進む。
【0122】
一方、与えられた指示がユーザカスタマイズ情報の変更指令でない場合(ステップS312においてNOの場合)には、CPU20は、与えられた指示が保存データの変更指令であるか否かを判断する(ステップS316)。与えられた指示が保存データの変更指令である場合(ステップS316においてYESの場合)には、CPU20は、与えられた指示に従って、HDD24に保存されている保存データを更新(追加、変更、削除など)するとともに、更新部分を特定するために、対応の更新フラグをセットする(ステップS318)。そして、処理はステップS320へ進む。
【0123】
一方、与えられた指示が保存データの変更指令でない場合(ステップS316においてNOの場合)には、処理はステップS320へ進む。
【0124】
ステップS320において、CPU20は、NIC26を介して、他の画像形成装置からデータ引継ぎの要求を受信したか否かを判断する。他の画像形成装置からデータ引継ぎの要求を受信した場合(ステップS320においてYESの場合)には、CPU20は、他の画像形成装置との間でデータ引継ぎの処理を実行する(ステップS322)。データ引継ぎに係る一例の処理の完了後、CPU20は、動作モードを返却機モードに変更する(ステップS324)。
【0125】
すなわち、代替中モードに設定されている画像形成装置は、自装置のユニット情報を他の画像形成装置へ送信後に、動作モードを返却機モードに設定する。なお、返却機モードに設定された画像形成装置では、使用が制限される。
【0126】
一方、他の画像形成装置からデータ引継ぎの要求を受信していない場合(ステップS320においてNOの場合)には、CPU20は、代替中モードの解除操作がなされたか否かを判断する(ステップS326)。代替中モードの解除操作がなされた場合(ステップS326においてYESの場合)には、CPU20は、動作モードを通常モードに変更する(ステップS328)。
【0127】
すなわち、代替中モードに設定されている画像形成装置は、故障した他の画像形成装置が修理不能である場合に、指令を受けて動作モードを通常モードに設定される。
【0128】
一方、代替中モードの解除操作がなされていない場合(ステップS326においてNOの場合)には、処理はリターンする。
【0129】
(修理完了モード)
図12は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置100の修理完了モードにおける処理手順を示すフローチャートである。なお、図12に示す各ステップは、典型的には、制御部2のCPU20がプログラムを実行することで実現される。
【0130】
図12を参照して、CPU20は、操作パネル7などを介してユーザからのデータ引継ぎの指示が与えられたか否かを判断する(ステップS400)。ユーザからのデータ引継ぎの指示が与えられていなければ(ステップS400においてNOの場合)、処理はリターンする。
【0131】
一方、ユーザからのデータ引継ぎの指示が与えられていれば(ステップS400においてYESの場合)、CPU20は、接続先の画像形成装置に故障機から引継いだユニット情報が保存されているか否かを判断する(ステップS402)。より具体的には、CPU20は、接続先の画像形成装置の制御部2のEEPROM23に何らかのユニット情報が保存されているか否かを問い合わせる。
【0132】
接続先の画像形成装置に故障機から引継いだユニット情報が保存されている場合(ステップS402においてYESの場合)には、接続先の画像形成装置から、該当のユニット情報を取得し、自装置のEEPROM23に保存する(ステップS404)。
【0133】
すなわち、修理完了モードに設定されている第1の画像形成装置は、データ交換手段によって、代替中モードに設定されている他の画像形成装置のEEPROM23に保存されているユニット情報を取得する。そして、処理はステップS406へ進む。
【0134】
一方、接続先の画像形成装置に故障機から引継いだユニット情報が保存されていない場合(ステップS402においてNOの場合)には、ステップS404の処理がスキップされる。すなわち、他の画像形成装置の動作モードが代替中モードに設定されている場合に、ユニットに搭載されるメモリに保存されているユニット情報については、当該他の画像形成装置の動作モードを返却機モードに変更するために送信する対象から除外される。
【0135】
言い換えれば、他の画像形成装置のEEPROM23にユニット情報を保存されていないときには、当該他の画像形成装置からユニット情報を取得することなく、動作モードを通常モードに設定し得る。
【0136】
続いて、CPU20は、接続先の画像形成装置が先に宛先アドレス、ユーザカスタマイズ情報、および保存データなどを引継いだ画像形成装置と同一であるか否かを判断する(ステップS406)。より具体的には、CPU20は、接続先の画像形成装置から識別情報(シリアル番号)を取得し、自装置のEEPROM23に保存されている識別情報(シリアル番号)と比較する。そして、両者が一致する場合に、接続先の画像形成装置がデータを引継いだ画像形成装置と同一であると判断する。そうでなければ、接続先の画像形成装置がデータを引継いだ画像形成装置と同一ではないと判断する。
【0137】
接続先の画像形成装置がデータを引継いだ画像形成装置と同一である場合(ステップS406においてYESの場合)、CPU20は、接続先の画像形成装置のEEPROM23に保存されている宛先アドレスおよびユーザカスタマイズ情報のうちの更新部分、ならびに接続先の画像形成装置のHDD24に保存されている保存データのうちの更新部分を接続先の画像形成装置から受信する(ステップS408)。
【0138】
一方、接続先の画像形成装置がデータを引継いだ画像形成装置と同一でない場合(ステップS406においてNOの場合)、CPU20は、接続先の画像形成装置のEEPROM23に保存されている宛先アドレスおよびユーザカスタマイズ情報、ならびに接続先の画像形成装置のHDD24に保存されている保存データのすべてを接続先の画像形成装置から受信する(ステップS410)。
【0139】
その後、CPU20は、動作モードを通常モードに変更する(ステップS412)。すなわち、修理完了モードに設定されている画像形成装置は、他の画像形成装置からのユニット情報の取得後に、動作モードを通常モードに再設定する。
【0140】
<本実施の形態に係る作用効果>
この発明の実施の形態によれば、ユーザは、故障した画像形成装置とサービスセンタなどから送付された代替用の画像形成装置との間をケーブルなどで接続し、所定の操作を行なうことで、故障した画像形成装置での各種設定などを代替用の画像形成装置に容易に引継ぐことができる。
【0141】
また、ユーザは、修理が完了してサービスセンタなどから返送された画像形成装置と代替用の画像形成装置との間をケーブルなどで接続し、所定の操作を行なうことで、代替機での使用によって変更がなされた内容を含めて、修理の完了した画像形成装置へそのデータが容易に引継がれる。
【0142】
このため、ユーザの元にサービスマンが赴かなくとも、専門知識を持たないユーザが、故障などによって使用不能になった画像形成装置を別の画像形成装置に代替させることができる。したがって、メーカまたはメンテナンス会社は、ユーザに対して、より適切なアフターサービスを提供することができる。
【0143】
[その他の実施の形態]
本実施の形態に従うCPU20が実行するプログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。したがって、このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明に係るプログラムに含まれ得る。
【0144】
さらに、本実施の形態に係るプログラムによって実現される機能の一部または全部を専用のハードウェアによって構成してもよい。
【0145】
上述の実施の形態において、特に、宛先アドレスや保存データなどは個人情報が含まれていることが多いので、故障機から代替機へ転送された後には、故障機からそれらのデータを削除しておくことが好ましい。
【0146】
上述の実施の形態においては、データ交換手段の一例として、NIC26を介してネットワークで両画像形成装置を接続する構成について例示したが、無線LANなどのワイヤレス通信によって両画像形成装置を接続してもよいし、USBメモリなどの可搬性の媒体でデータを交換するようにしてもよい。
【0147】
上述の実施の形態においては、宛先アドレス、ユーザカスタマイズ情報、保存データについては、最新の値(データ)のみを保存する場合について例示したが、故障機から引継いだ直後の値(データ)についても保存するようにしてもよい。
【0148】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0149】
2 制御部、3 中間ベルトユニット、4 定着器ユニット、7 操作パネル、10 記録媒体収納部、12 記録媒体、14 搬送ガイド、16 給紙ローラ、18 残量検出センサ、20 感光体、22 露光部、24 帯電部、26 現像部、25 外部通信I/F、27,28 内部通信I/F、28 感光体クリーナ、30 中間転写ベルト、32 濃度センサ、36,37 2次転写ローラ、38 中間転写ベルトクリーナ、40 加熱ローラ、41 加圧ローラ、42 温度センサ、50,51 タイミングローラ、52,53 排出ローラ、54 排出トレイ、60 冷却ファン、62 開口部、100,100A,100B 画像形成装置、TC,TCC,TCM,TCY,TCK トナーカートリッジユニット,TCa,3a,4a メモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の画像形成装置を用いた画像形成装置の代替方法であって、
前記第1および第2の画像形成装置の各々は、
ユーザからの指示を受付ける入力部と、
着脱可能なユニットと、
本体記憶部と、
他の画像形成装置との間でデータ交換を行なうためのデータ交換手段とを含み、
前記代替方法は、
前記第1の画像形成装置が、指令を受けて動作モードを通常モードに設定するステップを含み、前記通常モードに設定された前記第1の画像形成装置は、通常使用が可能であり、
前記通常モードに設定されている前記第1の画像形成装置が、自装置に装着されている前記ユニットの動作に応じて前記本体記憶部に保存されている第1のユニット情報を更新するステップと、
前記第2の画像形成装置が、指令を受けて動作モードを代替前モードに設定するステップと、
前記代替前モードに設定されている前記第2の画像形成装置が、前記第1の画像形成装置が故障した場合に、前記データ交換手段によって、前記第1の画像形成装置の前記本体記憶部に保存されている前記第1のユニット情報を第2のユニット情報として取得するステップと、
前記代替前モードに設定されている前記第2の画像形成装置が、前記第2のユニット情報の取得後に、動作モードを代替中モードに設定するステップとを含み、前記代替中モードに設定された前記第2の画像形成装置は、代替機として使用可能であり、
前記代替中モードに設定されている前記第2の画像形成装置が、自装置に装着されている前記ユニットの動作に応じて前記本体記憶部に保存されている前記第2のユニット情報を更新するステップと、
修理完了した前記第1の画像形成装置が、指令を受けて動作モードを修理完了モードに設定するステップと、
前記修理完了モードに設定されている前記第1の画像形成装置が、前記データ交換手段によって、前記代替中モードに設定されている前記第2の画像形成装置の前記本体記憶部に保存されている前記第2のユニット情報を取得するステップと、
前記修理完了モードに設定されている前記第1の画像形成装置が、前記第2のユニット情報の取得後に、動作モードを前記通常モードに再設定するステップと、
前記代替中モードに設定されている前記第2の画像形成装置が、前記第2のユニット情報を前記第1の画像形成装置に送信後に、動作モードを返却機モードに設定するステップとを含み、前記返却機モードに設定された前記第2の画像形成装置は、使用が制限される、画像形成装置の代替方法。
【請求項2】
前記第1および第2のユニット情報の各々は、ユニット記憶部を含んでいる前記ユニットについてのデータを含んでおらず、
前記第1のユニット情報を更新するステップおよび前記第2のユニット情報を更新するステップの各々は、
自装置に搭載されているユニットが前記ユニット記憶部を含んでいるか否かを判断するステップと、
自装置に搭載されているユニットが前記ユニット記憶部を含んでいる場合には、当該ユニットの動作に応じて、対応するユニット記憶部に保存されている第3のユニット情報を更新するステップとを含み、
故障した前記第1の画像形成装置から前記第2の画像形成装置へ前記データ交換手段を介して送信されるデータには、前記第3のユニット情報は含まれない、請求項1に記載の画像形成装置の代替方法。
【請求項3】
前記代替中モードに設定されている前記第2の画像形成装置が、故障した前記第1の画像形成装置が修理不能である場合に、指令を受けて動作モードを前記通常モードに設定するステップをさらに含む、請求項1または2に記載の画像形成装置の代替方法。
【請求項4】
ユーザからの指示を受付ける入力部と、
着脱可能なユニットと、
装着されている前記ユニットの動作に応じて更新されるユニット情報を保存する本体記憶部と、
他の画像形成装置との間でデータ交換を行なうためのデータ交換手段と、
動作モードを設定する動作モード設定手段と、
設定された動作モードに応じた処理を実行する処理実行手段とを備え、
前記動作モード設定手段は、
指令を受けて、前記動作モードを、通常モード、代替前モード、修理完了モードのいずれかに設定する手段と、
前記動作モードが前記代替前モードに設定されている場合に、前記データ交換手段によって、他の画像形成装置からユニット情報を取得した後に、前記動作モードを代替中モードに変更する手段と、
前記動作モードが前記代替中モードに設定されている場合に、前記データ交換手段によって、前記本体記憶部に保存されている前記ユニット情報を他の画像形成装置へ送信した後に、前記動作モードを返却機モードに変更する手段と、
前記動作モードが前記修理完了モードに設定されている場合に、前記データ交換手段によって、前記本体記憶部に保存されていたユニット情報を引継いだユニット情報を、他の画像形成装置から取得した後に、前記動作モードを前記通常モードに変更する手段とを含み、
前記処理実行手段は、
前記動作モードが前記通常モードに設定されている場合に、通常使用に係る機能を提供するように動作し、
前記動作モードが前記代替中モードに設定されている場合に、代替機としての機能を提供するように動作し、
前記動作モードが前記代替前モード、修理完了モード、前記返却機モードのいずれかに設定されている場合に、制限された機能のみを提供するにように動作する、画像形成装置。
【請求項5】
装着されている前記ユニットがユニット記憶部を含んでいる場合には、対応するユニット情報は当該ユニット記憶部に保存され、当該ユニットの動作に応じて、当該ユニット記憶部に保存されているユニット情報が更新され、
前記処理実行手段は、
前記動作モードが前記代替中モードに設定されている場合に、前記ユニット記憶部に保存されているユニット情報については、前記動作モードを前記返却機モードに変更するために、前記他の画像形成装置へ送信する対象から除外される、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記動作モード設定手段は、
前記動作モードが前記修理完了モードに設定されている場合に、前記データ交換手段によって接続される他の画像形成装置の本体記憶部に前記ユニット情報が保存されているか否かを判断する手段と、
他の画像形成装置の本体記憶部に前記ユニット情報を保存されていないときに、当該他の画像形成装置から前記ユニット情報を取得することなく、前記動作モードを前記通常モードに設定する手段とをさらに含む、請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ユニットは、トナーカートリッジを含み、
前記ユニット情報は、前記トナーカートリッジについての、寿命情報、容量情報、仕向け情報、画像形成パラメータの少なくとも1つを含む、請求項4〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ユニットは、定着器を含み、
前記ユニット情報は、前記定着器についての、寿命情報および仕向け情報の少なくとも1つを含む、請求項4〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ユニットは、中間転写ベルトを含み、
前記ユニット情報は、前記中間転写ベルトについての、寿命情報および仕向け情報の少なくとも1つを含む、請求項4〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記ユニット情報に加えて、ユーザ設定データが他の画像形成装置へ送信または他の画像形成装置から送信され、
前記ユーザ設定データは、宛先アドレスおよびユーザカスタマイズ情報の少なくとも1つを含む、請求項4〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記ユニット情報に加えて、画像形成装置の通常動作によって取得された保存データが他の画像形成装置へ送信または他の画像形成装置から送信される、請求項4〜10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記処理実行手段は、
前記動作モードが前記代替前モードから前記代替中モードに変更される場合に、前記ユニット情報の取得先の画像形成装置を特定する識別情報を前記本体記憶部へ保存し、
前記動作モードが前記代替中モードに設定されている場合に、前記代替中モードに変更された後における前記ユーザ設定データまたは前記保存データに対する更新部分を特定可能に記憶し、
前記動作モード設定手段は、
前記動作モードが前記代替中モードに設定されている場合に、前記識別情報に基づいて、前記他の画像形成装置が先に前記ユーザ設定データまたは前記保存データを引継いだ画像形成装置と同一であるか否かを判断する手段と、
前記他の画像形成装置が先に前記ユーザ設定データまたは前記保存データを引継いだ画像形成装置と同一である場合に、前記更新部分のみを当該他の画像形成装置へ送信する手段と、
前記他の画像形成装置が先に前記ユーザ設定データまたは前記保存データを引継いだ画像形成装置と同一でない場合に、自装置に保存している前記ユーザ設定データまたは前記保存データのすべてを当該他の画像形成装置へ送信する手段とをさらに含む、請求項10または11に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−169821(P2010−169821A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11110(P2009−11110)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】